(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
昨今、マルチコプタ(ドローン)をはじめとする無人飛行体に関する技術開発が急速に進展しており、物資(貨物、荷物、救援物資等)の輸送、測量、地理情報の収集、環境測定、農業等、様々な分野への活用が期待されている。
【0010】
ところで、無人飛行体の多くは蓄電装置(バッテリ)のエネルギーを動力源として用いている。このため、蓄電装置の容量による飛行距離の制限、高容量の蓄電装置を取り扱う際の安全確保、蓄電装置の充電や交換時のコネクタの脱着作業にかかる負荷等、無人飛行体を物資の輸送に用いる場合は、蓄電装置の電力補給を如何にして効率よく安全に行うかが課題となる。また無人飛行体による物資の輸送に際しては誤配送や盗難の可能性を考慮する必要があり、如何にして物資を効率よく安全に受取側に送り届けるかが課題となる。
【0011】
本発明はこうした背景に鑑みてなされたものであり、無人飛行体による物資の輸送を効率よく安全に行うことが可能な、無人飛行体の制御方法、及び無人飛行体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明のうちの一つは、無人飛行体の制御方法であって、飛行制御装置と、前記飛行制御装置により制御される推力発生装置と、前記飛行制御装置又は前記推力発生装置に電力を供給する蓄電装置と、非接触給電により電力を受電する受電装置と、前記受電装置が受電した電力により前記蓄電装置の充電制御を行う充電制御装置と、積載物を積載する積載構造と、前記積載物の受取側への引き渡しを行う引渡装置と、を備えた無人飛行体の制御方法であって、前記飛行制御装置が、前記積載物を受取側に引き渡す地点である一つ以上の引渡地点、及び非接触給電の送電設備が設けられた一つ以上の受電地点、を含む着地点を順次経由するように設定された飛行経路を記憶し、前記無人飛行体を前記着地点に順に着地させつつ前記飛行経路に沿って飛行させるステップと、前記無人飛行体が前記受電地点に着地した際、前記受電装置が、前記蓄電装置の充電に用いる電力を非接触給電により受電するステップと、前記無人飛行体が前記引渡地点に着地した際、前記引渡装置が、前記積載物の受取側への引き渡しに関する処理を行うステップと、を含む。
【0013】
このように、本発明によれば、無人飛行体は、積載物(貨物、荷物、支援物資等)を受取側に引き渡す地点である一つ以上の引渡地点、非接触給電の送電設備が設けられた一つ以上の受電地点を順に着地しつつ飛行経路に沿って飛行するので、蓄電装置(バッテリ)に飛行に必要な電力を人手をかけずに効率よく補給しつつ、積載物を効率よく確実に受取側に送り届けることができる。また飛行経路の途中で蓄電装置を随時充電するため、遠方への物資の輸送も可能になる。
【0014】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記無人飛行体が、前記受電地点かつ前記引渡地点である前記着地点に着地した際、前記受電装置が前記蓄電装置の充電に用いる電力を非接触給電により受電しつつ、前記引渡装置が前記積載物の受取側への引き渡しを行う。
【0015】
このように、本発明によれば、積載物の受取側への引き渡しを行いつつ非接触給電により受電した電力による蓄電装置の充電を行うことができるので、積載物の引き渡しと蓄電装置の充電の双方を効率よく行うことができる。
【0016】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記無人飛行体が、前記受電地点かつ前記引渡地点である前記着地点に着地した際、前記蓄電装置の残量が所定値以下であるか否かを判定し、前記残量が前記所定値以下である場合、前記受電装置は非接触給電による前記受電を行わない、
【0017】
このように、本発明によれば、受電地点かつ引渡地点である着地点に着地した際、蓄電装置の残量に余裕がある場合は不必要に受電を行わないので、着地時間が短縮され、効率よく積載物を受電側に送り届けることができる。
【0018】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記引渡装置は、受取側の認証を行う認証装置と、前記積載物の前記受取側への引き渡しを物理的に制限する引渡制限装置と、を備え、前記認証装置が、受取側への前記積載物の引き渡し可否を判定するための認証処理を行うステップと、前記引渡制限装置が、前記認証装置による認証が成功した場合にのみ、前記積載物を前記受取側に引き渡し可能な状態にするステップと、をさらに含む。
【0019】
このように、本発明によれば、認証に成功しない場合は積載物の受取側への引き渡しが制限されるので、誤配送や盗難を防いで積載物を安全かつ確実に正当な受取側に送り届けることができる。
【0020】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記引渡装置は、撮影装置を備え、前記撮影装置が、前記積載物の受取側への引き渡しを行っている際の映像を撮影して記憶するステップ、をさらに含む。
【0021】
このように、本発明によれば、引渡装置は、積載物の受取側への引き渡しを行っている際の映像を撮影して記憶するので、引き渡しの状況を事後的に検証することができ、積載物を安全かつ確実に正当な受取側に送り届けることができる。
【0022】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記無人飛行体は、地上に設けられた基地局と無線通信する通信装置を備え、前記無人飛行体が、前記通信装置を介して、前記積載物の前記受取側への引き渡しの結果を前記基地局に送信するステップ、をさらに含む。
【0023】
