(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1コイル及び前記第2コイルは、前記コイル回転軸に交差する面内において、前記コイル回転軸の周囲に巻回された導体を含み、前記コイル回転軸に沿った方向において互いに対向する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の風力発電装置。
前記電力伝送部は、前記第1コイルと前記第2コイルとの間の磁界共鳴を利用した磁界共鳴方式により前記電力を伝送する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の風力発電装置。
前記電力伝送部は、前記第1コイルと前記第2コイルとの間の電磁誘導を利用した電磁誘導方式により前記電力を伝送する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る風力発電装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る風力発電装置を示す側面図である。
図2は、実施形態に係る風力発電装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、風力発電装置1は、水平軸型のプロペラ風車であって、タワー2と、ナセル4と、風車5と、ハブ6とを有する。
【0025】
タワー2は、地面から上方に立ち上がる柱である。タワー2は、内部に空間を有する筒状の柱であり、例えば地中に埋め込まれた基礎に固定されている。タワー2の内部空間に、ケーブル8、電力変換装置18、制御部100等が配置されている。
【0026】
ナセル4は、内部に空間を有する箱状の筐体であり、タワー2の上部に設けられている。ナセル4は、タワー2の軸方向に沿ったナセル回転軸AX(ヨー軸)を中心軸として回転可能に設けられている。
図2に示すように、ナセル4の内部に、ヨー駆動装置15、計測装置16、増速機19、発電機20が配置されている。また、ナセル4とタワー2との接続部分に非接触式電力伝送部10が配置されている。
【0027】
図1に示すように、ナセル4の正面に、ハブ6を介して風車5が設けられている。風車5は複数のブレード7を有して構成される。
図1では、2つのブレード7を示しているが、ブレード7は3つ、或いは4つ以上が、水平方向に沿った回転軸Zを中心に放射状に設けられる。風車5は、回転軸Zに沿った方向の風を受けると、ブレード7に揚力が生じることにより回転軸Zを中心に回転する。
【0028】
タワー2の高さは、風車5の半径の寸法、すなわち1つのブレード7の径方向の寸法よりも高くなっており、風車5が安定した風を受けられるように地上設置面から十分な高さに設定されている。
【0029】
図2に示すように、風車5が回転すると、風車5の回転軸であるロータ13が風車5とともに回転する。風車5の回転は、ロータ13を介して増速機19に伝達される。増速機19は、例えばギアボックスであり、風車5からの回転を発電機20に必要な回転数に増速させる。増速機19の回転は、主軸14を介して発電機20に伝達される。なお、増速機19が設けられておらず、ロータ13が発電機20に直結された構成であってもよい。
【0030】
発電機20は、主軸14から入力された回転力により、電力を発生する。発電機20から出力された電力は、非接触式電力伝送部10に供給される。非接触式電力伝送部10は、後述するように、磁界共鳴方式又は電磁誘導方式により、非接触で配置された1対のコイル同士の間で電力を伝送する。非接触式電力伝送部10は、発電機20からの電力をタワー2(
図1参照)内に配置されたケーブル8を介して電力変換装置18に伝送する。電力変換装置18は、供給された電力を、外部の変電所等の電力系統に適した周波数や電圧に変換して、外部の電力系統に出力する装置である。
【0031】
また、計測装置16は、例えば風の方向を計測する風向計や、風速を計測する風速計を含む。ヨー駆動装置15は、計測装置16の情報に基づいて、風車5が効率良く風を受けることができるように、ナセル回転軸AX(
図1参照)を中心にナセル4を回転駆動させる。
【0032】
制御部100は、ロータ13の回転速度の情報や、計測装置16の風向等の情報や、発電機20の電力の情報を受け取って、ナセル4の内部の各種機器に制御信号を出力する回路である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の記憶部とを備える。制御部100の発電機20等に対する制御は、CPUが演算プログラムをRAM等に読み出して、情報を演算処理することにより実現される。
【0033】
以上のような構成により、風力発電装置1は、風を受けて回転する風車5の回転力を電力に変換することができる。なお、
図1及び
図2に示す風力発電装置1は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、ナセル4の内部には、風車5のピッチ角を変化させるピッチ駆動装置や、風力発電装置1の停止時に主軸14の回転を停止させるブレーキ装置等が設けられていてもよい。
【0034】
図3は、第1の実施形態に係るナセルとタワーとの接続部を示す断面図である。
図3に示すように、ナセル4とタワー2との間に軸受3が設けられている。軸受3は、外輪3aと、転動体3bと、内輪3cとを有する転がり軸受であり、ナセル4をタワー2に対して回転可能に支持する。また、ナセル4とタワー2との接続部に非接触式電力伝送部10が配置されている。
【0035】
タワー2は、柱部2aと、フランジ部2bと、固定部2cと、上端部2dとを含む。柱部2aは、ナセル回転軸AXに沿った方向に延びる筒状の部材である。フランジ部2bは、柱部2aの内周面から径方向の内側に延びる板状の部材である。フランジ部2bは、ナセル4と、タワー2の内部空間2fとを連通する開口2gが設けられている。フランジ部2bは、ナセル回転軸AXに沿った方向から見たときに環状に形成される。フランジ部2bの径方向内側には、非接触式電力伝送部10を支持する支持部2eが設けられている。支持部2eは、フランジ部2bに囲まれた空間の一部に配置される。言い換えると、フランジ部2bに囲まれた空間のうち、支持部2eと重ならない部分が開口2gである。
【0036】
固定部2cは、フランジ部2bの上部に設けられた環状の部材であり、軸受3の外輪3aを軸方向に支持する。上端部2dは、固定部2cの上に設けられ、径方向の厚さが固定部2cよりも薄い環状の部材である。軸受3の外輪3aは、上端部2dの内周面に固定される。
【0037】
ナセル4は、底部4aと、固定部4bとを含む。底部4aは、タワー2の内部空間2fに連通する開口4dが設けられている。固定部4bは、底部4aの径方向の内側において、タワー2側に向かって突出し、軸受3の内輪3cを軸方向に支持する。軸受3の内輪3cは、固定部4bの外周面に固定される。ナセル4は、軸受3を介してタワー2と接続され、タワー2に対する径方向の位置が固定される。
