特許第6241585号(P6241585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6241585表示システム、表示方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241585
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】表示システム、表示方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/38 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   G01M3/38 K
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-201787(P2012-201787)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-55898(P2014-55898A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】浅野 伸
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 篤
(72)【発明者】
【氏名】塘中 哲也
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】亀尾 成寿
(72)【発明者】
【氏名】林 真一
【審査官】 東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−019919(JP,A)
【文献】 特開2010−230333(JP,A)
【文献】 特許第4548417(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0220888(US,A1)
【文献】 米国特許第4897551(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00− 3/40
G01P 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物にレーザ光を走査しながら照射することにより前記構造物を撮影装置が撮影することによって生成される第一の画像データと、前記構造物にトレーサを噴霧してレーザ光を走査しながら照射することにより可視化された前記トレーサを撮影装置が撮影することによって生成される第二の画像データとを入力する入力部と、
構造物が撮影された前記第一の画像データと、トレーサと前記構造物とが撮影された前記第二の画像データと、前記第一の画像データ及び前記第二の画像データが撮影された撮影条件とを記憶する記憶部と、
前記第一の画像データと前記第二の画像データとに基づいて差分画像を生成する差分画像生成部と、
前記差分画像を3次元空間に投影することによって、前記トレーサの3次元位置を表わすモデルである3次元モデルを生成する3次元モデル生成部と、
前記3次元モデル生成部が生成した3次元モデルを表示する表示部と、
を備える表示システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記入力部が入力した前記第一の画像データ及び前記第二の画像データを撮影した視点位置とは異なる他の視点位置で前記3次元モデルを表示することを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記他の視点位置に基づく仮想シート面に前記3次元モデルを投影することによって前記3次元モデルを表示することを特徴とする請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
構造物にレーザ光を走査しながら照射することにより前記構造物を撮影装置が撮影することによって生成される第一の画像データと、前記構造物にトレーサを噴霧してレーザ光を走査しながら照射することにより可視化された前記トレーサを撮影装置が撮影することによって生成される第二の画像データとを入力する入力ステップと、
構造物が撮影された前記第一の画像データと、トレーサと前記構造物とが撮影された前記第二の画像データと、前記第一の画像データ及び前記第二の画像データが撮影された撮影条件とを記憶する記憶部に記憶されている前記第一の画像データと前記第二の画像データとに基づいて差分画像を生成する差分画像生成ステップと、
前記差分画像を3次元空間に投影することによって、前記トレーサの3次元位置を表わすモデルである3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、
前記3次元モデル生成ステップにおいて生成した3次元モデルを表示する表示ステップと、
を有する表示方法。
【請求項5】
構造物にレーザ光を走査しながら照射することにより前記構造物を撮影装置が撮影することによって生成される第一の画像データと、前記構造物にトレーサを噴霧してレーザ光を走査しながら照射することにより可視化された前記トレーサを撮影装置が撮影することによって生成される第二の画像データとを入力する入力ステップと、
構造物が撮影された前記第一の画像データと、トレーサと前記構造物とが撮影された前記第二の画像データと、前記第一の画像データ及び前記第二の画像データが撮影された撮影条件とを記憶する記憶部に記憶されている前記第一の画像データと前記第二の画像データとに基づいて差分画像を生成する差分画像生成ステップと、
前記差分画像を3次元空間に投影することによって、前記トレーサの3次元位置を表わすモデルである3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、
前記3次元モデル生成ステップにおいて生成した3次元モデルを表示する表示ステップと、
をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管やタンク等に生じる漏洩箇所の検出を補助する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電プラントや石油プラント等のプラントや製造装置等において、多数の配管やタンクが設けられている。このような配管やタンクにおいてガス等の漏洩(リーク)が生じている箇所を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、漏洩検出の対象となる構造物を撮影した画像から速度ベクトルを算出することによって漏洩検出を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−296142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では以下のような問題がある。漏洩箇所の点検対象を撮影する際に、カメラが入り込めない場所が存在する。また、カメラが取り付けられた遠隔ロボットのアームの長さにも限度がある。そのため、所望の視点位置や角度から点検対象を撮影することが困難な場合があった。所望の視点位置や角度からの画像が得られない場合、オペレータは漏洩箇所を正確に把握することができないという問題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、漏洩箇所の視認を容易にする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、構造物にレーザ光を走査しながら照射することにより前記構造物を撮影装置が撮影することによって生成される第一の画像データと、前記構造物にトレーサを噴霧してレーザ光を走査しながら照射することにより可視化された前記トレーサを撮影装置が撮影することによって生成される第二の画像データを入力する入力部と、構造物が撮影された前記第一の画像データと、トレーサと前記構造物とが撮影された前記第二の画像データと、前記第一の画像データ及び前記第二の画像データが撮影された撮影条件とを記憶する記憶部と、前記第一の画像データと前記第二の画像データとに基づいて差分画像を生成する差分画像生成部と、前記差分画像を3次元空間に投影することによって、前記トレーサの3次元位置を表わすモデルである3次元モデルを生成する3次元モデル生成部と、前記3次元モデル生成部が生成した3次元モデルを表示する表示部と、をえる表示システムである。
【0007】
本発明の一態様は、上記の表示システムであって、前記表示部は、前記入力部が入力した前記第一の画像データ及び前記第二の画像データを撮影した視点位置とは異なる他の視点位置で前記3次元モデルを表示することを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様は、上記の表示システムであって、前記表示部は、前記他の視点位置に基づく仮想シート面に前記3次元モデルを投影することによって前記3次元モデルを表示する。
【0011】
本発明の一態様は、構造物にレーザ光を走査しながら照射することにより前記構造物を撮影装置が撮影することによって生成される第一の画像データと、前記構造物にトレーサを噴霧してレーザ光を走査しながら照射することにより可視化された前記トレーサを撮影装置が撮影することによって生成される第二の画像データとを入力する入力ステップと、構造物が撮影された前記第一の画像データと、トレーサと前記構造物とが撮影された前記第二の画像データと、前記第一の画像データ及び前記第二の画像データが撮影された撮影条件とを記憶する記憶部に記憶されている前記第一の画像データと前記第二の画像データとに基づいて差分画像を生成する差分画像生成ステップと、前記差分画像を3次元空間に投影することによって、前記トレーサの3次元位置を表わすモデルである3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、前記3次元モデル生成ステップにおいて生成した3次元モデルを表示する表示ステップと、を有する表示方法である。
【0012】
本発明の一態様は、構造物にレーザ光を走査しながら照射することにより前記構造物を撮影装置が撮影することによって生成される第一の画像データと、前記構造物にトレーサを噴霧してレーザ光を走査しながら照射することにより可視化された前記トレーサを撮影装置が撮影することによって生成される第二の画像データとを入力する入力ステップと、構造物が撮影された前記第一の画像データと、トレーサと前記構造物とが撮影された前記第二の画像データと、前記第一の画像データ及び前記第二の画像データが撮影された撮影条件とを記憶する記憶部に記憶されている前記第一の画像データと前記第二の画像データとに基づいて差分画像を生成する差分画像生成ステップと、前記差分画像を3次元空間に投影することによって、前記トレーサの3次元位置を表わすモデルである3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、前記3次元モデル生成ステップにおいて生成した3次元モデルを表示する表示ステップと、をコンピュータに実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、漏洩箇所の視認を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る漏洩箇所検知装置の斜視図である。
図2】可視化検出モジュールの斜視図である。
図3】可視化検出モジュールの内部構成を示す概略図である。
図4】本発明の実施形態に係る漏洩箇所検知装置の作用を説明する概略図である。
図5】微粒子の三次元位置が表示された表示装置を示す図である。
図6】旋回機構の作用を説明する概略図である。
図7】制御装置9の第一実施形態(制御装置9a)の機能構成を表す概略ブロック図である。
図8】微粒子Pの可視化の具体例を示す図である。
図9】入力画像を3次元空間に投影する一例を示す図である。
図10】本発明の第一実施形態における3次元モデル生成処理の流れを表すフローチャートである。
図11】制御装置9の第二実施形態(制御装置9b)の機能構成を表す概略ブロック図である。
図12】3次元形状の計測の一例を示す図である。
図13】本発明の第二実施形態における自動走査の処理の流れを示すフローチャートである。
図14】制御装置9の第三実施形態(制御装置9c)の機能構成を表す概略ブロック図である。
図15】差分画像を生成するための準備処理の一例を表す図である。
図16】撮影情報DBの構成図である。
図17】本発明の第三実施形態における初期設定の処理の流れを示すフローチャートである。
図18】本発明の第三実施形態における外乱除去処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の漏洩箇所検知装置1は、検知装置本体2と、制御装置9とを主な構成要素として備えている。検知装置本体2は、移動台車3と、移動台車3上に設けられた多段伸縮部材4と、多段伸縮部材4の先端に設けられたマニピュレータ5と、金属粒子等の微粒子(トレーサ粒子)を含む可視化ガスGを噴射する散布装置である可視化ガス噴射装置6と、撮影装置19(図3参照)等が組み込まれた可視化検出モジュール7とを有している。
【0016】
