特許第6241645号(P6241645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241645
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】太陽熱利用のタンク加温撹拌設備
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/74 20060101AFI20171127BHJP
   B01F 15/06 20060101ALI20171127BHJP
   B01F 7/32 20060101ALI20171127BHJP
   B01F 7/00 20060101ALI20171127BHJP
   B65D 90/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B65D88/74
   B01F15/06 Z
   B01F7/32 A
   B01F7/00 A
   B65D90/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-121027(P2013-121027)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237473(P2014-237473A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147729
【氏名又は名称】株式会社石井鐵工所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏治
(72)【発明者】
【氏名】中原 優誌
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−020057(JP,A)
【文献】 実開昭59−049156(JP,U)
【文献】 実開昭48−063143(JP,U)
【文献】 実開昭57−097838(JP,U)
【文献】 特開平07−071696(JP,A)
【文献】 特公昭37−002424(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/74
B01F 7/00
B01F 7/32
B01F 15/06
B65D 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク近傍に太陽熱システムと蓄熱調整器を設置し、太陽熱エネルギーを直接単一の熱媒体に吸収変換して循環し、タンク貯液の加温用熱源と撹拌動力源に有効利用することを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備において、記熱媒体をタンク配管へ送って、ベースヒータを介してタンク貯蔵液を加温し、かつ回転駆動部に供給し撹拌翼を回転させ、記熱媒体としてタンクの貯蔵液を循環させて加熱し、かつ上記回転駆動部に送って上記撹拌翼を回転させるとともにタンク貯蔵液内へ吐出させることを特徴とし、上記回転駆動部を、タンク底部上に設置したタービン装置と、鉛直に立設した回転軸と、この回転軸を覆う円筒体を上端縁で一体に固着した構造とし、 上記撹拌翼、鉛直方向から外側へ向けて放射状に曲げた、吸入口と吐出口を有する複数本の通液管を、上記回転軸を覆う円筒体の外周に取付けて形成した構造としたことを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備
【請求項2】
タンク近傍に太陽熱システムと蓄熱調整器を設置し、太陽熱エネルギーを直接単一の熱媒体に吸収変換して循環し、タンク貯液の加温用熱源と撹拌動力源に有効利用することを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備において、記熱媒体をタンク配管へ送って、ベースヒータを介してタンク貯蔵液を加温し、かつ回転駆動部に供給し撹拌翼を回転させ、記熱媒体としてタンクの貯蔵液を循環させて加熱し、かつ上記回転駆動部に送って上記撹拌翼を回転させるとともにタンク貯蔵液内へ吐出させることを特徴とし、 上記回転駆動部を、タンク底部上に設置したタービン装置と、鉛直に立設した回転軸を設けて形成した構造とし、上記撹拌翼を、上記回転軸の外周に、上記回転駆動部から連通する吸入口を取付け、この吸入口の上端部に複数本の曲げた通液管を上方に向けて放射状に分岐させて設け、上記通液管の先端に吐出口を設けた構造としたことを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タンクの近傍に設置した太陽熱システムの熱エネルギーを、タンク貯蔵液の加温及び撹拌のエネルギーに使用して、省エネルギー化と撹拌効率の向上を図ることを目的とした太陽熱利用のタンク加温撹拌設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は従来例のタンク加温撹拌設備で、平底円筒形のタンク1にベースヒータ21と加熱供給機器21aを設け、さらに撹拌装置22と撹拌駆動器22aを設けた貯蔵タンクの事例である。
