特許第6241736号(P6241736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241736
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20171127BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20171127BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20171127BHJP
   H02K 33/18 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G02B26/10 104Z
   G02B26/08
   B81B3/00
   H02K33/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-1504(P2014-1504)
(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公開番号】特開2015-129867(P2015-129867A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】藤本 健二郎
【審査官】 山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−244012(JP,A)
【文献】 特開2008−271700(JP,A)
【文献】 特開2005−308863(JP,A)
【文献】 特開2009−175611(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0146857(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08,26/10
B81B 3/00
H02K 33/18
H02N 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部と、
当該可動部を支持する支持部と、
前記可動部と前記支持部とを連結するトーションバーと
を備え、
前記トーションバーは、前記可動部に連結される複数の分岐バーに分岐し、
前記可動部は、前記複数の分岐バーと前記可動部とが連結される複数の連結箇所の夫々の近傍に、突出部分を備えており、
前記可動部の表面には、当該可動部の平坦性を維持するリブであって、且つ、前記突出部分上に延びると共に各連結箇所を包囲するリブが複数形成されている
ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記複数の分岐バーは、第1の分岐バーと第2の分岐バーとを少なくとも含んでおり、
前記突出部分は、(i)前記第1の分岐バーと前記可動部とが連結される第1の連結箇所の近傍に位置する第1の突出部分と、(ii)前記第2の分岐バーと前記可動部とが連結される第2の連結箇所の近傍に位置する第2の突出部分とを少なくとも含んでおり、
前記複数のリブは、(i)少なくとも一部が前記第1の突出部分上に延びると共に、前記第1の連結箇所を包囲する第1のリブと、(ii)少なくとも一部が前記第2の突出部分上に延びると共に、前記第2の連結箇所を包囲する第2のリブと少なくとも含む
ことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記表面に沿った平面上における前記リブの形状は、各連結箇所から離れる方向に向かって凸となる円弧形状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
複数のリブのうちの少なくとも一部は、一体化されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記突出部分の前記回転軸側の外縁から、前記回転軸から離れる方向に向かってシフトした位置に、前記突出部分上に延びる前記リブの少なくとも一部の前記回転軸側の外縁が位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記突出部分と前記周囲の領域部分との間の境界部分は、面取り加工、湾曲加工、丸め加工又はフィレット加工がされていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばミラー等が設けられた可動部を駆動するMEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナ等のアクチュエータの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばディスプレイ、プリンティング装置、精密測定、精密加工、情報記録再生等の多様な技術分野において、半導体プロセス技術によって製造されるMEMSデバイスについての研究が活発にすすめられている。このようなMEMSデバイスとして、レーザ光のスキャニングに用いられるMEMSスキャナは、可動板と、該可動板を取り囲の枠状の支持枠と、可動板を支持枠に対して揺動可能に軸支するトーションバーとを備えている。
【0003】
このようなMEMSスキャナでは、可動板を揺動させるために、トーションバーに応力(例えば、トーションバーをねじる応力)が加えられることが多い。ところが、トーションバーにねじれの応力が加わる際には、当該応力は、トーションバーのみならず、可動板の一部又は全部にも加わることが多い。このような可動板に加わる応力は、可動板の変形につながる。
【0004】
しかしながら、可動板の変形は、当該可動板上に形成されるミラー等の変形にもつながる。このようなミラー等の変形は、レーザ光のスキャニングの精度の悪化につながるため、好ましいとは言い難い。そこで、このような可動板の変形を抑える(つまり、可動部の平坦性を維持する)ために、可動部の表面(典型的には、ミラーが形成される面とは反対側の面)に、凸状のリブを形成する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−310342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、リブが可動板に形成されることで可動板の変形を抑えることができるものの、リブと可動板との接続部分(言い換えれば、リブの付け根)に加わる応力が大きくなってしまいかねないという技術的問題点が生じる。言い換えれば、リブと可動板との接続部分に応力が集中してしまいかねないという技術的問題点が生じる。その結果、このような応力の増加がリブや可動板の破壊(或いは、可動板からのリブの剥離)を引き起こしかねないという技術的問題点が生じる。