可視化ガス噴射装置6は、ノズル32と本体ユニット33とから構成されている。可視化ガス噴射装置6の詳細は後述する。また、可視化検出モジュール7は、図3に示すように、撮影装置19、白色照明装置20、レーザユニット21、ガルバノミラー30等を有している。可視化検出モジュール7の詳細は後述する。
そして、ノズル32と可視化検出モジュール7とが気流可視化センサ8を構成しており、マニピュレータ5の先端にブラケット16を介して取り付けられている。
【0017】
検知装置本体2は、移動台車3によって任意の場所に移動可能であり、多段伸縮部材4及びマニピュレータ5を用いて気流可視化センサ8を配管Dやタンク等の所望の検査対象を臨む位置に配置し、漏洩を検知する装置である。
【0018】
制御装置9は、コンピュータであり、所定のプログラムを実行することで、遠隔操作部10と画像処理部17(画像処理手段)とを備えている。制御装置9は、移動台車3、多段伸縮部材4、マニピュレータ5、可視化検出モジュール7、及び可視化ガス噴射装置6と無線接続されている。なお、制御装置9と上記機構、装置は、無線接続に限らず有線にて接続されている構成としてもよい。
【0019】
遠隔操作部10は、移動台車3、多段伸縮部材4、マニピュレータ5、可視化検出モジュール7、及び可視化ガス噴射装置6の遠隔操作を行う。
画像処理部17は、撮影装置19によって撮影された画像に対して画像処理を行う。
【0020】
移動台車3は、台車本体11と、台車本体11を走行させる無限軌道12(クローラー)と、無限軌道12を駆動させる駆動装置(図示せず)と、台車本体11の前後方向に突出するアウトトリガ13とを有する車両である。
【0021】
移動台車3は、遠隔操作部10による操作により任意の位置に移動可能である。また、移動台車3の移動は、アウトトリガ13によって制限されている。即ち、移動台車3が移動しアウトトリガ13に外部物体が接触することによって、移動台車3の移動が停止するように設定されている。
なお、移動台車3の移動は、無限軌道12のみならず、タイヤ車輪によってなされる構成としてもよい。
【0022】
多段伸縮部材4は、テレスコープ状の多重筒型伸縮機構であり、移動台車3の上面に取り付けられた三段階の筒部を有している。多段伸縮部材4は、所定の油圧システムによって、伸縮自在に構成されており、マニピュレータ5、可視化検出モジュール7、及びノズル32を任意の高さ位置へ位置決め可能としている。
多段伸縮部材4は、例えば、8,000mm程度の到達距離を有することが好ましい。また、筒部の段数は三段階に限らず、さらに多段とすることもできる。
【0023】
マニピュレータ5は、7つの軸(関節)を備えた7軸(7自由度)マニピュレータ(多関節ロボット)である。マニピュレータ5は、8本のアーム14と、各々のアーム14を接続する7つの軸15とを有しており、最も基端側のアーム14が多段伸縮部材4の先端に設置されており、最も先端側のアーム14にはブラケット16を介して気流可視化センサ8(可視化検出モジュール7とノズル32)が取り付けられている。なお、マニピュレータ5の自由度は7自由度に限らず、様々な自由度のマニピュレータを採用することができる。
【0024】
図2及び図3に示すように、可視化検出モジュール7は、ケーシング18と、ケーシング18の内部に配置された撮影装置19と、白色照明装置20と、レーザユニット21とを有している。ケーシング18は、箱形状をなし、一面にはカメラ窓23と、白色照明光源窓24と、シートレーザ窓25が設けられている。
【0025】
撮影装置19は、撮影装置本体26と、撮影装置本体26を旋回可能とする旋回機構27(旋回手段)とを有している。撮影装置本体26は、高解像度CCDカメラであり、カメラ窓23を介して可視化ガスG中の微粒子群を撮影可能とされている。撮影装置本体26は、画像処理部17と接続されており、撮影された画像情報を送信可能である。
【0026】
旋回機構27は、撮影装置本体26を一方向あるいは一方向に直交する他方向に旋回させる機構である。即ち、撮影装置本体26による撮影方向を、左右及び上下(パン・チルト)に動かすことが可能な機構である。旋回機構27は、遠隔操作部10と接続されており、撮影装置本体26の方向を遠隔操作可能とされている。
【0027】
白色照明装置20は、白色照明光源窓24を介して白色光を照射することによって検査対象を明るくするための装置であり、例えば、LEDを採用することができる。
【0028】
レーザユニット21は、レーザ光源28と、レーザ光源28より出射されるレーザをシート状のレーザ光S(図1及び図4参照。以下、シートレーザ光と呼ぶ)に変換するシート形成レンズ29と、シートレーザ光Sを反射して走査する可動ミラーであるガルバノミラー30を有している。レーザ光源28は、レーザを出射する光源であり、レーザ光源28より出射されたレーザがシート形成レンズ29に入射するように方向付けられている。
【0029】
シート形成レンズ29は、レーザ光源28から出射されたレーザを扇形のシートレーザ光Sに変換するためのレンズであり、レーザ光源28と協働してシートレーザ光Sの照射装置として機能する。
ガルバノミラー30は、揺動軸のまわりに反射面が所定の振れ角で往復揺動することにより、シートレーザ光Sを反射して走査するミラー装置である。
また、可視化検出モジュール7の制御装置と電源とを収容したユニット22(図1参照)が、多段伸縮部材4の先端部に取り付けられている。
【0030】
可視化ガス噴射装置6は、可視化ガスGを噴射するノズル32と、本体ユニット33から構成されている。
本体ユニット33は、可視化ガスGを生成するとともに、生成された可視化ガスGを圧送するポンプと、電源と、可視化ガス噴射装置6の制御装置とを備えており、多段伸縮部材4の先端に取り付けられている。ノズル32と本体ユニット33とは、配管Dによって接続されており、可視化ガスGは配管Dを介してノズル32に供給されている。可視化ガスGに含まれる微粒子Pは、アルミニウムなどの金属粉や、樹脂粉が好ましい。また、微粒子Pの粒径は測定対象に応じて適宜決定される。
【0031】
また、本体ユニット33に内蔵されているポンプは気体を吸引する機能も備えており、ノズル32を介してノズル32周辺の気体を吸引することができる。即ち、ノズル32を微粒子を吸引する吸引装置として機能させることができる。
上述したように、ノズル32はマニピュレータ5の先端に取り付けられており、可視化検出モジュール7とともに気流可視化センサ8を構成している。
【0032】
次に、本実施形態の漏洩箇所検知装置1の使用方法について説明する。
