(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジング蓋部に設けられた弾性押圧部は、前記同軸ケーブルの中心導体が接触する前記信号導電コンタクトと、嵌合相手の電気コネクタに設けられた信号導電コンタクトとの接続部位に対向するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の同軸型電気コネクタ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、簡易な構成で、良好な信号伝送特性を安定的に得ることができるようにした同軸型電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明では、ケーブル状信号伝送媒体の端末部分が連結される絶縁ハウジングを有し、その絶縁ハウジングに、
当該絶縁ハウジングの外表面を覆う導電性シェルと、前記ケーブル状信号伝送媒体の中心導体が接続される信号導電コンタクト
と、が取り付けられた電気コネクタにおいて、前記絶縁ハウジングには、前記信号導電コンタクトを覆うハウジング蓋部が開閉可能に設けられているとともに、前記ハウジング蓋部には、前記同軸ケーブルの中心導体に弾性的に接触して当該同軸ケーブルの中心導体を前記信号導電コンタクトに向けて押圧する弾性押圧部が設けられている
一方、前記導電性シェルに、前記ハウジング蓋部に対して外方側から重なり合うシェル蓋部が開閉可能に設けられ、そのシェル蓋部の閉塞時に、当該シェル蓋部の内面が前記弾性押圧部に圧接する構成になされたものであって、前記ハウジング蓋部には、前記シェル蓋部の内面が接触する当接受け部が前記弾性押圧部に隣接して設けられた構成が採用されている。
【0008】
このような構成を有する本発明によれば、同軸ケーブルの中心導体に対して、誘電体をなすハウジング蓋部が隣接するように配置されるために、同軸ケーブルの中心導体近傍の誘電率が低下して静電容量が小さくなることとなり、ハウジング蓋部の厚さを調整することによって同軸ケーブルに関する特性インピーダンスが適宜に調整され、伝送信号に対する特性インピーダンスのマッチング度合い(VSWR)が容易かつ適切に整合されることとなって、高周波信号の伝送が良好に行われる。
【0009】
また、これと同時に、同軸ケーブルの中心導体がハウジング蓋部の弾性押圧部により直接的に押圧されて信号導電コンタクトとの間で挟持状態になされることから、従来の導体挟持アームのように折曲げた際の塑性変形力により挟持するものに比して、同軸ケーブルの中心導体に対する押圧力が高められることとなって電気コネクタ全体の低背化が行われるとともに、そのハウジング蓋部の弾性押圧部による弾性的な押圧作用によって、当該ハウジング蓋部の押圧作用が長期にわたって安定的に維持される。
さらに、閉塞状態になされたシェル蓋部が、ハウジング蓋部の弾性押圧部をはじめとして当接受け部に対しても圧接状態となることから、電気コネクタの低背化が一層良好に行われる。
【0010】
また、本発明における前記弾性押圧部は、前記信号導電コンタクトに向かう突形状をなすように形成されていることが望ましい。
【0011】
このような構成を採用すれば、同軸ケーブルの中心導体に対してハウジング蓋部の弾性押圧部が確実に当接される。
【0012】
さらに、本発明における前
記当接受け部は、前記弾性押圧部に対して、前記同軸ケーブルの中心導体の延在方向およびその直交方向に隣接するように配置されていることが望ましい。
【0014】
さらにまた、本発明において前記ハウジング蓋部に設けられた弾性押圧部は、前記同軸ケーブルの中心導体が接触する前記信号導電コンタクトと、嵌合相手の電気コネクタに設けられた信号導電コンタクトとの接続部位に対向するように配置されていることが望ましい。
【0015】
このような構成を採用すれば、ハウジング蓋部の弾性押圧部からの押圧作用を受ける同軸ケーブルの中心導体が、信号導電コンタクト同士の接続部位に向かって押し付けられることとなり、それによって信号伝送回路が短縮化されて電気的特性が向上されることから、電気コネクタの信号伝送特性が高められる。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように本発明は、ケーブル状信号伝送媒体の中心導体が接続される信号導電コンタクトを取り付けられた絶縁ハウジングに、信号導電コンタクトを覆うハウジング蓋部を開閉可能に設けるとともに、そのハウジング蓋部に、同軸ケーブルの中心導体に弾性的に接触して押圧する弾性押圧部を設け、同軸ケーブルの中心導体に誘電体をなすハウジング蓋部を隣接配置することで誘電率を低下させて静電容量を小さくし、ハウジング蓋部の厚さの調整により伝送信号に対する特性インピーダンスのマッチング度合い(VSWR)を容易かつ適切に整合可能とすることで高周波信号の伝送を良好に行わせる一方、
導電性シェルに設けたシェル蓋部を閉塞させて当該シェル蓋部の内面を、ハウジング蓋部の