【0007】
他方で、ねじれの応力がトーションバーに加わる際に可動板にも加わる応力は、当該応力が加わる領域部分がトーションバーに近いほど大きくなる傾向にある。このため、リブと可動板との接続部分への応力の集中を避けるための一つの対応策として、トーションバーからできるだけ離れた領域部分にリブを形成する(例えば、可動部の中央付近にリブを形成する)対応策が考えられる。しかしながら、この対応策では、可動板の変形を抑えることが困難になってしまいかねない。
【0008】
そこで、リブと可動板との接続部分への応力の集中を避けつつも可動板の変形を抑えるという観点から見れば、応力が集中しやすいトーションバーと可動板との接続部分を避けながら、可動板の回転軸方向に沿って伸長するリブを形成する対応策が考えられる。しかしながら、このような対応策を採用したとしても、リブの端部付近において、リブと可動板との接続部分への応力の集中が生じることは避けにくい。
【0009】
本発明は、例えば上記問題願に鑑みてなされたものであり、リブと可動板との接続部分に加わる応力を緩和することができるアクチュエータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアクチュエータは、上記課題を解決するために、可動部と、当該可動部を支持する支持部と、前記可動部と前記支持部とを連結するトーションバーとを備え、前記トーションバーは、前記可動部に連結される複数の分岐バーに分岐し、前記可動部は、前記複数の分岐バーと前記可動部とが連結される箇所である複数の連結箇所の夫々の近傍に、突出部分を備えており、前記可動部の表面には、当該可動部の平坦性を維持するリブであって、且つ、前記突出部分上に延びると共に各連結箇所を包囲するリブが複数形成されている。
【0011】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】上面側から観察した本実施例のアクチュエータの構成の一例を示す平面図である。
図2】下面側から観察した本実施例のアクチュエータの構成の一例を示す平面図である。
図3】可動部の下面の一部を拡大して示す下面図である。
図4】比較例の可動部の下面の一部を拡大して示す下面図である。
図5】可動部を示す下面図及び側面図である。
図6】可動部の下面の一部を拡大して示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1>
本実施形態のアクチュエータは、平面状の可動部と、当該可動部を支持する支持部と、所定方向に沿った回転軸を中心として前記可動部が揺動可能なように、前記所定方向に沿って前記可動部と前記支持部とを連結するトーションバーとを備えており、前記トーションバーの少なくとも一部は、前記可動部に連結される複数の分岐バーに分岐しており、前記可動部は、前記複数の分岐バーと前記可動部とが連結される複数の連結箇所の夫々の近傍に、周囲の領域部分と比較して、前記可動部の表面に沿った方向であって且つ前記可動部の中心から離れる方向に突き出す突出部分を備えており、前記可動部の表面には、(i)当該可動部の平坦性を維持するリブであって、且つ、(ii−1)少なくとも一部が少なくとも一つの突出部分上に延びると共に(ii−2)各連結箇所を包囲するリブが複数形成されている。
【0014】
本実施形態のアクチュエータによれば、トーションバーによって懸架された可動部が遥動する。可動部は、例えば、トーションバーが延びる方向(つまり、トーションバーの長手方向であり、所定方向)に沿った軸を回転軸として回転するように遥動してもよい。
【0015】
このような可動部の回転を実現するために、トーションバーは、当該トーションバーの長手方向に沿って可動部と支持部とを接続する。このとき、トーションバーは、可動部と支持部とを直接的に接続していてもよい。或いは、トーションバーは、可動部と支持部とを間接的に(言い換えれば、間に任意の部材を介在させた上で)接続してもよい。
【0016】
可動部の表面には、複数のリブが形成されている。各リブは、主として、可動部の平坦性を維持する(言い換えれば、可動部の変形を抑制する又は可動部の剛性を維持する)目的で形成される。このような目的を達成するために、各リブは、可動部の表面に対して凸状の形状(言い換えれば、可動部の法線方向に向かって突き出す形状)を有していることが好ましい。
【0017】
本実施形態では特に、トーションバーの少なくとも一部は、複数の分岐バーに分岐している。各分岐バーは、トーションバーと同様に、所定方向(つまり、トーションバーが延びる方向)に沿って延びていてもよい。更に、各分岐バーは、可動部に連結される。つまり、トーションバーは、複数の分岐バーの夫々が可動部に連結されることで、可動部と支持部とを連結している。尚、複数の分岐バーの夫々が可動部に連結されることを考慮すれば、可動部の近傍に位置するトーションバーの少なくとも一部が、複数の分岐バーに分岐していることが好ましい。
【0018】
加えて、本実施形態では、可動部は、複数の突出部分を備えている。各突出部分は、各突出部分以外の他の領域部分(典型的には、周囲の領域部分)と比較して、可動部の表面に沿った方向であって且つ可動部の中心から離れる方向(つまり、可動部の外部に向かう方向)に向かって突き出している領域部分である。言い換えれば、各突出部分は、可動部が各突出部分を備えていないと仮定した場合に周囲の領域部分から想定される可動部の仮想的な外縁から、可動部の表面に沿った方向であって且つ可動部の中心から離れる方向に向かって突き出している領域部分である。
【0019】
可動部は、各突出部分を、複数の分岐バーと可動部とが連結される箇所である複数の連結箇所の夫々の近傍に備えている。例えば、可動部は、各突出部分を、複数の連結箇所のうち各突出部分に対応する一つの連結箇所の近傍に備えていてもよい。尚、「連結箇所の近傍」は、連結箇所に対して所定距離以下の範囲に存在する領域部分を意味していてもよい。或いは、「連結箇所の近傍」は、可動部の中央(例えば、可動部の表面の中心又は重心)よりも、連結箇所に近い位置を意味していてもよい。但し、「連結箇所の近傍」は、連結箇所にできるだけ近い一方で、連結箇所からある程度の間隔を隔てている位置を意味していることが好ましい。
【0020】
本実施形態では、各リブは、各連結箇所を包囲するように形成される。例えば、各リブは、複数の連結箇所のうちの対応する一つの連結箇所を包囲するように形成される。つまり、本実施形態では、トーションバーが複数の分岐バーに分岐しており且つ複数の分岐バーと可動部とが連結している場合には、複数の連結箇所をまとめて包囲する単一のリブが形成されることに代えて、複数の連結箇所の夫々を個別に包囲するリブが複数形成される。
【0021】
