特許第6241711号(P6241711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241711
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】車両のキャブロック構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 33/07 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   B62D33/07 T
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-124653(P2013-124653)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-591(P2015-591A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 正好
(72)【発明者】
【氏名】松木 茂
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実公平06−005970(JP,Y2)
【文献】 特開2013−022131(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3150868(JP,U)
【文献】 特開平09−272692(JP,A)
【文献】 特開平10−119832(JP,A)
【文献】 実開平06−027457(JP,U)
【文献】 実開平06−039677(JP,U)
【文献】 特開2008−265393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 33/06−33/07
17/00−25/08
25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端側を中心としてチルト可能なキャブの後端側を、非チルト状態でシャシ側にロックするキャブオーバー型車両のキャブロック構造であって、
前記キャブに対して回転自在に支持され、少なくともロック解除位置とロック位置との間を傾動可能なキャブロックレバーと、
前記キャブに対して移動自在に支持され、前記ロック解除位置から前記ロック位置への前記キャブロックレバーの傾動に連動して係合解除位置から係合位置へ移動し、前記キャブが非チルト状態であるとき、前記係合位置では前記キャブを前記シャシ側へロックし、前記係合解除位置では前記シャシ側への前記キャブのロックを解除するキャブロックフックと、
前記ロック位置の前記キャブロックレバーの近傍に配置されて前記キャブ側に固定されるピン挿着部と、
前記ピン挿着部に着脱自在に挿着され、前記キャブロックレバーが前記ロック位置に設定されたレバーロック状態で前記ピン挿着部に挿着されることによって、前記キャブロックレバーの前記ロック位置からロック解除方向への傾動を阻止して前記レバーロック状態を保持し、前記ピン挿着部から離脱することによって、前記キャブロックレバーの傾動を許容して前記レバーロック状態を解除可能とするロックピンと、
前記ロックピンに接続される一端部と、前記シャシ側に接続される他端部とを有し、前記非チルト状態で前記ピン挿着部への前記ロックピンの着脱を許容する可撓性の紐状連結材と、
前記シャシ側に回転自在に支持され、前記紐状連結材の前記他端部が接続されるリンク部材と、を備え、
前記紐状連結材は、前記レバーロック状態で前記ロックピンが前記ピン挿着部に挿着され、且つ前記キャブロックフックが前記キャブを前記シャシ側へロックしていないとき、前記ロックピンの移動を規制することによって前記キャブの前倒れ方向への移動を阻止する
ことを特徴とする車両のキャブロック構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のキャブロック構造であって、
前記ロックピンは、軸状のピン本体と、このピン本体の外周から突出して前記紐状連結材の前記一端部が接続される連結材接続部とを有し、
前記ピン挿着部は、前記ピン本体が挿入されるピン挿入孔を有し、
前記ピン本体は、前記ピン挿入孔に対して所定の回転位置に設定された状態でのみ前記ピン挿入孔に対する挿入及び離脱が許容され、
前記紐状連結材の前記他端部は、前記ピン挿着部よりも下方で前記シャシ側に接続され、
前記所定の回転位置では、前記連結材接続部が下方以外の方向に向かって前記ピン本体の外周から突出する
