(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給手段によって所要の受け取り位置に供給される容器を把持するグリッパと、グリッパの上方に設けられて当該グリッパが把持した容器の口部にキャップを螺着するキャッピングヘッドとを備え、
上記グリッパは一対の把持部材を有するとともに、各把持部材における容器の所要部分を把持する把持面に、当該容器の外面に係合して容器の回転を阻止する回転防止部を形成したキャッパにおいて、
上記受け取り位置に供給された上記容器に係合して上記グリッパによる把持を補助する補助把持手段を設け、
上記グリッパが上記受け取り位置において容器を受け取る際、上記把持部材が閉鎖されて上記回転防止部が容器の外面に係合するのに先行して、上記補助把持手段が容器に係合することにより、当該補助把持手段と把持部材との間で容器を保持することを特徴とするキャッパ。
上記把持補助手段は、上記回転軸のうち少なくとも一方の回転軸に対して揺動可能に設けられ、上記容器における把持部材の先端側に位置する部分と接触する接触部が形成された少なくとも一つの腕状部材からなることを特徴とする請求項2に記載のキャッパ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について説明すると、
図1は容器1にキャップ2を装着するキャッパ3の平面図を示し、当該キャッパ3の上流側には、あらかじめ液体が充填された容器1を供給する供給手段4が設けられ、下流側にはキャップ2の装着された容器1を排出する排出手段5が設けられている。
これらキャッパ3、供給手段4、排出手段5はそれぞれ同期して回転する回転体3A、4A、5Aを備え、上記供給手段4の回転体4Aとキャッパ3の回転体3Aとが接する受け取り位置Aと、上記キャッパ3の回転体3Aと排出手段5の回転体5Aとが接する排出位置Bとでは、容器1の受け渡しが行われている。
【0009】
図2に示すように、上記容器1は液体が充填される胴部1aと、その上端に形成された口部1bと、胴部1aから口部1bにかけて縮径する首部1cと、上記口部1bと首部1cとの間に形成されて容器1の外方に向かって突出するフランジ部1dとから構成されている。
上記口部1bにはキャップ2が上方から螺合されて装着され、上記キャッパ3では上記フランジ部1dの下方の首部1cが把持され、また上記供給手段4では上記口部1bにおけるフランジ部1dの上部に隣接した部分が把持されるようになっている(
図4参照)。
また上記容器1は合成樹脂製となっており、本実施例ではPET素材よりも軟質なHDPE(高密度ポリエチレン)製の容器1を処理するようになっている。
上記HDPE製の容器1は、軟質であるため変形しやすく、また製造誤差等によって上記口部1b、首部1c、フランジ部1dの直径が、設計上の直径に対して大径とあったり小径となったりすることがある。
【0010】
図3は
図1におけるIII―III部の断面図を示しており、上記キャッパ3の回転体3Aは、支持軸11に対して回転可能に設けられるとともに、回転体の下方に設けられた歯車12を介して、サーボモータ13の駆動力によって水平に回転するようになっている。
また上記供給手段4の回転体4Aおよび排出手段5の回転体5Aも、図示しない支持軸に対して回転可能に設けられており、図示しない歯車を介してそれぞれ別個のサーボモータの駆動力によって回転するようになっている。
そして、上記回転体3A、4A、5Aのサーボモータを同期運転することにより、上記回転体3A、4A、5Aが同期して回転し、上記受け取り位置Aと排出位置Bとにおいて容器の受け渡しが行われるようになっている。
上記供給手段4の回転体4Aには容器1を把持する供給グリッパ14(
図5参照)が等間隔に設けられており、上記キャッパ3の回転体3Aには上記供給グリッパ14から上記受け取り位置Aにおいて容器1を受け取るグリッパ15が等間隔に設けられており、上記排出手段5の回転体5Aには上記排出位置Bにおいて上記グリッパ15から容器1を受け取る支持テーブル16が等間隔に設けられている。
【0011】
上記キャッパ3における各グリッパ15の上方には、上記回転体3Aと一体的に回転するキャッピングヘッド17が設けられており、このキャッピングヘッド17は公知のカム機構によって昇降するようになっている。
キャッピングヘッド17は、