このように、本発明によれば、無人飛行体は、積載物の受取側への引き渡しの結果を基地局に送信するので、積載物の引き渡し依頼者(発送元や積載物の管理者等)等は、積載物の引き渡しの状況をリアルタイムに把握することができる。
【0024】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記無人飛行体は、前記飛行制御装置が有する機能のうち、前記非接触給電により前記受電装置が電力を受電する際に生じる放射ノイズの影響を受ける可能性のある部位である抑制対象部位の機能を抑制する機能抑制制御部を備え、前記機能抑制制御部が、前記非接触給電の開始に先立ち、前記抑制対象部位の機能を抑制し、前記非接触給電の終了後に前記抑制対象部位の機能の抑制を解除するステップ、をさらに含む。
【0025】
このように、本発明によれば、非接触給電による送電を開始するのに先立ち、抑制対象部位の機能が抑制され、また非接触給電の終了後は抑制対象部位の機能の抑制が解除されるので、非接触給電を行っている際に確実に放射ノイズの影響を防ぐことができ、また非接触給電の終了後は抑制対象部位の機能をスムーズに再開することができる。
【0026】
本発明の他の一つは、上記無人飛行体の制御方法であって、前記非接触給電の方式は、磁界共鳴方式、電磁誘導方式、マイクロ波方式のうちのいずれかである。
【0027】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、無人飛行体による物資の輸送を効率よく安全に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、一実施形態について説明する。以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して説明を省略することがある。
【0031】
本実施形態で説明する無人飛行体は、物資(貨物、荷物、救援物資等。以下、積載物と称する。)の輸送(配達等)に用いられ、バッテリ(蓄電装置)のエネルギーを利用して、飛行のための推力や搭載されている機器を機能させる。
【0032】
無人飛行体は、積載物の受取側への引き渡しに関する処理を行う引渡装置を備えており、積載物を受取側(受取人、積載物の自動受取装置等)が存在する一つ以上の地点(以下、引渡地点と称する。)に送り届ける。
【0033】
また無人飛行体は、非接触給電(ワイヤレス給電とも称される。)の送電設備が設けられた一つ以上の地点(以下、受電地点と称する。)に随時着地し、非接触給電により受電した電力を用いてバッテリの充電を行う。
【0034】
無人飛行体は、飛行経路に沿って自律飛行を行う。飛行経路は、引渡地点及び受電地点を含む着地点を効率よく経由するように設定される。
【0035】
図1に飛行経路の例を示す。着地点は、引渡地点かつ受電地点である場合、引渡地点であるが受電地点ではない場合、及び引渡地点ではないが受電地点である場合がある。着地点が、引渡地点かつ受電地点である場合、無人飛行体は、非接触給電により電力を受電してバッテリの充電を行いつつ積載物の受取側への引き渡しを行う。
【0036】
引渡装置は、積載物を受取側に引き渡すための認証処理を行う認証装置と、積載物の引き渡しを物理的に制限(施錠等)する引渡制限装置とを備える。引渡装置は、認証装置による認証が成功した場合にのみ、引渡制限装置により積載物を受取人に引き渡し可能な状態にする。
【0037】
図2A、
図2Bに、無人飛行体3、及び、無人飛行体3の出発地点(貨物や荷物の集配所、支援物資の供給元等)や受電地点に設けられる、非接触給電により無人飛行体3に電力を供給する充電ステーション2の構成を示している。
図2Aは、無人飛行体3及び充電ステーション2の正面図、
図2Bは、無人飛行体3及び充電ステーション2を上方から眺めた平面図である。また
図2Cは、無人飛行体3を正面斜め上方から眺めた斜視図である。
【0038】
無人飛行体3は、例えば、マルチコプタ(バイコプタ(bicopter)トリコプタ(tricopter)、クアッドコプタ(quadcopter)、ヘキサコプタ(hexacopter)、オクトコプタ(octocopter)等)、ヘリコプタ、飛行機、飛行ロボット等である。以下、無人飛行体3は、自律制御機構を備えて自律飛行するクアッドコプタであるものとする。
【0039】
無人飛行体3は、その基本骨格(フレーム)として、台座部31と、台座部31から+y方向を基準として、夫々、45°、135°、225°、315°の角度で水平方向に延出する4つのアーム32と、台座部31の下方(−z方向)に延出して設けられる脚部33(後述の脚支柱331,水平脚332を含む。スキッドも称される。)と、を備える。アーム32や脚部33は、例えば、筒状(円筒状、角筒状等)の部材やトラス状の部材を用いて構成される。これらは例えば、樹脂や金属等を素材として構成されている。
【0040】
台座部31は、上下方向(z軸方向)に複数段の板材を有する構造(本例では上下2段)になっている。脚部33は、台座部31から夫々左右方向(±x軸方向)に開脚しつつ下方に所定長さで延出する2本の脚支柱331と、脚支柱331の下端に固定され水平(y軸方向)に所定長さ(例えば、無人飛行体3の前後方向(y軸方向)の長さ)で延出する水平脚332とを有する。
【0041】
台座部31の上段には、飛行制御装置250、積載物41の受取側への引き渡し行う後述の引渡装置280の構成要素である、認証装置281及び撮影装置282(ビデオカメラ、デジタルカメラ等)が設けられている。また台座部31の下段には、後述する受電装置20の一部、バッテリ260(蓄電装置)、後述する制御ユニット82等が設けられている。これらは、例えば、両面テープや面ファスナ等を用いて台座部31に固定されている。
【0042】
