(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般住宅用の照明器具においては、主光源に環状の蛍光ランプを用い、この環状の蛍光ランプの下方側を覆うようにカバー部材(セード)を設けて、外観形状を丸形に構成するものが普及している。
【0003】
近時、LED等の発光素子の高出力化、高効率化及び普及化に伴い、光源として発光素子を用いて長寿命化が期待できる上記のような一般住宅用の照明器具が開発されている。
【0004】
一方、LED等の発光素子は、その温度が上昇するに従い、光の出力が低下し、耐用年数も短くなる。このため、LEDやEL素子等の固体発光素子を光源とする照明器具にとって、耐用年数を延したり発光効率等の特性を改善したりするために、発光素子の温度が上昇するのを抑制することが必要である。
【0005】
従来、光源としてLEDを用いた一般住宅用の照明器具として、例えば、天井面に設置された引掛けシーリングへの取付部の周囲にLEDを点灯制御する点灯装置を設け、この点灯装置の近傍外周に複数のLEDを配置したものがある。このLEDは、横方向の外周側に向かって光を出射するように配置されていて、出射された光を天井面側に設けられた反射板で反射させて前面側に照射するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について
図1乃至
図8を参照して説明する。各図においてリード線等による配線接続関係は省略して示している場合がある。なお、同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
本実施形態の照明器具は、器具取付面に設置された配線器具としての引掛けシーリングボディに取付けられて使用される一般住宅用のものであり、基板に実装された複数の発光素子を有する光源部から放射される光によって室内の照明を行うものである。
【0014】
図1乃至
図4において、照明器具は、本体1と、光源部2と、拡散部材3と、点灯装置4と、点灯装置カバー5と、取付部6と、カバー部材7とを備えている。また、器具取付面としての天井面Cに設置された引掛けシーリングボディCbに電気的かつ機械的に接続されるアダプタAを備えている。このような照明器具は、丸形の円形状の外観に形成され、前面側を光の照射面とし、背面側を天井面Cへの取付面としている。
【0015】
図2乃至
図5に示すように、本体1は、冷間圧延鋼板等の金属材料の平板から円形状に形成されたシャーシであり、略中央部に、後述する取付部6を配設するための円形状の開口11が形成されている。また、光源部2が取付けられる内面側の平坦部12の外周側には、背面側へ向かう段差部13が形成されて樋状の凹部14が形成されている。さらに、本体1の背面側には、弾性部材15が設けられている。
【0016】
光源部2は、
図6の参照を加えて説明するように、基板21と、この基板21に実装された複数の発光素子22とを備えている(
図2においては発光素子22の図示を省略している)。基板21は、所定の幅寸法を有した円弧状の4枚の基板21が繋ぎ合わされるように配設されて全体として略サークル状に形成されている。つまり、全体として略サークル状に形成された基板21は、4枚の分割された基板21から構成されている。
【0017】
基板21は、絶縁材であるガラスエポキシ樹脂(FR−4)の平板からなり、表面側には銅箔によって配線パターンが形成されている。また、配線パターンの上、つまり、基板21の表面には反射層として作用する白色のレジスト層が施されている。なお、基板21の材料は、絶縁材とする場合には、セラミックス材料又は合成樹脂材料を適用できる。さらに、金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板を適用できる。
【0018】
発光素子22は、LEDであり、表面実装型のLEDパッケージである。このLEDパッケージが複数個サークル状の基板21の周方向に沿って、複数列、本実施形態では、内周側及び外周側の2列に亘って実装されている。また、LEDパケージには、発光色が昼白色のものと電球色のものとが用いられており、これらが交互に並べられていて、各列の隣接する発光素子22は略等間隔を空けて配設されている。この昼白色と電球色のLEDパッケージに流れる電流等を調整することにより調色が可能となっている。
【0019】
なお、特定の基板21(
図3中、右側)には、常夜灯用の発光素子22aが実装されている。この発光素子22aには、サークル状に実装された主光源における電球色のものと同じLEDパッケージが用いられている。
【0020】
なお、発光素子22は、必ずしも複数列に実装する必要はない。例えば、周方向に沿って1列に実装するようにしてもよい。所望する出力に応じて発光素子22の列数や個数を適宜設定することができる。
【0021】
LEDパッケージは、概略的にはセラミックスや合成樹脂で形成された本体に配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。LEDチップは、青色光を発光する青色のLEDチップである。透光性樹脂には、昼白色や電球色の光を出射できるようにするために蛍光体が混入されている。
【0022】
なお、LEDは、LEDチップを直接基板21に実装するようにしてもよく、また、砲弾型のLEDを実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。