ことを特徴とする車両のキャブロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チルト可能なキャブをシャシ側にロックするためのキャブロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チルトキャブ側の挿通孔に挿入されてキャブロックレバーの揺動を阻止するストッパピンを、鎖によってフレーム側につなぐ構造が記載されている。チルトキャブが、水平姿勢の正規位置にされることなく、ストッパピンが挿通孔に挿通された場合、鎖がストッパピンを張出し部につなぎ止めるので、チルトキャブの前倒れが阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−5970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、チルトキャブの前倒れを確実に阻止するためには、太径の大型の鎖によってストッパピンを張出し部につながなければならない。このため、チルトキャブの後面側の狭い領域に鎖を通すためのスペースを確保しなければならず、レイアウト変更等が必要な場合が生じてしまう。
【0005】
また、車両の走行時の振動によって鎖が揺動すると、異音が発生して乗員等に違和感を与えるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、キャブの前倒れ方向への移動を阻止ために必要なスペースを最小限に抑えることができ、且つ異音の発生を抑制することが可能な車両のキャブロック構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、前端側を中心としてチルト可能なキャブの後端側を、非チルト状態でシャシ側にロックするキャブオーバー型車両のキャブロック構造であって、キャブロックレバーとキャブロックフックとピン挿着部とロックピンと可撓性の紐状連結材とリンク部材とを備える。
【0008】
キャブロックレバーは、キャブに対して回転自在に支持され、少なくともロック解除位置とロック位置との間を傾動可能である。キャブロックフックは、キャブに対して移動自在に支持され、ロック解除位置からロック位置へのキャブロックレバーの傾動に連動して係合解除位置から係合位置へ移動する。キャブが非チルト状態であるとき、キャブロックフックは、係合位置ではキャブをシャシ側へロックし、係合解除位置ではシャシ側へのキャブのロックを解除する。
【0009】
ピン挿着部は、ロック位置のキャブロックレバーの近傍に配置されてキャブ側に固定される。ロックピンは、ピン挿着部に着脱自在に挿着される。キャブロックレバーがロック位置に設定されたレバーロック状態でピン挿着部に挿着されたロックピンは、ロック位置からロック解除方向へのキャブロックレバーの傾動を阻止してレバーロック状態を保持する。また、ロックピンがピン挿着部から離脱することによって、キャブロックレバーの傾動が許容され、レバーロック状態が解除可能となる。
【0010】
紐状連結材は、ロックピンに接続される一端部と、シャシ側に接続される他端部とを有する。紐状連結材は、非チルト状態でピン挿着部へのロックピンの着脱を許容する。リンク部材は、シャシ側に回転自在に支持され、紐状連結材の他端部が接続される。また、レバーロック状態でロックピンがピン挿着部に挿着され、且つキャブロックフックがキャブをシャシ側へロックしていないとき、紐状連結材は、ロックピンの移動を規制することによってキャブの前倒れ方向への移動を阻止する。
【0011】
紐状連結材は、キャブの前倒れを阻止するための所望の引っ張り強度を有するものであればよく、金属線(例えば高張力鋼)を編んだワイヤや樹脂紐などを用いることができる。
【0012】
上記構成では、レバーロック状態でキャブロックフックがキャブをシャシ側へロックしていない状態であっても、ロックピンをピン挿着部に挿着しておくことにより、紐状連結材がロックピンの移動を規制してキャブの前倒れ方向への移動を阻止する。従って、キャブがシャシ側にロックされていないまま車両が走行を開始した際に、キャブの前倒れを防止することができる。
【0013】
また、ロックピンとシャシ側とを紐状連結材によって連結しているので、キャブの後面側に必要なスペースを最小限に抑えることができるとともに、車両走行中の異音の発生を抑制することができる。
【0015】
さらに、紐状連結材の可撓性が小さい(撓み難い)場合であっても、リンク部材が紐状連結材の移動を補助するので、ピン挿着部に対するロックピンの着脱作業を容易に行うことができる。


【0016】
また、ロックピンは、軸状のピン本体と、このピン本体の外周から突出して紐状連結材の一端部が接続される連結材接続部とを有してもよく、ピン挿着部は、ピン本体が挿入されるピン挿入孔を有してもよく、紐状連結材の他端部は、ピン挿着部よりも下方でシャシ側に接続されてもよい。ピン本体は、ピン挿入孔に対して所定の回転位置に設定された状態でのみピン挿入孔に対する挿入及び離脱が許容される。所定の回転位置では、連結材接続部が下方以外の方向に向かってピン本体の外周から突出する。
