(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CFRPでバスタブ状に形成されて少なくともダッシュパネルアッパー(38)を備える下部骨格(74)と、少なくともフロントルーフアーチ(28)および左右一対のルーフサイドレール(16)を備える上部骨格(73)とを相互に分離可能に構成し、前記ダッシュパネルアッパー(38)と、前記左右一対のルーフサイドレール(16)と、前記フロントルーフアーチ(28)とに跨がってフロントガラス(39)を支持する矩形状のフロントガラス接着面(25)を形成した自動車車体であって、
前記左右一対のルーフサイドレール(16)の下端に車幅方向内側に延びて前記ダッシュパネルアッパー(38)の車幅方向外端に接続する左右一対の延長部(24)を設け、前記左右一対の延長部(24)に前記フロントガラス(39)の一部を支持するフロントガラス接着面(24g)を形成したことを特徴とする自動車車体。
前記延長部(24)は、車幅方向に延びる第1部分(a)および前後方向に延びる第2部分(b)を有して前記フロントガラス(39)と平行に配置されるL字状の第1壁面(24a)と、前記第1壁面(24a)の前記第1部分(a)から下向きに延びる第2壁面(24b)と、前記第1壁面(24a)の前記第2部分(b)から下向きに延びる第3壁面(24c)とを備え、前記下部骨格(74)に設けられて前記ルーフサイドレール(16)の前端を支持する金属ジョイント(62)に前記第1壁面(24a)および前記第3壁面(24c)が固定され、前記第1壁面(24a)に前記フロントガラス(39)の一部が支持されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車車体。
前記下部骨格(74)はダッシュパネルロア(17)を備え、前記ダッシュパネルアッパー(38)は前記ダッシュパネルロア(17)の上端に接着され、前記延長部(24)は前記ダッシュパネルロア(17)の上端にシール材(27)を介して当接することを特徴とする、請求項2に記載の自動車車体。
前記ダッシュパネルアッパー(38)の車幅方向外端には、下向きに延びる縦壁(38b)と、前記縦壁(38b)の下端から車幅方向外側に延びる横壁(38c)とが形成され、前記延長部(24)は係止爪(24e,24f)を介して前記縦壁(38b)および前記横壁(38c)に係合するとともに、シール材(26)を介して前記縦壁(38b)に当接することを特徴とする、請求項3に記載の自動車車体。
前記下部骨格(74)は前記ダッシュパネルロア(17)の後面に固定されたフロントピラーロア(13)を備え、前記金属ジョイント(62)は、前記ダッシュパネルロア(17)の前面に設けられた前部金属ブラケット(64)と、前記フロントピラーロア(13)の後面に設けられた後部金属ブラケット(66)とに跨がってボルト(65,67)で締結されることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の自動車車体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)でバスタブ状に形成されて少なくともダッシュパネルアッパーを備える下部骨格と、少なくともフロントルーフアーチおよび左右一対のルーフサイドレール(フロントピラーアッパー)を備える上部骨格とを相互に分離可能に構成した場合、上記特許文献1に記載された車体構造のように、フロントガラスフレームを下部骨格と一体に形成すると、フロントガラスフレームの上縁を構成するフロントルーフアーチおよび左右両側縁を構成するルーフサイドレールを一体に備える上部骨格を下部骨格から分離できなくなる問題がある。
【0005】
この問題を回避するために、上部骨格側のルーフサイドレールの下端と、下部骨格側のダッシュパネルアッパーの車幅方向外端とを分離可能に分断すると、その部分でフロントガラスの接着面が途切れてしまい、フロントガラスの支持強度が低下する虞がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、下部骨格および上部骨格を分離可能にしながら、フロントガラスの接着面が全周に亙って途切れないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によれば、CFRPでバスタブ状に形成されて少なくともダッシュパネルアッパーを備える下部骨格と、少なくともフロントルーフアーチおよび左右一対のルーフサイドレールを備える上部骨格とを相互に分離可能に構成し、前記ダッシュパネルアッパーと、前記左右一対のルーフサイドレールと、前記フロントルーフアーチとに跨がってフロントガラスを支持する矩形状のフロントガラス接着面を形成した自動車車体であって、前記左右一対のルーフサイドレールの下端に車幅方向内側に延びて前記ダッシュパネルアッパーの車幅方向外端に接続する左右一対の延長部を設け、前記左右一対の延長部に前記フロントガラスの一部を支持するフロントガラス接着面を形成したことを第1の特徴とする自動車車体が提案される。
