【実施例】
【0041】
低悪性度または濾胞性NHL
再発性または抵抗性NHLによる単一薬剤試験
リツクシマブ(登録商標)のFDA認可は、主に低悪性度または濾胞性NHLの患者での単一薬剤試験に基づく。10〜500mg/m
2の範囲の単一のリツクシマブ(登録商標)注入の初期の第I相試験は、最大許容用量には達しなかったことを証明したが、最高用量での注入時間の長さは、通院治療法では現実的ではないと考えられた。15人の患者のORRは13%であった(表1)(6)。
【0042】
【表1-1】
【表1-2】
【0043】
第I/II相の用量変動試験の第I相において、患者に125〜375mg/m
2を毎週1回で4回投与した。用量に関連する毒性は証明されず、375mg/m
2を第II相の用量として選択した。この用量を投与された患者37名のうち17名(46%)に腫瘍退縮が観察され、3名(8%)は完全応答(CR)を示し14名(38%)は部分的応答PRを示した(7)。
【0044】
リツクシマブ(登録商標)375mg/m
2を毎週1回で4回注入した以後のシングルアーム(single arm)主要試験を、再発性または抵抗性の低悪性度もしくは濾胞性NHL(国際ワーキングフォームレーション(International Working Formulation)[IWF]タイプA〜DおよびREAL分類、小リンパ球性リンパ腫、濾胞中心、濾胞悪性度I、II、III(8))を有する166人の患者で行った。末梢血中の腫瘍塊>10cmまたは>5000リンパ球/μlを有する患者は、試験から除外した。年齢の平均値は58才(男性105名、女性61名)で、先行治療の平均数は3であった。評価した149名のうちの56%で骨髄の関与が存在した。45%は≧2節外部位を有し、41%は巨大病変(≧5cm)を有した。
【0045】
完全応答には、少なくとも28日間離れて、首、胸、腹、および骨盤CTスキャンですべてのリンパ節が<1×1cm
2に退縮、すべての症状とリンパ腫の兆候の消滅、そして骨髄、肝臓および脾臓の正常化が必要であった。部分的応答には、少なくとも28日間は疾患の悪化の証拠が無しで、病変の直角方向の測定値の積の合計で≧50%の低下が必要であった。CRまたはPRを示さなかった患者は、たとえ測定病変の正味の低下(>50%)が観察されても、非応答者とみなした。悪化までの時間を、最初の注入から悪化まで測定した。
【0046】
全体的応答率(ORR)は、48%であり、6%がCRそして42%がPRであった(8)。応答者の悪化までの平均時間(TTP)は13.2ヶ月であり、応答の継続平均時間は11.6ヶ月であった。80名の応答者のうち22名(28%)は、20.9+〜32.9+ヶ月で緩解が進行していた(9)。
【0047】
リツクシマブ(登録商標)の投与により、B細胞の急速で持続的な枯渇が起きた。83%の患者で、循環B細胞が、最初の3回の投与で枯渇し、治療後6〜9ヶ月まで枯渇が持続した。平均B細胞レベルは、治療後12ヶ月までに正常に戻った。平均NK細胞数は変化がなかったが、ベースラインでの高絶対NK細胞数十リツクシマブ(登録商標)に対する応答との間に正の相関が観察された(10)。
【0048】
いくつかのベースライン予知因子を解析して、その応答への相関を調べた。ABMTまたはPBSC後に再発した23名の患者で、ORRは78%であり、先行高用量治療を受けていない患者では43%であった(p<0.01)。多変量解析では、ORRは、濾胞性NHLの患者では小リンパ球性リンパ腫の患者に比較して高く(58%対12%、p<0.01)、化学感受性再発の患者では化学耐性再発の患者より高かった(53%対36%、p=0.06)。応答に対する作用は:年齢>60才、節外病変、先行のアントラサイクリン治療、または骨髄関与、とは相関しなかった。
【0049】
治療と追跡調査期間中の複数の時点で平均血清抗体濃度と応答の間に、統計的に有意な相関が見られた(11)。
【0050】
抗体の血清レベルは、リンパ球性リンパ腫に比較して濾胞性NHLの患者で高かった。平均血清抗体は、腫瘍の大きさの測定値とかつベースラインの循環B細胞の数と反比例していた。低血清抗体濃度が、循環NHL細胞の数が多いことと腫瘍のサイズが大きいこととに相関していることは、抗体クリアランスの主要なモードは腫瘍細胞に対してであることを示唆している。血清抗体濃度が高いことと応答および腫瘍のサイズが小さいことまたは循環細胞が少ないこととの相関は、リツクシマブ(登録商標)の高濃度またはそれ以上の用量が、ある亜集団の患者(例えば、大きな病変を有する患者)において応答を誘発するのに必要かも知れないことを示唆する。
【0051】
しかし、腫瘍>5cmの患者の43%および腫瘍>7cmの患者の35%でリツクシマブ(登録商標)による応答が見られ、リツクシマブ(登録商標)による大きな病変を有する患者の治療が可能であることを示唆していた。抗体治療法が、腫瘍が小さいために大きな病変の治療には適さないと長い間考えられてきたことを考慮すると、これは驚くべきことである。
