(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水平経路部とこれにつながる別走行経路部との間の上下方向のターン経路部を有する走行経路と、水平正立姿勢を保って前記走行経路を走行する搬送台車と、前記走行経路において搬送台車を走行させる駆動手段が設けられた台車式搬送装置において、前記搬送台車は、車輪を介してガイドレール上に走行可能に支持されたもので、左右両側それぞれの前後2か所に水平横向きに突設された被係合部と、底部に設けられた補助被支持部を備え、前記駆動手段は、前記ターン経路部に軸支されたターン部歯輪を経由して走行経路に沿って回動する左右一対の無端チエンと、前記無端チエンと連動する左右一対の補助回転体、及び補助ガイド部材を備え、前記左右一対の無端チエンのそれぞれには、搬送台車の前後一対の被係合部に対して嵌脱自在な係合部が設けられ、前記補助回転体は、前後一対の前記被係合部間の間隔だけ前記ターン部歯輪から水平方向に離れた位置に軸支されて、無端チエンの係合部から離脱した被係合部に係合する係合部を有し、前記補助ガイド部材は、最低レベルでターン経路部を出入りする搬送台車と干渉しない高さに設けられ且つターンする搬送台車の前記補助被支持部を支持案内する下側突起状カムと、前記水平経路部から遠い側の被係合部回動経路の外側に沿って架設された左右一対の被係合部案内用ガイドレールを備え、前記下側突起状カムは、前記水平経路部に近い側の被係合部回動経路の下端側領域において、無端チエン又は補助回転体の係合部と搬送台車の被係合部との係合状態を保持する、台車式搬送装置。
搬送台車の前記被係合部は、搬送台車の左右両側それぞれの前後2か所に軸支され且つ外向きに同心状に突設された突出軸を備えた車輪から構成され、前記無端チエンの係合部は、水平経路部において前記突出軸に対し上下方向に嵌合する凹部を備えた係合部材から構成されている、請求項1に記載の台車式搬送装置。
前記補助被支持部は、搬送台車底部の左右巾方向の中央部で前後2か所に設けられ、これら前後2つの補助被支持部は、搬送台車の正面視において互いに重ならないよう、当該搬送台車の左右巾方向に位置がずらされている、請求項1又は2に記載の台車式搬送装置。
搬送台車は、天板の左右両側辺から下側に突設された左右両側板の外側に車輪が軸支され、前記前後2つの補助被支持部は、前記天板の下側に取り付けられ、前側の補助被支持部とこの搬送台車の後端までの天板下空間は後方に開放されて、後方から天板下空間を経由して前側の補助被支持部を直視でき、後ろ側の補助被支持部とこの搬送台車の前端までの天板下空間は前方に開放されて、前方から天板下空間を経由して後ろ側の補助被支持部を直視できるように構成されている、請求項3に記載の台車式搬送装置。
前記別走行経路部は、前記水平経路部からターン経路部を経て下方につながるものであり、前記水平経路部には、搬送台車の車輪が前記水平経路部の前記ターン部歯輪と前記補助回転体との間に落ち込むのを防止する搬送台車傾動防止手段が併設され、この搬送台車傾動防止手段は、前記水平経路部の上側に架設されて搬送台車の車輪に対し上から被さる上側ガイドレールと、前記水平経路部の下側に軸支されて搬送台車を支持する支持用ガイドローラーとから構成されている、請求項1〜5の何れか1項に記載の台車式搬送装置。
前記搬送台車傾動防止手段には、搬送台車の前後の車輪の内、前記水平経路部に近い側の車輪回動経路を避けて、前記ターン部歯輪と前記補助回転体との間に架設されて搬送台車の車輪を下側から支持する下側ガイドレールが追加されている、請求項6に記載の台車式搬送装置。
前記別走行経路部は、前記水平経路部からターン経路部を経て上方につながる昇降経路部であって、この昇降経路部には、前記水平経路部との間でターン部歯輪を経由して連続する第一無端チエンと、当該第一無端チエンと連動して当該昇降経路部に沿って回動する第二無端チエンが設けられ、この第二無端チエンは、昇降経路部における第一無端チエンよりも前記水平経路部に近い位置にあって、その下端案内歯輪と前記ターン部歯輪は、前記水平経路部の第一無端チエンより高い同一高さに軸支されて、前記水平経路部の第一無端チエンは昇降経路部の下端で斜め上方に傾斜し、前記補助回転体は、第二無端チエンの下端案内歯輪と同心一体に回転するように設けられ、当該補助回転体の係合部は、第二無端チエンの係合部に突出軸が嵌合する車輪が嵌脱自在に嵌合可能な凹部によって構成され、前記補助ガイド部材の下側突起状カムは、前記下端案内歯輪の周囲を回動する第二無端チエン及び補助回転体の係合部と、水平経路部の前記下端案内歯輪側の端部との間での、搬送台車の被係合部の乗移りを可能にする、請求項2〜5の何れか1項に記載の台車式搬送装置。
前記別走行経路部は、前記水平経路部からターン経路部を経て上方につながる昇降経路部であって、この昇降経路部には、前記水平経路部との間でターン部歯輪を経由して連続する第一無端チエンと、当該第一無端チエンと連動して当該昇降経路部に沿って回動する第二無端チエンが設けられ、この第二無端チエンは、昇降経路部における第一無端チエンよりも前記水平経路部から遠い位置にあり、前記補助回転体は、第二無端チエンの下端案内歯輪に対して前記ターン部歯輪のある側に隣接して軸支され、この補助回転体の係合部は、第二無端チエンの係合部に突出軸が嵌合する車輪が嵌脱自在に嵌合可能な凹部によって構成され、前記補助ガイド部材の下側突起状カムは、ターン部歯輪周囲の被係合部回動経路の下端側領域において、第一無端チエンの係合部と搬送台車の被係合部との係合状態を保持する、請求項2〜5の何れか1項に記載の台車式搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1に記載の第一回転体は、ターン部歯輪に係合する無端チエンと当該無端チエンに取り付けられた係合部に相当すると考えることが出来るが、何れにしても、例えば、水平経路部から上向きに搬送台車をターンさせる場合、搬送台車の前側の被係合部が第二回転体の係合部に係合して上方に掬い上げられるとき、搬送台車の後ろ側の被係合部も第一回転体の係合部(又は無端チエンの係合部)に係合して掬い上げられることになる。この掬い上げの開始直後では、各回転体の係合部の向きが垂直下向きの状態から前方斜め下向きに傾斜した状態にあるから、搬送台車を前方へ押し出すだけで上方に掬い上げることは出来ない。特許文献1に記載の構成など、従来の構成では、上記の現象を、第二回転体の周囲に沿って架設された円弧形のガイドレールによって搬送台車の前側被係合部を受け止めることによって、搬送台車が前方へ押し出されるのを抑止するように構成しているが、後ろ側被係合部が第一回転体の係合部(又は無端チエンの係合部)から押し出される現象を直接抑止する対策はとられていない。従って、掬い上げの開始直後では、後ろ側被係合部に作用する前方への押し出し力も、搬送台車の前側被係合部と、この前側被係合部を受け止めるために第二回転体の周囲に沿って架設された円弧形のガイドレールによって受け止めることになる。この結果、これらには本来必要な強度以上の甚大な強度が求められるばかりでなく、掬い上げ動作を円滑に開始させることも難しくなっている。
【0005】
上記の問題点を改善するためには、搬送台車の後ろ側被係合部の外側に第二の後ろ側被係合部、例えばカム従動ローラーを突設し、このカム従動ローラーを介して搬送台車の後端側の左右両側を、第一回転体の係合部(又は無端チエンの係合部)の軌跡と同一の軌跡で前方斜め上方に案内するガイドレールを架設することが考えられる。しかしながらこの構成では、搬送台車全体の左右横巾が、荷台の横巾に比較して非常に大きくなり、走行経路の占有空間が非常に大きくなる。又、搬送台車(荷台)から横方向に大きく張り出した第二の後ろ側被係合部(カム従動ローラーなど)で搬送台車の後半部の負荷を受けることになるので、大重量物を搬送する搬送装置には適用することが難しい。更に、搬送台車の走行方向が一方向に決められている場合は実施可能であるが、搬送台車の後進走行も可能にしたいときには、搬送台車の前側被係合部の外側にも第二の前側被係合部が必要になり、この第二の後ろ側被係合部と第二の前側被係合部を、搬送台車の走行方向に合わせて択一的に作用するように構成することは、非常に複雑な機構が必要であり、実用的に実施することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる台車式搬送装置を提案するものであって、本発明に係る台車式搬送装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、水平経路部(12)とこれにつながる別走行経路部(1)との間の上下方向のターン経路部(11)を
有する走行経路と、水平正立姿勢を保って前記走行経路を走行する搬送台車(13)と、前記走行経路において搬送台車(13)を走行させる駆動手段が設けられた台車式搬送装置において、前記搬送台車(13)は、車輪(18a〜19b)を介してガイドレール(44,41)上に走行可能に
支持されたもので、左右両側それぞれの前後2か所に水平横向きに突設された被係合部(16a〜17b)と、底部に設けられた補助被支持部(24a)を備え、前記駆動手段は、前記ターン