【0023】
拡散部材3は、レンズ部材であり、
図7の参照を加えて説明するように、例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂等の絶縁性を有する透明合成樹脂からなり、前記発光素子22の配置に沿って略サークル状に一体的に形成されていて、発光素子22を含めて基板21の実装面側の全面を覆うように配設されている。
【0024】
また、レンズ部材は、
図5及び
図7に代表して示すように、略サークル状の内周側部分と外周側部分とに発光素子22に対向して円周方向に2条の山形の突条部31が形成されている。この突条部31の内側には、U字状の溝32が円周方向に沿って形成されている。したがって、U字状の溝32は、複数の発光素子22と対向して配置されるようになっており、複数の発光素子22は、U字状の溝32内に収められる状態となっている。
【0025】
さらに、これら突条部31からは幅方向に延出する平坦部33が形成されており、これにより基板21の実装面側の全面が覆われるようになっている。
【0026】
このように構成されたレンズ部材によれば、
図5に示すように発光素子22から出射された光は、突条部31によって、主として円周上の内周方向及び外周方向に拡散されて放射される。すなわち、発光素子22から出射された光は、発光素子22が配置されたところのサークル状の中心を原点とする半径方向へ主として拡散して放射されるようになる。
【0027】
上記のように構成された光源部2は、
図4及び
図5に代表して示すように、基板21が取付部6の周囲に位置して、発光素子22の実装面が前面側、すなわち、下方の照射方向に向けられて配設されている。また、基板21の裏面側が本体1の内面側の平坦部12に密着するように面接触して取付けられている。具体的には、基板21の前面側から拡散部材3が重ね合わされ、この拡散部材3を例えば、ねじS等の固定手段によって本体1に取付けることにより、基板21は、本体1と拡散部材3との間挟み込まれて押圧固定されるようになっている。つまり、1本のねじSによって基板21と拡散部材3とが共締めされている。
【0028】
したがって、基板21は、本体1と熱的に結合され、基板21からの熱が裏面側から本体1に伝導され放熱されるようになっている。なお、基板21と本体1との面接触は、基板21の裏面側の全面が本体1に接触する場合に限らない。部分的な面接触であってもよい。
【0029】
点灯装置4は、
図2乃至
図4に示すように、回路基板41と、この回路基板41に実装された制御用IC、トランス、コンデンサ等の回路部品42とを備えている。回路基板41は、取付部6の周囲を囲むように略円弧状に形成されていて、アダプタA側が電気的に接続されて、アダプタAを介して商用交流電源に接続されている。したがって、点灯装置4は、この交流電源を受けて直流出力を生成し、リード線を介してその直流出力を発光素子22に供給し、発光素子22を点灯制御するようになっている。
【0030】
このような点灯装置4は、取付部6と光源部2、すなわち、基板21との間に配設されている。
【0031】
点灯装置カバー5は、
図2及び
図4に示すように、冷間圧延鋼板等の金属材料によって略短円筒状に形成され、点灯装置4を覆うように本体1に取付けられている。側壁51は、背面側に向かって拡開するように傾斜状をなしており、前面壁52には、取付部6と対応するように開口部53が形成されている。したがって、発光素子22から出射される一部の光は、側壁51によって前面側に反射され有効に利用されるようになる。また、この開口部53に周縁には背面側へ凹となる円弧状のガイド凹部54が形成されている。
【0032】
取付部6は、略円筒状に形成されたアダプタガイドであり、このアダプタガイドの中央部には、アダプタAが挿通し、係合する係合口61が設けられている。このアダプタガイドは、本体1の中央部に形成された開口11に対応して配設されている。アダプタガイドの外周部には、この外周部から突出するように基台が形成されていて、この基台には赤外線リモコン信号受信部や照度センサ等の電気的補助部品62が配設されている。
【0033】
なお、取付部6は、必ずしもアダプタガイド等と指称される部材である必要はない。例えば、本体1等に形成される開口であってもよく、要は、配線器具としての引掛けシーリングボディCbに対向し、アダプタAが係合される部材や部分を意味している。
【0034】
カバー部材7は、アクリル樹脂等の透光性を有し、乳白色を呈する拡散性を備えた材料から略円形状に形成されており、中央部には不透光性の円形状の化粧カバー71が取付けられている。また、この化粧カバー71には、前記電気的補助部品62と対向するように略三角形状の透光性を有する受光窓72が形成されている。さらに、カバー部材7の内面側の中央寄りには、内面方向に突出する突出ピン73が形成されている。
【0035】
そして、カバー部材7は、光源部2を含めた本体1の前面側を覆うように本体1の外周縁部に着脱可能に取付けられるようになっている。具体的には、カバー部材7を回動することによって、カバー部材7に設けられたカバー取付金具74(後述する
図8に示す)を本体1の外周縁部の凹部14に配設されたカバー受金具75に係合することにより取付けられる。
【0036】
このようにカバー部材7が本体1に取付けられた状態においては、主として
