(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、(A)松樹皮抽出物及び(B)ポリグルタミン酸塩を含有する、頭皮・頭髪用化粧料である。以下に詳細を説明する。
【0009】
(松樹皮抽出物)
本発明において(A)松樹皮抽出物に用いることができる松樹皮としては、例えば、フランス海岸松、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮が挙げられる。
これらの中でも、フランス海岸松(学名:Pinus maritima)の樹皮が好ましく、フランス海岸松は南仏の大西洋沿岸などに生育している海洋性松をいう。フランス海岸松樹皮抽出物を用いた場合、後述する(B)ポリグルタミン酸塩と併用したときの毛髪のツヤ感、滑らかさ、頭皮への弾力感や保湿感の付与効果が高められる。また、血流改善作用により、毛乳頭細胞の増殖作用や育毛を促進する作用も期待できる。
【0010】
松樹皮抽出物は、上記の松樹皮を溶媒で抽出して得られる。ここで用いることができる溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールといった含水アルコール)が挙げられる。水を溶媒に用いる場合には、温水または熱水を用いてもよい。抽出に用いる有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンが挙げられる。これらの水および有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合せて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
【0011】
松樹皮抽出物を松樹皮から抽出する方法については特に制限はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0012】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0013】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0014】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC(oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)、カテキン類などの目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0015】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0016】
また、松樹皮からの抽出は、上述の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等により行ってもよい。
【0017】
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0018】
上述した抽出により得られた松樹皮抽出物は、限外濾過、あるいは吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法またはバッチ法により精製を行うことが安全性の面から好ましい。
【0019】
(A)松樹皮抽出物の市販品としては、例えばフラバンジェノール(東洋新薬社製。なお、「フラバンジェノール」は株式会社東洋新薬の登録商標)が挙げられる。
【0020】
(A)松樹皮抽出物の含有量は、特に制限されるものではないが、頭皮・頭髪用化粧料の全量に対して、0.00001〜1重量%であることが好ましく、0.0001〜0.2重量%がより好ましい。
【0021】
(ポリグルタミン酸塩)
本発明に用いられる(B)ポリグルタミン酸塩はグルタミン酸を重合単位とするポリペプチドの塩である。塩としては、例えばナトリウム塩やカリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、これらの中でも特にナトリウム塩が好ましい。化学的に合成されるα又はγ−ポリグルタミン酸や各種菌株からの発酵生産物として得られる天然のα又はγ−ポリグルタミン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を用いることができる。また重量平均分子量は特に制限されるものではないが、例えば10万〜150万のものを使用することができる。
【0022】
(A)松樹皮抽出物と(B)ポリグルタミン酸塩を組み合わせて用いることにより、頭髪に適用した時に手触りがよく、毛髪にツヤや滑らかさを付与し、頭皮へ弾力感や保湿感を付与することができる。
(B)ポリグルタミン酸塩の含有量は、特に制限されるものではないが、頭皮・頭髪用化粧料の全量に対して、0.00001〜5.0重量%であることが好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。また(A)松樹皮抽出物100重量部に対して、0.1〜1×10