弾性押圧部及びその弾性押圧部に隣接する当接受け部に圧接させることで、ハウジング蓋部の弾性押圧部から同軸ケーブルの中心導体に付与される直接的かつ弾性的な押圧作用によって電気コネクタ全体の低背化を行うとともに、ハウジング蓋部の押圧作用が長期にわたって安定的に維持される構成としたものであるから、簡易な構成で、良好な信号伝送特性を安定的に得ることができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、信号伝送媒体として細線同軸ケーブルを使用する同軸型電気コネクタに本発明を適用した実施形態についての説明を図面に基づいて詳細に行う。
【0019】
[同軸型電気コネクタの全体構造について]
まず、
図1〜
図13に示されている本発明の第1の実施形態にかかる同軸型電気コネクタとしてのプラグコネクタ10は、ケーブル状信号伝送媒体としての細線同軸ケーブルSCの端末部分が連結される構成になされており、所定の印刷配線基板上に実装された相手側の電気コネクタとしてのリセプタクルコネクタ20(
図14〜
図17参照)に対して、上方から差し込むようにして嵌合又は抜去される構成になされている。その相手側電気コネクタの一例としてのリセプタクルコネクタ20に対するプラグコネクタ10の嵌合・抜去作業は、印刷配線基板の平面に対して略直交する方向に行われる。
【0020】
より具体的には、当該プラグコネクタ10における主たる嵌合部分を構成しているコネクタ本体部は、概略形状において円筒形状をなすように形成されており、その略円筒形状をなすプラグコネクタ10のコネクタ本体部に対して、径方向外方側の一方向から細線同軸ケーブルSCの端末部が連結され、その細線同軸ケーブルSCが連結された状態で、相手側の電気コネクタとしてのリセプタクルコネクタ20の上方位置に対面するようにプラグコネクタ10が配置される。そして、当該プラグコネクタ10の全体が、印刷配線基板の外表面に対して略直交する方向に下降されていくことによってプラグコネクタ10の下端部分がリセプタクルコネクタ(相手側電気コネクタ)20の上方側部分に対して嵌合状態になされる(
図15参照)。このようにリセプタクルコネクタ20に対してプラグコネクタ10が上方から差し込まれた嵌合状態になされることによって、細線同軸ケーブルSCの端末部がプラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ20を介して、図示を省略した印刷配線基板上の配線パターン導電路に接続されることとなる。
【0021】
ここにおいて、リセプタクルコネクタ(相手側電気コネクタ)20に対してプラグコネクタ10を差し込む方向を「下方向」とし、それとは反対に抜き出す抜去方向を「上方向」とする。また、プラグコネクタ10自体において、細線同軸ケーブルSCの端末部が接続される部分を「正面側部分」とするとともに、それとは反対側の部分を「背面側部分」とし、さらにその「背面側部分」から「正面側部分」に向かう方向を「コネクタ前方向」、その逆方向を「コネクタ後方向」とする。また、それらの「コネクタ上下方向」及び「コネクタ前後方向」の双方に直交する方向を「コネクタ左右方向」とする。
【0022】
[同軸ケーブルについて]
さらに、特に
図11に示されているように、ケーブル状信号伝送媒体としての細線同軸ケーブルSCは、複数の導線で形成されたケーブル中心導体(信号線)SCaの外周側にケーブル誘電体を介してケーブルシールド導体(シールド線)SCbが同軸状に積層されているとともに、ケーブルシールド導体(シールド線)SCbには外周被覆材が装着されている。そして、このような細線同軸ケーブルSCの端末部分において外周被覆材が皮剥きされていることによりケーブルシールド導体(シールド線)SCbが露出状態になされているとともに、ケーブルシールド導体(シールド線)SCb及びケーブル誘電体が皮剥きされることによりケーブル中心導体(信号線)SCaが露出状態になされている。
【0023】
そして、このような細線同軸ケーブルSCの中心軸に沿うように配置されたケーブル中心導体SCaが、絶縁ハウジング11に取り付けられた内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12に接続されることによって信号回路が構成される。また、ケーブル中心導体SCaの外周側を取り囲むように配置されたケーブルシールド導体SCbにはシールドシェル13が接続され、当該シールドシェル13が接地用のグランド導電コンタクトとして機能することでグランド回路が構成されるようになっている。
【0024】
[絶縁ハウジングについて]
ここで、上述した絶縁ハウジング11は、
図7及び
図8に示すように、主たる嵌合部分であるコネクタ本体部を構成する略円板形状の絶縁本体部11aを有しているとともに、その絶縁本体部11aの下方側部分に、嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20の内方側に挿入される絶縁挿入部11bを一体的に有している。そのうちの絶縁本体部11aには、上述した細線同軸ケーブルSCの端末部分が載置されるハウジング収容室11cが上方に開口するように形成されているとともに、そのハウジング収容室11cの開口部を上方側から開閉可能とするハウジング蓋部11dが設けられている。
