特許第6241709号(P6241709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241709
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】多重分離伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04J 3/00 20060101AFI20171127BHJP
   H04L 12/951 20130101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04J3/00 B
   H04L12/951
【請求項の数】26
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-86301(P2013-86301)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-212373(P2014-212373A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛装備庁長官
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(72)【発明者】
【氏名】黒田 啓二
(72)【発明者】
【氏名】尾西 広宣
【審査官】 谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−261648(JP,A)
【文献】 特開2009−141734(JP,A)
【文献】 特開2010−119133(JP,A)
【文献】 特開2001−308923(JP,A)
【文献】 米田 正明,IP電話技術:急ピッチで進む巨大網対応21世紀の電話網を担う,日経コミュニケーション 第290号,日本,日経BP社,1999年 3月,p.120-126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/951
H04J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用する複数のチャネルからそれぞれの速度で受け付けた複数のデータストリームをそれぞれバッファリングする複数の入力バッファと、
相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを構築する際に、
パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分と を有するパケットになるように、バッファされている前記複数のデータストリームについて前記複数の入力バッファから該当データを、チャネル順に且つ循環させてそれぞれ先頭データから順序立てて読み出して前記ヘッダ部分とする多重化ヘッダを付与することで個々のパケットを構築処理し、
パケット化された各パケットを、下位層ヘッダを付与して送出処理する
多重伝送制御手段と、
を含み、
該ストリームデータ多重装置は、前記複数の入力バッファへのバッファリングと、パケット構築処理とを非同期で動作させ、チャネル毎に異なる速度でストリームデータを受け付け可能に運用する
ことを特徴とするストリームデータ多重装置。
【請求項2】
前記多重伝送制御手段は、個々のパケットに含ませた前記パケット列内順識別子で示される順番に従って下位層ヘッダを付与した前記パケットを送出することを特徴とする請求項1記載のストリームデータ多重装置。
【請求項3】
前記多重伝送制御手段は、前記パケット列内順識別子として、パケット列中での位置を数値で示したシーケンス番号を循環的に用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のストリームデータ多重装置。
【請求項4】
前記多重伝送制御手段は、前記最大通信データ値と伝送するチャネル数に基づいた逆算処理によって、個々のパケットのデータ部分に格納する1チャネル分の最大データ量を算定し、該1チャネル分の最大データ量に基づいて前記複数のバッファからそれぞれバッファされている該当データを読み出すと共に、前記多重化ヘッダを付与して個々のパケットを構築処理することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載のストリームデータ多重装置。
【請求項5】
前記多重伝送制御手段は、前記相手装置から送られてきた前記パケット列内順識別子で指定された所定パケットの再送要求に応じて、該当パケットを再送処理することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載のストリームデータ多重装置。
【請求項6】
ネットワーク層プロトコルとしてIP(Internet Protocol)を用いて伝送することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載のストリームデータ多重装置。
【請求項7】
トランスポート層プロトコルとしてUDP(User Datagram Protocol)を用いて伝送することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載のストリームデータ多重装置。
【請求項8】
前記相手装置との間の伝送路の最大通信データ値として、伝送路とするIP網の最小MTU(Maximum Transmission Unit)を識別処理して、該MTUの値に基づいてパケット化処理を実施することを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載のストリームデータ多重装置。
【請求項9】
利用する複数のチャネル毎のデータストリームをそれぞれバッファリングしてそれぞれのチャネル毎の速度で出力する複数の出力バッファと、
相手装置から伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されているパケット列を受け付けた際に、
該パケット列に含まれている個々のパケットを、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分にあたる多重化ヘッダと を有するデータとみなして、
個々のパケットの多重化ヘッダ内に含まれていた前記パケット列内順識別子に従い、前記パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理し、
個々のパケットの多重化ヘッダに記載されている情報に基づいて、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理して、前記複数の出力バッファにチャネル順且つ循環させながら逐次バッファする
ことにより、パケット列から多重化されていたチャネル毎のデータストリームをそれぞれ分離する多重分離制御手段と、
を含み、
該ストリームデータ分離装置は、前記複数の出力バッファからの出力と、パケット列分離処理とを非同期で動作させ、チャネル毎に異なる速度でストリームデータを送出可能に運用する
ことを特徴とするストリームデータ分離装置。
【請求項10】
前記多重分離制御手段は、パケット列として順次受け付けるパケットに含まれているデータ部分の集合を、前記個々のパケットの多重化ヘッダに記載されているパケット列内順識別子に基づいた順序性に従いつつ、個々のパケットに示されている各チャネルの含まれるデータ長に基づいて、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理することを特徴とする請求項に記載のストリームデータ分離装置。
【請求項11】
前記多重分離制御手段は、前記相手装置から送られてきたパケット列の欠損を識別すると共に、前記パケット列内順識別子で指定して所定パケットの再送を要求することを特徴とする請求項又は10に記載のストリームデータ分離装置。
【請求項12】
