(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記片方の吸気ポートの上流側に設けられたサージタンクにサージタンクインジェクタをさらに備えたことを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載のエンジンのEGR装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている、EGRシステムでは、EGR通路54を通って、吸気ポートインジェクタ26が設けられる第2のサージタンク26側に排ガスが還流されるため、排ガス中に含まれる不完全燃焼物等の堆積物(デホジット)が、吸気ポートの内壁及び吸気ポートインジェクタ回り、特にインジェクタの噴孔周りに堆積して、燃料噴射の効率の低下や、不整燃焼の発生によって各気筒間での均一燃焼に不具合を生じる。また、EGRガスの気筒間のバラツキも生じやすい。
【0006】
そこで、本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、複数の吸気ポートと、各吸気ポートの上流側にそれぞれ設けられたサージタンクとを備え、EGRガスが還流する吸気ポートと吸気ポートインジェクタが設けられる吸気ポートと区別して、EGR専用の吸気ポートを設けることによって、吸気ポートインジェクタからの燃料噴射による燃焼性の向上と、EGRガスの気筒間におけるバラツキを抑えて有害排ガス低減とを達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる目的を達成するもので、エンジンの燃焼室内へ吸気を導入する少なくとも2つの吸気ポートと、前記吸気ポートの上流側にそれぞれ配置されたサージタンクと、前記吸気ポートのうち片方に配置された吸気ポートインジェクタと、一端が排気通路に接続されて、他端が前記吸気ポートのうち他方の上流側に設けられたサージタンクに接続されて、排気の一部を前記他方の吸気ポートに戻す排気再循環通路とを備えることを特徴とする。
【0008】
かかる発明によれば、吸気ポートインジェクタが設けられる吸気ポートとは別に独立した吸気ポートにEGRガスが導入されるため、EGRガスと吸気との混合及び燃料と吸気との混合が、それぞれ特化した吸気ポートで行われる。
【0009】
その結果、排ガス中に含まれる不完全燃焼物等の堆積物(デホジット)が、吸気ポートの内壁及び吸気ポートインジェクタ回り、特にインジェクタの噴孔周りに堆積して、燃料噴射の効率の低下や、不整燃焼の発生が抑えられて、各気筒間での燃焼のバラツキが防止される。さらに、EGRガスにおいても、独自のサージタンクと吸気ポートで吸気と混合するため、気筒間のバラツキも防止されて、EGR率が向上する。従って、燃焼効率の改善と排ガス浄化性能を向上できる。
【0010】
また、別々に独立してインジェクタ吸気系統とEGR吸気系統とに分けて形成するので、EGRガスと空気との混合及びシリンダへの導入に特化した形状(混合しやすい形状や、燃焼室に導入しやすい形状)にすることが可能であり、EGRガスの気筒間バラツキを抑制して、NOx低減効果の向上及び燃焼速度の向上が可能となる。
【0011】
また、いくつかの実施形態では、前記エンジンは吸気通路にスロットルバルブを備え、前記サージタンクの上流側の吸気通路にそれぞれのサージタンクを開閉するサージタンク閉塞弁が配置され、
前記サージタンクの上流側の吸気通路は前記
サージタンク閉塞弁と前記スロットルバルブの間で
前記2つの吸気ポートに向けて分岐することを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、
サージタンク閉塞弁によって片側の吸気ポートを閉塞することによって、吸気流速を増大できる。この結果、ポート内の気化性を向上させること及び筒内での混合を促進することで点火プラグの点火栓周囲の空燃比を安定化でき、安定燃焼による低燃費化及び有害排ガス低減化を達成できる。さらに、
サージタンク閉塞弁を備えることによって、吸気とEGRガスとの流量を、きめ細かく制御できるようになる。
【0013】