4つのアーム32の夫々の端部近傍には、その回転軸の方向を上下方向(z軸方向)に向けて動力モータ255(推力発生装置)が設けられている。各動力モータ255の回転軸にはプロペラ271(回転翼)が取り付けられている。尚、各動力モータ255には、後述するモータ制御装置254が接続されている。
【0043】
台座部31の下方には、台座部31の下段と2本の脚支柱331とで囲まれる空間Sが形成されており、この空間Sには、積載物41が積載される積載構造42が設けられている。積載構造42には、後述する引渡装置280の構成要素であり積載物41の受取側への引き渡しを制限する装置である引渡制限装置283(施錠機構等)が設けられている。積載構造42は、同時に複数の積載物41を収容することも可能である。また引渡制限装置283は、複数の積載物41の夫々について個別に受取側への引き渡しを制限することが可能である。尚、
図2A、
図2B、及び
図2Cでは、積載構造42を簡略化して描いている。
【0044】
充電ステーション2は、扁平な矩形状の筐体201を備える。筐体201には、無人飛行体3に非接触給電により送電を行う送電装置10や機体検知センサ14が設けられている。機体検知センサ14の出力信号は、無人飛行体3が充電ステーション2の定位置に存在するか否かの判定に用いられる。尚、以下では、一例として非接触給電は磁界共鳴方式(交流共鳴方式又は直流共鳴方式)であるものとするが、非接触給電の方式は必ずしも同方式に限定されない。非接触給電の方式は、例えば、「電磁誘導方式」や「マイクロ波方式」等の他の方式とすることもできる。
【0045】
無人飛行体3には、送電装置10から非接触給電により送られてくる電力を受電する受電装置20が設けられている。受電装置20は、送電装置10の送電コイル111から送られてくる電力を受電する受電コイル211や整流回路22等を含む。
【0046】
同図に示すように、無人飛行体3の前述した空間Sには、上記の受電コイル211を内蔵する受電コイルユニット81が脱着可能に設けられている。また台座部31の下段には、受電コイルユニット81の夫々に対応して、上記の整流回路22等が実装された制御ユニット82が設けられている。またこの制御ユニット82には、後述する充電制御装置75が実装されている。受電コイルユニット81と制御ユニット82とは配線ケーブル83を介して電気的に接続されている。
【0047】
図2A又は
図2Bに示すように、充電ステーション2の筐体201の上面(以下、ステージとも称する。)近傍には、スパイラル型の送電コイル111が設けられている。送電コイル111は、送電面がxy平面に平行になるように筐体201の上面近傍に埋設されている。送電コイル111は、無人飛行体3がステージに着地した際、夫々の送電面が無人飛行体3の受電コイル211の受電面と対面するように、その配置位置や配置領域が設定されている。尚、送電コイル111の径は、受電コイル211の径に比べて十分に大きな径とすることが好ましい。送電コイル111の径を受電コイル211の径よりも大きくすることで、スパイラル型コイルの特性により、送電コイル111の中心と受電コイル211の中心とが多少ずれていたとしても効率よく非接触給電を行うことができる。
【0048】
図3(a)に充電ステーション2のハードウェア構成(ブロック図)を示している。同図に示すように、充電ステーション2は、送電装置10、機体検知センサ14、及び情報処理装置15を備える。
図3(b)に送電装置10の回路構成を示している。同図に示すように、送電装置10は、送電回路11、電力計測回路12、及び電源回路13を備える。送電回路11は、送電コイル111、容量素子112、及び制御回路113を含む。電力計測回路12は、電源回路13から送電回路11に供給される電力を計測する電圧計121及び電流計122を含む。電力計測回路12の計測値は情報処理装置15等に入力される。尚、送電コイル111は、非接触給電の伝送効率を向上させるべく、インダクタンスの調節が可能なものであってもよい。また容量素子112は、非接触給電の伝送効率を向上させるべく、静電容量の調節が可能なものであってもよい。
【0049】
電源回路13は、例えば、AC/DCコンバータやレギュレータ(スイッチング方式のレギュレータ、リニア方式のレギュレータ等)を含み、例えば、商用電源等から供給される電力を送電回路11や情報処理装置15に供給する。
【0050】
制御回路113は、送電回路11に供給する所定周波数の駆動電流を生成する。制御回路113は、例えば、ドライバ回路(ゲートドライバ、ハーフブリッジドライバ等)、高周波増幅器、整合回路(マッチング回路)を含む。
【0051】
図3(a)に戻り、機体検知センサ14は、無人飛行体3が充電ステーションの定位置に存在するか否か、より具体的には、送電コイル111の送電領域と受電コイル211の受電領域とが対面した状態になっているか否かを検知する。機体検知センサ14は、例えば、充電ステーション2の所定位置に配設された一つ以上の光電センサを用いて構成される。また機体検知センサ14は、例えば、感圧センサや測距センサ等を用いて構成される。
【0052】
図4に、
図3(a)に示した情報処理装置15(コンピュータ)のハードウェア構成(ブロック図)を示している。同図に示すように、情報処理装置15は、プロセッサ151、記憶装置152、入力装置153、出力装置154、及び通信装置155を備える。これらはバス等の通信手段を介して通信可能に接続されている。
【0053】
プロセッサ151は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を用いて構成されている。記憶装置152は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)等である。プロセッサ151及び記憶装置152は、例えば、これらが一体としてパッケージングされたマイクロコンピュータ(マイコン)等として提供されるものであってもよい。
【0054】