前記多重分離制御手段は、個々のパケットに含まれた下位層ヘッダを除去すると共に、下位層での再送処理を実施することを特徴とする請求項又は10に記載のストリームデータ分離装置。
【請求項13】
ネットワーク層プロトコルとしてIP、トランスポート層プロトコルとしてUDPを用いることを特徴とする請求項ないし12の何れか一項に記載のストリームデータ分離装置。
【請求項14】
利用する複数のチャネルからそれぞれの速度で受け付けた複数のデータストリームをそれぞれバッファリングする複数の入力バッファと、相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを構築する際に、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分と を有するパケットになるように、バッファされている前記複数のデータストリームについて前記複数の入力バッファから該当データを、チャネル順に且つ循環させてそれぞれ先頭データから順序立てて読み出して前記ヘッダ部分とする多重化ヘッダを付与することで個々のパケットを構築処理すると共に、パケット化された各パケットを下位層ヘッダを付与して送出処理する多重伝送制御手段と、を含むストリームデータ多重装置と、
利用する複数のチャネル毎のデータストリームをそれぞれバッファリングしてそれぞれのチャネル毎の速度で出力する複数の出力バッファと、相手装置から伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されているパケット列を受け付けた際に、該パケット列に含まれている個々のパケットを、前記データ部分と前記多重化ヘッダを有するデータとみなして、個々のパケットの多重化ヘッダ内に含まれていた前記パケット列内順識別子に従い、前記パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理し、個々のパケットの多重化ヘッダに記載されている情報に基づいて、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理して、前記複数の出力バッファにチャネル順且つ循環させながら逐次バッファすることにより、パケット列から多重化されていたチャネル毎のデータストリームをそれぞれ分離する多重分離制御手段と、を含むストリームデータ分離装置と、
を含み、
該ストリームデータ多重装置は、前記複数の入力バッファへのバッファリングと、パケット構築処理とを非同期で動作させ、
該ストリームデータ分離装置は、前記複数の出力バッファからの出力と、パケット列分離処理とを非同期で動作させ、
異なる速度の複数のチャネルのストリームデータを伝送路の最大通信データ値内で多重伝送および分離処理することを特徴とする多重分離伝送システム。
【請求項15】
情報処理装置の制御部を、
利用する複数のチャネルからそれぞれの速度で受け付けた複数のデータストリームをそれぞれバッファリングする複数の入力バッファとなる記憶部を使用して、
前記複数の入力バッファへのバッファリングと非同期で、相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを構築する際に、
パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分と を有するパケットになるように、バッファされている前記複数のデータストリームについて前記複数の入力バッファから該当データを、チャネル順に且つ循環させてそれぞれ先頭データから順序立てて読み出して前記ヘッダ部分とする多重化ヘッダを付与することで個々のパケットを構築処理し、
パケット化された各パケットを、下位層ヘッダを付与して送出処理する
多重伝送制御手段として動作させる
ことを特徴とする複数のストリームデータの多重処理に使用するプログラム。
【請求項16】
前記パケットの送出処理として、個々のパケットに含ませた前記パケット列内順識別子で示される順番に従って下位層ヘッダを付与した前記パケットを送出させることを特徴とする請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
前記パケットの構築処理として、前記パケット列内順識別子として、パケット列中での位置を数値で示したシーケンス番号を循環的に使用させることを特徴とする請求項15又は16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記パケットの構築処理として、前記最大通信データ値と伝送するチャネル数に基づいた逆算処理を行わせ、個々のパケットのデータ部分に格納する1チャネル分の最大データ量を算定し、該1チャネル分の最大データ量に基づいて前記複数のバッファからそれぞれバッファされている該当データを読み出すと共に、前記多重化ヘッダを付与して個々のパケットを構築処理させることを特徴とする請求項15ないし17の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項19】
前記制御部に、前記相手装置から送られてきた前記パケット列内順識別子で指定された所定パケットの再送要求に応じて、該当パケットを再送処理させることを特徴とする請求項15ないし18の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項20】
情報処理装置の制御部を、
利用する複数のチャネル毎のデータストリームをそれぞれバッファリングしてそれぞれのチャネル毎の速度で出力する複数の出力バッファとなる記憶部を使用して、
前記複数の出力バッファからの出力と非同期で、相手装置から伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されているパケット列を受け付けた際に、
該パケット列に含まれている個々のパケットを、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分にあたる多重化ヘッダと を有するデータとみなして、個々のパケットの多重化ヘッダ内に含まれていた前記パケット列内順識別子に従い、前記パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理し、
個々のパケットの多重化ヘッダに記載されている情報に基づいて、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理して、前記複数の出力バッファにチャネル順且つ循環させながら逐次バッファさせる
多重分離制御手段として動作させることを特徴とする多重化されていたチャネル毎のデータストリームの分離処理に使用するプログラム。
【請求項21】
前記パケットの分離処理として、パケット列として順次受け付けるパケットに含まれているデータ部分の集合を、前記個々のパケットのヘッダ部分に記載されているパケット列内順識別子に基づいた順序性に従いつつ、個々のパケットに示されている各チャネルの含まれるデータ長に基づいて、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理させることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記制御部に、前記相手装置から送られてきたパケット列の欠損を識別すると共に、前記パケット列内順識別子で指定して所定パケットの再送を要求することを特徴とする請求項20又は21に記載のプログラム。
【請求項23】
情報処理装置の制御部に、
請求項15ないし19の何れか一項に記載のプログラムに基づく動作と、請求項20ないし22の何れか一項に記載のプログラムに基づく動作との両方の動作を行わせることを特徴とするプログラム。
【請求項24】
前記相手装置との間の伝送路の最大通信データ値として、伝送路とするIP網の最小MTUを用いると共に、ネットワーク層プロトコル以下の階層を既存のIP関連プロトコルを用いて伝送することを特徴とする請求項15ないし23の何れか一項に記載のプログラム。
【請求項25】
利用する複数のチャネルからそれぞれの速度で受け付けた複数のデータストリームをそれぞれバッファリングし、