【0038】
このような構成により、軸受3は、ナセル4をタワー2に対してナセル回転軸AXを中心として回転可能に支持する。なお、
図3に示す、ナセル4とタワー2との接続構造はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、複数の軸受3を軸方向に隣り合って設けてもよい。また、軸受3は、スラスト軸受を用いてもよい。
【0039】
図3に示すように、非接触式電力伝送部10は、第1基板31と、第1基板31の上面に設けられた1次コイル35と、第2基板32と、第2基板32の下面に設けられた2次コイル36とを有する。
【0040】
1次コイル35の端子部35aは、接続配線45を介して発電機20と接続される。発電機20の電力は、接続配線45を介して1次コイル35に供給される。非接触式電力伝送部10は、離隔して配置された1次コイル35と2次コイル36との間の磁界共鳴を利用した磁界共鳴方式により電力を伝送する。非接触式電力伝送部10は、1次コイル35に供給された発電機20からの電力を非接触で2次コイル36に伝送する。
【0041】
2次コイル36の端子部36aは、接続配線46を介して、タワー2の内部空間に固定されたケーブル8と接続される。2次コイル36に伝送された電力は、ケーブル8を介して電力変換装置18に出力される。なお、非接触式電力伝送部10の磁界共鳴方式による電力伝送については後述する。また、非接触式電力伝送部10は、磁界共鳴方式に限定されず電磁誘導方式により電力を伝送してもよい。
【0042】
図3では、支持部2eに設けられた非接触式電力伝送部10は、ナセル回転軸AXの方向から見たときに、ナセル4の開口4dと重なる位置に配置される。また、非接触式電力伝送部10は、フランジ部2bに囲まれた空間の一部に配置される。このように、非接触式電力伝送部10は、タワー2の内部空間において、ナセル4とタワー2との接続部の近傍に配置される事が好ましいが、それ以外の場所であっても、支持部2eや接続された導体がナセル4の回転を阻害しなければ良い。例えば、非接触式電力伝送部10は、タワー2の内部に設けられていてもよく、ナセル4の内部に設けられていてもよい。
【0043】
1次コイル35は、支持部2eの、ナセル4側の面に第1基板31を介して設けられている。第1基板31は、軸受50を介して支持部2eに回転可能に支持される。これにより、第1基板31及び1次コイル35は、コイル回転軸Cを中心として回転可能に設けられる。2次コイル36は、支持部2eの、内部空間2fに対向する面に第2基板32を介して設けられている。第2基板32は、支持部2eに固定されている。すなわち、第2基板32及び2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心として回転しない。なお、第2基板32と支持部2eとの固定方法は、特に限定されず、例えば、ねじ止め等機械的に固定する方法でもよく、接着層を介して接着固定する方法でもよい。支持部2eは、1次コイル35と2次コイル36との間で発生する磁界を透過させることができる材料が用いられる。支持部2eは、例えば、樹脂基板で形成される。
【0044】
このように、1次コイル35と2次コイル36とは、コイル回転軸Cを中心として相対的に回転可能に設けられる。また、1次コイル35と2次コイル36とは、コイル回転軸Cに沿った方向に互いに対向して配置される。1次コイル35と2次コイル36とは、第1基板31、支持部2e、第2基板32を介して離隔して配置される。ここで、コイル回転軸Cは、ナセル回転軸AXと平行方向の軸であり、ナセル回転軸AXと異なる位置に設定される。つまり、1次コイル35と2次コイル36は、ナセル4とは異なる軸で回転する。
【0045】
ナセル4の内部には、発電機20等の各種機器が配置されているので、風力発電装置1の保守、点検作業のために、作業者がタワー2の内部空間2fとナセル4の内部空間との間を移動する場合がある。本実施形態の風力発電装置1は、ナセル回転軸AXと異なるコイル回転軸Cを中心に、1次コイル35と2次コイル36とが、相対的に回転可能に設けられている。また、1次コイル35及び2次コイル36の直径は、ナセル4の開口4dの内径よりも小さい。したがって、タワー2の開口2gとナセル4の開口4dとが、ナセル回転軸AXに沿って連通して設けられる。これにより、作業者は開口4d、2gを通ってタワー2の内部空間2fとナセル4の内部空間との間を移動することができる。より具体的には、作業者は、ナセル4の開口4dの内壁4fと支持部2eとの間、及びフランジ部2bと支持部2eとの間を通って、タワー2とナセル4との間を移動することができる。よって、風力発電装置1によれば、コイル回転軸とナセル回転軸が同一である場合に比べて、作業者が移動するための通路を広く確保することが可能である。
【0046】
図3に示す例では、支持部2eに設けられた1次コイル35及び2次コイル36は、ナセル回転軸AXと交差しない位置に配置される。言い換えると、径方向におけるナセル回転軸AXと柱部2aの内周面との間の距離に対して、支持部2eの径方向の長さが短く、かつ、1次コイル35の直径及び2次コイル36の直径が小さい。なお、
図3に示す例はあくまで一例であり、ナセル回転軸AXと交差する位置まで支持部2eが設けられていてもよく、1次コイル35及び2次コイル36がナセル回転軸AXと交差して設けられていてもよい。
【0047】
次に、
図3及び
図4から
図6を参照して、ナセル4が回転した場合の1次コイル35及び2次コイル36の動作について説明する。
図4は、
図3のIV−IV’線で切断して矢印方向から見たときの断面図である。
図5は、2次コイルの配置を説明するための説明図である。
図6は、ナセルが回転した場合における、1次コイルの回転を説明するための説明図である。なお、
図5は、
図4に示す断面図において、1次コイル35、第1基板31及び発電機20等を省略して、2次コイル36、第2基板32及びケーブル8の配置の関係を示している。
【0048】
図3及び
図4に示すように、支持部2eは、フランジ部2bの内周の一部から、径方向内側にナセル回転軸AXに向かって延びる板状の部材である。支持部2eは、ナセル回転軸AXに沿った方向から見たときに、第1基板31の外周に沿って湾曲する外形形状を有する。ただし、これに限定されず、支持部2eは、作業者が移動するための通路を確保できるように、タワー2の開口2gとナセル4の開口4dとが連通する大きさに設けられていればよい。例えば、支持部2eは、矩形状や弓形状であってもよい。
【0049】
支持部2eはタワー2のフランジ部2bに固定されている。このため、支持部2eに設けられた1次コイル35及び2次コイル36は、タワー2に対する位置が固定される。すなわち、ナセル4が、ナセル回転軸AXを中心に矢印D1方向又は、矢印D2方向に回転した場合であっても、1次コイル35及び2次コイル36は、ナセル回転軸AXを中心に回転しない。
【0050】