【0017】
上記構成では、ピン本体の外周から突出する連結材接続部に紐状連結材の一端部が接続され、紐状連結材の他端部はピン挿着部よりも下方でシャシ側に接続されるので、ピン挿着部に挿着された状態で、ロックピンは連結材接続部が下方を向いた姿勢(ロック姿勢)に保持される。また、ピン挿入孔に対してピン本体の挿入及び離脱が許容される所定の回転位置は、連結材接続部が下方以外の方向に向かって突出する回転位置に設定されているので、ロック姿勢のロックピンはピン挿入孔からの離脱が阻止された状態となる。従って、ロックピンのピン挿入孔からの意図しない離脱を簡単な構造によって確実に阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、キャブの前倒れ方向への移動を阻止するために必要なスペースを最小限に抑えることができるとともに、車両走行中の異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るキャブロック構造を備えたキャブオーバートラックのキャブの背面構造を示す外観斜視図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3図1のキャブロック構造の要部の分解斜視図である。
図4】非チルト状態におけるロックピンと紐状連結材とを側方から視た模式図である。
図5】紐状連結材によってキャブの前倒れが阻止された状態を側方から視た模式図である。
図6】変形例を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示す車両は、キャブ1の前端側がシャシ側2に対しチルト軸(図示外)を中心としてチルト可能に支持されたキャブオーバートラックである。キャブ1の背面1aの車幅方向の略中央には、非チルト状態のキャブ1の後端側をシャシ側2にロックするキャブロック装置3が固定され、キャブロック装置3に対応して、シャシ側2の車幅方向の略中央には、ストライカ(図示省略)が固定されている。また、キャブ1の背面1aの車幅方向の左右両側には、被支持部4がそれぞれ固定され、被支持部4に対応して、シャシ側2の車幅方向の左右両側には、キャブ支持部5がそれぞれ固定されている。キャブ1の後端下方のシャシ側2には、キャブリア支持フレーム6(図3に示す)が設けられ、ストライカ及びキャブ支持部5は、キャブリア支持フレーム6に固定される。キャブ支持部5の上面にはゴム等の弾性材からなるキャブマウントラバー7が固定され、非チルト状態において、左右の被支持部4は、キャブマウントラバー7を介してキャブ支持部5によって下方から支持される。
【0022】
キャブ1の背面1aの車幅方向一側(本実施形態では図1の左側)には、キャブロックレバー8が設けられている。キャブロックレバー8は、その中間部がキャブ1に対して回転自在に支持されることにより、ロック位置とロック解除位置との間で傾動自在となっている。
【0023】
キャブロック装置3は、リンクプレート9とキャブロックフック10とバネ部材(図示省略)とを備えている。リンクプレート9は、キャブ1に対し回転軸11を中心としてロック方向及びロック解除方向へ回転自在に支持される。キャブロックフック10は、リンクプレート9に対し回転軸12を中心として回転自在に支持され、キャブ1に対してロック方向及びロック解除方向へ移動自在となる。リンクプレート9がロック方向へ回転するとキャブロックフック10もロック方向へ移動し、リンクプレート9がロック解除方向へ回転するとキャブロックフック10もロック解除方向へ移動する。
【0024】
キャブロックレバー8の一端側(図1の下側)と、キャブロック装置3のリンクプレート9とは、車幅方向に沿って延びるロッド13を介して連結されている。キャブロックレバー8の他端側のグリップ部14を上方へ引き上げてキャブロックレバー8をロック方向へ傾動させると、ロッド13はロック方向(図1の左方向)へ移動し、これに連動してリンクプレート9が回転軸11を中心として係合解除位置から係合位置までロック方向へ回転する。反対に、グリップ部14を押し下げてキャブロックレバー8をロック解除方向へ傾動させると、ロッド13はロック解除方向(図1の右方向)へ移動し、これに連動してリンクプレート9が回転軸11を中心として係合位置から係合解除位置までロック解除方向へ回転する。
【0025】
キャブ1に対するキャブロックフック10の移動軌跡は、回転軸11を中心とした回転と回転軸12を中心とした回転とにより規定される。バネ部材は、キャブロックフック10をリンクプレート9に対してロック方向へ付勢する。また、特に図示していないが、リンクプレート9には、キャブロックフック10のロック解除方向への移動範囲を規制するストッパが設けられている。このため、キャブロックフック10に外力が加わっていない状態(リンクプレート9が係合解除位置にある状態を含む)では、バネ部材とストッパとによって、キャブロックフック10はリンクプレート9に対して所定位置に維持される。
