(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、上記特許文献2に記載の技術では、用紙を回収するために、一対の回収ローラの相互間隔を変える機構を採用している。
【0008】
本発明は、簡単な構造で、用紙を回収できる印刷物発行装置、及びこれを備える料金自動収受機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての印刷物発行装置は、予め定められた搬送路(P2)に沿って印刷された用紙(P)を搬送する搬送ローラ(41a,41b)と、前記搬送路に交差する交差方向に関して、前記搬送路を基準として一方側に配置されている用紙回収部(50)と、前記搬送路にある前記用紙を前記一方側へ押し込む押込み部(70)と、前記押込み部により前記一方側に押し込まれた前記用紙を、挟み込んで前記用紙回収部に送る一対の回収ローラ(63a,63b)と、を備える。前記一対の回収ローラは、前記搬送路の幅方向(Dw)に関して一部に設けられる。また、前記押込み部は、前記搬送路にある前記用紙に接する先端(74)を有する押込み片(71)と、前記搬送路を基準にして前記交差方向に関して他方側に前記押込み片が位置する退避位置と、前記幅方向に関して前記一対の回収ローラが設けられている位置とは異なる位置で前記一対の回収ローラの間に前記用紙を前記先端で押し込む押込み位置との間で、前記押込み片を進退させる進退機構(75)と、を有する。
【0010】
当該印刷物発行装置では、押込み片が押込み位置に至ると、交差方向で一対の回収ローラ間の位置に押込み片の先端が位置する。このため、用紙の一部が、押込み片の先端により、一対の回収ローラ間に押し込まれる。結果として、用紙は、一対の回収ローラに挟まれて、用紙回収部に送られる。
【0011】
仮に、搬送路の幅方向で一対の回収ローラが存在する部分に、押込み片の先端が存在する場合、一対の回収ローラの外周面が相互に接触している状態では、押込み片に厚みがあるため、この一対の回収ローラの間に押し込み片の先端を位置させる(先端を挿入する)ことは困難である。そこで、この場合、例えば、回収ローラの軸を移動させる軸移動機構を設けることが考えられる。この軸移動機構は、例えば、一対の回収ローラ軸のうち、一方の回収ローラ軸に対して、他方の回収ローラ軸を遠近方向に移動させる機構である。この軸移動機構を設けることにより、押込み片の先端が一対の回収ローラに近づいてきた時点で、一対の回収ローラのうちの一方の回収ローラに対して他方の回収ローラを遠ざければ、一対の回収ローラの間に押し込み片の先端を容易に位置させることができる。その後、一方の回収ローラに対して他方の回収ローラを近づければ、この一対の回収ローラで用紙を挟み込むことができる。そのような軸移動機構の例としては、特許文献2に記載された機構のように、一対のローラを互いに近づけたり遠ざけたりするものも挙げられる。
【0012】
当該印刷物発行装置では、押込み片の先端が、搬送路の幅方向に関して、一対の回収ローラが存在する位置とは異なる位置に存在する。そのため、一対の回収ローラ間に、押込み片によって用紙をダイレクトに押し込むのではなく、一対の回収ローラの近くの位置で、押込み片によって用紙を押し込むことにより、押込み片の先端を比較的深い位置まで押し込むことができ、用紙が一対の回収ローラ間に確実に送り込まれる。このため、当該印刷物発行装置では、前述したような軸移動機構を設けなくても、一対の回収ローラ間に用紙を位置させることができる。よって、当該印刷物発行装置では、簡単な構造で、用紙を一対の回収ローラ間に確実に押し込むことができ、その結果、用紙を確実に回収できるできる。
【0013】
ここで、前記印刷物発行装置において、前記押込み片は、基部(72)と、前記基部(72)から突出し、前記搬送路の前記幅方向で互いに離れている複数の爪部(73)と、を有し、複数の前記爪部で前記基部とは反対側の端が前記先端を成してもよい。
【0014】
当該印刷物発行装置では、複数の爪部の各先端で、一対の回収ローラ間に用紙全体をほぼ均等に押し込むことができる。
【0015】
前記爪部を有する前記印刷物発行装置において、前記押込み片の複数の前記爪部は、前記搬送路の前記幅方向の中心(C)を基準にして、前記幅方向で対称性を持って配置されていてもよい。
【0016】
当該印刷物発行装置の複数の爪部は、搬送路の幅方向の中心を基準にして、この幅方向で対称性を持って配置されている。このため、複数の先端が用紙に接してから、押込み片が押込み位置に至るまでの間で、搬送路に対して用紙が傾くことを抑えることができる。
【0017】
以上のいずれかの前記印刷物発行装置において、前記一対の回収ローラで構成される回収ローラ組(62)を複数備え、複数の前記回収ローラ組は、前記搬送路の前記幅方向で互いに離れていてもよい。
【0018】
当該印刷物発行装置では、複数の回収ローラ組を構成する各一対の回収ローラで、用紙全体をほぼ均等に用紙回収部側に送り出すことができる。
【0019】
複数の前記回収ローラ組を備える前記印刷物発行装置において、複数の前記回収ローラ組は、前記搬送路の幅方向の中心を基準にして、前記幅方向で対称性を持って配置されていてもよい。