経路部(11)に軸支されたターン部歯輪(30)を経由して走行経路に沿って回動する左右一対の無端チエン(27)と、前記無端チエン(27)と連動する左右一対の補助回転体(49)、及び補助ガイド部材を備え、前記左右一対の無端チエン(27)のそれぞれには、搬送台車(13)の前後一対の被係合部(16a〜17b)に対して嵌脱自在な係合部(55)が設けられ、前記補助回転体(49)は、前後一対の前記被係合部(16a〜17b)間の間隔だけ前記ターン部歯輪(30)から水平方向に離れた位置に軸支されて、無端チエン(27)の係合部(55)から離脱した被係合部(16b,17b)に係合する係合部(49a,49b)を有し、前記補助ガイド部材は、最低レベルでターン経路部(11)を出入りする搬送台車(13)と干渉しない高さに設けられ且つターンする搬送台車(13)の前記補助被支持部(24a)を支持案内する下側突起状カム(65)と、前記水平経路部(12)から遠い側の被係合部回動経路の外側に沿って架設された左右一対の被係合部案内用ガ
イドレール(61)を備え、前記下側突起状カム(65)は、前記水平経路部(12)に近い側の被係合部(16a,17a)回動経路の下端側領域において、無端チエン(27)の係合部(55)と搬送台車(13)の被係合部(16a,17a)との係合状態を保持する構成になっている。
【0007】
上記括弧付きの参照符号としては、下記実施例の第六ターン経路部(11)の構成に従って、該当する参照符号を示したが、無端チエン(27)のターン部歯輪(31)と補助回転体(51)とが水平経路部(1)に対して前後逆に配置されるターン経路部、即ち、下記実施例の第一タ
ーン経路部2、を参照すれば、水平経路部は第一水平経路部(1)となり、前記別走行経路
部は、第一昇降経路部(3)となり、前記下側突起状カム(87)は、前記水平経路部(1)に近い側の被係合部(16b,17b)回動経路の下端側領域において、第二無端チエン(28)の係合部(57)と搬送台車(13)の被係合部(16b,17b)との係合状態を保持する構成になる。尚、下記実施例中の本発明が適用された箇所としては、上記の第六ターン経路部(11)で接続された第四水平経路部(12)と第一水平経路部(1)、第一ターン経路部(2)で接続された第一水平経路部(1)と第一昇降経路部(3)の他、第三ターン経路部(6)で接続された第二水平経路部(5)と第三水平経路部(7)、第五ターン経路部(10)で接続された第二昇降経路部(9)と第四水平経路部(12)があるが、これら各ターン経路部における搬送台車(13)の走行方向が逆になる場合も含まれることは、下記の説明からも明らかである。
【発明の効果】
【0008】
上記本発明の構成を、上下に重なる上側水平経路部と下側水平経路部との間のターン経路部に適用する場合は、左右一対の無端チエンを、ターン部歯輪を介して一方の水平経路部から他方の水平経路部へ連続的に張設することが出来る。この場合は、水平経路部側から見てターン部歯輪は内側、補助回転体は外側に位置することになる。しかし、水平経路部と、別走行経路部としての昇降経路部とが、ターン経路部を介して直角に接続される場合は、請求項8や9に記載のように、昇降経路部には、必然的に搬送台車の前側左右一対の被係合部に係合する無端チエンと、搬送台車の後ろ側左右一対の被係合部に係合する無端チエンとが並設されることになり、これら両無端チエンの何れか一方が、水平経路部に沿って張設される無端チエンとなり、他方の無端チエンは、第二無端チエンとして追加張設されることになる。基本的には、水平経路部に沿って張設される無端チエンを、ターン部歯輪を介して昇降経路部の内側(水平経路部に近い側)に導き、昇降経路部の外側に第二無端チエンを追加張設することになるので、水平経路部側から見てターン部歯輪は内側、補助回転体は外側に位置することになる。しかし、昇降経路部の他端側の構成によっては、水平経路部に沿って張設される無端チエンを、ターン部歯輪を介して昇降経路部の外側(水平経路部から遠い側)に導き、昇降経路部の内側に第二無端チエンを追加張設することになるので、この場合は、水平経路部側から見てターン部歯輪は外側、補助回転体は内側に位置することになる。
【0009】
上記のように種々の実施形態が考えられるが、一例として、上記本発明の構成を、下側水平経路部から、別走行経路部としての上側水平経路へ、上向きに搬送台車をターンさせる場所(下記実施例の第六ターン経路部11)に適用した場合について説明すると、搬送台車の前側被係合部が、ターン部歯輪の周囲を上方に回動する無端チエンの係合部から外れた後、当該搬送台車の水平前進移動を伴って、補助回転体の係合部に嵌合し得る位置まで移動することになるが、この過程では、最低レベルでターン経路部に進入する当該搬送台車は、前記補助ガイド部材の下側突起状カムと干渉することなく、その上を移動する。そして、無端チエン側の係合部に嵌合している搬送台車の後ろ側被係合部と、補助回転体の係合部に嵌合している搬送台車の前側被係合部とが、ターン部歯輪の回動と補助回転体の回動とによって前方斜め上方に掬い上げられるとき、前記下側突起状カムの直前位置に達していた、当該搬送台車の底部にある補助被支持部が、前記下側突起状カムに乗り上げてゆくことになる。従って、当該下側突起状カム上での前記補助被支持部の移動軌跡が、互いに一致している無端チエン側の係合部及び補助回転体の係合部の回動軌跡と実質的に一致するように、前記下側突起状カムのカム面を形成しておけば、当該下側突起状カム上から前記補助被支持部が上方に外れるまでは、搬送台車の被係合部が無端チエン側の係合部及び補助回転体の係合部から前方斜め下方に滑動するように、搬送台車が重力で移動することが確実に抑止される。
【0010】
このとき、補助回転体の係合部から搬送台車の前側の左右一対の被係合部が前方斜め下方に滑動離脱ことは、従来通り、当該補助回転体の周囲に沿って架設される円弧形の被係合部案内用ガイドレールで抑止することが出来るので、搬送台車は、水平経路部から前方に離れた左右一対の前側被係合部の位置が左右一対の補助回転体の係合部によって支持されると同時に、水平経路部に近い後ろ側底部にある補助被支持部の位置が下側突起状カムによって支持された状態、換言すれば、少なくとも3点で支持された水平正立姿勢の状態で、前方斜め上方への掬い上げ動作が開始されることになる。無端チエンと補助回転体の回動が進んで、下側突起状カムから前記補助被支持部が外れたときには、ターン部歯輪の周りの無端チエンの係合部は、真下向きの0度から前方上方に相当角度回転して、搬送台車の後ろ側被係合部に対する支持機能は高められているので、先に説明したように、補助回転体の周囲に沿って架設される円弧形の被係合部案内用ガイドレールの存在と相俟って、搬送台車は、左右一対の補助回転体と左右一対の無端チエンとによって、前後左右4か所が支持された水平正立姿勢で上方に掬い上げられる。
【0011】
補助回転体とターン部歯輪の真上位置まで救い上げられた搬送台車が無端チエンの係合部によって水平経路部内に引き込まれるとき、補助回転体の係合部から離れた当該搬送台車の後ろ側被係合部(車輪を含む)が、補助回転体とターン部歯輪の間に落ち込むのを防止する搬送台車傾動防止手段が必要であるが、この搬送台車傾動防止手段は、従来周知の構成を採用しても良いが、請求項6や7に記載の本発明の構成を採用して、搬送台車側への追加部品を不要にするのが望ましい。
【0012】
以上のように本発明の構成によれば、左右一対の無端チエンの係合部と左右一対の補助回転体の係合部とで、搬送台車の外側4か所の被係合部を支持して、当該搬送台車をターン経路部の円弧形経路に沿って掬い上げるときの開始直後において、搬送台車の後ろ側被係合部のある後半部が無端チエンの係合部によって実質的に支持することが出来ないという従来の問題点を、下側突起状カムで搬送台車底部の補助被支持部を支持案内することにより解消し、常に搬送台車を、前側左右両側の被支持部のある2点と補助被支持部のある後ろ側1点の3点で確実且つ安定的に支持した状態で、円滑に前方斜め上方への掬い上げ動作を円滑に、そして前側被係合部やこれを受け止める補助回転体周囲の円弧形のガイドレールなどに甚大な強度的負担をかけることなく、開始させることが出来るに至ったのである。しかもその解決手段が、搬送台車底部の補助被支持部と、最低レベルでターン経路部に進入する搬送台車の下側に配設された下側突起状カムによって構成されるので、搬送台車の左右両側に追加部品を突設させて搬送台車全体の左右横巾、延いては走行経路の左右横巾を広げるようなこともなく、大重量物を搬送する搬送装置であっても、容易に実施することが出来る。
【0013】
一例として、下側水平経路部から上側水平経路へ上向きに搬送台車をターンさせる場所(下記実施例の第六ターン経路部11)に本発明を適用した場合について説明したが、この逆に、上側水平経路から下側水平経路部へ下向きに搬送台車をターンさせる場所(下記実施例の第三ターン経路部6)に本発明を適用した場合も、上記と同様の作用効果が期待出来る。この場合は、上側水平経路からその延長方向に送り出された搬送台車を、ターン部歯輪の周りを回動する無端チエンの係合部と、補助回転体の係合部とで支持して円弧状に平行降下させるので、その降下動作の開始時には上記のような問題点は生じない。しかし、当該降下動作の終盤には、掬い上げ動作の開始直後と同じ問題点が生じるが、本発明の構成によれば、この降下動作の終盤には、搬送台車底部の補助被支持部を下端突起状カムによって支持案内することにより、その問題点を解消出来る。
