【実施例】
【0067】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0068】
[担体及び固体触媒の平均一次粒径、並びに金粒子の平均粒子径の測定方法]
TEMにより、担体及び固体触媒の一次粒子、並びに担体上の金粒子を観察し、TEM写真中の粒子に外接する円(外接円)の直径を測定し、当該直径をそれぞれ担体及び固体触媒の一次粒径、並びに担体上の金粒子の粒子径とした。任意に選択した10個以上の粒子の粒径を測定し、粒径分布を作成することにより、担体、固体触媒及び担体上の金粒子の個数平均径を算出した。算出した個数平均径を、それぞれ、担体及び固体触媒の平均一次粒径、並びに金粒子の平均粒子径とした。なお、TEM写真において、エネルギー分散型X線分光(EDS)測定をすることにより、担体上の金粒子を特定した。
【0069】
[固体触媒の金の固定化量の測定方法]
固体触媒を王水で加温溶解させ、超純水で希釈した。誘導プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)により、上記液中に溶解する金の発光強度を測定した。上記液中に溶解する金の発光強度と、金の濃度が既知の標準溶液中の金の発光強度とを比較することにより、上記液中の金の溶解量を算出した。上記溶解量から、固体触媒の単位質量中に含まれる金の含有量、すなわち金の固定化量(質量%)を算出した。
【0070】
[生成物の同定と生成量の測定方法]
反応生成物の同定及び生成量の測定は、特に断りのない限り、ガスクロマトグラフィー(FID検出器)を用いて、反応生成物と標準物質の保持時間及びピーク強度を比較することにより行った。測定条件は以下のとおりである。
装置:アジレント・テクノロジー製 Agilent 6850 SeriesII
カラム:J&W Scientific社製 HP−1(内径:0.32mm、長さ:30m、膜厚:0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム 120kPa
昇温条件:10℃/分で40℃から280℃まで昇温し、280℃で10分間保持した。
【0071】
[収率及び生成比の算出方法]
置換ベンゼン化合物(基質)として、たとえば、o−フタル酸ジメチルを用いた場合の生成物(ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル)には、以下の二種類の生成物が主な異性体として存在する。以下、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ酢酸テトラメチルエステルを「s−DM」(s−体)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラ酢酸テトラメチルエステルを「a−DM」(а−体)ということがある。
【化14】
【0072】
なお、基質としてキシレンを用いた場合の生成物は、3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニル(s−体)と、2,3,3’,4’−テトラメチルビフェニル(a−体)である。
【0073】
カップリングに用いたo−フタル酸ジメチルのモル数をM
f、生成したs−DM及びa−Mのモル数をそれぞれM
s及びM
aとしたとき、生成物の収率、及びs−DMとa−DMの生成比はそれぞれ、下記式より求められる。
収率(mol%)=2×M
s×100/M
f
生成比(s/a比)=M
s/M
a【0074】
[固体触媒の当量数の決定方法]
担体として金属酸化物(Me
yO
z)を用いてカップリング反応を行う場合の、固体触媒の当量数(担体に固定化された金の基質に対するmol%)を、下記式により算出した。
固体触媒の当量数(mol%)=(100×b×c)/{d×(a/y×e+b×197)}
Me:担体の金属原子
O:酸素原子
y,z:それぞれ金属酸化物中のMe、Oの数を表す数値
a:固体触媒調製時に使用する担体を構成する金属酸化物のモル数(mol)
b:固体触媒調製時に使用する金化合物のモル数(mol)
c:カップリング反応時に使用する固体触媒の質量(g)
d:カップリング反応時に使用する基質のモル数(mol)
e:金属酸化物(Me
yO
z)のモル質量(g)
【0075】
実施例1−1(酸化コバルトに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Co
3O
4」とも称する)の合成)
硝酸コバルト(II)・六水和物5.52g、及びテトラクロロ金酸・四水和物0.41gを蒸留水200mLに室温で溶解させた(水溶液1)。一方、これとは別に炭酸ナトリウム2.63gを蒸留水200mLに溶解させた(水溶液2)。次いで、上記水溶液1を上記水溶液2に一気に添加し、混合液を室温で3時間撹拌した。生成した沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を70℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化コバルトに金が固定化された固体触媒(Au/Co
3O
4)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約15nmであり、金の固定化量は10質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は2nmであった。
【0076】
実施例1−2(酸化ニッケルに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/NiO」とも称する)の合成)
硝酸ニッケル・六水和物5.53g、及びテトラクロロ金酸・四水和物0.41gを蒸留水200mLに室温で溶解させ、70℃に加温した(水溶液3)。一方、これとは別に炭酸ナトリウム2.67gを蒸留水250mLに溶解させ、70℃に加温した(水溶液4)。次いで、上記水溶液3を上記水溶液4に一気に添加し、混合液を70℃で1時間撹拌した。生成した沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を70℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化ニッケルに金が固定化された固体触媒(Au/NiO)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約5nmであり、金の固定化量は10質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は4nmであった。
【0077】
実施例1−3(酸化鉄に金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Fe
2O
3」とも称する)の合成)
硝酸鉄(II)・九水和物7.68g、及びテトラクロロ金酸・四水和物0.41gを蒸留水200mLに室温で溶解させた(水溶液5)。一方、これとは別に炭酸ナトリウム3.88gを蒸留水370mLに溶解させ、70℃に加温した(水溶液6)。次いで、上記水溶液5を上記水溶液6に一気に添加し、混合液を70℃で1時間撹拌した。生成した沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化鉄に金が固定化された固体触媒(Au/Fe
2O
3)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約20nmであり、金の固定化量は9質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は4nmであった。
【0078】
実施例1−4(酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/CeO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物64mgを蒸留水155mLに溶解させ、70℃に加温しながら、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを7に調整した。これに酸化セリウム(第一稀元素化学工業(株)製、酸化セリウムHS(商品名)、平均粒径5μm、平均一次粒径8nm)を3g加え、その後、70℃で撹拌した。1時間後、沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(Au/CeO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約8nmであり、金の固定化量は0.8質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は4nmであった。