【0025】
そのうちのハウジング収容室11cは、上述した絶縁本体部11aの正面側部分に横断面略半円状をなすように凹設されたケーブル受け部11c1を有しており、そのケーブル受け部11c1の内周壁面に、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが載置されて受けられるようになっている。また、このハウジング収容室11cの主室部分は、ケーブル受け部11c1から連通するように絶縁本体部11aの中央部分に平面略矩形状をなすように凹設されており、当該ハウジング収容室11cの主室部分には、内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12が固定されている。その内部導体コンタクト12の上方側には、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが載置される。
【0026】
また、上述したハウジング収容室11cを開閉可能とするように設けられたハウジング蓋部11dは、絶縁本体部11aの背面側端縁部分に一体的に連結された細長の舌片状部材から形成されており、絶縁本体部11aの背面側端縁部分から前方側の正面側端縁部分に向かって片持ち状をなすように延出している。そして、絶縁本体部11aの背面側端縁部分に対する連結部分を中心として上方に立ち上げられた
図8および
図9の初期の開放状態において、細線同軸ケーブルSCの端末部分が絶縁ハウジング11にセットされ(
図12参照)、その後に、後述するシェル蓋部13bとともに下方に折り曲げられるようにして、細線同軸ケーブルSCの上方側に沿って配置される略水平状態となるまで押し倒されることで、
図1〜
図3に示された閉塞状態になされる。
【0027】
このときのハウジング蓋部11dは、上述したハウジング収容室11cの上方開口縁部に沿った外形状を備えており、
図7に示されたハウジング蓋部11dの閉塞状態においては、ケーブル受け部11c1を含むハウジング収容室11cの上方開口部のほぼ全面を、ハウジング蓋部11dが上方側から覆う構成になされている。
【0028】
また、上述したハウジング蓋部11dの略中央部分には、帯板状部材からなる弾性押圧部11eが設けられている。この弾性押圧部11eは、ハウジング蓋部11dの閉塞状態(
図7参照)において、ケーブル中心導体(信号線)SCaの延在方向である「コネクタ前後方向」に沿って帯板状をなして延在するように形成されており、その弾性押圧部11eの板幅方向(コネクタ左右方向)の両側部分に形成されたスリット溝を介してハウジング蓋部11dから離間状態になされているとともに、当該弾性押圧部11eの延在方向(コネクタ前後方向)における両端部分が、ハウジング蓋部11dに対して一体的に連結されていることによって弾性的な可撓性を備えたものとなっている。
【0029】
そして、この弾性押圧部11eは、その延在方向における中央部分が、ハウジング蓋部11dの閉塞状態において下方側に向かって逆山形状をなすように突出する形状になされており、その下方側に突出する逆山形状の頂点部分が、ハウジング蓋部11dの閉塞状態(
図7参照)において細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対して上方側から弾性的に接触する配置関係になされている。
【0030】
すなわち、ハウジング蓋部11dは、後述する内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の上方側に配置されているとともに、そのハウジング蓋部11dに設けられた弾性押圧部11eが、内部導体コンタクト12に向かって下方に突出するように形成されており、その内部導体コンタクト12に対して細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが接触する部位に対して、上述した弾性押圧部11eの逆山形状部分が、上方側から対向する配置関係になされている。
【0031】
また、ハウジング蓋部11dの閉塞状態(
図7参照)においては、当該ハウジング蓋部11dの上面部分に、後述するシールドシェル13のシェル蓋部13bの内面が接触する当接受け部11fが設けられている。シールドシェル13のシェル蓋部13bについては後段において詳述するが、ハウジング蓋部11dに設けられた当接受け部11fは、適宜の平坦面をなすように形成されたものであって、ケーブル中心導体(信号線)SCaの延在方向である「コネクタ前後方向」において弾性押圧部11eの前方側部分に1体の当接受け部11fが設けられているとともに、ケーブル中心導体(信号線)SCaの延在方向に直交する「コネクタ左右方向」において弾性押圧部11eの両側部分に2体の当接受け部11f,11fが設けられている。そして、後述するシールドシェル13のシェル蓋部13bに窪むように形成されたハウジング押圧部13b5が、上述した当接受け部11fに対して上方側から圧接される構成になされている。
【0032】