前記複数のデータストリームのそれぞれのバッファリングと非同期で、相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを構築する際に、
パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分と を有するパケットになるように、バッファされている前記複数のデータストリームについて前記複数の入力バッファから該当データを、チャネル順に且つ循環させてそれぞれ先頭データから順序立てて読み出して前記ヘッダ部分とする多重化ヘッダを付与することで個々のパケットを構築処理し、
パケット化された各パケットを、下位層ヘッダを付与して送出処理する
ことを特徴とする複数ストリームデータ多重方法。
【請求項26】
利用する複数のチャネル毎のデータストリームをそれぞれバッファリングしてそれぞれのチャネル毎の速度で出力する複数の出力バッファにそれぞれバッファリングする際に、
前記複数の出力バッファからの出力と非同期で、
相手装置から伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されているパケット列を受け付け、
該パケット列に含まれている個々のパケットを、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分にあたる多重化ヘッダと を有するデータとみなして、
個々のパケットの多重化ヘッダ内に含まれていた前記パケット列内順識別子に従い、前記パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理し、
個々のパケットの多重化ヘッダに記載されている情報に基づいて、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理して、前記複数の出力バッファにチャネル順且つ循環させながら逐次バッファする
ことを特徴とする複数ストリームデータ分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータをノード間で通信し合う多重分離伝送システムに関し、詳しくは、複数チャネルから順次入力されるデジタルデータを一まとめのデータに構築して相手装置に伝送するとともに相手装置から送られてきた一まとめのデータを分離して複数チャネルに伝送するための多重伝送装置、多重分離装置、多重分離伝送装置、及びその伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今までに多くのデータ通信方式が開発されている。これら多くのデータ通信方式は、汎用的に用いられる技術仕様や、それぞれの用途に特化した技術仕様を有している。
【0003】
デジタルデータを2つのノード間で伝送する際に、既存の幾つかの技術仕様では、複数の入力データを多重化処理した後に伝送しつつ、多重化されたデータを受けて側で分離してそれぞれの入力データを得ることを規定している。
【0004】
複数のチャネルから入力されたデジタルデータをまとめて多重化してデータを伝送する技術は、時分割多重方式(TDM:Time Division Multiplex)やパケット多重通信方式が知られている。
また、伝送対象のデータに係る要求仕様に基づいて使用するプロトコルが選択されている。このなかで、ストリームデータのように、要求される伝送速度や遅延量などが他のデータよりもシビアなデータがあり、適した伝送方式が求められる。
【0005】
ここで、関連技術を図面を用いて例示する。以下では、複数チャネルからストリームデータを受け付けて多重化伝送を行う伝送方式を説明する。
【0006】
図13は、時分割多重方式の伝送イメージを示している。時分割多重では、複数のデジタルデータストリームのバッファリングを行いつつ、各チャネルのストリームデータを決められたビット数毎に分割処理すると共に、所定時間毎に各分割データを順番に配置して伝送する。受けて側装置では、予め割り当てられた時間ごとに各チャネルのデータを収集しつつ、送られてきたストリームデータに結合して個々のチャネル出力を得る。この際、個々のチャネルに割り当てられる時間は同一であり、この時間をスロットなどと呼んで利用している。
【0007】
図14は、パケット多重方式の伝送イメージを示している。パケット多重では、各デジタルデータストリームをバッファしつつ、各データをパケット化して、各チャネルのパケットを順番に伝送する。
【0008】
また、関連する技術は、特許文献1にも記載されている。この文献では、複数のチャネルからそれぞれ受け付けたストリームデータにヘッダを付与しつつ時分割多重化して相手側装置に伝送する方式が記載されている。また、各チャネルから受け付けるデータ量に不足が生じている際にダミーデータを埋め込みつつ伝送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−318107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の時分割多重方式では、入力が停止したチャネルや入力速度が遅いチャネル(例えば図13のCI12のようなチャネル)が存在した場合に、NULLデータT10をダミーデータとして伝送している。このため、伝送効率が良くないという問題が指摘できる。
【0011】
また、上記のパケット多重方式では、特定の通信帯域で伝送する際に伝送路の通信帯域を1チャネルで専有するため、伝送順序や遅延についての問題が生ずる。また、多くのパケット多重方式は、パケットの送信順序を保証しない仕様に成っている。
また、所定データ量をバッファした後に伝送用パケットを構築する仕様を用いた際には、入力速度が遅いチャネル(例えば図14のCI22のようなチャネル)について、所定量までバッファリングされるまでの遅延が大きくなるという問題を指摘できる。
【0012】
例示したように様々なデータ伝送方式は一長一短を有する。そこで、新たなストリームデータの伝送方式を構築して伝送効率と遅延時間との両立を図る。
【0013】
本発明は、複数のチャネルから入力されるデジタルストリームデータをまとめ上げ、伝送効率が良く個々のチャネルの遅延時間が少ない多重分離伝送システム、多重伝送装置、多重分離装置、及びそれらのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るストリームデータ多重装置は、利用する複数のチャネルからそれぞれの速度で受け付けた複数のデータストリームをそれぞれバッファリングする複数の入力バッファと、相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを構築する際に、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分と を有するパケットになるように、バッファされている前記複数のデータストリームについて前記複数の入力バッファから該当データを、チャネル順に且つ循環させてそれぞれ先頭データから順序立てて読み出して前記ヘッダ部分とする多重化ヘッダを付与することで個々のパケットを構築処理し、パケット化された各パケットを、下位層ヘッダを付与して送出処理する多重伝送制御手段と、を含み、該ストリームデータ多重装置は、前記複数の入力バッファへのバッファリングと、パケット構築処理とを非同期で動作させ、チャネル毎に異なる速度でストリームデータを受け付け可能に運用することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るストリームデータ分離装置は、利用する複数のチャネル毎のデータストリームをそれぞれバッファリングしてそれぞれのチャネル毎の速度で出力する複数の出力バッファと、相手装置から伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されているパケット列を受け付けた際に、該パケット列に含まれている個々のパケットを、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分にあたる多重化ヘッダと