(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁性材からなる板状の給電用コア(100、200、300、400、500)と、導線によって構成され、前記給電用コアに設けられ、前記給電用コアを磁路として用いる給電用コイル(101、102、201、202、301、302、401、402、501、502)とを有する給電パッド(10、20、30、40、50)を備え、一方の前記給電パッドの前記給電用コアと他方の前記給電パッドの前記給電用コアの板厚方向に背向する面のうちいずれかの面を互いに対向させた状態で、一方の前記給電パッドから他方の前記給電パッドに非接触で電力を供給する非接触給電装置において、
少なくともいずれかの前記給電パッドの前記給電用コイルは、
当該給電パッドを構成する前記給電用コアの板厚方向に背向する面のうち他の前記給電用コアと対向する対向面に沿って前記対向面と平行な方向に並べられた導線によって構成される第1コイル部(101b、102b、201b、202b、301b、302b、401b、402b、501b、502b)と、
少なくともいずれかが前記給電用コアの外周面に沿って配置され、前記給電用コアの板厚方向に並べられた導線によって構成される第2コイル部(101c、102c、201c、202c、301c、302c、401c、402c、501c、502c)と、
を有し、
前記第2コイル部の板厚方向の寸法が、前記第1コイル部の板厚方向の寸法より大きいことを特徴とする非接触給電装置。
前記第2コイル部(201c、202c、501c、502c)は、前記給電用コアの外周面を覆うとともに、さらに対向する他の前記給電用コア側に向かって並べられた導線によって構成されることを特徴とする請求項2に記載の非接触給電装置。
前記第2コイル部(301c、302c、401c、402c、501c、502c)は、前記給電用コアの板厚方向及び板厚方向と直交する方向に並べられた導線によって構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非接触給電装置。
前記第1コイル部(501b、502b)は、前記給電用コアの対向面と平行な方向及び給電用コアの板厚方向に並べられた導線によって構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非接触給電装置。
前記給電用コアに埋設される前記インダクタコイルは、軸心部及び軸心部の端部の少なくともいずれかが空気層又は非磁性材からなることを特徴とする請求項6に記載の非接触給電装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係る非接触給電装置を、電気自動車やハイブリッド車に搭載されたメインバッテリに非接触で送電する非接触給電装置に適用した例を示す。
【0014】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図8を参照して第1実施形態の非接触給電装置の構成について説明する。なお、図中における前後方向、左右方向及び上下方向は、車両における方向を示すものである。
【0015】
図1に示すように、電気自動車やハイブリッド車は、モータジェネレータMGと、メインバッテリB1と、インバータ回路INVと、補機Sと、補機バッテリB2と、DC/DCコンバータ回路CNVと、制御器CNTとを備えている。
【0016】
モータジェネレータMGは、3相交流を供給することでモータとして動作し、車両の走行のための駆動力を発生する機器である。また、車両の減速時において、外部からの駆動力によって回転することでジェネレータとして動作し、3相交流を発生する機器でもある。
【0017】
メインバッテリB1は、直流高電圧を出力する充放電可能な電源である。
【0018】
インバータ回路INVは、モータジェネレータMGがモータとして動作するとき、メインバッテリB1の出力する直流を3相交流に変換してモータジェネレータMGに供給する回路である。また、モータジェネレータMGがジェネレータとして動作するとき、モータジェネレータMGの出力する3相交流を直流に変換してメインバッテリB1に供給する回路でもある。
【0019】
補機Sは、直流低電圧を供給することで動作するワイパー装置や電動パワーステアリング装置等の周辺装置である。
【0020】
補機バッテリB2は、直流低電圧を出力する充放電可能な電源である。
【0021】
DC/DCコンバータ回路CNVは、メインバッテリB1の出力する直流高電圧を直流低電圧に変換して補機バッテリB2及び補機Sに供給する回路である。
【0022】
制御器CNTは、メインバッテリB1、補機バッテリB2、モータジェネレータMGに関する情報に基づいてインバータ回路INV、DC/DCコンバータ回路CNV及び補機Sを制御する装置である。
【0023】
非接触給電装置1は、車両の外部に設置された外部電源PSから車両に搭載されたメインバッテリB1に非接触で電力を供給し、メインバッテリB1を充電する装置である。非接触給電装置1は、送電側パッド10(給電パッド)と、送電回路11と、受電側パッド12と、受電回路13とを備えている。
【0024】
送電側パッド10は、駐車スペース内に車両を駐車したときに車両の底部に設置された受電側パッド12と対向する駐車スペース内の地表面の所定位置に設置され、電流が流れることで磁束を発生する装置である。