【0079】
実施例1−5(酸化チタンに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/TiO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物22mgを蒸留水52mLに溶解させ、70℃に加温しながら、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを7に調整した。これに酸化チタン(日本アエロジル(株)製、P−25(商品名)、平均一次粒径25nm)を1g加え、その後、70℃で撹拌した。1時間後、沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を100℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化チタンに金が固定化された固体触媒(Au/TiO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約25nmであり、金の固定化量は0.8質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0080】
実施例1−6(シリカに金及びコバルトが固定化された固体触媒(以下、「Au/Co/SiO
2」とも称する)の合成)
硝酸コバルト(II)・六水和物0.50gを蒸留水10mLに溶解させ、シリカ(富士シリシア化学(株)製、CARiACT Q−15(商品名)、平均一次粒径75−150μm)0.85gを加え、その後、テトラクロロ金酸・四水和物0.11gを加えた。室温で撹拌しながらアンモニア水を滴下して、溶液のpHを8.5に調整した。室温で1時間撹拌後、沈殿物を蒸留水で洗浄、濾過した。ろ物を120℃で20時間乾燥させた。乾燥後、400℃、空気中で5時間焼成を行うことで、シリカに金及びコバルトが固定化された固体触媒(Au/Co/SiO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約100μmであり、金の固定化量は4質量%であった。
【0081】
実施例1−7(酸化コバルト−酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Co
3O
4−CeO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物21mgを蒸留水51mLに溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを7.6に調整した。これに酸化コバルト−酸化セリウム(酸化コバルトと酸化セリウムの複合酸化物、平均一次粒径40nm)1gを加え、70℃で1時間撹拌し、その後、沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を70℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化コバルト−酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(Au/Co
3O
4−CeO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約40nmであり、金の固定化量は0.7質量%であった。
【0082】
実施例1−8(二酸化マンガンに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/MnO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物110mgを蒸留水180mLに溶解させ、尿素3.2g、二酸化マンガン(平均一次粒径40nm)1gの順に室温で加えた。その後、溶液を徐々に90℃まで加温し、90℃で18時間加熱撹拌を行った。沈殿物を蒸留水で洗浄、濾過した。得られたろ物を65℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、二酸化マンガンに金が固定化された固体触媒(Au/MnO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約40nmであり、金の固定化量は4質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は5nmであった。
【0083】
実施例1−9(酸化ジルコニウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/ZrO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物22mgを蒸留水52mLに溶解させ、溶液を70℃に加温しながら、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを7に調整した。調整後の溶液に酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製、RC−100(商品名)、平均一次粒径5nm)1gを加え、その後、70℃で撹拌した。1時間後、沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水で洗浄、濾過した。ろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化ジルコニウムに金が固定化された固体触媒(Au/ZrO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約5nmであり、金の固定化量は1質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は4nmであった。
【0084】
参考例1−10(酸化コバルトの調製)
塩基性炭酸コバルト11gを300℃、空気中で4時間焼成を行うことで酸化コバルトを得た。
【0085】
参考例1−11(酸化コバルトの調製)
硝酸コバルト(II)・六水和物5.82gを蒸留水200mLに室温で溶解させた(水溶液7)。一方、これとは別に炭酸ナトリウム2.63gを蒸留水200mLに溶解させた(水溶液8)。次いで、上記水溶液7を上記水溶液8に一気に添加し、混合液を室温で3時間撹拌した。生成した沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を70℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化コバルトを得た。得られた酸化コバルトの平均一次粒径は約15nmであった。
【0086】
実施例1−12(酸化コバルトに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Co
3O
4」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物470mgを蒸留水66mLに溶解させ、室温で参考例1−10で調製した酸化コバルト2.0gを加え、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHを7に調整しながら室温で撹拌した。3時間後、沈殿物を蒸留水にて洗浄、濾過した。得られたろ物を65℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、析出沈殿法により酸化コバルトに金が固定化された固体触媒(Au/Co
3O
4)を得た。得られた固体触媒の金の固定化量は7質量%であった。
【0087】
実施例1−13(酸化ランタンに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/La
2O
3」とも称する)の合成)
硝酸ランタン(III)・六水和物8.2g、及びテトラクロロ金酸・四水和物0.41gを蒸留水200mLに室温で溶解させた(水溶液9)。一方、これとは別に炭酸ナトリウム3.9gを蒸留水366mLに溶解させた(水溶液10)。次いで、上記水溶液9を上記水溶液10に一気に添加し、混合液を70℃で1.5時間撹拌した。生成した沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化ランタンに金が固定化された固体触媒(Au/La
2O
3)を得た。得られた固体触媒の金の固定化量は6質量%であった。
【0088】