【0052】
日本で行われた研究では、再発性B細胞リンパ腫の患者が、週に1回で4回250mg/m
2(N=4)または375mg/m
2(N=8)のリツクシマブ(登録商標)で治療された。11名の評価可能な患者のうち、8名は濾胞性NHLを有し、2名はびまん性巨大細胞NHLを有し、1名はマントル細胞リンパ腫を有した。11名のうち2名は、CRを有し、5名はPRを有し、ORRは64%であり、すべての応答者は、濾胞性の組織学的所見があった。
【0053】
以前の試験ではリツクシマブ(登録商標)の血清レベルと応答は正相関していたため、第II相試験(週に1回で8週間375mg/m
2のリツクシマブ(登録商標)を投与する)を、低悪性度または濾胞性NHL患者について行った。評価可能な患者でORRは60%であり、14%はCRで46%はPRであった。応答者とDRのTTPの平均値は、それぞれ13.4+ヶ月と19.4+ヶ月であった(13)。試験全体で比較することは困難であるが、より高い用量を使用することでTTPとDRは改善されるようである。
【0054】
微小転移性疾患においてのみ有用な抗体治療法についての初期の推定に反して、リツクシマブ(登録商標)は非常に大きな病変できわめて活性である。別の試験では、再発性または抵抗性の巨大悪性度NHL(単一の病変の直径が>10cm)を有する31名の患者に、週に1回で4回375mg/m
2のリツクシマブ(登録商標)を投与した。28名の評価可能な患者のうち12名(43%)は、CR(1.4%)またはPR(11.39%)を示した(14)。
【0055】
ワルデンストレームマクログロブリン血症
ワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)は、Bリンパ球が過剰量のIgM抗体を分泌する悪性腫瘍である。WMは通常、60才以上の人に発症するが、30歳代初期の成人でも検出されている。今日WMは、まれな不治の無痛性の悪性腫瘍であり、従来は、血清の粘度を低下させるプラズマフェレシスにより治療されている。しばしば、アルキル化剤のような化学療法薬およびコルチコステロイドが処方される。WMの最も推奨される薬剤は、ロイスタチン(Leustatin)(2CdA)である。
【0056】
患者をリツクシマブ(登録商標)で治療した(375mg/m
2を週1回で4回)ワルデンストレームマクログロブリン血症を有する7人の患者についての報告は、4名(57%)の患者で効果を認めている。悪化の無い平均生存時間は、8ヶ月であった(範囲3〜27+ヶ月)。すなわち、リツクシマブ(登録商標)は、併用療法プロトコール、特に2CdAのような化学療法薬との併用が有用である。
【0057】
慢性リンパ性白血病(CLL)
CLLは、小リンパ球性リンパ腫(SLL)の流動性(白血病性)相当物である。SLLの患者は、標準用量のリツクシマブ(登録商標)で治療すると、他の低悪性度NHL亜型を有する患者より、血清レベルと応答率が低い。これはおそらく、CLLの患者では循環腫瘍細胞のレベルが非常に高いため、およびCLLに関与する悪性腫瘍細胞は、細胞表面上のCD20発現のレベルが低下していると考えられるためであろう。
【0058】
しかし本発明は、CLLのような血液の悪性腫瘍がリツクシマブ(登録商標)で治療できることを発見した。最近の臨床試験は、高用量のリツクシマブ(登録商標)でCLL患者の治療を評価した(16)。すべての患者にまず、第1の用量の375mg/m
2を投与して、注入に関連する副作用を最小にする。次に1週当たりの投与回数(3)は同じにして、用量レベルを上げた。16名の患者を、500〜1500mg/m
3で治療した。平均年齢は66才であった(範囲、25〜78)。81%は、最終段階III〜IVの疾患を有した。平均白血球数は、40×10
9/L(範囲、4〜200)、Hgb 11.6g/dl(範囲、7.7〜14.7)、血小板75×10
9/L(範囲、16〜160)、平均β
2免疫グロブリンは4.5mg/l(範囲、3.1〜9.2)であった。先行治療の平均回数は2.5(範囲1〜9)であった。60%の患者は、治療に抵抗性であった。最初の投与(375mg/m
3)で2名の患者は、重傷の高血圧を発症し、他の1人はさらに治療を受けた。以後の増加した投与量では毒性は弱かったが、1500mg/m
3の用量レベルではいずれの患者も完全には評価していない。8名の患者は治療を終了した(500mg/m
3で4名、650mg/m
3で3名、825mg/m
3で1名)。560mg/m
3で治療した1人の患者は、完全に緩解した。1人の患者は、治療でリンパ球増加を示し、他のすべての患者は、末梢血リンパ球増加が低下したが、リンパ節に対する作用は小さかった。用量を上げる実験が進行中である。
【0059】