図2〜
図7に示すように、送電側パッド10は、コア100(給電用コア)と、コイル101、102(給電用コイル)と、導電部材103とを備えている。
【0025】
コア100は、磁性材からなり、磁路を構成する矩形板状の部材である。具体的には、フェライトやダストコアからなる部材である。コア100の上面の前後方向の中央部近傍には、左右方向に延在する溝部100aが形成されている。
【0026】
コイル101、102は、電流が流れることで磁束を発生する略矩形環状の部材である。コイル101、102は、断面形状が略正方形状である導線101a、102aを3ターンずつ巻いて構成されている。例えば、被覆細線が撚り合わされたリッツ線又はソリッドバスバーによって構成されている。コイル101、102は、第1コイル部101b、102bと、第2コイル部101c、102cとを備えている。
【0027】
第1コイル部101bは、コア100の板厚方向に背向する上下面のうち受電側パッド12のコアと対向する上面に沿って、上面と平行な前後方向に並べられた導線101aによって構成される部位である。第1コイル部101bを構成する3本の導線101aは、溝部100aの前側に、左右方向に延在するような状態で前後方向に1列に並んで配置されている。
【0028】
第2コイル部101cは、コア100の外周面に沿ってコア100の板厚方向である上下方向に並べられた導線101aによって構成される部位である。第2コイル部101cを構成する3本の導線101aは、前後方向に延在するような状態で、コア100の前側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、左右方向に延在するような状態で、コア100の前面を覆うように、前面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。
【0029】
第1コイル部102bは、コア100の板厚方向に背向する上下面のうち受電側パッド12のコアと対向する上面に沿って、上面と平行な前後方向に並べられた導線102aによって構成される部位である。第1コイル部102bを構成する3本の導線102aは、溝部100aの後側に、左右方向に延在するような状態で前後方向に1列に並んで配置されている。
【0030】
第2コイル部102cは、コア100の外周面に沿って上下方向に並べられた導線102aによって構成される部位である。第2コイル部102cを構成する3本の導線102aは、前後方向に延在するような状態で、コア100の後側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、左右方向に延在するような状態で、コア100の後面を覆うように、後面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。
【0031】
その結果、
図5に示すように、第2コイル部101c、102cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部101b、102bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア100の前後面及び左右側面が導線101a、102aで全て覆われることになる。
【0032】
導電部材103は、導電材からなり、コア100の下面側の漏れ磁束を抑えるための板状の部材である。導電部材は、コア100の下面に当接するように配置されている。
【0033】
図1に示す送電回路11は、受電回路13との間で無線通信によって情報を送受信し、受信した情報に基づいて外部電源PSの出力を高周波の交流に変換し、送電側パッド10に供給する回路である。
図8に示すように、送電回路11は、電力変換回路110と、フィルタ回路111と、共振用コンデンサ112とを備え、車両の外部に設置されている。
【0034】
電力変換回路110は、外部電源PSの出力を高周波の交流に変換し出力する回路である。電力変換回路110の入力端は外部電源PSに、出力端はフィルタ回路111及び送電側パッド10に接続されている。
【0035】
フィルタ回路111は、電力変換回路110から供給される交流に含まれる所定の周波数成分を除去する回路である。フィルタ回路111は、インダクタコイル1110と、コンデンサ1111とを備えている。
【0036】
図5〜
図7に示すように、インダクタコイル1110は、断面形状が略正方形状である導線1110aを巻いて構成される環状の素子である。例えば、被覆細線が撚り合わされたリッツ線又はソリッドバスバーによって構成される素子である。インダクタコイル1110は、送電側パッド10のコア100に設けられ、コア100を磁路として用いている。インダクタコイル1110は、自らの軸心方向を前後方向にした状態で、コア100の前後方向、左右方向及び上下方向の中央部近傍に埋設されている。柱状の軸心部1110bは、空気層によって構成されている。ここで、軸心方向とは、環状のインダクタコイル1110の軸心を通り、かつ、環状のインダクタコイル1110によって囲まれた内側平面に対する法線方向のことである。なお、軸心方向は、環状のインダクタコイル1110の重心点を通る。また、軸心部1110bとは、環状のインダクタコイル1110によって囲まれた内側部分であって、軸心方向に延在する柱状部分のことである。
【0037】