上述したように、1次コイル35は、接続配線45を介して発電機20と接続される。
図3及び
図4に示すように、接続配線45は、弾性部45aと、第1配線45bと、第2配線45cとを含む。弾性部45a、第1配線45b及び第2配線45cは、それぞれ、導電性を有する金属材料が用いられる。
【0051】
第1配線45bの一端は、1次コイル35の端子部35aに接続され、他端は弾性部45aに接続される。第2配線45cの一端は、発電機20に接続され、他端は弾性部45aに接続される。弾性部45aは、第1配線45b及び第2配線45cに対し、互いに近づく方向の力を与える。弾性部45aは、例えば、ねじりコイルバネや、板バネや、フレキシブル導体等である。第1配線45b及び第2配線45cは、剛性を有する金属等の導体であり、弾性部45aの力を1次コイル35に伝達可能となっている。
【0052】
1次コイル35は、接続配線45によって発電機20に近づく方向の引っ張り力が与えられる。上述したように、第1基板31及び1次コイル35は、コイル回転軸Cを中心として回転可能に設けられているので、1次コイル35の端子部35aは、接続配線45の引っ張り力により、発電機20に対向する位置に向けられる。
図4に示す例では、端子部35aは、コイル回転軸Cに対してナセル回転軸AXよりも径方向の外側に配置される。
【0053】
図5に示すように、2次コイル36の端子部36aは、コイル回転軸Cに対してナセル回転軸AXよりも径方向の外側に配置される。端子部36aは、接続配線46を介してタワー2に配置されたケーブル8と接続される。端子部36aがコイル回転軸Cに対してケーブル8に近い位置に設けられることで、接続配線46を短くすることができる。第2基板32及び2次コイル36は、支持部2eに固定され、コイル回転軸Cを中心として回転しない。つまり、ナセル4が、矢印D1方向又は矢印D2方向に回転した場合であっても、2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心として矢印D3方向又は矢印D4方向に回転しない。
【0054】
図6に示すように、ナセル4が矢印D1方向に回転すると、発電機20はナセル回転軸AXを中心として回転移動する。この場合、発電機20とナセル回転軸AXとの距離は変化せず、発電機20とコイル回転軸Cとの距離が変化する。第1基板31及び1次コイル35は、支持部2eに固定されているので、ナセル回転軸AXを中心として回転移動しない。このため、1次コイル35は、発電機20に対してナセル回転軸AXを中心とした周方向の相対位置が変化し、1次コイル35と発電機20との距離が変化する。
【0055】
ナセル4の回転力は、接続配線45を介して1次コイル35に伝達される。1次コイル35は、接続配線45の引っ張り力により、コイル回転軸Cを中心として矢印D3の方向に回転し、端子部35aが発電機20に対向する位置に向けられる。また、発電機20の回転に伴って、第1配線45b及び第2配線45cが弾性部45aを中心に拡がるように変形する。これにより、1次コイル35と発電機20との距離が変化した場合であっても、1次コイル35と発電機20とが電気的に接続される。
【0056】
以上のように、発電機20に接続された接続配線45は、発電機からの電力を1次コイル35に供給するとともに、ナセル4のナセル回転軸AXを中心とする回転力を、1次コイル35に伝達する。これにより、ナセル回転軸AXを中心とする回転力が、コイル回転軸Cを中心とする回転に変換されて1次コイル35が回転する。
【0057】
図6は、ナセル4が、ナセル回転軸AXを中心として、
図4に示す状態から矢印D1方向に90°回転した場合を示したが、これに限定されない。例えば、ナセル4が
図4に示す状態から180°回転した場合、発電機20は、ナセル回転軸AXに対して、1次コイル35の反対側に配置される。この場合、1次コイル35は、接続配線45の引っ張り力によりコイル回転軸Cを中心として回転し、端子部35aがナセル回転軸AXに対向する位置に向けられる。
【0058】
上述したように、第2基板32及び2次コイル36は、支持部2eに固定され、コイル回転軸Cを中心として回転しない。つまり、
図6に示すように、ナセル4の回転に伴って1次コイル35が回転した場合であっても、2次コイル36は、
図5に示す状態を維持する。つまり、タワー2の内部空間2fに固定されたケーブル8に対して、第2基板32及び2次コイル36の位置及び回転角度は変化しない。このため、ケーブル8及び接続配線46のねじれが抑制される。
【0059】
以上のように、本実施形態の風力発電装置1において、1次コイル35は、コイル回転軸Cを中心軸として、2次コイル36に対して相対的に回転可能に設けられる。そして、2次コイル36はタワー2に対して固定された状態で、電力の伝送が可能である。したがって、タワー2の内部空間2fに固定されたケーブル8に対して、第2基板32及び2次コイル36の位置は変化しないので、ナセル4が回転した場合であっても、ケーブル8及び接続配線46のねじれが抑制される。したがって、非接触式電力伝送部10は、ケーブル8や接続配線46における抵抗の増大や断線等を抑制して、電力を効率良く伝送することができる。また、ケーブル8のねじれが抑制されるので、ナセル4の回転駆動がケーブル8のねじれによって規制されない。よって、ナセル4を風向きや風速に対応した適切な方向に制約無く回転させることができ、効率良く発電を行うことができ、また、ブレード7の破損を抑制することが可能である。
【0060】
また、1次コイル35と2次コイル36とが非接触であるため、ナセル4の回転とともに第1基板31及び1次コイル35が回転した場合であっても、1次コイル35及び2次コイル36の摩擦による損耗を抑制して電力を効率良く伝送することができる。1次コイル35及び2次コイル36は、摩擦による損耗が抑制されるので、例えば、リングとブラシとを摺動させて接触する構成に比べて、長寿命化が可能である。
【0061】
上述のようにナセル4は、風を効率良く受けることができるように高いタワー2の上部に設けられているので、ナセル4に含まれる機器の交換作業における作業者の負担が大きくなる。本実施形態においては、リングとブラシとを摺動させて接触する構成に比べて、1次コイル35及び2次コイル36の長寿命化が可能であり、交換の頻度、及び点検の頻度を少なくすることができ、作業者の負担を低減することができる。
【0062】
次に、非接触式電力伝送部10の詳細な構成について説明する。
図7は、実施形態に係る非接触式電力伝送部の第1基板及び1次コイルを示す平面図である。
図8は、実施形態に係る非接触式電力伝送部の第2基板及び2次コイルを示す平面図である。
図9は、
図7及び
図8のIX−IX’線に沿う断面図である。なお、
図7は、第1基板31を上面31a側から見たときの平面図であり、
図8は、第2基板32を下面32b側から見たときの平面図である。
【0063】