入力装置153は、ユーザから情報や指示の入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。出力装置154は、ユーザに情報を提供するインタフェースであり、例えば、液晶パネル(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、スピーカ等である。
【0055】
通信装置155は、後述する無人飛行体3側の通信装置259や充電制御装置75の通信装置754と無線通信を行う。この無線通信は、例えば、2.4GHz帯の電波等を用いて行われる。また通信装置155は、無人飛行体3の監視拠点(例えば、貨物や荷物の集配所、支援物資の供給元等)や無線中継施設等に設けられている基地局と通信する。
【0056】
図5に情報処理装置15が備える機能(ソフトウェア構成)を示している。同図に示すように、情報処理装置15は、操作入力受付部501、受電認証処理部502、機能抑制中通知受信部503、機体有無検知部504、送電制御部505、消費電力監視部506、及び情報出力部507の各機能を備える。これらの機能は、例えば、プロセッサ151が、記憶装置152に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0057】
また情報処理装置15は、充電を許可するか否かの判定に用いる認証情報である受電認証情報521(例えば、無人飛行体3や積載物41ごとに固有に付与される識別番号や登録番号)を記憶する。情報処理装置15は、例えば、入力装置153や通信装置155を介して受電認証情報521を取得する。
【0058】
操作入力受付部501は、入力装置153を介してユーザから操作入力を受け付ける。操作入力受付部501は、例えば、ユーザが、送電開始操作(給電許可操作)や送電停止操作を行ったか否かを判定し、その結果を送電制御部505に通知する。
【0059】
受電認証処理部502は、無人飛行体3から取得した後述の受電認証情報791を、記憶している受電認証情報521と照合することにより認証処理を行う。このように、無人飛行体3への送電に先立ち、受電認証処理部502が認証処理を行うことで、例えば、盗電防止、他社製品等の誤動作防止、充電ステーション2側の無人飛行体3の仕様把握ミス防止等を図ることができる。
【0060】
機能抑制中通知受信部503は、無人飛行体3から、無人飛行体3が備える構成のうち、非接触給電により充電ステーション2から無人飛行体3への送電が行われる際に発生する放射ノイズの影響を受ける可能性がある部位(以下、抑制対象部位と称する。)について現在、その機能の抑制制御中である旨の通知(以下、機能抑制中通知と称する。)を無線通信により受信する。ここで抑制対象部位は、例えば、無人飛行体3が備えるハードウェア(後述する各種センサ253、各種電気・電子回路、モータ制御装置254、推力発生装置270等)の全部又は一部、飛行制御装置250の制御回路251がプログラムを読み出して実行することにより実現される機能等の全部又は一部である。但し、非接触給電やバッテリ260の充電に関する部位、他の装置との間での通信を実現する部位は機能抑制部位に含まれない。抑制対象部位の一例として、GPS(Global Positioning System)信号の受信装置(受信アンテナ、受信回路を含む。)の全部又は一部がある。GPS衛星から送られてくるGPS信号は微弱であるため、非接触給電により生じる放射ノイズの影響を受けやすい。
【0061】
機体有無検知部504は、機体検知センサ14から入力される情報に基づき、無人飛行体3が充電ステーション2の定位置に存在する否かを検知する。
【0062】
送電制御部505は、送電コイル111から送電する電力の大きさ(出力)や送電有無を制御する。送電制御部505は、例えば、操作入力受付部501からの通知(例えば、ユーザが送電開始操作や送電停止操作を行った旨の通知)に応じて、送電コイル111からの送電有無を制御する。また送電制御部505は、例えば、機能抑制中通知受信部503が機能抑制中通知を受信したのに応じて、送電コイル111からの送電有無を制御する。また送電制御部505は、例えば、無人飛行体3から送電開始要求や送電停止要求を受信したのに応じて、送電コイル111からの送電有無を制御する。また送電制御部505は、例えば、機体有無検知部504の判定結果に基づき、送電コイル111からの送電有無を制御する。こうした制御は、例えば、送電制御部505が、制御回路113のドライバ回路のPWM制御におけるデューティ比、送電回路11と受電回路21の結合係数、容量素子112の静電容量、電源回路13から制御回路113への電力供給量、制御回路113から送電コイル111への電力供給量等の一つ以上を変化させることにより行われる。尚、送電制御部505は、非接触給電の伝送効率が向上するように送電コイル111のインダクタンスや容量素子112の静電容量を自動調節する機能を有していてもよい。送電制御部505は、例えば、送電回路11からの送電電力と、後述する充電制御装置75と無線通信することにより取得される受電装置20の受電電力との比に基づき、上記伝送効率を把握する。また送電制御部505は、例えば、電力計測回路12の計測値に基づき上記の伝送効率を把握する。このように、送電制御部505が、非接触給電の伝送効率が向上するように送電コイル111のインダクタンスや容量素子112の静電容量を自動調節することで、例えば、送電コイル111の送電面と無人飛行体3の受電コイル211の受電面が多少ずれていたとしても効率よく非接触給電を行うことができる。
【0063】
消費電力監視部506は、電力計測回路12から得られる情報(電圧値、電流値)に基づき送電回路11の消費電力を随時監視する。送電回路11の消費電力を監視することで受電装置20側の受電状態を把握することができる(例えば、特許文献4を参照)。情報出力部507は、出力装置154に後述する様々な情報を出力する。
