(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6241805
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】プロジェクタースクリーン装置、プロジェクタースクリーンシステム及びテーブル
(51)【国際特許分類】
G03B 21/62 20140101AFI20171127BHJP
【FI】
G03B21/62
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-150374(P2017-150374)
(22)【出願日】2017年8月3日
【審査請求日】2017年8月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510286433
【氏名又は名称】株式会社ネットアプリ
(74)【代理人】
【識別番号】100154966
【弁理士】
【氏名又は名称】海野 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 誠
【審査官】
村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/143639(WO,A1)
【文献】
特開2008−307091(JP,A)
【文献】
特開平06−301116(JP,A)
【文献】
特開平06−167745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 − 21/10
G03B 21/12 − 21/30
G03B 21/56 − 21/64
G03B 33/00 − 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面が光透過性を有する材料から成る中空の本体部と、
前記本体部の内部に収容される光非透過性の流体と、
前記本体部と密着して又は離れた位置に配置される透過型プロジェクタースクリーンとを備えており、
プロジェクターから投写された光が、外力の作用により前記上面と前記下面とが密着して成る密着箇所を透過して前記透過型プロジェクタースクリーンに至ることを特徴とするプロジェクタースクリーン装置。
【請求項2】
光透過性を有する材料から成り、前記本体部に載せることで自重を利用して前記上面と前記下面とを密着させる密着用部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項3】
前記透過型プロジェクタースクリーンが前記密着用部材に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項4】
前記密着用部材が容器形状であることを特徴とする請求項2又は3に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項5】
前記本体部が、前記上面と前記下面とが密着した際に前記流体が流れ込む退避部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項6】
前記本体部の周囲を囲む外骨格部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項7】
前記本体部が前記流体を内部に注入するための注入口を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項8】
前記流体が液体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項9】
前記流体がジェル状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項10】
前記流体が気体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項11】
前記プロジェクターから投写された光の進行方向を変えるための反射鏡を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項12】
内部に空気が充填されているクッションを備えており、
前記クッションの側面に前記本体部が取り付けられることで、前記本体部が鉛直方向に広がることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項13】
前記クッションが、前記プロジェクターを格納するための凹部を備えることを特徴とする請求項12に記載のプロジェクタースクリーン装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置を備えており、
更に、プロジェクターと、
前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する検出手段と、
前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた映像が出力されるように前記プロジェクターから投写される映像を制御する映像制御手段とを備えることを特徴とするプロジェクタースクリーンシステム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置を備えており、
更に、プロジェクターと、
スピーカーと、
前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する検出手段と、
前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた音声を前記スピーカーから出力させる音声制御手段とを備えることを特徴とするプロジェクタースクリーンシステム。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置を備えており、