また、いくつかの実施形態では、前記エンジンのエンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、前記排気再循環通路を開閉するEGR閉塞弁とをさらに備え、前記それぞれのサージタンク閉塞弁と、前記EGR閉塞弁との開度をエンジン負荷に基づいて制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
このように、制御装置は、エンジン負荷に基づいてサージタンク閉塞弁と前記EGR閉塞弁との開度を制御するので、吸気とEGRガスとの流量を、きめ細かく制御でき、燃焼効率の改善と排ガス浄化性能を向上できる。
【0015】
また、いくつかの実施形態では、前記制御装置は、前記エンジンの低負荷運転時には、前記片方のサージタンク閉塞弁の開度を小さくするとともに、前記他方のサージタンク閉塞弁と前記EGR閉塞弁の開度を大きくすることを特徴とする。
【0016】
このように、制御装置によって、低負荷運転時には、片方のサージタンク、すなわち、吸気ポートインジェクタが配置された側のサージタンクに設けられたサージタンク閉塞弁の開度を小さくするとともに、他方のサージタンク、すなわち、排気再循環装置が接続されたサージタンク閉塞弁と、EGR閉塞弁の開度を大きくすることによって、EGRガスが専用の吸気ポートから燃焼室へ導入されて、EGR率が向上する。
また、吸気ポートインジェクタが配置された側のサージタンクに設けられたサージタンク閉塞弁の開度が小さくなるので、全体のマニホールド容積を低減でき、その結果、吸気スロットル弁をさらに絞らなくても低負荷時の流量制御がされることから、ポンピングロスを低減できる。
【0017】
また、いくつかの実施形態では、前記片方の吸気ポートの上流側に設けられたサージタンクにサージタンクインジェクタをさらに備えたことを特徴とする。
【0018】
このように、インジェクタ吸気系統のサージタンクに燃料を噴射するサージタンクインジェクタを設けることによって、運転状態に応じて吸気ポートインジェクタとサージタンクインジェクタによって必要燃料を分担して噴射できるようになる。
従って、吸気ポートインジェクタ及びサージタンクインジェクタの流量を小さくすることができ、噴孔を小さくして微粒化を促進できる。その結果、吸気ポートインジェクタからの噴射燃料の気化が促進されて燃焼促進が図れる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の吸気ポートと、各吸気ポートの上流側にそれぞれ設けられたサージタンクとを備え、EGRガスが還流する吸気ポートと吸気ポートインジェクタが設けられる吸気ポートと区別して、EGR専用の吸気ポートを設けることによって、吸気ポートインジェクタからの燃料噴射による燃焼性の向上と、EGRガスの気筒間におけるバラツキを抑えて有害排ガス低減とを達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本発明のEGR装置1の全体構成図を示す。車両用のガソリン多気筒エンジンへの適用を示している。
エンジン3は、吸気通路5の上流端部には、エアクリーナ7が設けられて、該エアクリーナ7を通って外気が導入されるようになっている。吸気通路5には、吸気上流側から吸気温度を検出する吸気温度センサ9、吸気流量を検出するエアーフローメータ(吸気量計)11、吸入空気量を調整する吸気スロットル弁13が配置されている。
【0023】
吸気スロットル弁13の下流側には、サージタンク15が設けられている。このサージタンク15は、吸気を一時的に溜めておく容積部であり、空気密度を増して吸入効率を向上する働きをし、また、各気筒への空気の分配を均等化し、また、吸気干渉を防ぐものである。
【0024】
サージタンク15の下流側には吸気マニホールド通路17が連結し、該吸気マニホールド通路17下流側には吸気ポート19が接続されている。サージタンク15の概略を
図2に示し、複数気筒の吸気ポート19が連通するようにシリンダブロック21の長手方向に沿って配置され、本発明では略3気筒分の長さを有して形成されている。直列3気筒エンジンまたはV型6気筒の片バンク側を示している。
【0025】
また、各気筒に対して吸気ポート19は、第1吸気ポート(吸気ポートインジェクタ23が設けられる側)19aと、第2吸気ポート(吸気ポートインジェクタ23が設けられていない側)19bとの2つに分離してそれぞれ独立して形成されている。また、吸気マニホールド通路17も同様に、第1吸気ポート19aに連結する第1吸気マニホールド通路17aと、第2吸気ポート19bに連結する第2吸気マニホールド通路17bとの2つに分離してそれぞれ独立して形成されている。