【0064】
図6に、無人飛行体3のハードウェア構成(ブロック図)を示している。同図に示すように、無人飛行体3は、受電装置20、充電制御装置75、バッテリ260、飛行制御装置250、推力発生装置270、及び引渡装置280を備える。飛行制御装置250、推力発生装置270、及び引渡装置280は、バッテリ260から供給される電力によって動作する。また充電制御装置75は、例えば、受電装置20から供給される電力によって動作する。
【0065】
飛行制御装置250は、制御回路251、受信機252、各種センサ253、出力装置258、通信装置259、及びバッテリ260を含む。
【0066】
制御回路251は、プロセッサや記憶素子を含み、情報処理装置として機能する。制御回路251は、例えば、プロセッサ及び記憶素子が一体としてパッケージングされたマイクロコンピュータ(マイコン)として実現されるものであってもよい。
【0067】
各種センサ253は、例えば、3軸ジャイロセンサ(角速度センサ)、3軸加速度センサ、気圧センサ、磁気センサ、超音波センサ、GPS信号の受信装置、感圧センサ等である。3軸ジャイロセンサは、例えば、無人飛行体3の前後左右の傾きや回転の角速度を検出する。3軸加速度センサは、例えば、無人飛行体3の加速度(前後左右上下の各方向の加速度)を検出する。気圧センサは、例えば、無人飛行体3の高度や昇降速度を求めるための気圧を計測する。磁気センサは、例えば、飛行体の機軸が現在向いている方位を検出する。超音波センサは、例えば、無人飛行体3と地面、壁、障害物等との間の距離を検出する。GPS信号の受信装置は無人飛行体3の現在位置を示す情報を出力する。感圧センサは、例えば、無人飛行体3の脚部33に設けられ、無人飛行体3が充電ステーション2に着地したことを示す信号を出力する。尚、無人飛行体3は、必ずしも以上に例示した総てのセンサを備えていなくてもよい。
【0068】
受信機252は、遠隔操縦の送信機6から送られてくる無線信号を受信し、受信した無線信号の内容を制御回路251に入力する。
【0069】
出力装置258は、ユーザに情報を提供するインタフェースであり、例えば、LED、スピーカ等である。
【0070】
通信装置259は、例えば、充電ステーション2側の通信装置155や、集配所や運送管理センタ等に設けられている基地局との間で通信を行う。また通信装置259は、充電制御装置75の後述する通信装置754と有線通信又は無線通信を行う。
【0071】
バッテリ260は、例えば、リチウムポリマー二次電池、電気二重層キャパシタ(電気二重層コンデンサ)、リチウムイオン二次電池等である。バッテリ260の端子間電圧は制御回路251に入力される。制御回路251は、上記端子間電圧に基づきバッテリ260の残量を把握する。また制御回路251は、例えば、バッテリ260の現在の残量を示す情報を出力装置258から出力する。制御回路251、充電制御装置75、及び充電ステーション2が相互に通信し、これらの間で夫々が保有する情報を共有するようにしてもよい。
【0072】
推力発生装置270は、モータ制御装置254及び動力モータ255を備える。モータ制御装置254(ESC(Electronic Speed Controller)、アンプ等とも称される。)は、例えば、電気抵抗値の大きさ制御やPWM(Pulse Width Modulation)制御によって動力モータ255の回転を制御する。モータ制御装置254は、飛行のための推力を発生する。制御回路251は、各種センサ253から入力される情報に基づき、複数の動力モータ255の夫々の回転数を制御することにより、無人飛行体3の動作(姿勢(ピッチ、ロール、ヨー)、移動(前進、後退、左右移動、上昇、下降)等)を制御する。動力モータ255は、電動モータであり、例えば、ブラシレスモータである。
【0073】
引渡装置280は、認証装置281、撮影装置282、及び引渡制限装置283を含む。認証装置281は、積載物41の引き渡しに際して受取側の認証を行う。認証装置281は、例えば、ICカードリーダや認証情報(ユーザIDやパスワード、生体情報(顔、音声、筆跡等))を受け付けるインタフェースを備える。
【0074】
撮影装置282は、例えば、ビデオカメラやデジタルカメラであり、積載物41の受取側への引き渡しを行っている際の映像を撮影して記憶する。
【0075】
引渡制限装置283は、積載物41の受取側への引き渡しを物理的に制限(及び制限解除)する装置であり、例えば、積載構造42に設けられている扉の施錠装置(電磁開閉制御方式の扉施錠装置(電気錠等)等)を備えて構成される。
【0076】
図7に、
図6に示した制御回路251が備える機能(ソフトウェア構成)を示している。同図に示すように、制御回路251は、姿勢制御部801、操舵制御部802、飛行制御部803、機能抑制制御部804、機能抑制中通知送信部805、飛行経路記憶部806、及び着地時処理部807を備える。これらの機能は、例えば、制御回路251のプロセッサが、制御回路251の記憶装置に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0077】
制御回路251は、飛行経路820及び引渡認証情報821を記憶する。飛行経路820は、例えば、出発地点から最終の着地点までを結ぶ経路を示す地図情報や地理情報を含む。飛行経路820は、2次元座標(緯度、経度)で表現された情報であってもよいし、3次元座標(緯度、経度、高度)で表現された情報であってもよい。飛行経路820は、着地点の夫々が、前述した引渡地点であるか受電地点であるかを示す情報を含む。
【0078】
引渡認証情報821は、積載物41を受取側に引き渡す際に受取側から取得した認証情報の照合に用いる情報である。尚、引渡認証情報821は、例えば、無人飛行体3が通信装置259を介して受信して最新の情報に更新するようにしてもよい。