図7に示すように、第1基板31は、平面視で円形状である。第1基板31の上面31aに1次コイル35が設けられる。1次コイル35は、コイル回転軸Cの周囲に巻回された金属配線55により構成される平面コイルである。金属配線55は、第1基板31の上面31a、すなわちコイル回転軸Cと交差する平面内において、コイル回転軸Cを中心に巻き回されて設けられる。1次コイル35の端子部35aが発電機20に接続される。上述のように、第1基板31及び1次コイル35は、ナセル4の回転とともに、コイル回転軸Cを中心に矢印D3又は矢印D4に示す方向に回転可能になっている。
【0064】
図8に示すように、第2基板32は、平面視で円形状である。第2基板32の下面32bに2次コイル36が設けられる。2次コイル36は、コイル回転軸Cの周囲に巻回された金属配線56により構成される平面コイルである。金属配線56は、第2基板32の下面32b、すなわちコイル回転軸Cと交差する平面内において、コイル回転軸Cを中心に巻き回されて設けられる。2次コイル36の端子部36aがケーブル8(
図3参照)を介して電力変換装置18に接続される。上述のように、第2基板32及び2次コイル36は、タワー2に対して固定されている。
【0065】
本実施形態において、1次コイル35と2次コイル36とは、コイル回転軸Cを中心に設けられ、実質的に等しい直径を有し、同じ巻き数を有している。なお、
図7及び
図8では、1次コイル35及び2次コイル36は、3回の巻き数を有しているが、これに限定されず、適宜変更することができる。また、1次コイル35及び2次コイル36は、円形状に限定されず、例えば、四角形状、多角形状、長円形状等の他の形状であってもよい。
【0066】
図9に示すように、第1基板31の下面31bと第2基板32の上面32aとは、支持部2eを介して、互いに対向して配置される。第1基板31の下面31bの外周には、段部31cが設けられている。段部31cが軸受50と固定されることで、第1基板31が軸受50により回転可能に支持される。軸受50は、例えば、軸受3(
図3参照)と同様の構成を有する転がり軸受を用いることができる。第1基板31は、支持部2eと間隔を設けて配置されるので、第1基板31と支持部2eとの摩擦が低減され、第1基板31の損耗が抑制される。
【0067】
1次コイル35と2次コイル36とは、第1基板31及び第2基板32を挟んでコイル回転軸Cに沿った方向において対向して配置される。
図9に示すように、1次コイル35を覆う保護層37が設けられている。また、2次コイル36を覆う保護層38が設けられている。なお、保護層37及び保護層38は、
図4から
図8では、省略して示している。保護層37及び保護層38が設けられているので、1次コイル35及び2次コイル36の腐食や、他の部材と接触したときの損傷が抑制される。
【0068】
本実施形態の非接触式電力伝送部10において、離隔して配置された1次コイル35と2次コイル36との間の磁界共鳴を利用して電力の伝送が行われる。
図10は、実施形態に係る非接触式電力伝送部の磁界共鳴方式の電力伝送を説明するための説明図である。
図11は、実施形態に係る非接触式電力伝送部の等価回路を示す回路図である。
【0069】
図11に示すように、本実施形態において、1次コイル35は、等価的に共振コイルL1とキャパシタC1と抵抗R1とにより送信側共振回路Txを構成する。2次コイル36は、等価的に共振コイルL2とキャパシタC2と抵抗R2とにより受信側共振回路Rxを構成する。キャパシタC1と抵抗R1は、それぞれ1次コイル35が有する容量及び抵抗により構成されていてもよく、別の素子を用いてもよい。また、キャパシタC2と抵抗R2は、それぞれ2次コイル36が有する容量及び抵抗により構成されていてもよく、別の素子を用いてもよい。
【0070】
本実施形態において、1次コイル35の共振周波数f1は、f1=1/(2×π×(L1×C1)
1/2)によって定められる。また、2次コイル36の共振周波数f2は、f2=1/(2×π×(L2×C2)
1/2)によって定められる。
【0071】
図10に示すように、1次コイル35に発電機20からの電力が供給されて送信側共振回路Txが励起される。これにより送信側共振回路Txにはコイルが形成する誘導磁界M1が発生する。1次コイル35の共振周波数f1と、2次コイル36の共振周波数f2とが一致した場合、又は、十分に近い場合に磁界共鳴が発生する。受信側共振回路Rxにおいて、2次コイル36が磁界共鳴によって共振すると、誘導磁界M1を介して、磁界エネルギーが伝送される。これにより、発電機20からの電力が、1次コイル35と2次コイル36の共振によって非接触で受信側共振回路Rxに供給され、受信側共振回路Rxの負荷である電力変換装置18に伝達される。
【0072】
磁界共鳴方式は、電磁誘導方式に比べて、遠距離伝送が可能であり、1次コイル35と2次コイル36との位置ずれが生じた場合でも伝送効率の低下を抑制できる。ただし、1次コイル35と2次コイル36との距離が近いほど、伝送できるエネルギーを大きくすることができる。
【0073】
また、
図7から
図9に示すように、1次コイル35と2次コイル36とは、同じ直径を有し、コイル回転軸Cを中心に実質的に同軸に配置される。このため、1次コイル35がコイル回転軸Cを中心に回転した場合であっても、コイル回転軸Cと交差する平面内において、2次コイル36に対する1次コイル35の相対位置の変化が抑制され、電力の伝送効率の低下を抑制できる。また、本実施形態において、コイル回転軸Cに沿った方向における1次コイル35及び2次コイル36の位置は、タワー2の支持部2eに固定されている。このため、ナセル4が回転した場合であっても、コイル回転軸Cに沿った方向において、1次コイル35と2次コイル36との距離や向きの変化が抑制される。このため、相互インダクタンスが変化し共振周波数が変化することを抑制できる。したがって、電力の伝送効率の低下を抑制できる。
【0074】
なお、1次コイル35と2次コイル36とは同じ直径を有しているが、これに限られない。1次コイル35と2次コイル36の間の伝送効率を確保できれば、1次コイル35と2次コイル36は異なる直径を有していてもよく、或いは異なる形状であってもよい。また、1次コイル35の中心位置と2次コイル36の中心位置とがずれていてもよい。このような構成であっても、非接触式電力伝送部10は磁界共鳴方式により電力を伝送するので、比較的高い伝送効率が得られる。
【0075】
(第1の実施形態の第1変形例)
図12は、第1の実施形態の第1変形例に係る非接触式電力伝送部を示す断面図である。
図12に示すように、本変形例の非接触式電力伝送部10Aにおいて、支持部2eの、ナセル4(
図12では省略して示す)側の面に、1次コイル35と2次コイル36とが配置される。
【0076】
より具体的には、支持部2eの、ナセル4(