【0020】
当該印刷物発行装置では、搬送路に対して用紙が傾くことを抑えることができる。
【0021】
複数の前記回収ローラ組を備える、上記のいずれかの前記印刷物発行装置において、複数の回収ローラ組のうち、少なくとも一の回収ローラ組を構成する前記一対の回収ローラの形成材料は、他の回収ローラ組を構成する前記一対の回収ローラの形成材料と異なってもよい。
【0022】
当該印刷物発行装置では、少なくとも一の回収ローラ組を構成する一対の回収ローラにおける用紙に対する摩擦特性が、他の回収ローラ組を構成する一対の回収ローラにおける用紙に対する摩擦特性が異なることになる。このため、外部環境が変化したとしても、複数の回収ローラ組のうち、そのときの外部環境において、より摩擦特性が優れている回収ローラにより、用紙を効率的に搬送することができる。よって、当該印刷物発行装置では、外部環境が変化しても、回収ローラ部における用紙の搬送能力の低下を抑えることができる。
【0023】
複数の前記回収ローラ組を備える前記印刷物発行装置において、三以上の前記回収ローラ組を備え、三以上の前記回収ロータ組は、前記搬送路の幅方向の中心を基準にして、前記幅方向で対称性を持って配置され、三以上の前記回収ローラ組のうちの第一の回収ローラ組は、前記搬送路の前記幅方向の中心を基準にして、第二の回収ローラ組と前記幅方向で対称に配置され、前記第一の回収ローラ組を構成する前記一対の回収ローラの形成材料は、前記第二の回収ローラ組を構成する前記一対の回収ローラの形成材料と同じであり、前記第一の回収ローラ組及び前記第二の回収ローラ組を除く他のいずれかの回収ローラ組を構成する前記一対の回収ローラの形成材料と異なってもよい。
【0024】
当該印刷物発行装置では、形成材料が互いに異なる複数の回収ローラ組を備えているので、外部環境が変化しても、回収ローラ部における用紙の搬送能力の低下を抑えることができる。しかも、当該印刷物発行装置では、搬送路の幅方向で対称関係の第一の回収ローラ組の回収ローラの形成材料と第二の回収ローラ組の回収ローラの形成材料とが同じであるため、搬送路に対して用紙が傾くことを抑えることができる。
【0025】
複数の前記回収ローラ組を備える、以上のいずれかの前記印刷物発行装置において、前記搬送路の前記幅方向に延び、互いに平行な一対の回収ローラ軸(64a,64b)を備え、複数の前記回収ローラ組のそれぞれを構成する前記一対の回収ローラのうち、一方の回収ローラが前記一対の回収ローラ軸のうちの一方の回収ローラ軸に固定され、他方の回収ローラが他方の回収ローラ軸に固定されていてもよい。
【0026】
当該印刷物発行装置は、複数の回収ローラ組を有するものの、複数の回収ローラ組のそれぞれを構成する一対の回収ローラのうち、一方の回収ローラが一方の回収ローラ軸に固定され、他方の回収ローラが他方の回収ローラ軸に固定されているため、複数の回収ローラの支持構造の簡略化を図ることができる。また、当該印刷物発行装置では、複数の前記一方の回収ローラの回転を相互に確実に同期させることができると共に、複数の前記他方の回収ローラの回転を相互に確実に同期させることができる。
【0027】
以上のいずれかの前記印刷物発行装置において、前記用紙に印刷を施し、印刷された用紙を前記搬送ローラに送る印刷部(20)と、前記印刷部と前記搬送ローラとの間で、前記用紙のうちで前記印刷部で印刷された部分と印刷されていない部分との境界を切断する切断部(30)と、を備えてもよい。
【0028】
当該印刷物発行装置では、長尺の用紙に印刷した後、これを切断することで、印刷した用紙を想定された寸法で発行することができる。
【0029】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての料金自動収受機は、
前記印刷部を有する前記印刷物発行装置と、有料施設の利用者から施設利用料金を受け付け、前記施設利用料金を含む情報を前記印刷物発行装置の前記印刷部に渡す料金収受処理装置(130)と、を備え、前記印刷物発行装置の前記印刷部は、前記料金収受処理装置から受け付けた前記施設利用料金を含む情報を前記用紙に印刷してもよい。
【0030】
なお、以上の記載で( )内の数字は、以下で説明する実施形態における対応部の符号である。しかしながら、以上の記載で( )が付されている部分は、実施形態における対応部に限定されない。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様では、簡単な構造で用紙を回収できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る印刷物発行装置の各種実施形態及び変形例、さらに、料金自動収受機の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
「印刷物発行装置の第一実施形態」
印刷物発行装置の第一実施形態について、
図1〜