図8に示すように、インダクタコイル1110及びコンデンサ1111は直列接続されている。インダクタコイル1110の一端は電力変換回路110の出力端に、コンデンサ1111の一端は送電側パッド10に接続されている。
【0038】
共振用コンデンサ112は、送電側パッド10のコイル101、102とともに共振回路を構成する回路である。共振用コンデンサ112は送電側パッド10に並列接続されている。
【0039】
図1に示す受電側パッド12は、車両の底部に設置され、駐車スペースに車両を駐車したときに、上下方向に間隔をあけて送電側パッド10と対向して配置され、送電側パッド10の発生した交番磁束が鎖交することで電磁誘導によって交流を発生する装置である。受電側パッド12は、コアと、コイルとを備えている。受電側パッド12は、送電側パッド10と同一構成であり、上下逆向きに設置されている。
【0040】
受電回路13は、送電回路11との間で無線通信によって情報を送受信し、受信した情報に基づいて受電側パッド12から供給される交流を直流に変換してメインバッテリB1を充電する回路である。
図8に示すように、受電回路13は、共振用コンデンサ130と、フィルタ回路131と、電力変換回路132とを備えている。
【0041】
共振用コンデンサ130は、受電側パッド12のコイルとともに共振回路を構成する回路である。共振用コンデンサ130は、受電側パッド12に並列接続されている。
【0042】
フィルタ回路131は、共振用コンデンサ130の接続された受電側パッド12から供給される交流に含まれる所定の周波数成分を除去する回路である。フィルタ回路131は、コンデンサ1310と、インダクタコイル1311とを備えている。
【0043】
インダクタコイル1311は、インダクタコイル1110と同一構成であり、受電側パッド12のコアに設けられ、コアを磁路として用いている。そのため、インダクタコイル1110と同様に、受電側パッド12のコイルの発生した磁束の影響を極力抑えることができる。
【0044】
コンデンサ1310及びインダクタコイル1311は直列接続されている。コンデンサ1310の一端は受電側パッド12に、インダクタコイル1311の一端は電力変換回路132に接続されている。
【0045】
電力変換回路132は、フィルタ回路131を介して供給される交流を直流に変換してメインバッテリB1に供給する回路である。電力変換回路132の入力端はフィルタ回路131及び受電側パッド12に、出力端はメインバッテリB1に接続されている。
【0046】
次に、
図1及び
図8を参照して非接触給電装置の動作について説明する。
【0047】
図1に示すように、駐車スペースに車両を駐車すると、送電側パッド10と受電側パッド12が上下方向に所定の間隔をあけて対向する。この状態で充電開始ボタン(図略)が押され、充電の開始が指示されると、送電回路11と受電回路13は、無線通信によって情報を送受信する。
【0048】
図8に示す電力変換回路110は、外部電源PSの出力を高周波の交流に変換し出力する。フィルタ回路111は、電力変換回路110から供給される交流に含まれる所定の周波数成分を除去する。共振用コンデンサ112の接続された送電側パッド10は、フィルタ回路111介して交流が供給されることで交番磁束を発生する。
【0049】
送電側パッド10の発生した磁束は、コア100の内部及び周辺を流れる。
【0050】
図2〜
図7に示すように、第2コイル部101cを構成する3本の導線101aは、コア100の前側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア100の前面を覆うように、前面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。第2コイル部102cを構成する3本の導線102aは、コア100の後側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア100の後面を覆うように、後面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。そのため、
図5に示すように、第2コイル部101c、102cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部101b、102bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア100の前後面及び左右側面が導線101a、102aで全て覆われることになる。従って、コア100の外周面の露出部分が大きくなってしまうような事態を抑えることができる。これにより、コア100の外周面からの漏れ磁束を抑えることができる。
【0051】
また、
図5〜
図7に示すように、インダクタコイル1110は、コア100に埋設されている。そして、インダクタコイル1110の軸心部1110bは、空気層によって構成されている。そのため、インダクタコイル1110の軸心部1110bを磁束が流れることはほとんどない。従って、コイル101、102の発生した磁束の影響を受けることはほとんどない。これにより、フィルタ回路111の特性を確保することができる。
【0052】
共振用コンデンサ130の接続された受電側パッド12は、送電側パッド10の発生した交番磁束と鎖交することで電磁誘導によって交流を発生する。フィルタ回路131は、共振用コンデンサ130の接続された受電側パッド12から供給される交流に含まれる所定の周波数成分を除去する。