【0014】
尚、本発明を実施する場合、搬送台車の前記被係合部(16a〜17b)は、搬送台車(13)の左右両側それぞれの前後2か所に軸支され且つ外向きに同心状に突設された突出軸(20a〜21b)を備えた車輪(18a〜19b)から構成し、前記無端チエン(27)の係合部は、水平経路部において前記突出軸(20a〜21b)に対し上下方向に嵌合する凹部を備えた係合部材(55)から構成するのが望ましい。
【0015】
又、前記補助被支持部(24a,24b)は、搬送台車(13)底部の左右巾方向の中央部で前後2
か所に設け、これら前後2つの補助被支持部(24a,24b)は、搬送台車(13)の正面視におい
て互いに重ならないよう、当該搬送台車(13)の左右巾方向に位置をずらして設けることが望ましい。この構成によれば、搬送台車が水平経路部から上昇するターン経路部と、搬送台車が水平経路部から降下するターン経路部とで、作用させる補助被支持部と下側突起状カムを変えることにより、所期通りの機能を発揮させることが出来る。換言すれば、1つの連続した走行経路内に、搬送台車が水平経路部から上昇するターン経路部と、搬送台車が水平経路部から降下するターン経路部とを混在させることが出来るので、走行経路のレイアウトの自由度が増すことになる。
【0016】
上記の構成を採用する場合、搬送台車(13)は、天板(14)の左右両側辺から下側に突設された左右両側板(15a,15b)の外側に車輪(18a〜19b)を軸支した構造とし、前記前後2つの
補助被支持部(24a,24b)は、前記天板(14)の下側に取り付け、前側の補助被支持部(24a)とこの搬送台車(13)の後端までの天板下空間は下方と後方に開放させて、後方から天板下空間を経由して前側の補助被支持部(24a)を直視でき、後ろ側の補助被支持部(24b)とこの搬送台車(13)の前端までの天板下空間は下方と前方に開放して、前方から天板下空間を経由して後ろ側の補助被支持部(24b)を直視できるように構成することが出来る。この構成に
よれば、補助被支持部を搬送台車の高さの範囲内に収容させることも出来るだけでなく、側面視において、下側突起状カムの大部分が搬送台車の内部を相対移動する状況になり、この下側突起状カムが設けられるターンテーブル経路部の高さを低く構成することが出来る。又、前記補助被支持部(24a,24b)は、滑性の良い表面材を貼付したブロック材で構成
することも可能であるが、左右方向の水平支軸で軸支されたカム従動ローラー(25a,25b)
で構成するのが望ましい。
【0017】
本発明のターン経路部の構成は、上下両水平経路部間のターン経路部だけでなく、水平経路部(1)からターン経路部(2)を経て上方につながる昇降経路部(別走行経路部)(3)が
設けられている場合の当該ターン経路部(2)にも適用出来る。この場合、先に説明したよ
うに、前記被係合部(16a〜17b)は、搬送台車(13)の左右両側それぞれの前後2か所に軸支され且つ外向きに同心状に突設された突出軸(20a〜21b)を備えた車輪(18a〜19b)から構成しておく。そして昇降経路部(3)には、水平経路部(1)との間でターン部歯輪(31)を経由して連続する第一無端チエン(27)と、当該第一無端チエン(27)と連動して当該昇降経路部(3)に沿って回動する第二無端チエン(28)が設けられ、この第二無端チエン(28)は、昇降経
路部(3)における第一無端チエン(27)よりも前記水平経路部(1)に近い位置にあって、その下端案内歯輪(36)と前記ターン部歯輪(31)は、前記水平経路部(1)の第一無端チエン(27)
より高い同一高さに軸支されて、前記水平経路部(1)の第一無端チエン(27)は昇降経路部(3)の下端で斜め上方に傾斜し、前記補助回転体(51)は、第二無端チエン(28)の下端案内歯輪(36)と同心一体に回転するように設けられ、当該補助回転体(51)の係合部(51a,51b)は
、第二無端チエン(28)の係合部(57)に突出軸(20b,21b)が嵌合する車輪(18b,19b)が嵌脱自在に嵌合可能な凹部によって構成され、前記補助ガイド部材の下側突起状カム(87)は、前記下端案内歯輪(36)の周囲を回動する第二無端チエン(28)及び補助回転体(51)の係合部(57,51a,51b)と、水平経路部(1)の前記下端案内歯輪(36)の直下位置での第一無端チエン(27)の係合部(55)との間での、搬送台車(13)の被係合部(16b,17b)の乗移りを可能にする構成となる。
【0018】
又、昇降経路部(9)には、水平経路部(12)との間でターン部歯輪(35)を経由して連続す
る第一無端チエン(27)と、当該第一無端チエン(27)と連動して当該昇降経路部(9)に沿っ
て回動する第二無端チエン(29)が設けられ、この第二無端チエン(29)は、昇降経路部(9)
における第一無端チエン(27)よりも前記水平経路部(12)から遠い位置にあり、前記補助回転体(54)は、第二無端チエン(29)の下端案内歯輪(39)に対して前記ターン部歯輪(35)のある側に隣接して軸支され、この補助回転体(54)の係合部(54a,54b)は、第二無端チエン(29)の係合部(58)に突出軸(20a,21a)が嵌合する車輪(18a,19a)が嵌脱自在に嵌合可能な凹部
によって構成され、前記補助ガイド部材の下側突起状カム(110)は、ターン部歯輪(35)周
囲の被係合部(55)回動経路の下端側領域において、第一無端チエン(27)の係合部(55)と搬送台車(13)の被係合部(16b,17b)との係合状態を保持する構成を採用することも出来る。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図に基づいて本発明の一実施例を説明する。
図1及び
図3に示すように、この実施例の搬送装置は、低位の第一水平経路部1、この第一水平経路部1の一端に第一ターン経路部2を介して上向きにつながる第一昇降経路部3、この第一昇降経路部3に対し第一水平経路部1のある側とは反対側に配置され且つ第一昇降経路部3の上端に第二ターン経路部4を介してつながる高位の第二水平経路部5、この第二水平経路部5の下側に重なり且つ第二水平経路部5の遊端に第三ターン経路部6を介してつながる第三水平経路部7、この第三水平経路部7の遊端に第四ターン経路部8を介して下向きにつながる第二昇降経路部9、及び第一水平経路部1の下側に重なり且つ一端が第五ターン経路部10を介して前記第二昇降経路部9の下端につながると共に他端が第六ターン経路部11を介して前記第一水平経路部1の遊端につながる第四水平経路部12から構成されている。この搬送装置の搬送台車13による荷Wの搬送経路は、第一水平経路部1→第一昇降経路部3→第二水平経路部5となっており、空になった搬送台車13は、第三水平経路部7→第二昇降経路部9→第四水平経路部12を経て第一水平経路部1の始端部に戻される。
【0021】
勿論、上記の搬送台車13の流れを逆向きにして、搬送台車13による荷Wの搬送経路を、第二水平経路部5→第一昇降経路部3→第一水平経路部1とすることも出来る。何れの場合も、第一ターン経路部2〜第六ターン経路部11では、搬送台車13は水平正立姿勢を保って円弧状にターンすることにより、全ての経路部において搬送台車13は、水平正立姿勢を保って走行することになる。
【0022】
搬送台車13は、
図2に示すように、平面形状が矩形の天板14の左右両側辺下側に側板15a,15bを固着連設し、この左右両側板15a,15bの外側の前後2か所に、被係合部16a〜17bが設けられている。各被係合部16a〜17bは、左右水平向きの支軸により支承された車輪18a〜19bと、これら各車輪18a〜19bから外向きに同心状に突設された突出軸20a〜21bとによって構成されている。各突出軸20a〜21bは、車輪18a〜19bを支承する支軸を車輪から突出させて構成出来る。尚、前後二組の左右対をなす車輪18a,19a及び車輪18b,19bは互いに同心状に配置されている。
【0023】
天板14の底部には、その左右巾方向の中央位置に前後方向の中央補強板22が取り付けられ、この中央補強板22の前後両端の左右互いに反対側の側面と天板14とに軸受板23a,23bが取り付けられ、これら両軸受板23a,23bの、補強板22のある側とは反対側に、補助被支持部24a,24bが取り付けられている。これら各補助被支持部24a,24bは、左右水平向きの支軸によって支承されたカム従動ローラー25a,25bから構成されたもので、これらカム従動ローラー25a,25bは、車輪18a〜19bと比較して十分に小径であって、車輪18a〜19bより下側に突出しない範囲で、天板14からは出来る限り下方に離れるように配置されている。各軸受板23a,23bのカム従動ローラー25a,25bのある側で且つカム従動ローラー25a,25bよりも内側の側面と左右両側板15a,15bとの間には、この天板14の左右巾方向と平行に、高さの低い横方向補強板26a,26bが固着されている。上記構成により、前側のカム従動ローラー25aと天板14の後端との間の天板下空間は、下側が開放されているだけでなく後方にも開放されて、搬送台車13の後方から前側のカム従動ローラー25aの少なくとも下半部が直視出来ると共に、後ろ側のカム従動ローラー25bと天板14の前端との間の天板下空間は、下側が開放されているだけでなく前方にも開放されて、搬送台車13の前方から後ろ側のカム従動ローラー25bの少なくとも下半部が直視出来るようになっている。