図4に示すように、カバー部材7の内面側は、点灯装置カバー5の前面壁52に面接触するようになる。したがって、点灯装置4等から発生する熱を点灯装置カバー5へ伝導し、さらにカバー部材7へ伝導させて放熱を促進することが可能となる。
【0037】
ここで、カバー部材7は、回動させて本体1に取付けられるが、受光窓72の位置を電気的補助部品62と対向するように位置合わせをする必要がある。このため、本実施形態においては、位置規制手段が構成されている。
【0038】
この位置規制手段について
図8を参照して説明する。
図8は、回動するカバー部材7側と固定状態の本体1側との相対的位置関係を模式的に示した平面図である。
【0039】
まず、
図8(a)に示すように、カバー部材7側には、背面側周縁部の3箇所にカバー取付金具74が設けられている。また、中央寄りには突出ピン73が設けられている。一方、本体1側には、外周縁部の3箇所にカバー受金具75が設けられ、また、本体1に取付けられた点灯装置カバー5のガイド凹部54が位置している。
【0040】
この
図8(a)に示す状態においては、突出ピン73がガイド凹部54に嵌合している(
図4を併せて参照)。このため、カバー部材7は、適正な位置に配置されていて、この状態からカバー部材7を時計方向へ回動することにより、
図8(b)に示すように、突出ピン73がガイド凹部54に沿って移動するとともに、カバー取付金具74がカバー受金具75に係合しカバー部材7が本体1に取付けられる。そして、この状態においては、受光窓72が電気的補助部品62と対向して位置されるようになり、例えば、赤外線リモコン信号受信部が赤外線リモコン送信器からの制御信号を受信できるようになる。
【0041】
すなわち、受光窓72が電気的補助部品62と対向して位置されないような取付位置では、突出ピン73がガイド凹部54に嵌合しないため、カバー部材7が本体1に取付けることができないように位置規制されている。
【0042】
アダプタAは、天井面Cに設置された引掛けシーリングボディCbに、上面側に設けられた引掛刃によって電気的かつ機械的に接続されるもので略円筒状をなし、周壁の両側には一対の係止部A1が、内蔵されたスプリングによって常時外周側へ突出するように設けられている。この係止部A1は下面側に設けられたレバーを操作することにより没入するようになっている。また、このアダプタAからは、前記点灯装置4へ接続する電源コードが導出されていて、点灯装置4とコネクタを介して接続されるようになっている(
図3参照)。
【0043】
次に、照明器具の天井面Cへの取付状態について
図4を参照して説明する。まず、予め天井面Cに設置されている引掛けシーリングボディCbにアダプタAが電気的かつ機械的に接続されている。この状態から取付部6としてのアダプタガイドの係合口61をアダプタAに合わせながら、アダプタAの係止部A1がアダプタガイドの係合口61に確実に係合するまで本体1を下方から手で押し上げて取付け操作を行う。そして、カバー部材7を本体1に取付ける。この取付完了状態が
図4に示す状態であり、このとき、弾性部材15が天井面Cと本体1の背面側との間に密着状態で介在され、照明器具は、天井面Cに固定状態となる。
【0044】
また、照明器具を取外す場合には、カバー部材7を取外し、アダプタAに設けられているレバーを操作してアダプタAの係止部A1の係合を解くことにより取外すことができる。
【0045】
照明器具の天井面Cへの取付状態において、点灯装置4に電力が供給されると、基板21を介して発光素子22に通電され、各発光素子22が点灯する。発光素子22から出射された光は拡散部材3によって半径方向へ拡散されるとともに、前面側へ放射される。前面側へ放射された光は、カバー部材7を透過して外方へ照射される。
【0046】
また、半径方向の内周側へ向かう一部の光は、点灯装置カバー5における傾斜状の側壁51によって前面側に反射され有効に利用されるようになる。
【0047】
一方、発光素子22から発生する熱は、基板21の裏面側が本体1に面接触しているため、本体1に効果的に伝導され、広い面積で放熱されるようになる。また、基板21の外周側近傍には、基板21の外周に沿って段差部13が形成されているため、この段差部13によって放熱面積を増大させることができ、本体1外周部での放熱効果を高めることが可能となる。加えて、この段差部13は、本体1の補強効果を奏することができるものとなっている。
【0048】
また、点灯装置4は、取付部6と基板21との間に配設されているため、点灯装置4は、基板21から熱的影響を受けるのを軽減される。これは、基板21の熱は、本体1の外周方向に向かって伝導し、放熱される傾向にあることに起因するものである。
【0049】
さらに、カバー部材7は、点灯装置カバー5に面接触するようになっているので、点灯装置4から発生する熱を点灯装置カバー5へ伝導し、さらにカバー部材7へ伝導させて放熱をさせることができる。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、基板21が取付部6の周囲に位置して、発光素子22の実装面が前面側に向けられて配設されているので、構成が簡単であり、発光素子22の温度上昇を効果的に抑制できる照明器具を提供することが可能となる。
【0051】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、発光素子は、LEDや有機EL等の固体発光素子が適用でき、この場合、発光素子の個数は特段限定されるものではない。