6重量部であることが好ましく、200〜1×10
5重量部がさらに好ましい。この範囲で最も毛髪にツヤや滑らかさ、頭皮への弾力感や保湿感を付与することができる。
【0023】
(シロキクラゲ多糖類)
本発明の頭皮・頭髪用化粧料は、上記必須成分と共に、さらに(C)シロキクラゲ多糖類及び(D)海藻抽出物から選ばれる1種以上を含有していることが好ましい。
【0024】
(C)シロキクラゲ多糖類は、シロキクラゲから抽出される水溶性多糖類を表し、本発明においては特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
シロキクラゲはシロキクラゲ科に属するキノコの総称をいい、本発明ではシロキクラゲ科シロキクラゲ(Tremella fuciformis)に限らず、ハナビラニカワタケ(Tremella foliacea)、コガネニカワタケ(Tremella mesenterica)等も用いることができる。シロキクラゲは、その菌体だけでなく子実体も利用できる。
【0025】
抽出溶媒としては、水、メタノールやエタノールなど炭素数1〜4の低級アルコール、1,3−ブチレングリコールやプロピレングリコール等の多価アルコール、ヘキサンやペンタン等の炭化水素、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、エチルエーテルやプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のケトン類、アセトニトリル等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、多糖類を抽出できる溶媒が好適であり、好ましくは、水又は水と任意の割合で混合可能な溶媒、例えば、エタノールや1,3−ブチレングリコールとの混液を用いるのがよい。
【0026】
抽出法は特に限定されるものではなく、例えば抽出溶媒と菌体を混合して加温抽出した後、菌体を除去する方法等が挙げられる。得られた抽出物をそのまま用いても、粉末状に乾燥させたものを用いてもよい。
【0027】
(C)シロキクラゲ多糖類の市販品としては、例えばTremoist−SL、Tremoist−TP(いずれも日本精化株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
(C)シロキクラゲ多糖類の含有量は、特に制限されるものではないが、頭皮・頭髪用化粧料の全量に対して、0.00001〜5.0重量%であることが好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。また(A)松樹皮抽出物100重量部に対して、0.1〜1×10
6重量部であることが好ましく、200〜1×10
5重量部がさらに好ましい。(C)シロキクラゲ多糖類を配合することにより、頭髪に適用した時の手触りがよくなり、毛髪のツヤ感を高められる。
【0029】
(海藻抽出物)
(D)海藻抽出物としては、特に制限はないが、褐藻類(ヒバマタ、コンブ属等)、紅藻類(イギス属等)、緑藻類の全藻、又はめかぶ(胞子葉又は成実葉)等を極性溶剤で抽出して得られる抽出物を用いることができる。
【0030】
抽出に用いる極性溶媒としては、低級アルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭素類等が挙げられる。
低級アルコール類としては、エタノール、メタノール、プロパノール等が挙げられる。
グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で又は水溶液として用いてもよいし、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。これらの中でも、アセトン、エタノール、ブチレングリコール及びプロピレングリコールが好ましい。
【0031】
(D)海藻抽出物を得る方法としては、例えば海藻(褐藻類、紅藻類、緑藻類)の全藻、又はめかぶの乾燥物をアセトン、低級アルコール、グリコール類等で粗抽出する方法等が挙げられる。また海藻の乾燥物を適当な大きさに粉砕、粉末化するなど、溶媒抽出し易いように前処理することが好ましい。
抽出方法は、一般に用いられている方法でよく、例えば有機溶剤中に全藻又はめかぶを長時間浸漬する方法、有機溶剤の沸点以下の温度で加温、撹拌しながら抽出を行い、濾過して抽出物を得る方法等がある。このようにして抽出された海藻抽出物は、遊離アミノ酸、ペプチド、核酸、水溶性タンパク質、多糖類等の各種の成分を含有する。
【0032】
(D)海藻抽出物の含有量は、特に制限されるものではないが、頭皮・頭髪用化粧料の全量に対して、0.00001〜1.0重量%であることが好ましく、0.0001〜0.01重量%がより好ましい。また(A)松樹皮抽出物100重量部に対して、0.1〜10000重量部であることが好ましい。(D)海藻抽出物を配合することにより、頭髪に適用した時の手触り、毛髪のツヤ感を高めることができ、頭皮への弾力感や保湿感を付与することができる。
【0033】