更に、プロジェクターと、
スピーカーと、
前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する検出手段と、
前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた映像が出力されるように前記プロジェクターから投写される映像を制御する映像制御手段と、
前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた音声を前記スピーカーから出力させる音声制御手段とを備えることを特徴とするプロジェクタースクリーンシステム。
【請求項17】
前記検出手段が、前記本体部の画像データのRGB値に基づいて前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出することを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーンシステム。
【請求項18】
前記検出手段が暗視監視カメラを備えており、
前記暗視監視カメラが撮影した前記本体部の画像データに基づいて前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出することを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーンシステム。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロジェクタースクリーン装置を備えており、
更に、光透過性を有する材料から成り、前記本体部を載せるための天板と、
前記天板を支持する脚部とを備えることを特徴とするテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタースクリーン装置、このプロジェクタースクリーン装置を備えるプロジェクタースクリーンシステム及びテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターは直視型ディスプレイと比較して大きなサイズの映像(動画像や静止画像)を低コストで視聴できる利点を有している。
本願発明者は、中空のクッション本体部の上部に透過型スクリーンを配置し、この透過型スクリーンにプロジェクターの光を投射することで、クッション本体部にうつ伏せの状態で横たわるユーザーがプロジェクターの映像を大画面で視聴できるプロジェクタースクリーン付きクッションを開発した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6120425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術では以下のような問題がある。
すなわち、ユーザーは透過型スクリーンに投写された映像をそのまま視聴できるにすぎず、ユーザー自身が映像の位置、大きさ、形状を自在に変えることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を考慮して、ユーザーが映像の位置、大きさ、形状を自在に変えることができるプロジェクタースクリーン装置、このプロジェクタースクリーン装置を備えるプロジェクタースクリーンシステム及びテーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプロジェクタースクリーン装置は、上面及び下面が光透過性を有する材料から成る中空の本体部と、前記本体部の内部に収容される光非透過性の流体と、前記本体部と密着して又は離れた位置に配置される透過型プロジェクタースクリーンとを備えており、プロジェクターから投写された光が、外力の作用により前記上面と前記下面とが密着して成る密着箇所を透過して前記透過型プロジェクタースクリーンに至ることを特徴とする。
また、光透過性を有する材料から成り、前記本体部に載せることで自重を利用して前記上面と前記下面とを密着させる密着用部材を備えることを特徴とする。
また、前記透過型プロジェクタースクリーンが前記密着用部材に取り付けられていることを特徴とする。
また、前記密着用部材が容器形状であることを特徴とする。
また、前記本体部が、前記上面と前記下面とが密着した際に前記流体が流れ込む退避部を備えることを特徴とする。
また、前記本体部の周囲を囲む外骨格部を備えることを特徴とする。
また、前記本体部が前記流体を内部に注入するための注入口を備えることを特徴とする。
また、前記流体が液体であることを特徴とする。
また、前記流体がジェル状であることを特徴とする。
また、前記流体が気体であることを特徴とする。
また、前記プロジェクターから投写された光の進行方向を変えるための反射鏡を備えることを特徴とする。
また、内部に空気が充填されているクッションを備えており、前記クッションの側面に前記本体部が取り付けられることで、前記本体部が鉛直方向に広がることを特徴とする。
また、前記クッションが、前記プロジェクターを格納するための凹部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のプロジェクタースクリーンシステムは、上記プロジェクタースクリーン装置を備えており、更に、プロジェクターと、前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する検出手段と、前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた映像が出力されるように前記プロジェクターから投写される映像を制御する映像制御手段とを備えることを特徴とする。