オペレータは、移動台車3を遠隔操作して、検知装置本体2を検査対象の近傍まで移動させる。具体的には、オペレータが制御装置9の遠隔操作部10を介して移動台車3との無線通信により移動台車3を操作して、所望の位置まで検知装置本体2を移動させる。
次いで、同様に、多段伸縮部材4を遠隔操作して、気流可視化センサ8を所望の高さまで引き上げ、さらにマニピュレータ5を用いて気流可視化センサ8を測定対象である配管Dに向ける。この際、測定対象の周辺物の映り込みが最も少なくなる場所に撮影装置19を位置決めする。
【0033】
次いで、図4に示すように、遠隔操作により、可視化ガスG(微粒子P)を可視化ガス噴射装置6から散布し、測定対象である配管Dの周辺に浮遊させる。
次いで、遠隔操作により、シートレーザ光Sをガルバノミラー30により走査し、浮遊した微粒子Pに照射する。即ち、浮遊した微粒子Pのうち、シートレーザ光Sが照射されている微粒子P1が撮影装置19によって撮影可能となる。
【0034】
ここで、制御装置9の画像処理部17は、任意の微粒子P1について、撮影装置19によって撮影された画像上での座標位置から方位角θを算出するとともに、シートレーザ光の照射角度φとガルバノミラー30と撮影装置19の光軸間の距離Lから、三角測量の原理により三次元位置を計測する。
図5に示すように、計測された微粒子P1の三次元位置は、所定の表示装置35に三次元的に表示されて可視化される。
【0035】
漏洩がない箇所において、微粒子P1の乱れがないのに対し、漏洩がある箇所においては、配管D等からの噴き出しによる気流の変化により微粒子の乱れが発生するため微粒子P1の乱れを可視化することによって漏洩箇所Cの特定が可能となる。
【0036】
また、図6に示すように、撮影装置本体26を旋回させることによって、計測箇所である配管Dが遠い場合にも対応が可能である。即ち、図6(a)に示すように、配管Dと可視化検出モジュール7との距離L1が小さい場合においても、図6(b)に示すように、配管Dと可視化検出モジュール7との距離L2が大きい場合においても、撮影装置本体26を遠隔操作により旋回させることによって、配管Dを含む画像を撮影することができる。この際、フォーカス(焦点距離)の操作も同時に行うことができる。
【0037】
上記実施形態によれば、気流可視化センサ8と画像処理部17を用いて、可視化ガス噴射装置6によって噴射された微粒子Pの乱れを可視化することにより、漏洩箇所Cの特定が可能となる。
【0038】
また、マニピュレータ5を用いて気流可視化センサ8を測定箇所に誘導するとともに、旋回機構27を用いて撮影装置本体26を旋回させることにより、撮影装置19の撮影範囲がより広範囲となるため、狭隘な場所の漏洩箇所検知が可能となる。
【0039】
また、多段伸縮部材4を用いて気流可視化センサ8をより高い位置に位置させることができるため、より高い場所の漏洩箇所検知が可能となる。
また、移動台車3を遠隔操作することにより、気流可視化センサ8を任意の場所に移動可能となるため、人の立ち入りが制限されるような場所の漏洩箇所検知が可能となる。
さらに、検査後に微粒子Pを吸引することによって、微粒子Pによって測定対象が汚れるのを防止することができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態においては、一台の撮影装置19を用いて撮影を行う構成としたが、これに限ることはなく、二台以上の撮影装置19を用いて撮影を行い、微粒子Pの三次元位置の精度を向上させることができる。
以上で、漏洩箇所検知装置1の処理についての詳細な説明を終える。
【0041】
次に、図7を用いて制御装置9の詳細の説明をする。図7は、制御装置9の第一実施形態(制御装置9a)の機能構成を表す概略ブロック図である。制御装置9aは、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、制御装置9aは、遠隔操作部10、画像処理部17を備える装置として機能する。また、画像処理部17は、入力部40、3次元モデル生成部41、操作部42、画像生成部43及び表示部44として機能する。なお、制御装置9aの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されても良い。
【0042】
遠隔操作部10は、キーボード、マウス、ハンドル、スティック等の入力装置を備える。遠隔操作部10は、オペレータによって入力装置が操作された内容(操作内容)に応じて、漏洩箇所検知装置1の各機構、各装置に対して制御信号を送信する。漏洩箇所検知装置1の各機構、各装置は、遠隔操作部10が出力した制御信号に応じて動作する。このように、オペレータは、遠隔操作部10の入力装置を操作することによって、漏洩箇所検知装置1を遠隔操作することが可能となる。
【0043】
画像処理部17は、撮影装置19が撮影した画像データを用いて3次元モデルを生成する。以下、画像処理部17の具体的な構成について説明する。
入力部40は、制御装置9aに対して入力される画像データを受け付ける。入力部40は、撮影装置19によって撮影された画像データを受信し、画像処理部17に入力する。入力部40は、画像データの入力が可能な構成であれば、どのような態様で構成されても良い。以下の説明では、入力部40によって入力された画像を、「入力画像」という。
【0044】
3次元モデル生成部41は、入力部40から入力される複数の入力画像を3次元空間に投影することによって3次元モデルを生成する。例えば、3次元モデル生成部41は以下のような処理で3次元モデルを生成する。まず、3次元モデル生成部41は、入力画像毎に、画像撮影時のカメラのパラメータ(視点位置、視線方向など)を取得する。3次元モデル生成部41は、カメラのパラメータとスクリーン座標とに基づいて、入力画像の各画素に撮影されている物体の空間座標(三次元空間の座標)を算出する。3次元モデル生成部41は、複数の入力画像に対して上述した処理を行うことで、3次元モデルを生成する。このような処理は、例えばエピポーラ幾何拘束を用いたイメージベースドモデリング等の技術で実現されても良い。
【0045】
操作部42は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部42は、オペレータの指示を制御装置9aに入力する際にオペレータによって操作される。操作部42は、入力装置を制御装置9aに接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、操作部42は、入力装置においてユーザの入力に応じ生成された入力信号を制御装置9aに入力する。操作部42は、例えば表示部44に表示される画像のパラメータ(視点位置、視線方向など:以下、「表示画像パラメータ」という。)を指定する際に操作される。