【0024】
図1に示すように、低位の第一水平経路部1から第一昇降経路部3、高位の第二水平経路部5、第三水平経路部7、第二昇降経路部9、及び第四水平経路部12を経由して元の第一水平経路部1に戻る無端状の搬送台車走行経路に沿って第一無端チエン27が張設されている。第一昇降経路部3では、第一無端チエン27が第一水平経路部1から遠い側を垂直に張設されているので、この第一昇降経路部3の垂直の第一無端チエン27と対をなすように、第一水平経路部1に近い側に、第二無端チエン28が垂直に張設されている。又、第二昇降経路部9では、第一無端チエン27が第一水平経路部1に近い側を垂直に張設されているので、この第二昇降経路部9の垂直の第一無端チエン27と対をなすように、第一水平経路部1から遠い側に、第二無端チエン29が垂直に張設されている。第一昇降経路部3及び第二昇降経路部9における垂直の第一無端チエン27と、当該第一無端チエン27と対をなして当該第一無端チエン27と同一方向に移動する垂直の第二無端チエン28及び第二無端チエン29との間の水平間隔は、搬送台車13の前後対をなす被係合部16a,16b及び17a,17b間の間隔(以下、搬送台車13に対する支持間隔という)と等しい。
【0025】
第一無端チエン27は、第六ターン経路部11に軸支されたターン部歯輪30から、第一ターン経路部2の外側に軸支されたターン部歯輪31、第二ターン経路部4の内側に軸支されたターン部歯輪32、第三ターン経路部6に軸支されたターン部歯輪33、第四ターン経路部8の外側に軸支されたターン部歯輪34、及び第五ターン経路部10の内側に軸支されたターン部歯輪35を経由して元のターン部歯輪30に戻るように張設され、第二無端チエン28は、第一ターン経路部2の内側に軸支された下端案内歯輪36と第二ターン経路部4の外側に軸支された上端案内歯輪37を介して垂直に張設され、第二無端チエン29は、第四ターン経路部8の内側に軸支された上端案内歯輪38と第五ターン経路部10の外側に軸支された下端案内歯輪39を介して垂直に張設されている。尚、第二無端チエン28の上端側のターン部には、テークアップ用歯輪40aとこれに第二無端チエン28を導くための複数の案内歯輪40bが併設されている。
【0026】
図3に示すように、各経路部には、搬送台車13の水平正立姿勢を保った走行を可能にするための各種ガイドレールなどが併設されている。
図3に基づいて概略の構成を説明すると、各水平経路部1,5,7,12には、搬送台車13の車輪18a〜19bを支持案内する水平ガイドレール41〜44が敷設されている。各昇降経路部3,9には、昇降する搬送台車13の前側の車輪18a,19aを挟んで揺れ止めする前後一対の垂直ガイドレール45a,45b及び46a,46bと、後ろ側の車輪18b,19bを挟んで揺れ止めする前後一対の垂直ガイドレール47a,47b及び48a,48bが架設されている。第六ターン経路部11と第三ターン経路部6は前後対称構造であって、それぞれに、内側のターン部歯輪30,33に対して外側へ水平に、搬送台車13に対する支持間隔だけ離れた位置に軸支される左右一対の補助回転体49,50が設けられている。更に、第一ターン経路部2の第二無端チエン28に係合する下端案内歯輪36と、第二ターン経路部4の第二無端チエン28に係合する上端案内歯輪37、及び第四ターン経路部8の第二無端チエン29に係合する上端案内歯輪38には、その内側で同心状に補助回転体51〜53が設けられ、第五ターン経路部10の第一無端チエン27に係合するターン部歯輪35から外側へ、搬送台車に対する支持間隔だけ離れた位置に、補助回転体54が軸支されている。
【0027】
上記の全ての第一無端チエン27〜29は、搬送台車13の走行経路の左右両側に位置するように左右一対張設されている。従って、これら無端チエンに係合する全ての歯輪30〜40bや各補助回転体49〜54も、搬送台車13の走行経路の左右両側に位置するように左右一対同心状に軸支されている。勿論、水平ガイドレール41〜44や垂直ガイドレール45a〜48bなど、補助的に併設される各種ガイドレール類も、搬送台車13の左右両側に位置するように左右一対設けられている。
【0028】
第一無端チエン27には、
図2A、
図4〜
図7に示すように、搬送台車13に対する支持間隔と等しい等間隔で、係合部55が取り付けられている。これら各係合部55は、搬送台車13の各被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bが相対回転及び嵌脱自在に嵌合し得る凹部56を備えた部材から成るものであって、第一水平経路部1と第二水平経路部5において、前記係合部55の凹部56が上向きに開口して、搬送台車13の各被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bが上から嵌合し得る向きに、第一無端チエン27の内側に付設されている。搬送台車13の全長は、搬送台車13に対する支持間隔の2倍の長さより少し短い。従って、
図1に示すように、水平経路部1,5,7,12上で各搬送台車13が前後に隣接して連続するように、搬送台車13の各被係合部16a〜17bと第一無端チエン27の各係合部55を介して、各搬送台車13を第一無端チエン27に係合させることが出来る。各第二無端チエン28,29にも、
図8〜
図12、及び
図18〜
図22に示すように、各昇降経路部3,9において並列する第一無端チエン27の各係合部55と同一高さで対称向きに、係合部57,58が設けられている。勿論、これら係合部57,58は、前記係合部55と同一構造のものであって、搬送台車13の各被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bが嵌合し得る凹部59,60を備えた部材から構成されている。
【0029】
以下、各ターン経路部の構成を具体的に説明する。
図4〜
図7と
図13〜
図16に示すように、第六ターン経路部11と第三ターン経路部6は、前後対称構造であって、第三ターン経路部6の参照符号を括弧書きで併記すると、補助回転体49(50)は、搬送台車13の各被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bが嵌合し得る凹部から成る係合部49a,49b(50a,50b)を直径方向両側に、外向きに備えたもので、この補助回転体49(50)の回転軌跡の外側半円領域にそって、外側半円形ガイドレール61(62)が設けられ、この外側半円形ガイドレール61(62)の上端から水平ガイドレール41(42)の端部領域に被さる長さの上側水平ガイドレール63(64)が連設され、外側半円形ガイドレール61(62)の下端は、水平ガイドレール43(44)とつながっている。ターン部歯輪30(33)の下側の左右巾方向の中央部には、搬送台車13の底部のカム従動ローラー25a(25b)に作用する、円弧形カム面を有する下側突起状カム65(66)が、下側の水平経路部12(7)とターン経路部11(6)との間を出入りする搬送台車13の天板14の移動軌跡の下側に位置するように、床面側から上向きに突設されている。
【0030】
更に、ターン部歯輪30(33)に対して補助回転体49(50)のある側には、中間ガイドレール67(68)が架設され、当該中間ガイドレール67(68)には、水平経路部1(5)の水平ガイドレール41(42)と同一レベルの補助水平ガイドレール部67a(68a)と、ターン部歯輪30(33)に沿った円弧形ガイドレール部67b(68b)が形成されている。これら外側半円形ガイドレール61(62)上側水平ガイドレール63(64)、及び中間ガイドレール67(68)は、搬送台車13の左右両側の被係合部16a〜17bの車輪18a〜19bが転動するもので、搬送台車13の走行経路の左右両側に位置するように、それぞれ左右一対設けられている。又、水平ガイドレール41(42)のターン部歯輪30(33)に隣接する位置には、搬送台車13の左右両側板15a,15bを支持する補助支持用ガイドローラー69(70)が軸支されている。
【0031】
ターン部歯輪30(33)は、第一無端チエン27との係合によって回転駆動されるので、左右の同一側にあるターン部歯輪30(33)と補助回転体49(50)は、それぞれ平歯車列71〜73(74〜76)によって、両者が同一方向に同一速度で回転するように連動連結すると共に、左右両側にあるターン部歯輪30(33)と補助回転体49(50)とが同期回転するように、1本の伝動軸77(78)と、前記平歯車列71〜73(74〜76)の1つに咬合する平歯車79(80)を設けている。前記伝動軸77(78)は、第一水平経路部1(第二水平経路部5)と第四水平経路部12(第三水平経路部7)との間を横断している。そして