【0079】
制御回路251が備える上記機能のうち、姿勢制御部801は、各種センサ253から入力される信号に応じて、モータ制御装置254(動力モータ255)を制御し、無人飛行体3の飛行姿勢を制御する。
【0080】
操舵制御部802は、受信機252から入力される信号に応じて、モータ制御装置254(動力モータ255)を制御し、無人飛行体3の動作を制御する。
【0081】
飛行制御部803は、各種センサ253から取得される情報に基づき推力発生装置270を制御することにより、無人飛行体3の自律的な飛行制御を行う。また飛行制御部803は、非常時等において送信機6からの指示に応じて推力発生装置270を制御し、無人飛行体3の飛行姿勢や動作を制御する。また飛行制御部803は、各種センサ253から入力される信号(例えば、GPS信号)に基づき、予め設定された飛行経路(出発地点、及び各着地点を結ぶ飛行経路)に沿って無人飛行体3を飛行させ、出発地点や着地点からの離陸制御や着地点への着地制御(着地時の精密誘導を含む)を行う。また飛行制御部803は、例えば、何らかの理由でバッテリ260の残量が急に減少する等の異常を検知した際、最寄りの着地点に自動的に着地する機能を備える。
【0082】
機能抑制制御部804は、抑制対象部位の機能抑制や当該機能抑制の解除を行う。上記の機能抑制は、ハードウェア制御又はソフトウェア制御により行われ、例えば、抑制対象部位への電力供給の停止制御、抑制対処部位と他の部位との間の電気的な接続の遮断制御、抑制対処部位の特定の機能の停止制御、抑制対象部位の動作モードの切り換え、抑制対象部位から入力される信号の無効化等により行われる。尚、機能抑制制御部804は抑制対象部位には含まれない。
【0083】
機能抑制中通知送信部805は、機能抑制制御部804による抑制対象部位の機能抑制の開始時や機能抑制の継続中に、前述した機能抑制中通知を充電ステーション2に送信する。尚、機能抑制中通知送信部805が、更に、機能抑制制御部804による抑制対象部位の機能抑制が解除された際に抑制対象部位の機能抑制が解除された旨の通知を充電ステーション2に送信する構成を備えていてもよい。機能抑制中通知送信部805は、抑制対象部位には含まれない。
【0084】
飛行経路記憶部806は、飛行経路820を記憶する。飛行経路記憶部806は、記憶する飛行経路820を、例えば、通信装置259を介して外部の情報処理装置から受信する。また飛行経路記憶部806が、記憶する飛行経路820を自ら生成するとしてもよい。また飛行経路820は、充電ステーション2の情報処理装置15が生成し、通信装置155及び通信装置259を介して提供された飛行経路820を飛行経路記憶部806が記憶するとしてもよい。
【0085】
無人飛行体3や上記外部の情報処理装置は、例えば、ユーザインタフェース等を介して入力された出発地点や着地点(引渡地点、受電地点)の位置情報(緯度、経度、高さ)、バッテリ260の放電容量に基づき求められる、無人飛行体3が一回の充電で飛行可能な距離等に基づき、最適な飛行経路を生成する。また無人飛行体3や上記外部の情報処理装置は、全ての積載物41の引き渡しがなるべく短い時間で完了するように最適な飛行経路を生成する。尚、無人飛行体3や上記外部の情報処理装置が、例えば、無人飛行体3の飛行特性、インターネット等を介して取得される気象情報を考慮して飛行経路を生成する構成としてもよい。
【0086】
着地時処理部807は、受電処理部8071及び引渡処理部8072を備える。受電処理部8071は、非接触給電により充電ステーション2から受電に必要な電力を受電し、受電した電力に基づきバッテリ260の充電制御を行う。引渡処理部8072は、認証装置281を用いた、積載物41の受取側の認証、積載物41の受取側への引き渡しを行っている際の映像の撮影、引渡制限装置283による積載物41の引き渡しの物理的な制限や当該物理的な制限の解除等を行う。
【0087】
図8に受電装置20の構成を示している。同図に示すように、受電装置20は、磁界共鳴方式の非接触給電を行う受電回路21(受電コイル211及び容量素子212を含む。)、受電回路21が受電した電力を整流して負荷(飛行制御装置250、バッテリ260等)に供給する整流回路22、及び、負荷に供給される受電電力を計測し、計測した値を充電制御装置75に入力する電力計測回路24(電圧計241及び電流計242を含む。)を備える。受電コイル211は、インダクタンスの調節が可能なものであってもよい。また容量素子212は、静電容量の調節が可能なものであってもよい。
【0088】
同図に示すように、受電コイルユニット81には、受電回路21の受電コイル211や容量素子212が実装されている。また制御ユニット82には、整流回路22、電力計測回路24、及び充電制御装置75が実装されている。尚、容量素子212については、例えば、制御ユニット82に実装するようにしてもよい。
【0089】
図9に充電制御装置75のハードウェア構成(ブロック図)を示している。同図に示すように、充電制御装置75は、プロセッサ751、記憶装置752、充電制御回路753、及び通信装置754を備える。これらはバス等の通信手段を介して通信可能に接続されている。
【0090】
プロセッサ751は、例えば、CPUやMPUを用いて構成されている。記憶装置752は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM、RAM、NVRAM等である。プロセッサ751及び記憶装置752は、例えば、これらが一体としてパッケージングされたマイクロコンピュータ(マイコン)等として提供されるものであってもよい。
【0091】
充電制御回路753は、バッテリ260の充電を効率よく行うための回路、バッテリ260の端子間電圧の監視回路、各種保護回路等を含む。
