(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0011】
本実施形態を具体的に説明する前に、概要を述べる。本実施形態は、太陽電池モジュールを構成する複数の太陽電池素子を接続するタブ配線を、太陽電池素子の表面に接着するための技術に関する。近年、低コスト化を目的として、太陽電池素子の表面に樹脂接着剤を塗布し、その上にタブ配線を配置することでタブ配線が接着されることがある。このとき、樹脂接着剤を表面に設けると表面の一部が覆われて受光面積が低減してしまうことから、樹脂接着剤は細長く設けることが望ましい。一方で、樹脂接着剤の塗布領域を細くすると配置されるタブ配線の位置が短手方向にずれてしまった場合に確実にタブ配線を接着できなくなる。そこで、本実施形態においては、タブ配線を接着させる樹脂接着剤を非直線状に設けることで、タブ配線の配置がずれてしまう場合においてもタブ配線を確実に接着し、太陽電池モジュールの信頼性を高める。
【0012】
図1は、実施形態に係る太陽電池モジュール100を示す断面図である。
【0013】
本実施形態に係る太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池素子70と、隣接する太陽電池素子70を互いに接続するタブ配線40と、樹脂部52、54と、保護基板62と、バックシート64と、封止層66を備える。以下、これらの構成を順に詳述する。
【0014】
太陽電池素子70は、発電層10と、第1電極20と、第2電極30を備える。
【0015】
発電層10は、入射する光を吸収して光起電力を発生させる層であり、例えば、結晶系シリコン、ガリウム砒素(GaAs)又はインジウム燐(InP)等の半導体材料からなる基板を有する。発電層10の構造は、特に限定されないが、本実施形態では、n型単結晶シリコン基板と非晶質シリコンのヘテロ接合を有する。発電層10は、例えば、n型単結晶シリコン基板の受光面側に、i型非晶質シリコン層、ボロン(B)等がドープされたp型非晶質シリコン層、酸化インジウム等の透光性導電酸化物からなる透明導電層の順番で積層されている。また、基板の裏面側に、i型非晶質シリコン層、リン(P)等がドープされたn型非晶質シリコン層、透明導電層の順番で積層されている。
【0016】
発電層10は、太陽電池素子70の表面の一つである受光面12と、太陽電池素子70の表面の一つであり、受光面12に背向する裏面14とを有する。ここで、受光面は、太陽電池素子70において主に太陽光が入射される主面を意味し、発電層10に入射される光の大部分が入射される面である。
【0017】
第1電極20及び第2電極30は、太陽電池素子70の表面に設けられる電極であり、発電層10が発電した電力を外部に取り出す電極である。第1電極20は、受光面12に設けられ、第2電極30は、裏面14に設けられる。第1電極20及び第2電極30は、例えば、銀(Ag)や、銅(Cu)等の金属を含む導電性の材料である。なお、銅(Cu)や錫(Sn)等の電解メッキ層をさらに含んでもよい。ただし、これに限定されるものでなく、金(Au)等の他の金属、他の導電性材料、又はそれらの組み合わせとしてもよい。
【0018】
タブ配線40は、樹脂部52により第1電極20と電気的に導通するように表面上に接着される。また、タブ配線40は、樹脂部54により第2電極30と電気的に導通するように表面上に接着される。タブ配線40は、細長い金属箔であり、例えば、銅箔に銀をコーティングしたものや、アルミニウム箔が用いられる。タブ配線40は、複数の太陽電池素子70が配列される第1の方向(x方向)に延び、x方向に隣接する一方の太陽電池素子70の第1電極20と、他方の太陽電池素子70の第2電極30に接続される。
【0019】
タブ配線40は、延在部42と、屈曲部43と、先端部44を備える。
【0020】
延在部42は、受光面12又は裏面14に沿ってx方向に延びる。延在部42は、樹脂部52を介して受光面12に接着され、樹脂部54を介して裏面14に接着される。より詳細には、延在部42は、第1電極20又は第2電極30の上に配置され、電極と電気的に導通するように電極の少なくとも一部と直接接触した状態で接着される。
【0021】
先端部44は、受光面12または裏面14の上に設けられ、太陽電池素子70の外周に近い領域に配置される。