尚、ここでいう「連結箇所を包囲するリブ」は、「連結箇所の一部又は全部を、隙間なく包囲するリブ(いわゆる、閉ループ形状のリブ)」や、「連結箇所の一部又は全部を、隙間をあけて包囲するリブ(いわゆる、開ループ形状のリブ)」等を包含していてもよい。更に、「リブが連結箇所を包囲する」状態は、リブ(或いは、リブの内壁)によって規定される仮想的な空間又は平面(例えば、リブに囲まれる空間内又はリブに囲まれる平面(或いは、このような平面に沿った他の平面))に連結箇所が位置する限りは、どのよう状態を意味していてもよい。
【0022】
また、複数の連結箇所の夫々を個別に包囲する複数のリブは、連結箇所との対応付けによって区別されることが好ましい。つまり、複数のリブは、対応する連結箇所が異なる場合には、異なるリブとして取り扱われることが好ましい。例えば、第1の連結箇所を包囲するリブと第2の連結箇所を包囲するリブとは、異なるリブであるものとして取り扱われることが好ましい。この場合、複数のリブの一部は、物理的に分離していてもよい。例えば、第1の連結箇所を包囲するリブと第2の連結箇所を包囲するリブとが物理的に分離していてもよい。或いは、複数のリブの少なくとも一部は、物理的に一体化されていてもよい。例えば、第1の連結箇所を包囲するリブの少なくとも一部と第2の連結箇所を包囲するリブの少なくとも一部とが物理的に一体化されていてもよい。
【0023】
更に、本実施形態では、各リブの少なくとも一部は、少なくとも一つの突出部分上に延びている。例えば、各リブの少なくとも一部は、各リブが包囲する連結箇所の近傍に位置する少なくとも一つの突出部分上に延びていてもよい。つまり、各リブの少なくとも一部は、少なくとも一つの突出部分と共に可動部の表面に沿った方向であって且つ可動部の中心から離れる方向に突き出すように、可動部の表面に形成されている。尚、各突出部分が各連結箇所の近傍に位置しているがゆえに、少なくとも一部が少なくとも一つの突出部分上に延びる各リブは、各連結箇所を包囲するように形成されやすくなる。
【0024】
このような本実施形態のアクチュエータによれば、各リブが突出部分上に延びているがゆえに、後に詳述するように、可動部の遥動に伴って各リブと可動部との接続部分に加わる応力を緩和することができる。言い換えれば、可動部の遥動に伴う各リブと可動部との接続部分における応力の集中を緩和することができる。
【0025】
加えて、本実施形態のアクチュエータによれば、複数の連結箇所の夫々を個別に包囲するリブが複数形成される。このため、本実施形態では、複数の連結箇所をまとめて包囲する単一のリブが形成される場合と比較して、各リブのサイズが相対的に小さくなる。その結果、本実施形態では、複数の連結箇所をまとめて包囲する単一のリブが形成される場合と比較して、リブの曲率が相対的に大きくなる(つまり、リブの曲率半径が小さくなる)。このため、可動部の遥動に伴うリブと可動部との接続部分における応力が緩和する。
【0026】
加えて、本実施形態では、トーションバーが複数のバー部分に分岐している。このため、トーションバー全体としての幅(つまり、短手方向に沿った長さであり、所定方向に交わる又は直交する方向に沿った長さ)を相対的に大きくしつつも、可動部の遥動に伴うリブと可動部との接続部分における応力を緩和することができる。
【0027】
尚、トーションバーの幅を相対的に大きくすると、トーションバーのバネ定数が大きくなる。このため、本実施形態では、可動部の遥動に伴うリブと可動部との接続部分における応力を緩和しつつも、可動部の遥動の周波数を相対的に高くすることができるという実践上大変有益な効果を享受することができる。
【0028】
尚、少なくとも一部が突出部分上に延びるリブが各連結箇所を包囲することを考慮すれば、各突出部分は、可動部の表面に沿った平面上において、各連結箇所の夫々を包囲していてもよい。このとき、各突出部分は、各突出部分のみで各連結箇所を包囲してもよい。或いは、各突出部分は、各突出部分以外の他の突出部分と共に、各連結箇所を包囲してもよい。
【0029】
<2>
本実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記複数の分岐バーは、第1の分岐バーと第2の分岐バーとを少なくとも含んでおり、前記突出部分は、(i)前記可動部の表面に沿った平面上において、前記第1の分岐バーと前記可動部とが連結される第1の連結箇所を包囲する第1の突出部分と、(ii)前記可動部の表面に沿った平面上において、前記第2の分岐バーと前記可動部とが連結される第2の連結箇所を包囲する第2の突出部分とを少なくとも含んでおり、前記複数のリブは、(i)少なくとも一部が前記第1の突出部分上に延びると共に、前記表面に沿った平面上において前記第1の連結箇所を包囲する第1のリブと、(ii)少なくとも一部が前記第2の突出部分上に延びると共に、前記表面に沿った平面上において前記第2の連結箇所を包囲する第2のリブと少なくとも含む。
【0030】
この態様によれば、複数の連結箇所の夫々を個別に包囲するリブが複数形成される。つまり、第1の連結箇所を包囲する第1のリブと、第2の連結箇所を包囲する第2のリブとが個別に形成される。従って、上述した各種効果が好適に享受される。
【0031】
<3>
本実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記表面に沿った平面上における前記リブの形状は、各連結箇所から離れる方向に向かって凸となる円弧形状である。
【0032】
この態様によれば、各リブの形状が円弧形状となるがゆえに、各リブの曲率を相対的に大きくしやすくなる(つまり、各リブの曲率半径を相対的に小さくしやすくなる)。従って、可動部の遥動に伴う各リブと可動部との接続部分における応力を緩和することができる。
【0033】
<4>
本実施形態のアクチュエータの他の態様では、複数のリブのうちの少なくとも一部は、一体化されている。
【0034】
この態様によれば、複数の連結箇所を夫々包囲する複数のリブのうちの少なくとも一部が一体化される。例えば、第1の連結箇所を包囲するリブの少なくとも一部と第2の連結箇所を包囲するリブの少なくとも一部とが一体化される。この場合、一体化されているリブに着目すると、当該一体化されているリブは、第1の連結箇所を包囲するリブとして機能すると共に、第2の連結箇所を包囲するリブとしても機能し得る。
【0035】
<5>
本実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記突出部分の前記回転軸側の外縁から、前記回転軸から離れる方向に向かってシフトした位置に、前記突出部分上に延びる前記リブの少なくとも一部の前記回転軸側の外縁が位置している。
【0036】