この従来例のタンク加温撹拌設備は、原油や重油、ベンゼン等の加温と撹拌を必要とする貯蔵液1aを、ベースヒータ21と加熱供給機器21aによって加温し、さらに撹拌装置22と撹拌駆動器22aによって撹拌するように、貯蔵タンク1に設置したものである。
【0003】
特許文献1の特開昭61―223449号公報「タンク内貯蔵液の加熱システム」の発明は、石油、薬品等のタンク貯蔵液を適正な温度に加温し、かつ適正な出荷温度に加熱するシステムであって、保温室と加熱室に区切ってヒータを配設し、エネルギー消費量の軽減化を図る構成が開示されている。
【0004】
特許文献2の特開平6―7659号公報「高粘性液の撹拌方法」の発明には、ポンプの吸込口をタンク底部のヒータ近くに、排出口をタンク上部にそれぞれ設け、ヒータ近くの加熱された高粘性液を循環させて撹拌する構成が開示されている。
【0005】
特許文献3の特開平9−40076号公報「CWM貯槽の石炭粒子堆積防止装置」の発明には、下降管および噴出管がCWM貯槽の中心軸を回転中心として回転し、噴出口から噴出されたCWMが底板上に堆積した石炭粒子を撹拌し堆積を防止する構成が開示されている。
【0006】
特許文献4の特開平11−37393号公報「低温液化ガスタンク内の層状化防止装置」の発明には、低温液化ガスタンクの内底部に撹拌器を設置し、受入管より受入れられる低温液化ガスの流入圧力により撹拌器の羽根車を回転させて、層状化を防止する構成が開示されている。
【0007】
特許文献5の特開平11−208773号公報「CWM貯槽」の発明には、貯槽の底壁近傍範囲を撹拌するように、底壁近傍範囲から近い位置に、液中駆動の撹拌装置を設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61―223449号公報
【特許文献2】特開平6―7659号公報
【特許文献3】特開平9−40076号公報
【特許文献4】特開平11−37393号公報
【特許文献5】特開平11−208773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6に示す従来例のタンク加温撹拌設備のベースヒータ21と撹拌装置22は、加熱スチームによる加熱供給機器21aと電動による撹拌駆動器22aの両方のエネルギーによる駆動設備が必要となって、熱効率及び撹拌効率が良くない等の欠点があった。
【0010】
特許文献1の「タンク内貯蔵液の加熱システム」の発明は、石油、薬品等のタンク貯蔵液を適正な温度に加温し、かつ適正な出荷温度に加熱するシステムであって、保温室と加熱室に区切ってヒータを配設し、エネルギー消費量の軽減化を図る構成が開示されているが、太陽熱を利用した省エネルギー化と撹拌性能の向上を目的としたシステムではない。
【0011】
特許文献2の「高粘性液の撹拌方法」の発明には、ポンプの吸込口をタンク底部のヒータ近くに、排出口をタンク上部にそれぞれ設け、ヒータ近くの加熱された高粘性液を循環させて撹拌する構成が開示されているが、太陽熱を利用したものではなく、加熱と撹拌をそれぞれ別のシステムで行うものである。
【0012】
特許文献3の「CWM貯槽の石炭粒子堆積防止装置」の発明には、下降管および噴出管がCWM貯槽の中心軸を回転中心として回転し、噴出口から噴出されたCWMが底板上に堆積した石炭粒子を撹拌し堆積を防止する構成が開示されている構造は、太陽熱などを利用して加温しながら撹拌を行うものではない。
【0013】
特許文献4の「低温液化ガスタンク内の層状化防止装置」の発明には、低温液化ガスタンクの内底部に撹拌器を設置し、受入管より受入れられる低温液化ガスの流入圧力により撹拌器の羽根車を回転させて、層状化を防止する構成が開示されているが、低温液化ガスを撹拌するものであって貯蔵液の加温を行うものではない。
【0014】
特許文献5の「CWM貯槽」の発明には、貯槽の底壁近傍範囲を撹拌するように、底壁近傍範囲から近い位置に、液中駆動の撹拌装置を設ける構成が開示されているが、貯蔵液の加温を行うものではない。