CLL患者の応答性を改善する別のアプローチは、サイトカインを使用してCD20抗原をアップレギュレーションすることである。インビトロ試験で、CLL患者の単核細胞を種々のサイトカインとともに24時間インキュベートした。フローサイトメトリーの結果は、IL−4、GM−CSFおよびTNF−アルファで顕著なアップレギュレーションを示した(17)。実際、最近のデータは、CLL細胞で観察されたCD20のアップレギュレーションは、腫瘍細胞に限定されるかも知れないことを示唆している(ベノゴパル(Venogopal)ら、ポスター パンパシフィックリンパ腫会議(PanPacific Lymphoma meeting)、1999年6月)。慢性リンパ性白血病(CLL)細胞中のCD20抗原発現のサイトカイン誘導性アップレギュレーションは、腫瘍細胞に限定されるかも知れない)。予備的データはまた、インターフェロンアルファは500〜1000U/mlの濃度で適用されると、わずか24時間後にCLL細胞に対するCD20をアップレギュレーションすることを示唆する。
【0060】
すなわちリツクシマブ(登録商標)の投与の前または同時にCLL患者にいくつかのサイトカインを投与することにより、悪性腫瘍B細胞の表面上のCD20発現がアップレギュレーションされ、こうして他の細胞表面マーカー(例えばCD19)と同様にCD20を、免疫治療法のより魅力的な標的としている。インビボでのCD20アップレギュレーションの最適なサイトカイン用量を試験するために、共同研究が開始されている。この試験プロトコールでは、10人の患者をまず250μg/m
2SQ 1日1回 X 3のGM−CSFで、10人の患者をIL−4 μg/m
2 SQ 1日1回 X 3で、そして10人の患者を5μg/kg SQ 1日1回 X 3のG−CSFで治療した。単核細胞は、アポトーシス試験のためにフィコンハイペーク(Ficon Hypaque)遠心分離により分離して、CD20のアップレギュレーションがリツクシマブ(登録商標)による腫瘍細胞の死滅の増加につながるかどうかを測定した。
【0061】
CLLの抗体治療を、CLLの治療のために有用であることが公知の他の通常の化学療法と組合せることができる。CLLの最も頻繁に使用される単一の薬剤はクロラムブシル(chlorambucil)(ロイケラン(leukeran))であり、0.1mg/kg/日または0.4〜1.0mg/kg/日で4週置きに投与される。クロラムブシルは、しばしば経口プレドニソン(30〜100mg/m
2/d)と併用され、これは自己免疫性血球減少の管理に有用である。シクロホスファミドは、クロラムブシルの代用となり、通常の用量は1〜2g/m
2を3〜4週置きにビンクリスチンやステロイド(例えば、COP治療法)とともに投与される。
【0062】
CLLには種々の薬剤の併用が使用され、例えばCOP(シクロホスファミド、オンコビン(Oncovin)、およびプレドニソン)やCHOP(これらの3つの薬剤+ドコソルビシン)がある。フルダラビンは、CLLの治療に効果を示し、25〜30mg/m
2/dで3〜4週置きに治療した患者群では50%のORRが得られた。一部の患者は、フルダラビンに対して抵抗性であった。フルダラビンに抵抗性の患者はまた、しばしば2−CDAに対しても抵抗性である(オブライエン(O'Brien)ら、N. Engl. J. Med. 330: 319-322 (1994))ため、このような患者はまた2−CdAに対しても抵抗性かも知れない。
【0063】
従って抗CD20抗体治療法は、化学療法に抵抗性であるかまたは化学療法の治療後に再発した患者に特に有用である。リツクシマブ(登録商標)治療法はまた、これらの患者で放射線治療法と併用してもよい。75〜150cGyの総線量に対して15cGyの少ない線量によるTBIは、約3分の1の患者で有効であることが証明されている。
【0064】
現在、CLL患者でCALGBによる第II相試験が行われている。リツクシマブ(登録商標)とフルダラビンを同時に投与し、次にリツクシマブ(登録商標)強化対フルダラビン誘導を、そして次にリツクシマブ(登録商標)を投与する。
【0065】
骨髄機能廃絶化学療法とのリツクシマブ(登録商標)
骨髄機能廃絶化学療法は、無痛性リンパ腫において応答を示した。しかし、高用量治療法にもかかわらず残存腫瘍細胞が残り、再注入したPBSCが腫瘍細胞を含有するかも知れない。残存CD20+腫瘍細胞を減らしたり、採取する骨髄または幹細胞の汚染を低減するために、リツクシマブ(登録商標)は、幹細胞動員前および移植後に使用されている。中間結果は、採取された細胞中でCD20+細胞は検出されないことを示した。24人の患者のうち18人は、移植を達成し、治療は充分許容された。残存腫瘍細胞を評価するためのPCR試験が行われている(18)。
【0066】
リツクシマブ(登録商標)による再発性低悪性度NHLの再治療
リツクシマブ(登録商標)に応答し後に再発した53人の患者の再治療を評価する試験が報告されている(19)。56人の評価可能な患者のうち7人(13%)はCRを達成し、16人はPR(29%)、ORRは42%であった。2回目の応答があった4人の患者に3回目の治療を行った(これらのうち3人は応答した)。
【0067】