この態様によれば、回転軸から見て、突出部分上には、回転軸に交わる(典型的には、直交する)方向に沿って、リブが形成されていない可動部の領域部分と、リブが形成される可動部の領域部分とがこの順に現れる。つまり、突出部分上には、リブが形成されていない領域部分がリブよりも回転軸側にある位置に確保された上で、リブが形成される。従って、可動部の遥動に伴って各リブと可動部との接続部分に加わる応力を好適に緩和することができる。
【0037】
<6>
本実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記突出部分と前記周囲の領域部分との間の境界部分の少なくとも一部は、面取り加工、湾曲加工、丸め加工又はフィレット加工がされている。
【0038】
この態様によれば、可動部の遥動に伴う応力を、突出部分と周囲の領域部分との間の境界部分(例えば、面取り加工等がされている少なくとも一部の境界部分)に意図的に集中させることができる。その結果、可動部の遥動に伴って各リブと可動部との接続部分に加わる応力を好適に緩和することができる。
【0039】
加えて、突出部分と周囲の領域部分との間の境界部分が相対的に滑らかに湾曲しているがゆえに、当該境界部分の内部に極度に応力が集中してしまうことが好適に防止される。つまり、境界部分を含む可動部全体で見ると境界部分に応力を集中させつつも、境界部分に着目してみると境界部分内で応力を分散させることができる。
【0040】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータは、可動部と、支持部と、複数の分岐バーに分岐しているトーションバーとを備え、可動部は突出部分を備え、突出部分上に延びると共に複数の分岐バーと可動部とが連結される複数の連結箇所の夫々を包囲するようにリブが形成されている。従って、リブと可動部との接続部分に加わる応力を緩和することができる。
【実施例】
【0042】
以下、本発明のアクチュエータの実施例を、図面を参照して説明する。
【0043】
(1)アクチュエータの構成
以下、図1から図2を参照して、本実施例のアクチュエータ1について説明する。図1は、上面側から観察した本実施例のアクチュエータ1の構成の一例を示す平面図である。図2は、下面側から観察した本実施例のアクチュエータ1の構成の一例を示す平面図である。尚、図1及び図2(更には、図3から図4)では、X軸、Y軸及びZ軸によって規定される仮想的な3次元空間を用いながら、アクチュエータ1の説明を進める。
【0044】
図1及び図2に示すように、本実施例のアクチュエータ1は、例えばレーザ光のスキャニングに用いられるプレーナ型電磁駆動アクチュエータ(即ち、MEMSスキャナ)である。アクチュエータ1は、外側支持体110と、一対の外側トーションバー130と、内側支持体210と、一対の内側トーションバー230と、可動部120と、駆動コイル140と、一対の永久磁石160と、一対の電源端子170とを備えている。また、図1に示すように、可動部120の一方の面(例えば、上面又は表側の表面)には、ミラー121が形成されている。また、図2に示すように、可動部120の他方の面(例えば、下面又は裏側の表面)には、リブ123(具体的には、第1リブ1231及び第2リブ1232)が形成されている。
【0045】
外側支持体110、一対の外側トーションバー130、内側支持体210、一対の内側トーションバー230、可動部120及びリブ123は、例えばシリコン基板等の非磁性基板から一体的に形成されている。即ち、外側支持体110、一対の外側トーションバー130、内側支持体210、一対の内側トーションバー230、可動部120及びリブ123は、例えばシリコン基板等の非磁性基板の一部が除去されることにより間隙が形成されることで形成されている。このときの形成プロセスとして、MEMSプロセスが用いられることが好ましい。尚、シリコン基板に代えて、任意の弾性材料から、外側支持体110、一対の外側トーションバー130、内側支持体210、一対の内側トーションバー230、可動部120及びリブ123が一体的に形成されてもよい。
【0046】
外側支持体110は、内側支持体210を取り囲むような枠形状を有している。外側支持体110は、内側支持体210の両側に位置する(言い換えれば、内側支持体210の両側から当該内側支持体210を挟み込む)一対の外側トーションバー130によって内側支持体210と連結されている。尚、図1及び図2は、外側支持体110の形状が枠形状となる例を示しているが、外側支持体110の形状が枠形状に限定されないことは言うまでもない。例えば、外側支持体110の形状は、その一部が開口している枠形状となってもよい。
【0047】
内側支持体210は、可動部120を取り囲むような枠形状を有している。内側支持体210は、一対の外側トーションバー130が延びる方向(つまり、一対の外側トーションバー130の長手方向であり、X軸方向)に沿った回転軸を中心に揺動可能なように、一対の外側トーションバー130を介して外側支持体110に軸支されている。内側支持体210は、更に、可動部120の両側に位置する(言い換えれば、可動部120の両側から当該可動部120を挟み込む)一対の内側トーションバー230によって可動部120と連結されている。内側支持体210の上面には、駆動コイル140が形成されている。但し、駆動コイル140は、内側支持体210の内部又は下面に形成されてもよい。尚、図1及び図2は、内側支持体210の形状が枠形状となる例を示しているが、内側支持体210の形状が枠形状に限定されないことは言うまでもない。例えば、内側支持体210の形状は、その一部が開口している枠形状となってもよい。
【0048】
可動部120は、一対の内側トーションバー230が延びる方向(つまり、一対の内側トーションバー230の長手方向であって、Y軸方向)に沿った回転軸を中心に揺動可能なように、一対の内側トーションバー230を介して内側支持体210に軸支されている。
【0049】
図1に示すように、可動部120の上面には、レーザ光を反射するミラー121が形成される。ミラー121が上面に形成される可動部120は、例えば、板状の(言い換えれば、平面状の)部材であることが好ましい。
【0050】
また、ミラー121がレーザ光を好適に反射するためには、ミラー121の平坦性が維持されていることが好ましい。ミラー121の平坦性が維持されるためには、可動部120の平坦性が維持されていることが好ましい。従って、図2に示すように、可動部120の平坦性を維持するために、可動部120の下面(つまり、ミラー121が形成される面とは反対側の面)には、リブ123が形成される。
【0051】