図12では省略して示す)側の面に、第2基板32が接着層39を介して固定される。2次コイル36は、第2基板32の下面32bに設けられ、支持部2eと対向する。第1基板31は、第2基板32の上方に設けられる。第1基板31は、軸受50を介して第2基板32に対して回転可能に支持される。本変形例では、第1基板31の下面31bと、第2基板32の上面32aとが対向して設けられる。また、1次コイル35は第1基板31の上面31aに設けられる。
【0077】
本変形例において、第1基板31の下面31bと第2基板32の上面32aとの間には、潤滑層41が設けられている。潤滑層41として、例えばタービン油、ギア油、グリース等の潤滑油を用いることが出来る。或いは、潤滑層41として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)等のフッ素樹脂シートや、ポリアミド(PA)等のナイロン系シートや、ポリアセタール(POM)樹脂シートなどの自己潤滑性を持つシートを用いることもできる。
【0078】
第1基板31は、潤滑層41を挟んで第2基板32と対向した状態で、コイル回転軸Cを中心として第2基板32に対して相対的に回転可能になっている。潤滑層41を設けているので、第1基板31と第2基板32との摩擦が低減され、第1基板31と第2基板32との摩擦による損耗を抑制できる。また、第1基板31及び第2基板32は、例えばポリカーボネート(PC)、ABS樹脂(アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)の共重合合成樹脂)、フェノール樹脂等の樹脂基板、を用いても良い。なお、潤滑層41は、
図9に示す第1基板31と支持部2eとの間に設けてもよい。
【0079】
本変形例の非接触式電力伝送部10Aにおいて、1次コイル35と2次コイル36とは、第1基板31及び第2基板32を挟んで、コイル回転軸Cに沿った方向において近接して配置される。つまり、1次コイル35と2次コイル36との間に支持部2eが設けられる構成と比較して、1次コイル35と2次コイル36との距離を小さくできる。これによって、1次コイル35と2次コイル36との間で良好に磁界結合が行われ、伝送効率を高めることができる。
【0080】
(第1の実施形態の第2変形例)
図13は、第1の実施形態の第2変形例に係る非接触式電力伝送部を示す模式図である。上述した例では、ナセル4の回転力が接続配線45を介して1次コイル35に伝達されるが、これに限定されない。
図13に示すように、本変形例の非接触式電力伝送部10Bにおいて、支持部2eと第1基板31との間に、第1基板31を回転駆動させる回転機構51が設けられている。回転機構51は、例えば、サーボモータとギアの組み合わせや、リニアモータ等が用いられる。
【0081】
制御部100は、ナセル4の回転に関する情報を計測装置16(
図2参照)から取得する。制御部100はナセル4の回転角度や回転速度に応じた制御信号を回転駆動回路102に出力する。回転駆動回路102は、駆動信号Vaを回転機構51に供給する。回転機構51は駆動信号Vaに従って、第1基板31及び1次コイル35を回転駆動させる。
【0082】
これにより、第1基板31及び1次コイル35は、ナセル4の回転に追従してコイル回転軸Cを中心に回転する。例えば、ナセル4が矢印D1方向(
図4参照)に回転した場合、回転機構51は、ナセル4の回転角度に応じて、第1基板31及び1次コイル35を矢印D3方向(
図4参照)に回転させる。このように、ナセル4に設けられた発電機20の移動に対応して1次コイル35が回転するため、接続配線45のねじれが抑制される。接続配線45における抵抗の増大や断線等が抑制されるので、発電機20の電力を効率良く1次コイル35に供給することができる。
【0083】
(第1の実施形態の第3変形例)
図14は、第1の実施形態の第3変形例に係る非接触式電力伝送部を示す模式図である。本変形例の非接触式電力伝送部10Cは、電磁誘導方式により電力を伝送することができる。
図14に示すように、第1基板31に開口31dが設けられている。また、第2基板32に開口32dが設けられている。開口31d及び開口32dは、互いに連通して、コイル回転軸Cと交差する位置に設けられる。
【0084】
コア53は、コイル回転軸Cに沿って、開口31d及び開口32dに設けられる。つまり、コア53は、1次コイル35に囲まれるとともに、2次コイル36に囲まれて配置され、1次コイル35及び2次コイル36と交差して設けられる。言い換えると、コア53は、1次コイル35により形成される平面と交差し、かつ、2次コイル36により形成される平面と交差する。1次コイル35で発生する磁束は、コア53を通って2次コイル36と交差する。コア53は、磁束を通すことが可能な軟磁性材料を用いることができる。
【0085】
図15は、第3変形例に係る非接触式電力伝送部の、電磁誘導方式の電力伝送を説明するための説明図である。発電機20から1次コイル35に電力が供給されると、1次コイル35に交流の電流が流れて誘導磁界M2が発生する。誘導磁界M2の磁束は、コア53(
図15では図示を省略する)を通って2次コイル36と交差する。誘導磁界M2の磁束の変化により、2次コイル36に起電力が発生する。このような電磁誘導により生じた2次コイル36の電力が、電力変換装置18に供給される。このようにして、非接触式電力伝送部10Cは、電磁誘導方式により電力を伝送することができる。
【0086】
本変形例では、1次コイル35と2次コイル36とがコイル回転軸Cを中心に対向して設けられているので、1次コイル35と2次コイル36との位置ずれが抑制される。このため、非接触式電力伝送部10Cは、電磁誘導方式により効率良く電力を伝送できる。
【0087】
(第1の実施形態の第4変形例)
図16は、第1の実施形態の第4変形例に係る風力発電装置を示す断面図である。
図16に示すように、本変形例の風力発電装置1Aにおいて、非接触式電力伝送部10は、ナセル4の内部に設けられている。具体的には、支持部2eは、タワー2のフランジ部2bに固定され、上方に延在して径方向に屈曲する。支持部2eは、底部4aよりも上方に設けられる。第1基板31及び1次コイル35は支持部2eの一方の面に設けられ、第2基板32及び2次コイル36は支持部2eの他方の面に設けられる。
【0088】
本変形例の風力発電装置1Aにおいて、1次コイル35は、コイル回転軸Cを中心軸として、2次コイル36に対して相対的に回転可能に設けられる。コイル回転軸Cは、ナセル回転軸AXとは異なる軸である。このような構成により、風力発電装置1Aは、非接触式電力伝送部10をナセル4とタワー2の接続部の近傍に設けた場合に比べて、作業者が移動するための通路を広く確保することが可能である。
【0089】
そして、2次コイル36はタワー2に対して固定された状態で、電力の伝送が可能である。したがって、タワー2の内部空間2fに固定されたケーブル8に対して、第2基板32及び2次コイル36の位置は変化しないので、ナセル4が回転した場合であっても、ケーブル8及び接続配線46のねじれが抑制される。したがって、非接触式電力伝送部10は、ケーブル8や接続配線46における抵抗の増大や断線等を抑制して、電力を効率良く伝送することができる。また、ケーブル8のねじれが抑制されるので、ナセル4の回転駆動がケーブル8のねじれによって規制されない。よって、ナセル4を風向きや風速に対応した適切な方向に制約無く回転させることができ、効率良く発電を行うことができ、また、ブレード7の破損を抑制することが可能である。