【0046】
画像生成部43は、操作部42によって入力された表示画像パラメータに基づいて、3次元モデル生成部41によって生成された3次元モデルをスクリーン(仮想シート面)に投影することによって画像を生成する。例えば、画像生成部43の処理は以下のように行われても良い。まず、画像生成部43は、操作部42によって入力された表示画像パラメータに基づいて、仮想シート面の位置(例えばスクリーン座標系の原点となるスクリーンの左上隅の空間座標)と、向き(例えば法線ベクトル)とを決定する。そして、画像生成部43は、決定された仮想シート面に対して、3次元モデルを投影する。このような投影によって、画像生成部43は表示画像を生成する。
表示部44は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を用いて構成される。表示部44は、画像生成部43によって生成された表示画面を表示する。
【0047】
図8は、微粒子Pの可視化の具体例を示す図である。
図8(A)は、可視化された微粒子Pを、配管34(構造物)の漏洩箇所からの吐出方向に対向する方向から撮影した図である。つまり、図8(A)の画像は吐出方向に直交した平面の画像である。図8(A)には、可視化された微粒子Pが渦を巻いている姿が多く撮影されている。例えば、図8(A)では円100の位置周辺に渦を巻いている可視化された微粒子Pが見られる。これは、円100の位置からガス等が漏洩しているために生じる現象である。
【0048】
図8(B)は、可視化された微粒子Pを、配管34(構造物)の漏洩箇所からの吐出方向に対して直交する方向から撮影した図である。つまり、図8(B)の画像は吐出方向に平行した平面の画像である。図8(B)には、可視化された微粒子Pが右方向を頂点とした略円錐状を形成している状態が撮影されている。これは、略円錐状の頂点付近からガス等が漏洩しているために生じる現象である。
図8(A)及び図8(B)を参照することによって、ガス等が漏洩している箇所や吐出方向などを容易に判断することが可能となる。
【0049】
図9は、入力画像を3次元空間に投影する一例を示す図である。
図9(A)は、時刻T=1に撮影された構造物の図である。図9(A)の上図は、時刻T=1の入力画像である。図9(A)の下図は、3次元モデル生成部41が時刻T=1の入力画像を3次元空間に投影した図である。
【0050】
図9(B)は、時刻T=2の時に撮影された図である。図9(B)の上図は、時刻T=2の入力画像である。図9(B)の下図は、3次元モデル生成部41が時刻T=2の入力画像を3次元空間に投影した図である。
【0051】
図9(C)は、時刻T=3の時に撮影された図である。図9(C)の上図は、時刻T=3の入力画像である。図9(C)の下図は、3次元モデル生成部41が時刻T=3の入力画像を3次元空間に投影した図である。
【0052】
図10は、本発明の第一実施形態における3次元モデル生成処理の流れを表すフローチャートである。
入力部40は、撮影された複数の画像を入力する。具体的には、入力部40は、可視化ガス噴射装置6が噴射した微粒子Pが撮影された複数の画像を入力する(ステップS101)。画像において、微粒子Pは、レーザユニット21が照射したシートレーザ光Sが反射することによって可視化されている。
3次元モデル生成部41は、入力された複数の入力画像を3次元空間に投影し、3次元モデルを生成する(ステップS102、ステップS103)。画像生成部43は、操作部42によって入力された表示画像パラメータに基づいて、表示画像を生成する。そして、表示部44は、画像生成部43によって生成された表示画像を表示する(ステップS104)。
【0053】
上記のように構成された制御装置9aは、複数の入力画像を用いて3次元モデルを生成する。3次元モデルを生成することによって、撮影した視点位置と異なる視点位置で、撮像された微粒子Pを把握できる。例えば、狭隘空間など所望の方向や視点位置からの撮影が困難な場所においても、生成された3次元モデルに基づいて任意の視点位置から任意の視線方向で見た場合の画像を視認できる。そのため、例えば漏洩検出の対象となる構造物に対して直交方向及び平行方向からの画像を視認することができる。したがって、漏洩箇所の把握が容易になる。すなわち、オペレータは、一枚の画像から漏洩箇所を把握していた時よりも正確に漏洩箇所を把握することができる。その結果、漏洩箇所の特定作業の信頼性を向上させることができる。
【0054】
<変形例>
本実施形態では、一台の撮影装置19を用いて撮影を行う構成としたが、これに限定される必要はなく、二台以上の撮影装置19を用いて撮影を行っても良い。このように構成されることによって、3次元モデルの精度を向上させることができる。
撮影装置19が撮影した入力画像を一度ハードディスクなどの記録媒体に記録して、制御装置9aが入力画像を読み出しながら処理を行っても良い。
本実施形態では、撮影装置19とレーザユニット21とが可視化検出モジュール7として一体化された構成をしているが、これに限定される必要はない。例えば、撮影装置19とレーザユニット21とがそれぞれ異なる装置に配置されても良い。
【0055】
[第二実施形態]
図11は、制御装置9の第二実施形態(制御装置9b)の機能構成を表す概略ブロック図である。制御装置9bは、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、制御装置9bは、遠隔操作部10、画像処理部17b、移動先決定装置50を備える装置として機能する。また、画像処理部17bは、入力部40、3次元モデル生成部41、操作部42、画像生成部43、表示部44及び判断部63として機能する。また、移動先決定装置50は、距離計測部51及び移動先決定部52として機能する。なお、制御装置9bの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されても良い。
【0056】
制御装置9bは、移動先決定装置50を備えている点、画像処理部17aに代えて画像処理部17bを備える点で制御装置9aと構成が異なる。画像処理部17bは、判断部63を備える点で画像処理部17aと異なる。制御装置9b及び画像処理部17bは、他の構成についてはそれぞれ制御装置9a及び画像処理部17aと同様である。そのため、制御装置9b全体の説明は省略し、移動先決定装置50及び判断部63について説明する。
移動先決定装置50は、配管やパイプなどの構造物を撮影する際に使用するアーム14の移動先を決定する。以下、移動先決定装置50の具体的な構成について説明する。