一方、上述した内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の周囲を外方側から取り囲むようにして、グランドコンタクトとしてのシールドシェル13が、上述した絶縁本体部11aに取り付けられている。このような主たる嵌合部分を構成している絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aに対して絶縁挿入部11bは、上述したように絶縁本体部11aから下方に向かって一体的に突出する構成になされているが、当該絶縁挿入部11bは、略中空円筒状をなすように形成されている。この絶縁挿入部11bは、上述したように嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20の内方に向かって下端側から挿入される構成になされている。
【0033】
[シールドシェルについて]
さらに、上述した絶縁本体部11aおよび絶縁挿入部11bを有する絶縁ハウジング11の外側表面は、薄板金属状部材からなるシールドシェル13の主たる嵌合部分を構成している外部導体シェル13aによって覆われている。この外部導体シェル13aは、主として絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aを径方向外方側から環状に覆うように形成された略中空円筒形状になされている。また、この外部導体シェル13aの下方側部分は、上述した絶縁挿入部11bを径方向外方側から環状に覆うシェル挿入部13a1になされているとともに、当該外部導体シェル13aの上端側の円筒開口部分には、上述した絶縁本体部11aの上面側を覆うシェル蓋部13bが開閉可能に連結されている。
【0034】
このとき、細線同軸ケーブルSCの端末部分を接続して固定する前の初期状態におけるシールドシェル13は、特に
図9および
図10に示されているように、上述した外部導体シェル13aに対してシェル蓋部13bが上方側へ開放された状態になされている。すなわち、当該初期状態におけるシェル蓋部13bは、外部導体シェル13aの後方側端縁部分に、細幅の板状部材からなる繋ぎ部材13b1を介して略鉛直上方に立ち上がるように配置されている。また、そのシェル蓋部13bの蓋内面、すなわち当該シェル蓋部13bが閉塞された際に内方側に位置する面には、前述したように絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aから上方に立ち上がるように形成された舌片状部材からなるハウジング蓋部11dが、シェル蓋部13bの蓋内面に沿うように配置されている。なお、上述した繋ぎ部材13b1の設置位置及び設置個数は任意に選定することが可能である。
【0035】
そして、シールドシェル13の開放状態(初期状態)において、細線同軸ケーブルSCの端末部分が、絶縁ハウジング11のケーブル受け部11c1に受けられるように載置されてセットされた後(
図12参照)、繋ぎ部材13b1がハウジング蓋部11dとともに下方側に向かって略直角に折り曲げられるようにしてシールドシェル13のシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒されると、それによって絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aの全体が、シェル蓋部13bにより上方側から覆われ、シールドシェル13が閉塞状態になされる。一方、そのシェル蓋部13bとともにハウジング蓋部11dも略水平状態まで押し倒されるが、それによって絶縁本体部11aのハウジング収容室11cが、ハウジング蓋部11dにより上方側から閉塞される。
【0036】
このときのシェル蓋部13bは、上述したように略水平状態まで押し倒されて閉塞された際に、外部導体シェル13aの上端側の円筒開口部分を覆うように被せられる構造になされているが、その略水平状態まで押し倒されたシェル蓋部13bの正面側部分には、細線同軸ケーブルSCの特にケーブル誘電体およびケーブルシールド導体(シールド線)SCbを上方側から覆う前方カバー部13b2が一体的に連設されている。この前方カバー部13b2は、細線同軸ケーブルSCとともに、上述した外部導体シェル13aから前方側に突出するケ一ブル保護アーム13bを外方側から覆う構成になされている。
【0037】
このときのケ一ブル保護アーム13b6は、細線同軸ケーブルSCのケーブルシールド導体(シールド線)SCbの底部から左右方向の両側を挟むようにして、前述した外部導体シェル13aの正面側端縁部分から細線同軸ケーブルSCの端末部分に沿って前方側に突出するように設けられている。
【0038】
また、上述したようにシェル蓋部13bの正面側から突出するように設けられた前方カバー部13b2の両側縁部には、一対の舌片状部材からなる第1固定保持板13b3および第2固定保持板13b4が、フランジ板状をなすように設けられている。そのうちの第1固定保持板13b3は、細線同軸ケーブルSCおよびケ一ブル保護アーム13b6を外方側から覆うように折り曲げられてカシメ固定される構成になされている。