図13、
図14に示すように、第三ターン経路部6の左右一対のターン部歯輪33の内、片側のターン部歯輪33の支軸は外側に延出されて、減速機付きモーター81の出力軸と直結され、この減速機付きモーター81の稼働により、左右一対の第一無端チエン27が全走行経路にわたって定速回動するように構成されている。
【0032】
補助回転体49,50は、ターン部歯輪30,33から外側に、搬送台車13に対する支持間隔だけ水平に離れて位置すると共に、先に説明した歯車機構を介して当該ターン部歯輪30,33と同一方向に連動回転するものであって、その両端の係合部49a,49b及び50a,50bの回転半径が、ターン部歯輪30,33の周囲を回動する第一無端チエン27の係合部55の回転半径と等しいものであり、その両端の係合部49a,49b及び50a,50bが回転軸心を通る垂直軸線上にあるとき、第一無端チエン27の、搬送台車13に対する支持間隔と等しい間隔を隔てて位置する2つの係合部55も、ターン部歯輪30,33の回転軸心を通る垂直軸線上にあるように構成されている。
【0033】
第四水平経路部12では、第一無端チエン27の係合部55は下向きに、搬送台車13の各被係合部16a〜17b(突出軸20a〜21b)に嵌合しており、第一無端チエン27が減速機付きモーター81によって駆動されることにより、水平ガイドレール44上に車輪18a〜19bを介して支持されている搬送台車13を、第六ターン経路部11に向けて水平に走行させることが出来る。この搬送台車13が第六ターン経路部11内に進入すると、
図6Aに示すように、係合部55がターン部歯輪30の周りを上方に回動するのに伴って、前進方向側の被係合部16b,17bが係合部55から離れて、そのまま後ろ側の係合部55によって後押し駆動され、前進走行する。そして、前進方向側の被係合部16b,17bが補助回転体49の軸心の真下位置に到着する過程で、当該被係合部16b,17bに補助回転体49の一端の係合部49aが前進方向側の被係合部16b,17bに上から嵌合する。この後のターン部歯輪30及び補助回転体49の回転により、搬送台車13の前進方向側の被係合部16b,17bが補助回転体49によって上方に掬い上げられると同時に、当該搬送台車13の後ろ側の被係合部16b,17bが、ターン部歯輪30の周りを回動する係合部55によって、同期して上方に掬い上げられる。
【0034】
上記の搬送台車13の掬い上げ動作時には、補助回転体49の垂直下向きの係合部49aと第一無端チエン27の垂直下向きの係合部55から、それぞれに嵌合している搬送台車13の被係合部16a〜17bが前方に押し出される傾向となるが、
図6Bに示すように、前側の被係合部16b,17bは、外側半円形ガイドレール61に沿って補助回転体49の係合部49aが回動することにより、当該外側半円形ガイドレール61で受け止められた状態で上方に掬い上げられる。一方、搬送台車13の後ろ側の被係合部16a,17aがターン部歯輪30の回転軸心の真下位置に到達したとき、当該搬送台車13の底部の後ろ側に位置する補助被支持部24aのカム従動ローラー25aが、下側突起状カム65の直前に到達しているので、係る状態から搬送台車13が前記のように掬い上げられるのに伴って、前記カム従動ローラー25aが下側突起状カム65の円弧形カム面に沿って上方に移動することになる。換言すれば、後ろ側の被係合部16a,17aが第一無端チエン27の係合部55から前方に押し出されるのを、前記下側突起状カム65が前記カム従動ローラー25aを介して抑止するので、搬送台車13は、同一レベルで回動する補助回転体49の係合部49aと第一無端チエン27の係合部55とによって、水平に支持された状態で上方に確実に掬い上げられることになる。
【0035】
搬送台車13の底部の後ろ側に位置する補助被支持部24aのカム従動ローラー25aが下側突起状カム65の到達する過程では、当該搬送台車13は下側突起状カム65の位置を前方に通過しなければならないが、このときカム従動ローラー25aの前方の天板14の下側空間は、前方に開放されているので、下側突起状カム65の高さが天板14の底面の高さよりも低ければ、互いに干渉し合うことなく、搬送台車13が下側突起状カム65の上を走行することが出来る。このとき、前側の補助被支持部24bのカム従動ローラー25bは、下側突起状カム65の横側方位置を通過移動することになる。
【0036】
搬送台車13の底部の後ろ側に位置する補助被支持部24aのカム従動ローラー25aが下側突起状カム65の上端を上方に超えたとき、
図6Cに示すように、搬送台車13の後ろ側の被係合部16a,17aの車輪18a,19aが中間ガイドレール67の円弧形ガイドレール部67bに沿って上動する状態になっているので、搬送台車13の前後両車輪18a〜19bが外側半円形ガイドレール61と中間ガイドレール67の円弧形ガイドレール部67bに沿う状態で、補助回転体49の係合部49aと第一無端チエン27の係合部55とによって、搬送台車13は水平姿勢を保って第一水平経路部1のレベルまで確実に掬い上げられる。尚、搬送台車13のカム従動ローラー25aが下側突起状カム65の上端を上方に超えたときには、当該搬送台車13の後ろ側の被係合部16a,17a(突出軸20a,21a)に嵌合している第一無端チエン27の係合部55は、前方水平向きに近い角度まで上方に回動して、被係合部16a,17aを介して搬送台車13の後ろ側を支持し得る状態になっており、しかも、外側半円形ガイドレール61によって搬送台車13が前方に押し出されることはないので、カム従動ローラー板67の円弧形ガイドレール部67bは必須のものではない。
【0037】
上記の搬送台車13の掬い上げ過程は、
図7Aに示すように、補助回転体49の係合部49aと第一無端チエン27の係合部55が、それぞれの回転軸心の真上位置に達することにより終了するが、このとき、搬送台車13の前進方向側の車輪18a,19aは、第一水平経路部1の水平ガイドレール41上に達しており、搬送台車13の後ろ側の車輪18a,19bは、中間ガイドレール67の補助水平ガイドレール部67a上に達している。従って、搬送台車13の前進方向側の車輪18a,19aは、ターン部歯輪30から離れて第一水平経路部1と平行に進行する第一無端チエン27の係合部55に突出軸20a,21aが嵌合した状態のまま、第一水平経路部1内に送り込まれ、これに伴って、当該搬送台車13の後ろ側の被係合部16b,17bの突出軸20b,21bが補助回転体49の係合部49aから離れると共に、車輪18b、19bが中間ガイドレール67の補助水平ガイドレール部67a上を転動しながら、搬送台車13は水平に走行して第一水平経路部1内に送り込まれる。
【0038】
尚、中間ガイドレール67の補助水平ガイドレール部67aと、第一水平経路部1の水平ガイドレール41との間には、ターン部歯輪30の周りを回動する第一無端チエン27の係合部55が通過するための空間が存在するので、搬送台車13の後ろ側の車輪18b、19bが中間ガイドレール67の補助水平ガイドレール部67a上から前方に離れたとき、当該後ろ側の車輪18b、19bが、補助水平ガイドレール部67aと第一水平経路部1の水平ガイドレール41との間に落ち込むことが考えられるが、この状況になったとき、
図7Bに示すように、搬送台車13の左右両側板15a,15bを、前進方向側の車輪18a,19aより後方で補助支持用ガイドローラー69が支持すると共に、前進方向側の車輪18a,19aの上を上側水平ガイドレール63が被さる状態になっている。従って、搬送台車13の重心位置が補助支持用ガイドローラー69で支持される位置より後方にある間は、搬送台車13が補助支持用ガイドローラー69を支点に後ろ側の車輪18b、19bが落ち込む方向に傾動するのを、前進方向側の車輪18a,19aを介して上側水平ガイドレール63が阻止し、搬送台車13の走行が進んで、搬送台車13の重心位置が補助支持用ガイドローラー69で支持される位置より前方に移動した状態では、搬送台車13が前進方向側の車輪18a,19aを支点に後ろ側の車輪18b、19bが落ち込む方向に傾動するのを、補助支持用ガイドローラー69によって阻止することが出来る。
【0039】
搬送台車13の後ろ側の車輪18b、19bがターン部歯輪30の真上位置に達したときには、
図6Aに示すように、このターン部歯輪30の周りを上方に回動する空の係合部55、即ち、上記のようにして第四水平経路部12から第一水平経路部1へ掬い上げられた搬送装置3の次の搬送台車13の、前進方向の被係合部16b、17bから離れてターン部歯輪30の周りを上方に回動する空の係合部55が、上記のように第一水平経路部1に送り入れられる搬送台車13の後ろ側の被係合部16b,17bの突出軸20ab,21bに嵌合する。従って、第一水平経路部1に送り入れられる搬送台車13は、その全ての被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bが第一無端チエン27の前後に隣り合う各係合部55に嵌合すると共に、全ての車輪18a〜19bが水平ガイドレール41上で支持された状態で、水平姿勢で次の第一ターン経路部2に向かって走行駆動されることになる。