リツクシマブ(登録商標)の2コース後に、1人の患者の腫瘍(最初は、濾胞性非切れ込み細胞NHLと分類された)は、もうCD20抗原を発現せず、びまん性巨大細胞NHLへの形質転換時にリツクシマブ(登録商標)に対して不応答性であった(20)。
【0068】
すなわち、リツクシマブ(登録商標)による先行治療後に再発した患者の治療にリツクシマブ(登録商標)による再治療は有効ではあるが、2回目の治療後にCD20+腫瘍細胞の頻度が増加することがある。この観察結果は、本明細書に記載の併用療法の有用性を支持している。
【0069】
低悪性度NHLのためのリツクシマブ(登録商標)とCHOP化学療法との併用
シクロホスファミド、ドコソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニソンによる化学療法(CHOP)は、低悪性度または濾胞性NHLの最初の有効な治療法である。初期応答率は高いが、最終的に再発し、以後の化学療法では、緩解の間隔がより短くなる。低悪性度または濾胞性NHLの作用機序は、交差耐性ではなく、リツクシマブ(登録商標)はいくつかの細胞障害性薬剤(ドコソルビシンを含む)と相乗作用を示す(5)ため、新に診断された再発性低悪性度NHLまたは濾胞性NHLにおけるCHOPとリツクシマブ(登録商標)との併用を評価するために第II相試験を開始した。
【0070】
38人の患者のうち29人は、先行の抗癌療法を行わなかった。CHOPは、標準用量で3週間毎にリツクシマブ(登録商標)(375mg/m
3)を6回注入する6サイクルを行った。リツクシマブ(登録商標)注入1と2は、最初のCHOPサイクル(これは8日目に開始した)の前の1日目と6日目に投与した。リツクシマブ(登録商標)注入3と4は、それぞれ第3および第4のCHOPサイクルの2日前に投与し、注入5と6は、6回目のCHOPサイクル後のそれぞれ134日目と141日目に投与した。
【0071】
この併用試験では、治療した38人の患者の100%が応答した(CR、58%;PR、42%)。治療を完了した35人の評価可能な患者のうち、63%はCRで37%はPRであった(21)。平均DRは35.3+ヶ月であり、悪化の無い平均生存時間は、平均観察時間36.7ヶ月後に達成されなかった。36+ヶ月〜53.4+ヶ月後にもまだ、20人の患者は緩解中であった(22)。最初の治療にとってもこのDRは驚くべきことであり、この試験集団の24%は化学療法後に再発した。
【0072】
GALGBが実施する試験では、低悪性度NHLの40人の患者に、リツクシマブ(登録商標)を週に1回を8回、そして8日目から開始して経口シクロホスファミドを毎日投与する。20人の患者には、リツクシマブ(登録商標)のみを8週間投与する。
【0073】
低悪性度NHLの患者についてECOGが実施する第III相試験は、シクロホスファミドおよびフルダラビン(アームA)と、標準的CVP療法(アームB)との併用を比較している。アームAまたはアームBへのランダム化において、患者は、年齢、腫瘍負荷量、組織染色、およびB症状により分類する。両方のアームでの応答者は、リツクシマブ(登録商標)維持療法(375mg/m
2を週に1回で4回、6ヶ月毎に2年間(アームC))または観察(アームD)への第2のランダム化を受ける。
【0074】
リツクシマブ(登録商標)とサイトカインとの併用
リツクシマブ(登録商標)+インターフェロンアルファ
インターフェロンは、免疫系の調節に関与するサイトカインである(23)。インターフェロンが抗体の有効性を上昇させる機序は、抗体発現の強化(24)、腫瘍への抗体のターゲティングの上昇(25、26)、および免疫毒素の細胞障害性の上昇(27)がある。
【0075】
併用治験で、NHLで単一薬剤臨床活性を有する(28)サイトカインであるインターフェロンアルファ(ロフェロン−A(Roferon-A))とリツクシマブ(登録商標)を、再発性低悪性度または濾胞性NHLを有する患者に投与した。インターフェロンアルファ(2.5または5MIU)を、週に3回で12週間皮下投与した。リツクシマブ(登録商標)は、治療の第5週に開始して、IV注入を週に1回で4回(375mg/m
2)投与した。ORRは45%(17/38患者)であり、11%がCRを、そして34%がPRを有した。応答者中の平均DRとTTPのカプラン−マイアー(Kaplan-Meier)推定値は、それぞれ22.3+と25.2+ヶ月であった(29)。インターフェロンアルファとアントラサイクリンを含む化学療法との以前の併用試験では、悪化までの時間は延長したが、一貫して応答性または生存率を上げることはなかった(30〜32)。これらの初期の結果は、リツクシマブ(登録商標)とインターフェロンアルファとの併用は、リツクシマブ(登録商標)単独と比較して、悪化までの時間を延長させることを示唆する。
【0076】
リツクシマブ(登録商標)+G−CSF