【0039】
すなわち、これら一対の第1固定保持板13b3,13b3を構成している両側フランジ板は、シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、ケ一ブル保護アーム13b6の両側外方に位置するように配置され、その状態からカシメを行うようにケ一ブル保護アーム13b6の両側外壁面に沿ってコネクタ内方側に折り曲げられ、それによって外部導体シェル13aに対するシェル蓋部13bの固定が行われるとともに、細線同軸ケーブルSCのケーブルシールド導体(シールド線)SCbがシェル蓋部13bに固定されるようになっている。また、それと同時に、ケーブルシールド導体(シールド線)SCbがシールドシェル13と電気的に接続されることでグランド回路が構成される。
【0040】
さらに、第2固定保持板13b4は、上述した第1固定保持板13b3の前方側に隣接して並列するように設けられており、比較的小型のフランジ板から形成されている。この第2固定保持板13b4は、細線同軸ケーブルSCにおける外周被覆材を外方側から覆うように折り曲げられてカシメ固定される構成になされている。
【0041】
すなわち、その第2固定保持板13b4を構成している両側フランジ板は、シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、細線同軸ケーブルSCにおける外周被覆材に位置するように配置され、その状態からカシメを行うようにコネクタ内方側に折り曲げられる。それによって、細線同軸ケーブルSCの外周被覆材に対するシェル蓋部13bの固定が行われる。
【0042】
ここで、前述したシェル蓋部13bのハウジング押圧部13b5は、絶縁ハウジング11のハウジング蓋部11dに設けられた当接受け部11fに対応した位置に形成されたものであって、当接受け部11fに対して上方側から対面する位置に平面略矩形状をなすように凹設されている。
【0043】
より具体的には、ハウジング蓋部11dに設けられた弾性押圧部11eに対して「コネクタ左右方向」の両側部分に配置された一対の当接受け部11f,11fに対面する細長形状のものと、弾性押圧部11eに対してコネクタ前方側に配置された一体の当接受け部11fに対面する短長形状のものとを有しており、それらハウジング押圧部13b5の下方側へ突出する平坦面が、前述したようにシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒されて閉塞された際に、絶縁ハウジング11のハウジング蓋部11dに設けられた当接受け部11fを上方側から下方に押し付ける構成になされている。それによって、ハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対して確実に圧接されるようになっている。
【0044】
一方、前述したようにシールドシェル13における外部導体シェル13aの下方側部分を構成しているシェル挿入部13a1は、嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20の径方向外方側部分に外嵌される構成になされており、リセプタクルコネクタ20の径方向内方側に挿入される絶縁ハウジング11の絶縁挿入部11bとともにコネクタ連結部分を構成している。より具体的には、このシェル挿入部13a1の挿入側の下端部分には、径方向内方側に向かって突出する環状凹溝からなる連結係合部が形成されており、前述したようにシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された後に、当該シェル挿入部13a1の連結係合部が、嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20に設けられた連結係止部に対して弾性的な嵌合関係になされるようになっている。
【0045】
[シグナル導電コンタクトについて]
また、本実施形態において採用されている内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12は、前述した絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aに圧入又はインサート成形等により取り付けられているが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが接続されるケーブル載置部12aを有しているとともに、そのケーブル載置部12aから下方側に向かって延出するように設けられた弾性バネ部12bが、嵌合相手としてのリセプタクルコネクタ20に設けられた信号導電コンタクト22(
図14〜
図17参照)に対して、弾性的に接触する構成になされている。
【0046】