そして、吸気ポート19a、19bは、吸気2弁の各吸気弁25を介して燃焼室27内に吸気を導入するようになっている。
【0026】
図2の概略説明図に示すようにサージタンク15は、略直方体の容器形状を成しており、該直方体の内部は仕切り壁16によって、第1サージタンク15aと第2サージタンク15bとの2室に分割されている。第1吸気マニホールド通路17aは第1サージタンク15aに接続し、第2吸気マニホールド通路17bは第2サージタンク15bに接続している。
【0027】
第1吸気ポート19aと第1吸気マニホールド通路17aと第1サージタンク15aとによって、インジェクタ吸気系統20を形成している。また、同様に、第2吸気ポート19bと第2吸気マニホールド通路17bと第2サージタンク15bとによって、EGR吸気系統22を形成している。
【0028】
なお、第1サージタンク15aと第2サージタンク15bとは、単一のサージタンク15のケーシング内を仕切って2分割して形成されているため、装置全体のコンパクト化が図れる。また、第1サージタンク15aと第2サージタンク15bとは、別々の独立したサージタンクとして形成してもよい。このような構成によれば、サージタンクの設置レイアウトの自由度が向上するとともに、それぞれ別々に取り付け可能であるため、組付け性も向上する。
【0029】
また、第1吸気ポート19aには、吸気弁25に向かうと共に燃焼室27内に向って燃料を噴射するように取り付けられた吸気ポートインジェクタ(以下MPIという)23が設けられている。
【0030】
このMPI23への燃料供給は、燃料タンク31からの燃料を燃料ポンプ33で所定の圧力まで加圧し、燃料通路37を通って供給するようになっている。
【0031】
第1サージタンク15aと、第2サージタンク15bとのそれぞれの入り口部には、各サージタンク15a、15bへの空気の流入を遮断する第1サージタンク開閉弁39aと、第2サージタンク開閉弁39bとが設けられている。
【0032】
また、
図1に示すように、エンジン3は、シリンダ41内を摺動するピストン43、ピストン43の上面とシリンダヘッド45との間に形成される燃焼室27、吸気弁25、排気弁47、さらに、シリンダブロック内に形成された冷却水室49を有し、燃焼室27の中央部には点火プラグ51が設けられている。さらに、吸気弁25及び排気弁47を駆動する図示しない吸排気弁駆動機構が設けられている。また、冷却水温度を検出する冷却水温度センサ53が冷却水室49に設けられている。
【0033】
さらに、排気通路52にはEGR通路56が接続し、該EGR通路56を通ってEGRガスが第
2サージタンク15bに導かれる。そのEGR通路56には、EGR弁58が設けられて、EGR量が調整されるようになっている。
【0034】
以上のように構成されたEGR装置1を制御する制御装置(ECU)61について説明する。
図1、3に示すように、制御装置61には、吸気スロットル弁13の開度信号、クランク角センサ62の信号等から求められるエンジン回転数信号、吸気温度センサ9からの吸気温信号、エアーフローメータ11からの吸気流量信号、冷却水温度センサ53からの冷却水温信号、エンジンが始動されたか判定するための信号として、エンジンのスタータの回転数や、スタータスイッチのエンジンスタート位置信号等が、それぞれ入力されている。ここで、エンジン負荷はスロットルバルブ13の開度信号、エアーフローメータ11の吸気流量信号あるいは吸気温度センサ9からの吸気温信号等を考慮して求められる。
【0035】
また、制御装置61は、第1サージタンク15a及び第2サージタンク15bのそれぞれの入り口部を開閉する第1サージタンク開閉弁39aと、第2サージタンク開閉弁39bとの開閉制御を行うサージタンク開閉弁制御部63と、EGR弁58の開閉制御を行うEGR弁制御部65と、吸気スロットル弁13の開閉制御を行う吸気スロットル弁制御部67と、運転状態に応じた、すなわち、エンジン回転数とエンジン負荷に応じた噴射燃料量の算出及び噴射タイミングの制御を行う燃料噴射制御部69と、さらに、エンジン始動信号から始動を判定するエンジン始動判定部71と、エンジン回転数、エンジン負荷、冷却水温度等から、エンジンの運転状態が、冷態時か温態時か、低負荷か中高負荷か等を判定するエンジン状態判定部73と、を有している。