実施例1−14(酸化アルミニウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Al
2O
3」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物173mg及び尿素25gを蒸留水100mLに溶解させ、この溶液に酸化アルミニウム(住友化学(株)製、AKP−G015(商品名)、粒径100nm未満)1.0gを室温で加えた。その後、溶液を徐々に80℃まで加温し、80℃で8時間加熱撹拌を行った。50℃まで冷却した後、沈殿物を蒸留水で5回洗浄し、濾過した。得られたろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化アルミニウムに金が固定化された固体触媒(Au/Al
2O
3)を得た。得られた固体触媒の一次粒径は100nm未満であり、金の固定化量は8質量%であった。
【0089】
実施例1−15(酸化ジルコニウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/ZrO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物173mg及び尿素25gを蒸留水100mLに溶解させ、この溶液に酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製、RC−100(商品名)、平均一次粒径5nm)1.0gを室温で加えた。その後、溶液を徐々に80℃まで加温し、80℃で8時間加熱撹拌を行った。50℃まで冷却した後、沈殿物を蒸留水で5回洗浄し、濾過した。得られたろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化ジルコニウムに金が固定化された固体触媒(Au/ZrO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約5nmであり、金の固定化量は8質量%であった。
【0090】
実施例1−16(酸化ジルコニウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/ZrO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物173mg及び尿素2.5gを蒸留水100mLに溶解させ、この溶液に酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製、RC−100(商品名)、平均一次粒径5nm)1.0gを室温で加えた。その後、溶液を徐々に90℃まで加温し、90℃で4時間加熱撹拌を行った。室温まで冷却した後、沈殿物を蒸留水で5回洗浄し、濾過した。得られたろ物を70℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化ジルコニウムに金が固定化された固体触媒(Au/ZrO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約5nmであり、金の固定化量は8質量%であった。
【0091】
実施例1−17(酸化チタンに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/TiO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物173mg及び尿素25gを蒸留水100mLに溶解させ、この溶液に酸化チタン(日本アエロジル(株)製、P−25(商品名)、平均一次粒子径25nm)1.0gを室温で加えた。その後、溶液を徐々に80℃まで加温し、80℃で8時間加熱撹拌を行った。50℃まで冷却した後、沈殿物を蒸留水で5回洗浄し、濾過した。得られたろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化チタンに金が固定化された固体触媒(Au/TiO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約25nmであり、金の固定化量は8質量%であった。
【0092】
実施例1−18(酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/CeO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物173mg及び尿素25gを蒸留水100mLに溶解させ、この溶液に酸化セリウム(第一稀元素化学工業(株)製、JRC−CEO−3(商品名)、平均一次粒子径11nm)1.0gを室温で加えた。その後、溶液を徐々に80℃まで加温し、80℃で8時間加熱撹拌を行った。50℃まで冷却した後、沈殿物を蒸留水で5回洗浄し、濾過した。得られたろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(Au/CeO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約11nmであり、金の固定化量は8質量%であった。
【0093】
実施例1−19(酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/CeO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物173mg及び尿素25gを蒸留水100mLに溶解させ、この溶液に酸化セリウム(第一稀元素化学工業(株)製、酸化セリウムHS(商品名)、平均一次粒子径8nm)1.0gを室温で加えた。その後、溶液を徐々に80℃まで加温し、80℃で8時間加熱撹拌を行った。50℃まで冷却した後、沈殿物を蒸留水で5回洗浄し、濾過した。得られたろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、ろ物をU字型反応管に詰め、水素ガス18mL/分で4時間流通させながら200℃に加熱することで、酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(Au/CeO
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約8nmであり、金の固定化量は8質量%であった。
【0094】
実施例1−20(三酸化二マンガンに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Mn
2O
3」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物220mgを蒸留水360mLに溶解させ、この溶液に尿素6.4g、及び三酸化二マンガン2g(アルドリッチ(株)製、平均一次粒子径40nm)を、この順で、室温で加えた。その後、溶液を徐々に90℃まで加温し、90℃で18時間加熱撹拌を行った。沈殿物を蒸留水で洗浄、濾過した。得られたろ物を65℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、三酸化二マンガンに金が固定化された固体触媒(Au/Mn
2O
3)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は約40nmであり、金の固定化量は4質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は9nmであった。
【0095】
参考例1−21(二酸化マンガンの調製)
硫酸マンガン水和物3gを蒸留水50mLに溶解させ、この溶液を85℃に加温した。加温した溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム8.1gを蒸留水50mLに溶解させた溶液を徐々に加え、85℃で撹拌した。6時間後、得られた沈殿物を蒸留水で洗浄、濾過した。得られたろ物を65℃で乾燥させることにより二酸化マンガン(MnO
2)を得た。得られた二酸化マンガンのX線回折(XRD)パターンを
図3に示す。
【0096】
実施例1−22(二酸化マンガンに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/MnO
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物220mgを蒸留水360mLに溶解させ、尿素6.4g、参考例1−21で調製した二酸化マンガン2gの順に室温で加えた。その後、反応液を徐々に90℃まで加温し、90℃で18時間加熱撹拌を行った。沈殿物を蒸留水で洗浄、濾過した。得られたろ物を65℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、二酸化マンガンに金が固定化された固体触媒(Au/MnO