【0053】
受電側パッド12の発生した磁束は、コアの内部及び周辺を流れる。しかし、インダクタコイル1311は、インダクタコイル1110と同一構成である。そのため、インダクタコイル1311を磁束が鎖交することはほとんどない。従って、受電側パッド12のコイルの発生した磁束の影響を極力抑えることができる。これにより、フィルタ回路131の特性を確保することができる。
【0054】
電力変換回路132は、フィルタ回路131を介して供給される交流を直流に変換してメインバッテリB1に供給する。このようにして、外部電源PSからメインバッテリB1に非接触で電力を供給し、メインバッテリB1を充電することができる。
【0055】
次に、第1実施形態の非接触給電装置の効果について説明する。
【0056】
第1実施形態によれば、第1コイル部101b、102bを構成する導線101a、102aは、コア100の上面に沿って前後方向に並んで配置されている。第2コイル部101c、102cを構成する導線101a、102aは、コア100の前後面及び左右側面に沿って上下方向に並んで配置されている。しかも、第2コイル部101c、102cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部101b、102bの上下方向の寸法H1より大きい。そのため、コア100の外周面の露出部分が大きくなってしまうような事態を抑えることができる。従って、コア100と導電部材103の間の空間距離を充分に確保でき、コア100の外周面からの漏れ磁束を抑えることができる。また、コア100の外周面の露出部分と導電部材103の空間距離を大きくできるため、導電部材103に鎖交する漏れ磁束によって発生する渦電流損を抑えることができる。
【0057】
第1実施形態によれば、第2コイル部101c、102cを構成する導線101a、102aは、コア100の前後面及び左右側面を覆うように、上下方向に並んで配置されている。そのため、コア100の外周面の露出部分が大きくなってしまうような事態を確実に抑えることができる。従って、コア100の外周面からの漏れ磁束を確実に抑えることができる。また、コア100の外周面が覆われて露出部分がなくなるため、導電部材103に鎖交する漏れ磁束によって発生する渦電流損を確実に抑えることができる。
【0058】
第1実施形態によれば、フィルタ回路11のインダクタコイル1110は、フィルタ回路11が接続される送電側パッド10のコア100に埋設され、コア100を磁路して用いている。つまり、インダクタコイル1110の磁路を構成するコアとして送電側パッド10のコア100を利用している。そのため、コアを有するインダクタコイルを別途設ける場合に比べ、非接触給電装置1を小型化することができる。
【0059】
第1実施形態によれば、フィルタ回路11のインダクタコイル1110は、フィルタ回路11が接続される送電側パッド10のコア100に埋設されるインダクタコイル1110は、軸心部1110bが空気層によって構成されている。そのため、インダクタコイル1110の軸心部1110bを磁束が流れることはほとんどない。従って、コイル101、102の発生した磁束の影響を受けることはほとんどない。これにより、フィルタ回路111の特性を確保することができる。
【0060】
なお、第1実施形態では、コア100の上面に溝部100aが形成され、この溝部100aに、第1コイル部101b、102bを構成する導線101a、102aが配置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。
図9〜
図11に示すように、溝部がなく、コア100の上面に、第1コイル部101b、102bを構成する導線101a、102aが直接配置されていてもよい。この場合も、第2コイル部101c、102cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部101b、102bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア100の前後面及び左右側面が導線101a、102aで全て覆われることになる。そのため、同様の効果を得ることができる。
【0061】
第1実施形態では、インダクタコイル1110の軸心部1110bが空気層によって構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。軸心部1110bは非磁性材によって構成されていてもよい。軸心部110aの透磁率がコア100の透磁率より低くなるように構成されていればよい。また、軸心部1110bの透磁率がコア100の透磁率と同一であり、軸心部1110bの端部の透磁率がコア100の透磁率より低くなるように構成されていてもよい。軸心部1110b及び軸心部1110bの端部の少なくともいずれかの透磁率が、コア100の透磁率より低くなるように構成されていればよい。
【0062】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の非接触給電装置について説明する。第2実施形態の非接触給電装置は、第1実施形態の非接触給電装置に対して、送電側パッドのコアからインダクタコイルを取り除いてコアの板厚を薄くしたものである。送電側パッド、及び、送電側パッドと同一構成の受電側パッド以外は、第1実施形態の非接触給電装置と同一である。そのため、