また、上記プロジェクタースクリーン装置を備えており、更に、プロジェクターと、スピーカーと、前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する検出手段と、前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた音声を前記スピーカーから出力させる音声制御手段とを備えることを特徴とする。
また、上記プロジェクタースクリーン装置を備えており、更に、プロジェクターと、スピーカーと、前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する検出手段と、前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた映像が出力されるように前記プロジェクターから投写される映像を制御する映像制御手段と、前記信号を受信し、前記密着箇所の位置及び/又は大きさに応じた音声を前記スピーカーから出力させる音声制御手段とを備えることを特徴とする。
また、前記検出手段が、前記本体部の画像データのRGB値に基づいて前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出することを特徴とする。
また、前記検出手段が暗視監視カメラを備えており、前記暗視監視カメラが撮影した前記本体部の画像データに基づいて前記密着箇所の位置及び/又は大きさを検出することを特徴とする。
本発明のテーブルは、上記プロジェクタースクリーン装置を備えており、更に、光透過性を有する材料から成り、前記本体部を載せるための天板と、前記天板を支持する脚部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプロジェクタースクリーン装置及びプロジェクタースクリーンシステムによれば、プロジェクターの光は密着箇所を透過して透過型プロジェクタースクリーンに至る。ユーザーが密着箇所の位置、大きさ、形状を変えることで透過型プロジェクタースクリーンに映る映像の位置、大きさ、形状をリアルタイムで変えることができる。
本体部を軟質塩化ビニールや低密度ポリエチレン等の安価で透明性及び柔軟性を有する材料で製造することにすれば製造コストを抑えることができ、また、本体部を大型にしても比較的軽量にできる。
透過型プロジェクタースクリーンを本体部に密着して配置することにすれば、密着用部材に透過型プロジェクタースクリーンを取り付ける必要がなくなり、密着用部材の製造コストを抑えることができる。
密着用部材を皿、フォーク、スプーン等の食器形状にすれば、密着用部材を食器そのものとして使用することができる。この場合、映像を食器に合わせた柄にしたり、食器の柄を変えたりすることができる。また、食器の移動に合わせて映像も移動させることができ、食事の演出効果を高めることができる。
密着用部材を用いずに、ユーザーが自身の指や掌等で本体部を押さえて上面と下面とを密着させることにしてもよい。この場合、ユーザーの指や掌の周囲に密着箇所が形成されて映像が投写されることになる。
本体部に退避部を設けることで、大型の密着用部材を用いる場合でも、流体を退避部内に流れ込ませることで確実に密着箇所を形成することができる。
【0009】
本体部の周囲を囲む外骨格部を備えることにすれば本体部の変形を抑制でき、本体部の厚さを均一化できる。
本体部が注入口を備えることにすれば、本体部内の流体の量を容易に調整できる。また、本体部内の流体を外部に排出することで本体部を小さくして収納できる。
流体として着色した水等の液体を用いることにすれば、流体を安価且つ容易に入手できる。
流体としてジェル状の物質を用いることにすれば、外力を付加して流体が移動した変形状態を、外力を除去したあとでも一定時間維持することができる。
流体として着色した気体を用いる事にすれば、本体部の重量軽減が図れる。また、外力を付加して流体が移動した変形状態を、その外力が除かれた際に液体やジェル状の密度や粘性の有る流体に比して素早く元の変形以前の状態にすることができるため、密着箇所を素早く移動させる必要が有る用途には好適である。
反射鏡を用いることで透過型プロジェクタースクリーンの向きに合わせて光の進行方向を変えることができる。
クッションの側面に本体部を取り付けることで、本体部の下方が撓むことを防止できる。ユーザーは鉛直方向に広がる映像を見ることができ、また、ユーザーは空中に浮かんだ映像を見ることができる。この場合はユーザーが自身の指や掌等で本体部を押さえて密着箇所を形成することになる。
また、クッションにプロジェクターを格納するための凹部を設けることで、クッションを膨らませた状態でプロジェクターから透過型プロジェクタースクリーンまでの距離を一定に保つことができる。したがって、プロジェクターのピントを合わせる必要が無くなるという効果や、プロジェクターを凹部に格納するだけでプロジェクターを保持できるという効果がある。また、クッションを用いることで軽量になり、且つプロジェクターを保持するための金属部材が不要なので転倒した際の安全性も確保できる。また、クッションの空気を抜くことで小さく折り畳んで収納することができる。
本体部にタイヤを設けることで透過型プロジェクタースクリーン装置の移動が容易になる。
本体部をテーブルの天板に取り付けることで透過型プロジェクタースクリーンを備えるテーブルを得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態におけるプロジェクタースクリーン装置の正面図(a)及び平面図(b)
【
図2】退避部を備える本体部の正面図(a)及び密着用部材を本体部に載せた状態の正面図(b)
【