この内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12のケーブル載置部12aは、平坦面状をなして延在する板状部材から形成されており、前述した絶縁ハウジング11における絶縁本体部11aの上表面に載置された状態で固定されている。このケーブル載置部12aの表面上には、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが上方から載置される構成になされており、前述したように絶縁ハウジング11のケーブル受け部11c1に細線同軸ケーブルSCの端末部分が載置された際に、当該細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体SCaが、ケーブル載置部12aの表面に対して上方側から載置される。
【0047】
このようにして細線同軸ケーブルSCの端末部分が、絶縁ハウジング11のケーブル受け部11c1に載置されてケーブル中心導体SCaが内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の表面に載置された後には、シールドシェル13のシェル蓋部13bが、前述した絶縁ハウジング11のハウジング蓋部11dとともに略水平状態まで押し倒されることとなるが、その際、ハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eが、特に
図4〜
図6に示されているように、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaを上方側から押圧する。そのハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eによる下方側押圧力を付与されたケーブル中心導体(信号線)SCaは、内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12のケーブル載置部12aに対して圧接されて電気的な接続が良好に行われる。
【0048】
また、上述した導電コンタクト12のケーブル載置部12aの略中央部分には、丸穴形状をなす接続監視穴が貫通形成されているが、当該接続監視穴とほぼ同軸状をなすようにして、後述するリセプタクルコネクタ20の信号導電コンタクト22が挿入される貫通孔が、絶縁ハウジング11の絶縁挿入部11bに形成されている。そのリセプタクルコネクタ20のコンタクト挿入用の貫通孔は、接続監視穴としての機能を兼ねており、上述した接続監視穴を通して、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaの配置状態が下方側から目視可能となっている。
【0049】
さらに、前述したように内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12のケーブル載置部12aは、コネクタ前後方向に延在する板状部材から形成されているが、当該ケーブル載置部12aの板幅方向(コネクタ左右方向)における両側端縁部からは、下方側に向かって一対の弾性バネ部12b,12bが所定の間隔をなして一体的に延出しており、それら二又状をなすように形成された両弾性バネ部12b,12b同士の間部分に、後述する嵌合の相手であるリセプタクルコネクタ20に設けられたピン形状の信号導電コンタクト22が、圧接状態で挿入されて電気的に接続される構成になされている。
【0050】
一方、嵌合の相手コネクタであるリセプタクルコネクタ20は、
図14〜
図17に示されているように、印刷配線基板(図示省略)上に載置される平面略矩形状をなすベース状枠体からなる絶縁ハウジング21を有しているとともに、その絶縁ハウジング21の中心部分に、信号伝送用の信号導電コンタクト22が装着されているとともに、その信号導電コンタクト22に対して半径方向の外方側を環状に取り囲むようにして接地用のグランドコンタクト23が装着されている。
【0051】
[信号導電コンタクトの構成について]
信号導電コンタクト22は、所定の薄厚金属部材から形成されたものであるが、上述した絶縁ハウジング21の略中心に相当する位置に、中空のピン形状をなす嵌合接触部が上方に立ち上がるように配置されているとともに、その嵌合接触部の下端部から外方側に向かって接続脚部22aが延出している。絶縁ハウジング21の略中心部分に配置された嵌合接触部は、前述したプラグコネクタ10の内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12において二股状をなすように設けられた弾性バネ部12b,12b同士の間部分に嵌め込まれ、それによって電気的な接続を行う構成になされている。このリセプタクルコネクタ20の信号導電コンタクト22に設けられた嵌合接触部が、プラグコネクタ10の内部導体コンタクト12に設けられた弾性バネ部12b,12bに接続される部位に対しては、前述したプラグコネクタ10におけるハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eが、直上位置に対向するように配置されている。
【0052】
また、上述したように信号導電コンタクト22の嵌合接触部から延出している接続脚部12aは、絶縁ハウジング21の底面に沿って延在する帯板状部材から形成されており、絶縁ハウジング21の一端縁から外方側に向かって突出している。この接続脚部22aの外方側突出部分または当該接続脚部22aの全体は、図示しない印刷配線基板上に形成された信号伝送用の信号導電路に対して半田接合される。