【0015】
この発明は上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、加温と撹拌を必要とするタンク貯蔵液に対して、加温の熱エネルギー源および撹拌の動力エネルギー源として太陽熱を有効利用し、省エネ化と撹拌効率の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備は、タンク近傍に太陽熱システムと蓄熱調整器を設置し、太陽熱エネルギーを直接単一の熱媒体に吸収変換して循環し、タンク貯液の加温用熱源と撹拌動力源に有効利用することを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備において、記熱媒体をタンク配管へ送って、ベースヒータを介してタンク貯蔵液を加温し、かつ回転駆動部に供給し撹拌翼を回転させ、記熱媒体としてタンクの貯蔵液を循環させて加熱し、かつ上記回転駆動部に送って上記撹拌翼を回転させるとともにタンク貯蔵液内へ吐出させることを特徴とし、上記回転駆動部を、タンク底部上に設置したタービン装置と、鉛直に立設した回転軸と、この回転軸を覆う円筒体を上端縁で一体に固着した構造とし、 上記撹拌翼、鉛直方向から外側へ向けて放射状に曲げた、吸入口と吐出口を有する複数本の通液管を、上記回転軸を覆う円筒体の外周に取付けて形成した構造としたことを特徴とする
【0017】
請求項2の発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備は、タンク近傍に太陽熱システムと蓄熱調整器を設置し、太陽熱エネルギーを直接単一の熱媒体に吸収変換して循環し、タンク貯液の加温用熱源と撹拌動力源に有効利用することを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備において、記熱媒体をタンク配管へ送って、ベースヒータを介してタンク貯蔵液を加温し、かつ回転駆動部に供給し撹拌翼を回転させ、記熱媒体としてタンクの貯蔵液を循環させて加熱し、かつ上記回転駆動部に送って上記撹拌翼を回転させるとともにタンク貯蔵液内へ吐出させることを特徴とし、 上記回転駆動部を、タンク底部上に設置したタービン装置と、鉛直に立設した回転軸を設けて形成した構造とし、上記撹拌翼を、上記回転軸の外周に、上記回転駆動部から連通する吸入口を取付け、この吸入口の上端部に複数本の曲げた通液管を上方に向けて放射状に分岐させて設け、上記通液管の先端に吐出口を設けた構造としたことを特徴とする
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備は、タンク近傍に太陽熱システムと蓄熱調整器を設置し、太陽熱エネルギーを直接単一の熱媒体に吸収変換して循環し、タンク貯液の加温用熱源と撹拌動力源に有効利用することを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備において、記熱媒体をタンク配管へ送って、ベースヒータを介してタンク貯蔵液を加温し、かつ回転駆動部に供給し撹拌翼を回転させ、記熱媒体としてタンクの貯蔵液を循環させて加熱し、かつ上記回転駆動部に送って上記撹拌翼を回転させるとともにタンク貯蔵液内へ吐出させることを特徴とし、上記回転駆動部を、タンク底部上に設置したタービン装置と、鉛直に立設した回転軸と、この回転軸を覆う円筒体を上端縁で一体に固着した構造とし、 上記撹拌翼、鉛直方向から外側へ向けて放射状に曲げた、吸入口と吐出口を有する複数本の通液管を、上記回転軸を覆う円筒体の外周に取付けて形成した構造としたので、
太陽熱エネルギーを利用して加熱設備と撹拌設備を同時に稼動し、貯蔵液の温度を上昇させて迅速に均一化することができるため、加熱設備と撹拌設備を別々に稼動する場合と比べて、省エネルギーとなる。
単一の太陽エネルギーだけで加温と撹拌が同時にできる。また撹拌翼の駆動は加圧した熱媒体で行うので、電源が不要で防爆上も安全となる。
太陽エネルギーで直接貯蔵液を加温することが出来る上に、液体の吐出によって撹拌を同時に効率よく行うことができる。
通液管の吸入口から流入した貯蔵液は、撹拌翼の回転による遠心力によって通液管内の流動が促進され通液管の吐出口から勢いよく吐出し、この吐出した噴出流によって鉛直螺旋方向の流れが生じるため、撹拌翼の回転による水平円周方向への旋回流と複合してタンク内貯蔵液の撹拌を効率よく行うことができる。
貯蔵液は、撹拌翼の回転による通液管の水平円周方向のせん断抵抗によって旋回流が生じて撹拌される。
また、加熱した熱媒体蒸気を円筒体へ送って通液管を加熱することにより、通