本発明の頭皮・頭髪用化粧料は、(A)松樹皮抽出物及び(B)ポリグルタミン酸塩を少なくとも含んでいればよく、さらに(C)シロキクラゲ多糖類及び(D)海藻抽出物から選ばれる1種以上を含有していることが好ましい。最も好ましいのは(A)〜(D)のすべてを含むものである。
【0034】
本発明においては、さらに必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば付着樹脂、噴射剤、分散剤、染料、顔料、pH調整剤、防腐剤、可塑剤、展着剤、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0035】
本発明の頭皮・頭髪用化粧料は、例えば(A)松樹皮抽出物及び(B)ポリグルタミン酸塩に水を加えたものを基剤に添加し、必要に応じて加熱、攪拌等の処理を行うことにより得られる。水については、特に制限はなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等を用いることができ、配合量は必要に応じて変更すればよい。
【0036】
また本発明の頭皮・頭髪用化粧料の使用方法は特に制限されるものではなく、直接頭皮や頭髪に塗布したり、付着させたりしてもよいし、エアゾール型にして吹付けてもよいし、その他の化粧料に含有させて使用してもよい。また頭皮に塗布した後にすすぎ流すもの、毛髪に塗布し全体によくなじませた後にすすぎ流すもの、また塗布した後に洗い流さないもの等、いずれにも用いることができる。
【0037】
本発明の頭皮・頭髪用化粧料の構成としては、例えばヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、ヘアクリーム、コンディショニングムース(コンディショニングフォーム)、ヘアムース(ヘアフォーム)、ヘアスプレー、ヘアミスト、シャンプー、リーブオントリートメント、ワックス、トニック、ヘアローション、育毛・養毛・発毛剤等が挙げられる。
【実施例】
【0038】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
【0039】
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
下記表1の処方に従って(実施例1〜6)及び(比較例1〜4)の頭皮・頭髪用化粧料を調製した。また比較のため(対照例)についても調製した。なお、下記の表中、「−」(ハイフン)は配合なしを表す(以下、同様とする)。また表中、松樹皮抽出物としては、フランス海岸松の樹皮抽出物(東洋新薬社製)を用いた。
さらに、実施例1は本発明に含まれない参考例である。
【0040】
【表1】
【0041】
(評価)
30〜50代の被験者3名(男性2名、女性1名)により、上記調製した実施例1〜6及び比較例1〜4について下記の評価を行なった。評価は対照例と比較して、下記の基準により、評点を付けて平均値を得た。得られた結果を表2に示す。
【0042】
5点:非常に良い
4点:良い
3点:かなり良い
2点:わずかに良い
1点:変わらない
【0043】
<頭皮の保湿感、弾力感の評価>
上記調製した頭皮・頭髪用化粧料1gを被験者の頭皮(2cm×2cm)に塗布し、5分程放置した。その後、頭皮・頭髪用化粧料を水で洗い流し、タオルで水分をふき取った。室温にて15分間放置した後、頭皮の保湿感及び頭皮の弾力感を評価した。
【0044】
<毛束のツヤ感、手触りの評価>
上記調製した頭皮・頭髪用化粧料1gを毛束(人毛)1gに塗布し、5分間放置した後、水で洗い流した。室温にて半日乾燥させた後、毛束のツヤ感、手触りを評価した。
【0045】
【表2】
【0046】
以上の結果から、本発明によれば毛髪のツヤ感に優れ、手触りが良く、頭皮への弾力感や保湿感の付与効果のある頭皮・頭髪用化粧料が得られることがわかる。
【0047】
以下に本発明の頭皮・頭髪用化粧料の処方例を示すが、本発明はこの処方例によって限定されるものではない。なお、以下の処方例では、上記実施例で用いたものと同じものを用いた。また、下記表における値は、重量%を表す。
【0048】
(処方例1〜4)シャンプー
下記表3の処方に従ってシャンプーを調製した。
【0049】
【表3】
【0050】
処方例1〜4で得られたシャンプーは、毛髪のツヤ感に優れ、頭皮への弾力感や保湿感を付与する効果に優れていた。
【0051】
(処方例5〜8)コンディショナー
下記表4の処方に従ってコンディショナーを調製した。
【0052】
【表4】
【0053】
処方例5〜8で得られたコンディショナーは、毛髪のツヤ感に優れ、頭皮への弾力感や保湿感を付与する効果に優れていた。
【0054】
(処方例9、10)ヘアトリートメント
下記表5の処方に従ってヘアトリートメントを調製した。
【0055】
【表5】
【0056】
処方例9、10で得られたヘアトリートメントは、毛髪のツヤ感に優れ、頭皮への弾力感や保湿感を付与する効果に優れていた。
【0057】
(処方例11〜14)育毛剤
下記表6の処方に従って育毛剤を調製した。
【0058】
【表6】
【0059】
処方例11〜14で得られた育毛剤は、毛髪のツヤ感に優れ、頭皮への弾力感や保湿感を付与する効果に優れていた。