図12〜
図14を参照して送電側パッドの構成についてのみ説明し、動作については説明を省略する。
【0063】
図12〜
図14に示すように、送電側パッド20は、コア200(給電用コア)と、コイル201、202(給電用コイル)と、導電部材203とを備えている。コア200、コイル201、202及び導電部材203は、第1実施形態のコア100、コイル101、102及び導電部材103に対応するものである。
【0064】
コア200は、第1実施形態のコア100よりも板厚が薄い矩形板状の部材である。コア200の上面の前後方向の中央部近傍には、左右方向に延在する溝部200aが形成されている。
【0065】
コイル201、202は、断面形状が略正方形状である導線201a、202aを3ターンずつ巻いて構成されている。コイル201、202は、第1コイル部201b、202bと、第2コイル部201c、202cとを備えている。
【0066】
第1コイル部201bを構成する3本の導線201aは、溝部200aの前側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0067】
第2コイル部201cを構成する3本の導線201aは、コア200の前側の左右側面を覆うとともに、さらに対向する受電側パッドのコア側である上側に向かい、コア200の左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア200の前面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア200の前面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。
【0068】
第1コイル部202bを構成する3本の導線202aは、溝部200aの後側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0069】
第2コイル部202cを構成する3本の導線202aは、コア200の後側の左右側面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア200の左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア200の後面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア200の後面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。
【0070】
その結果、第2コイル部201c、202cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部201b、202bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア200の前後面及び左右側面が導線201a、202aで覆われるとともに、コア200の上面が導線201a、202aで囲まれることになる。
【0071】
次に、第2実施形態の非接触給電装置の効果について説明する。
【0072】
第2実施形態によれば、第2コイル部201c、202cを構成する導線201a、202aは、コア200の前後面及び左右側面を覆うように、上下方向に並んで配置されている。そして、さらに上側に向かい、コア200の前後面及び左右側面に沿って並んで配置されている。そのため、コア200の前後面及び左右側面が導線201a、202aで覆われるだけでなく、コア200の上面が導線201a、202aで囲まれることになる。従って、コア200の外周面からの漏れ磁束をより確実に抑えることができる。また、コア200の外周面が覆われて露出部分がなくなるとともに、漏れ磁束がより確実に抑えられるため、導電部材103に鎖交する漏れ磁束によって発生する渦電流損をより確実に抑えることができる。
【0073】
なお、第2実施形態では、コア200の上面に溝部200aが形成され、この溝部200aに、第1コイル部201b、202bを構成する導線201a、202aが配置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。
図15〜
図17に示すように、溝部がなく、コア200の上面に、第1コイル部201b、202bを構成する導線201a、202aが直接配置されていてもよい。この場合も、第2コイル部201c、202cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部201b、202bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア200の前後面及び左右側面が導線201a、202aで覆われるとともに、コア200の上面が導線201a、202aで囲まれることになる。そのため、同様の効果を得ることができる。
【0074】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の非接触給電装置について説明する。第3実施形態の非接触給電装置は、第1実施形態の非接触給電装置に対して、送電側パッドのコアからインダクタコイルを取り除いてコアの板厚を薄くし、それに伴って第2コイル部の構成を変更したものである。送電側パッド、及び、送電側パッドと同一構成の受電側パッド以外は、第1実施形態の非接触給電装置と同一である。そのため、