図1に示す受け取り位置Aでは上記グリッパ15の上方に退避しており、
図1に示す装着位置Cの部分で下降してグリッパ15に把持された容器1にキャップ2を装着するようになっている。
またキャッピングヘッド17は上記排出位置Bにおいて再度下降し、図示しないキャップ供給手段が上記支持テーブル16に供給したキャップ2を受け取るようになっている。
【0012】
図4、
図5に示すように、上記グリッパ15は、開閉可能に設けられて上記容器1の首部1cを把持する一対の把持部材21と、本発明にかかる補助把持手段としての、上記把持部材21と同期して開閉する一対の腕状部材22とを備えている。なお、
図4は上記グリッパ15が容器1を把持した閉鎖状態を示している。
上記把持部材21および腕状部材22の基部は上記回転体3Aに対して回転可能に設けられた回転軸23に保持されており、このうち上記把持部材21は回転軸23に対して回転しないように固定され、上記腕状部材22は回転軸23に対して回転可能に軸支されている。
図3に示すように、上記2本の回転軸23は回転体3Aの下方に突出し、これら回転軸23の下端部近傍に設けられた歯車23aが相互に噛合することで、一方の回転軸23が回転すると他方の回転軸23が連動して回転し、上記把持部材21が開閉されるようになっている。
また一方の回転軸23の下端にはアーム23bおよび当該アーム23bの先端に設けられたカムフォロア23cが設けられており、上記カムフォロア23cは上記支持軸11に固定されたカム24に当接しながら回転体3Aの内方および外方へと移動し、これにより上記アーム23bを揺動させて回転軸23を回転させ、上記把持部材21を開閉させるものとなっている。
【0013】
次に、上記把持部材21における相互に相対した部分には、上記容器1の首部1cの外径に合わせてアーチ状の把持面25が形成されており、この把持面25には回転防止部としての複数の回転防止突起26が形成されている。
上記把持面25は金属製の部材で構成され、
図4の上部に示すように、把持部材21が閉鎖状態となると、上記把持面25は上記容器1の首部1c(2点鎖線で示す)の外周に沿って接触するようになっている。
なお、後述するように回転防止突起26が存在するため、厳密に言えば上記把持面25は全面が首部1cに接触するわけではないが、便宜上、閉鎖状態における把持面25は首部1cに接触していると表現する。
このようにして把持面25が首部1cの外周に沿って適切に接触すると、容器1の口部1bの中心が上記グリッパ15の上方に位置する上記キャッピングヘッド17の回転軸と一致するようになっている。
上述したように、グリッパ15は上記カム24によって開閉するため、その開閉量はあらかじめ設定されており、特に上記把持部材21を閉鎖状態とした場合における上記把持面25の位置は、設計上の寸法で製造された容器1をがたつきなく把持して、容器1の中心とキャッピングヘッド17の回転軸とが一致するような位置に設定されている。
【0014】
また上記把持面25における、把持部材21の基部側、すなわち回転体3Aの内方に位置した部分には、相互に接近する方向に延長された延長部25aが形成され、上記供給手段4の供給グリッパ14から容器1を受け取る際に、容器1の外面が上記延長部25aと接触するようになっている。
上記回転防止突起26は、上記把持面25に等間隔に形成されており、
図4の上部に示すように、把持部材21が閉鎖されて上記把持面25が容器1の首部1cの外面と接触すると、当該回転防止突起26の全てが首部1cの外面に係合する(食い込む)ようになっている。
このように回転防止突起26が上記首部1cの外面に係合すると、上記キャッピングヘッド17によってキャップ2を装着する際に容器1がキャップ2と供回りしないよう、容器1の回転を阻止するようになっている。
【0015】
上記腕状部材22は、上述したように上記回転軸23に対して揺動可能に設けられており、上記回転軸23に固定された把持部材21に対して回転可能となっている。また
図5に示すように上記腕状部材22は上記容器1のフランジ部1dの高さに設けられている。
上記腕状部材22における相互に相対した部分には、アーチ状の逃げ部22aと、当該逃げ部22aよりも先端側に形成されて上記フランジ部1dにおける、上記把持部材21の先端側、すなわち回転体3Aの外方の部分に接触する接触部22bとが形成されている。