図7を参照して説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の印刷物発行装置1は、用紙供給部10、用紙供給部10からの用紙Pに印刷を施す印刷部20、用紙Pを切断する切断部30と、用紙Pを搬送する搬送ローラ部40と、用紙回収部50と、用紙回収部50に用紙Pを送る回収ローラ部60と、用紙Pを回収ローラ部60に押し込む押込み部70と、用紙Pの搬送方向Dcをガイドするガイド部90と、これらが搭載されるベース2と、印刷された用紙Pの抜取りを検知する抜取りセンサ3と、制御装置5と、を備える。
【0036】
この印刷物発行装置1は、筐体6内に配置されている。この筐体6の前板6aには、用紙排出口7が形成されている。この前板6aには、用紙排出口7を塞ぐシャッター8が設けられている。筐体6内には、シャッター8を移動させるシャッター移動機構9が設けられている。このシャッター移動機構9は、用紙排出口7を塞ぐ閉位置と、用紙排出口7が開口している開位置との間でシャッター8を移動させる。
【0037】
用紙供給部10は、ロール紙RPを回転可能に保持するロール紙保持部11を有する。このロール紙保持部11は、例えば、円筒状のロール紙RPの中心を通って、このロール紙RPを回転可能に支持する軸を有してもよい。但し、この軸を必ずしも設ける必要はない。例えば、ロール紙保持部11は、ロール紙RPの外周面に接して、このロール紙RPを回転可能に支持するものであってもよい。
【0038】
印刷部20は、
図2に示すように、用紙供給部10から繰り出されたロール紙RPの一部である用紙Pに印刷を施しながら、上流側搬送路P1に沿った方向に用紙Pを送り出す。この印刷部20は、用紙Pに印刷するサーマルヘッド等の印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21との間で用紙Pを挟みながら回転して用紙Pを送り出すプラテンローラ22と、プラテンローラ軸23と、印刷処理部24(
図7参照)と、プラテン駆動部25(
図7参照)と、を有する。プラテンローラ軸23は、上流側搬送路P1に平行で且つこの上流側搬送路P1の幅方向Dwに延びている。プラテンローラ22は、このプラテンローラ軸23に固定されている。上流側搬送路P1は、プラテンローラ22の外周面のうちで印刷ヘッド21との対向位置における接線方向に延びている。
【0039】
図7に示すように、印刷処理部24には、制御装置5から印刷指令が入力する。印刷ヘッド21は、この印刷処理部24からの駆動指令に基づいて駆動する。プラテン駆動部25は、印刷処理部24からの駆動指令に基づいて駆動する。このプラテン駆動部25が駆動することで、プラテンローラ軸23が回転し、用紙Pが上流側搬送路P1に沿って送り出される。なお、本実施形態では、この上流側搬送路P1は、実質的に水平方向に延びている。
【0040】
搬送ローラ部40は、印刷部20から上流側搬送路P1に沿って送られてきた用紙Pを、下流側搬送路P2に沿った方向に搬送する。この搬送ローラ部40は、外周面が互いに対向する一対の搬送ローラ41a,41bと、一対の搬送ローラ軸42a,42bと、搬送ローラ駆動部43(
図7参照)と、を有する。一対の搬送ローラ軸42a,42bは、いずれも、下流側搬送路P2に平行で且つ下流側搬送路P2の幅方向Dwに延びている。よって、一対の搬送ローラ軸42a,42bは、互いに平行である。一対の搬送ローラ軸42a,42bのうち、一方が搬送ローラ駆動軸42aを成し、他方が搬送ローラ従動軸42bを成す。搬送ローラ駆動軸42aは、上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2の下側に配置されている。また、搬送ローラ従動軸42bは、上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2の上側に配置されている。一対の搬送ローラ41a,41bのうち、一方が駆動搬送ローラ41aを成し、搬送ローラ駆動軸42aに固定されている。また、一対の搬送ローラ41a,41bのうち、他方が従動搬送ローラ41bを成し、搬送ローラ従動軸42bに取り付けられている。
【0041】
下流側搬送路P2は、上流側搬送路P1の下流端からこの上流側搬送路P1が延びている方向と実質的に同じ方向に延びている。この下流側搬送路P2の延長線上には、前述した筐体6の用紙排出口7が位置している。この下流側搬送路P2は、駆動搬送ローラ41aの外周面のうちで従動搬送ローラ41bに最も近接する位置での接線方向に延びている。以下、上流側搬送路P1が延びている方向、及び下流側搬送路P2が延びている方向を単に搬送方向Dcとする。また、この搬送方向Dcで、用紙排出口7を基準にして用紙供給部10側を上流側Dcuとし、用紙供給部10を基準にして用紙排出口7側を下流側Dcdとする。前述したように、下流側搬送路P2の幅方向Dwは、一対の搬送ローラ軸42a,42bが延びている方向である。上流側搬送路P1の幅方向Dwは、プラテンローラ軸23が延びている方向である。また、一対の搬送ローラ軸42a,42bとプラテンローラ軸23とは互いに平行である。よって、下流側搬送路P2の幅方向Dwと上流側搬送路P1の幅方向Dwとは同じ方向である。