2)を得た。得られた固体触媒の金の固定化量は5質量%であった。
【0097】
参考例1−23(ランタンがドープされた酸化セリウム(以下、「Ce(La)O
2」とも称する)の調製)
ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム12g、硝酸ランタン6水和物1.1g、及び尿素24gを蒸留水200mLに溶解させ、この溶液を還流下で撹拌した。8時間後、沈殿物を蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で乾燥させた。乾燥後、400℃、空気中で7時間焼成することによりランタンがドープされた酸化セリウム(Ce(La)O
2)を得た。得られたランタンがドープされた酸化セリウムの平均一次粒径は4nmであった。
【0098】
参考例1−24(ジルコニウムがドープされた酸化セリウム(以下、「Ce(Zr)O
2」とも称する)の調製)
ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム12g、硝酸ジルコニウム0.7g、及び尿素24gを蒸留水200mLに溶解させ、この溶液を還流下で撹拌した。8時間後、沈殿物を蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で乾燥させた。乾燥後、400℃、空気中で7時間焼成することによりジルコニウムがドープされた酸化セリウム(Ce(Zr)O
2)を得た。得られたジルコニウムがドープされた酸化セリウムの平均一次粒径は4nmであった。
【0099】
実施例1−25(ランタンがドープされた酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Ce(La)O
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物43mgを蒸留水100mLに溶解させ、70℃に加温しながら、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを7−8に調整した。これに参考例1−23で調製したCe(La)O
2を1g加え、その後、70℃で撹拌した。1時間後、沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行った。さらに300℃、水素下で還元することで、ランタンがドープされた酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(Au/Ce(La)O
2)を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は4nmであり、金の固定化量は1質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0100】
実施例1−26(ジルコニウムがドープされた酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(以下、「Au/Ce(Zr)O
2」とも称する)の合成)
テトラクロロ金酸・四水和物43mgを蒸留水100mLに溶解させ、70℃に加温しながら、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、溶液のpHを7−8に調整した。これに参考例1−23で調製したCe(Zr)O
2を1g加え、その後、70℃で撹拌した。1時間後、沈殿物をpHが一定になるまで蒸留水にて洗浄、濾過した。ろ物を80℃で一晩乾燥させた。乾燥後、300℃、空気中で4時間焼成を行った。さらに300℃、水素下で還元することで、ジルコニウムがドープされた酸化セリウムに金が固定化された固体触媒(「Au/Ce(Zr)O
2」を得た。得られた固体触媒の平均一次粒径は4nmであり、金の固定化量は1質量%であり、担体上の金粒子の平均粒子径は3nmであった。
【0101】
実施例1−27(触媒の再生)
内容積25mLの3つ口フラスコにo−フタル酸ジメチル3.5g(18mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 1.9g(o−フタル酸ジメチルに対し6mol%)、及び酢酸7mLを導入した。上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、72時間反応させた後、分析した結果、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率11%で生成していた。さらに24時間反応させ、収率が変わらず11%であったことから、反応が停止していることを確認した。沈殿物を濾過し、ろ物をアセトンで洗浄した。洗浄したろ物を減圧下100℃で乾燥することにより、酸化コバルトに金が固定化された固体触媒(Au/Co
3O
4)を得た。この固体を300℃、空気中で4時間焼成を行うことで、焼成処理された固体触媒(Au/Co
3O
4)を得た。得られた固体触媒の粒径は5〜20nmであり、担体上の金粒子の平均粒子径は8nmであった。
【0102】
実施例2−1(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積50mL)に、o−フタル酸ジメチル0.27g(1.4mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸2.7mLを導入した。その後、反応系内の圧力が2.5MPaとなるように空気を圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを水冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率20%で生成していた(s/a比=10)。
【0103】
実施例2−2(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積50mL)に、o−フタル酸ジメチル0.23g(1.2mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 0.15g(o−フタル酸ジメチルに対し7mol%)、及び酢酸0.8mLを導入した。反応系内を窒素ガスに置換した後、反応系内の圧力が1.0MPaとなるように窒素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを水冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率21%で生成していた(s/a比=7)。
【0104】
実施例2−3(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積50mL)に、o−フタル酸ジメチル2.78g(14.3mmol)、及び実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 26mg(o−フタル酸ジメチルに対し0.1mol%)を導入した。反応系内の圧力が2.5MPaとなるように空気を圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、40時間反応させた。さらに、オイルバスを200℃に加温し、20時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを水冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率1%で生成していた(s/a比=2)。
【0105】
実施例2−4(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸とジオキサンの混合液(酢酸:ジオキサン=1:1(体積比))0.4mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率25%で生成していた(s/a比=13)。
【0106】
実施例2−5(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酪酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率11%で生成していた(s/a比=6)。
【0107】
実施例2−6(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及びイソ吉草酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率2%で生成していた(s/a比=100)。