図3】外骨格部を備える本体部の正面図(a)及び平面図(b)
【
図4】密着用部材の形状の変形例を示す正面図(a)及び平面図(b)
【
図5】密着用部材の形状の変形例を示す正面図(a)及び平面図(b)
【
図6】第2の実施の形態における反射鏡を備えるプロジェクタースクリーン装置の正面図
【
図7】第3の実施の形態における透過型プロジェクタースクリーンを本体部と離れた位置に配置した構成を示す正面図
【
図8】透過型プロジェクタースクリーンの変形例を示す正面図
【
図9】第4の実施の形態における透過型プロジェクタースクリーンを本体部と密着して配置した構成を示す正面図(a)及び平面図(b)
【
図11】第5の実施の形態におけるクッションを備えるプロジェクタースクリーン装置の正面図(a)及びクッションを備えずに本体部を立てた状態を示す正面図(b)
【
図12】クッションに凹部を設けた構成を示す正面図
【
図13】プロジェクタースクリーンシステムの構成を示す正面図(a)及び平面図(b)
【
図14】プロジェクタースクリーンシステムの構成を示すブロック図
【
図15】画像解析方法を説明するための図(a)〜(c)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[プロジェクタースクリーン装置の第1の実施の形態]
以下、本発明のプロジェクタースクリーン装置の第1の実施の形態を図面を用いて示す。
図1(a)及び(b)に示すように、プロジェクタースクリーン装置1は本体部10、流体20及び透過型プロジェクタースクリーン30から概略構成される。
本体部10は上面11及び下面12が光透過性を有する材料からなる中空の部材である。本体部10の材料としては例えば軟質塩化ビニール、低密度ポリエチレン等の透明性及び柔軟性を有する材料が好ましいが必ずしもこれに限定されない。本体部10は、脚部41によって支持された天板40の上に載せられている。天板40は光透過性を有する材料から成る。プロジェクタースクリーン装置、天板40及び脚部41を一組にすることでプロジェクタースクリーン機能を持つテーブル42が構成される。
【0012】
流体20は光非透過性の材料からなり、本体部10の内部に収容される。流体20は水等の液体やジェル状の物質に着色を施すことで光が透過しないように加工したものである。なお、本明細書では、本体部10の内部に流体20を収容した状態でプロジェクター70から投写された光が本体部10を透過しない場合には流体20が光非透過性を有しているものとする。したがって、流体20自体が光を完全に透過させない性質を有している場合だけでなく、流体20の厚さ(上下方向の高さ)を増すことで光が本体部10を透過しない場合にも流体20が光非透過性を有しているものとする。流体20に着色することで本体部10の意匠性を高めることもできる。
流体20は本体部10の注入口13から内部に注入される。また、注入口13から流体20を外部に排出することで本体部10を圧縮して収納することができる。
本実施の形態では本体部10の形状を平面視四角形状にしているが、他にも例えば平面視円形状、三角形や五角形等の多角形状であってもよく、或いは鉛直方向に沿った断面がかまぼこ型等であってもよい。
【0013】
本体部10に対して外力を作用させ、上面11と下面12とを密着させることで密着箇所14が形成される。
本実施の形態では密着用部材50によって本体部10に外力を作用させる。具体的には、密着用部材50は光透過性を有する材料から成る直方体形状であり、本体部10の上面11に載せることで自重によって上面11に対して下向きの力が作用し、上面11が下向きに撓む。上面11が撓むことで、密着用部材50の下方に存在している流体20は本体部10内を移動していき、これにより上面11と下面12とが密着し、密着箇所14が形成される。密着用部材50の材料としてはガラスやプラスチックが挙げられるがこれらに限定されない。また、密着用部材50を中空にして内部に水等の光透過性を有する物質を入れることにしてもよい。
密着用部材50の上面11には周知の透過型プロジェクタースクリーン30が取り付けられている。密着用部材50に透過型プロジェクタースクリーン30を取り付けることにより、透過型プロジェクタースクリーン30は本体部10と離れた位置に配置されることになる。
【0014】
次に、プロジェクタースクリーン装置の使用方法について説明する。
天板40の下の空隙にプロジェクター70を配置しておき、プロジェクター70から上方の本体部10に向けて光(
図1(a)中の矢印)を投写する。
上述のとおり本体部10に収容されている流体20は光非透過性であるため、プロジェクター70の光は上面11まで届かないが、密着用部材50を載せた箇所(密着箇所14)には流体20が存在しないため、光は密着箇所14を透過し、更に密着用部材50も透過して透過型プロジェクタースクリーン30に至る。
ユーザー100は透過型プロジェクタースクリーン30に写った映像61を見ることができる。また、ユーザー100が密着用部材50の位置を変えると、それに伴って密着用部材50の下方に存在している流体20も移動するので、密着箇所14の位置を変えることができる。したがって、後述するように密着箇所14の位置等を検出して、密着箇所14だけに映像61を出力するようにプロジェクターの映像を制御すれば、ユーザー100は本体部10表面に写される映像61の位置を自在に変えることができる。
なお、
図2(a)及び(b)に示すように本体部10の一部に、上面11と下面12とが密着した際に流体20が流れ込むための退避部15を設けることにしてもよい。また、
図3(a)及び(b)に示すように本体部10の周囲を囲む外骨格部16を設けることにしてもよい。外骨格部16を設けることで本体部10の内部の流体20の自重による歪み等の変形を防止できる。