【0042】
図7に示すように、搬送ローラ駆動部43は、制御装置5から搬送指令に基づいて駆動する。搬送ローラ駆動部43が駆動することで、搬送ローラ駆動軸42a及び駆動搬送ローラ41aが回転する。従動搬送ローラ41bは、駆動搬送ローラ41aの回転に伴って回転する。用紙Pは、駆動搬送ローラ41aと従動搬送ローラ41bとで挟まれる。用紙Pは、駆動搬送ローラ41a及び従動搬送ローラ41bの回転に伴い、下流側搬送路P2に沿って搬送される。
【0043】
切断部30は、
図2に示すように、用紙供給部10から繰り出されたロール紙RP中で、印刷部20で印刷された部分と印刷されていない部分との境界を切断する。切断部30は、搬送ローラ部40と印刷部20との間に配置されている。この切断部30は、固定刃31と、可動刃32と、この可動刃32を移動させる可動刃駆動部33と、を有する。固定刃31は、例えば、上流側搬送路P1を基準にして上側に配置され、可動刃32は、上流側搬送路P1を基準にして下側に配置されている。
図7に示すように、可動刃駆動部33は、制御装置5からの切断指令に基づいて駆動する。可動刃駆動部33が駆動すると、可動刃32が上方に移動し、上流側搬送路P1上のロール紙RPを切断する。この結果、この切断部30を基準として下流側Dcdのロール紙RPは、切断された用紙Pになる。なお、切断刃として、例えば、ロータリーカッター等を採用してもよい。
【0044】
用紙回収部50は、
図1及び
図2に示すように、印刷された用紙Pを収容する収容空間51が形成されている。この用紙回収部50は、上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2に交差する交差方向(ここでは上下方向)に関して、上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2を基準として一方側(ここでは下側)に配置されている。この用紙回収部50の上側が開口している。用紙Pは、この開口52から収容空間51内に収容される。
【0045】
回収ローラ部60は、
図2に示すように、下流側搬送路P2から分岐し、用紙回収部50の開口52に向かって延びる回収路P3に沿って用紙Pを搬送する。この回収路P3は、下流側搬送路P2中で、搬送ローラ部40よりも下流側Dcdであって用紙排出口7よりも上流側Dcuの位置から分岐している。この回収路P3の幅方向Dwは、下流側搬送路P2の幅方向Dw及び上流側搬送路P1の幅方向Dwと同じ方向である。
【0046】
回収ローラ部60は、第一回収ローラ部61と、第二回収ローラ部65と、回収ローラ駆動部69(
図7参照)と、を有する。第一回収ローラ部61は、搬送ローラ部40よりも下流側Dcdであって、下流側搬送路P2の下側に配置されている。第二回収ローラ部65は、第一回収ローラ部61よりも上流側Dcuであって、第一回収ローラ部61よりも下側に配置されている。
【0047】
第一回収ローラ部61は、
図4〜
図6に示すように、複数(三つ)の第一回収ローラ組62と、一対の第一回収ローラ軸64a,64bと、を有する。一つの第一回収ローラ組62は、外周面が互いに対向する一対の第一回収ローラ63a,63bで構成される。一対の第一回収ローラ63a,63bは、押込み部70で一方側(ここでは、下側)に押し込まれた用紙Pを挟み込んで、用紙回収部50側に送る。なお、押込み部70が用紙Pを押し込む押込み方向は、前述した交差方向と完全に一致している必要はなく、この交差方向成分を含む方向であればよい。第一回収ローラ組62のそれぞれは、搬送路の幅方向Dwに関して一部のみに設けられている。すなわち、それぞれの第一回収ローラ組62は、搬送路の幅全体にわたって延びているのではなく、その幅は、搬送路幅の一部(本実施形態において、第一回収ローラ軸64aの約1/7の幅)となっている。一対の第一回収ローラ軸64a,64bは、いずれも、回収路P3に平行で且つ回収路P3の幅方向Dwに延びている。よって、一対の第一回収ローラ軸64a,64bは、互いに平行である。一対の第一回収ローラ軸64a,64bのうち、一方が第一駆動軸64aを成し、他方が第一従動軸64bを成す。第一駆動軸64aは、回収路P3の上側に配置されている。また、第一従動軸64bは、回収路P3の下側に配置されている。一対の第一回収ローラ63a,63bのうち、一方が第一駆動回収ローラ63aを成し、第一駆動軸64aに固定されている。また、一対の第一回収ローラ63a,63bのうち、他方が第一従動回収ローラ63bを成し、第一従動軸64bに取り付けられている。回収路P3は、第一駆動回収ローラ63aの外周面のうちで第一従動回収ローラ63bに最も近接する位置での接線方向に延びている。
【0048】