さらに、上記把持部材21および上記腕状部材22にはそれぞればね受け21a、22cが形成されており、これらばね受け21aとばね受け22cとの間には付勢手段としてのばね27が弾装され、これにより上記腕状部材22は上記把持部材21に対して閉鎖する方向に付勢されている。
一方、上記腕状部材22の側面にはプレート28が設けられており、
図5に示すように上記プレート28の下端部が上記把持部材21の側面に当接するように形成されている。
【0016】
図4の図示上方は、グリッパ15が容器1を把持していない場合に、上記ばね27が上記腕状部材22を把持部材21に対して閉鎖方向に付勢し、上記プレート28が把持部材21に当接してこれ以上腕状部材22が閉鎖できない状態を示している。
一方、
図4の図示下方に示すように、グリッパ15が容器1を把持する場合、上記腕状部材22の上記接触部22bがフランジ部1dに回転体3Aの外方から当接するが、上記ばね27の付勢力に抗して把持部材21がさらに閉鎖方向に回転して上記把持面25が容器の首部1cに当接することで、腕状部材22が把持部材21に対して開いた状態となる。
逆に、上記把持部材21が開放方向に移動すると、上記プレート28を介して腕状部材22が押圧され、これにより把持手段21と腕状部材22とが同期して開放方向に移動することとなる。
【0017】
上記供給手段4の供給グリッパ14は、
図6に示すように開閉可能に設けられて上記容器1の口部1bを把持する一対の把持部材31と、上記把持部材31を回転可能に保持した回転軸32とを備え、上記把持部材31は
図5に示すように上記容器1の口部1bにおける上記フランジ部1dに隣接した位置を把持するようになっている。
図3に示すように、上記供給グリッパ14の把持部材31も、上記グリッパ15と同様、上記回転軸32の下方に設けられた歯車32aが噛合することによって開閉するようになっており、また一方の回転軸32の下端に設けられたアーム32bおよびカムフォロア32cがカム33に沿って移動することで開閉するようになっている。
このように、供給グリッパ14は上記カム33によって開閉し、その開閉量はあらかじめ設定されているが、上記把持部材31が閉鎖状態となった際における寸法は、設計上の寸法で製造された容器1をがたつきなく把持するような寸法となっている。
【0018】
上記排出手段5の支持テーブル16は、上記容器1を下方から支持するとともに、当該容器1の首部1cにおける上記フランジ部1dの上方の部分を支持して、容器1の脱落を防止するようになっている。
上記排出位置Bでは、上記キャッパ3のグリッパ15が開放動作を行うようになっており、これにより上記グリッパ15に把持された容器が支持テーブル16上に載置されて受け渡されるようになっている。
またこの支持テーブル16の上方にはキャップ2が載置されるキャップテーブル16Aが設けられており、図示しないキャップ供給手段が排出手段5におけるキャップ供給位置Dにおいて上記キャップテーブル16Aにキャップ2を載置するようになっている。
このキャップテーブル16Aが上記排出位置Bに到達すると、上記キャッピングヘッド17が下降して、当該キャップテーブル16Aに載置されたキャップ2を受け取るようになっている。
【0019】
以下、上記構成を有するキャッパ3の動作について説明すると、まず、上記供給手段4には図示しない充填装置において飲料等が充填された容器1が供給され、上記供給グリッパ14は容器1の口部1bを把持しながら、上記供給手段4とキャッパ3とが接する受け取り位置Aまで搬送する。
図6〜
図8は、上記容器1が設計上の寸法で製造された場合における、上記受け取り位置Aでの上記供給手段4の供給グリッパ14とキャッパ3のグリッパ15の動作を説明するものとなっている。
またこれらの図には、供給手段4の供給グリッパ14が理想的な状態で容器1を把持した場合における、当該容器1の中心が移動する移動軌跡Lsと、キャッパ3のグリッパ15が理想的な状態で容器1を把持した場合における、当該容器1の中心が移動する移動軌跡Lcとを示している。
そして
図7は、上記供給手段4における容器1の移動軌跡Lsとキャッパ3における容器1の移動軌跡Lcとが接した受け渡し位置Aに、上記供給グリッパ14およびグリッパ15が位置した状態を示している。
これに対し、
図6は
図7に対して供給グリッパ14とグリッパ15とが上記受け渡し位置Aよりも回転方向上流側に位置した状態を示し、