【0092】
通信装置754は、充電ステーション2の通信装置155と無線通信を行う。また通信装置754は、飛行制御装置250の通信装置259と有線通信又は無線通信を行う。
【0093】
図10に充電制御装置75が備える機能(ソフトウェア構成)を示している。同図に示すように、充電制御装置75は、受電認証情報送信部781、受電電力監視部782、及び充電制御部783の各機能を備える。これらの機能は、例えば、プロセッサ751が、記憶装置752に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。尚、充電制御装置75が備える機能の全部又は一部を飛行制御装置250が実現する構成としてもよい。
【0094】
受電認証情報送信部781は、受電認証情報791を記憶し、通信装置754を介して受電認証情報791を充電ステーション2に随時送信する。
【0095】
受電電力監視部782は、受電装置20の電力計測回路24から入力される電圧又は電流の計測値に基づき受電電力を監視する。受電電力監視部782は、上記計測値(受電電力)を通信装置754を介して無線通信により充電ステーション2に随時通知する。尚、受電電力監視部782は、非接触給電の伝送効率が向上するように受電コイル211のインダクタンスや容量素子212の静電容量を自動調節する機能を有していてもよい。
【0096】
充電制御部783は、電力計測回路24から入力される電圧又は電流の計測値やバッテリ260の端子間電圧を監視しつつ受電電力をバッテリ260に効率よく供給してバッテリ260の充電を行う。充電制御部783は、例えば、CVCC(Constant Voltage. Constant Current)方式の制御を行いつつバッテリ260を充電する。また充電制御部783は、例えば、バッテリ260の端子間電圧や充電の進捗に関する情報等を充電ステーション2の情報処理装置15に随時通知する。また充電制御部783は、例えば、充電ステーション2の情報処理装置15から送られてくる指示に応じてバッテリ260の充電制御を行う。尚、充電制御部783が、充電ステーション2との間で通信によりバッテリ260に関する情報(充電最大容量、適正充電電圧、適正充電電流等)を共有し、これらの情報に基づき、充電制御部783又は充電ステーション2が、バッテリ260の充電制御や充電状態の監視等を行う構成としてもよい。
【0097】
図11は、無人飛行体3が、着地点を結ぶ飛行経路に沿って飛行し、途中、受電地点で非接触給電により電力を受電してバッテリ260の充電を行いつつ、複数の引渡地点の夫々に積載物41を引き渡す際に行う処理(以下、飛行制御処理S1100と称する。)を説明するフローチャートである。以下、同図とともに飛行制御処理S1100について説明する。尚、出発地点において、無人飛行体3は、予め充電ステーション2の定位置にセットされているものとする。また無人飛行体3の積載構造42には、複数の引渡地点の夫々において引き渡される複数の積載物41が収容されているものとする。
【0098】
出発地点において、無人飛行体3は飛行経路820を記憶し(S1111)、抑制対象部位の機能抑制制御を行い(S1112)、非接触給電による電力の受電及び受電した電力によるバッテリ260の充電(飛行前充電)を行う(S1113)。バッテリ260の充電が完了すると、無人飛行体3は、抑制対象部位の機能抑制を解除する(S1114)。尚、安全のため、バッテリ260の充電中に無人飛行体3や充電ステーション2がユーザインタフェースを介して充電中表示や接近危険表示(充電機器やバッテリ260への接近危険表示)を行うようにしてもよい。
【0099】
続いて、無人飛行体3は、出発地点を離陸し、飛行経路820に沿って飛行を開始する(S1115)。飛行中、無人飛行体3は、GPS等の各種センサ253の情報に基づきリアルタイムに自身の現在位置を把握し、着地のタイミングが到来したか否かを判定する(S1116)。無人飛行体3は、例えば、現在位置と次の着地点までの距離(2次元的な距離又は3次元的な距離)が予め設定された距離以下となった場合に着地のタイミングが到来したと判定する。
【0100】
無人飛行体3は、着地のタイミングが到来したと判定すると(S1116:YES)、着地のための制御を開始する(S1117)。そして着地点に着地すると(S1118:YES)、無人飛行体3は、着地点に着地した際に行う処理(以下、着地時処理S1119と称する。)を開始する。着地時処理S1119の詳細については後述する。
【0101】
着地時処理S1119が終了すると、続いて、無人飛行体3は、現在位置が最終の着地点であるか否かを判定する(S1120)。現在位置が最終の着地点でない場合(S1120:NO)、処理はS1115に戻り、無人飛行体3は次の着地点に向けて飛行を再開する。現在位置が最終の着地点である場合(S1120:YES)、飛行制御処理S1100は終了する。
【0102】
図12は、前述した
図11の着地時処理S1119の詳細を説明するフローチャートである。以下、同図とともに着地時処理S1119について説明する。
【0103】
まず無人飛行体3は、現在位置が受電地点であるか否かを判定する(S1211)。現在位置が受電地点であると判定すると(S1211:YES)、無人飛行体3は、バッテリ260の充電が必要か否かを判定する(S1212)。尚、無人飛行体3は、例えば、バッテリ260の残量が予め設定された容量以下になっている場合にバッテリ260の充電が必要と判定する。また無人飛行体3は、例えば、前回、バッテリ260の充電を行った時からの飛行時間が予め設定された時間を超えている場合にバッテリ260の充電が必要と判定する。
【0104】
