特許第6241642号(P6241642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241642
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】無線検出器及び無線検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/49 20060101AFI20171127BHJP
   H04B 1/7163 20110101ALI20171127BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04L25/49 C
   H04B1/7163
   H04B1/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-100319(P2013-100319)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-220745(P2014-220745A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年5月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】504030495
【氏名又は名称】株式会社日本ジー・アイ・ティー
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】李 還幇
(72)【発明者】
【氏名】三浦 龍
(72)【発明者】
【氏名】西川 久
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−164555(JP,A)
【文献】 特開2006−121608(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0183063(US,A1)
【文献】 特開2007−089053(JP,A)
【文献】 特開2008−061239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/49
H04B 1/16
H04B 1/7163
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インパルスUWBを検出する無線検出器であって、
受信した前記インパルスUWBのノイズ除去と増幅とを行う低ノイズ増幅器と、
前記低ノイズ増幅器による処理後の信号の、時間軸に対する電圧の振幅を検出する包絡線検出器と、
前記包絡線検出器により検出された前記電圧の振幅に基づき電圧−電流変換を行う電圧電流変換器と、
前記電圧電流変換機からの出力電流による充電を行うことで、前記インパルスUWBの互いにエネルギーの総量が同一である各パルスの電流を時間で積分するコンデンサと、
所定時間内に前記コンデンサに充電された前記出力電流の量を所定の閾値と比較するコンパレータと、
前記コンパレータによる比較の結果、充電された前記出力電流の量が前記閾値以上の場合は1、前記閾値より少ない場合には0とする波形整形を行い、デジタルデータを出力する出力器と、
前記出力部による出力または予め定められた検出時間をトリガーとして前記コンデンサのディスチャージを行うリセットスイッチを駆動するディスチャージャと、
を備えることを特徴とする無線検出器。
【請求項2】
前記コンデンサは、電圧の振幅が所定の電圧閾値以上であるパルスと、電圧の振幅が当該電圧閾値未満であるパルスが混在している前記インパルスUWBにおける各パルスの電流を時間で積分することを特徴とする請求項1記載の無線検出器。
【請求項3】
インパルスUWBを検出する無線検出方法であって、
受信した前記インパルスUWBのノイズ除去と増幅とを行う低ノイズ増幅工程と、
前記低ノイズ増幅工程による処理後の信号の、時間軸に対する電圧の振幅を検出する包絡線検出工程と、
前記包絡線検出工程により検出された前記電圧の振幅に基づき電圧−電流変換を行う電圧電流変換工程と、
前記電圧電流変換工程により出力される出力電流による充電を行うことで、前記インパルスUWBの互いにエネルギーの総量が同一である各パルスの電流を時間で積分する充電工程と、
単位時間内に前記充電工程で充電された前記出力電流の量を所定の閾値と比較する比較工程と
前記比較工程における比較の結果、充電された前記出力電流の量が前記閾値以上の場合は1、前記閾値より少ない場合には0として、波形整形を行いデジタルデータとして出力する出力工程と、
前記出力工程による出力または予め定められた検出時間をトリガーとして前記コンデンサのディスチャージを行うディスチャージ工程と、
を備えることを特徴とする無線検出方法。
【請求項4】
前記充電工程では、電圧の振幅が所定の電圧閾値以上であるパルスと、電圧の振幅が当該電圧閾値未満であるパルスが混在している前記インパルスUWBにおける各パルスの電流を時間で積分することを特徴とする請求項3記載の無線検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インパルスUWB(Ultra Wide Band、超広帯域無線)通信方式に基づいて無線通信を行う際に好適な無線検出器及び無線検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、時間幅が極めて小さいパルス信号を用いて通信を行うインパルスUWB方式による無線通信が実用化されている(非特許文献1参照)。