【0057】
距離計測部51は、カメラ(撮影装置19)と構造物との距離を測定する。距離計測部51は、例えば複数のカメラを用いて構成され、光切断法を用いて距離を測定しても良い。また、距離計測部51は、赤外線等の電磁波を照射し、タイムオブフライト法(Time Of Flight法)を用いて距離を測定しても良い。距離計測部51は、他の方法を用いて距離を測定しても良い。距離計測部51は、距離の測定結果に基づいて、構造物の3次元形状を計測する。
移動先決定部52は、距離計測部51の計測結果に基づいて、アーム14の移動先を決定する。例えば、移動先決定部52は、アーム14と構造物との距離が一定となるように移動先を決定しても良い。
判断部63は、構造物全体の漏洩検出を行ったか否かを判断する。
【0058】
図12は、3次元形状の計測の一例を示す図である。
レーザ光源28は、シートレーザ光S104をガルバノミラー30に照射する。ガルバノミラー30は、揺動軸のまわりに反射面が所定の振れ角で往復揺動することにより、シートレーザ光S104を反射して配管34上に走査する。撮影装置19は、シートレーザ光S104が照射されている配管34を撮影する。その後、撮影装置19は、撮影した画像を制御装置9bに送信する。制御装置9bの距離計測部51は、光切断法を用いて配管34の3次元形状を計測する。
【0059】
図13は、本発明の第二実施形態における自動走査の処理の流れを示すフローチャートである。
気流可視化センサ8は、オペレータに遠隔操作されることによって、構造物に近い位置に設定される(ステップS201)。レーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによってシートレーザ光S104を照射する(ステップS202)。ガルバノミラー30は、照射されたシートレーザ光S104を反射することによって構造物を走査する。撮影装置19は、オペレータに遠隔操作されることによってシートレーザ光S104が照射されている構造物を撮影する。撮影装置本体26は、撮影装置19が撮影した複数の画像を制御装置9bに送信する。
【0060】
入力部40は、撮影装置本体26が送信した複数の画像の入力を受け付ける。距離計測部51は、入力された複数の入力画像から構造物の3次元形状を計測する(ステップS203)。距離計測部51は、気流可視化センサ8の移動量を算出する(ステップS204)。移動先決定部52は、距離計測部51が計測した3次元形状のデータと気流可視化センサ8の移動量とを用いて、アーム14の移動量を決定する(ステップS205)。
【0061】
レーザ光源28は、シートレーザ光S104をガルバノミラー30に照射する。ガルバノミラー30は、揺動軸のまわりに反射面が所定の振れ角で往復揺動することにより、シートレーザ光S104を反射して配管34上に走査する。撮影装置19は、シートレーザ光S104が照射されている配管34を撮影する。その後、撮影装置19は、撮影した画像を制御装置9bに送信する。3次元モデル生成部41は、複数の入力画像から3次元モデルを生成する。画像生成部43は、操作部42によって入力された表示画像パラメータに基づいて、表示画像を生成する。そして、表示部44は、画像生成部43によって生成された表示画像を表示する(ステップS206)。
判断部63は、未検査領域が残っているか否かを判断する(ステップS207)。未検査領域が残っていない場合(ステップS207−YES)、処理を終了する。一方、未検査領域が残っている場合(ステップS207−NO)、制御装置9bは未検査領域に対してステップS202以降の処理を実行する。
【0062】
上記のように構成された制御装置9bによれば、構造物の3次元形状のデータを用いてアーム14の位置姿勢を制御することで自動走査を行わせる。制御装置9bは、光切断法を用いて構造物の位置や3次元形状を計測する。制御装置9bは、計測した3次元形状のデータに基づいて、アーム14の位置姿勢を算出して自動走査を行わせる。構造物と気流可視化センサ8との位置や姿勢を一定の関係を保ちながら移動させることができる。そのため、オペレータは、撮影を行う度に気流可視化センサ8と構造物との位置を調整する必要がなくなる。その結果、漏洩箇所の計測を行う時間を短縮することが可能となる。
また、アーム14を制御して自動走査を行わせることによって誤操作による周囲の構造物との干渉を避けることができる。
【0063】
<変形例>
本実施形態では、一台の撮影装置19を用いて撮影を行う構成としたが、これに限定される必要はなく、二台以上の撮影装置19を用いて撮影を行っても良い。このように構成されることによって、3次元モデルの精度を向上させることができる。
撮影装置19が撮影した入力画像を一度ハードディスクなどの記録媒体に記録して、制御装置9bが入力画像を読み出しながら処理を行っても良い。
本実施形態では、撮影装置19とレーザユニット21とが可視化検出モジュール7として一体化された構成をしているが、これに限定される必要はない。例えば、撮影装置19とレーザユニット21とがそれぞれ異なる装置に配置されても良い。
【0064】
[第三実施形態]
図14は、制御装置9の第三実施形態(制御装置9c)の機能構成を表す概略ブロック図である。制御装置9cは、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、制御プログラムを実行する。制御プログラムの実行によって、制御装置9cは、遠隔操作部10、画像処理部17cを備える装置として機能する。また、画像処理部17cは、入力部40、3次元モデル生成部41、操作部42、画像生成部43、表示部44、撮影情報記憶部61、差分画像生成部62及び判断部63として機能する。なお、制御装置9cの各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されても良い。
【0065】
制御装置9cは、画像処理部17aに代えて画像処理部17cを備える点で制御装置9aと構成が異なる。画像処理部17cは、撮影情報記憶部61、差分画像生成部62及び判断部63を備える点で画像処理部17aと構成が異なる。制御装置9c及び画像処理部17cは、他の構成についてはそれぞれ制御装置9a及び画像処理部17aと同様である。そのため、制御装置9c全体の説明は省略し、撮影情報記憶部61、差分画像生成部62及び判断部63について説明する。
撮影情報記憶部61は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。撮影情報記憶部61は、撮影情報DB(Data Base:データベース)を記憶している。撮影情報DBは、カメラ位置、レーザ位置、照射角度φ、撮影条件、第一の画像及び第二の画像を格納している。