【0036】
そして、制御装置61は、吸気スロットル弁(V1)13、第1サージタンク開閉弁(V2)39aと第2サージタンク開閉弁(V3)39bとの開閉制御、さらに、EGR弁(V4)58の開閉制御をそれぞれ行う制御信号を出力する。
【0037】
なお、燃料噴射制御部69では、運転状態に応じた噴射燃料量の算出として、エンジン回転数とエンジン負荷に応じた噴射燃料量及び噴射タイミングを予め設定されたマップを基に算出するように説明したが、エアーフローメータ11からの信号と、吸気温度センサ9からの信号とを基に、燃焼室27に流入される空気量を算出して、その吸気流量に応じて噴射燃料量を算出してもよい。
さらに、エアーフローメータ11からの信号に代えて、吸気スロットル弁13の下流側の吸気圧力を検出して、該圧力を基に算出してもよい。
【0038】
次に、制御装置61による制御フローを、
図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1で、エンジン始動時か否かを判定する。前述のように、エンジンのスタータの回転数や、スタータスイッチのエンジンスタート位置信号等を基にエンジンの始動時か否かが判定される。
始動時ではないと判定された場合は、ステップS2で、暖機完了水温に達しているか否かが判定される。具体的には、エンジン出口の冷却水温度が約80℃に達している場合には、暖機が完了したと判定する。
暖機が完了していないと判定した場合には、ステップS3に進んで、エンジン負荷を判定する。また、暖機が完了したと判定した場合には、ステップS8に進んで、エンジン負荷を判定する。
【0039】
暖機が完了していない場合(冷態状態の場合)には、ステップS3で低負荷かどうかを判定して、低負荷状態であると判定した場合には、ステップS5に進んでサブルーチンC1を実施する。
このサブルーチンC1のステップは、
図5のテーブルのように、吸気スロットル弁(V1)13を小開度とし、第1サージタンク開閉弁(V2)39aを小開度とし、第2サージタンク開閉弁(V3)39bを大開度とし、EGR弁(V4)58はゼロで閉じ、外部EGRはカットされる。なお、大開度、中開度、小開度は、それぞれ全開度を略3等分した開度範囲に相当する。
【0040】
さらに、ステップS3で低負荷ではないと判定した場合には、ステップS4で中負荷状態であるかを判定して、中負荷の場合には、ステップS6に進んでサブルーチンC2のステップを実施する。このC2は、
図5のテーブルのように、吸気スロットル弁(V1)13を中開度とし、第1サージタンク開閉弁(V2)39aを中開度とし、第2サージタンク開閉弁(V3)39bを中開度とし、EGR弁(V4)58はゼロで閉じ、外部EGRはカットされる。
【0041】
さらに、ステップS4で低負荷でも中負荷ではないと判定した場合には、つまり高負荷状態であり、ステップS7に進んでサブルーチンC3のステップを実施する。このC3は、
図5のテーブルのように、吸気スロットル弁(V1)13を大開度とし、第1サージタンク開閉弁(V2)39aを大開度とし、第2サージタンク開閉弁(V3)39bを大開度とし、EGR弁(V4)58はゼロで閉じ、外部EGRはカットされる。
【0042】
以上のように冷態時には何れの負荷状態であっても外部EGRをカットするが、冷態時における暖気促進のために、可変動弁機構等を備えているエンジンの場合には、吸排気弁の開閉タイミングをコントロールして内部EGR量を増量させるようにしてもよい。
【0043】
次に、ステップS2で暖気完了と判定した場合には、ステップS8、S9で低負荷、中負荷、高負荷の状態を判定して、低負荷の場合には、ステップS10に進んでサブルーチンH1のステップを実施する。このH1は、
図5のテーブルのように、吸気スロットル弁(V1)13を小開度とし、第1サージタンク開閉弁(V2)39aを小開度とし、第2サージタンク開閉弁(V3)39bを大開度とし、EGR弁(V4)58は大開度として、外部EGR量を大きくする。
【0044】