第二回収ローラ部65は、複数(ここでは、三つ)の第二回収ローラ組66と、一対の第二回収ローラ軸68a,68bと、を有する。一つの第二回収ローラ組66は、外周面が互いに対向する一対の第二回収ローラ67a,67bで構成される。一対の第二回収ローラ軸68a,68bは、いずれも、回収路P3に平行で且つ回収路P3の幅方向Dwに延びている。よって、一対の第二回収ローラ軸68a,68bは、互いに平行である。一対の第二回収ローラ軸68a,68bのうち、一方が第二駆動軸68aを成し、他方が第二従動軸68bを成す。第二駆動軸68aは、回収路P3の上側に配置されている。また、第二従動軸68bは、回収路P3の下側に配置されている。一対の第二回収ローラ67a,67bのうち、一方が第二駆動回収ローラ67aを成し、第二駆動軸68aに固定されている。また、一対の第二回収ローラ67a,67bのうち、他方が第二従動回収ローラ67bを成し、第二従動軸68bに取り付けられている。回収路P3は、前述したよに、第一駆動回収ローラ63aの外周面のうちで第一従動回収ローラ63bに最も近接する位置での接線方向に延びていると共に、第二駆動回収ローラ67aの外周面のうちで第二従動回収ローラ67bに最も近接する位置での接線方向に延びている。
【0049】
図7に示すように、回収ローラ駆動部69は、制御装置5から搬送指令に基づいて駆動する。回収ローラ駆動部69が駆動することで、第一駆動軸64a、これに固定されている第一駆動回収ローラ63aが回転すると共に、第二駆動軸68a、これに固定されている第二駆動回収ローラ67aが回転する。第一従動回収ローラ63bは、第一駆動回収ローラ63aの回転に伴って回転する。また、第二従動回収ローラ67bは、第二駆動回収ローラ67aの回転に伴って回転する。用紙Pは、第一駆動回収ローラ63aと第一従動回収ローラ63bとで挟まれる。用紙Pは、第一駆動回収ローラ63aの回転に伴い、回収路P3に沿って第二回収ローラ部65側へ搬送される。第一回収ローラ部61から搬送されてきた用紙Pは、第二駆動回収ローラ67aと第二従動回収ローラ67bとで挟まれる。この用紙Pは、第二駆動回収ローラ67aの回転に伴い、回収路P3に沿って用紙回収部50の収容空間51内に搬送される。
【0050】
図4〜
図6に示すように、本実施形態は、三つの第一回収ローラ組62及び三つの第二回収ローラ組66を有する。三つの第一回収ローラ組62毎の一対の第一回収ローラ63a,63bは、回収路P3の幅方向Dw、言い換えると下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている(三つの第一回収ローラ組62及び三つの第二回収ローラ組66は、それぞれ、ローラ幅とほぼ同じ幅の間隔をとって、連続して配置されている)。また、三つの第二回収ローラ組66毎の一対の第二回収ローラ67a,67bも、回収路P3の幅方向Dwで互いに離れている。
【0051】
三つの第一回収ローラ組62は、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして、この幅方向Dwで対称性を持つよう配置されている。また、三つの第二回収ローラ組66も、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして、この幅方向Dwで対称性を持つよう配置されている。具体的に、三つの第一回収ローラ組62のうち幅方向Dwの中央の第一回収ローラ組62、及び、三つの第二回収ローラ組66のうち幅方向Dwの中央の第二回収ローラ組66は、いずれも、回収路P3の幅方向Dwの中心に配置されている。また、三つの第一回収ローラ組62のうち残りの二組の第一回収ローラ組62は、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして互いに対称に配置されている。さらに、三つの第二回収ローラ組66のうち残りの二組の第二回収ローラ組66も、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして互いに対称に配置されている。なお、ここでの対称とは、完全対称のみならず、ほぼ対称である場合も含まれる。
【0052】
なお、回収路P3の幅方向Dwの中心は、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心Cの位置と実質的に一致する。この下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心Cは、軸線を中心として円筒状の駆動搬送ローラ41a中で、この軸線が延びる軸線方向の中心の位置である。
【0053】
三つの第一回収ローラ組62のうち幅方向Dwの中央の第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63bの形成材料は、残りの二組の第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63bの形成材料と異なる。一方、残りの二組の第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63bの形成材料は、互いに同じである。また、三つの第二回収ローラ組66のうち幅方向Dwの中央の第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bの形成材料は、残りの二組の第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bの形成材料と異なる。