【0040】
上記の第六ターン経路部11と対称構造の第三ターン経路部6では、
図15A〜
図16Bに示すように、第六ターン経路部11において第一無端チエン27を、第一水平経路部1から第四水平経路部12へ移動するように逆転回動させたときと同一の作用が行われる。即ち、第一無端チエン27によって第二水平経路部5から第三ターン経路部6を経由して第三水平経路部7へ走行する搬送台車13は、その前側の車輪18a,19aが水平ガイドレール42と中間ガイドレール68の補助水平ガイドレール部68aとの間に落ち込むことを、上側水平ガイドレール64と補助支持用ガイドローラー70とによって阻止することが出来る。そして、搬送台車13が下方へターンし終わる直前の、後ろ側の被支持具16b,17bの突出軸20b,21bが、前方斜め下向きに傾斜する第一無端チエン27の係合部55によって支持されなくなるとき、当該搬送台車13の底部の後ろ側の補助被支持部24bのカム従動ローラー25bを下側突起状カム66によって支持案内することにより、搬送台車13の後ろ側の車輪18b,19bが水平ガイドレール43上に達するまで、搬送台車13を、水平正立姿勢を保って確実かつ円滑にターンさせることが出来る。尚、この第三ターン経路部6は、第六ターン経路部11と対称構造であるから、第一無端チエン27を逆回転させれば、第三水平経路部7から第三ターン経路部6を経由して第二水平経路部5へ、水平正立姿勢を保って搬送台車13を走行させることが出来る。
【0041】
次に、
図8及び
図9に基づいて、第二ターン経路部4の構成と作用について説明すると、この第二ターン経路部4の上にある第一昇降経路部3の第二無端チエン28の下端の下端案内歯輪36は、第一水平経路部1に沿って移動する第一無端チエン27の真上に位置することになるので、下端案内歯輪36の周りを回動する第二無端チエン28の係合部57と、第一水平経路部1に沿って移動する第一無端チエン27の係合部55とが互いに干渉し合うのを避けるため、下端案内歯輪36は、第一水平経路部1に沿って移動する第一無端チエン27から上方に離して軸支しなければならない。一方、第一無端チエン27は、ターン部歯輪31を経由して第一昇降経路部3へ引き上げられるが、このターン部歯輪31は、第二無端チエン28の下端案内歯輪36と同一レベルに軸支しなければならないので、下端案内歯輪36の下側を通過する第一無端チエン27はターン部歯輪31に向かって上向きに傾斜することになる。この第一無端チエン27の上り勾配に沿って、搬送台車13の前進方向の被係合部16a,17aを移動させるために、当該被係合部16a,17aの車輪18a,19aを支持案内する左右一対の下側傾斜ガイドレール82が敷設されている。
【0042】
下側傾斜ガイドレール82の上端部は、ターン部歯輪31と同心状の円弧形に形成された円弧形レール部82aを備え、この円弧形レール部82aに、第一昇降経路部3の第一無端チエン27の移動経路を挟む前記垂直ガイドレール45a,45bの内の外側の垂直ガイドレール45aの下端が接続されている。一方、第二無端チエン28の移動経路を挟む前記垂直ガイドレール46a,46bの内、第一無端チエン27側の垂直ガイドレール46aの下端部と、前記垂直ガイドレール45a,45bの内の内側の垂直ガイドレール46bの下端部とは、連結板材83によって一体化され、この連結板部83に、ターン部歯輪31の周りを回動する被係合部16a,17aの車輪18a,19aを、前記下側傾斜ガイドレール82の円弧形レール部82aとの間で挟んで案内する円弧形レール部83aと、第二無端チエン28の下端案内歯輪36の周りを上昇する、搬送台車13の後ろ側被係合部16b,17bの車輪18b,19bを案内する円弧形レール部83bが形成されている。
【0043】
第二無端チエン28の下端案内歯輪36の内側には、この下端案内歯輪36の周りを回動する第二無端チエン28の係合部57の回転半径とほぼ同一半径の、円形板状の補助回転体51が一体に回転するように連設され、この補助回転体51の周辺の直径方向の両側に、第二無端チエン28の係合部57と重なるように、搬送台車13の後ろ側の車輪18b,19bに嵌合する凹部から成る係合部51a,51bが設けられている。第一無端チエン27のターン部歯輪31と補助回転体51とは、搬送台車13に対する支持間隔と同一間隔を隔てて水平に並列しており、第一無端チエン27との係合により回転駆動されるターン部歯輪31と前記第二無端チエン28の下端案内歯輪36及び補助回転体51とを、平歯車列84,85,86によって、同一方向に同一速度で回転するように連動連結している。更に、第二無端チエン28の左右一対の下端案内歯輪36(補助回転体51)の中間下側位置には、搬送台車13の後ろ側の補助被支持部24bのカム従動ローラー25bに作用する下側突起状カム87が突設されている。この下側突起状カム87は、第六ターン経路部11(第三ターン経路部6)に配設された下側突起状カム65,66と同一高さのものであって、下側傾斜ガイドレール82の上端の円弧形レール部82aを、下側突起状カム87の上端と同一高さでカットしたものと同一形状のものである。
【0044】
上記構成の第二ターン経路部4では、第一無端チエン27によって、第一水平経路部1上を水平に走行する搬送台車13が第二ターン経路部4に到達すると、第一無端チエン27の係合部55に係合する前側の被係合部16a,17aの車輪18a,19aは、下側傾斜ガイドレール82に案内されて斜め前方に移動することになるが、この車輪18a,19aが下側傾斜ガイドレール82上に進入するとき、当該搬送台車13の底部の後ろ側の補助被支持部24bのカム従動ローラー25bが下側突起状カム87上に進入するように、当該下側突起状カム87が配置されている。従って、搬送台車13は、下側傾斜ガイドレール82と下側突起状カム87とに案内されて、水平姿勢を保って前方斜め上方に走行することになる。
【0045】
搬送台車13の前後の被係合部16a〜17bが、第一無端チエン27のターン部歯輪31と第二無端チエン28の下端案内歯輪36(補助回転体51)のそれぞれ直下位置に達したとき、第一無端チエン27と連動している左右一対の補助回転体51の1つの係合部51aが、当該搬送台車13の後ろ側の被係合部16b,17bの車輪18b,19bに上から嵌合し、
図9Aに示すように、前側の被係合部16a,17aの車輪18a,19aが下側傾斜ガイドレール82の円弧形レール部82aに沿って掬い上げられるのと同期して、後ろ側の被係合部16b,17bの車輪18b,19bが補助回転体51の係合部51aによって掬い上げられる。このとき、補助回転体51の係合部51aによって掬い上げられる車輪18b,19bは、連結板材83の円弧形レール部83bの内側に入り込み、補助回転体51の係合部51aから車輪18b,19bが外れるのを防止することになる。
【0046】
上記のようにして、
図9Bに示すように、搬送台車13の前後の被係合部16a〜17bが、第一無端チエン27のターン部歯輪31と第二無端チエン28の下端案内歯輪36(補助回転体51)のそれぞれ真横高さまで掬い上げられた後は、搬送台車13の前側の被係合部16a,17aの突出軸20a,21aが第一無端チエン27の係合部55によって引き上げられると共に、前側の車輪18a,19aが、前後一対の垂直ガイドレール45a,45b間を上昇し、当該搬送台車13の後ろ側の被係合部16b,17bの突出軸20b,21bが第二無端チエン28の係合部57によって引き上げられると共に、後ろ側の車輪18b、19bが、前後一対の垂直ガイドレール46a,46b間を上昇することになり、当該搬送台車13は、第一昇降経路部3を水平正立姿勢を保って上昇することになる。
【0047】
第一昇降経路部3を上昇移動する搬送台車13は、第一昇降経路部3から第二ターン経路部4を経由して高位の第二水平経路部5へと走行することになるが、次に第二ターン経路部4の構成と作用を説明する。
図10〜
図12に示すように、第一無端チエン27のターン部歯輪32に対し、搬送台車13に対する支持間隔と同一間隔だけ後ろ側に離れて軸支されている第二無端チエン28の左右一対の上端案内歯輪37の内側には、第一ターン経路部2の下端案内歯輪36と一体に設けられた補助回転体51と同一構造の補助回転体52が、その係合部52a,52bが第二無端チエン28の係合部57と重なる状態で、一体回転するように連設されている。
【0048】