このように、低負荷時には、吸気スロットル弁13の開度を小とし、インジェクタ吸気系統20の第1サージタンク開閉弁39aの開度を小くし、EGR吸気系統22の第2サージタンク開閉弁39bの開度を大とし、EGR弁58の開度を大とすることによって、EGRガスは専用の第2吸気ポート19bから燃焼室27へ導入される。これによって、EGR率が向上する。
また、第1サージタンク開閉弁39aの開度を小さくするので、全体のマニホールド容積を低減でき、その結果、吸気スロットル弁13をさらに絞らなくても低負荷時の流量制御がされることから、ポンピングロスを低減できる。
【0045】
また、温態時の中負荷の場合には、ステップS11に進んでサブルーチンH2のステップを実施する。このH2は、
図5のテーブルのように、吸気スロットル弁(V1)13を中開度とし、第1サージタンク開閉弁(V2)39aを中開度とし、第2サージタンク開閉弁(V3)39bを中開度とし、EGR弁(V4)58は中開度として、外部EGR量を中にする。
【0046】
さらに、高負荷の場合には、ステップS12に進んでサブルーチンH3のステップを実施する。このH3は、
図5のテーブルのように、吸気スロットル弁(V1)13を大開度とし、第1サージタンク開閉弁(V2)39aを大開度とし、第2サージタンク開閉弁(V3)39bを大開度とし、EGR弁(V4)58はゼロで閉じ、外部EGRはカットされる。
【0047】
以上のように、第1実施形態によれば、エンジンの温態時及び冷態時において、エンジン負荷に基づいて、吸気スロットル弁(V1)13、第1サージタンク開閉弁(V2)39a、第2サージタンク開閉弁(V3)39b、EGR弁(V4)58の夫々の開度を制御するので、吸気とEGRガスとの流量を、きめ細かく制御でき、燃焼効率の改善と排ガス浄化性能を向上できる。
【0048】
また、EGRガスが還流する第2吸気ポート19bとMPI23が設けられる第1吸気ポート19aとを区別して、第2吸気ポート19bをEGR専用の吸気ポートとしているので、排ガス中に含まれる不完全燃焼物等の堆積物(デホジット)が、吸気ポートインジェクタ23の噴孔周りに堆積して、燃料噴射の効率の低下や、不整燃焼が発生することが防止される。
さらに、EGRガスも、MPI23が設けられる第1吸気ポート19aとは別の第2吸気ポート19bにおいて吸気とEGRガスが混合するため、気筒間のバラツキが抑制される。
【0049】
(第2実施形態)
次に、
図6を参照して第2実施形態を説明する。
第2実施形態は、第1実施形態のサージタンク15の第1サージタンク15a、第2サージタンク15bをそれぞれ別体構造としたものである。
【0050】
図6のように、第1サージタンク70と第2サージタンク72と、それぞれ別体に設けられる。それぞれ別体に設けられることによって、エンジンルーム内のサージタンクの配置の自由度が向上するとともに、それぞれ別々に取り付け可能であるので、組付け性も向上する。また、それぞれのサージタンク容量の変更等への対応が容易である。その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同様である。
【0051】
(第3実施形態)
次に、
図7、8を参照して第3実施形態を説明する。
第3実施形態は、第1実施形態のインジェクタ吸気系統20を構成する第1サージタンク15aに、さらにサージタンクインジェクタ(以下SPIという)75が取り付けられる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
本実施形態は、第1実施形態のEGRの制御に加えて、MPI23とSPIとによる燃料噴射負担制御が行われるものである。
【0052】
SPI75は、
図7のように第1サージタンク15aの上面部の角部に、第1サージタンク15aの内部に向かって燃料を噴射するようにSPI75が設けられている。上面部の角部から第1サージタンク15a内に噴射するため、タンク内での空気との混合空間が確保されるため燃料の霧化及び気化が促進される。
【0053】
次に、このSPI75とMPI23との燃料噴射分担制御について、
図8の制御フローチャートを基に説明する。ステップS21〜S32は、第1実施形態のステップS1〜S12と同様である。
【0054】
(冷態時)
まず、本実施形態では、ステップS33での冷態低負荷時には、SPI75で噴射を行う。