図18〜
図20を参照して送電側パッドの構成についてのみ説明し、動作については説明を省略する。
【0075】
図18〜
図20に示すように、送電側パッド30は、コア300(給電用コア)と、コイル301、302(給電用コイル)と、導電部材303とを備えている。コア300、コイル301、302及び導電部材303は、第1実施形態のコア100、コイル101、102及び導電部材103に対応するものである。
【0076】
コア300は、第1実施形態のコア100よりも板厚が薄い矩形板状の部材である。コア300の上面の前後方向の中央部近傍には、左右方向に延在する溝部300aが形成されている。
【0077】
コイル301、302は、断面形状が略正方形状である導線301a、302aを3ターンずつ巻いて構成されている。コイル301、302は、第1コイル部301b、302bと、第2コイル部301c、302cとを備えている。
【0078】
第1コイル部301bを構成する3本の導線301aは、溝部300aの前側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0079】
第2コイル部301cを構成する3本の導線301aは、コア300の前側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、コア300の下側において左右方向に並んで配置されている。また、コア300の前面を覆うように、コア300の前面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、コア300の下側において前後方向に並んで配置されている。
【0080】
第1コイル部302bを構成する3本の導線302aは、溝部300aの後側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0081】
第2コイル部302cを構成する3本の導線302aは、コア300の後側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、コア300の下側において左右方向に並んで配置されている。また、コア300の後面を覆うように、コア300の後面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、コア300の下側において前後方向に並んで配置されている。
【0082】
その結果、第2コイル部301c、302cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部301b、302bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア300の前後面及び左右側面が導線301a、302aで全て覆われることになる。
【0083】
次に、第3実施形態の非接触給電装置の効果について説明する。
【0084】
第3実施形態によれば、第2コイル部301c、302cを構成する導線301a、302aは、コア300の前後面及び左右側面を覆うように上下方向に並んで配置されている。そのため、コア300の外周面の露出部分が大きくなってしまうような事態を確実に抑えることができる。従って、コア300の外周面からの漏れ磁束を確実に抑えることができる。しかも、第2コイル部301c、302cを構成する導線301a、302aは、コア300の下側において前後方向及び左右方向にも並んで配置されている。そのため、コイル301,302の上下方向の寸法を抑えることができる。
【0085】
なお、第3実施形態では、第2コイル部301c、302cを構成する導線301a、302aが、コア300の下側において前後方向及び左右方向に並んで配置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。
図21〜
図23に示すように、第2コイル部301c、302cを構成する導線301a、302aは、コア300の上側において前後方向及び左右方向に並んで配置されていてもよい。また、
図24〜
図26に示すように、第2コイル部301c、302cを構成する導線301a、302aは、コア300の上側において前後面及び左右側面に沿って配置されるとともに、上下方向に並んで配置され、コア300の下側において前後方向及び左右方向に並んで配置されていてもよい。つまり、第2コイル部301c、302cを構成する導線301a、302aは、少なくともいずれかがコア300の外周面に沿って配設され、上下方向に並んで配設されていればよい。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0086】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の非接触給電装置について説明する。第4実施形態の非接触給電装置は、第3実施形態の非接触給電装置に対して、送電側パッド及び受電側パッドのコイルのターン数を増加させたものである。送電側パッド、及び、送電側パッドと同一構成の受電側パッド以外は、第3実施形態の非接触給電装置と同一である。そのため、
図27〜29を参照して送電側パッドの構成についてのみ説明し、動作については説明を省略する。
【0087】
図27〜