【0022】
屈曲部43は、太陽電池素子70の厚さに相当する段差を有する。屈曲部43が設けられることで、タブ配線40は、複数の太陽電池素子70の受光面12および裏面14がそれぞれ同一平面内に配置された状態で、一方の太陽電池素子70の受光面12と他方の太陽電池素子70の裏面14とを接続することができる。
【0023】
保護基板62及びバックシート64は、太陽電池素子70を外部環境から保護する。受光面12側に設けられる保護基板62は、太陽電池素子70が発電のために吸収する波長帯域の光を透過する。保護基板62は、例えば、ガラス基板である。裏面14側に設けられるバックシート64は、EVA、ポリイミド等の樹脂基板や、保護基板62と同じガラス基板である。
【0024】
封止層66は、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)や、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリイミド等の樹脂材料である。これにより、太陽電池素子70への水分の浸入等を防ぐとともに、太陽電池モジュール100全体の強度を向上させる。なお、保護基板62側から入射した光が太陽電池素子70により多く吸収されるよう、バックシート64と封止層66の間に金属箔などを設けることで、太陽電池素子70を透過してバックシート64に達した光を太陽電池素子70へ反射させてもよい。
【0025】
つづいて、
図2、3を参照して、第1電極20および第2電極30の構成について詳述する。
【0026】
図2は、太陽電池素子70の受光面12を示す外観図である。本図では、タブ配線40が配置される領域を破線で示している。
【0027】
第1電極20は、互いに平行にx方向に延びる3本のバスバー電極24と、バスバー電極24と直交する第2の方向(y方向)に延びる複数のフィンガー電極22を備える。フィンガー電極22は、受光面12上に形成される電極であるため、発電層10に入射する光を遮らないように細く形成することが望ましい。また、発電した電力を効率的に集電できるよう所定の間隔で配置することが望ましい。
【0028】
バスバー電極24は、複数のフィンガー電極22を互いに接続し、x方向に直線状に延びる。バスバー電極24は、発電層10に入射する光を遮らない程度に細く形成するとともに、複数のフィンガー電極22から集電した電力を効率的に流せるよう、ある程度太くすることが望ましい。なお、本実施形態において、バスバー電極24のy方向の幅w
1は、タブ配線40の幅w
2よりも狭くなるように形成される。
【0029】
図3は、太陽電池素子70の裏面14を示す外観図である。本図においても、タブ配線40が配置される領域を破線で示しているが、説明の便宜上、タブ配線40が配置される領域について記載を省略している。
【0030】
第2電極30も、第1電極20と同様に、互いに平行にx方向に延びる3本のバスバー電極34と、バスバー電極34と直交してy方向に延びる複数のフィンガー電極32を備える。一方、第2電極30は、非直線状に形成されるバスバー電極34を備える点で第1電極20と異なる。具体的には、バスバー電極34は、ジグザグ状に形成される。また、裏面14は、太陽光が主に入射される主面ではないため、裏面14のフィンガー電極32の本数は、受光面12のフィンガー電極22よりも多く設けられており、フィンガー電極22より集電効率が高い。
【0031】
裏面14のバスバー電極34は、短手方向であるy方向の中心位置を結んでx方向に延びる中心線Cを繰り返し跨ぐようにジグザグ状に形成される。いいかえれば、バスバー電極34は、バスバー電極34の短手方向に往復しながらバスバー電極34の長手方向であるx方向に延びる。なお、本実施形態において、バスバー電極34が設けられるy方向の幅w
3は、タブ配線40の幅w
2よりも広くなるように形成される。
【0032】
バスバー電極34は、複数の第1頂点36aと、複数の第2頂点36bと、複数の第1接続電極38aと、複数の第2接続電極38bを備える。
【0033】