一方、残りの二組の第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bの形成材料は、互いに同じである。具体的に、中央の第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63b、及び中央の第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bは、いずれも、例えば、シリコンゴムで形成されている。また、残りの二組の第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63b、及び残りの二組の第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bは、いずれも、例えば、クロロプレンゴムで形成されている。
【0054】
ガイド部90は、
図2に示すように、上流側ガイド部91と、下流側ガイド部93と、排出口ガイド部95と、回収ガイド部97とを有する。各ガイド部91,93,95,97は、いずれも互いに対向した上ガイド92a,94a,96a,98aと下ガイド92b,94b,96b,98bとを有する。
【0055】
上流側ガイド部91の上ガイド92aは、上流側搬送路P1の上側をこの上流側搬送路P1に沿って、印刷ヘッド21から固定刃31の手前まで延びている。上流側ガイド部91の下ガイド92bは、上流側搬送路P1の下側をこの上流側搬送路P1に沿って、プラテンローラ22から可動刃32の手前まで延びている。
【0056】
下流側ガイド部93の上ガイド94aは、上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2の上側をこれら上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2に沿って、固定刃31の下流側Dcdから下流側搬送路P2のほぼ中間位置まで延びている。下流側ガイド部93の下ガイド94bは、上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2の下側をこれら上流側搬送路P1及び下流側搬送路P2に沿って、可動刃32の下流側Dcdから下流側搬送路P2のほぼ中間位置まで延びている。下流側ガイド部93の上ガイド94aには、駆動搬送ローラ41aの一部が上ガイド94aと下ガイド94bとの間に位置できるよう、切欠きが形成されている。また、下流側ガイド部93の下ガイド94bには、従動搬送ローラ41bの一部が上ガイド94aと下ガイド94bとの間に位置できるよう、切欠きが形成されている。
【0057】
排出口ガイド部95の上ガイド96aは、下流側搬送路P2の上側を、下流側ガイド部93の上ガイド94aから前板6aにおける用紙排出口7の上縁の位置まで延びている。排出口ガイド部95の下ガイド96bは、下流側搬送路P2の下側をこの下流側搬送路P2に沿って、下流側ガイド部93の下ガイド94bよりも下流側Dcdの位置から前板6aにおける用紙排出口7の下縁の位置まで延びている。排出口ガイド部95の下ガイド96bの上流端は、下流側ガイド部93の下ガイド94bの下流端に対して、下流側Dcdに離れている。回収路P3は、排出口ガイド部95の下ガイド96bの上流端と下流側ガイド部93の下ガイド94bの下流端との間を通っている。
【0058】
回収ガイド部97の上ガイド98aは、回収路P3の上側をこの回収路P3に沿って、第一駆動回収ローラ63aから第二駆動回収ローラ67aの手前まで延びている。回収ガイド部97の下ガイド98bは、回収路P3の下をこの回収路P3に沿って、第一従動回収ローラ63bから第二従動回収ローラ67bの手前まで延びている。
【0059】
排出口ガイド部95の上ガイド98aには、抜取りセンサ3が固定されている。この抜取りセンサ3は、下流側搬送路P2上であって、この抜取りセンサ3の下方に用紙Pが存在するか否かを検知する。ここでは、抜取りセンサ3として、透過型のレーザセンサを採用している。つまり、抜取りセンサ3は、レーザ発振器とレーザ受光器とを有する。この抜取りセンサ3は、下流側搬送路P2上に用紙Pが存在する場合、レーザが用紙Pにより遮断されることにより、用紙Pが抜き取られていないことを示すオン信号を制御装置5に出力する。また、この抜取りセンサ3は、下流側搬送路P2上に用紙Pが存在しない場合、レーザが用紙Pにより遮断されないことにより、用紙Pの抜取りを示すオフ信号を制御装置5に出力する。
【0060】
なお、抜取りセンサ3は、用紙Pを抜取りを検知することができれば、如何なるタイプのセンサでもよく、例えば、反射型のレーザセンサを用いてよい。また、抜取りセンサ3は、レーザ光を利用するタイプでなくてもよい。
【0061】
押込み部70は、下流側搬送路P2上の用紙Pを交差方向(ここでは、上下方向)に関して一方側(ここでは、下側)に押し込む。押込み部70は、
図2〜