【0008】
また本発明によれば、前記第1の特徴に加えて、前記延長部は、車幅方向に延びる第1部分および前後方向に延びる第2部分を有して前記フロントガラスと平行に配置されるL字状の第1壁面と、前記第1壁面の前記第1部分から下向きに延びる第2壁面と、前記第1壁面の前記第2部分から下向きに延びる第3壁面とを備え、前記下部骨格に設けられて前記ルーフサイドレールの前端を支持する金属ジョイントに前記第1壁面および前記第3壁面が固定され、前記第1壁面に前記フロントガラスの一部が支持されることを第2の特徴とする自動車車体が提案される。
【0009】
また本発明によれば、前記第2の特徴に加えて、前記下部骨格はダッシュパネルロアを備え、前記ダッシュパネルアッパーは前記ダッシュパネルロアの上端に接着され、前記延長部は前記ダッシュパネルロアの上端にシール材を介して当接することを第3の特徴とする自動車車体が提案される。
【0010】
また本発明によれば、前記第3の特徴に加えて、前記ダッシュパネルアッパーの車幅方向外端には、下向きに延びる縦壁と、前記縦壁の下端から車幅方向外側に延びる横壁とが形成され、前記延長部は係止爪を介して前記縦壁および前記横壁に係合するとともに、シール材を介して前記縦壁に当接することを第4の特徴とする自動車車体が提案される。
【0011】
また本発明によれば、前記第3または第4の特徴に加えて、前記下部骨格は前記ダッシュパネルロアの後面に固定されたフロントピラーロアを備え、前記金属ジョイントは、前記ダッシュパネルロアの前面に設けられた前部金属ブラケットと、前記フロントピラーロアの後面に設けられた後部金属ブラケットとに跨がってボルトで締結されることを第5の特徴とする自動車車体が提案される。
【0012】
また本発明によれば、前記第1〜第5の何れか1つに記載の自動車車体の製造方法であって、前記下部骨格から前記上部骨格を分離する工程と、分離した前記上部骨格および前記下部骨格にそれぞれ部品を組み付ける工程と、部品を組み付け終えた前記上部骨格および前記下部骨格を再度ボルト結合する工程とを含むことを第6の特徴とする自動車車体の製造方法が提案される。
【0013】
尚、実施の形態の前部金属ジョイント62は本発明の金属ジョイントに対応し、実施の形態の前部ボルト65および後部ボルト67は本発明のボルトに対応する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、自動車車体は、CFRPでバスタブ状に形成されて少なくともダッシュパネルアッパーを備える下部骨格と、少なくともフロントルーフアーチおよび左右一対のルーフサイドレールを備える上部骨格とを相互に分離可能に構成され、ダッシュパネルアッパーと、左右一対のルーフサイドレールと、フロントルーフアーチとに跨がってフロントガラスを支持する矩形状のフロントガラス接着面が形成される。
【0015】
左右一対のルーフサイドレールの下端に車幅方向内側に延びてダッシュパネルアッパーの車幅方向外端に接続する左右一対の延長部を設け、左右一対の延長部にフロントガラスの一部を支持するフロントガラス接着面を形成したので、下部骨格および上部骨格を相互に分離可能に構成しても、フロントガラスの全周を支持可能なフロントガラス接着面を途切れなく形成することができる。
【0016】
また本発明の第2の特徴によれば、延長部は、車幅方向に延びる第1部分および前後方向に延びる第2部分を有してフロントガラスと平行に配置されるL字状の第1壁面を備え、第1壁面にフロントガラスの一部が支持されるので、フロントガラスの接着面をルーフサイドレールからダッシュパネルアッパーへと連続させることができる。また延長部は、第1壁面の第1部分から下向きに延びる第2壁面と、第1壁面の第2部分から下向きに延びる第3壁面とを備え、下部骨格に設けられてルーフサイドレールの前端を支持する金属ジョイントに第1壁面および第3壁面が固定されるので、金属ジョイントに延長部を強固に固定してフロントガラスの支持強度を高めることができる。
【0017】
また本発明の第3の特徴によれば、下部骨格はダッシュパネルロアを備え、ダッシュパネルアッパーはダッシュパネルロアの上端に接着され、延長部はダッシュパネルロアの上端にシール材を介して当接するので、エンジンルームとキャビンとの間の防水性を確保することができる。
【0018】
また本発明の第4の特徴によれば、ダッシュパネルアッパーの車幅方向外端には、下向きに延びる縦壁と、縦壁の下端から車幅方向外側に延びる横壁とが形成され、延長部は係止爪を介して縦壁および横壁に係合するとともに、シール材を介して縦壁に当接するので、ダッシュパネルアッパーに対する延長部の位置決めが容易であり、かつエンジンルームとキャビンとの間の防水性を確保することができる。