を有するデータとみなして、個々のパケットの多重化ヘッダ内に含まれていた前記パケット列内順識別子に従い、前記パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理し、個々のパケットの多重化ヘッダに記載されている情報に基づいて、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理して、前記複数の出力バッファにチャネル順且つ循環させながら逐次バッファすることにより、パケット列から多重化されていたチャネル毎のデータストリームをそれぞれ分離する多重分離制御手段と、を含み、該ストリームデータ分離装置は、前記複数の出力バッファからの出力と、パケット列分離処理とを非同期で動作させ、チャネル毎に異なる速度でストリームデータを送出可能に運用することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る複数のストリームデータの多重処理に使用するプログラムは、情報処理装置の制御部を、利用する複数のチャネルからそれぞれの速度で受け付けた複数のデータストリームをそれぞれバッファリングする複数の入力バッファとなる記憶部を使用して、前記複数の入力バッファへのバッファリングと非同期で、相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを構築する際に、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分と を有するパケットになるように、バッファされている前記複数のデータストリームについて前記複数の入力バッファから該当データを、チャネル順に且つ循環させてそれぞれ先頭データから順序立てて読み出して前記ヘッダ部分とする多重化ヘッダを付与することで個々のパケットを構築処理し、パケット化された各パケットを、下位層ヘッダを付与して送出処理する多重伝送制御手段として動作させることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る多重化されていたチャネル毎のデータストリームの分離処理に使用するプログラムは、情報処理装置の制御部を、利用する複数のチャネル毎のデータストリームをそれぞれバッファリングしてそれぞれのチャネル毎の速度で出力する複数の出力バッファとなる記憶部を使用して、前記複数の出力バッファからの出力と非同期で、相手装置から伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されているパケット列を受け付けた際に、該パケット列に含まれている個々のパケットを、パケットサイズが前記最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立ち、1若しくは複数チャネルのバッファデータを空パケットサイズに応じて所要に混合して並べたデータ部分と 該データ部分に付与する パケット列内順識別子、パケット列内に含まれるチャネル数、及び各チャネルの含まれるデータ長 を示したヘッダ部分にあたる多重化ヘッダと を有するデータとみなして、個々のパケットの多重化ヘッダ内に含まれていた前記パケット列内順識別子に従い、前記パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理し、個々のパケットの多重化ヘッダに記載されている情報に基づいて、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに分離処理して、前記複数の出力バッファにチャネル順且つ循環させながら逐次バッファさせる多重分離制御手段として動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のチャネルから入力されたデジタルストリームデータをまとめ上げ、伝送効率が良く個々のチャネルの遅延時間が少ない多重分離伝送システム、多重伝送装置、多重分離装置、及びそれらのプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にかかる多重分離伝送システムの実施形態を示すブロック図である。
図2】実施例にかかる多重分離伝送システムを示すブロック図である。
図3】多重伝送装置および多重分離装置がそれぞれ有する設定を示す説明図である。
図4図2の多重伝送装置を、CPUを用いて実現した場合のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5図3の多重分離装置を、CPUを用いて実現した場合のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6】実施例による伝送用パケットの構造を示す説明図である。
図7】実施例による伝送用パケットに含ませるヘッダ構造を示す説明図である。
図8】実施例による伝送用パケット構築処理例を示す説明図である。
図9】実施例によって構築されるパケット構造の例を示す説明図である。
図10】実施例によるパケット列の分離処理例を示す説明図である。
図11】実施例によるシーケンス欠番マーキング処理を示す説明図である。
図12】実施例による再送要求処理および再送処理を示す説明図である。
図13】先行技術の時分割多重(TDM)の伝送を単純化して示した説明図である。
図14】先行技術のパケット多重の伝送を単純化して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、そのブロック構成の分離併合、手順の入れ替えなどの変更は本発明の趣旨および説明される機能を満たせば自由であり、下記説明が本発明を限定するものではない。
【0021】
図1は、実施形態にかかる多重分離伝送システム1示すブロック図である。
多重分離伝送システム1は、図1に示すように、複数のチャネルのストリームデータをパケット列に多重するストリームデータ多重装置2と、多重されたパケット列を個々のチャネル毎のストリームデータに分離するストリームデータ分離装置3とを含み構成される。
【0022】
ストリームデータ多重装置2は、複数のデータストリームをそれぞれバッファリングする入力バッファ部4、相手装置との間の伝送路の最大通信データ値内に収まるデータ長に多重化されたパケットを逐次構築する多重伝送制御部5、送出するパケット列を一次記憶する多重伝送装置メモリ部6、パケットの送受信に使用する多重伝送装置ネットワークアダプタ7を有している。
ストリームデータ多重装置2で生成される個々のパケットは、パケットサイズが最大通信データ値を超えない範囲のデータ長で且つパケット列として各チャネルが先頭データから順序立つように構成される。
【0023】
また、個々のパケットの構造は、パケット列内順識別子と、該パケットに含まれるチャネル数と、各チャネルの含まれるデータ長を示した多重化用のヘッダ部分とデータ部分を有する。このヘッダ部分は、多重分離伝送システム1で使用するチャネル数(纏めるデータストリーム信号列の数)に関連する可変長となる。データ部分には、使用するチャネルの1若しくは複数のストリームデータの諸所の部分が並ぶ。
【0024】
多重伝送制御部5は、内在するパケット構築部を用いて、各入力バッファにバッファされている個々のチャネルのデータストリームについて逐次的に、上記パケット構造となるように該当データをそれぞれ読み出して所要情報を付与する。
また、多重伝送制御部5は、多重伝送装置メモリ部6および多重伝送装置ネットワークアダプタ7と連携して、パケット化された各パケットを下位層ヘッダの付与などの諸所の処理を行って、データストリームが多重されているパケット列を逐次的に相手装置に送出する。
【0025】
なお、この際、多重伝送制御部5は、内在する伝送管理部を用いて、個々のパケットに含ませたパケット列内順識別子で示される順番に従って個々のパケットを送出する順序を管理することが望ましい。
【0026】