図8は
図7に対して供給グリッパ14とグリッパ15とが上記受け渡し位置Aよりも回転方向下流側に位置した状態を示している。
【0020】
まず、図示しないが、
図6の状態よりもさらに回転方向上流側において、上記供給手段4の供給グリッパ14は閉鎖状態となって容器1を把持しており、上記キャッパ3のグリッパ15は完全に開放された状態となっている。
そして、上記各回転体4A、5Aが回転して、上記グリッパ15と供給グリッパ14とが接近すると、上記供給グリッパ14によって把持された容器1が、上記グリッパ15における上記把持部材21および腕状部材22の間に挿入されるようになっている。
【0021】
図6は、上記供給グリッパ14が開放動作を開始し、上記グリッパ15が閉鎖動作を開始し、これにより上記グリッパ15における上記腕状部材22の接触部22bが容器1のフランジ部1dに接触した状態を示している。
具体的に説明すると、まず上記供給グリッパ14は開放動作の途中であるため、依然として容器1の口部1bに接触しており、また容器1は上記供給グリッパ14の移動軌跡Lsに位置している。
一方、上記キャッパ3のグリッパ15が閉鎖動作を開始すると、上記把持部材21と腕状部材22とは一体的に閉鎖動作を行うが、上記腕状部材22に形成した接触部22bが、上記把持部材21の把持面25が容器1の首部1cに接触するのに先行してフランジ部1dに当接する。
つまり、グリッパ15の把持部材21は完全に閉鎖されていないことから、上記把持面25は容器1の首部1cに密着しておらず、また回転防止突起26も首部1cに係合していない状態となっている。
【0022】
図7は、
図6の状態からさらに上記供給グリッパ14が開放され、上記グリッパ15がさらに閉鎖された状態を示し、また上記容器1の中心が上記受け渡し位置Aに位置した状態を示している。
図7の状態では、供給グリッパ14の把持部材31は完全に開放しきっておらず、またキャッパ3のグリッパ15の把持部材21も完全に閉鎖しきっていない。
すなわち、容器1の口部1bとグリッパ15の把持面25との間には、ほんの僅かな隙間があり、このため容器1が把持面25に対してぐらつくと、当該容器1が上記グリッパ15による移動軌跡Lcからずれてしまう可能性がある。
しかしながら、補助把持手段を構成する腕状部材22の接触部22bが、容器1のフランジ部1dにおける把持部材22の先端側(回転体3Aの外方)に接触する。
すると、上記接触部22bが容器1を把持部材21の先端側から基部側(回転体3Aの内方)へと押圧し、これにより首部1cにおける把持部材21の基部側の部分が把持部材21の把持面25に形成された延長部25aに当接する。
その結果、上記腕状部材22によって押圧された容器1は、上記把持部材21の延長部25aとの間でがたつきなく保持され、かつ当該容器1の中心を上記グリッパの移動軌跡Ls上に位置させることができる。
【0023】
図8は、
図7の状態から供給グリッパ14が完全に開放状態となって容器1を解放し、一方でグリッパ15が完全に閉鎖状態となって容器1を把持して、容器1が供給手段4による移動軌跡Lsからキャッパ3による移動軌跡Lcへと移行し、容器1の受け渡しが完了した状態となっている
上述したように、
図7の状態において、腕状部材22と把持部材21とによってがたつきなく保持され、容器1の中心が上記移動軌跡Ls近傍に位置していることから、この状態でグリッパ15の把持部材21が閉鎖すると、上記把持面25が容器1の首部1cに沿って接触し、上記回転防止突起26が首部1cの外面に略均等に係合することとなる。
また
図7の状態から
図8の状態となる間、上記腕状部材22はそれ以上容器1を押圧することができず、閉鎖動作を継続できないため、把持部材21はばね27の付勢力に抗して閉鎖動作を継続し、腕状部材22は把持部材21に対してさらに開く方向に回転している。
【0024】
このように、容器1の首部1cに沿って把持部材21の把持面25が接触した状態では、当該容器1の中心と上記キャッピングヘッド17の回転軸とが一致し、上記装着位置Cにおいてキャッピングを行うことができる。
一方、上記供給グリッパ14は開放状態となって容器1から離隔しているため、その後供給手段4及びキャッパ3の回転体4A、5Aがそれぞれ回転を継続すると、上記供給グリッパ14は上記グリッパ15に把持された容器1に接触することなく容器1から離脱することとなる。