第1頂点36aおよび第2頂点36b(以下、総称して頂点36ともいう)は、ジグザグ形状を有したバスバー電極34の延びる方向が変化する屈曲部であり、バスバー電極34の中心線Cから離間した位置にそれぞれ設けられる。第1頂点36aは、中心線Cを基準として+y方向(紙面上における上方向)に離間して設けられ、第2頂点36bは、中心線Cを基準として−y方向(紙面上における下方向)に離間して設けられる。隣接する第1頂点36aと第2頂点36bの間は、第1接続電極38aまたは第2接続電極38bにより接続される。本実施形態において、頂点36は、フィンガー電極32の位置に設けられるが、変形例においては、フィンガー電極32の位置とは異なる位置に設けることとしてもよい。
【0034】
第1接続電極38aおよび第2接続電極38bは、中心線Cに斜めに交差する方向に延びて隣接する第1頂点36aと第2頂点36bとを接続する。第1接続電極38aは、第2頂点36bから第1頂点36aに向けて+x方向と+y方向の間の方向(紙面上における右斜め上方向A)に延びる。一方、第2接続電極38bは、第1頂点36aから第2頂点36bに向けて+x方向と−y方向の間の方向(紙面上における右斜め下方向B)に延びる。右斜め上方向Aに延びる第1接続電極38aと、右斜め下方向Bに延びる第2接続電極38bとが互い違いに設けられることにより、バスバー電極34は、ジグザグ状に形成される。
【0035】
つづいて、
図4から
図7を参照して、受光面12に設けられる樹脂部52の構成について詳述する。
【0036】
図4は、受光面12に設けられる樹脂部52を示す外観図である。本図においても、受光面12の上に設けられるタブ配線40の記載を省き、タブ配線40が設けられる位置を破線で示している。
【0037】
樹脂部52は、受光面12に設けられ、受光面12とその上に延在するタブ配線40とを接着する。樹脂部52は、樹脂接着剤を硬化させた接着層であり、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性の樹脂材料を用いる。本実施形態においては、樹脂部52として絶縁性の樹脂材料を用いるが、樹脂材料に導電性の粒子などを分散させることにより導電性を有することとしてもよい。
【0038】
樹脂部52は、x方向に延びるバスバー電極24に沿って非直線状に設けられる。具体的には、樹脂部52は、短手方向であるy方向の中心位置となるバスバー電極24を繰り返し跨ぐよう短手方向に往復しながらジグザグ状に形成される。樹脂部52の短手方向の幅w
4は、タブ配線40の幅w
2よりも広くなるように設けられる。
【0039】
樹脂部52は、第1フィレット52aと、第2フィレット52bを備える。
【0040】
第1フィレット52aは、タブ配線40の短手方向の一方側(+y方向側)に突出して設けられる。第1フィレット52aは、タブ配線40の長手方向に点在して設けられており、タブ配線40の+y方向側には、第1フィレット52aが形成される第1領域D1と、第1フィレット52aが形成されない第2領域D2とが交互に設けられる。
【0041】
第2フィレット52bは、タブ配線40の短手方向の他方側(−y方向側)に突出して設けられる。第2フィレット52bは、タブ配線40の長手方向に点在して設けられており、タブ配線40の−y方向側には、第2フィレット52bが形成される第3領域D3と、第2フィレット52bが形成されない第4領域D4とが交互に設けられる。
【0042】
なお、第1フィレット52aが形成される第1領域D1と、第2フィレット52bが形成される第3領域D3とはタブ配線40の長手方向において重ならないように設けられる。これにより、第1領域D1と第3領域D3の間には、第1フィレット52aと第2フィレット52bがいずれも設けられない第5領域D5が設けられる。なお、変形例として、第5領域が設けられない態様で第1フィレット52aおよび第2フィレット52bを設けてもよい。
【0043】
図5は、受光面12の樹脂部52の構造を示す断面図であり、
図4のA−A断面線を示す。本図は、第1フィレット52aまたは第2フィレット52bが形成されていない第5領域D5の断面図を示す。
【0044】
樹脂部52は、第5領域におけるバスバー電極24の周囲に設けられ、受光面12からの厚さhが、バスバー電極24の厚さと等しくなるように設けられる。樹脂部52は、タブ配線40の下面40aの少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と受光面12とを接着する。また、タブ配線40の下面40aは、バスバー電極24と直接接触することにより導通をとる。