別の試験で、リツクシマブ(登録商標)とG−CSFを、再発性低悪性度NHLで評価されている。健常志願者でのインビトロならびにインビボの試験で、G−CSFは脊髄性前駆細胞に対するその作用を介して、ADCCでエフェクター細胞として機能することができるFcRI陽性好中球を誘発することが証明されている。このために、併用療法の毒性と有効性を評価するために、第I/II相試験を開始した。
【0077】
第I相とII相試験において、リツクシマブ(登録商標)の投与前2日目に開始して標準用量のG−CSF(5μg/kg/日)を、患者に3日間投与した。第I相は、リツクシマブ(登録商標)の用量の増加からなった(125、250、または375mg/m
2、毎週1回×4)。これまで評価された9人の患者の初期結果は、9人の患者のうち8人で弱毒性を有する67%のORR(44%のCR、22%のPR)を有した。最も頻繁な有害事象は、発熱(4/8患者)、鼻炎(4/8)、寒気(3/8)、および頭痛(3/8)であり、これは、リツクシマブ(登録商標)単独投与で以前観察された有害事象に匹敵した。試験の第II相部分を開始しており、これはG−CSFと375mg/m
2リツクシマブ(登録商標)×4の併用の有効性を試験するであろう。
【0078】
リツクシマブ(登録商標)+IL−2
NHLを治療するのに、自己末梢血幹細胞(PBSC)または骨髄(BM)レスキューによる高用量療法が使用されているが、再発のリスクが高い(50〜80%)ため、成功率が限定されている。移植後の持続性のある緩解を改善するために、IL−2による高用量および低用量を含む免疫療法が、多くの治療センターで試験されている。このような試験は、IL−2療法が早期の移植後抗腫瘍活性を示すことを示唆している。
【0079】
まず自己移植後に、患者は、免疫再構成の遅延を示し、これは、免疫介在腫瘍根絶を低下させる可能性がある(43、44)。実際、CD$+ T細胞と細胞障害性CD8+ T細胞が低下していることが証明されている(45〜49)。インビトロ測定法は、分裂促進物質と可溶性抗原に応答して、T細胞細胞溶解性および増殖性応答の大きな抑制ならびにIL−2産生の低下を証明している。しかし可溶性IL−2は、これらの免疫応答を回復することができ、自己移植後の患者の免疫細胞は、外因性IL−2に応答することができることを示唆する(47)。BMT後は末梢血NK活性も対照値より低いままであり、NK活性もまた、外因性IL−2の添加により増強される(49)。これらのデータは、幹細胞移植後まもなくの患者へのIL−2投与は、腫瘍負荷量が最小であり、IL−2の非存在下で免疫応答性が欠如している決定的に重要な時期に、免疫応答性を増強することを示唆する。
【0080】
例えばカリギウル(Caligiuru)らは、0.45×10
6U/M
2/日で24時間CIVで12週間投与したIL−2(ホフマン−ラロッシュ(Hoffman-LaRoche))は、CD56が明白なNK細胞の絶対数を拡張することができることを証明した(50〜52)。この療法を、毒性のほとんど無い通院ベースで非移植患者に行った。
【0081】
動物試験は、非LAK誘導性の低用量IL−2は、腫瘍特異的Tエフェクター細胞とともに投与されると、抗腫瘍活性を劇的に増強することを証明した(53)。さらにソイファー(Soiffer)ら(54)は、再発性白血病またはリンパ腫の治療を受けている13人の自己BMTまたはT細胞枯渇同種BMT受容者に、低用量のIL−2を投与した。免疫学的応答性の増強が実験室で証明され、循環性のCD56の明白なCD16+CD3−NK細胞が5〜40倍増加した。さらにこのIL−2の低用量法により、NK標的K562のインビトロ死滅が増強された。ソイファー(Soiffer)ら(55)は、低用量IL−2を投与された29人の同種異系BMT患者の結果を更新し、これらの患者の生存率(70%)が組織検査対照(30%、p=0.41)と比較して優れていることを見いだした。
【0082】
ラウリア(Lauria)ら(56)は、2×10
6IU/m
2の用量を隔日に2週間と次に3×10
6IU/m
2の用量を週に2回で1年間IL−2を投与して、ABMT後平均42日の高悪性度NHLの11人の患者を治療した。表現型分析は、6ヶ月の治療後に、総リンパ球の比率と絶対数の持続的かつ有意な(p=0.001)増加、特にCD16とCD56 NK細胞の増加を示した。治療開始後の平均22ヶ月(範囲10〜42ヶ月)の追跡で、いずれの患者も悪化しなかった。さらにABMT後の残存病変を有する2人の患者(1人は肝臓で2人目はリンパ節)は、IL−2治療の7および10ヶ月後に完全緩解を示した。
【0083】
ベイ(Vey)ら(57)は、難治性または再発性HD(11人の患者)とNHL(14人の患者)を有する25人の患者を低用量IL−2で治療した。48%の患者は、移植で抵抗性の病変を有し、84%はABMT後にCRを達成した。IL−2は移植後平均54日で開始し、最初の5日間を1サイクル後1週置きに2日間を4サイクルから構成された。患者は、平均160×10
6IU/m
2のIL−2を投与された。5年間の追跡後、生存の確率とDFSは、72%(HD 73%とNHL 70%)と45%(HD 36%とNHL 48%)である。