図29に示すように、送電側パッド40は、コア400(給電用コア)と、コイル401、402(給電用コイル)と、導電部材403とを備えている。コア400、コイル401、402及び導電部材403は、第3実施形態のコア300、コイル301、302及び導電部材303に対応するものである。
【0088】
コア400の上面の前後方向の中央部近傍には、左右方向に延在する溝部400aが形成されている。
【0089】
コイル401、402は、断面形状が略正方形状である導線401a、402aを4ターンずつ巻いて構成されている。コイル401、402は、第1コイル部401b、402bと、第2コイル部401c、402cとを備えている。
【0090】
第1コイル部401bを構成する4本の導線401aは、溝部400aの前側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0091】
第2コイル部401cを構成する4本の導線401aは、コア400の前側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、それぞれさらに左右方向に並んで配置されている。つまり、前側の左右側面に沿って上下方向に2列に並んで配置されている。また、コア400の前面を覆うように、コア400の前面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、それぞれさらに左右方向に並んで配置されている。つまり、前面に沿って上下方向に2列に並んで配置されている。
【0092】
第1コイル部402bを構成する4本の導線402aは、溝部400aの後側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0093】
第2コイル部402cを構成する4本の導線402aは、コア400の後側の左右側面を覆うように、左右側面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、それぞれさらに左右方向に並んで配置されている。つまり、後側の左右側面に沿って上下方向に2列に並んで配置されている。また、コア400の後面を覆うように、コア400の後面に沿って上下方向に1列に並ぶとともに、それぞれさらに前後方向に並んで配置されている。つまり、後面に沿って上下方向に2列に並んで配置されている。
【0094】
その結果、第2コイル部401c、402cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部401b、402bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア400の前後面及び左右側面が導線401a、402aで全て覆われることになる。
【0095】
次に、第4実施形態の非接触給電装置の効果について説明する。第4実施形態によれば、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、第4実施形態では、第2コイル部401c、402cを構成する導線401a、402aが、コア400の前後面及び左右側面に沿って上下方向に2列に並んで配置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。
図30〜
図32に示すように、第2コイル部401c、402cを構成する導線401a、402aは、コア400の上側において前後面及び左右側面に沿って配置されるとともに、上下方向に並んで配置され、コア400の下側において前後方向及び左右方向に並んで配置されていてもよい。つまり、第2コイル部401c、402cを構成する導線401a、402aは、少なくともいずれかがコア400の外周面に沿って配設され、上下方向に並んで配設されていればよい。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0097】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の非接触給電装置について説明する。第5実施形態の非接触給電装置は、第2実施形態の非接触給電装置に対して、送電側パッド及び受電側パッドのコイルのターン数を増加させたものである。送電側パッド、及び、送電側パッドと同一構成の受電側パッド以外は、第2実施形態の非接触給電装置と同一である。そのため、
図33〜
図35を参照して送電側パッドの構成についてのみ説明し、動作については説明を省略する。
【0098】
図33〜
図35に示すように、送電側パッド50は、コア500(給電用コア)と、コイル501、502(給電用コイル)と、導電部材503とを備えている。コア500、コイル501、502及び導電部材503は、第2実施形態のコア200、コイル201、202及び導電部材203に対応するものである。
【0099】
コア500の上面の前後方向の中央部近傍には、左右方向に延在する溝部500aが形成されている。
【0100】
コイル501、502は、断面形状が略正方形状である導線501a、502aを4ターンずつ巻いて構成されている。コイル501、502は、第1コイル部501b、502bと、第2コイル部501c、502cとを備えている。
【0101】
第1コイル部501bを構成する4本の導線501aは、溝部500aの前側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0102】