【0045】
図6は、受光面12の樹脂部52の構造を示す断面図であり、
図4のB−B断面線を示す。本図は、第1フィレット52aが形成される第1領域の断面図を示す。
【0046】
樹脂部52は、第1領域におけるバスバー電極24の+y方向側に設けられる。樹脂部52は、タブ配線40の下面40aの少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と受光面12とを接着している。また、タブ配線40の下面40aは、バスバー電極24と直接接触することにより導通をとっている。
【0047】
第1フィレット52aは、タブ配線40の+y方向側に形成され、受光面12からの厚さhが、バスバー電極24の厚さよりも厚くなるように設けられる。第1フィレット52aは、タブ配線40の側面40bの少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と受光面12とを接着している。
【0048】
図7は、受光面12の樹脂部52の構造を示す断面図であり、
図4のC−C断面線を示す。本図は、第2フィレット52bが形成される第3領域の断面図を示す。
【0049】
樹脂部52は、第3領域におけるバスバー電極24の−y方向側に設けられる。樹脂部52は、タブ配線40の下面40aの少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と受光面12とを接着する。また、タブ配線40の下面40aは、バスバー電極24と直接接触することにより導通をとっている。
【0050】
第2フィレット52bは、タブ配線40の−y方向側に形成され、受光面12からの厚さhが、バスバー電極24の厚さよりも厚くなるように設けられる。第2フィレット52bは、タブ配線40の側面40bの少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と受光面12とを接着している。
【0051】
つづいて、
図8を参照して、裏面14に設けられる樹脂部54の構成について詳述する。
【0052】
図8は、裏面14に設けられる樹脂部54を示す外観図である。本図では、
図4と同様、裏面14の上に設けられるタブ配線40の記載を省き、タブ配線40が設けられる位置を破線で示す。
【0053】
樹脂部54は、裏面14に設けられ、太陽電池素子70の裏面14とその上に延在するタブ配線40とを接着する。樹脂部54は、樹脂部52と同様、樹脂接着剤を硬化させた接着層であり、例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性の樹脂材料である。
【0054】
樹脂部54は、ジグザグ状に延びるバスバー電極34の中心線Cに沿って非直線状に設けられる。具体的には、バスバー電極34のジグザグ形状に対応して、バスバー電極34の短手方向に往復しながら長手方向に延びている。樹脂部54の短手方向の幅w
4は、タブ配線40の幅w
2よりも広くなるように設けられる。また、樹脂部54の短手方向の幅w
4は、バスバー電極34の短手方向の幅w
3よりも少し広くなるように設けられる。
【0055】
樹脂部54は、バスバー電極34の周囲にも設けられ、裏面14からの厚さがバスバー電極34の厚さとなるように設けられる。樹脂部54は、タブ配線40の下面の少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と太陽電池素子70の裏面14とを接着する。タブ配線40は、バスバー電極34と直接接触することによりに導通をとる。
【0056】
樹脂部54は、第1フィレット54aと、第2フィレット54bを備える。
【0057】
第1フィレット54aは、タブ配線40の短手方向の一方側(+y方向側)に突出して第1頂点36aを覆うように設けられる。第1フィレット54aは、タブ配線40の長手方向に点在して設けられており、タブ配線40の+y方向側には、第1フィレット54aが形成される第1領域D1と、第1フィレット54aが形成されない第2領域D2とが交互に設けられる。第1フィレット54aは、裏面14からの厚さが、バスバー電極34の厚さよりも厚くなるように設けられ、タブ配線40の側面の少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と裏面14とを接着する。