又、第六ターン経路部11に設けられた上側水平ガイドレール63に相当する上側水平ガイドレール88、第六ターン経路部11に設けられた補助支持用ガイドローラー69に相当する補助支持用ガイドローラー89、第六ターン経路部11に設けられた中間ガイドレール67の補助水平ガイドレール部67aに相当する補助水平ガイドレール部90a、及び第六ターン経路部11に設けられた中間ガイドレール67の円弧形ガイドレール部67bの上半部に相当する円弧形ガイドレール部90bがそれぞれ設けられると共に、第二無端チエン28の外側の垂直ガイドレール46bの上端と前記上側水平ガイドレール88とをつなぐ、第二無端チエン28の上端案内歯輪37と同心状の外側円弧形ガイドレール91が設けられている。前記補助水平ガイドレール部90aと円弧形ガイドレール部90bは、第一無端チエン27の外側の垂直ガイドレール45bの上端に形成している。又、第一無端チエン27の内側の垂直ガイドレール45aの上端は、ターン部歯輪32と同心状の内側円弧形ガイドレール97を介して、第二水平経路部5の水平ガイドレール42に接続されている。
【0049】
この第二ターン経路部4の第二無端チエン28を案内する左右一対の上端案内歯輪37と、第一無端チエン27と係合する左右一対のターン部歯輪32とは、第六ターン経路部11の構成と同様に、
図10に示すように、左右各別に平歯車列92〜94によって連動連結されると共に、両端に平歯車95を備えた1本の伝動軸96によって互いに連動連結されている。この伝動軸96は、第二水平経路部5の下側を横断している。尚、上端案内歯輪37を経由した第二無端チエン28は、案内歯輪40bとテークアップ用歯輪40aとを経由して、第一昇降経路部3の下端の下端案内歯輪36の方に戻ることになるが、当該第二無端チエン28の係合部57が搬送台車13側の後ろ側の被係合部16b、17bの突出軸20b、21bから上方に離脱する位置は、前記被係合部16b、17bの突出軸20b、21bが補助水平ガイドレール部90aの上に到達した位置である。
【0050】
上記構成の第二ターン経路部4の構成によれば、第一昇降経路部3を上昇移動する搬送台車13が第二ターン経路部4の補助回転体52と第一無端チエン27のターン部歯輪32の軸心高さに到達したとき、
図11に示すように、当該搬送台車13の後ろ側の被係合部16b,17bの車輪18b,19bが、補助回転体52の係合部52aに嵌合している。この後の補助回転体52の回転とターン部歯輪32の回転とにより、
図12A及び
図12Bに示すように、第一無端チエン27の係合部55に嵌合している前側の被係合部16a,17aの車輪18a,19aは、内側円弧形ガイドレール97上を経由して第二水平経路部5上に送り込まれると共に、後ろ側の被係合部16b,17bの車輪18b、19bは、補助回転体52の係合部52aから離れて補助水平ガイドレール部90a上に乗り移る。このとき、後ろ側の被係合部16b,17bの突出軸20b、21bに嵌合していた第二無端チエン28の係合部57は、補助水平ガイドレール部90aの上側位置で突出軸20b、21bから斜め上方に離脱することになる。この後は、第一無端チエン27の係合部55によって、前側の被係合部16a,17aの突出軸20a,21aを介して搬送台車13が第二水平経路部5内に送り込まれる。この過程で、後ろ側の被係合部16b,17bの突出軸20b,21bに、ターン部歯輪32の周りを回動する第一無端チエン27の係合部55が、搬送台車13の後ろ側の被係合部16b、17bの突出軸20b,21bに嵌合する。このようにして、搬送台車13は水平正立姿勢を保って第一昇降経路部3から第二ターン経路部4を経由して第二水平経路部5内に送り込まれる。
【0051】
第二水平経路部5内では、搬送台車13の前後の被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bに嵌合する第一無端チエン27の係合部55によって、水平ガイドレール42上で水平に走行駆動される。そして第三ターン経路部6に到達した搬送台車13は、当該第三ターン経路部6において先に説明した通りの作用により、第三水平経路部7内に水平正立姿勢を保ってUターンし、この第三水平経路部7を、第一無端チエン27によって第四ターン経路部8側へ走行駆動される。そして、第四ターン経路部8を経由して第二昇降経路部9内に送り込まれるが、次にこの第四ターン経路部8の構成と作用を説明する。
【0052】
図17〜
図19に示すように、この第四ターン経路部8では、第二昇降経路部9の第二無端チエン29の上端の上端案内歯輪38は、第三水平経路部7を走行する搬送台車13の前側の被係合部16b、17bと干渉しない高さに下げられている。そして第一無端チエン27のターン部歯輪34は、前記上端案内歯輪38と同一レベルに軸支されているので、このターン部歯輪34の上手には、第一無端チエン27の下り勾配部が形成されている。第三水平経路部7の水平ガイドレール43の端部には、先に説明した第六ターン経路部11、第二ターン経路部4、及び第三ターン経路部6に併設した補助支持用ガイドローラー69,70,89に相当する補助支持用ガイドローラー98が軸支されている。又、第三水平経路部7には、その少なくとも第四ターン経路部8側の端部領域において、第三水平経路部7から第四ターン経路部8に進入する搬送台車13の車輪18a〜19bの上に被さる上側水平ガイドレール101が架設されている。
【0053】
第二無端チエン29の上端の左右一対の上端案内歯輪38には、その内側に、第二ターン経路部4の補助回転体52と同一の、直径方向両側に車輪18a〜19bが嵌合する凹部から成る係合部53a,53bを備えた、補助回転体53が同心一体に連設されている。第二昇降経路部9の第一無端チエン27側に設けられた前後一対の垂直ガイドレール47a,47bの内の垂直ガイドレール47bの上端と、第二無端チエン29側に設けられた前後一対の垂直ガイドレール48a,48bの内の垂直ガイドレール48aの上端とは、内側補助ガイドレール99によって一体に連結され、この内側補助ガイドレール99には、垂直ガイドレール47bの上端に接続され且つ上端案内歯輪38と同心の円弧形ガイドレール部99aと、搬送台車13の前側の車輪18b,19bを、第一無端チエン27側の垂直ガイドレール48a,48b間に導く下側ガイドレール部99bが形成され、垂直ガイドレール48bの上端には、前記下側ガイドレール部99bとの間で搬送台車13の前側車輪18b、19bを、垂直ガイドレール48a,48b間に導く外側補助ガイドレール100が連設されている。下側ガイドレール部99bと外側補助ガイドレール100との間で形成される車輪通路は、第三水平経路部7を前進走行してきた搬送台車13の前側車輪18b,19bを、下り勾配の傾斜通路と、第一無端チエン27のターン部歯輪34と同心状の円弧形通路を介して、第一無端チエン27側の垂直ガイドレール48a,48b間に導くものである。
【0054】
又、左右両側それぞれにあるターン部歯輪34と上端案内歯輪38とを、同一方向に同一速度で連動するように、それぞれ平歯車列102〜104によって連動連結すると共に、左右両側のターン部歯輪34と上端案内歯輪38とを互いに連動させるために、各平歯車列102〜104の平歯車102と咬合する平歯車105を両端に備えた1本の伝動軸106を設けている。この伝動軸106は、第二昇降経路部9と第三水平経路部7との間の入隅部を横断するように支承されている。
【0055】
第三水平経路部7の水平ガイドレール43に車輪18a〜19bを介して支持された各搬送台車13は、その各被係合部16a〜17bの突出軸20a〜21bに上から下向きに嵌合している係合部55を介して、第一無端チエン27により第四ターン経路部8に向かって走行駆動されている。この搬送台車13の前側の車輪18b,19bが水平ガイドレール43上から離れるとき、当該搬送台車13の左右両側板15a,15bの下側辺が、
図18Aに示すように、左右一対の補助支持用ガイドローラー98によって支持されると共に、後ろ側の車輪18a,19aの上に上側水平ガイドレール101が被さっているため、搬送台車13の前側の車輪18b,19bは、
図18Bに示すように、第三水平経路部7の水平ガイドレール43と内側補助ガイドレール99の下側ガイドレール部99bとの間に落ち込むことなく、内側補助ガイドレール99の下側ガイドレール部99b上に乗り移ることが出来る。そして、当該搬送台車13の後ろ側車輪18a,19aが水平ガイドレール43から離れたとき、第一無端チエン27と連動している補助回転体53の1つの係合部53aが、
図19Aに示すように、当該後ろ側車輪18a,19aの真下に位置するように補助回転体53が回転しているので、当該後ろ側車輪18a,19aは、水平ガイドレール43から離れると同時に少し落ち込むようにして、補助回転体53の係合部53aに嵌合することになる。
【0056】
上記の後ろ側車輪18a,19aが補助回転体53の係合部53aに落ち込むように嵌合するとき、前側の車輪18b,19bは、外側補助ガイドレール100と内側補助ガイドレール99の下側ガイドレール部99bとの間の下り勾配部を移動することにより、搬送台車13はほぼ水平の姿勢を維持することが出来る。この後、搬送台車13の前側車輪18b,19bに上から嵌合している、第一無端チエン27の係合部55と、当該搬送台車13の後ろ側車輪18a,19aに下から嵌合している第二無端チエン29の係合部58とが、ターン部歯輪34と補助回転体53の同期回転により、同一レベルを保って円弧形に降下した後、第二昇降経路部9を垂直に降下移動することにより、搬送台車13は、水平正立姿勢を保って第四ターン経路部8を円弧形に降下した後、第二昇降経路部9を垂直に降下移動することになる。