【0053】
[グランドコンタクトの構成について]
一方、グランドコンタクト23も、例えば所定の薄厚金属板の折り曲げ部材から形成されており、略円筒状の中空形状をなすように形成されたグランド本体部を有しているとともに、当該円環状をなすグランド本体部の外周部分における下縁には、複数(3体)の接続脚部23aが半径方向の外方側に向かって一体的に延出するように設けられている。これらの両接続脚部23aは、図示しない印刷配線基板上に形成されたグランド接続用のグランド導電路に対してそれぞれ半田接合される。
【0054】
このような構成を有する本実施形態によれば、シールドシェル13のシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒されて閉塞された際に、誘電体をなす絶縁ハウジング11のハウジング蓋部11dが、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対して上方側に隣接して配置されることとなり、ケーブル中心導体(信号線)SCa近傍の誘電率が低下して静電容量が小さくなる。従って、絶縁ハウジング11のハウジング蓋部11dの厚さを調整することによって細線同軸ケーブルSCに関する特性インピーダンスが適宜に調整され、伝送信号に対する特性インピーダンスのマッチング度合い(VSWR)が容易かつ適切に整合されることとなって、高周波信号の伝送が良好に行われる。
【0055】
また、これと同時に、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが、絶縁ハウジング11のハウジング蓋部11dに設けられた弾性押圧部11eに直接的に押圧されることによって信号導電コンタクト12のケーブル載置部12aとの間で挟持状態になされることから、従来の導体挟持アームのように折曲げた際の塑性変形力で挟持するものに比して、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対する押圧力が高められることとなり、電気コネクタ全体が下方に押し込まれて低背化が行われる。また、その細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対するハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eによる弾性的な押圧作用によって、ハウジング蓋部11dからの押圧作用が長期にわたって安定的に維持される。
【0056】
さらに本実施形態においては、弾性押圧部11eが内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12に向かう突形状をなすように形成されていることから、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対してハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eが確実に当接される。
【0057】
さらにまた、本実施形態においては、閉塞状態になされたシールドシェル13のシェル蓋部13bに設けられたハウジング押圧部13b5が、ハウジング蓋部11dに設けられた当接受け部11fに対しても圧接状態となることから低背化が一層良好に行われる。
【0058】
加えて、本実施形態におけるハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eは、細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが接触する内部導体コンタクト(シグナル導電コンタクト)12の弾性バネ部12b,12bと、嵌合の相手コネクタであるリセプタクルコネクタ20に設けられた信号導電コンタクト22の嵌合接触部との接続部位の直上位置に対向するように配置されていることから、ハウジング蓋部11dの弾性押圧部11eからの押圧作用を受ける細線同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaが、信号導電コンタクト12,22同士の接続部位に向かって押し付けられる。その結果、信号伝送回路の短縮化が図られて電気的特性が向上され、電気コネクタの信号伝送特性が高められる。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0060】
例えば、上述した実施形態は、垂直嵌合型の電気コネクタに本発明を適用したものであるが、水平嵌合型の電気コネクタに対しても同様に適用することができる。
【0061】
また、本発明は、上述した実施形態のような単芯の細線同軸ケーブル用コネクタに限定されることはなく、多極状に配置された同軸ケーブル用コネクタや、同軸ケーブルと絶縁ケーブルとが複数混合したタイプの電気コネクタ等についても同様に適用することが可能である。