【0026】
キャブ1が非チルト状態であるときに、キャブロックレバー8をロック方向へ傾動すると、ロッド13に連動してリンクプレート9が回転軸11を中心として係合解除位置から係合位置まで回転し、キャブロックフック10は、リンクプレート9の回転に伴って係合解除位置から係合位置までロック方向へ移動する。係合位置に達したキャブロックフック10は、ストライカに下方から係合し、キャブ1がシャシ側2にロックされる。
【0027】
このキャブロック状態(キャブロックレバー8がロック位置に設定された状態)からキャブロックレバー8をロック解除方向へ傾動すると、ロッド13に連動してリンクプレート9が回転軸11を中心として係合位置からロック解除方向へ回転し、キャブロックフック10は、上記ロック方向への移動時と反対の移動軌跡を通り、ストライカから外れて係合解除位置へ戻る。
【0028】
キャブ1の背面1aの車幅方向一側(図1の左側)には、上下方向に延びるエアクリーナダクト15が設けられている。エアクリーナダクト15は、キャブロックレバー8の車幅方向内側に近接して配置され、ロッド13はキャブ1の背面1aとエアクリーナダクト15の前面との間を挿通する。非チルト状態では、エアクリーナダクト15の下端部がシャシ側2のエアクリーナドラム16と連通し、車室外の空気がエアクリーナダクト15を介してエアクリーナドラム16によって吸引される。チルト状態では、エアクリーナダクト15の下端部がエアクリーナドラム16側から離脱する。
【0029】
図2に示すように、キャブ1の背面1aにはレバー支持ブラケット17が固定され、キャブロックレバー8の中間部は、前後方向に延びる軸部材18を中心としてレバー支持ブラケット17に回転自在に支持される。
【0030】
レバー支持ブラケット17の上部には、前後方向に離間して相対向する前後の上板部19,20が一体的に形成されている。前後の上板部19,20は、ロック位置のキャブロックレバー8の近傍に配置されてキャブ側に固定されるピン挿着部21として機能し、ピン挿着部21には、ロックピン22が着脱自在に挿着される。
【0031】
図2及び図3に示すように、ロックピン22は、軸状(本実施形態では円筒状)のピン本体23と、ピン本体23の後端側の外周から突出する長板状の連結材接続部24と、ピン本体23の前端側の外周から連結材接続部24と対向するように突出する短板状のキー部25とを一体的に有する。ピン挿着部21(上板部19,20)には、ピン本体23が挿入される円形状のピン挿入孔26が形成されている。ピン挿入孔26の上部には、キー部25の挿通を許容するキー挿通孔27が上方へ延びるように形成されている。
【0032】
キー部25とキー挿通孔27とによって、ピン本体23は、ピン挿入孔26に対して所定の回転位置(キー部25が上方を向く回転位置)に設定された状態でのみピン挿入孔26に対する挿入及び離脱が許容される。また、この所定の回転位置では、連結材接続部24が下方以外の方向(本実施形態では上方)に向かってピン本体23の外周から突出する。
【0033】
ロックピン22は、キャブロックレバー8がロック位置に設定されたレバーロック状態でピン挿着部21に挿着されることによって、キャブロックレバー8のロック位置からロック解除方向への傾動を阻止してレバーロック状態を保持する。また、ロックピン22がピン挿着部21から離脱すると、キャブロックレバー8の傾動が許容されて、レバーロック状態が解除可能となる。
【0034】
ロックピン22とシャシ側2とは、可撓性の紐状連結材28によって連結されている。本実施形態の紐状連結材28は、金属線(例えば高張力鋼)を編んだワイヤである。紐状連結材28の一端部(上端部)は、リング(金属環)32を介してロックピン22の連結材接続部24に接続され、他端部(下端部)は、リンク部材29及びブラケット30を介してシャシ側2に接続されている。ブラケット30は、左側のキャブ支持部5の下方でキャブリア支持フレーム6に複数のボルト33によって締結固定されて、車幅方向外側(左側)へ延びる。ブラケット30の左端には、車幅方向と交叉するリンク支持面部31が曲折形成されている。リンク部材29は板状体であり、その一端部がボルト34によってリンク支持面部31に回転自在に支持されている。紐状連結材28の他端部は、ピン挿着部21よりも下方のリンク部材29の他端部に、ボルト35によって回転自在に接続されている。なお、ブラケット30を省略し、リンク部材29をキャブリア支持フレーム6などに直接取り付けてもよい。
【0035】