【0084】
フレッドハッチンソン癌研究センター(Fred Hutchinson Cancer Research Center)(FHCRC)のグループは、低用量IL−2治療法が通院状況で充分許容され、低用量IL−2で治療された患者の緩解は、IL−2治療の無い患者より長くなる傾向があることを最近見いだした。IL−2治療法は、免疫細胞のいくつかの集団の数の増加に関連していた(CD8+CD69+細胞;CD16+CD8+細胞;CD16+CD69+細胞;CD16+CD56+細胞;CD16+CD122+細胞;CD16+Dr+細胞;およびCD8+CD56+細胞を含む)。腫瘍標的K562とダウジ(Daudi)に対する溶解活性の発現も増加し、それぞれ平均5.9倍と6.5倍の増加を示した。再発は(起きた時は)、移植後平均17.8ヶ月で発生し、従って緩解は、IL−2治療の無い移植受容者で歴史的に見られたものより特徴的に長いことが報告された。
【0085】
ABMT移植受容者に対するIL−2による単一治療試験から有望なデータを考慮すると、リツクシマブ(登録商標)の生物活性は、ADCCと補体介在溶解活性を介するようであるため、移植後にIL−2治療法をリツクシマブ(登録商標)と併用することが妥当と思われた。従って、併用療法の安全性と可能な薬効を評価するためにFHCRCと共同して第I相試験を開始した。
【0086】
低用量IL−2とリツキサン(登録商標)を投与されている患者の薬効とHACA形成の頻度を評価するために、別の第II相試験も行われている。この試験の具体的な目的は、IL−2へのインビボ暴露によりADCCが増強されるかどうか、かつADCC活性が臨床応答と相関するかどうかを評価することである。患者の試験対象基準は、組織学的に確認されたステージII〜IV低悪性度濾胞性B細胞またはマントル細胞リンパ腫である。この臨床試験の目的において、マントル細胞リンパ腫は、免疫組織化学によるCD5+、CD23−(利用できるなら)および/またはbcl−1+であると定義される。標準的治療法(すなわち、化学療法、放射線治療法、ABMTおよび/または免疫治療法)による初期の治療に応答しないかまたは再発した患者は、適合する。
【0087】
再発性低悪性度NHLまたは濾胞性B細胞リンパ腫の治療のためのリツクシマブ(登録商標)+GM−CSF
リツクシマブ(登録商標)とGM−CSFによる併用療法の有効性を試験するために、2つの別の第II相試験も開始している。1つの試験は、再発性低悪性度B細胞リンパ腫を有する40人の患者を含み、375mg/m
2のリツクシマブ(登録商標)を週1回×4(d.1、8、15、22)およびリツクシマブ(登録商標)の最初の投与の1時間前に開始して、240μgのGM−CSF(ロイキン(Leukine)、イムネックス(Immunex))を皮下に週3回で8週間投与する。この試験は、併用療法の臨床的有効性(全体的応答率(ORR)、全体的完全応答率、悪化までの時間と疾患の無い生存)を評価するために、併用療法の安全性(有害事象の定性、定量、持続と可逆性)を解析するために、そして関係のあるリンパ球亜集団とサイトカインに対する併用療法の作用を測定するために、使用される。第2の試験は、死滅の機序を評価するために免疫学的パラメータを追跡することも計画している(補体C3とC4、CH50、CD3、CD4、CD8、CD16、CD19およびCD56のフローサイトメトリー、およびADCC測定法)。
【0088】
リツクシマブ(登録商標)+ガンマインターフェロン
低悪性度またはより高い悪性度のリンパ腫を有する患者を治療するのに、ガンマインターフェロンもリツクシマブ(登録商標)との併用療法が有用かも知れない。ガンマインターフェロンは、多発性骨髄腫(MM)患者の形質細胞、患者B細胞ならびに正常ドナーB細胞上でのCD20発現をアップレギュレーションすることが最近見いだされた(トレオン(Treon)ら、ルガノ(Lugano)、1999)。実際トレオン(Treon)と共同研究者たちは、ガンマインターフェロンがこれらの細胞のリツクシマブ(登録商標)への結合を増強することを証明した。形質細胞上でのCD20発現の誘導は、用量依存性に起き、1U/mlのインターフェロンガンマという少ない量でアップレギュレーションが見られた。48時間で100U/mlでプラトーになった。すなわちガンマインターフェロンもまた、リツクシマブ(登録商標)と組合せて投与することが有用なようである。
【0089】
中悪性度と高悪性度NHL
単一薬剤試験
ヨーロッパとオーストラリアで行われた試験では、54人の再発性または抵抗性中悪性度または高悪性度NHL患者で、代替投与スケジュールを評価した(34)。リツクシマブ(登録商標)を375mg/m
2を週1回で8回、または375mg/m
2を1回と次に500mg/m
2を週1回で7回注入した。ORRは31%(CR 9%、PR 22%)で、投与法の間に有意な差は観察されなかった。びまん性巨大細胞リンパ腫を有する患者(N=30)は、ORRが37%であり、マントル細胞リンパ腫を有する患者(N=12)はORRが33%であった。