【0108】
実施例2−7(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積10mLガラス製シュレンク管に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及びプロピオン酸0.4mLを導入した。反応系内を常圧で窒素ガスに置換した後、上記シュレンク管を、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、34時間反応させた。反応終了後、シュレンク管を空冷してシュレンク管内のガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率5%で生成していた(s/a比=4)。
【0109】
実施例2−8(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積10mLガラス製シュレンク管に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 73mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内を常圧で窒素ガスに置換した後、上記シュレンク管を、予め125℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、67時間反応させた。反応終了後、シュレンク管を空冷してシュレンク管内のガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率22%で生成していた(s/a比=13)。
【0110】
実施例2−9(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−2で調製したAu/NiO 100mg(o−フタル酸ジメチルに対し6mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率11%で生成していた(s/a比=3)。
【0111】
実施例2−10(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−3で調製したAu/Fe
2O
3 70mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率6%で生成していた(s/a比=6)。
【0112】
実施例2−11(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−4で調製したAu/CeO
2 0.15g(o−フタル酸ジメチルに対し0.8mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率17%で生成していた(s/a比=4)。
【0113】
実施例2−12(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−5で調製したAu/TiO
2 0.15g(o−フタル酸ジメチルに対し0.8mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率2%で生成していた(s/a比=2)。
【0114】
実施例2−13(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−6で調製したAu/Co/SiO
2 0.20g(o−フタル酸ジメチルに対し5mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率13%で生成していた(s/a比=3)。
【0115】
実施例2−14(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−7で調製したAu/Co
3O
4−CeO
2 0.40g(o−フタル酸ジメチルに対し2mol%)、及び酢酸0.7mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率1%で生成していた(s/a比=100)。
【0116】
実施例2−15(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−9で調製したAu/ZrO
2 0.15g(o−フタル酸ジメチルに対し0.8mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率21%で生成していた(s/a比=7)。
【0117】
実施例2−16(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−7で調製したAu/Co
3O
4−CeO
2 0.15g(o−フタル酸ジメチルに対し0.75mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率27%で生成していた(s/a比=14)。
【0118】
実施例2−17(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−12で析出沈殿法を用いて調製したAu/Co
3O
4 70mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、24時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率12%で生成していた(s/a比=10)。
【0119】
実施例2−18(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−13で調製したAu/La
2O
3 0.13g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率3%で生成していた(s/a比=3)。
【0120】
実施例2−19(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−14で調製したAu/Al
2O
3 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.6MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率23%で生成していた(s/a比=5)。
【0121】
実施例2−20(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−15で調製したAu/ZrO
2 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.85MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率45%で生成していた(s/a比=8)。
【0122】
実施例2−21(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−16で調製したAu/ZrO
2 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.85MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め140℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、48時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、オートクレーブからガスを開放した。得られた反応液ガスクロマトグラフィーによりを分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率58%で生成していた(s/a比=15)。
【0123】
実施例2−22(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−17で調製したAu/TiO
2 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.6MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、72時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率31%で生成していた(s/a比=4)。
【0124】
実施例2−23(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−18で調製したAu/CeO