【0057】
第二昇降経路部9を降下する搬送台車13は、第一昇降経路部3を上昇移動するときと同様に、前後両側から車輪18a〜19bを挟むように、各車輪18a〜19bに水平向きに嵌合する第一無端チエン27の係合部55と第二無端チエン29の係合部58によって支持された水平姿勢で、第五ターン経路部10に向かって降下移動する。この後、当該第五ターン経路部10を経由して、元の第四水平経路部12内に送り込まれることになるが、次にこの五ターン経路部10の構成と作用を、
図20〜
図22に基づいて説明する。
【0058】
五ターン経路部10には、第一無端チエン27を第四水平経路部12の方へ転向させるターン部歯輪35に対して、搬送台車13に対する支持間隔だけ外側(第四水平経路部12のある側とは反対側)へ水平に離れた位置に、第四ターン経路部8に設けられた補助回転体53と同一の、直径方向両側に搬送台車13の後ろ側の車輪18a,19aに嵌合する凹部から成る係合部54a,54bを備えた補助回転体54が軸支されている。この補助回転体54とターン部歯輪35とは、各ターン経路部のターン部歯輪30と補助回転体49、ターン部歯輪32と補助回転体52、ターン部歯輪33と補助回転体50、及びターン部歯輪34と補助回転体53、と全く同一の作用により、第二昇降経路部9を降下してきた搬送台車13を、水平正立姿勢を保って円弧形にターンさせて、第四水平経路部12内に送り込むものであって、第一無端チエン27によって回転駆動されている左右一対のターン部歯輪35と左右一対の補助回転体54を、左右各別に連動連結するための平歯車列107〜109を設けている。又、第二昇降経路部9の第二無端チエン29は、その係合部58が垂直に降下して、当該係合部58が嵌合している搬送台車13の後ろ側車輪18a,19aを、同期回転している補助回転体54の係合部54a,54bに引き継がせることが出来るように、下端案内歯輪39によって掛張されている。
【0059】
又、左右一対のターン部歯輪35間の中央部下側には、第三ターン経路部6に設けられた下側突起状カム66と同一の作用をする下側突起状カム110が突設されている。第二昇降経路部9の第一無端チエン27側の前後一対の垂直ガイドレール48a,48bの内、外側の垂直ガイドレール48bの下端には、搬送台車13の前側車輪18b,19bを、ターン部歯輪35の周りを経由して第四水平経路部12の水平ガイドレール44上に導くための内側角部用ガイドレール111が連設されている。第四水平経路部12の水平ガイドレール44は、補助回転体54の下側領域まで延設されており、前記垂直ガイドレール48bと対をなす内側の垂直ガイドレール48aの下端は、前記水平ガイドレール44上での搬送台車13の後ろ側車輪18a,19aの水平移動に影響しない高さまで下げられており、そのターン部歯輪35側には、このターン部歯輪35の周りを経由して水平ガイドレール44上に送り出される前側車輪18b,19bを、内側角部用ガイドレール111との間で、第四水平経路部12の方へ案内するための円弧形レール部112が形成されている。更に、第二昇降経路部9の第二無端チエン29側の前後一対の垂直ガイドレール47a,47bの内、外側の垂直ガイドレール47aの下端には、補助回転体54の係合部54a,54bに嵌合して水平ガイドレール44上に送り出される後ろ側車輪18a,19aを案内する、補助回転体54と同心状の外側円弧形ガイドレール113が連設されている。
【0060】
上記の第五ターン経路部10の構成によれば、
図21に示すように、第二昇降経路部9を降下してくる搬送台車13の後ろ側車輪18a,19aは、
図22Aに示すように、第二無端チエン29の係合部58が下端案内歯輪39の周りを回動する直前に、この第二無端チエン29と第一無端チエン27とに連動して同期回転している補助回転体54の1つの係合部54aが嵌合するので、外側円弧形ガイドレール113により係合部54aから脱落するのを阻止されながら、第四水平経路部12の水平ガイドレール44上に乗り移る。一方、第一無端チエン27の係合部55に嵌合して、垂直ガイドレール48a,48b間を降下する前側車輪18b,19bは、当該搬送台車13の垂直ガイドレール48bの下端の内側角部用ガイドレール111と、垂直ガイドレール48aの下端の円弧形レール部112との間で案内されて、ターン部歯輪35の周りを降下するが、当該車輪18b,19bが、垂直ガイドレール48aの下端の円弧形レール部112から外れると、当該車輪18b,19bを直接案内する手段がない。このとき、
図22Bに示すように、当該搬送台車13の底部の前側のカム従動ローラー25bが下側突起状カム110上に受け止められる。
【0061】
この下側突起状カム110の円弧面は、ターン部歯輪35の周りでの係合部55の回動軌跡と同一半径の円弧面に形成されているので、カム従動ローラー25bが下側突起状カム110で受け止められて降下することにより、車輪18b,19bは第一無端チエン27の係合部55に嵌合した状態を保って、円滑に降下することになる。この下側突起状カム110は、他の第六ターン経路部11及び第三ターン経路部6の下側突起状カム65,66や、第二ターン経路部4の下側突起状カム87と同様に、搬送台車13の天板14の下に入り込むことになるが、搬送台車13の天板14の下側が、
図2に基づいて説明したように構成されているので、第四水平経路部12の水平ガイドレール44上で水平走行を開始する搬送台車13は、下側突起状カム110の上を問題なく走行通過することが出来る。
【0062】
以上のように搬送台車13は、4つの水平経路部1,5,7,12と2つの昇降経路部3,9から成る閉じた循環走行経路を、水平正立姿勢を保って定速走行することになるが、下側突起状カム65,66,87,110を備えたターン経路部2,6,10,11では、支持が不安定になるターン開始時又はターン終了時に、搬送台車13の前後左右4つの被係合部16a〜17bの内、前後何れかの左右一対の被係合部と、この被係合部とは前後反対側に位置する、前後2つの補助被支持部24a,24b(カム従動ローラー25a,25b)の内の一方の補助被支持部、の搬送台車13の3か所を安定的に支持した状態で円滑にターンを開始又は終了させることが出来る。
【0063】
又、先に説明したように、第一無端チエン27の係合部55と、第二無端チエン28,29の係合部57,58は、搬送台車13に対する支持間隔L(車輪18a〜19bの前後間隔)と等しいピッチで取り付けられ、搬送台車13の全長L2は、搬送台車13に対する支持間隔Lの2倍より少し短くなるように構成されているので、水平経路部1,5,7,12では、天板14の前後両端が互いに隣接する連続状態で各搬送台車13を走行させることが出来る。そして昇降経路部3,9では、搬送台車13の車輪18a,19aが前後に分けられて、各々が第一無端チエン27の係合部55と、第二無端チエン28,29の係合部57,58に支持された状態で、水平正立姿勢を保って平行に昇降移動することになる。このように搬送台車13が昇降経路部3,9を昇降移動するときは、搬送台車13間の上下間隔は、搬送台車13に対する支持間隔Lの2倍の間隔となる。
【0064】
上記の搬送装置は、例えば
図1に示すように、低位の第一水平経路部1の始端部に位置する搬送台車13の上に荷Wを積み込み、高位の第二水平経路部5の終端部に位置する搬送台車13から荷Wを降ろすように、荷Wの搬送に使用することが出来る。勿論、上記構成の搬送装置は、第一無端チエン27及び第二無端チエン28,29を逆方向に回動させて、高位の第二水平経路部5上から低位の第一水平経路部1上へ荷Wを搬送するように使用することも可能である。何れの場合も、搬送台車13に対する荷Wの積み降ろしは、第六ターン経路部11のターン部歯輪30と補助回転体49(第三ターン経路部6のターン部歯輪33と補助回転体50)とにより、第一水平経路部1(第二水平経路部5)と同一レベルで支持されている搬送台車13か又は、第六ターン経路部11より下手の第一水平経路部1(第三ターン経路部6より上手の第二水平経路部5)で支持されている搬送台車13に対して行うことが出来る。
【0065】
尚、上記実施例に示した搬送台車13の循環走行経路は、一例であって、これに限定されない。即ち、第一ターン経路部2〜第六ターン経路部11の内の一部又は全部と任意の長さの水平経路部とを組み合わせることにより、種々多様なレイアウトの搬送装置を構成出来る。例えば、上記実施例における第四ターン経路部8を前後逆向きにして、第二昇降経路部9の上端を高位の第二水平経路部5に直接接続したレイアウトや、第二ターン経路部4を前後逆向きにして、第一昇降経路部3の下端を第四水平経路部12に直接接続したレイアウト、この両レイアウトを組み合わせて、第三ターン経路部6と第三水平経路部7、及び第六ターン経路部11と第一水平経路部1を無くした、矩形状に搬送台車13が循環するレイアウトなども容易に実現出来るし、更には、凹形又は凸形に搬送台車13が循環走行するレイアウトなども、必要に応じて実現出来る。