第2コイル部501cを構成する4本の導線501aは、コア500の前側の左右側面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア500の左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア500の下側において左右方向に並んで配置されている。第2コイル部501cを構成する4本の導線501aは、コア500の前面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア500の前面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア500の下側において前後方向に並んで配置されている。
【0103】
第1コイル部502bを構成する4本の導線502aは、溝部500aの後側に、前後方向に1列に並んで配置されている。
【0104】
第2コイル部502cを構成する4本の導線502aは、コア500の後側の左右側面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア500の左右側面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア500の下側において左右方向に並んで配置されている。第2コイル部502cを構成する4本の導線502aは、コア500の後面を覆うとともに、さらに上側に向かい、コア500の後面に沿って上下方向に1列に並んで配置されている。また、コア500の下側において前後方向に並んで配置されている。
【0105】
その結果、第2コイル部501c、502cの上下方向の寸法H2が、第1コイル部501b、502bの上下方向の寸法H1より大きくなり、コア500の前後面及び左右側面が導線501a、502aで覆われるとともに、コア500の上面が導線501a、502aで囲まれることになる。
【0106】
次に、第5実施形態の非接触給電装置の効果について説明する。第5実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
なお、第5実施形態では、第1コイル部501b、502bを構成する導線501a、502aが、溝部500aに、前後方向に1列に並んで配置されている例を挙げているが、これに限られるものではない。
図36〜
図38に示すように、第1コイル部501b、502bを構成する導線501a、502aは、前後方向に1列に並ぶとともにそれぞれさらに上下方向に並んで配置されていてもよい。つまり、前後方向に2列に並んで配置されていてもよい。この場合も、同様の効果を得ることができる。
【0108】
最後に、複数の実施形態に関連する変形形態について説明する。
【0109】
第1〜第5実施形態では、送電側パッド及び受電側パッドを構成するコイル、及び、インダクタコイルが、略正方形状の断面の導線で構成されている例を挙げているが、これに限られるものはない。送電側パッド及び受電側パッドを構成するコイル、及び、インダクタコイルは、略長方形状、略円形状又は略楕円形状の断面の導線で構成されていてもよい。どのような断面形状の導線で構成されていてもよい。第2コイル部のコアの板厚方向の寸法が、第1コイル部のコアの板厚方向の寸法より大きければよい。
【0110】
第1〜第5実施形態では、第2コイル部が、コアの外周面を全て覆う例を挙げているが、これに限られるものはない。第2コイル部の上下方向の寸法H2が、第1コイル部の上下方向の寸法H1より大きければよい。このようにすることで、コアの外周面の露出部分が大きくなってしまうような事態を抑えることができる。そのため、コアの外周面からの漏れ磁束を抑えることができる。
【0111】
第1〜第5実施形態では、送電側パッドと受電側パッドが同一構成である例を挙げているが、これに限られるものではない。送電側パッド及び受電側パッドの少なくともいずれかが、本実施形態に挙げた構成であればよい。
【0112】
第1〜第5実施形態では、送電側パッド及び受電側パッドのコイルが、略矩形環状である例を挙げているが、これに限られるものではない。送電側パッドや受電側パッドのコイルは、円環状や半円環状であってもよい。環状であればよい。
【0113】
第1〜第5実施形態では、コアが矩形板状である例を挙げているが、これに限られるものではない。コアは、円板状や半円板状であってもよい。板状であればよい。
【0114】
第1〜第5実施形態では、コアがフェライトやダストコアによって構成されている例を挙げているが、これに限られるものではない。硅素鋼板や板状のアモルファスを板厚方向に積層することによって構成されていてもよい。
【0115】
第1〜第5実施形態では、送電側パッドが、3ターン又は4ターンの2つのコイルによって構成される例を挙げているが、これに限られるものはない。送電側パッドは、1つのコイルによって構成されていてもよい。また、ターン数に関して制限はない。どのようなターン数に対しても適用できる。
【0116】
第1〜第3実施形態では、送電側パッド及び受電側パッドを構成する2つのコイルが導線を3ターンずつ巻いて構成され、第4及び第5実施形態では、導線を4ターンずつ巻いて構成される例を挙げているが、これに限られるものはない。1ターン巻かれた導線を直列接続して3ターン又は4ターンのコイルを構成するのではなく、1ターン巻かれた導線を並列接続してコイルを構成してもよい。