2 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.6MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率28%で生成していた(s/a比=7)。
【0125】
実施例2−24(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1mmol)、実施例1−19で調製したAu/CeO
2 0.10g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、オートクレーブからガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率25%で生成していた(s/a比=7)。
【0126】
実施例2−25(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−20で析出沈殿法を用いて調製したAu/Mn
2O
3 0.21g(o−フタル酸ジメチルに対し6mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、反応させた。反応開始140時間後と207時間後にAu/Mn
2O
3 0.21g(o−フタル酸ジメチルに対し6mol%)をそれぞれ加え、反応開始から合計で279時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率58%で生成していた(s/a比=20)。
【0127】
実施例2−26(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−22で析出沈殿法を用いて調製したAu/MnO
2 71mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、48時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率17%で生成していた(s/a比=28)。
【0128】
実施例2−27(再生させた固体触媒によるビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.10g(0.5mmol)、実施例1−27で焼成処理を行ったAu/Co
3O
4 36mg(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)、及び酢酸0.2mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、41時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率7%で生成していた(s/a比=15)。
【0129】
実施例2−28(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積2mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.40g(2.1mmol)、及び実施例1−12で析出沈殿法を用いて調製したAu/Co
3O
4 0.141g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)を導入した。空気下常圧、上記反応容器を予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、24時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率9%で生成していた(s/a比=2)。
【0130】
実施例2−29(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積2mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.41g(2.1mmol)、及び実施例1−1で共沈法を用いて調製したAu/Co
3O
4 0.142g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)を導入した。空気下常圧、上記反応容器を予め200℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、24時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液ガスクロマトグラフィーによりを分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率1%で生成していた(s/a比=2)。
【0131】
実施例2−30(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積2mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.40g(2.1mmol)、及び実施例1−12で析出沈殿法を用いて調製したAu/Co
3O
4 0.144g(o−フタル酸ジメチルに対し4mol%)を導入した。空気下常圧、上記反応容器を予め200℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、24時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率8%で生成していた(s/a比=2)。
【0132】
実施例2−31(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.21g(1.1mmol)、実施例1−25で調製したAu/Ce(La)O
2 84mg(o−フタル酸ジメチルに対し0.4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧、上記反応容器を予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、100時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率9%で生成していた(s/a比=15)。
【0133】
実施例2−32(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−フタル酸ジメチル0.21g(1.1mmol)、実施例1−26で調製したAu/Ce(Zr)O
2 84mg(o−フタル酸ジメチルに対し0.4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧、上記反応容器を予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、48時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率1%で生成していた(s/a比=9)。
【0134】
実施例2−33(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属していないSUS製オートクレーブ(内容積10mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−5で調製したAu/TiO
2 85mg(o−フタル酸ジメチルに対し金0.4mol%)、及び1H,1H−トリデカフルオロ−1−ヘプタノール0.2mLを導入した。反応系内の圧力が2.5MPaとなるように空気を圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、24時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率1%で生成していた(s/a比=1)。
【0135】
実施例2−34(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
ガラス内挿管が付属していないSUS製オートクレーブ(内容積10mL)に、o−フタル酸ジメチル0.20g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(o−フタル酸ジメチルに対し金4mol%)、及び1H,1H−トリデカフルオロ−1−ヘプタノール0.3mLを導入した。反応系内の圧力が2.5MPaとなるように空気を圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、16時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(s−DM)が収率1%で生成していた(s/a比=1)。