【0058】
第2フィレット54bは、タブ配線40の短手方向の他方側(−y方向側)に突出して第2頂点36bを覆うように設けられる。第2フィレット54bは、タブ配線40の長手方向に点在して設けられており、タブ配線40の−y方向側には、第2フィレット54bが形成される第3領域D3と、第2フィレット54bが形成されない第4領域D4とが交互に設けられる。第2フィレット54bは、裏面14からの厚さが、バスバー電極34の厚さよりも厚くなるように設けられ、タブ配線40の側面の少なくとも一部と接することにより、タブ配線40と裏面14とを接着する。
【0059】
つづいて、
図9から
図13を参照して、太陽電池モジュール100の製造方法の一例について説明する。まず、
図9から
図11を参照して、受光面12にタブ配線40を接着する工程を詳述する。
【0060】
図9は、受光面12に塗布された接着剤80を示す図である。
【0061】
まず、複数の太陽電池素子とタブ配線とを用意し、タブ配線を接着するための接着剤80を太陽電池素子の表面に塗布する。接着剤80は、ペースト状の樹脂接着剤であり、熱硬化性を有する。例えば、硬化剤を加えたエポキシ樹脂に固形成分を混合させることにより、ペースト状とした硬化前の樹脂を用いることができる。
【0062】
接着剤80は、受光面12上にバスバー電極24の長手方向に沿って非直線状に配置される。具体的には、短手方向であるy方向の中心位置となるバスバー電極24を繰り返し跨ぐようにジグザグ状に配置される。接着剤80は、y方向の幅w
5がタブ配線の幅よりも広く設けられる。これにより、接着剤80の上からタブ配線を載せた場合に、タブ配線を配置する位置がy方向にずれたとしても、ずれの量が所定範囲内であれば好適にタブ配線を接着することができる。
【0063】
また、接着剤80の幅w
6は、y方向の幅w
5やタブ配線の幅と比べて細くなるように設けられ、例えば、バスバー電極24の幅と同程度となるように設けられる。これにより、一定の接着強度を確保するとともに、接着剤80のフィレットが広がることで受光面積が狭くなることを防ぐ。
【0064】
図10は、接着剤の配置に用いる印刷版82を示す図である。
【0065】
印刷版82は、非直線状に設けられる樹脂部の形状に対応したパターン84を有する。印刷版82には、表面に設けられるバスバー電極の位置に対応して、ジグザグ状に形成されるパターン84が3箇所設けられる。この印刷版82を介して印刷することで受光面12にジグザグ状に延びるよう接着剤80を配置する。印刷方法として、オフセット印刷を用いる。例えば、凹版オフセット印刷により印刷を行う場合には、パターン84として凹部を設けた印刷版を用いればよい。その他、スクリーン印刷により印刷を行ってもよい。この場合には、塗布すべき接着剤の厚さに応じて、接着剤を複数回重ね塗りしてもよい。
【0066】
なお、接着剤80は、ディスペンサなどの吐出手段を用いて塗布してもよい。この場合、接着剤80を吐出させるディスペンサの先端部をバスバー電極24の上でx方向に移動させるとともに、バスバー電極24のy方向の中心位置から周期的に+y方向および−y方向に往復させる。このようにして、接着剤80をバスバー電極24上にジグザグ状に塗布してもよい。
【0067】
図11は、受光面12に接着したタブ配線40を示す図であり、
図9に示す接着剤80の上にタブ配線40を配置した状態を示す。
【0068】
タブ配線40は、その長手方向がx方向となる向きでジグザグ状に延びる接着剤80の上に配置される。また、タブ配線40は、短手方向の中心位置がバスバー電極24の中心位置と一致するように配置される。このとき、バスバー電極24とタブ配線40とが直接接触して導通がとられる。また、タブ配線40とバスバー電極24の中心位置を一致させることで、両者の導通を良好にすることができる。
【0069】
接着剤80は、タブ配線40を押圧することによりバスバー電極24の周囲にはみ出し、はみ出た接着剤80により受光面12とタブ配線40とが接着される。また、バスバー電極24の上に配置される接着剤80の一部は、バスバー電極24とタブ配線40の間にとどまって、バスバー電極24とタブ配線40とを直接接着する。
【0070】
接着剤80は、タブ配線40の幅w