【0003】
インパルスUWB通信では、1ナノ秒程度の非常に短い時間幅のパルス信号を利用し、そのパルス信号の時間軸上の位置や振幅および位相などを変化させることで情報を伝送する。
【0004】
UWB信号が占有する周波数帯域幅は500MHzから数GHz以上と非常に広くなるが、1ナノ秒の非常に短い時間幅のパルス信号を用いることから、高いデータレートの信号伝送や高精度の測距が実現され得る。
【0005】
こうしたインパルスUWBを用いる無線通信システムでは、送信側はパルス生成器とパルス送出タイミング等を制御するためのコントローラを用いてインパルスUWBの送信を行い、受信側では送信側から送出されたパルスを検出して復調を行う。
【0006】
このように機器の構成を簡略化できるため、低コストかつ低消費電力の通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】K. Furusawa, M. Sasaki, J. Hioki, M. Itami,:"Schemes of optimization of energy detection receivers for UWB-IR communication systems under different channel model", IEEE International Conference on Ultra-Wideband (ICUWB 2008), Volume 1, pp.157-160, 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、インパルスUWBを用いる無線通信システムでは、利用できる占有周波数帯域が狭くなると、インパルス波は、時間軸に対する電圧の波高値(振幅)が低くなり、時間軸に沿い広がった波形となる。
【0009】
図3は、従来の無線検出器により検出可能であるインパルスUWBの波形と、検出不可能である波形を示す図である。鋭いインパルス波形Aと、時間軸に沿い広がったインパルス波形Bとのエネルギー総量は同じである。
【0010】
しかし、従来の無線通信システムでは、電圧の振幅が所定の閾値以上である場合に検波対象としていたため、鋭いインパルス波形Aしか検出することができなかった。そして、相対的に占有周波数帯域の狭い無線通信システムにおいて見られる、時間軸に沿い広がったインパルス波形Bを検出することができなかったため、検波効率の低下が生じていた。
【0011】
こうした問題に対応すべく、受信エンベロップ信号を高速ADコンバータによりデジタル化し、デジタルデータを積分する手法を採用することも考えられる。
【0012】
しかし、数ns程度の受信波を的確にデジタル化するには数GHz以上のADサンプリングが必要となるため、軽量小型化を目指す通信モジュールには不適であり、また、製造コストや電力消費量も上昇してしまう。そのため、軽量小型であり、安価であることが求められるインパルスUWBを用いる無線通信システムに採用することはできなかった。
【0013】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、軽量小型で安価な構成を用いつつ、時間軸に対して広がったインパルス波形についても高感度に検波することのできる無線検出器及び無線検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明に係る無線検出器は、インパルスUWBを検出する無線検出器であって、受信した前記インパルスUWBのノイズ除去と増幅とを行う低ノイズ増幅器と、前記低ノイズ増幅器による処理後の信号の、時間軸に対する電圧の振幅を検出する包絡線検出器と、前記包絡線検出器により検出された前記電圧の振幅に基づき電圧−電流変換を行う電圧電流変換器と、前記電圧電流変換機からの出力電流による充電を行うことで、前記インパルスUWBの互いにエネルギーの総量が同一である各パルスの電流を時間で積分するコンデンサと、所定時間内に前記コンデンサに充電された前記出力電流の量を所定の閾値と比較するコンパレータと、前記コンパレータによる比較の結果、充電された前記出力電流の量が前記閾値以上の場合は1、前記閾値より少ない場合には0とする波形整形を行い、デジタルデータを出力する出力器と、前記出力部による出力または予め定められた検出時間をトリガーとして前記コンデンサのディスチャージを行うリセットスイッチを駆動するディスチャージャと、を備えることを特徴とする。
【0015】
第2発明に係る無線検出器は、第1発明において、前記コンデンサは、電圧の振幅が所定の電圧閾値以上であるパルスと、電圧の振幅が当該電圧閾値未満であるパルスが混在している前記インパルスUWBにおける各パルスの電流を時間で積分することを特徴とする。
【0016】