また、本実施の形態では密着用部材50を直方体形状としたが、これに限らず例えば
図4(a)及び(b)に示すようにハートの形状や
図5(a)及び(b)に示すように皿等の食器の形状にするなど適宜変更可能である。
【0015】
[プロジェクタースクリーン装置の第2の実施の形態]
次に、本発明のプロジェクタースクリーン装置の第2の実施の形態について説明するが、上記第1の実施の形態と同一の構成になる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置2は反射鏡71を備える点に特徴を有する。具体的には、密着用部材50が第1の実施の形態と比較して上下方向に高くなっており、その内部に反射鏡71を配置し、その側面に透過型プロジェクタースクリーン60を取り付けている。反射鏡71の角度は自在に調節できるものとする。
プロジェクター70から投写されて上方に進む光は反射鏡71によって進行方向が水平方向に変えられ、透過型プロジェクタースクリーン60に至る。
本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置2によれば、ユーザー100は鉛直方向に広がる映像61を見ることができる。
なお、プロジェクター70の光軸を鉛直方向にした状態で光を投写する場合、反射鏡71の水平面に対する傾斜角を45度にするのが好ましい。傾斜角を45度にすることで、反射鏡71で反射した光を透過型プロジェクタースクリーン60に対して垂直に入射させることができ、投写した画像のゆがみを極力抑えることができる。また、反射鏡71の角度を調整する代わりにプロジェクター70に搭載されているゆがみを抑える台形補正機能を用いても良い。なお、プロジェクター70の光は必要に応じて反転させて投写する必要がある。
【0016】
[プロジェクタースクリーン装置の第3の実施の形態]
次に、本発明のプロジェクタースクリーン装置の第3の実施の形態について説明するが、上記各実施の形態と同一の構成になる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置3は、大型のプロジェクタースクリーン62(反射型スクリーン)を本体部10と離れた位置に配置する点に特徴を有する。具体的には、密着用部材50の上方にプロジェクタースクリーン62を配置している。プロジェクタースクリーン62はアーム62aによって支持されており、水平面に対する傾斜角を調節できる構造になっている。なお、プロジェクタースクリーン62の傾斜角によっては透過型のプロジェクタースクリーンを用いることもできる。
あるいは
図8に示すように小型の透過型プロジェクタースクリーン63を密着用部材50の上方に配置してもよい。透過型プロジェクタースクリーン63は周知の手段によって本体部10と離れた位置に支持すればよい。
【0017】
[プロジェクタースクリーン装置の第4の実施の形態]
次に、本発明のプロジェクタースクリーン装置の第4の実施の形態について説明するが、上記各実施の形態と同一の構成になる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図9(a)及び(b)に示すように、本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置4は、透過型プロジェクタースクリーン64を本体部10と密着して配置する点に特徴を有する。具体的には、本体部10の上面11に透過型プロジェクタースクリーン64を貼り付けている。
本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置4によれば、ユーザー100は密着用部材50を通して透過型プロジェクタースクリーン64に写された映像61を見ることができる。
なお、
図10に示すようにプロジェクター70の光軸を水平方向にして、本体部10の下方に反射鏡71aを配置する構成にしてもよい。
【0018】
[プロジェクタースクリーン装置の第5の実施の形態]
次に、本発明のプロジェクタースクリーン装置の第5の実施の形態について説明するが、上記各実施の形態と同一の構成になる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図11(a)に示すように、本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置5は、内部に空気が充填されているクッション72を備える点に特徴を有する。
本体部10はクッション72の側面に取り付けられことで鉛直方向に広がる。
本実施の形態のプロジェクタースクリーン装置5によれば、クッション72の内部に充填されている空気の膨張圧力が働くことにより、
図11(b)に示すように流体20が下方に移動することによって本体部10の下方が撓むことを防止でき、ユーザー100は鉛直方向に広がる映像61を見ることができる。また、ユーザー100は空中に浮かんだ映像61を見ることができる。
図12に示すように、クッション72に、プロジェクター70を格納するための凹部73や、地面上を移動するためのタイヤ74を設けることにしてもよい。これによりプロジェクタースクリーン装置5の可搬性が向上する。
なお、クッション72を地面に対して斜めに配置してもよい。
【0019】
[プロジェクタースクリーンシステムの実施の形態]
以下、本発明のプロジェクタースクリーンシステムの実施の形態を図面を用いて示す。
図13(a)及び(b)、
図14に示すように、プロジェクタースクリーンシステム80は上記プロジェクタースクリーン装置1等、プロジェクター70、スピーカー81、検出手段82、映像制御手段83及び音声制御手段84から概略構成される。