図6に示すように、用紙Pに接し得る先端74を有する押込み片71と、この押込み片71を進退させる進退機構75と、を有する。進退機構75は、下流側ガイド部93の上ガイド94aよりも上側に配置されている。この進退機構75は、押込み片71の全体が下流側ガイド部93の上ガイド94aよりも上側に位置する退避位置(
図2参照)と、押込み片71の先端74が上下方向で第一回収ローラ部61の一対の第一回収ローラ63a,63bの間に位置する押込み位置(
図3参照)との間で、押込み片71を進退移動させる。なお、押込み位置は、幅方向Dwに関して一対の第一回収ローラ63a,63bが設けられている位置とは異なる位置で一対の第一回収ローラ63a,63bの間に用紙Pを先端74で押し込む位置である。この進退機構75は、押込み片71の進退過程で、押込み片71の先端74が円弧状の移動軌跡を描くよう、この押込み片71を進退させる。
【0062】
押込み片71は、基部72と、基部72から突出して下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている四つの爪部73と、を有する。各爪部73における基部72と反対側の端が前述の先端74を成す。進退機構75は、下流側搬送路P2に平行で且つ下流側搬送路P2の幅方向Dwに延びている片回転軸76と、この片回転軸76を中心として押込み片71を回転させる回転機構80と、を有する。片回転軸76には、押込み片71の基部72が取り付けられている。この基部72は、
図4に示すように、片回転軸76から放射方向に延びている放射方向延在部72aと、この放射方向延在部72aの端で片回転軸76の軸方向に延びる軸方向延在部72bとを有する。複数の爪部73は、いずれも、基部72の軸方向延在部72bから、先端74の円弧状の移動軌跡に沿った方向であって、爪部73が上側から下側に向かう前進過程での前進側に延びている。この押込み片71の先端74は、押込み片71中で片回転軸76から最も遠い位置に位置している。
【0063】
四つの爪部73は、
図4〜
図6に示すように、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心Cを基準として、この幅方向Dwで対称性を持つように設けられている。四つの爪部73は、いずれも、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、三つの第一回収ローラ組62が存在していない位置に設けられている。具体的に、四つの爪部73のうち、中央側の一の爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、中央の第一回収ローラ組62と、下流側Dcdに向かって右側の第一回収ローラ組62との間に設けられている。中央側の他の一の爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、中央の第一回収ローラ組62と、下流側Dcdに向かって左側の第一回収ローラ組62との間に設けられている。また、下流側Dcdに向かって最も右側の爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、下流側Dcdに向かって最も右側の第一回収ローラ組62よりも右側に設けられている。下流側Dcdに向かって最も左側の爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、下流側Dcdに向かって最も左側の第一回収ローラ組62よりも左側に設けられている。
【0064】
回転機構80は、
図2〜
図4に示すように、駆動ピストン81と、駆動ピストン81と押込み片71とを連結する連結リンク片85と、リンク回転軸89と、を有する。駆動ピストン81は、ケーシング82と、このケーシング82に対して直線的に進退移動するピストンロッド83と、を有する。この駆動ピストン81は、下流側搬送路P2の搬送方向Dcにピストンロッド83が進退移動するよう配置されている。このピストンロッド83の先端部には、下流側搬送路P2の幅方向Dwに延びるピン84が固定されている。連結リンク片85は、第一端部86aと第二端部86bとを有する。第一端部86aから第二端部86bに向かう方向は、この連結リンク片85の長手方向になる。第一端部86a及び第二端部86bには、下流側搬送路P2の幅方向Dwに貫通し、長手方向に長い長孔87a,87bが形成されている。第一端部86aの長孔87aには、ピストンロッド83の先端部に固定されているピン84が挿通されている。また、第二端部86bの長孔87bには、押込み片71の基部72に固定されているピン88が挿通されている。このピン88は、基部72中で、片回転軸76よりも爪部73側の位置に固定されている。このピン88も、ピストンロッド83の先端部に固定されているピン84と同様、下流側搬送路P2の幅方向Dwに延びている。リンク回転軸89は、下流側搬送路P2の幅方向Dwに延びている。このリンク回転軸89には、連結リンク片85がこのリンク回転軸89を中心として回転可能に取り付けられている。このリンク回転軸89は、連結リンク片85における第一端部86aと第二端部86bとの間の位置を貫通している。片回転軸76及びリンク回転軸89は、いずれも、ベース2(