第3発明に係る無線検出方法は、インパルスUWBを検出する無線検出方法であって、受信した前記インパルスUWBのノイズ除去と増幅とを行う低ノイズ増幅工程と、前記低ノイズ増幅工程による処理後の信号の、時間軸に対する電圧の振幅を検出する包絡線検出工程と、前記包絡線検出工程により検出された前記電圧の振幅に基づき電圧−電流変換を行う電圧電流変換工程と、前記電圧電流変換工程により出力される出力電流による充電を行うことで、前記インパルスUWBの互いにエネルギーの総量が同一である各パルスの電流を時間で積分する充電工程と、単位時間内に前記充電工程で充電された前記出力電流の量を所定の閾値と比較する比較工程と、前記比較工程における比較の結果、充電された前記出力電流の量が前記閾値以上の場合は1、前記閾値より少ない場合には0として、波形整形を行いデジタルデータとして出力する出力工程と、前記出力工程による出力または予め定められた検出時間をトリガーとして前記コンデンサのディスチャージを行うディスチャージ工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
第4発明に係る無線検出方法は、第3発明において、前記充電工程では、電圧の振幅が所定の電圧閾値以上であるパルスと、電圧の振幅が当該電圧閾値未満であるパルスが混在している前記インパルスUWBにおける各パルスの電流を時間で積分することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成からなる本発明によれば、従来検出対象とならなかった電圧の波高の低いインパルスUWBについても検出対象とすることができ、検波効率を向上することができる。また、無線検出器をアナログ回路で構成することにより、安価かつ軽量小型である通信モジュールを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る無線検出器のシステム構成ブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る無線検出器による検出波形を示す図であり、(A)は電圧−電流変換前のインパルスUWBの波形を、(B)は(A)のインパルスUWBを電圧−電流変換してコンデンサに充電された後の波形を示す。
図3】従来の無線検出器により検出可能であるインパルスUWBの波形と、検出不可能であるインパルスUWBの波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態としての無線検出器について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る無線検出器のシステム構成ブロック図である。図1に示すように、無線検出器1は、アンテナ2と、低ノイズ増幅器(LNA)3と、包絡線検出器4と、電圧電流変換器5と、コンデンサ6と、コンパレータ7と、出力器8と、ディスチャージャ9と、リセットスイッチ10と、を備えて構成されている。
【0022】
アンテナ2は、送信機から発せられたインパルスUWBを受信するためのアンテナである。
【0023】
LNA3は、アンテナ2を介して受信した弱い信号であるインパルスUWBに混入されている雑音を抑えつつ、UWB信号を増幅する。
【0024】
包絡線検出器4は、LNA3から出力された信号の包絡線に基づき、この信号の時間軸に対する電圧の振幅を検出する。
【0025】
電圧電流変換器5は、包絡線検出器4により検出された電圧の振幅に基づき電圧−電流変換を行う。
【0026】
コンデンサ6は、電圧電流変換器5からの出力電流による充電を行う。
【0027】
コンパレータ7は、所定時間内にコンデンサ6に充電された出力電流の量を、所定の閾値と比較する。
【0028】
出力器8は、コンパレータ7による比較の結果、所定時間内にコンデンサ6に蓄えられた電流の量が所定の閾値以上である場合は1、前記閾値より少ない場合には0として、コンデンサ6からの出力に対して波形整形を行い、デジタルデータとして出力する。
【0029】
ディスチャージャ9は、出力部8による出力を受信し、この出力または予め定められた検出時間をトリガーとしてコンデンサ6のディスチャージを行うリセットスイッチ10を駆動する。
【0030】
リセットスイッチ10は、コンデンサ6について充電が可能な状態と、コンデンサ6のディスチャージを行う状態とを切り替えるためのスイッチであり、上述したディスチャージャ9からのトリガーに応じて駆動し、コンデンサ6のディスチャージを行う状態に切り替えられる。
【0031】
次に、上述した構成を備える無線検出器1によるインパルスUWBの検出について説明する。
【0032】
まず、アンテナ2が、外部の無線発信器から発信されたインパルスUWBの受信を行う。このインパルスUWBは、上述した図3に示すように、時間に応じて電圧の振幅が変化する波形となっている。
【0033】
次に、LNA3が、アンテナ2により受信されたインパルスUWBに混入されている雑音を抑えつつ、UWB信号を増幅する。こうすることで、微弱な信号であり、雑音による影響を受けやすいインパルスUWBについて、雑音による影響を抑制し、信号の検出を精度良く行うことができる。
【0034】
次に、包絡線検出器4が、LNA3から出力された信号の包絡線に基づき、この信号の時間軸に対する電圧の振幅を検出する。
【0035】
次に、電圧電流変換器5が、包絡線検出器4により検出された電圧の振幅に基づき電圧−電流変換を行い、変換後の出力電流をコンデンサ6に出力する。
【0036】
次に、コンデンサ6は、電圧電流変換器5からの出力電流による充電を行う。本実施形態に係る無線検出器1では、受信したインパルスUWBについて電圧電流変換器5による電圧−電流変換が行われるとともに、変換後の電流がコンデンサ6に蓄えられるため、いわば電流が時間で積分されることになる。