リブ123は、可動部120の平坦性を確保することができる所望の形成態様で可動部120の下面上に形成されている。図2に示す例では、リブ123は、可動部120の中心に中心が概ね一致する円形状の第1リブ1231と、当該第1リブ1231の外形である円形の外側に形成される円弧形状の第2リブ1232a及び1232bとを含んでいる。このとき、第2リブ1232a及び1242bの夫々は、可動部120の下面に平行な面上においてミラー121の外縁よりも外側(つまり、可動部120の中心から遠ざかる側)に形成されると共に、ミラー121に向かって凸となるように湾曲していることが好ましい。このようなリブ123の形成態様は、内側支持体210の回転軸(Y軸)及び可動部120の回転軸(X軸)に沿った方向における可動部120の剛性を極力確保しつつも、可動部120と内側トーションバー230とが連結される連結箇所からリブ123を遠ざけるという観点から決定されている。
【0052】
尚、図2に示すリブ123の形成態様が一例であることは言うまでもない。従って、リブ123は、図2に示す形成態様とは異なる形成態様で形成されていてもよい。
【0053】
一対の外側トーションバー130は、内側支持体210が外側支持体110に対して揺動可能なように、内側支持体210と外側支持体110とを連結する。一対の外側トーションバー130の弾性によって、内側支持体210は、一対の外側トーションバー130が延びる方向に沿った軸を回転軸として回転するように遥動する。つまり、内側支持体210は、X軸を回転軸として、当該回転軸の周りで回転するように遥動する。このとき、可動部120は、一対の内側トーションバー230を介して内側支持体210に連結されている。従って、内側支持体210の遥動に伴って、可動部120は、実質的には、X軸を回転軸として、当該回転軸の周りで回転するように遥動する。
【0054】
一対の内側トーションバー230の夫々は、可動部120が内側支持体210に対して揺動可能なように、可動部120と内側支持体210とを連結する。一対の内側トーションバー230の弾性によって、可動部120は、一対の内側トーションバー230が延びる方向に沿った軸を回転軸として回転するように遥動する。つまり、可動部120は、Y軸を回転軸として、当該回転軸の周りで回転するように遥動する。
【0055】
駆動コイル140は、例えば、内側支持体210の上に延びるコイルである。駆動コイル140は、例えば相対的に導電率の高い材料(例えば、金や銅等)を用いて形成されてもよい。また、駆動コイル140は、めっきプロセスやスパッタリング法等の半導体製造プロセスを用いて形成されてもよい。或いは、駆動コイル140は、外側支持体110、一対の外側トーションバー130、内側支持体210、一対の内側トーションバー230、可動部120及びリブ123を形成するためのシリコン基板に対してインプラント法を用いて埋め込まれてもよい。尚、図1上では、図面の見やすさを重視して、駆動コイル140の外形を簡略化して記載してあるが、実際には、駆動コイル140は、内側支持体210の表面上に形成された一又は複数の巻き線によって構成されている。
【0056】
駆動コイル140には、外側支持体110上に形成されている一対の電源端子170及び当該一対の電源端子170と駆動コイル140とを電気的に接続するための配線150であって且つ一対の外側トーションバー130上に形成された配線150を介して、電源から制御電流が供給される。制御電流は、内側支持体210及び可動部120を遥動させるための制御電流であって、典型的には、内側支持体210が遥動する周波数と同期した周波数の信号成分及び可動部120が遥動する周波数と同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。尚、電源は、アクチュエータ1自身が備えている電源であってもよいし、アクチュエータ1の外部に用意される電源であってもよい。
【0057】
一対の永久磁石160は、外側支持体110の外部に取り付けられている。但し、一対の永久磁石160は、駆動コイル140に対して所定の静磁界を印加することができる限りは、どのような箇所に取り付けられてもよい。一対の永久磁石160は、駆動コイル140に対して所定の静磁界を印加することができるように、その磁極の向きが適切に設定されていることが好ましい。尚、一対の永久磁石160には、静磁界の強度を高めるために、ヨークが付加されていてもよい。
【0058】
このような本実施例のアクチュエータ1が動作する(具体的には、可動部120が遥動する)場合には、まず、電源から、電源端子170及び配線150を介して、駆動コイル140に対して制御電流が供給される。このとき駆動コイル140に対して供給される制御電流は、内側支持体210を遥動させるための信号(具体的には、内側支持体210の遥動の周期に同期した信号)と可動部120を遥動させるための信号(具体的には、可動部120の遥動の周期に同期した信号)とが重畳された電流であることが好ましい。一方で、駆動コイル140には、一対の永久磁石160によって静磁界が印加されている。従って、駆動コイル140には、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に供給される制御電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイル140が形成されている内側支持体210は、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に供給される制御電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。つまり、内側支持体210は、X軸を回転軸として回転するように遥動する。このとき、可動部120は、複数の一対のトーションバー230を介して内側支持体210に接続されている。従って、内側支持体210の遥動に伴って、可動部120は、実質的には、X軸を回転軸として、当該回転軸の周りで回転するように遥動する。
【0059】
加えて、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に供給される制御電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力は、慣性力として可動部120に伝達される。その結果、可動部120は、Y軸を回転軸として回転するように遥動する。
【0060】
このように、本実施例のアクチュエータ1によれば、可動部120の2軸駆動が行われる。
【0061】
尚、本実施例では、アクチュエータ1は、可動部120の2軸駆動を行う。但し、アクチュエータ1は、可動部120の1軸駆動を行ってもよい。この場合、アクチュエータ1は、外側支持体110及び一対の外側トーションバー130を備えていなくともよい。或いは、アクチュエータ1は、可動部120のN(但し、Nは3以上の整数)軸駆動を行ってもよい。