【0136】
実施例2−35(3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積50mL)に、o−キシレン0.11g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(o−キシレンに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内を窒素ガスに置換した後、反応系内の圧力が0.5MPaとなるように窒素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め125℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、24時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを水冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニルが収率3.2%で生成していた。
【0137】
実施例2−36(3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニルの合成)
撹拌装置、加熱還流装置を備えた内容積5mL反応容器に、o−キシレン0.11g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(o−キシレンに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内を窒素ガスに置換した後、窒素バルーンを取り付けた状態で、加熱部を予め125℃に設定して51時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニルが収率7.5%で生成していた。
【0138】
実施例2−37(4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルの合成)
撹拌装置、加熱還流装置を備えた内容積5mL反応容器に、安息香酸メチル0.14g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(安息香酸メチルに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内を窒素ガスに置換した後、窒素バルーンを取り付けた状態で、加熱部を予め125℃に設定して51時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルが収率3.3%で生成していた。
【0139】
実施例2−38(4,4’−ジメチルビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積50mL)に、トルエン0.09g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(トルエンに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内を窒素ガスに置換した後、反応系内の圧力が0.5MPaとなるように窒素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め125℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、25時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを水冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析した。ガスクロマトグラフィーのチャートを
図1に示す。ガスクロマトグラフィーのチャート(
図1)では、トルエンの二量体(ジメチルビフェニル)に相当するピークが6種観測され、そのうちの保持時間15.9分の位置に観測されるピークは、4,4’−ジメチルビフェニルのピークであった。
【0140】
実施例2−39(安息香酸二量体の合成)
撹拌装置、加熱還流装置を備えた内容積5mL反応容器に、安息香酸0.12g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(安息香酸に対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。反応系内を窒素ガスに置換した後、窒素バルーンを取り付けた状態で、加熱部を予め125℃に設定し、51時間反応させた。反応終了後、空冷して得られた反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。HPLCのチャートを
図2に示す。保持時間8.5分、8、7分、8.9分のピークについてHPLC/MSにより分析したところ、安息香酸の二量体に相当する分子量のピークで有る事が確認された。
【0141】
なお、HPLCの測定条件は以下のとおりである。
装置:島津製作所製 LC−20AB
カラム:Waters Atlantis dC18 5μmΦ4.6×150mm
溶離液:A:0.1%HCOOH水溶液、B:CH
3CN
タイムプログラム:0.01分:A/B=70/30、20.00分:A/B=5/95、25.00分:A/B=5/95、25.01分:A/B=70/30、40.00分:A/B=70/30
流量:1mL/分
検出器:254nm
【0142】
実施例2−40(テトラメチルビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積50mL)に、キシレン(o−,m−,p−体の混合物)0.52g(4.9mmol)、及び実施例1−8で調製したAu/MnO
2 0.15g(キシレンに対し0.8mol%)を導入した。反応系内の圧力が0.5MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを予め100℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、19時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷してガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーによりガスクロマトグラフィーにより分析したところ、キシレンの二量体(テトラメチルビフェニル)の生成が確認できた。
【0143】
実施例2−41(テトラメチルビフェニルの合成)
内容積13mLのパイレックス(登録商標)ガラス製バイアル瓶に、o−キシレン0.11g(1mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(o−キシレンに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を予め130℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニルが収率13%で生成していた(s/a比=7)。
【0144】
実施例2−42(4,4’−ビストリフルオロメチルビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、トリフルオロメチルベンゼン0.15g(1mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(トリフルオロメチルベンゼンに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.6MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4,4’−ビストリフルオロメチルビフェニルが収率4%で生成していた。
【0145】
実施例2−43(2,2’,5,5’−テトラメトキシビフェニルの合成)
内容積13mLのパイレックス(登録商標)ガラス製バイアル瓶に、p−ジメトキシベンゼン0.14g(1mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 74mg(p−ジメトキシベンゼンに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2,2’,5,5’−テトラメトキシビフェニルが収率21%で生成していた。
【0146】