冷態時には、MPI23からの燃料は、気化しきれていない(微粒化していない)状態で燃焼室27内に導入するため、このようなMPI23からの燃料の燃焼室27内への導入を制限し、SPI29の噴射量を増加する。このとき、MPI23からの燃料の導入を禁止して、SPI75だけにすることが好ましい。これにより、第1サージタンク15a内に噴射される燃料は、第1サージタンク15a内での霧化および、第1サージタンク15aから燃焼室27内に導入される区間がMPI23から燃焼室27までの距離より長いため、気化が促進されて、燃焼が良好に得られる。
【0055】
なお、冷態時かつ図示しないアクセルがオフ状態の際には、触媒昇温要求等があるとして、MPI23の噴射禁止を解除して、MPI23の噴射を許可して実施するようにしてもよい。このとき、MPI噴射はバルブオーバーラップ中に行われることが好ましい。これにより、未燃燃料が排気と共に排気管内に導入され、排気の熱によって自着火した未燃燃料が排気管内の触媒近傍で燃料することによって、触媒が早期に昇温する。
【0056】
次に、冷態中高負荷時には、ステップS34、S35で、SPI75とMPI23との両方からの噴射を行う。SPI75だけでは、中高負荷の要求噴射量に対応できないため、MPI23を併用している。
但し、冷却水温が閾値、例えば60℃(エンジン出口温度)を超えるまでは、エンジン保護のためエンジンの出力を制限し、全体の燃料噴射量を制限するような制御を加えてもよい。このとき、MPI23の負担割合を優先的に制限することが好ましい。
【0057】
すなわち、冷態時においては、MPI23からの燃料は、気化しきれていない(微粒化していない)状態で燃焼室27内へ導入するため、冷却水温に閾値を設けてMPI23の作動を制限している。これにより、助走区間(気化区間)の短いMPI23の噴射量を制限しつつ、噴射燃料の助走区間(気化区間)を長く取れるSPI75からの噴射を中心とすることで、燃焼性への影響を抑えつつエンジンの保護を図ることが出来る。
【0058】
更に、この時MPI23による燃料噴射は、シリンダ直入形態とすることが望ましい。具体的には、図示しない吸気バルブが開き動作方向に変位している際に、MPI23による燃料噴射を行うことで、燃料が吸気バルブや吸気ポート内に付着することを防ぐと共に、筒内での燃料気化を促進することができ、燃焼性を更に改善して燃費低減及び有害排ガスの低減効果を得られる。
【0059】
(温態時)
暖機が完了した場合には、ステップS36で温態低負荷時には、MPI23の燃料噴射を制限するとともに、主にSPI75の噴射を行う。このときMPI23を禁止し、SPI29のみによる運転を行うことが好ましい。SPI75だけにすることによって、第1サージタンク15a内に噴射される燃料は、第1サージタンク15a内での霧化および、第1サージタンク15aから燃焼室27内に導入される区間がMPI23から燃焼室27までの距離より長いため、気化が促進されて、燃焼が良好に得られる。
【0060】
さらに、温態中高負荷時には、ステップS37、S38で、SPI75とMPI23との両方からの噴射を行う。SPI75だけでは、中高負荷の要求噴射量に対応できないため、MPI23を併用している。
但し、SPI75の流量を上げると、ポート付着が大きくなり燃焼室27へ供給される燃料量が不安定化するため、高負荷域では予め設定した閾値の流量ラインをSPI75の噴射燃料の上限として、それ以上の燃料要求分はMPI23によって負担させるように制限するような制御を加えてもよい。
また、MPI23はシリンダ直入形態とすることが可能であり、このように燃焼室27への直入形態とすることで、図示しない吸気バルブや吸気ポートへの燃料の付着を防ぐと共に、気化潜熱により燃焼室27内を冷却しノックを抑制することも可能となる。
【0061】
以上のように第3実施形態によれば、インジェクタ吸気系統20の第1サージタンク15aに燃料を噴射するSPI75を設けることによって、運転状態に応じてMPI23とSPI75によって必要燃料を分担して噴射でき、吸気ポートインジェクタ23及びサージタンクインジェクタ75の定格容量(静的容量)を小さくすることができ、噴孔を小さくして微粒化を促進でき、燃焼性を向上でき燃費低減に結びつけることができる。
さらに、第1実施形態のEGR制御と相俟って、有害排ガス低減をも達成できる。