差分画像生成部62は、2枚の画像(例えば、第一の画像及び第二の画像)を用いて、差分画像を生成する。
判断部63は、第二の画像が全ての照射角度φ及び全ての撮影座標位置で撮影されたか否かを判断する。
【0066】
図15は、差分画像を生成するための準備処理の一例を表す図である。
まず、レーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって、配管34にシートレーザ光S104を照射する。ガルバノミラー30は、照射されたシートレーザ光S104を走査する。撮影装置19は、配管34に照射されたシートレーザ光S104を撮影する。具体的には、撮影装置19は、オペレータに遠隔操作されることによって、照射角度“1度”のシートレーザ光S104aから照射角度“n度”のシートレーザ光S104bを“1度”毎に撮影する。
その際、オペレータは撮影する前に撮影装置19とレーザユニット21との撮影条件を最適化する。撮影条件とは、シャッタの速度や絞りやレーザ強度などの撮影に関する条件である。
【0067】
具体的には、以下の処理が行われる。オペレータは、撮影装置19及びレーザユニット21の座標位置(以下、「撮影座標位置」という。)とレーザユニット21との撮影条件を決定する。例えば、オペレータは、配管34を撮影した際に輝度が飽和しない明るさとなる撮影条件を最適化した撮影条件として決定する。オペレータは、決定した撮影条件に基づいて撮影装置19及びレーザユニット21を遠隔操作することによって配管34を撮影する。また、この際に撮影された画像を以下の説明では、第一の画像として説明する。オペレータは、角度毎に決定した撮影条件と撮影座標位置とを第一の画像に対応付けて撮影情報DBに記録する。
【0068】
次に、オペレータは、可視化ガス噴射装置6を遠隔操作することによって配管34に微粒子Pを噴射させる。オペレータは、撮影する角度毎に撮影情報DBに記録されている撮影条件と撮影座標位置との各値を撮影装置19及びレーザユニット21に設定する。その後、レーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって配管34及び浮遊している微粒子Pにシートレーザ光S104を照射する。撮影装置19は、オペレータに遠隔操作されることによって配管34及び浮遊している微粒子P(以下、「漏洩検査対象物」という。)を撮影する。また、この際に撮影された画像を以下の説明では、第二の画像として説明する。オペレータは、撮影された第二の画像を角度毎に決定した撮影条件と撮影座標位置とに対応付けて撮影情報DBに記録する。
【0069】
図16は、撮影情報DBの構成図である。
撮影情報DBは、撮影情報を表すレコード70を複数有する。レコード70は、撮影座標位置、撮影条件、第一の画像及び第二の画像の各値を有する。
カメラ位置の値は、撮影装置19が撮影する座標位置を表す。レーザ位置の値は、レーザ光源28の座標位置を表す。照射角度φの値は、ガルバノミラー30に反射したシートレーザ光S104の角度を表す。撮影条件の値は、オペレータが遠隔操作することによって撮影装置19に撮影させる際の条件を表す。撮影条件の具体例として、シャッタ速度、絞り、レーザ強度などがある。シャッタ速度の値は、シャッタの速度を表す。絞りの値は、光を取り込む穴の大きさ(F値)を表す。レーザ強度の値は、レーザ光源28から照射されるシートレーザ光Sの強さを表す。第一の画像のデータは、レコード70によって表される撮影情報に基づいて撮影された画像のデータを表す。第二の画像のデータは、レコード70によって表される撮影情報に基づいて、微粒子Pが噴射された状態で撮影された画像のデータを表す。
【0070】
次に、図17及び図18を用いて本発明の第三実施形態の処理の流れを説明する。
図17は、本発明の第三実施形態における初期設定の処理の流れを示すフローチャートである。
初期設定は、例えば漏洩箇所検知装置1のオペレータによって実行されても良い。まず、オペレータは、遠隔操作部10を操作することによって撮影座標位置を決定する(ステップS301)。オペレータは、遠隔操作部10を操作することによってレーザユニット21の照射角度φ(例えば、照射角度“1”)を決定する(ステップS302)。オペレータは、遠隔操作部10を操作することによってステップS301で決定した撮影座標位置とステップS302で決定したレーザユニット21の照射角度φとに基づいて撮影条件の最適化を行う。具体的には、オペレータは、撮影された画像の輝度が飽和しないように撮影装置19のシャッタ速度、絞りを調整する。また、オペレータは、遠隔操作部10を操作することによってレーザユニット21のレーザ強度を調整する(ステップS303)。オペレータは、遠隔操作部10を操作することによって第一の画像(配管34)を撮影する(ステップS304)。
【0071】
オペレータは、遠隔操作部10を操作することによって撮影座標位置、照射角度φ及び最適化された撮影条件を撮影情報DBに記録する(ステップS305)。
オペレータは、レーザユニット21から照射されるシートレーザ光S104が反射される全ての照射角度φで第一の画像を撮影したか否か判断する。即ち、オペレータは、レーザユニット21から照射されるシートレーザ光S104が反射される照射角度“1”から照射角度“n”まで第一の画像を撮影したか否か判断する(ステップS306)。シートレーザ光S104が反射される全ての照射角度φで第一の画像を撮影した場合(ステップS306−YES)、オペレータは全ての撮影座標位置で第一の画像を撮影したか否かを判断する(ステップS307)。
【0072】
全ての撮影座標位置で第一の画像を撮影した場合(ステップS307−YES)、オペレータは初期設定の処理を終了する。
ステップS306の処理において、シートレーザ光S104が反射される全ての照射角度φで第一の画像を撮影していない場合(ステップS306−NO)、オペレータは撮影装置19及びレーザユニット21を遠隔操作することによって、前回とは異なる照射角度φで配管34を撮影する。
ステップS307の処理において、全ての撮影座標位置で第一の画像を撮影していない場合(ステップS307−NO)、オペレータは撮影装置19及びレーザユニット21を遠隔操作することによって、前回とは異なる撮影座標位置で構造物を撮影する。
【0073】
図18は、本発明の第三実施形態における外乱(構造物)除去処理の流れを示すフローチャートである。