実施例2−44(ジ−tert−ブチルビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、tert−ブチルベンゼン0.13g(1mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 75mg(tert−ブチルベンゼンに対し4mol%)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.6MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、66時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、4,4’−ジ−tert−ブチルビフェニル、4,3’−ジ−tert−ブチルビフェニル及び3,3’−ジ−tert−ブチルビフェニルの混合物が合計62%の収率で生成していた。
【0147】
実施例2−45(3,3’,4,4’−テトラメトキシビフェニルの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、o−ジメトキシベンゼン0.14g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(o−ジメトキシベンゼンに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、15時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−テトラメトキシビフェニルが収率19%で生成していた。
【0148】
実施例2−46(2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−[ビフェニル]−4,4’−ジオールの合成)
内容積30mLのガラス製反応容器に、2,3,6−トリメチルフェノール0.14g(1.0mmol)、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 72mg(2,3,6−トリメチルフェノールに対し4mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。空気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたアルミブロックに接触させ、22時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−[ビフェニル]−4,4’−ジオールが収率46%で生成していた。
【0149】
比較例2−1(ビフェニルテトラカルボン酸エステルの合成)
内容積30mLのガラス製シュレンク管に、o−フタル酸ジメチル0.21g(1.1mmol)、テトラクロロ金酸・四水和物24mg(o−フタル酸ジメチルに対し6mol%)、及び酢酸0.4mLを導入した。上記シュレンク管を、予め125℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、空気下常圧にて20時間反応させた。反応終了後、シュレンク管を空冷した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステルの生成は全く認められなかった。
【0150】
比較例2−2(金の溶出実験)
内容積10mLのガラス製反応容器に、実施例1−1で調製したAu/Co
3O
4 75mg、及び酢酸0.4mLを導入した。窒素ガス雰囲気下常圧で、上記反応容器を、予め125℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、1時間加熱撹拌を行った。加熱撹拌終了直後に、溶液を熱時濾過し、125℃に加熱しておいた酢酸3mLでろ物を洗浄した。得られたろ液中をICP−AESを用いて分析したところ、Auは検出されなかった。
【0151】
比較例2−3(金を固定化していないCo
3O
4を用いたジ−tert−ブチルビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、tert−ブチルベンゼン0.13g(1mmol)、参考例1−11で調製したCo
3O
4 66mg(0.27mmol)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が1.6MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、多価置換ビフェニル化合物の収率は0%であった。
【0152】
比較例2−4(金を固定化していないCo
3O
4を用いた2,2’,5,5’−テトラメトキシビフェニルの合成)
ガラス内挿管が付属したSUS製オートクレーブ(内容積30mL)に、p−ジメトキシベンゼン0.14g(1mmol)、参考例1−11で調製したCo
3O
4 66mg(0.27mmol)、及び酢酸0.5mLを導入した。反応系内の圧力が0.2MPaとなるように酸素ガスを圧入した。次いで、上記オートクレーブを、予め150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを空冷して、ガラス内挿管からガスを開放した。得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、多価置換ビフェニル化合物の収率は0%であった。
【0153】
比較例2−5(金を固定化していないCo
3O
4を用いたテトラメチルビフェニルの合成)
内容積13mLのパイレックス(登録商標)ガラス製バイアル瓶に、o−キシレン0.11g(1mmol)、参考例1−11で調製したCo
3O
4 66mg(0.27mmol)、及び酢酸0.5mLを導入した。空気下常圧で、前述の反応容器を150℃に設定しておいたオイルバスに浸けて、18時間反応させた。反応終了後、反応溶液を空冷して、得られた反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、多価置換ビフェニル化合物の収率は0%であった。
【0154】
実施例3−1(3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の合成)
内容積100mLのチタン製オートクレーブに、実施例2−15で合成した3,3’,4,4’−テトラメチルビフェニル2.10g(10mmol)、酢酸コバルト四水和物12.4mg(0.05mmol)、酢酸マンガン四水和物12.2mg(0.05mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(以下、「NHPI」と称する)163mg(1mmol)、及び酢酸15mLを導入し、空気雰囲気(内圧3MPa)にて、150℃で反応を行った。反応開始1時間後、オートクレーブを室温まで冷却し、オートクレーブ内のガスを開放した。オートクレーブ内にさらにNHPI 163mgを添加した後、150℃で反応を再開した。1時間後に再びこの一連の操作(冷却−ガス解放−添加−反応再開)を繰り返し、合計3時間反応を行った。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却して、オートクレーブ内のガスを開放した。得られた反応液から溶媒を留去し、そこへ酢酸エチルと水を加えて分液した後、酢酸エチル層を水で洗浄して金属化合物を除去し、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を得た。
【0155】
以上、実施例1−1〜1−9、1−12〜1−20、1−22及び1−25〜1−27、並びに、参考例1−10〜1−11、1−21及び1−23〜1−24で得られた固体触媒又は酸化物の製造方法と分析結果をまとめて表1に示す。
【表1】
【0156】
また、実施例2−1〜2−47及び比較例2−1〜2−5におけるカップリング反応の条件、及び生成物の分析結果をまとめて表2〜10に示す。なお、表2〜9において、固体触媒の欄の括弧内に示される数値は、置換ベンゼン化合物の全モル数に対する、担体に固定化された金のモル数の比(固体触媒の当量数)を示す。また、表10において、比較例2−1のテトラクロロ金酸・四水和物の括弧内に示される数値は、置換ベンゼン化合物の全モル数に対する、テトラクロロ金酸・四水和物のモル数の比を示す。
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
【表5】
【0160】
【表6】
【0161】
【表7】
【0162】
【表8】
【0163】
【表9】
【0164】
【表10】
【0165】
以上の結果より、本発明によれば、複雑な工程を経ることなく、高い収率で、多価置換ビフェニル化合物が得られることが分かった。