【0019】
また本発明の第5の特徴によれば、下部骨格はダッシュパネルロアの後面に固定されたフロントピラーロアを備え、金属ジョイントは、ダッシュパネルロアの前面に設けられた前部金属ブラケットと、フロントピラーロアの後面に設けられた後部金属ブラケットとに跨がってボルトで締結されるので、金属ジョイントを下部骨格に強固に固定してルーフサイドレールの前端の支持強度を高めることができる。
【0020】
また本発明の第6の特徴によれば、下部骨格から上部骨格を分離し、分離した上部骨格および下部骨格にそれぞれ部品を組み付け、部品を組み付け終えた上部骨格および下部骨格を再度ボルト結合するので、上部骨格に部品を組み付けるときに下部骨格が邪魔にならず、かつ下部骨格に部品を取り付けるときに上部骨格が邪魔にならないので生産性が向上するだけでなく、上部骨格および下部骨格の結合および分離をボルト結合により容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1〜
図8に基づいて本発明の実施の形態を説明する。尚、本明細書において前後方向、左右方向(車幅方向)および上下方向とは、運転席に着座した乗員を基準として定義される。
【0024】
先ず、
図1に示すように、CFRP(カーボン繊維強化樹脂)を主たる材料とする自動車の車体フレームは、車体フロア11と、車体フロア11の左右両側部に沿って前後方向に延びる左右一対のサイドシル12,12と、左右のサイドシル12,12の前端から前上方に起立する左右一対のフロントピラーロア13,13と、左右のサイドシル12,12の後端から後上方に起立する左右一対のリヤピラー14,14と、左右のサイドシル12,12の前後方向中間部から上方に起立する左右一対のセンターピラー15,15と、左右のフロントピラーロア13,13の上端から左右のセンターピラー15,15の上端を経由して左右のリヤピラー14,14の上端に延びるアルミニウム合金のパイプ材よりなる左右一対のルーフサイドレール16,16とを備える。サイドシル12、フロントピラーロア13およびリヤピラー14は一体に形成され、側部部材30を構成する。
【0025】
左右のルーフサイドレール16,16がフロントルーフアーチ28とミドルルーフアーチ29とで接続される。左右のセンターピラー15,15の上端とミドルルーフアーチ29の車幅方向両端とが一体に連続し、正面視で逆U字状のロールバー34を構成する。フロントピラーロア13,13の上端に接続するルーフサイドレール16,16の前部は、フロントピラーアッパーを構成する。そして一体化された左右のルーフサイドレール16,16、ロールバー34およびフロントルーフアーチ28等は上部骨格73(
図8(D)参照)を構成する。
【0026】
車体フロア11の前端と左右のフロントピラーロア13,13の前面とに平板状のダッシュパネルロア17が接合され、車体フロア11の後端と左右のリヤピラー14,14の後面とに平板状の後部隔壁18が接合される。一体化された車体フロア11、ダッシュパネルロア17、後部隔壁18および左右の側部部材30,30等は下部骨格74(
図8(D)参照)を構成し、上部骨格73および下部骨格74は相互に着脱自在である。車体フロア11の前端に左右一対のアルミニウム合金の鋳物製の取付台座20,20が固定され、取付台座20,20の前端に左右一対のアルミニウム合金の鋳物製のフロントサイドフレーム21,21の後端が固定される。
【0027】
ロールバー34の左右のセンターピラー15の下端が上部外側ジョイント51、上部内側ジョイント52および下部ジョイント53を介して側部部材30のサイドシル12の前後方向中間部にボルト54…で締結される。従って、ボルト54…を緩めることでロールバー34を側部部材30から分離することができる。
【0028】
ダッシュパネルロア17の上端に沿って車幅方向に延びるダッシュパネルアッパー38が固定されており、上部骨格73側のフロントルーフアーチ28および左右一対のフロントサイドフレーム21,21の前部(フロントピラーアッパー)と、下部骨格74側のダッシュパネルアッパー38とにより構成された矩形枠状の開口部に、フロントガラス39の外周部が接着される。
【0029】
次に、
図2〜
図7に基づいて、ルーフサイドレール16の前端とダッシュパネルアッパー38の車幅方向外端との接続部の構造を詳述する。
【0030】
図2および
図3に示すように、ルーフサイドレール16の前端にアルムニウム合金の鋳物製の前部金属ジョイント62が溶接される。ダッシュパネルロア17の前面にアッパーメンバ63の後端を支持するアルムニウム合金の鋳物製の前部金属ブラケット64がボルト22…で固定されており、この前部金属ブラケット64の上面と、フロントピラーロア13の上面を覆う蓋部材13aの上面とに、前部金属ジョイント62の前部が前部ボルト65…で締結される(