【0037】
ここで、電圧−電流変換後の波形を図2に基づいて説明する。図2は、本実施形態に係る無線検出器による検出波形を示す図であり、(A)は電圧−電流変換前のインパルスUWBの波形を、(B)は(A)のインパルスUWBを電圧−電流変換してコンデンサに充電された後の波形を示す。
【0038】
図2(A)は、図3と同様に、横軸が時間、縦軸が電圧を示すグラフであり、波形A、Bは、図3に示す波形A、Bと同じ波形である。従来の無線検出器では、上述したように波形A、Bのエネルギーの総量は同じであるにも関わらず、Aの波形のみ検出可能であり、Bの波形は検出不可能であった。
【0039】
図2(B)は、横軸が図2(A)と同様に時間を示し、縦軸は電流を示すグラフとなっていて、コンデンサ6に蓄えられる電流の総量を示している。
【0040】
図2(B)の波形A’は図2(A)の波形Aについて電圧電流変換器5により電圧−電流変換した後にコンデンサ6に蓄えられる電流の総量を示している。波形B’は図2(A)の波形Bについて同様に電圧−電流変換した後にコンデンサ6に蓄えられる電流の総量を示している。波形A’と波形B’についても、波形A、Bと同様、エネルギーの総量は同じである。
【0041】
ここで、図2(A)のAに示す波形は電圧が高いため、この波形を電圧−電流変換したものを用いてコンデンサ6の充電を行う場合には、充電が迅速に行われ、図2(B)のA’に示すような波形となる。
【0042】
一方、図2(A)のBに示す波形は電圧が低いため、この波形を電圧−電流変換したものを用いてコンデンサ6の充電を行う場合には、充電がA’の波形と比較して緩やかに行われ、図2(B)のB’に示すように、A’よりも傾きが緩やかな波形となる。しかし、波形A’と波形B’のいずれについても、コンデンサ6に充電される電流の総量は同じである。
【0043】
こうしてインパルスUWBについて電圧電流変換器5により電圧−電流変換を行い、変換後の出力電流をコンデンサ6に充電することで、従来検出対象とならなかった波高の低い電圧により構成されるインパルスUWBについても検出対象として用いることが可能となる。
【0044】
次に、所定時間内にコンデンサ6に蓄えられた電流量について、コンパレータ7が所定の閾値との比較を行うとともに、比較結果、すなわち、電流量が所定の閾値以上であるか否かについての情報を、出力器8に出力する。
【0045】
次に、出力器8が、コンパレータ7による比較の結果、電流量が所定の閾値以上である場合には1、所定の閾値より少ない場合には0として波形整形を行い、デジタルデータを出力する。
【0046】
また、ディスチャージャ9は、出力器8から出力されたデジタルデータまたは予め定められた検出時間をトリガーとしてリセットスイッチ10を駆動し、コンデンサ6のディスチャージを行う。こうしてコンデンサ6に蓄えられた電流がリセットされ、蓄電量が0となる。このディスチャージは、出力器8から出力されたデジタルデータが1のときも、0のときも、いずれの場合も行われる。
【0047】
こうしてコンデンサ6のディスチャージが行われた後、図示せぬ駆動手段によりリセットスイッチ10は再びコンデンサ6のチャージが可能な状態へと切り替えられる。これにより、コンデンサ6は再び充電可能な状態となり、無線検出器1は更なるインパルスUWBの検出を行うことができるようになる。
【0048】
上述した本実施形態に係る無線検出器1によると、図2(A)に示すような、従来検出対象とならなかった波高の低い電圧により構成されるインパルスUWBについても、電圧に変換してコンデンサ6に蓄えることで検出対象とすることができるため、検波効率を向上することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る無線検出器1は、アナログ回路で構成されているため、安価かつ省スペース性に優れた通信モジュールとなっている。
【0050】
なお、出力器8から出力されたデジタルデータは、無線検出器1に接続される、図示しないその他の各種構成による処理に用いられる。こうした無線検出器1とその他の構成が協働することで、例えば測距用の機器等としての機能を発揮するようにしてもよい。
【0051】
こうした測距用の無線検出器1によると、数十センチ単位の僅かな誤差による正確な測距を行うことができるため、例えば倉庫等における物品の保管位置の特定や、店舗内における視覚障害者に対する目的地への案内等に応用することができる。
【0052】
また、本発明に係る無線検出器1を、体内に埋め込まれるか、あるいは装着されて使用される超小型医療機器によりボディエリアネットワーク(BAN)に応用することもできる。こうしたBANは、人体内を撮像し、あるいは体内の各種情報をセンシングし、取得したデータを体外の受信装置へと送信する。そして受信装置によりデータを解析することで、人体の異常を検知することができる。
【0053】
なお、本発明に係る無線検出器1は、測距やBAN以外の通信に適用可能であることは言うまでもない。こうした無線検出器1を用いることで、検波効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 無線検出器
2 アンテナ
3 低ノイズ増幅器(LNA)
4 包絡線検出器
5 電圧電流変換器
6 コンデンサ
7 コンパレータ
8 出力器
9 ディスチャージャ
10 リセットスイッチ
図1
図2
図3