【0062】
本実施例では特に、図1及び図2に示すように、一対の内側トーションバー230の一部は、複数の分岐バー231(つまり、分岐バー231a及び分岐バー231b)に分岐している。具体的には、例えば、一対の内側トーションバー230は、一対の内側トーションバー230と可動部120とが連結される連結箇所の近傍において、複数の分岐バー231に分岐している。つまり、可動部120の近傍に位置する一対の内側トーションバー230の一部は、複数の分岐バー231に分岐している。
【0063】
複数の分岐バー231の夫々は、一対の内側トーションバー230の長手方向(つまり、Y軸方向)に沿って延びる。複数の分岐バー231の夫々は、可動部120に連結される。つまり、一対の内側トーションバー230は、複数の分岐バー231の夫々が可動部120に連結されることで、可動部120と内側支持体210とを連結する。
【0064】
更に、本実施例では、可動部120は、各分岐バー231と可動部120とが連結される連結箇所の近傍に、一対の突出部分122を備えている。具体的には、可動部120は、分岐バー231aと可動部120とが連結される連結箇所の近傍に、一対の突出部分122a(つまり、突出部分122a−1及び突出部分122a−2)を備えている。同様に、可動部120は、分岐バー231bと可動部120とが連結される連結箇所の近傍に、一対の突出部分122b(つまり、突出部分122b−1及び突出部分122b−2)を備えている。更に、図2に示すように、第2リブ1232(つまり、第2リブ1232a及び第2リブ1232b)は、その少なくとも一部が少なくとも一つの突出部分122上にまで延びるように形成されている。
【0065】
以下、図3を参照しながら、可動部120が備える突出部分122及び当該突出部分122上にまで延びる第2リブ1232についてより詳細に説明する。図3は、可動部120の下面の一部を拡大して示す下面図である。
【0066】
図3に示すように、突出部分122は、当該突出部分122の周囲の領域部分(言い換えれば、突出部分122に隣接する領域部分)と比較して突き出している領域部分である。より具体的には、突出部分122は、可動部120の下面に沿った方向(つまり、XY平面に沿った方向)であって且つ可動部120の中心から離れる方向に向かって突き出している。言い換えれば、突出部分122は、可動部120の下面に沿った方向であって且つ可動部120の外部に向かう方向に向かって突き出している。更に言い換えれば、突出部分122は、突出部分122を備えていないと仮定した場合の可動部122の仮想的な外縁から、可動部120の下面に沿った方向であって且つ可動部120の中心から離れる方向に向かって突き出ている。つまり、可動部120の一部は、可動部120の下面に沿った方向であって且つ可動部120の中心から離れる方向に向かって突き出している。
【0067】
尚、図3(a)に示す突出部分122の形状はあくまで一例である。従って、突出部分122は、突出部分122が周囲の領域部分と比較して突き出している(例えば、突出部分122を備えていないと仮定した場合の可動部122の仮想的な外縁から突き出している)限りは、どのような形状を有していてもよい。
【0068】
突出部分122は、可動部120と一体化されている(言い換えれば、同一の構造物から一体的に形成されている)ことが好ましい。但し、突出部分122は、可動部120に対して事後的に付加された(言い換えれば、接続された又は取り付けられた)構造を有していてもよい。但し、後に詳述するように、アクチュエータ1は、SOI(Silicon On Insulator)ウェハから製造されることが多い。この場合、可動部120及び突出部分122は、SOIウェハの第1シリコン層(言い換えれば、デバイス層又は活性層)等から一体的に形成されることが好ましい。
【0069】
また、突出部分122は、可動部120と同一平面上に位置することが好ましい。言い換えれば、突出部分122の下面と可動部120の下面とが同一平面上に位置することが好ましい。但し、突出部分122は、可動部120と同一平面上に位置していなくともよい。尚、アクチュエータ1がSOIウェハから製造される場合には、可動部120及び突出部分122がSOIウェハの第1シリコン層等から一体的に形成されるがゆえに、可動部120と突出部分122とは同一平面上に位置することになる。
【0070】
また、突出部分122の厚さと可動部120の厚さとが同一になることが好ましい。但し、突出部分122の厚さと可動部120の厚さとが同一でなくともよい。尚、アクチュエータ1がSOIウェハから製造される場合には、可動部120及び突出部分122がSOIウェハの第1シリコン層等から一体的に形成されるがゆえに、可動部120の厚さと突出部分122の厚さとは同一になる。
【0071】
また、突出部分122と当該突出部分122の周囲の領域部分との境界は、角が丸めこまれるフィレット加工(或いは、面取り加工、湾曲加工又は丸め加工等)が行われることが好ましい。但し、突出部分122と当該突出部分122の周囲の領域部分との境界は、角が丸めこまれるフィレット加工(或いは、面取り加工、湾曲加工又は丸め加工等)が行われていなくともよい。
【0072】
図3に示すように、第2リブ1232は、突出部分122上にまで延びるように形成されている。言い換えれば、第2リブ1232は、突出部分122以外の領域部分から突出部分122に向かって連続的に延びるように形成されている。つまり、第2リブ1232は、突出部分122と共に、可動部120の下面に沿った方向に向かって且つ可動部120の中心から離れる方向に向かって突き出すように形成されている。
【0073】
より具体的には、例えば、第2リブ1232aは、一対の突出部分122a−1及び122a−2の夫々の上にまで延びるように形成されている。
【0074】
特に、第2リブ1232aは、分岐バー231aと可動部120とが連結される連結箇所124aを包囲する形状を有している。言い換えれば、可動部120の下面に平行な面(つまり、XY平面)上における第2リブ1232の形状は、分岐バー231aと可動部120とが連結される連結箇所124aを包囲する形状となる。図3に示す例では、第2リブ1232が連結箇所124aを包囲する形状の一例として、第2リブ1232の内壁(例えば、連結箇所124a側を向いている側面)によって規定される空間若しくは平面内に連結箇所124aが位置することが可能な形状が例示されている。つまり、図3に示す例では、第2リブ1232が連結箇所124aを包囲する形状の一例として、第2リブ1232の内壁によって囲まれる空間又は平面内に連結箇所124aが位置することが可能な形状が例示されている。