2よりも短手方向の幅が広くなるようにジグザグ状に配置されることから、タブ配線40からy方向に突出する突出部80a、80bを形成する。これにより、タブ配線40の短手方向に突出する突出部80a、80bは、タブ配線40に沿って長手方向に点在して設けられる。なお、接着剤80は、タブ配線40を押圧することにより周囲にはみ出すため、タブ配線40を接着した後の接着剤80のy方向の幅w
4は、塗布時の接着剤80の幅w
5よりも少し広がることとなる。
【0071】
タブ配線40を圧着した状態で加熱することで、接着剤80が熱硬化し、樹脂部52が形成される。また、接着剤80の突出部80a、80bが熱硬化することにより、第1フィレット52a、第2フィレット52bが形成される。これにより、樹脂部52は、タブ配線40に沿ってジグザグ状に設けられ、第1フィレット52a、第2フィレット52bは、タブ配線40に沿って長手方向に点在して設けられる。
【0072】
次に、
図12、13を参照して、裏面14にタブ配線40を接着する工程を詳述する。受光面12に一端が接着されたタブ配線40は、その他端が裏面14に接着される。
【0073】
図12は、裏面14に配置された接着剤80を示す外観図である。
【0074】
接着剤80は、裏面14において、ジグザグ状に延びるバスバー電極34に対応してジグザグ状に配置される。より詳細には、バスバー電極34とその中心線Cの交点や、バスバー電極34の第1頂点36aおよび第2頂点36bの上を結ぶようにジグザグに設けられる。接着剤80は、短手方向の幅w
5がバスバー電極34の幅w
3よりも少し広くなるように設けられる。これにより、接着剤80を裏面14と接触させて、接着剤80によりタブ配線40と裏面14とを接着させる。
【0075】
接着剤80は、受光面12と同様、
図10に示す印刷版82を用いて印刷される。なお、受光面12側とは異なる印刷版を用いてもよく、例えば、パターン84のジグザグ形状の周期や幅が受光面12側と異なる印刷版としてもよい。
【0076】
図13は、裏面14に接着したタブ配線40を示す図である。
【0077】
タブ配線40は、その長手方向がx方向となる向きでジグザグ状に延びる接着剤80の上に配置される。また、タブ配線40は、短手方向の中心位置がバスバー電極34の中心線Cに一致するように配置される。このとき、バスバー電極34とタブ配線40とが直接接触して導通がとられる。接着剤80は、タブ配線40を押圧することによりバスバー電極34の周囲にはみ出すこととなり、はみ出た接着剤80により裏面14とタブ配線40とが接着される。
【0078】
接着剤80は、タブ配線40からy方向に突出する突出部80a、80bを形成する。タブ配線40を接着した後の接着剤80のy方向の幅w
4は、タブ配線40に押し出されて広がることにより、塗布時の接着剤80の幅w
5よりも広がることとなる。また、タブ配線40の短手方向に突出する突出部80a、80bは、タブ配線40に沿って長手方向に点在して設けられることとなる。
【0079】
タブ配線40を圧着した状態で加熱することで、接着剤80が熱硬化し、裏面14に樹脂部54が形成される。また、接着剤80の突出部80a、80bが熱硬化することにより、第1フィレット52a、第2フィレット52bが形成される。これにより、樹脂部54は、タブ配線40に沿ってジグザグ状に設けられ、第1フィレット54a、第2フィレット54bは、タブ配線40に沿って長手方向に点在して設けられる。
【0080】
最後に、タブ配線40を接続した複数の太陽電池素子70を封止する。タブ配線40を接続した複数の太陽電池素子70の受光面12側に、封止層66の一部を構成する樹脂シートと保護基板62を配置し、裏面14側に封止層66の一部を構成する樹脂シートとバックシート64配置する。そして、太陽電池素子70を保護基板62とバックシート64で挟み込んだ状態で加熱圧着することにより、受光面12側と裏面14の樹脂シートが融着して封止層66を形成され、太陽電池モジュール100が形成される。
【0081】
つづいて、
図14を参照して、本実施形態の太陽電池モジュール100が奏する効果について説明する。
【0082】
図14は、接着剤80が奏する効果を模式的に示す図である。
【0083】
図14(a)〜(c)は、接着剤80が設けられる位置に対してタブ配線40の短手方向の位置がずれて配置される様子を示す。いずれも接着剤80の中心線C