【0090】
(第1の実施形態の第5変形例)
図17は、第1の実施形態の第5変形例に係る風力発電装置を示す断面図である。
図17に示すように、本変形例の風力発電装置1Bにおいて、非接触式電力伝送部10は、タワー2の内部に設けられている。具体的には、支持部2eは、タワー2のフランジ部2bに固定され、下方に延在して径方向に屈曲する。支持部2eは、フランジ部2bよりも下方に設けられる。
【0091】
本変形例の風力発電装置1Bにおいても、1次コイル35は、コイル回転軸Cを中心軸として、2次コイル36に対して相対的に回転可能に設けられる。コイル回転軸Cは、ナセル回転軸AXとは異なる軸である。このような構成により、風力発電装置1Bは、非接触式電力伝送部10をナセル4とタワー2の接続部の近傍に設けた場合に比べて、作業者が移動するための通路を広く確保することが可能である。
【0092】
(第2の実施形態)
図18は、第2の実施形態に係るナセルとタワーとの接続部を示す断面図である。
図19は、第2の実施形態に係る非接触式電力伝送部の断面図である。上述した風力発電装置1と同じ構成の部材については、同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
図18に示すように、風力発電装置1Dにおいて、タワー2Dは、柱部2aと、フランジ部2bと、固定部2cと、上端部2dとを含む。フランジ部2bは、
図3に示す支持部2eが設けられていない。フランジ部2bに囲まれた部分が開口2gである。軸受3の外輪3aは、固定部2c及び上端部2dの内周面に固定される。
【0093】
ナセル4Dは、底部4aと、固定部4bとを含む。底部4aは、タワー2Dの内部空間2fに連通する開口4dが設けられている。開口4dの内壁4fに、径方向内側に延びる支持部4eが設けられている。支持部4eは、内壁4fに囲まれた空間の一部に配置される。言い換えると、内壁4fに囲まれた空間のうち、支持部4eと重ならない部分が開口4dである。軸受3の内輪3cは、固定部4bの外周面に固定される。ナセル4Dは、軸受3を介してタワー2Dと接続され、タワー2Dに対する径方向と高さの位置が固定される。ナセル4Dは、軸受3によって、タワー2Dに対してナセル回転軸AXを中心として回転可能に支持される。
【0094】
図18及び
図19に示すように、非接触式電力伝送部10Dは、支持部4eに配置される。非接触式電力伝送部10Dは、第1基板31と、第1基板31の上面に設けられた1次コイル35と、第2基板32と、第2基板32の下面に設けられた2次コイル36とを有する。1次コイル35は、支持部4eの、ナセル4Dの内部空間に対向する面に、第1基板31を介して設けられる。2次コイル36は、支持部4eの、タワー2Dに対向する面に、第2基板32を介して設けられる。支持部4eは、1次コイル35と2次コイル36との間で発生する磁界を透過させることができる材料が用いられる。支持部4eは、例えば、樹脂基板で形成される。
【0095】
1次コイル35の端子部35aは、接続配線45Aを介して発電機20と接続される。本実施形態において、接続配線45Aは弾性部を有していない。発電機20の電力は、接続配線45Aを介して1次コイル35に供給される。非接触式電力伝送部10Dは、上述した磁界共鳴方式又は電磁誘導方式により、1次コイル35に供給された発電機20からの電力を、非接触で2次コイル36に伝送する。2次コイル36の端子部36aは、接続配線46Aを介して、タワー2Dの内部空間に固定されたケーブル8と接続される。接続配線46Aは、弾性部46Aaと、第1配線46Abと、第2配線46Acとを含む。2次コイル36に非接触で伝送された電力は、ケーブル8を介して電力変換装置18に出力される。
【0096】
図18では、支持部4eに設けられた非接触式電力伝送部10Dは、ナセル回転軸AXの方向から見たときに、ナセル4Dの内壁4fに囲まれた空間の一部に配置される。また、非接触式電力伝送部10Dは、フランジ部2bに囲まれた開口2gと重なる位置に配置される。このように、非接触式電力伝送部10Dは、ナセル4Dとタワー2Dとの接続部の近傍に配置される事が好ましいが、それ以外の場所であっても、ナセル4Dの回転にともなう支持部4eの移動が阻害されなければ良い。例えば、非接触式電力伝送部10Dは、タワー2Dの内部に設けられていてもよく、ナセル4Dの内部に設けられていてもよい。
【0097】
図19に示すように、第1基板31は、支持部4eのナセル4Dの内部空間に対向する面に固定される。第2基板32は、軸受50を介して支持部4eに回転可能に支持される。これにより、第2基板32及び2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心として回転可能に設けられる。第2基板32の上面32aの外周に段部32cが設けられている。軸受50は段部32cに固定される。これにより、第2基板32及び2次コイル36の位置が決められる。
【0098】
このように、1次コイル35と2次コイル36とは、コイル回転軸Cを中心として相対的に回転可能に設けられる。また、1次コイル35と2次コイル36とは、コイル回転軸Cに沿った方向に互いに対向して配置される。1次コイル35と2次コイル36とは、第1基板31、支持部4e、第2基板32を介して、離隔して配置される。
【0099】
本実施形態の風力発電装置1Dにおいても、ナセル回転軸AXと異なるコイル回転軸Cを中心に、1次コイル35と2次コイル36とが、相対的に回転可能に設けられている。また、1次コイル35及び2次コイル36の直径は、ナセル4Dの開口4d及びタワー2Dの開口2gの内径よりも小さい。したがって、タワー2Dの開口2gとナセル4Dの開口4dとが、ナセル回転軸AXに沿って連通する。これにより、作業者は開口4d、2gを通ってタワー2Dの内部空間2fとナセル4Dの内部空間との間を移動することができる。より具体的には、作業者は、ナセル4Dの内壁4fと支持部4eとの間、及びフランジ部2bと支持部4eとの間を通って、タワー2Dとナセル4Dとの間を移動することができる。このように、非接触式電力伝送部10Dがナセル4Dに設けられた構成であっても、風力発電装置1Dは、作業者が移動するための通路を確保することが可能である。
【0100】
次に、
図18及び
図20から
図23を参照して、ナセル4Dが回転した場合の1次コイル35及び2次コイル36の動作について説明する。
図20は、
図18のXX−XX’線で切断して矢印方向から見たときの断面図である。
図21は、ナセルが回転した場合における、1次コイルの回転を説明するための説明図である。