【0090】
リツクシマブ(登録商標)とCHOP化学療法の併用
別の試験では、中または高悪性度NHLを有する31人の患者(女性19人、男性12人、平均年齢49才)に、6回の21日サイクルのCHOPの1日目にリツクシマブ(登録商標)を投与した(35)。30人の評価可能な患者のうち、19人はCR(63%)で10人はPR(33%)であり、ORRは96%であった。この治療法は充分許容されると考えられ、リツクシマブ(登録商標)またはCHOP単独より高い応答を示すようである。
【0091】
NCI癌治療と診断部門(NCI Division of Cancer Treatment and Diagnosis)はアイディーイーシーファーマシューチカルズ社(IDEC Pharmaceuticals Corporation))と共同して、他の適応症でのリツクシマブ(登録商標)治療を探索している。混合性のびまん性巨大細胞および免疫芽球性巨大細胞組織学的NHLを有する高齢患者(>60才)で、ECOG、CALGBおよびSWOGによりCHOP対CHOPとリツクシマブ(登録商標)の第II相試験が行われている(N=630が計画されている)。この試験は、リツクシマブ(登録商標)による維持対非維持への2次ランダム化を含む。
【0092】
マントル細胞リンパ腫が未治療の40人の患者でリツクシマブ(登録商標)とCHOPの第III相試験も、ダナファーバー研究所(Dana Farber Institute)で行われている。21日毎の6サイクルで、リツクシマブ(登録商標)は1日目に投与され、CHOPは1〜3日目に投与される。この試験の発生項目は完了している。SWOGにより行われた新に診断された濾胞性リンパ腫でCHOPの後にリツクシマブ(登録商標)を使用する第II相試験もまた、完了している。これらの2つの試験の結果は現在解析されている。
【0093】
AIDS悪性腫瘍協会(AIDS Malignancy Consortium)によるHIV関連NHLにおけるCHOPとリツクシマブ(登録商標)対CHOPの第II相試験が行われている。120人の患者が計画されている。
【0094】
骨髄機能廃絶化学療法再発後のリツクシマブ(登録商標)
自己PBSC支持による高用量治療後の再発性中悪性度NHLの患者で、リツクシマブ(登録商標)は有望な初期結果を示した。応答した7人の患者のうちの6人(CR1人、PR5人)と1人の患者は、安定な疾患を有し、治療は充分許容された(36)。
【0095】
安全性経験
5つの単一薬剤米国試験の315人の患者の有害事象と臨床実験室データを組合せて、低悪性度または濾胞性NHL患者のリツクシマブ(登録商標)の安全性プロフィールを提供する。大半の有害事象は注入関連であり、最初の注入後には頻度が低下して起きた。最も一般的な注入関連事象は、発熱(49%)、寒気(32%)、吐き気(18%)、疲労(16%)、頭痛(14%)、血管浮腫(13%)、かゆみ(10%)、および時々低血圧(10%)と気管支けいれん(8%)であった。治療期間中(最後の投与後30日まで)、10%の患者はグレード3または4の有害事象を示し、これは主に注入関連または血液学関連であった。血小板減少症(<50,000血小板/mm
3)が1.3%の患者に、好中球減少症(<1000/mm
3)が1.9%に、そして貧血(<8gm/dl)が1.0%に起きた。リツクシマブ(登録商標)は70%〜80%の患者でB細胞枯渇を誘発したが、異常に低い血清免疫グロブリンが少数の患者で観察され、感染頻度は上昇していないようであった。
【0096】
リツクシマブ(登録商標)注入の介入が必要な低血圧は、10%の患者で発生し、1%ではグレード3または4であった。13%の患者で血管浮腫が報告され、1人の患者では重症と思われた。気管支けいれんは8%の患者で発生し、2%は気管支拡張薬で治療された。閉鎖性気管支梢炎の1件の報告も注目された。2回目および以後の注入までに、多くの患者はさらなる注入関連の毒性は示さなかった。再治療により有害事象を報告する患者の割合は、第1回目のコース後に報告されたものに類似していた(14)。
【0097】
リツクシマブ(登録商標)注入の間に4人の患者は不整脈を発症した。4人のうちの1人は、心室性頻脈と上室性頻拍のために治療を中止した。他の3人の患者は、三連脈(N=1)と不整脈(N=2)を示したが、治療の中止は必要ではなかった。心筋梗塞の病歴を有する1人の患者では、注入の間に狭心症が報告され、注入の4日後に心筋梗塞を起こした。
【0098】
有害事象の全体の発生率とグレード3と4の有害事象の発生率は、非巨大病変を有する患者より巨大病変を有する患者でより高かった。めまい、好中球減少症、血小板減少症、筋肉痛、貧血および胸痛は、>10cmの病変を有する患者でより高かった。グレード3または4の好中球減少症、貧血、低血圧、および呼吸困難の発生率も、<10cmの病変を有する患者に比較して巨大病変を有する患者で高かった(19)。