液管内の貯蔵液の温度低下に伴う粘性増加や凝固による流動障害を防止する。こ
の通液管の加熱によって、上部の吸入口から流入し下部の吐出口から吐出する遠心力による通液管内の貯蔵液の流動が良くなり、鉛直螺旋方向の流れによる撹拌が促進される。
このように、水平円周方向への旋回流と鉛直螺旋方向への流れを複合させて、効率良くタンク内の貯蔵液を撹拌することができる。
通液管を鉛直下方向から外側へ向けて放射状に曲げて取付ける構造は、通液管内を下降する液の通りが良いため、タンク底部に沈降し易い物質を含む貯蔵液を撹拌する場合に有効である。
【0021】
請求項2の発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備は、タンク近傍に太陽熱システムと蓄熱調整器を設置し、太陽熱エネルギーを直接単一の熱媒体に吸収変換して循環し、タンク貯液の加温用熱源と撹拌動力源に有効利用することを特徴とする太陽熱利用のタンク加温撹拌設備において、記熱媒体をタンク配管へ送って、ベースヒータを介してタンク貯蔵液を加温し、かつ回転駆動部に供給し撹拌翼を回転させ、記熱媒体としてタンクの貯蔵液を循環させて加熱し、かつ上記回転駆動部に送って上記撹拌翼を回転させるとともにタンク貯蔵液内へ吐出させることを特徴とし、 上記回転駆動部を、タンク底部上に設置したタービン装置と、鉛直に立設した回転軸を設けて形成した構造とし、
上記撹拌翼を、上記回転軸の外周に、上記回転駆動部から連通する吸入口を取付け、この吸入口の上端部に複数本の曲げた通液管を上方に向けて放射状に分岐させて設け、上記通液管の先端に吐出口を設けた構造としたので、
太陽熱エネルギーを利用して加熱設備と撹拌設備を同時に稼動し、貯蔵液の温度を上昇させて迅速に均一化することができるため、加熱設備と撹拌設備を別々に稼動する場合と比べて、省エネルギーとなる。
単一の太陽エネルギーだけで加温と撹拌が同時にできる。また撹拌の駆動は加圧した熱媒体で行うので、電源が不要で防爆上も安全となる。
太陽エネルギーで直接貯蔵液を加温することが出来る上に、液体の吐出によって撹拌を同時に効率よく行うことができる。
通液管の吸入口から流入した貯蔵液は、撹拌翼の回転による遠心力によって通液管内の流動が促進され通液管の吐出口から勢いよく吐出し、この吐出した噴出流によって鉛直螺旋方向の流れが生じるため、撹拌翼の回転による水平円周方向への旋回流と複合してタンク内貯蔵液の撹拌を効率よく行うことができる。
貯蔵液を吐出口から回転させながら吐出することによって、螺旋状の液流を生じさせてタンク内の貯蔵液を効率良くジェット撹拌し加温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の第1の実施形態例を示す全体説明図である。
図2】本発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の第2の実施形態例を示す全体説明図である。
図3図1のタンク加温撹拌設備の詳細構造を示す説明図である。
図4図3の変化例の構造を示す説明図である。
図5図2のタンク加温撹拌設備の詳細構造を示す説明図である。
図6】従来例のタンク加温撹拌設備で、ベースヒータと撹拌設備を設けたタンクを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の実施形態例について図1から図5を参照しながら説明する。本発明は下記の実施形態にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記の実施形態に変更(例えば構成要素の省略または付加、構成要素の形状の変更等)を加えることが出来るのはもちろんである。なお、図は概略を示すもので、一部のみを描き詳細構造は省略した。
【0026】
図1は、本発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の第1の実施形態例の全体説明図である。
1は平底円筒形のタンクで、原油や重油、ベンゼン等の加温と撹拌を必要とする貯蔵液1aを貯蔵している。
2は太陽熱エネルギー利用の集熱器(ソーラーパネル)等を有する太陽熱システム、3は熱媒体の温度や熱量などを調整する蓄熱調整器を示す。この太陽熱システム2は、タンク屋根やタンクヤードなど、タンク1の近傍の日差しの良い場所に設置する。なお、夜間や天候が悪い時には、外部電源を併用した蓄熱調整器3を用いて、太陽熱エネルギーの不足分の補充や熱量の調整を行うように形成する。
タンク1内部の底板上には回転駆動部4と撹拌翼5を設置し、さらにタンク配管6と循環ポンプP1、ベースヒータ6a、排出管6bを接続設置する。