無人飛行体3が、バッテリ260の充電が必要と判定した場合(S1212:YES)、充電ステーション2との間で認証処理(充電ステーション2から電力の供給を受けるための認証処理)を行う(S1213)。認証に成功すると(S1214:YES)、無人飛行体3は、続いて抑制対象部位の機能抑制制御を行い(S1215)、充電ステーション2から非接触給電により送られてくる電力の受電を開始し、受電した電力によるバッテリ260の充電を開始する(S1216)。その後、処理はS1217に進む。S1212で無人飛行体3がバッテリ260の充電は不要と判定した場合(S1212:NO)、処理はS1217に進む。
【0105】
続いて、無人飛行体3は、現在位置が引渡地点か否かを判定する(S1217)。現在位置が引渡地点であると判定すると(S1217:YES)、無人飛行体3は、受取側から積載物41の引き渡しのための認証情報を受け付け、受け付けた認証情報を引渡認証情報821と照合することにより積載物41を引き渡すか否かを判定するための認証処理を行う(S1218)。
【0106】
認証に成功すると(S1219:YES)、無人飛行体3の引渡装置280は引渡制限装置283を制御して積載物41を引き渡し可能な状態とし(S1220)、積載物41を受取側に引き渡す(S1221)。尚、積載物41を引き渡した後、他の引渡地点において引き渡される別の積載物41を無人飛行体3に新たに積載してもよい。
【0107】
S1217において現在位置が引渡地点でない場合(S1217:NO)、処理はS1222に進む。またS1219において無人飛行体3が引き渡しのための認証に失敗した場合(S1219:NO)、処理はS1222に進む。
【0108】
S1222では、無人飛行体3は、受取側との間で積載物41の引き渡しのための認証を行っている様子や積載物41を受取側に引き渡している様子を撮影する。また無人飛行体3は、通信装置259を介して引き渡しの結果(積載物41が無事、受取側に引き渡されたことや認証に失敗して受取側に引き渡されなかったこと等)を地上に設けられた基地局等を介して積載物41の引き渡し依頼者(発送元や積載物41の管理者等)等当てに送信する(S1222)。
【0109】
続いて、無人飛行体3は、バッテリ260が現在充電中であるか否かを判定し(S1223)、バッテリ260が現在充電中でなければ(S1223:NO)、抑制対象部位の機能抑制を解除する(S1224)。その後、処理は
図11のS1120に進む。
【0110】
以上詳細に説明したように、本実施形態の構成及び方法によれば、無人飛行体3は、一つ以上の引渡地点、一つ以上の受電地点を順に着地しつつ飛行経路に沿って飛行するので、蓄電装置(バッテリ)に飛行に必要な電力を非接触給電により人手をかけずに効率よく補給しつつ、積載物41を効率よく確実に受取側に送り届けることができる。また飛行経路の途中で随時蓄電装置を充電できるため、遠方への物資の輸送も可能になる。また積載物41の受取側への引き渡しを行いつつバッテリ260の充電を行うことができるので、引き渡しと充電の双方を効率よく短時間で行うことができる。またバッテリ260の残量に余裕がある場合には不必要に受電を行わないので、着地時間が短縮され、効率よく積載物41を受電側に送り届けることができる。
【0111】
また認証に成功しない場合は積載物41の受取側への引き渡しが制限されるので、誤配送や盗難を防いで積載物41を安全かつ確実に正当な受取側に送り届けることができる。また積載物41の受取側への引き渡しを行っている際の映像を撮影して記憶するので、引き渡しの状況を事後的に検証することができ、積載物41を安全かつ確実に正当な受取側に送り届けることができる。また無人飛行体3は、積載物41の受取側への引き渡しの結果を基地局に送信するので、積載物41の引き渡し依頼者(発送元や積載物41の管理者等)等は、積載物41の引き渡しの状況をリアルタイムに把握することができる。
【0112】
また無人飛行体3は、非接触給電による送電を開始するのに先立ち、抑制対象部位の機能を抑制し、また非接触給電の終了後は抑制対象部位の機能の抑制を解除するので、非接触給電を行っている際に確実に放射ノイズの影響を防ぐことができ、また非接触給電の終了後は抑制対象部位の機能をスムーズに再開することができる。
【0113】
ところで、以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0114】
また上記の各構成、機能部、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0115】
上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば、実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0116】
以上に説明した実施形態における各種機能部の配置形態は一例に過ぎない。各種機能部の配置形態は、ハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率等の観点から最適な配置形態に変更し得る。
無人飛行体3による物資の輸送に際し、蓄電装置(バッテリ260)への電力補給を効率よく行うとともに物資の引き渡しを効率よく安全に行う。無人飛行体3は、積載物(貨物、荷物、支援物資等)を受取側に引き渡す地点である一つ以上の引渡地点、非接触給電の送電設備(充電ステーション2)が設けられた一つ以上の受電地点を順に着地しつつ飛行経路に沿って飛行する。無人飛行体3は、受電地点かつ引渡地点である着地点に着地した際、受電装置20がバッテリ260の充電に用いる電力を非接触給電により受電しつつ、引渡装置280が積載物41の受取側への引き渡しを行う。無人飛行体3は、認証に成功しない場合は積載物41の受取側への引き渡しを制限する。引渡装置280は、積載物41の受取側への引き渡しを行っている際の映像を撮影して記憶する。