また、多重伝送制御部5は、内在する伝送管理部を用いて、相手装置から送られてきた所定パケットの再送要求に応じた、該当パケットの再送処理を管理することが望ましい。再送処理は、例えば、パケット列内順識別子で該当パケットを指定することを用いて実現すればよい。
【0027】
また、チャネル毎に異なる速度でストリームデータを受け付け可能に運用することが望ましい。このため、入力バッファ部4の個々の入力バッファにバッファリングする処理は、並列的に非同期であることが望ましい。また、個々の入力バッファにバッファリングする処理と、パケット構築処理とを非同期処理で動作させることが望ましい。
【0028】
また、利用できる複数のチャネルを全て使用しない場合に備えて、利用しないチャネル数を識別できる構成を有することが望ましい。この構成を設けた際には、識別した利用するチャネル数もしくは利用しないチャネル数に従って、ヘッダ部分に記載するチャネルの総数を求め、加えて、ヘッダ部分に記載する各チャネルに含まれるデータ長を示すビットデータ部分の数に反映させる。すなわち、使用しないチャネル数分だけヘッダのビット数を削減できる。この削減されたビット数には、実データを割り振ればよい。
【0029】
ストリームデータ分離装置3は、パケットの送受信に使用する多重分離装置ネットワークアダプタ8、多重化されているパケットを逐次分離する多重分離制御部9、受け付けたパケット列を一次記憶する多重分離装置メモリ部10、複数のストリームデータをそれぞれバッファリングする出力バッファ部11を有している。
ストリームデータ分離装置3で生成される複数のデータストリーム信号列は、ストリームデータ多重装置2に入力されたそれぞれのチャネルの複数のデータストリームを復元した信号列となるように構成される。
【0030】
受け付ける個々のパケットは、ストリームデータ多重装置2から送出されたストリームデータが多重されたパケット列である。すなわち、受け付ける個々のパケットの構造は、パケット列内順識別子と、該パケットに含まれるチャネル数と、各チャネルの含まれるデータ長を示した多重化用のヘッダ部分と実データにあたるデータ部分を有する。ヘッダ部分とデータ部分は、多重分離伝送システム1で使用するチャネル数に関連して可変して、また、使用するチャネルの1若しくは複数のストリームデータの諸所の部分を含んでいる。
【0031】
また、多重分離制御部9は、内在する伝送管理部を用いて、多重分離装置ネットワークアダプタ8および多重分離装置メモリ部10と連携して、データストリームが多重されているパケット列を、逐次的に下位層ヘッダの除去などの諸所の処理を行って、多重化された各パケットを相手装置から受け付ける。この際に、内在する伝送管理部を用いて、個々のパケットに含まれた下位層ヘッダの除去などとともに不足パケットを下位層での再送処理を実施してもよい。
また、個々のパケットは、個々のパケット内に含まれていたパケット列内順識別子に従い、パケット列を成しているパケット群を順序立つように整列処理する。
【0032】
次に、多重分離制御部9は、内在するパケット分離部を用いて、受け付けたパケット列について逐次的に、個々のパケットのヘッダ部分に記載されている情報に基づいて、出力バッファ部11の各出力バッファに、パケット毎の多重化されているデータ部分をそれぞれ、分配してバッファリングする。この際、受け付けた多重化されている各パケットを、データ部分とヘッダ部分とを有するデータと扱うと共に、パケット列として各チャネルが先頭データから順序立っているとみなして処理する。
この結果、多重化されているデータ部分を、多重化前の複数のチャネル毎のデータストリームに適切に分離処理して、複数の出力バッファに逐次バッファできる。
【0033】
ここで複数の出力バッファにバッファリングされた各チャネルのデータストリームのデータは、所要に送信されたり、読み出されたりして、利用される。
【0034】
なお、多重分離制御部9は、内在する伝送管理部を用いて、相手装置から送られてきたパケット列の欠損を識別すると共に、欠損しているパケットの再送を要求する再送要求を行えることが望ましい。再送処理は、例えば、パケット列内順識別子で該当パケットを指定することを用いて実現すればよい。
【0035】
また、チャネル毎に異なる速度でストリームデータを受け付け可能に運用することが望ましい。このため、出力バッファ部11の個々の出力バッファは、並列的に非同期に動作可能であることが望ましい。また、パケット分離処理と、個々の出力バッファにバッファリングする処理とを非同期処理で動作させることが望ましい。また、出力バッファ部11からの読み出し/送出処理も個々の出力バッファ毎に非同期で行なえることが望まれる。
【0036】
また、利用できる複数のチャネルを全て使用しない場合に備えて、利用しないチャネル数を識別できる構成を有することが望ましい。
【0037】
本実施形態にかかる多重分離伝送システム1は、アプリケーション層で運用できる。この際は、ネットワーク層プロトコルとしてIP(Internet Protocol)、トランスポート層プロトコルとしてUDP((User Datagram Protocol)を用いることができる。また、TCP(Transmission Control Protocol)などの他のプロトコルと組み合わせてもよい。また、トランスポート層プロトコルとして用いることも可能である。
【0038】
上記 多重分離伝送システム1の構成及び動作によって、複数のチャネルから入力されたデジタルストリームデータをまとめ上げ、伝送効率が良く個々のチャネルの遅延時間が少ない多重分離方法を提供できる。
【0039】
ストリームデータ多重装置2及びストリームデータ分離装置3の各部は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現すればよい。ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせた形態では、ストリームデータ多重装置2又はストリームデータ分離装置3とするネットワーク機器のRAMに、該機器の制御部を、多重伝送制御部5又は多重分離制御部9、若しくは多重伝送制御部5及び多重分離制御部9の両方として動作させるプログラムを展開して動作させればよい。
この複数のストリームデータの多重及び/又は分離に使用するプログラムに基づいて制御部等のハードウェアを動作させることによって、各部を各種手段として実現できる。
【0040】
本実施形態に係るストリームデータ多重装置2は、複数の入力チャネルを有しており、受け付けたデータストリームをバッファリングする。各バッファに蓄積されているデータを統括的な周期的または不定期に読み出し処理の実施と共に所要に加工してパケット化する。
この際、ストリームデータ多重装置2は、伝送するチャネル群のみのバッファデータを任意のサイズ以下で選定して読み出し、一つのパケットに1若しくは2以上のチャネルから受け付けたデータを含ませる。また、生成するパケット列として、個々のチャネルから受け付けたストリームデータの順序性を保たせたデータ配置を行う。
【0041】
一つのパケットを生成するに当たり、個々のバッファから読み出すデータの選択とそのサイズ(データ量)は、順序性と伝送路の通信容量とに基づいて定める。通信容量は、例えば、既知のMTUを用いてもよい。
【0042】
順次パケット化した個々のパケットは、パケット列として相手装置に伝送される。この伝送でも個々のチャネルのストリームデータの順序性を維持させやすい仕組みをパケット伝送技術に組み込む。
【0043】
上記のようにパケット列を 構築しながら順次送出することで、パケット列に、各チャネルから入力されたデータの一部を交互的に先頭から順序立てて配置すると共に伝送でも順序性を担保させやすい特長を付与する。
結果、送出されるパケット列では、使用するチャネルのストリームデータが順序立てて伝送され、また伝送路の最大通信容量に近いサイズでパケットが構築されるため伝送効率がよい。加えて、各チャネルのデータが交互に先頭から優先的に送信されるため、利用する全てのチャネルにおいて遅延時間が少ない。
【0044】