上記太陽熱システム2で単一の熱媒体を直接昇温し、循環ポンプP1でタンク配管6からベースヒータ6aに送って、このベースヒータ6aでタンク1の貯蔵液1aを加温するように形成する。
また同時に、上記循環ポンプP1とタンク配管6(ベースヒータ6a)を介して、上記熱媒体を回転駆動部4へ送って撹拌翼5を回転させてタンク貯液1aの撹拌に使用するように形成する。
【0027】
このように、太陽熱システム2で昇温した単一の熱媒体を、循環ポンプP1によって直接ベースヒータ6aへ送ってタンク貯蔵液1aの加温に使用し、また同時に、回転駆動部4から撹拌翼5へ送って撹拌駆動に使用することにより、従来の加熱機器と撹拌装置を別々に稼動する場合と比べて、熱損が少なく太陽熱エネルギーを有効利用して省エネルギー化を図ることができる。
また、太陽熱エネルギーが不足する際には、外部電源併用の蓄熱調整器3を用いることにより、加熱と熱量の調整を行うことができる。
上記のように、貯蔵液1a内の撹拌翼5の駆動は、加圧した熱媒体を回転駆動部4へ送って行うので、電源が不要で防爆上も安全となる。
【0028】
図2は、本発明に係る太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の第2の実施形態例の全体説明図である。
平底円筒形のタンク1は、原油や重油、ベンゼン等の加温と撹拌を必要とする貯蔵液1aを貯蔵している。
12は太陽熱エネルギー利用した集熱器(ソーラーパネル)等を有する太陽熱システムで、タンク1近傍の日差しの良い場所に設置する。13は外部電源併用の蓄熱調整器で、熱量の調整を行うとともに、夜間や天候が悪い時には、この蓄熱調整器13を用いて太陽熱エネルギー不足分の補充や熱量の調整を行う。
タンク1内部の底板上に回転駆動部14と撹拌翼15を設置し、タンク配管16と送液管16a(吐出口)、排液管16bと吸入口16cを設けて、上記太陽熱システム12及び蓄熱調整器13と連結し、循環ポンプP2で貯蔵液1aを循環するように形成する。
上記太陽熱システム12によってタンク1の貯蔵液1aを昇温し、循環ポンプP2でタンク配管16に送り、送液管16a(吐出口)からタンク1の貯蔵液1a内へ吐出して貯蔵液1aを加温するように形成する。また同時に、上記貯蔵液1aを回転駆動部14に送ることにより撹拌翼15を回転させて、タンク貯液1aの撹拌に使用するように形成する。
【0029】
このように、タンク1の貯蔵液1aを送液管16aと排液管16bと吸入口16cよりなるタンク配管16で循環し、太陽熱システム12で貯蔵液1aを直接加熱するので、熱損が少なく太陽熱エネルギーの利用効率が良い。
さらに、貯蔵液1aを回転駆動部14に送って撹拌翼15を回転させるとともに、タンク貯蔵液1a内へ吐出させるので、従来のジェット噴出ミキサーと比べて、吐出と撹拌を同時に効率よく行うことができる。
また、太陽熱エネルギーが不足する際には外部電源併用の蓄熱調整器13を用いることにより、安定した稼動を継続することができる。
貯蔵液1a内の撹拌翼15の駆動は、電源を使用することなく循環ポンプP2で貯蔵液1aを回転駆動部14に送って行うので防爆上も安全となる。
【0030】
図3は、図1に示した太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の第1事例の詳細図で、4は回転駆動部、5は撹拌翼、6はタンク配管、P1は循環ポンプである。
回転駆動部4は、タンク底部上に設置したボックス内のタービン装置4aと、鉛直に立設した回転軸4bを設けて形成する。
加熱し加圧した熱媒体蒸気をポンプP1によってベースヒータ6aへ送り、タンク貯蔵液1aの加温に使用するとともに、回転駆動部4のタービン装置4aへ送って回転軸4bを支軸にして撹拌翼5を回転させてタンク貯液1aの撹拌に使用する。
図3の撹拌翼5は、回転軸4bの外周に複数本の曲げた中空パイプ状の通液管5aを取付けた事例を示す。
この通液管5aは、回転軸4bに沿って鉛直下方向から外側へ向けて放射状に曲げた複数本を取付けた事例であって、5bは貯蔵液1aの吸入口、5cは貯蔵液1aの吐出口である。
また、図示例は通液管5aを真円形状の中空管構造で形成した場合を示すが、回転に伴う水平円周方向の液抵抗を少なくする楕円形状や液滴形状の中空管構造を採用してもよい。
【0031】
撹拌翼5の回転による通液管5aの水平円周方向のせん断抵抗によって、旋回流(Rで示す)が生じ周囲の貯蔵液1aが撹拌される。