検出手段82は密着箇所14の位置及び/又は大きさを検出して信号を出力する。具体的には、検出手段82は本体部10の上面11を撮影するためのカメラ82aと、カメラ82aが撮影した画像データを解析する画像解析手段82bを備えている。
図15(a)に示すように、カメラ82aは密着用部材50が載せられた状態の本体部10の上面11を撮影し、画像データとして画像解析手段82bに送信する。上述のとおり、光非透過性の流体20によってプロジェクター70の光が遮られることから、
図15(b)に示すように、本体部10の上面11のうち大部分は暗くなっており、光が透過する密着箇所14の部分だけが明るくなっている。画像解析手段82bは画像データを解析し、例えばRGB値に基づいてフィルタリングすることで密着箇所14の位置及び/又は大きさを検出し、信号を映像制御手段83及び音声制御手段84に出力する。
図15(c)に示すように、映像制御手段83は、検出手段82の信号を受信し、密着箇所14の位置及び/又は大きさに応じた映像61(図ではハートの映像)が出力されるようにプロジェクター70へ出力する画像信号を制御する。
音声制御手段84は、検出手段82の信号を受信し、密着箇所14の位置及び/又は大きさに応じた音声をスピーカー81から出力させる。
画像解析手段82b、映像制御手段83及び音声制御手段84はコンピュータ85内に格納されている。
なお、本実施の形態では画像データを解析する際に明るさに基づいてフィルタリングした例を示したが、光非透過性の流体20の色に基づいてフィルタリングして密着箇所14の位置及び/又は大きさを特定して検出しても良い。例えば光非透過性の流体20が赤色に着色されている場合を想定すると、本体部10の密着個所14にはその赤色に着色された流体20が存在しないので、画像解析手段82bがカメラ82aからの画像データを解析する際に、赤色のRGB値(R=255、G=0、B=0)でフィルタリングを行い、赤色に着色された位置とそうでない位置を特定する事により、密着箇所14の位置及び/又は大きさを特定して検出が可能である。この方式のメリットは単純に明るさの強弱から解析する場合、つまり各RGB値が暗色である黒色に近いか否かの強弱から判別する場合に比して、特定の色に基づいてる分、周囲の照明や周辺機器からの光ノイズを誤検知する事が無くなり精度が向上する点が挙げられる。なお、明るさに基づいてのみフィルタリングする際はカメラ82aは、通常の可視光領域を用いる通常のカメラでなく近赤外線を用いる暗視装置カメラでも構わない。この場合、画像データはその暗視装置により明るさの強弱、つまり流体20の存在の有無に基づいて既に2値化されているため(暗視装置カメラでは通常は明るさの強弱を反映した白黒画像等がよく用いられる)、RGB解析時のコンピュータ85の処理の負荷が減らせるというメリットが有る。
【0020】
ユーザー100が密着用部材50の位置を変えると、映像制御手段83は変更後の密着用部材50の位置に向けて光(映像61)を出力し、音声制御手段84は音声を変化させる。これにより密着用部材50、つまり密着箇所14の位置と映像61の位置を同期させたり、位置に合わせて映像61を変化させたりする演出が可能になる。
また、ユーザー100が、大きさや形状が異なる他の密着用部材50を使用すると、映像制御手段83は変更後の密着用部材50の大きさや形状に合った光(映像61)を出力し、音声制御手段84は音声を変化させる。
なお、プロジェクタースクリーンシステムが映像制御手段83と音声制御手段84のうち映像制御手段83だけを備えている、又は音声制御手段84だけを備えていることにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、ユーザーが映像の位置、大きさ、形状を自在に変えることができるプロジェクタースクリーン装置、このプロジェクタースクリーン装置を備えるプロジェクタースクリーンシステム及びテーブルに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0022】
1 プロジェクタースクリーン装置
2 プロジェクタースクリーン装置
10 本体部
11 上面
12 下面
13 注入口
14 密着箇所
15 退避部
16 外骨格部
20 流体
30 透過型プロジェクタースクリーン
40 天板
41 脚部
42 テーブル
50 密着用部材
60 透過型プロジェクタースクリーン
61 映像
62 プロジェクタースクリーン(反射型スクリーン)
62a アーム
63 透過型プロジェクタースクリーン
64 透過型プロジェクタースクリーン
70 プロジェクター
71 反射鏡
71a 反射鏡
72 クッション
73 凹部
74 タイヤ
80 プロジェクタースクリーンシステム
81 スピーカー
82 検出手段
82a カメラ
82b 画像解析手段
83 映像制御手段
84 音声制御手段
85 コンピュータ
100 ユーザー
【要約】
【課題】ユーザーが映像の位置、大きさ、形状を自在に変えることができるプロジェクタースクリーン装置、このプロジェクタースクリーン装置を備えるプロジェクタースクリーンシステム及びテーブルを提供する。
【解決手段】本発明のプロジェクタースクリーン装置1は、上面11及び下面12が光透過性を有する材料から成る中空の本体部10と、本体部の内部に収容される光非透過性の流体20と、本体部と密着して又は離れた位置に配置される透過型プロジェクタースクリーン30とを備えており、プロジェクター70から投写された光が、外力の作用により上面と下面とが密着して成る密着箇所14を透過して透過型プロジェクタースクリーンに至る。ユーザー100が密着箇所の位置、大きさ、形状を変えることで透過型プロジェクタースクリーンに映る映像の位置、大きさ、形状をリアルタイムで変えることができる。
【選択図】
図1