1に対して、タブ配線40の中心線C
2がΔyずれた位置となるようにタブ配線40が配置されている。タブ配線40を好適に接着するためには、接着剤80の中心線C
1とタブ配線40の中心線C
2とが一致するように配置することが望ましいが、タブ配線40の接着工程における位置決め精度によっては、短手方向にずれて配置されてしまうことがある。以下、
図14(a)、(b)に示す比較例を用いて本実施形態が解決しようとする課題について示し、
図14(c)を用いて本実施形態が奏する効果について述べる。
【0084】
図14(a)は、比較例1に係る接着剤80を示す。比較例1に係る接着剤80は、長手方向に直線状に延びており、短手方向の幅w
aがタブ配線40の幅w
2よりも細くなるように設けられる。このとき、タブ配線40が短手方向にΔyずれて配置されると、タブ配線40と接着剤80が接する面積が小さくなり、タブ配線40を確実に接着できなくなるおそれがある。
【0085】
図14(b)は、比較例2に係る接着剤80を示す。比較例2に係る接着剤80は、長手方向に直線状に延びており、短手方向の幅w
bがタブ配線40の幅w
2よりも太くなるように設けられる。このように接着剤80を設ける幅w
bを太くすることで、タブ配線40が短手方向にずれて配置される場合であってもタブ配線40を確実に接着することができる。しかし、接着剤80の幅w
bを太くすると接着剤80により受光面12が遮られる面積が増えるため、発電効率の低下を招くこととなる。
【0086】
図14(c)は、本実施形態に係る接着剤80を示す。本実施形態に係る接着剤80は、長手方向に非直線状に延びる。接着剤80が塗布される幅w
aはタブ配線40の幅w
2よりも細く、接着剤80の短手方向の幅w
bはタブ配線40の幅w
2よりも太くなるように設けられる。接着剤80を非直線状に短手方向に往復させて配置することで、タブ配線40が短手方向にずれて配置される場合であってもタブ配線40と接着剤80とが接する面積の低下を防ぐことができる。接着剤80は、塗布される幅w
aが細くなるように設けられていることから、接着剤80を直線状に太く塗布する場合と比べて、受光面12を遮る面積を小さくすることができる。したがって、本実施形態の太陽電池モジュール100は、発電効率の低下を抑えつつ、タブ配線40を確実に接着することができ、タブ配線40の剥離を防ぐことができる。これにより、太陽電池モジュール100の信頼性を高めることができる。
【0087】
また、太陽電池モジュール100は、タブ配線40の短手方向に突出する第1フィレット52a、第2フィレット52bが受光面12に点在して設けられる。これにより、受光面12とタブ配線40とを接着するフィレットが受光面12とタブ配線40の間の領域に連続的に設けられる場合と比べて、樹脂部が設けられることによる太陽電池素子70への応力を緩和することができる。同様に、太陽電池モジュール100は、タブ配線40の短手方向に突出する第1フィレット54a、第2フィレット54bが裏面14に点在して設けられる。これにより、裏面14とタブ配線40とを接着するフィレットが連続的に設けられる場合と比べて、裏面14側の応力も緩和することができる。太陽電池素子70への応力が緩和されることで、タブ配線40が剥離したり太陽電池素子70が損傷したりすることを防ぎ、太陽電池モジュール100の信頼性を高めることができる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0089】
上述の実施形態においては、
図12に示すように、接着剤80をジグザグ状に延びるバスバー電極34に対応してジグザグに設けることとしたが、バスバー電極34のジグザグ形状と異なる態様で接着剤80を非直線状に配置してもよい。
【0090】
図15は、変形例に係る太陽電池素子の裏面14に塗布された接着剤80を示す外観図である。変形例における裏面14では、接着剤80がバスバー電極34のジグザグ形状と互い違いになるようにジグザグ状に塗布される。接着剤80は、バスバー電極34の第1頂点36aおよび第2頂点36bの上を避けて配置され、長手方向において第1頂点36aが設けられるフィンガー電極32の位置では−y方向に突出し、第2頂点36bが設けられるフィンガー電極32の位置では+y方向に突出するようにジグザグ状に配置される。接着剤80をこのように配置するには、