さらに通液管5a上部の吸入口5bから流入した通液管5a内の貯蔵液1aは、撹拌翼5の回転による遠心力によって通液管5a内の流動が促進され、通液管5a下部の吐出口5cから勢いよく吐出する。この吐出した噴出流によって、鉛直螺旋方向の流れ(Mで示す)が生じる。
このように、撹拌翼5の回転によって、水平円周方向への旋回流(R)と鉛直螺旋方向への流れ(M)が生じ複合して、効率良くタンク内の貯蔵液1aを撹拌することができる。
図3に示すように、通液管5aを回転軸4bの周囲に鉛直下方向から外側へ向けて放射状に曲げた複数本を取付け、下方に向けた旋回流を発生させる事例は、タンク底部近傍に流れを吹付けて撹拌する場合に有効である。
なお図示はしないが図3の事例とは逆に、回転軸の周囲に通液管を鉛直上方向から外側へ向けて放射状に曲げた複数本を取付けた場合は、タンク底部近傍の貯蔵液を吸い上げて撹拌する場合に有効となる。
【0032】
図4は、図3に示した太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の変化例で、4は回転駆動部、5は撹拌翼、6はタンク配管、P1は循環ポンプである。
回転駆動部4は、タンク底部上に設置したボックス内のタービン装置4aと、鉛直に立設した回転軸4bを設け、さらにこの回転軸4bを覆う円筒体4cを上端縁で一体に固着して形成する。
加熱し加圧した熱媒体蒸気をポンプP1でベースヒータ6a及び回転駆動部4の円筒体4cへ送ってタンク貯蔵液1aの加温に使用するとともに、タービン装置4aへ送って回転軸4bを支軸にして円筒体4cと共に撹拌翼5を回転させてタンク貯液1aの撹拌に使用する。
図4に示す撹拌翼5は、複数本の曲げた中空パイプ状の通液管5aで形成し、貯蔵液1aを流動させる吸入口5b及び吐出口5cを有する。
この通液管5aは、上記回転軸4bを覆う円筒体4cを介して回転軸4bの周囲に鉛直下方向から外側へ向けて放射状に曲げて取付ける。


【0033】
貯蔵液1aは、撹拌翼5の回転による通液管5aの水平円周方向のせん断抵抗によって旋回流(Rで示す)が生じて撹拌される。
また、加熱した熱媒体蒸気を円筒体4cへ送って通液管5aを加熱することにより、通液管5a内の貯蔵液1aの温度低下に伴う粘性増加や凝固による流動障害を防止する。この通液管5aの加熱によって、上部の吸入口5bから流入し下部の吐出口5cから吐出する遠心力による通液管5a内の貯蔵液1aの流動が良くなり、鉛直螺旋方向の流れ(Mで示す)による撹拌が促進される。
このように、水平円周方向への旋回流(R)と鉛直螺旋方向への流れ(M)を複合させて、効率良くタンク内の貯蔵液1aを撹拌することができる。
図4に示すように、通液管5aを鉛直下方向から外側へ向けて放射状に曲げて取付ける事例は、通液管5a内を下降する液の通りが良いため、タンク底部に沈降し易い物質を含む貯蔵液を撹拌する場合に有効である。
【0034】
図5は、図2に示した太陽熱利用のタンク加温撹拌設備の第2事例の詳細図で、14は回転駆動部、15は撹拌翼、16はタンク配管、P2は循環ポンプである。
回転駆動部14は、タンク底部上に設置したボックス内のタービン装置14aと、鉛直に立設した回転軸14bを設けて形成する。
撹拌翼15は、回転軸14bの外周に、回転駆動部14から連通する吸入口15bを取付け、この吸入口15bの上端部に複数本の曲げた通液管15aを上方に向けて放射状に分岐させて設け、通液管15aの先端に吐出口15cを設ける。
16aは、貯蔵液1aを回転駆動部14及び撹拌翼15へ流動させるタンク底部の送液管である。
【0035】
加熱し加圧した貯蔵液1aを、ポンプP2によって送液管16aから回転駆動部14へ送り、タービン装置14aの回転軸14bを支軸にして撹拌翼15を回転(Rで示す)させる。
続いて、この貯蔵液1aを撹拌翼15の吸入口15bから放射状の通液管15aに分散し吐出口15cからタンク内へ吐出(Nで示す)させる。
このように、貯蔵液1aを吐出口15cから回転させながら吐出することによって、螺旋状の液流を生じさせてタンク内の貯蔵液1aを効率良くジェット撹拌し加温することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
上記太陽熱利用のタンク加温撹拌設備は、加温と撹拌を必要とする種々構造のタンクや各種貯蔵設備に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 タンク
1a 貯蔵液
2、12 太陽熱システム
3、13 蓄熱調整器
4、14 回転駆動部
5、15 撹拌翼
6、16 タンク配管

21 ベースヒータ
22 撹拌装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6