以上のように、上記補助把持手段としての腕状部材22によって容器1がグリッパ15の基部側もしくは先端側への移動を規制するため、
図6の状態において、仮に機械的誤差により供給グリッパ14の開放が図示したよりも開いており、より容器1のがたつきが発生しやすい場合であっても、容器1を上記グリッパ15による移動軌跡Lcに位置させることができ、確実な受け渡しを行うことができる。
【0025】
上述のとおり、上記
図5〜
図7は、上記容器1が設計上の寸法で製造された場合における、当該容器1の受け渡しを説明したものとなっており、これに対し、容器1の製造誤差によって、上記口部1b、フランジ部1d、首部1cの各寸法が、上記設計上の寸法に対して大径や小径となった容器1も存在する。
特に、容器1がHDPE製である場合であって、かつ上記首部1cの直径が設計上の直径よりも小径となった場合には、後述するように上記受け取り位置Aでの受け渡し不良が発生し、これに伴って上記キャッピングヘッド17によるキャッピング不良が発生することがあった。
このような問題に対し、本実施例のキャッパ3によれば、このような首部1cの直径が小径となっている容器1であっても、確実に容器1の受け渡しを行い、キャッピングを行うことが可能となっている。
ここでは、例えば設計上の寸法に対して、上記首部1c、フランジ部1d、口部1bの直径がそれぞれ95%程度に小径となった容器1の受け渡しについて説明する。
【0026】
図9〜
図11は、首部1cの直径が設計上の寸法よりも小径であった容器1を、供給グリッパ14からグリッパ15へと受け渡す様子を示したものであり、それぞれ上記
図6〜
図8に対応した状態を示している。
なお、
図9〜
図11において、供給グリッパ14およびグリッパ15の動作は上記
図6〜
図8の動作と同じであり、首部1cが小径となった容器1を把持するために特別な制御等は必要としない。
図9は、上記グリッパ15が閉鎖動作を開始した状態であるが、
図6と異なり、上記容器1のフランジ部1dが小径であることから、供給グリッパ14による容器の把持力は、設計上の寸法の直径を有する容器1を把持する場合よりも相対的に低下している。またこのとき、上記腕状部材22の接触部22bは容器1のフランジ部1dに接触していない。
【0027】
そして
図10の状態では、供給グリッパ14が
図9の状態からさらに開放されるが、容器1が小径である分だけ、供給グリッパ14の把持部材31と容器1の口部1bとの間の隙間は
図7の状態よりもさらに広がってしまい、容器1の把持部材31に対するぐらつき量が大きくなる。
しかしながら、
図10の状態まで把持部材21と腕状部材22とが閉鎖すると、上記腕状部材22の接触部22bが容器1のフランジ部1dに接触して、容器1を回転体3Aの外方から内方へと押圧し、当該容器1を把持部材21ににおける把持面25の延長部25aとの間で保持するため、容器1のぐらつきが阻止され、グリッパ15による容器1の理想的な移動軌跡Lcに容器1の中心を略一致させることができる。
そして、この状態から
図11に示すようにグリッパ15が完全に閉鎖状態となると、上記把持面25が首部1cに沿って接触され、また全ての回転防止突起26を首部1cの外面に均等に係合させることができる。
【0028】
このように、本実施例のキャッパ3によれば、製造誤差等によって首部1cの径が小径であった場合であっても、キャッパ3のグリッパ15において上記容器1の首部1cの中心をキャッピングヘッド17の回転軸に一致させた状態で把持することができる。
これに対し、
図12に示す、上記腕状部材22を備えない従来のキャッパ103においては、上記首部1cが小径の容器1を受け渡す際に以下のような受け渡し不良が発生する。
図12は本実施例における
図8、
図11にそれぞれ対応した状態を示し、ここで従来のキャッパ103の把持部材121と供給グリッパ114の把持部材131とは、本実施例と同様の動作をするようになっている。
図10で示したように、
図12の直前の状態において、上記供給グリッパ114は完全に開放されておらず、容器1は小径であることから、容器の口部1bとの間に隙間が生じており、容器1が把持部材131に対してぐらつきが生じている。
図12は、容器1がグリッパ115の移動軌跡Lcに対して把持部材121の先端側にずれた状態で把持された状態を示しており、回転防止突起126のうち把持部材121の先端側に位置したものだけが係合している。