紐状連結材28は、非チルト状態でピン挿着部21へのロックピン22の着脱を許容する。すなわち、連結材接続部24が下方を向く状態(図4に実線で示す状態)と所定の回転位置に設定されてピン挿入孔26に対する着脱が許容される状態(図4に二点鎖線で示すように連結材接続部24が上方を向く状態)との間で、ピン挿入孔26に対するロックピン22の回転移動が許容される。
【0036】
また、紐状連結材28は、レバーロック状態でロックピン22がピン挿着部21に挿着され、且つキャブロックフック10がキャブ1をシャシ側2へロックしていない(キャブロックフック10がストライカと完全に係合していない)とき、ロックピン22の上方への移動を規制することによってキャブ1の前倒れ方向への移動を阻止する(図5参照)。
【0037】
本実施形態によれば、レバーロック状態でキャブロックフック10がキャブ1をシャシ側2へロックしていない状態であっても、ロックピン22をピン挿着部21に挿着しておくことにより、紐状連結材28がロックピン22の上方への移動を規制してキャブ1の前倒れ方向への移動を阻止する。従って、キャブ1がシャシ側2にロックされていないまま車両が走行を開始した際に、キャブ1の前倒れを防止することができる。
【0038】
また、ロックピン22とシャシ側2とを紐状連結材28によって連結しているので、エアクリーナダクト15などがキャブ1の背面1a側に配置されてスペース上の制約を受ける場合であっても、必要なスペースを最小限に抑えてロックピン22をシャシ側2に連結することができる。また、車両走行中の異音の発生を抑制することができる。
【0039】
また、紐状連結材28の可撓性が小さい(撓み難い)場合であっても、リンク部材29が紐状連結材28の移動を補助するので、ピン挿着部21に対するロックピン22の着脱作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、ピン本体23の外周から突出する連結材接続部24に紐状連結材28の一端部が接続され、紐状連結材28の他端部はピン挿着部21よりも下方でシャシ側2に接続されるので、ピン挿着部21に挿着された状態のロックピン22は、連結材接続部24が下方を向いた姿勢(ロック姿勢)に保持される。また、ピン挿入孔26に対してピン本体23の挿入及び離脱が許容される所定の回転位置は、連結材接続部24が下方以外の方向(上方)に向かって突出する回転位置に設定されているので、ロック姿勢のロックピン22はピン挿入孔26からの離脱が阻止された状態となる。従って、ロックピン22のピン挿入孔26からの意図しない離脱を簡単な構造によって確実に阻止することができる。
【0041】
また、キャブ1がシャシ側2にロックされておらず、キャブ1が少し浮いた状態になっている場合には、連結材接続部24が上方を向く回転位置までロックピン22を回転させてピン挿着孔26に挿着することができないように、紐状連結材28の長さを設定してもよい。このようにキャブ1の非ロック時にロックピン22を挿着不可能とすることによって、キャブ1がシャシ側2にロックされていないことを作業者に気付かせることができる。
【0042】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定をされるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲では適宜の変更が可能である。
【0043】
例えば、紐状連結材は、キャブ1の前倒れを阻止するための所望の引っ張り強度を有するものであればよく、金属製のワイヤに限定されず、樹脂紐などを用いてもよい。
【0044】
また、図6に示すように、リンク部材29を省略して、紐状連結材28の下端部をブラケット30に接続してもよい。
【0045】
また、リング32(図3参照)を省略して、紐状連結材28の一端部をロックピン22に接続してもよい。この場合、紐状連結材28の一端部に大きな内径を有する環状部を一体形成し、この環状部をロックピン22に接続すると好適である。
【符号の説明】
【0046】
1:キャブ
1a:キャブの背面
2:シャシ側
3:キャブロック装置
4:被支持部
5:キャブ支持部
6:キャブリア支持フレーム
7:キャブマウントラバー
8:キャブロックレバー
10:キャブロックフック
13:ロッド
14:グリップ部
15:エアクリーナダクト
17:レバー支持ブラケット
18:軸部材
19,20:上板部19,20
21:ピン挿着部
22:ロックピン
23:ピン本体
24:連結材接続部
25:キー部
26:ピン挿入孔
27:キー挿通孔
28:紐状連結材
29:リンク部材
30:ブラケット
31:リンク支持面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6