図6(A)および
図7参照)。またフロントピラーロア13の後面にアルムニウム合金の鋳物製の後部金属ブラケット66がボルト23…で固定されており、この後部金属ブラケット66の上面に前部金属ジョイント62の後部が後部ボルト67…で締結される(
図6(B)参照)。
【0031】
尚、ルーフサイドレール16の後端にアルムニウム合金の鋳物製の後部金属ジョイント68(
図1参照)が溶接されており、この後部金属ジョイント68は、リヤピラー14の上端の後方への延長部14aの上壁に図示せぬボルトで着脱自在に締結される。
【0032】
図2〜
図4に示すように、ダッシュパネルアッパー38は、その後端を下向きに折り曲げた後壁38aがダッシュパネルロア17の上端部前面に接着される。ダッシュパネルアッパー38の車幅方向端部には、下向きに折り曲げた縦壁38bと、縦壁38bの下端を車幅方向外側に折り曲げた横壁38cとが形成されており、縦壁38bおよび横壁38cにはそれぞれ係止孔38d,38eが形成される。
【0033】
ルーフサイドレール16の下端に溶接された前部金属ジョイント62をダッシュパネルアッパー38の車幅方向外端に接続すべく、前部金属ジョイント62から車幅方向内向きに突出する延長部24は、車幅方向に延びる第1部分aおよび前後方向に延びる第2部分bを有して前記フロントガラス39と平行に配置されるL字状の第1壁面24aと、第1壁面24aの第1部分aの後端から下向きに延びる第2壁面24bと、第1壁面24aの第2部分bの車幅方向内端から下向きに延びる第3壁面24cと、第1壁面24aの第1部分aの車幅方向内端から下向きに延びる第4壁面24dとを備えており、第1壁面24aの第1部分aの下面から2本の係止爪24e,24fが下向きに突出する。
【0034】
延長部24には、第1壁面24aの前縁から車幅方向外側縁にかけて、弧状に湾曲するフロントガラス接着面24g(
図4の斜線部参照)が形成される。またフロントルーフアーチ28、 左右一対のルーフサイドレール16,16の前部およびダッシュパネルアッパー38には、左右一対の延長部24,24のフロントガラス接着面24g,24gに連続するフロントガラス接着面25が形成される。このフロントガラス接着面25は
図1に太い鎖線で示され、かつ
図2〜
図4に斜線を施して示される。そしてフロントガラス39の外周部が、フロントルーフアーチ28、 左右一対のルーフサイドレール16,16の前部およびダッシュパネルアッパー38のフロントガラス接着面25と、左右一対の延長部24,24のフロントガラス接着面24g,24gとに接着G1(
図5(B)および
図5(C)参照)される。
【0035】
このように構成された延長部24は、第1壁面24aの第2部分bの下面が前部金属ジョイント62の上面に接着G2(
図3および
図7参照)され、第3壁面24cの車幅方向外面が前部金属ジョイント62の車幅方向内面に接着G3(
図3および
図7参照)される。そして上部骨格73を下部骨格74に結合するとき、延長部24の第1壁面24aの第1部分aの下面に突設した2個の係止爪24e,24fが、ダッシュパネルアッパー38の2個の係止孔38d,38eにそれぞれ係合することで(
図4および
図5(A)参照)、延長部24がダッシュパネルアッパー38に位置決めされた状態で結合される。
【0036】
この状態で、延長部24の第4壁面24dとダッシュパネルアッパー38の縦壁38bとの間にシール材26が配置され(
図4および
図5(C)参照)、延長部24の第2壁面24bの下端とダッシュパネルロア17の上端を後方に折り曲げたフランジ部17aの上面との間にシール材27が配置される(
図4および
図5(C)参照)。
【0037】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用を説明する。
【0038】
上部骨格73と下部骨格74とを結合した状態では、上部骨格73のフロントルーフアーチ28および左右一対のルーフサイドレール16,16の前部(フロントピラーアッパー)と、下部骨格74のダッシュパネルアッパー38とにより略矩形のフロントガラス接着面25(
図1参照)が構成される。このとき、上部骨格73と下部骨格74とは分離可能であるため、上部骨格73の左右一対のルーフサイドレール16,16の下端と、下部骨格74のダッシュパネルアッパー38の車幅方向外端との間に隙間が発生してフロントガラス接着面25が途切れる問題がある。しかしながら、本実施の形態によれば、上部骨格73の左右一対のルーフサイドレール16,16の下端から車幅方向内向きに左右一対の延長部24,24を突設し、これらの延長部24,24の車幅方向内端をダッシュパネルアッパー38の車幅方向外端に接続したので、延長部24,24のフロントガラス接着面24g,24gでフロントガラス接着面25の途切れを解消し、フロントガラス39を全周に亙って接着することができる(