容器1が比較的硬質なPET素材である場合、
図12の状態から把持部材121が閉鎖されても、回転防止突起126が容器1の表面を滑り、容器1が上記理想的な移動軌跡Lc上に移動する場合がある。
これに対し、容器1が軟質なHDPE製の場合、
図12の状態から把持部材121が閉鎖されると、容器1が把持部材121によって挟持されて変形し、また把持面125における先端側の回転防止突起126が首部1cに食い込むことから、容器1が上記理想的な移動軌跡Lcからずれたまま把持されてしまうこととなる。
このように容器1が理想的な移動軌跡Lcからずれ、回転防止126が部分的に係合した状態のまま、キャップ2の装着位置Cまで搬送されると、回転防止突起126による把持が不十分となり、キャッピングヘッド17からのトルクを受けきれずにキャップ2と容器1とが供回りすることがある。
その場合、供回りによるキャップ2と容器1との相対的な回転数が不足することでキャッピング不良が発生することとなる。
また、容器1の中心がグリッパ115の移動軌跡Lcよりずれた状態では、容器1の中心とキャッピングヘッド17の中心とが偏倚することになるため、供回りが生じなかった場合でも、ベレーキャップ等のキャッピング不良が生じるという問題が発生する恐れがある。
【0029】
図13、14は本発明にかかる第2実施例を示し、上記実施例のように補助把持手段としての上記腕状部材22が容器1のフランジ部1dを押圧するのに対し、それ以外の部分に当接する実施例となっている。なお、以下の説明において上記第1実施例と共通する構成については当該構成の符号に対して200を加算した符号を用いることとする。
本実施例の腕状部材222は、上記把持部材221の上方に設けられるとともに上記回転軸223に対して回転可能に設けられた揺動部222Aと、上記把持部材221の下方に設けられて上記接触部222bの形成された腕部222Bと、上記揺動部222Aと腕部222Bとを連結するステー229とから構成されている。
上記腕部222Bは、上記容器1の胴部1aにおける最大径の部分に設けるのが望ましく、上記実施例と同様、上記接触部222bは容器1における把持部材221の先端側に接触するようになっている。
【0030】
次に、
図15、
図16は、本発明にかかる第3実施例を示しており、上記第1、第2実施例では上記キャッパ3のグリッパ15に補助把持手段としての腕状部材22、222を設けているのに対し、本実施例では補助把持手段を供給手段304の各供給グリッパ315にそれぞれ設けたものとなっている。なお、以下の説明において上記第1実施例と共通する構成については当該構成の符号に対して300を加算した符号を用いることとする。
まず、本実施例におけるキャッパ303のグリッパ315は、上記腕状部材22、222が設けられていない以外、第1、第2実施例のグリッパ15、215と同じ構成を有し、また上記供給手段304における供給グリッパ314の把持部材331も、上記第1、第2実施例の把持部材31、231と同様の構成を有している。
そして、これらグリッパ315の把持部材321と供給グリッパ314の把持部材331とは、上記第1、第2実施例と同様のタイミングで開閉するようになっている。
上記補助把持手段341は、上記供給グリッパ314に把持される容器301よりも回転体304Aの内方に設けられたプッシャ342と、当該プッシャ342を常時回転体304Aの外方に付勢するばね等の付勢手段343とから構成されている。
上記プッシャ342は上記供給グリッパ314の把持部材331が把持する容器301の首部301cのさらに上方に接触し、上記供給グリッパ314に容器301が把持されている間、上記付勢手段343の付勢力によって当該容器301を常時回転体304Aの外方に押圧するようになっている。
【0031】
上記構成によると、供給手段304の供給グリッパ314とキャッパ303のグリッパ315とが、これらの移動軌跡Ls、Lcが接する受け渡し位置Aに位置し、上記供給グリッパ314の把持部材331およびグリッパ315の把持部材321が若干開いた状態において、上記補助把持手段341のプッシャ342が付勢手段343の付勢力によって容器301を上記把持部材331の先端側から基部側へと押圧する。