図22は、第2の実施形態に係る2次コイルとケーブルとの配置を説明するための説明図である。
図23は、ナセルが回転した場合における、2次コイルの回転を説明するための説明図である。なお、
図21は、
図20に示す状態から、ナセル4Dが矢印D1方向に90°回転した場合を示す。
図22は、
図20において、1次コイル35及び第1基板31等を省略して、2次コイル36、第2基板32及びケーブル8の配置の関係を示している。
図23は、
図22に示す状態から、ナセル4Dが矢印D1方向に90°回転した場合を示す。
【0101】
図18及び
図20においては、支持部4eは、開口4dの内壁4fの一部から、径方向内側にナセル回転軸AXに向かって延びる板状の部材である。支持部4eは、ナセル回転軸AXに沿った方向から見たときに、第1基板31の外周に沿って湾曲する外形形状を有する。ただし、これに限定されず、支持部4eは、作業者が移動するための通路を確保できるように、タワー2Dの開口2gとナセル4Dの開口4dとが連通する大きさに設けられていればよい。また、支持部4eは、内壁4fで囲まれる空間内に設けられなくとも良い。例えば、支持部4eは、タワー2Dの内部に設けられていてもよく、ナセル4Dの内部に設けられていてもよい。また、支持部4eは、矩形状や弓形状であってもよい。
【0102】
支持部4eはナセル4Dに固定されている。このため、支持部4eに設けられた1次コイル35及び2次コイル36は、ナセル4Dに対する位置が固定される。すなわち、ナセル4Dが、ナセル回転軸AXを中心に矢印D1方向又は、矢印D2方向に回転した場合、1次コイル35及び2次コイル36は、ナセル回転軸AXを中心に回転する。
図21及び
図23に示すように、ナセル4Dが矢印D1方向に90°回転した場合、1次コイル35及び2次コイル36は、ナセル回転軸AXを中心に矢印D1方向に90°回転する。
【0103】
第1基板31及び1次コイル35は、支持部4eに固定されているので、ナセル回転軸AXを中心に回転するとともに、コイル回転軸Cを中心に矢印D3方向に90°回転する。つまり、
図20及び
図21に示すように、コイル回転軸C、1次コイル35の端子部35a、接続配線45A及び発電機20は、相対的な配置が固定された状態で、ナセル回転軸AXを中心に回転する。このため、ナセル4Dが回転した場合であっても、接続配線45Aのねじれが抑制される。例えば、ナセル4Dが180°回転した場合、1次コイル35は、コイル回転軸Cを中心に矢印D3方向に180°回転する。
【0104】
2次コイル36は、接続配線46Aを介してケーブル8と接続される。接続配線46Aの弾性部46Aaと、第1配線46Abと、第2配線46Acとは、それぞれ、導電性を有する金属材料が用いられる。接続配線46Aは、2次コイル36と電気的に接続されて、1次コイル35から非接触で伝送された電力をケーブル8に供給する。
【0105】
図18に示すように、第1配線46Abの一端は、2次コイル36の端子部36aに接続され、他端は弾性部46Aaに接続される。第2配線46Acの一端は、ケーブル8に接続され、他端は弾性部46Aaに接続される。弾性部46Aaは、第1配線46Ab及び第2配線46Acに対し、互いに近づく方向の力を与える。弾性部46Aaは、例えば、ねじりコイルバネや、板バネ等である。第1配線46Ab及び第2配線46Acは、剛性を有する金属材料であり、弾性部46Aaの力を2次コイル36に伝達可能となっている。
【0106】
2次コイル36は、接続配線46Aによってケーブル8に向かう引っ張り力が与えられる。上述したように、第2基板32及び2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心として回転可能に設けられているので、2次コイル36の端子部36aは、接続配線46Aの引っ張り力により、ケーブル8と対向する位置に向けられる。
図22に示す例では、端子部36aは、コイル回転軸Cに対してナセル回転軸AXよりも径方向の外側に配置される。つまり、端子部36aは、コイル回転軸Cに沿った方向からみたときに、
図20に示す1次コイル35の端子部35aとほぼ重なる位置に配置される。
【0107】
図23に示すように、ナセル4Dが矢印D1方向に90°回転すると、発電機20はナセル回転軸AXを中心として回転移動する。一方、タワー2D側に固定されたケーブル8は、位置が変化しない。2次コイル36は、ナセル4Dの回転とともにナセル回転軸AXを中心に回転するので、2次コイル36とケーブル8との距離が変化する。この場合、接続配線46Aは、第1配線46Abと第2配線46Acとの間の角度が拡がる方向に変形する。これにより、2次コイル36とケーブル8との電気的な接続を確保することができる。
【0108】
図23に示すように、2次コイル36の端子部36aは、接続配線46Aの引っ張り力により、ケーブル8と対向する位置に向けられる。つまり、接続配線46Aは、ナセル4Dのナセル回転軸AXを中心とする回転力に対する反力を、2次コイル36に伝達する。これにより、2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心として端子部36aが接続配線46Aに正対する状態で、ナセル回転軸AXを中心に回転する。
図21及び
図23に示すように、ナセル4Dが回転すると、2次コイル36の端子部36aは、コイル回転軸Cに対して、1次コイル35の端子部35aと異なる方向に向けられる。このように、1次コイル35と2次コイル36とは、互いに対向した状態を維持しつつ、コイル回転軸Cを中心として相対的に回転する。
【0109】
以上のように、本実施形態の風力発電装置1Dにおいて、第2基板32及び2次コイル36は、端子部36aが接続配線46Aに正対する状態で、ナセル回転軸AXを中心に回転する。このため、ナセル4Dが回転した場合であっても、接続配線46A及びケーブル8のねじれが抑制される。したがって、非接触式電力伝送部10Dは、ケーブル8や接続配線46Aにおける抵抗の増大や断線等を抑制して、電力を効率良く伝送することができる。また、ケーブル8のねじれが抑制されるので、ナセル4Dの回転駆動がケーブル8のねじれによって規制されない。よって、ナセル4Dを風向きや風速に対応した適切な方向に回転させることができ、効率良く発電を行うことができ、また、ブレード7の破損を抑制することが可能である。
【0110】
(第2の実施形態の第1変形例)
図24は、第2の実施形態の第1変形例に係る非接触式電力伝送部を示す断面図である。
図24に示すように、本変形例の非接触式電力伝送部10Eにおいて、支持部4eと第2基板32との間に、第2基板32を回転駆動させる回転機構51が設けられている。
【0111】
制御部100は、ナセル4Dの回転に関する情報を計測装置16(
図2参照)から取得する。制御部100はナセル4Dの回転角度や回転速度に応じた制御信号を回転駆動回路102に出力する。回転駆動回路102は、駆動信号Vaを回転機構51に供給する。回転機構51は駆動信号Vaに従って、第2基板32及び2次コイル36を回転駆動させる。