撮影装置19及びレーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって撮影情報DBからの撮影座標位置の各値を取得する。撮影装置19及びレーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって取得した撮影座標位置の各値を設定する(ステップS401)。可視化ガス噴射装置6は、オペレータに遠隔操作されることによって構造物に微粒子Pを噴射する(ステップS401)。レーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって撮影情報DBから瀬ってされている撮影座標位置の値に対応する照射角度φの値を取得する。レーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって取得した照射角度φの値を設定する(ステップS403)。
【0074】
レーザユニット21は、オペレータに遠隔操作されることによって設定された照射角度φでシートレーザ光S104を漏洩検査対象物に照射する。撮影装置19は、オペレータに遠隔操作されることによって、シートレーザ光S104が照射された漏洩検査対象物を撮影する(ステップS404)。撮影装置19は、撮影した第二の画像を入力部40に送信する。入力部40は、撮影装置19から送信された第二の画像を撮影情報DBに記録されている撮影条件に対応付けて記録する(ステップS405)。
【0075】
差分画像生成部62は、撮影情報DBに記録されている第一の画像と第二の画像とを用いて差分画像を生成する(ステップS406)。判断部63は、ステップS401で設定された撮影座標位置での全ての照射角度φで第二の画像が撮影されたか否かを判断する。即ち、判断部63は、ステップS401で設定された撮影座標位置において照射角度“1”から照射角度“n”まで第二の画像が撮影されたか否かを判断する(ステップS407)。全ての照射角度φで第二の画像が撮影された場合(ステップS407−YES)、3次元モデル生成部41は、差分画像生成部62が生成した差分画像を3次元空間に投影し3次元モデルを生成する(ステップS408)。
【0076】
画像生成部43は、操作部42によって入力された表示画像パラメータに基づいて、表示画像を生成する。そして、表示部44は、画像生成部43によって生成された表示画像を表示する(ステップS409)。判断部63は、全ての撮影座標位置で第二の画像が撮影されたか否かを判断する(ステップS410)。全ての撮影座標位置で第二の画像が撮影された場合(ステップS410−YES)、制御装置9cは、外乱除去処理を終了する。
【0077】
ステップS407の処理において、全ての照射角度φで第二の画像が撮影されていない場合(ステップS407−NO)、制御装置9cは撮影されていない照射角度φに対してステップS403以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS410の処理において、全ての撮影座標位置で第二の画像が撮影されていない場合(ステップS410−NO)、制御装置9cは撮影されていない撮影座標位置に対してステップS401以降の処理を繰り返し実行する。
【0078】
上記のように構成された制御装置9cによれば、第一の画像と第二の画像との差分画像を用いて3次元モデルを構築する。このような処理を行うことによって、第一の画像に含まれるシート面上に存在する構造物の影響を削除する。そのため、オペレータは、画像中に浮遊している微粒子Pのみが撮像されている3次元モデルを取得できる。したがって、オペレータはこの3次元モデルを用いて微粒子Pの分布を視認することで漏洩箇所をより把握することが可能となる。
【0079】
また、オペレータは画像を撮影する際、撮影装置19やレーザユニット21の座標位置毎に撮影条件の最適化を行う。構造物などにシートレーザ光S104が反射して画像が撮影されると、撮像された構造物の輝度が飽和してしまう。そのような画像を用いて差分画像を生成すると、飽和している画像部分は何も写らない。即ち、飽和している部分が黒くなって画像には何も写らない。そのため、オペレータは、撮影された画像の輝度が飽和しない撮影条件を決定することによって最適化する。その結果、構造物の反射光の影響を削除することが可能となる。
【0080】
<変形例>
本実施形態では、差分画像生成部62は、第一の画像及び第二の画像を用いて差分画像を生成しているがこれに限定される必要はなく、第一の画像及び第二の画像によって生成された3次元モデルを用いて差分画像を生成しても良い。具体的には、以下の処理が行われる。3次元モデル生成部41は、第一の画像を3次元空間に投影することによって第一の3次元モデルを生成する。3次元モデル生成部41は、第二の画像を3次元空間に投影することによって第二の3次元モデルを生成する。差分画像生成部62は、生成された第一の3次元モデルと第二の3次元モデルとを用いて差分画像を生成する。
本実施形態では、一台の撮影装置19を用いて撮影を行う構成としたが、これに限定される必要はなく、二台以上の撮影装置19を用いて撮影を行っても良い。このように構成されることによって、3次元モデルの精度を向上させることができる。
撮影装置19が撮影した入力画像を一度ハードディスクなどの記録媒体に記録して、制御装置9cが入力画像を読み出しながら処理を行っても良い。
本実施形態では、撮影装置19とレーザユニット21とが可視化検出モジュール7として一体化された構成をしているが、これに限定される必要はない。例えば、撮影装置19とレーザユニット21とがそれぞれ異なる装置に配置されても良い。
【0081】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…漏洩箇所検知装置 2…検知装置本体 3…移動台車 4…多段伸縮部材 5…マニピュレータ 6…可視化ガス噴射装置 7…可視化検出モジュール 8…気流可視化センサ 9…制御装置 10…遠隔操作部 11…台車本体 12…無限軌道 13…アウトトリガ 14…アーム 15…軸 17…画像処理部(表示システム) 18…ケーシング 19…撮影装置 20…白色照明装置 21…レーザユニット 23…カメラ窓 24…白色照明光源窓 25…シートレーザ窓 26…撮影装置本体 27…旋回機構 28…レーザ光源 29…シート形成レンズ 30…ガルバノミラー 32…ノズル 33…本体ユニット 34…配管 40…入力部 41…3次元モデル生成部 42…操作部 43…画像生成部 44…表示部 50…移動先決定装置 51…距離計測部 52…移動先決定部 61…撮影情報記憶部(記憶部) 62…差分画像生成部 63…判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18