【0075】
尚、ここで言う「連結箇所124aを包囲する」状態は、連結箇所124aの周囲の全体を包囲する状態(例えば、開口を備えていない閉ループ形状の第2リブ1232によって連結箇所124aを包囲する状態)を意味していてもよい。或いは、「連結箇所124aを包囲する」状態は、連結箇所124aの周囲の一部を包囲する状態((例えば、開口を備えている開ループ形状の第2リブ1232によって連結箇所124aを包囲する状態:図3参照)をも含む。
【0076】
このとき、図3に示すように、可動部120の下面に平行な面上における第2リブ1232aの形状は、突出部分122a−1から可動部120の下面を経由して突出部分122a−2に至るまで連続的に延びる円弧状の形状となる。より具体的には、第2リブ1232aの形状は、分岐バー231aと可動部120とが連結される連結箇所124aから見て、当該連結箇所124aから遠ざかる方向に向かって凸となる円弧形状となる。その結果、第2リブ1232aは、分岐バー231aと可動部120とが連結される連結箇所124aを好適に包囲することができる。但し、第2リブ1232aが一対の突出部分122a−1及び122a−2上にまで延びる限りは、第2リブ1232aの形状は、円弧形状以外の任意の形状であってもよい。
【0077】
尚、一対の突出部分122a−1及び122a−2上にまで延びる第2リブ1232aが連結箇所124aを包囲していることを考慮すれば、このような第2リブ1232aがその上に形成される一対の突出部分122a−1及び122a−2もまた、連結箇所124aを包囲する形状を有していてもよい。例えば、図3に示すように、可動部120の下面に平行な面上における一対の突出部分122a−1及び122a−2の形状は、分岐バー231aと可動部120とが連結される連結箇所124aを包囲する(図3に示す例では、挟みこむ)ことが可能な形状であってもよい。
【0078】
以上の説明は第2リブ1232aについての説明であるが、第2リブ1232bについても同様である。例えば、第2リブ1232aと同様に、第2リブ1232bもまた、一対の突出部分122b−1及び122b−2上にまで延びるように形成されている。例えば、第2リブ1232bもまた、分岐バー231bと可動部120とが連結される連結箇所124bを包囲する形状を有している。例えば、可動部120の下面に平行な面上における第2リブ1232bの形状は、突出部分122b−1から可動部120の下面を経由して突出部分122b−2に至るまで連続的に延びる円弧状の形状となる。
【0079】
突出部分122上では、第2リブ1232の回転軸側(内側トーションバー230側)の外縁は、突出部分122の回転軸側の外縁から離間している(離れている)ことが好ましい。つまり、可動部120の回転軸から見て(言い換えれば、内側トーションバー230から見て)、可動部120の回転軸に交わる(典型的には、直交する)方向に沿って、突出部分122のうち第2リブ1232が形成されていない領域部分と突出部分122のうち第2リブ1232が形成されている領域部分とがこの順に現れるように、第2リブ1232が形成されていることが好ましい。
【0080】
このような本実施例のアクチュエータ1によれば、突出部分122上にまで第2リブ1232が延伸しているがゆえに、可動部120の遥動に伴って第2リブ1232の付け根(言い換えれば、第2リブ1232と可動部120との接続部分)に加わる応力を緩和することができる。特に、可動部120の遥動に伴って、内側トーションバー230と可動部120との接続部分の近傍に位置する第2リブ1232の付け根に加わる応力を緩和することができる。言い換えれば、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232の付け根における応力の集中を緩和することができる。
【0081】
以下、突出部分122上にまで第2リブ1232が延伸することで可動部120の遥動に伴う第2リブ1232の付け根における応力の集中を緩和することができる理由ついて簡単に説明する。
【0082】
一般的に、一対の内側トーションバー230によって支持された可動部120が遥動する場合には、可動部120の硬さが急激に変化する領域部分に応力が集中しやすい傾向がある。ここで、可動部120は、可動部120の幅(具体的には、可動部120の回転軸に直交する方向に沿った長さ)が大きくなるほど硬くなる傾向がある。
【0083】
そうすると、本実施例のアクチュエータ1においては、内側トーションバー230から可動部120に向かう方向に沿って、当初は可動部120の幅が徐々に大きくなっていく一方で、突出部分122が現れる位置において可動部120の幅が急激に大きくなることが分かる。従って、可動部120の遥動に伴う応力は、可動部120の幅が急激に大きくなる位置(つまり、突出部分122の回転軸側の外縁と周囲の領域部分との境界)に集中することになる。その結果、可動部120の遥動に伴う応力は、突出部分122の回転軸側の外縁と周囲の領域部分との境界から離れた位置に形成されている第2リブ1232(或いは、第2リブ1232の付け根)に集中することがない。つまり、突出部分122の回転軸側の外縁と周囲の領域部分との境界から離れた位置に形成されている第2リブ1232(或いは、第2リブ1232の付け根)に加わる応力が緩和される。
【0084】
尚、参考までに、リブ123の付け根に加わる応力の緩和を重視すると、トーションバー230と可動部120との接続部分から大きく離れた可動部120の領域部分に、リブ123が形成されればよいとも考えられる。つまり、第1リブ1231を形成する一方で第2リブ1232を形成しなければよいとも考えられる。というのも、可動部120が遥動する際に可動部120に加わる応力は、当該応力が加わる領域部分が内側トーションバー230に近ければ近いほど大きくなるからである。しかしながら、内側トーションバー230と可動部120との連結箇所から大きく離れた可動部120の領域部分に第1リブ1231のみを形成する(つまり、第2リブ1232を形成しない)と、可動部120の平坦性を確保することが困難になってしまいかねない。しかるに、本実施例のアクチュエータ1では、可動部120の平坦性を確保しつつも第2リブ1232と可動部120との接続部分に加わる応力を緩和することができるという実践上大変有用な効果が得られる。
【0085】