上記のように、各チャネルに対応する入力バッファから周期的または不定期に、使用している全チャネルの入力バッファから所要のデータを逐次読み出してパケット化し、そのパケットを伝送する。
したがって、他のチャネルに対して入力速度が遅いチャネルでも、データストリームが所定量まで溜まるまで送信が待たされるということがなく、遅延時間が少ない伝送を実現できる。また、単位時間あたりの各チャネルのデータの伝送量を、入力速度に比例させた伝送を実現できる。
【0045】
ストリームデータ多重装置2は、チャネル毎の部分データを、各パケットが伝送路の通信容量を超えないデータ長で且つ個々のチャネルの順序性を維持させ得るように、パケット列として全てのチャネルの部分データを循環的に配置される仕組みをパケット化技術として組み込む。
したがって、使用しているチャネルに対応する入力バッファからの読み出し間隔が短くても、単位時間当たりのパケット数を少なく抑えられる。結果、単位時間当たりの伝送効率の良い伝送を実現できる。
また、別の観点では、入力バッファからの読み出し間隔を短くすることが可能になる。結果、遅延量の低減を図り得る。
【0046】
本実施形態に係るストリームデータ分離装置3は、ストリームデータ多重装置2の構成に対応する構成である。
ストリームデータ分離装置3は、伝送路を介してストリームデータ多重装置2と接続してパケット列を受け付けると共に、個々のパケットに含まれている複数のデータストリームを分離(再構成)して個々のチャネル毎の出力バッファにバッファリングする。個々の出力バッファからは、並行して複数のチャネル毎の任意の速度でそれぞれのデータストリームを取り出せる。
【0047】
ストリームデータ分離装置3は、パケット列を統合的に扱うことで各チャネルの順序性をパケットのヘッダを参照することで整理できる。また、パケットの欠損を再送要求によって補うことも可能である。
ストリームデータ分離装置3は、各出力バッファに蓄積されているデジタルストリームデータを周期的または不定期に出力できる。
したがって、ストリームデータ分離装置3の各出力チャネルでは、ストリームデータ多重装置2の各入力チャネルに入力された入力データストリームを、伝送効率が良く受け付けると共に、出力データストリームとして個々に遅延時間を少なく再現できる。また、個々のチャネルが非同期や異なる速度であっても影響を少なく再現できる。
【0048】
以下、一つの実施例を示して本発明を説明する。なお、本実施例では、各種設定情報の種類やパケット構造を限定的に示して説明するが、下記説明が本発明を限定するものではない。
本実施例では、通信環境に伝送路として有線IP通信網を用いて説明する。また、多重伝送装置および多重分離装置の各種設定を行う設定装置を別に設ける。なお、多重分離伝送装置は、多重伝送装置と多重分離装置の両設定を用いて実現すればよい。
【0049】
[1.多重分離伝送システムの全体構成と動作概要]
図2は、実施例にかかる多重分離伝送システムの構成を示す。
【0050】
各デジタルデータストリーム出力装置N10は、映像データ、音声データ、測定データなどのデジタルデータストリームを出力する機器である。
また、デジタルデータストリーム入力装置N60は、映像データ、音声データ、測定データなどのデジタルデータストリームを受け付ける機器である。
【0051】
多重伝送装置N20の個々の入力チャネルデバイスN21は、それぞれデジタルデータストリーム出力装置N10と接続され、ストリームデータを受け付ける。
多重分離装置N50の個々の出力チャネルデバイスN51は、それぞれデジタルデータストリーム入力装置N60と接続され、ストリームデータを送出する。
【0052】
伝送路N30は有線IP網である。
設定装置N40は、多重伝送装置N20及び多重分離装置N50の個々の設定をネットワークを介して行う為に設けられている。
【0053】
[(1)設定]
多重伝送装置N20および多重分離装置N50は、設定装置N40から伝送路N30を介して設定を受ける。
【0054】
多重伝送装置N20および多重分離装置N50が受け付ける設定例を図3に示す。
多重伝送装置N20は多重伝送設定値D22として、図3(a)に示すように、使用しない入力チャネルデバイスの設定D22-1、自己(多重伝送装置N20)のIPアドレス設定D22-2、相手装置(多重分離装置N50)との多重伝送通信に使用するポート番号の設定D22-3、相手装置のIPアドレス及びポート番号の設定D22-4、伝送路のMTUの設定D22-5、各入力バッファの読み込み周期の設定D22-6を有する。
また、多重分離装置N50は多重分離設定値D52として、図3(b)に示すように、使用しない出力チャネルデバイスの設定D52-1、自己(多重分離装置N50)のIPアドレス設定D52-2、相手装置(多重伝送装置N20)との多重伝送通信に使用するポート番号の設定D52-3、各出力チャネルデバイスの出力速度の設定D52-4、再送要求などに用いる相手装置に関する設定D52-5を有する。
【0055】
多重伝送装置N20には、上記多重伝送設定値に従って指定された、使用しない入力チャネルデバイスの設定と、多重伝送装置N20のIPアドレス設定と、伝送に使用するポート番号の設定と、伝送先の多重分離装置N50のIPアドレスおよびポート番号の設定と、伝送路のMTUの設定と、各入力バッファの読み込み周期が設定される。
同様に、多重分離装置N50には、上記多重分離設定値に従って、使用しない出力チャネルデバイスの設定と、多重分離装置N50のIPアドレス設定と、伝送に使用するポート番号の設定と、多重伝送装置N20のIPアドレス及びポート番号の設定と、使用する各出力チャネルデバイスの出力速度が設定される。
【0056】
[(2)入力バッファリング処理]
個々の入力チャネルデバイスN21にストリームデータが入力されると、入力チャネルデバイスN21は、それぞれ入力バッファN22にデータストリームを逐次書き込む。
【0057】
[(3)伝送用パケット構築処理]
多重伝送制御部N23は入力バッファリング処理(2)とは非同期に、各チャネルに割り当てている各入力バッファN22からそれぞれのストリームデータの一部データを多重伝送装置メモリ部N24に順序性を持たせつつ並べて書き込み、パケット化(パケット列化)する。個々のパケットを構築する際、データの順序性を保つため各パケットにはシーケンス番号を含めておく。次に、多重伝送制御部N23はシーケンス番号順に構築したパケットの送信を予約する。この伝送用パケット構築処理を周期的または不定期に繰り返す。
これにより、1回の処理あたりに各入力バッファN22から読み出させる入力チャネルデバイスN21毎のデータストリームの量が、入力チャネルデバイスN21毎の入力速度に比例した量とでき、入力速度に対応する多重通信用パケット列を構築できる。
【0058】
[(4)パケット列送信処理]
多重伝送制御部N23は、入力チャネルバッファリング処理(2)および伝送用パケット構築処理(3)とは非同期に、送信が予約されたパケットを逐次送信処理する。
これにより、多重伝送装置ネットワークアダプタN25が伝送路N30へパケットを送出する。順次送出されたパケットは、パケット列となって伝送路N30を通り、多重分離装置N50の多重分離装置ネットワークアダプタN55まで伝送される。
【0059】
[(5)送信履歴管理処理]
また、多重伝送制御部N23は、パケット列送信処理(4)を行う際、直近の送信履歴情報として、シーケンス番号とパケットを関連付けた情報を、多重伝送装置メモリ部N24に書き込む。該送信履歴情報は、シーケンス番号が一巡して次に同じシーケンス番号の送信履歴が上書きされるまで保持される。
【0060】
[(6)パケット列受信処理]
多重分離装置N50の多重分離装置ネットワークアダプタN55は、伝送路N30からパケット列を受信する。次に、多重分離制御部N53は多重分離装置ネットワークアダプタN55からパケット列を逐次 受け付けて多重分離装置メモリ部N54に個々のパケットのデータを書き込む。
【0061】
[(7)多重分離処理]