【0112】
これにより、第2基板32及び2次コイル36は、ナセル4Dの回転とともにナセル回転軸AXを中心に回転しつつ、ケーブル8に対してコイル回転軸Cを中心に端子部36aが接続配線46Aと正対するように駆動される。これにより、接続配線46Aのねじれが抑制される。接続配線46Aにおける抵抗の増大や断線等が抑制されるので、発電機20の電力を効率良くケーブル8に供給することができる。
【0113】
なお、本実施形態の非接触式電力伝送部10D、10Eにおいても、支持部4eと第2基板32の上面32aとの間に潤滑層41を設けてもよい。また、非接触式電力伝送部10D、10Eは、電磁誘導方式により電力伝送を実現してもよい。この場合、コイル回転軸Cに沿って1次コイル35と2次コイル36とを貫通するコア53を設けてもよい。
【0114】
(第2の実施形態の第2変形例)
図25は、第2の実施形態の第2変形例に係る風力発電装置を示す断面図である。
図25に示すように、本変形例の風力発電装置1Eにおいて、非接触式電力伝送部10Dは、ナセル4Dの内部に設けられている。具体的には、支持部4eは、ナセル4の底部4aに固定され、上方に延在して径方向に屈曲する。支持部4eは、底部4aよりも上方に設けられる。第1基板31及び1次コイル35は支持部4eの一方の面に設けられ、第2基板32及び2次コイル36は支持部4eの他方の面に設けられる。
【0115】
本変形例の風力発電装置1Eにおいて、2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心軸として、1次コイル35に対して相対的に回転可能に設けられる。コイル回転軸Cは、ナセル回転軸AXとは異なる軸である。このような構成により、風力発電装置1Eは、非接触式電力伝送部10Dをナセル4Dとタワー2Dの接続部の近傍に設けた場合に比べて、作業者が移動するための通路を広く確保することが可能である。
【0116】
本変形例においても、第1基板31及び1次コイル35は、支持部4eに固定されている。2次コイル36は、ナセル4Dが回転すると、コイル回転軸Cを中心として端子部36aが接続配線46Aに正対する状態で、ナセル回転軸AXを中心に回転する。このような構成により、ナセル4Dが回転した場合であっても、接続配線46A及びケーブル8のねじれが抑制される。
【0117】
(第2の実施形態の第3変形例)
図26は、第2の実施形態の第3変形例に係る風力発電装置を示す断面図である。
図26に示すように、本変形例の風力発電装置1Fにおいて、非接触式電力伝送部10Dは、タワー2Dの内部に設けられている。具体的には、支持部4eは、ナセル4の底部4aに固定され、下方に延在して径方向に屈曲する。支持部4eは、フランジ部2bよりも下方に設けられる。第1基板31及び1次コイル35は支持部4eの一方の面に設けられ、第2基板32及び2次コイル36は支持部4eの他方の面に設けられる。
【0118】
本変形例の風力発電装置1Fにおいて、2次コイル36は、コイル回転軸Cを中心軸として、1次コイル35に対して相対的に回転可能に設けられる。コイル回転軸Cは、ナセル回転軸AXとは異なる軸である。このような構成により、風力発電装置1Fは、非接触式電力伝送部10Dをナセル4Dとタワー2Dの接続部の近傍に設けた場合に比べて、作業者が移動するための通路を広く確保することが可能である。
【0119】
以上説明したように、本実施形態の風力発電装置1、1Dは、例えば以下の態様をとることができる。風力発電装置1は、内部空間2fが設けられたタワー2と、タワー2の上部に設けられ、タワー2の軸方向に沿った方向をナセル回転軸AXとして回転し、内部空間2fと連通する開口4dが設けられたナセル4と、ナセル4に支持された風車5により電力を発生する発電機20と、発電機20から電力が供給される1次コイル35と、電力が1次コイル35から非接触で伝送される2次コイル36とを含み、1次コイル35と2次コイル36とは、互いに離隔して対向して配置され、ナセル回転軸AXとは異なるコイル回転軸Cを中心として相対的に回転可能に設けられる非接触式電力伝送部10と、を有する。
【0120】
これによれば、1次コイル35と2次コイル36とが非接触の状態で、1次コイル35から2次コイル36に電力が伝送される。したがって、ナセル4の回転とともに1次コイル35と2次コイル36とが相対的に回転した場合であっても、1次コイル35及び2次コイル36の摩擦による損耗を抑制して電力を効率良く伝送することができる。また、1次コイル35と2次コイル36とは、ナセル回転軸AXと異なるコイル回転軸Cを中心に回転可能に設けられているので、ナセル4の開口4dの内壁4fに対して間隔を設けて非接触式電力伝送部10を配置することができる。作業者は、ナセル4の開口4dの内壁4fと非接触式電力伝送部10との間を通って、タワー2とナセル4との間を移動することができる。よって、作業者が移動するための通路を確保することが可能である。
【0121】
本実施形態の望ましい態様として、2次コイル36はタワー2に固定され、1次コイル35は、ナセル4の回転とともにコイル回転軸Cを中心に回転する。これによれば、受信側の2次コイル36はタワー2に固定されているので、ナセル4が回転した場合であってもタワー2に対する2次コイル36の位置及び回転角度が変化しない。このため、ケーブル8にねじれが生じることを抑制できる。
【0122】
本実施形態の望ましい態様として、1次コイル35はナセル4Dに固定され、ナセル4Dの回転とともにナセル回転軸AXを中心に移動し、2次コイル36は、ナセル回転軸AXを中心に支持部4eと共に移動し、発電機20に接続された接続配線45Aとの正対を保つ。これによれば、2次コイル36は、ナセル回転軸AXを中心とする円周上を移動するためケーブル8との距離は変化するが、向きは変化しない。このため、ケーブル8にねじれが生じることを抑制できる。
【0123】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、第1基板31を支持部2e又は支持部4eに設けるための構造や、第2基板32を支持部2e又は支持部4eに設けるための構造は適宜変更することができる。第1基板31及び第2基板32の形状も、固定するために適した形状に適宜変更することができる。また、ヨー駆動装置15が無く、後端に安定用尾翼を持ち、風力によって風車5の向きを変える簡便な形式の風車でも良い。
内部空間が設けられたタワーと、タワーの上部に設けられ、タワーの軸方向に沿った方向をナセル回転軸として回転し、内部空間と連通する開口が設けられたナセルと、ナセルに支持された風車により電力を発生する発電機と、発電機から電力が供給される第1コイルと、電力が第1コイルから非接触で伝送される第2コイルとを含み、第1コイルと第2コイルとは、互いに離隔して対向して配置され、ナセル回転軸とは異なる位置に設けられたコイル回転軸を中心として相対的に回転可能に設けられる電力伝送部と、を有する。