これにより、容器301は上記プッシャ342によって閉鎖動作中のグリッパ315の把持部材321に形成された把持面325の延長部325aに当接し、これにより容器301のぐらつきが解消されて、グリッパ315の移動軌跡Lc上に保持されることとなる。
その後、上記グリッパ315が完全に閉鎖されることで、容器301に上記把持面325に形成された回転防止突起326が係合し、容器301がグリッパ315によって適切に把持されることとなる。
【0032】
図17は第4の実施例を説明する図であり、上記第1〜第3実施例に対し、上記供給手段404およびキャッパ403はそれぞれ回転体を備えておらず、供給手段404は容器401をその上面に載置してこれを間欠的に搬送するベルトコンベヤとなっている。なお、以下の説明において上記第1実施例と共通する構成については当該構成の符号に対して400を加算した符号を用いることとする。
上記キャッパ403は所定の搬送経路に沿ってグリッパ415を移動させるとともに、図に示す受け渡し位置Aにおいて、当該グリッパ415の搬送経路から上記ベルトコンベヤ404上に突出して、当該ベルトコンベヤ404上の容器401を把持するものとなっている。
また上記グリッパ415は、第1〜第3実施例と同様、先端部に把持面425が形成された一対の把持部材421を有しており、上記把持面425には延長部425aおよび回転防止突起426が形成されている。
そしてグリッパ415は、把持部材421が開放された状態で上記ベルトコンベヤ404上の受け渡し位置Aに移動し、その状態でカム機構やサーボモータ等によって閉鎖されると、上記把持面425が容器401を把持し、回転防止突起426が容器401の首部401cに係合するようになっている。
【0033】
そして本実施例においては、上記受け渡し位置Aにおける上記グリッパ415とは反対側の位置に、上記補助把持手段441を設けたものとなっており、当該補助把持手段441は、上記容器401を押圧するプッシャ442と、当該プッシャ442を上記ベルトコンベヤ401の搬送方向に対して直交する方向に往復動させるエアシリンダー等の移動手段443とによって構成されている。
上記プッシャ442は上記容器401における胴部401aの高さに位置しており、容器401をグリッパ415の先端側から基部側へと押圧するようになっている。
【0034】
本実施例において、上記ベルトコンベヤ404は間欠的に容器401を搬送して、当該容器401を上記受け渡し位置Aに停止させる。この時、容器401は上記グリッパ415が理想的な状態で把持した仮想の容器401の位置に対して、搬送方向前後方向や直交方向に位置ずれが生じている場合がある。
搬送方向前後方向へのずれは、上記把持部材421が閉鎖されることによって上記把持面425が容器401を適正な位置に移動させるため問題とならないが、容器401が搬送方向に対して直交方向にずれていた場合、把持部材421が閉鎖された際に把持面425が首部401cの外面に密着せず、回転防止部材426の一部だけが係合する場合がある。
そこで本実施例では、上記容器401が受け渡し位置Aで停止し、上記グリッパ415が閉鎖されるのに先立ち、上記補助把持手段441が作動して上記プッシャ442が容器401に接触し、これを把持手段421の先端側から基部側へと押圧する。
プッシャ442に押圧された容器401は、上記把持部材421における把持面425の延長部425aに当接し、これにより容器401はがたつきなく保持されることとなる。
その後、上記把持部材421が閉鎖されて、上記把持面425が容器401の首部401cに密着し、また回転防止突起426が首部401cの外面に係合することで、容器401がグリッパ415によって適切に把持され、その後キャッピングされる。
【0035】
なお、第1、第2実施例、すなわちキャッパ3、203のグリッパ15、215に補助把持手段としての腕状部材22、222を設けた構成において、上記一対の腕状部材22、222のうち、いずれか一方を省略してもよい。
すなわち、一つの腕状部材であっても、当該腕状部材の接触部によって容器を把持部材の先端側から基部側に移動させることができれば、その後把持部材によって容器を適切に把持することが可能となる。
さらに、上記各実施例において、上記グリッパの把持面には回転防止部として回転防止突起を形成しているが、上記把持面をゴムなどの高摩擦係数の素材によって構成し、当該把持面の表面自体で回転防止部を構成してもよい。