多重分離制御部N53は、受信した個々のパケットのシーケンス番号とパケットを関連付けた情報を、多重分離装置メモリ部N54に書き込む。これを用いて、多重分離制御部N53は、受信したパケット列なす多くのパケットをシーケンス番号順に整理管理する。多重分離制御部N53はシーケンス番号順に各パケットから各チャネルのストリームデータを読み出し、各チャネルに応じた出力バッファN52に書き込みを行う。
【0062】
[(8)出力処理]
出力チャネルデバイスN51は、多重分離処理(7)とは非同期に、チャネルに設定された出力速度に応じた周期で出力バッファN52からデジタルデータストリームを読み出し、デジタルデータストリーム入力装置N60に読み出したデジタルデータストリームを出力する。
【0063】
[(9)シーケンス欠番マーキング処理]
多重分離処理(7)で、受信したパケットをシーケンス番号順に整理する際、多重分離制御部N53は、受信したパケットのシーケンス番号の1つ前のシーケンス番号を有するパケットが到着済みかどうかを判別し、未着であると判断した場合、未着のパケットのシーケンス番号およびカウンタwc=0を、欠番管理情報として多重分離装置メモリ部N54に書き込む。また、多重分離制御部N53は、受信したパケットに含まれていたシーケンス番号が欠番管理情報に含まれていた際に、そのシーケンス番号について欠番管理情報から削除する。
【0064】
[(10)再送要求処理]
多重分離制御部N53は、多重分離処理(7)と並行的に非同期且つ周期的に欠番管理情報を確認し、各欠番管理情報のカウンタwcをインクリメントする。次に、多重分離制御部N53は、欠番管理情報のうち、カウンタwcが規定値以上であるシーケンス番号について再送が必要と判別して、再送が必要と判断された全てのシーケンス番号を示した再送要求を送信する。
これにより、多重分離装置ネットワークアダプタN55が伝送路N30へ設定値に基づいて再送要求を送出する。再送要求は、伝送路N30を介して多重伝送装置N20の多重伝送装置ネットワークアダプタN25まで伝送される。多重伝送制御部N23は、多重伝送装置ネットワークアダプタN25から再送要求を受け取ることになる。
【0065】
[(11)再送処理]
再送要求処理(10)により、再送要求を受け付けた多重伝送制御部N23は、再送を要求されたシーケンス番号のパケットについて送信履歴情報を利用して該当パケットの送信を予約する。これにより、パケット列送信処理(4)で送出されるパケット列に再送要求を受けたパケットが組み入れられる。
【0066】
[2.多重伝送装置ハードウェア構成]
図2の多重伝送装置N20の要部をCPU N26を用いて実現した場合のハードウェア構成を図4に示す。図4において、CPU N26には、メモリN24、補助記憶装置N27、入力チャネルデバイスN21(入力バッファ群)、ネットワークアダプタN25が内部バスを介して接続されている。
補助記憶装置N27には、OS D20と共に、多重伝送設定値D22と多重伝送通信用プログラムD21が格納される。この多重伝送通信用プログラムD21と多重伝送設定値D22は、メモリN24に読み込まれ、該プログラムと設定に基づいてCPU N26を多重伝送制御手段として動作させる。
【0067】
[3.多重分離装置ハードウェア構成]
図2の多重分離装置N50の要部をCPU N56を用いて実現した場合のハードウェア構成を図5に示す。図5において、CPU N56には、メモリN54、補助記憶装置N57、出力チャネルデバイスN51(出力バッファ)、ネットワークアダプタN55が内部バスを介して接続されている。
補助記憶装置N57には、OS D50と共に、多重分離設定値D52と多重伝送通信用プログラムD51が格納される。この多重伝送通信用プログラムD51と多重分離設定値D52は、メモリN54に読み込まれ、該プログラムと設定に基づいてCPU N56を多重分離制御手段として動作させる。
【0068】
[4.伝送用パケット構造]
図6に、本実施例で用いる伝送用パケット構造を示す。
図6(a)に示すパケット構造は、ネットワーク層プロトコルとしてIPv4を用い、トランスポート層プロトコルとしてUDPを利用した場合の構造を示している。
同様に、図6(b)に示すパケット構造は、ネットワーク層プロトコルとしてIPv6を用い、トランスポート層プロトコルとしてUDPを利用した場合の構造を示している。
図示したように、伝送用パケットは、IPv4ヘッダF40若しくはIPv6ヘッダF60、UDPヘッダF1、ヘッダ部にあたる多重化ヘッダF2、データ部にあたる各チャネルデータF3から構成される。
明示的に図示しているように、データ長の関係がMTUを基準に定められている。この関係に基づき、多重伝送制御部N23は、パケット化する際に、伝送するチャネル数をふまえて、多重化ヘッダ長、各チャネルデータ長を求めて、個々のパケットを構築する。
【0069】
[5.多重化ヘッダ構造]
図7に、本実施例による伝送用パケットの多重化ヘッダF2の構造を示す。多重化ヘッダF2は、シーケンス番号F21、チャネル数F22、および、各チャネルのデータサイズF23をチャネル数分含んでいる。
シーケンス番号F21は、パケット列の連続性を保つ為の整理処理などに用いられる。チャネル数F22は、多重分離伝送システムで使用するチャネル数(多重化するチャネルの総数)を表す。
【0070】
[6.伝送用パケット構築処理]
図8に、一つの伝送用パケット構築処理例を示す。なお、並列的な処理など適宜入れ替えてもよい。
【0071】
1).まず、多重伝送制御部N23は、1パケットに搭載可能なチャネルデータ合計の最大サイズdLを求める。この搭載できる最大サイズdLは、入力バッファの読み込み周期や、ペイロードサイズ、使用チャネル数(不使用チャネル数)、MTUなどの各データ長から演算により導出する。
【0072】
2).次に、多重伝送制御部N23は、入力バッファリング処理(2)で逐次バッファリングされているストリームデータを、各チャネルの入力バッファN22から多重伝送装置メモリ部N24に読み出すと共に、1パケットに搭載可能なチャネルデータ合計最大サイズdL以下となるよう統括的に分割処理する。
【0073】
3).次に、多重伝送制御部N23は、分割されたデータ部分のうち各チャネルの先頭データを含むもの(1a, 2a, 3a, 4a, 5a)について、合計サイズが1パケットに搭載可能なチャネルデータ合計最大サイズdL以下となるよう組み合わせ、その組み合わせに対してシーケンス番号F21を振る。
【0074】
4).さらに、多重伝送制御部N23は、まだ残っている分割されたデータ部分(1b, 2b)それぞれのサイズを識別して、前のデータ部分(1a, 2a)に付いたシーケンス番号(0, 1)よりも後のシーケンス番号(1-3 , 2-3)のデータ部分への組み込みが可能であるか判別し、あれば組み合わせる(5a, 1b)。
5).この組み合わせを探索する処理を繰り返して、組み入れる組合せが無い分割されたデータ部分(2b)に新たなシーケンス番号F21(4)を付与する。
【0075】
6).4)及び5)の処理を全ての分割されたデータ部分を割り振るまで繰り返し実行する。
【0076】
7).さらに、多重伝送制御部N23は、シーケンス番号順に構築したパケットを送信予約する。
【0077】
多重伝送制御部N23は、伝送用パケット構築処理(3)として上記処理を逐次的に繰り返し、パケット列を順次生成する。
【0078】
[7.伝送用パケット構築例]
図9に、構築されるパケットの構造例を示す。図示されているように、複数のチャネルから受け付けたデータストリームを複数のパケットに分散してパケット化が図れている。
右側の拡大図では、シーケンス番号が『2』のヘッダ部分とデータ部分を拡大している。このパケットの多重化ヘッダを参照すると、シーケンス番号が『2』であり、多重化数が『5チャネル』であり、チャネル3とチャネル4のそれぞれのデータ長が『960バイト』と『225バイト』であることを示した情報が含まれている。なお、シーケンス番号及びチャネル数は、0から始まる番号列で示している。この内容を受けて側で識別処理して、ストリームデータの再構築に使用する。
【0079】