加えて、本実施例では、各分岐バー231が可動部120に連結される連結箇所124を個別に包囲する第2リブ1232が複数形成される。ここで、本願発明者の実験によれば、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232と可動部120との接続部分に加わる応力は、第2リブ1232の曲率が大きくなるほど(つまり、第2リブ1232の曲率半径が小さくなるほど)緩和されることが判明している。そうすると、本実施例では、複数の分岐バー231に夫々対応する複数の連結箇所124をまとめて包囲する単一の第2リブ1232が形成される場合と比較して、第2リブ1232のサイズが相対的に小さくなる。その結果、本実施例では、複数の連結箇所124をまとめて包囲する単一の第2リブ1232が形成される場合と比較して、第2リブ1232の曲率が相対的に大きくなる(つまり、第2リブ1232の曲率半径が小さくなる)。このため、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232と可動部120との接続部分に加わる応力を緩和することができる。
【0086】
加えて、本実施例では、内側トーションバー230が複数の分岐バー231に分岐している。このため、内側トーションバー230全体としての幅を相対的に大きくしつつも、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232と可動部120との接続部分に加わる応力を緩和することができる。
【0087】
ここで、図4を参照しながら、比較例として、内側トーションバー230を複数の分岐バー231に分岐させることなく内側トーションバー230全体としての幅のみを大きくするアクチュエータについて検討する。図4に示すように、比較例では、内側トーションバー230と可動部120との連結箇所124の幅もまた相対的に大きくなる。その結果、比較例では、相対的に大きい幅を有する連結箇所124を包囲する単一の第2リブ1232が形成される。この場合、相対的に大きい幅を有する連結箇所124を包囲する第2リブ1232のサイズが相対的に大きくなる。つまり、第2リブ1232の曲率が相対的に小さくなる(つまり、第2リブ1232の曲率半径が大きくなる)。その結果、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232と可動部120との接続部分における応力が緩和されにくい。
【0088】
しかるに、本実施例では、上述したように、内側トーションバー230が複数の分岐バー231に分岐しているがゆえに、複数の分岐バー231に対応する複数の連結箇所124の夫々を個別に包囲する第2リブ1232が複数形成される。このため、比較例と比較して、内側トーションバー230全体としての幅を相対的に大きくした場合であっても、各連結箇所124を包囲する第2リブ1232のサイズを相対的に小さくすることができる。このため、第2リブ1232の曲率を相対的に大きくする(つまり、第2リブ1232の曲率半径を相対的に小さくすることができる。従って、本実施例では、比較例と比較して、内側トーションバー230全体としての幅を相対的に大きくした場合であっても、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232と可動部120との接続部分に加わる応力を緩和することができる。
【0089】
尚、内側トーションバー230の幅を相対的に大きくすると、内側トーションバー230のバネ定数が大きくなる。内側トーションバー230のバネ定数が大きくなると、内側トーションバー230を介して内側支持体210に軸支されている可動部120の遥動の周波数が高くなる。従って、本実施例では、可動部120の遥動に伴う第2リブ1232と可動部120との接続部分に加わる応力を緩和しつつも、可動部120の遥動の周波数を相対的に高くすることができるという実践上大変有益な効果を享受することができる。
【0090】
また、上述したように、本実施例のアクチュエータ1は、SOIウェハから製造されることが多い。この場合、図5に示すように、可動部120及び内側トーションバー230が第1シリコン層(言い換えれば、デバイス層又は活性層)181から形成される一方で、リブ123が第2シリコン層(言い換えれば、ハンドル層又は支持層)183から形成される。ここで、第1シリコン層181と第2シリコン層183との間には、ボックス層(言い換えれば、酸化膜層)182が存在している。ところが、ボックス層182は、第1シリコン層181及び第2シリコン層183と比較して脆いがゆえに、可動部120の遥動に伴う応力によって破壊されやすい。このようなボックス層182の破壊は、リブ123の可動部120からの剥離につながりかねない。更には、アクチュエータ1の製造工程の関係上、図5の右側の図面に示すように、第2シリコン層183から形成されるリブ123の付け根には、ノッチが入りやすくなっている(但し、図5の中央の図面に示すように、通常は、第2シリコン層183から形成されるリブ123の付け根にノッチが入らないようにアクチュエータ1が製造される)。このようなノッチは、可動部120の遥動に伴う応力によるリブ123の可動部120からの剥離につながりかねない。しかるに、本実施例では、リブ123の付け根に加わる応力の緩和が実現されるがゆえに、ボックス層182を介して第2シリコン層183(リブ123)と第1シリコン層181(可動部120)とが接続され且つリブ123の付け根にノッチが入っている場合であっても、リブ123の可動部120からの剥離が生じにくいという実践上大変有用な効果が得られる。
【0091】
尚、上述した説明では、連結箇所124aを包囲する第2リブ1232aと連結箇所124bを包囲する第2リブ1232bとが物理的に分離している。しかしながら、連結箇所124aを包囲する第2リブ1232aの少なくとも一部と連結箇所124bを包囲する第2リブ1232bの少なくとも一部とが一体化されていてもよい。例えば、図6に示す例では、第2リブ1232aのうち突出部分122a−2の近傍に位置するリブ部分と、第2リブ1232bのうち突出部分122b−2の近傍に位置するリブ部分とが一体化されている。この場合、一体化された第2リブ1232aが形成される突出部分122a−2と、一体化された第2リブ1232bが形成される突出部分122b−2もまた一体化されていてもよい。このように構成しても、上述した各種効果が好適に又は相応に享受される。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うアクチュエータもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
110 外側支持部
210 内側支持部
120 可動部
121 ミラー
122 突出部分
123 リブ
124 連結箇所
130 外側トーションバー
230 内側トーションバー
140 駆動コイル
150 配線
160 永久磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6