図10に示す印刷版82を実施形態と比べてジグザグの半周期分だけ長手方向にずらして接着剤80を印刷すればよい。変形例に係る太陽電池モジュールにおいても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、上述の実施形態および変形例においては、裏面14のバスバー電極34のジグザグの周期と裏面14に配置する接着剤80のジグザグの周期とが等しくなるようにしたが、これらの周期を異なるものとしてもよい。バスバー電極34と接着剤80のジグザグの周期を互いに変えることで、バスバー電極34が設けられることによる太陽電池素子70への応力がかかる位置と、樹脂部54が設けられることによる太陽電池素子70への応力がかかる位置とを分散させて応力を緩和させることができる。
【0092】
上述の実施形態および変形例においては、バスバー電極34の短手方向の幅に対して、裏面14の樹脂部54の短手方向の幅が広くなるように樹脂部54を設ける場合を示したが、両者の幅が等しくなるように樹脂部54を設けてもよい。また、樹脂部54の短手方向の幅がバスバー電極34の短手方向の幅よりも狭くなるように樹脂部54を設けてもよい。また、タブ配線40の長手方向の位置によって、樹脂部54の短手方向の幅がバスバー電極34の短手方向の幅に対して広くなったり狭くなったり変化させて樹脂部54を設けてもよい。
【0093】
上述の実施形態においては、受光面12および裏面14にバスバー電極を設け、バスバー電極とタブ配線40とを直接接触させて導通をとっている。変形例においては、受光面12および裏面14にバスバー電極を設けず、フィンガー電極とタブ配線40とが直接接触するようにしてタブ配線40を受光面12および裏面14に接着し、タブ配線40とフィンガー電極との導通をとってもよい。なお、受光面12と裏面14のいずれか一方をバスバー電極なしの構成とし、バスバー電極が設けられない表面において、フィンガー電極とタブ配線40とが直接接触するようにタブ配線40を表面に接着してもよい。
【0094】
上述の実施形態においては、受光面12に直線状のバスバー電極24を設け、裏面14にジグザグ状のバスバー電極34を設ける場合を示したが、それぞれの表面に設けられるバスバー電極は直線状であるかジグザグ状であるかを問わない。例えば、受光面12と裏面14の双方を直線状のバスバー電極としてもよいし、双方をジグザグ状のバスバー電極としてもよい。また、実施形態とは逆に受光面12にジグザグ状のバスバー電極を設け、裏面14に直線状のバスバー電極を設けてもよい。また、受光面12と裏面14のいずれか一方にバスバー電極を設けない構成としもよいし、双方をバスバー電極なしの構成としてもよい。
【0095】
上述の実施形態においては、裏面14にジグザグ状のバスバー電極34を設ける場合を示したが、ジグザグ状に延びるバスバー電極の代わりに波線状に延びるバスバー電極としてもよい。波線状に延びるバスバー電極では、例えば、正弦波の波形が延びる形状とし、頂点36が丸みを帯びるように電極が延びる方向を変化させることとしてもよい。
【0096】
上述の実施形態においては、非直線状に延びる樹脂部として、ジグザグ状に樹脂部を設ける場合を示したが、ジグザグ状に延びる樹脂部の代わりに波線状に延びる樹脂部としてもよい。波線状に樹脂部では、例えば、正弦波の波形が延びる形状とし、頂点が丸みを帯びるように樹脂部が延びる方向を変化させることとしてもよい。
【0097】
上述の実施形態において、タブ配線40は、フィンガー電極が延びるy方向に直交するx方向に延在して設けられることとした。変形例においては、タブ配線40を受光面12または裏面14に沿って、x方向およびy方向の双方に交差する斜めの方向に延ばして設けることとしてもよい。
【0098】
上述の実施形態において、タブ配線40は、受光面12と接着される下面や、下面に背向する上面が平坦な面で構成されることとした。変形例においては、タブ配線40の上面に凹凸構造を設けることとし、受光面に向けて入射する光のうちタブ配線40の上面に入射する光を散乱させ、タブ配線40が設けられない領域に光を拡散させるようにしてもよい。なお、タブ配線40の上面ではなく、下面や側面に凹凸構造を設けることとしてもよく、上面、下面、側面のうちの複数の面に凹凸構造を設けることとしてもよい。