図2参照)。
【0039】
また延長部24は、車幅方向に延びる第1部分aおよび前後方向に延びる第2部分bを有してフロントガラス39と平行に配置されるL字状の第1壁面24aを備え、第1壁面24aに形成したフロントガラス接着面24gにフロントガラス39の一部が支持されるので、フロントガラス39の接着面25をルーフサイドレール16からダッシュパネルアッパー38へと連続させることができる。また延長部24は、第1壁面24aの第1部分aから下向きに延びる第2壁面24bと、第1壁面24aの第2部分bから下向きに延びる第3壁面24cとを備え、下部骨格74に設けられてルーフサイドレール16の前端を支持する前部金属ジョイント62に第1壁面24aおよび第3壁面24cが接着G2,G3されるので(
図3参照)、前部金属ジョイント62に延長部24を強固に固定してフロントガラス39の支持強度を高めることができる。
【0040】
また下部骨格74はダッシュパネルロア17を備え、ダッシュパネルアッパー38はダッシュパネルロア17の上端に接着され、延長部24はダッシュパネルロア17の上端のフランジ部17aにシール材27を介して当接するので(
図4および
図5(C)参照)、エンジンルームとキャビンとの間の防水性を確保することができる。更に、ダッシュパネルアッパー38の車幅方向外端には、下向きに延びる縦壁38bと、縦壁38bの下端から車幅方向外側に延びる横壁38cとが形成され、延長部24は係止爪24e,24fを介して縦壁38bおよび横壁38cに係合するとともに(
図4および
図5(A)参照)、第4壁面24dがシール材26を介して縦壁38bに当接するので(
図4および
図5(C)参照)、ダッシュパネルアッパー38に対する延長部24の位置決めが容易であり、かつエンジンルームとキャビンとの間の防水性を確保することができる。
【0041】
しかも、下部骨格74はダッシュパネルロア17の後面に固定されたフロントピラーロア13を備え、前部金属ジョイント62は、ダッシュパネルロア17の前面に設けられた前部金属ブラケット64と、フロントピラーロア13の後面に設けられた後部金属ブラケット66とに跨がって前部ボルト65…および後部ボルト67…で締結されるので(
図2参照)、前部金属ジョイント62を下部骨格74に強固に固定してルーフサイドレール16の前端の支持強度を高めることができる。
【0042】
次に、
図8に基づいて上記自動車車体の組み立て工程を説明する。
【0043】
左右一対のルーフサイドレール16,16、ロールバー34およびフロントルーフアーチ28を一体に結合して上部骨格73を組み立て、この上部骨格73に左右一対の側部部材30,30を結合してサブコンポーネント75を組み立てる(
図8(A)参照)。上部骨格73は、ルーフサイドレール16,16の前端の前部金属ジョイント62,62、ロールバー34の左右下端の金属ジョイント51〜53,51〜53およびルーフサイドレール16,16の後端の後部金属ジョイント68,68において側部部材30,30にボルト結合される(
図1参照)。
【0044】
続いて、車体フロア11、ダッシュパネルロア17および後部隔壁18を組み立てたものに、サブコンポーネント75の側部部材30,30を接着することで(
図8(B)参照)、上部骨格73および下部骨格74を一体化する(
図8(C)参照)。下部骨格74は、車体フロア11、ダッシュパネルロア17、後部隔壁18および側部部材30,30で構成される。
【0045】
次に、前記ボルト結合を外して下部骨格74から上部骨格73を分離した後(
図8(D)参照)、上部骨格73にルーフパネル76等の部品を組み付けるとともに、下部骨格74にダンパーハウジング77,77、フロントサイドフレーム21,21、フロントバルクヘッド78等の部品を組み付ける(
図8(E)参照)。そして部品を組み付けた上部骨格73および下部骨格74を再びボルト結合し(
図8(F)参照)、最後にフロントガラス39等の部品を組み付けることで自動車車体を完成する(
図8(G)参照)。
【0046】
以上のように、上部骨格73および下部骨格74を分離可能にボルト結合したので、上部骨格73に部品を組み付けるときに下部骨格74が邪魔にならず、かつ下部骨格74に部品を取り付けるときに上部骨格73が邪魔にならないので生産性が向上するだけでなく、上部骨格73および下部骨格74の結合および分離をボルト結合により容易に行うことができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
例えば、延長部24の形状は実施の形態に限定されるものではない。