【0099】
再発性または抵抗性の低悪性度または濾胞性NHLの治療について1997年にリツクシマブ(登録商標)がFDAにより認可されて以来、推定17,000人の患者が治療されている。1998年5月に、リツクシマブ(登録商標)の使用に関連する重症の注入関連有害事象が致死的結果を引き起こした8つの市販後報告がまとめられた。8人の死亡のうちの7人では、最初のリツクシマブ(登録商標)注入中に重症の症状が発生した。8症例のうちの2例については、死因は報告されないかまたは不明である。重症の呼吸事象(低酸素症、肺浸潤、または成人型呼吸窮迫症候群)が8人の報告された死亡のうちの6人の死亡を引き起こした。1人の患者は、治療前のリンパ球数が600,000/mm
3であり、二人目はクレアチニンが8,3人目は呼吸速度が40、4人目は汎血球減少症を有した。高腫瘍負荷または循環悪性腫瘍細胞の多い患者はよりリスクが高く、これらの患者は、各注入中注意深く追跡する必要がある。
【0100】
最近報告された多くの有害事象のほとんどは、リツクシマブ(登録商標)の臨床試験で以前観察されたものであった。1つの目立つ例外は、急速な腫瘍溶解を伴う注入関連症状であり、これは循環腫瘍細胞の多い6人の患者で報告された(37、38)。この症状は、発熱、硬直、低酸素血症を伴う気管支けいれん、末梢血リンパ球の急速な低下、腫瘍破壊の実験室的証拠、および一過性の重症血小板減少症が特徴である。これらの患者は、B前リンパ球性白血病(N=2)、慢性リンパ性白血病(N=2)、マントル細胞リンパ腫(N=1)、または形質転換NHL(N=1)を診断された。これらすべての患者は、循環リンパ球が高く、巨大腺症と臓器巨大症があった。これらの6人の患者のうち5人は入院が必要であったが、症状は解消し、以後のリツクシマブ(登録商標)治療は充分許容された。最後の患者は、さらに治療を拒否し、2週間後に疾患の悪化により死亡した。
【0101】
CLLを有する7人の患者とマントル細胞リンパ腫を有する1人の患者の別の報告では、リンパ球数が>10×10
9Lの患者で最初のリツクシマブ(登録商標)注入後に腫瘍溶解症状が観察された(39)。
【0102】
リツクシマブ(登録商標)と併用した
90イットリウム標識抗CD20抗体による放射線免疫治療法
評価中のNHLへの別の治療的アプローチは、放射能標識抗CD20抗体(IDEC−Y2B8)のリツクシマブ(登録商標)との併用である。IDEC−Y2B8(
90Y−イブリツモマブチウキセタン(
90Y-ibritumomab tiuxetan))は、キレート剤MX−DTPA(これは抗体に共有結合している)を介して
90Yに結合したマウスIgG
1 カッパ抗CD20抗体である。リツクシマブ(登録商標)(250mg/m
2)は、末梢Bリンパ球を枯渇させかつ放射能標識抗体の生体分布を改善するためにIDEC−Y2B8の前に投与される。
【0103】
最近報告された第I/II相試験(40〜42)では、低悪性度NHL(N=34)、中悪性度NHL(N=14)、またはマントル細胞リンパ腫(N=3)の患者が、IDEC−Y2B8で治療された。平均年齢は60であり、71%は男性であり、96%はコーカサス人種であった。再発性または抵抗性NHLの51人の患者のうち、34人(67%)は、単回投与の0.2、0.3、または0.4mCi/kgのIDEC−Y2B8に応答した。低悪性度または濾胞性NHLの患者ではORRは82%(28/34)であり、中悪性度リンパ腫の患者では43%(6/14)であった。マントル細胞疾患の患者は応答しなかった。
【0104】
低悪性度濾胞性または形質転換NHL患者の治療についてIDEC−Y2B8とリツクシマブ(登録商標)(375mg/m
2を週に1回で4回)を比較する第III相ランダム化試験が行われている。リツクシマブ(登録商標)に対して抵抗性である再発性NHLの患者で、別の第III相試験も行われている。
【0105】
要約
NHLの治癒治療法が存在しない状況下で、治療の目的は、有意義な期間疾患の抑制を達成し、過度の毒性無しで腫瘍関連症状の緩解を提供することである。リツクシマブ(登録商標)による治療は、ほとんどの患者で有害事象が限定された短期の22日間の通院治療法である。臨床試験では、評価可能な再発または化学療法抵抗性低悪性度または濾胞性NHL患者の50%は、完全応答または部分的応答を達成した。これらの応答は、維持治療法無しで永続性があり、重要な試験で応答者の平均TTPは13.2ヶ月で、平均DRは11.6ヶ月であった。
【0106】
リツクシマブ(登録商標)は、再発性低悪性度または濾胞性B細胞NHL患者の安全かつ有効な治療薬として認可されている。これは、有意な臨床活性、新規の作用機序を有し、応答率と応答の持続期間で代替治療法に充分匹敵する。進行中の試験の完了により、他のCD20+Bリンパ球悪性腫瘍の治療における代替リツクシマブ(登録商標)治療法とリツクシマブ(登録商標)の役割が証明されるであろう。
【0107】