[8.多重分離処理]
図10に、実施例によるパケット列の分離処理例を示す。なお、並列的な処理など適宜入れ替えてもよい。
【0080】
1).多重分離制御部N53は、受信したパケット列に含まれる個々のパケットのシーケンス番号とパケットを関連付けた情報を、シーケンス番号とパケットの対応関係を示した対応表WT51として有しており、多重分離装置メモリ部N54に諸情報を書き込む。これにより、多重分離制御部N53は、受信したパケット列をシーケンス番号順に管理できる。
【0081】
2).多重分離制御部N53は、シーケンス番号順にパケットから各チャネルのストリームデータを読み出して、各チャネルの出力バッファN52に逐次バッファする。
【0082】
多重分離制御部N53は、多重伝送通信に関係するパケット列を受信するたびに多重分離処理(7)として上記処理を逐次的に繰り返し、パケット列を順次分離する。
【0083】
[9.シーケンス欠番マーキング処理]
図11に、実施例によるシーケンス欠番マーキング処理を示す。なお、並列的な処理など適宜入れ替えてもよい。
多重分離処理(7)で、受信したパケットをシーケンス番号順に管理する際に、多重分離制御部N53は、シーケンス番号とパケットの対応表WT51を用いて、受信したパケットのシーケンス番号の1つ前のシーケンス番号を持つパケットが到着済みかどうかを判別し、未到着であると判別した場合、未到着のパケットのシーケンス番号およびカウンタwc=0を、欠番管理情報WT52として多重分離装置メモリ部N54に書き込む。また、多重分離制御部N53は、受信したパケットのシーケンス番号が、該欠番管理情報WT52に含まれている場合、そのシーケンス番号について該欠番管理情報WT52から情報を削除する。
【0084】
[10.再送要求処理および再送処理]
図12に、実施例による再送要求処理および再送処理を示す。なお、並列的な処理など適宜入れ替えてもよい。
多重分離制御部N53は、多重分離処理(7)とは非同期に、周期的に欠番管理情報WT52を確認し、各欠番管理情報のカウンタwcをインクリメントする。次に、多重分離制御部N53は、欠番管理情報WT52に記載されているシーケンス番号のうち、カウンタwcが規定値以上であるシーケンス番号について再送が必要と判別し、再送要求を多重伝送装置N20に向けて送信する。
これにより、多重伝送装置N20まで再送要求が伝送され、多重伝送制御部N23が再送要求を受け付ける。多重伝送制御部N23は、再送を要求されたすべてのシーケンス番号について送信履歴情報を参照してパケットを特定し、そのパケットの送信を予約して、再送を実現する。
再送されたパケットは、他のパケットと共に、多重分離制御部N53で多重分離処理(7)に付されて、欠損していた部分を補う。
【0085】
[−目次−]
1. 多重分離伝送システムの構成と動作概要
(1)設定
(2)入力バッファリング処理
(3)伝送用パケット構築処理
(4)パケット列送信処理
(5)送信履歴管理処理
(6)パケット列受信処理
(7)多重分離処理
(8)出力処理
(9)シーケンス欠番マーキング処理
(10)再送要求処理
(11)再送処理
2.多重伝送装置ハードウェア構成
3.多重分離装置ハードウェア構成
4.伝送用パケット構造
5.多重化ヘッダ構造
6.伝送用パケット構築処理
7.伝送用パケット構築例
8.多重分離処理
9.シーケンス欠番マーキング処理
10.再送要求処理および再送処理
【0086】
以上説明したように、本発明を適用した多重分離伝送システムは、複数のチャネルから入力されたデジタルストリームデータをまとめ上げ、伝送効率が良く個々のチャネルの遅延時間が少ない多重通信をパケット通信により行える。
【0087】
また、本発明にかかるプログラムは、複数のチャネルから入力されたデジタルストリームデータをまとめ上げ、伝送効率が良く個々のチャネルの遅延時間が少ないパケット通信を、各種ネットワーク装置に行わせられる。このプログラムは、記憶媒体に固定的に記録されて頒布されてもよい。当該記録媒体に記録されたプログラムは、有線、無線、又は記録媒体そのものを介して、メモリに読込まれ、制御部等を動作させる。記録媒体を例示すれば、オプティカルディスクや磁気ディスク、半導体メモリ装置、ハードディスクなどが挙げられる。
【0088】
このように、本発明によれば、複数のチャネルから入力されたデジタルストリームデータをまとめ上げ、伝送効率が良く個々のチャネルの遅延時間が少ない多重伝送装置、多重分離装置、及びそれらのプログラムを提供できる。また、各構成を組み合わせることにより多重伝送処理と多重分離処理を行える多重分離伝送装置及びプログラムを提供できる。
【0089】
本発明の具体的な構成は前述の実施の形態及び実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があってもこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・多重分離伝送システム
2・・・ストリームデータ多重装置
3・・・ストリームデータ分離装置
4・・・入力バッファ部
5・・・多重伝送制御部
6・・・多重伝送装置メモリ部
7・・・多重伝送装置ネットワークアダプタ
8・・・多重分離装置ネットワークアダプタ
9・・・多重分離制御部
10・・・多重分離装置メモリ部
11・・・出力バッファ部
N10・・・デジタルデータストリーム出力装置
N20・・・多重伝送装置
N21・・・入力チャネルデバイス
N22・・・入力バッファ
N23・・・多重伝送制御部
N24・・・多重伝送装置メモリ部
N25・・・多重伝送装置ネットワークアダプタ
N26・・・多重伝送装置CPU
N27・・・多重伝送装置補助記憶装置
N30・・・伝送路
N40・・・設定装置
N50・・・多重分離装置
N51・・・出力チャネルデバイス
N52・・・出力バッファ
N53・・・多重分離制御部
N54・・・多重分離装置メモリ部
N55・・・多重分離装置ネットワークアダプタ
N56・・・多重分離装置CPU
N57・・・多重分離装置補助記憶装置
N60・・・デジタルデータストリーム入力装置
D20・・・多重伝送装置OS
D21・・・多重伝送通信用プログラム
D22・・・多重伝送設定値
D22-1・・使用しない入力チャネルデバイスの設定
D22-2・・・伝送に使用するIPアドレスの設定
D22-3・・・伝送に使用するポート番号の設定
D22-4・・・伝送相手に関する設定
D22-5・・・伝送路のMTUの設定
D22-6・・・各入力バッファの読み込み周期(速度)の設定
D50・・・多重分離装置OS
D51・・・多重伝送通信用プログラム
D52・・・多重分離設定値
D52-1・・・使用しない出力チャネルデバイスの設定
D52-2・・・伝送に使用するIPアドレスの設定
D52-3・・・伝送に使用するポート番号の設定
D52-4・・・各出力チャネルデバイスの書き出し周期(出力速度)の設定
D52-5・・・相手伝送装置に関する設定
F1・・・UDPヘッダ
F2・・・多重化ヘッダ
F3・・・各チャネルデータ
F40・・・IPv4ヘッダ
F60・・・IPv6ヘッダ
F21・・・シーケンス番号
F22・・・チャネル数
F23・・・チャネルデータのサイズ
wc・・・各欠番管理情報毎のチェック回数カウンタ
WT51・・・シーケンス番号とパケットの対応表
WT52・・・欠番管理情報
CI11・・・チャネル1入力データ
CI12・・・チャネル2入力データ
CI13・・・チャネル3入力データ
T10・・・NULLデータ
CO11・・・チャネル1出力データ
CO12・・・チャネル2出力データ
CO13・・・チャネル3出力データ
CI21・・・チャネル1入力データ
CI22・・・チャネル2入力データ
CI23・・・チャネル3入力データ
T22・・・チャネル2データ伝送用パケット
T23・・・チャネル3データ伝送用パケット
CO21・・・チャネル1出力データ
CO22・・・チャネル2出力データ
CO23・・・チャネル3出力データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14