図1参照)に固定されているサポート等で支持されている。
【0065】
制御装置5は、
図7に示すように、駆動ピストン81を含む押込み駆動部79に対して、押込み指令を出力する。押込み駆動部79がこの押込み指令を受けると、駆動ピストン81のピストンロッド83が進退移動し、退避位置の押込み片71が片回転軸76を中心として回転して、押込み位置に変位する。なお、押込み部70の動作について、後ほど詳細に説明する。
【0066】
以上で説明した印刷物発行装置1の動作について説明する。
【0067】
制御装置5は、
図7に示すように、印刷情報が含まれている発行指令を外部から受けると、印刷処理部24に対して印刷指令を出力する。印刷処理部24は、印刷情報が含まれている駆動指令を印刷ヘッド21に出力する。印刷ヘッド21は、この駆動指令に基づいて、印刷ヘッド21とプラテンローラ22との間に挟まれているロール紙RPの一部である用紙Pに印刷処理する。プラテン駆動部25は、印刷処理部24からの駆動指令に基づいて駆動する。プラテン駆動部25は、印刷ヘッド21による印刷処理と同期させて、プラテンローラ22を回転させる。
図2に示すように、プラテンローラ22が回転すると、用紙Pは、上流側ガイド部91の上ガイド92aと下ガイド92bとの間、及び下流側ガイド部93の上ガイド94aと下ガイド94bとの間を、上流側搬送路P1に沿って下流側Dcd、つまり用紙排出口側に移動する。
【0068】
制御装置5は、外部から前述の発行指令を外部から受けると、搬送ローラ駆動部43に搬送指令を出力する。搬送ローラ駆動部43は、この搬送指令に基づいて駆動する。この搬送ローラ駆動部43の駆動は、プラテン駆動部25の駆動と同期している。搬送ローラ駆動部43が駆動すると、駆動搬送ローラ41aが回転する。従動搬送ローラ41bは、駆動搬送ローラ41aの回転に伴って回転する。駆動搬送ローラ41aと従動搬送ローラ41bとの間に挟まれている用紙Pは、駆動搬送ローラ41aの回転に伴って、下流側ガイド部93の上ガイド94aと下ガイド94bとの間を、下流側搬送路P2に沿って下流側Dcd、つまり用紙排出口側に移動する。
【0069】
駆動搬送ローラ41a及びプラテンローラ22は、所定のタイミングで停止する。この停止時点で、用紙Pの前端は、抜取りセンサ3が設けられている位置よりも下流側Dcdで、用紙排出口7よりも上流側Dcuに位置している。また、この時点で、ロール紙RP中で印刷部20で印刷された全領域が可動刃32よりも下流側Dcdに位置している。
【0070】
制御装置5は、外部から前述の発行指令を受けた後、所定のタイミングで、可動刃駆動部33に切断指令を出力する。具体的に、制御装置5は、駆動搬送ローラ41a及びプラテンローラ22の停止タイミングに合せて、可動刃駆動部33に切断指令を出力する。可動刃駆動部33は、この切断指令に基づいて駆動する。可動刃駆動部33が駆動すると、可動刃32が上方に移動する。可動刃32が上方に移動すると、この可動刃32と上流側搬送路P1の上側に配置されている固定刃31とで、上流側搬送路P1上のロール紙RPが切断される。この結果、この切断部30を基準として下流側Dcdのロール紙RPは、切断された用紙Pになる。この切断された用紙Pには、前述したように、印刷部20で印刷が施されている。なお、可動刃駆動部33に対する切断指令は、発行指令を受け付けた印刷処理部24が出力してもよい。
【0071】
抜取りセンサ3の下側に用紙Pが至ると、抜取りセンサ3は、この用紙Pの存在を検知して、前述したように、制御装置5に対してオン信号を出力する。
【0072】
以上で印刷された用紙Pの発行が完了する。
【0073】
印刷された用紙Pの受取対象者は、筐体6の用紙排出口7から筐体6内に手を入れて、この用紙Pを取り出す。発行された用紙Pは、前述したように、一対の搬送ローラ41a,41bに挟まれた状態になっている。このため、受取対象者がこの用紙Pを抜き取らない限り、風等による用紙Pの紛失を回避することができる。
【0074】
受取対象者が用紙Pを取り出すと、抜取りセンサ3は、この用紙Pの存在しなくなったことを検知して、前述したように、用紙Pの抜取りを示すオフ信号を制御装置5に出力する。
【0075】
ところで、印刷された用紙Pを発行しても、受取対象者がこの用紙Pを受け取らない場合、つまり、不渡し用紙Pが発生した場合、この用紙Pを後の受取対象が受け取ってしまうおそれがある。
【0076】
そこで、実施形態では、用紙Pの発行後、予め定められた条件を満たすと、制御装置5は、押込み駆動部79に対して押込み指令、回収ローラ駆動部69に対して搬送指令を出力する。ここで、予め定められた条件は、例えば、用紙Pが未だ抜き取られていないことを示すオン信号を抜取りセンサ3が出力している状態で、発行した用紙Pの受取対象者が去ってしまったことをセンサ等で検知した場合である。なお、予め定めらえた条件は、用紙Pが未だ抜き取られていないことを示すオン信号を抜取りセンサ3が出力している状態が予め定められた時間を経過した場合や、用紙Pが未だ抜き取られていないことを示すオン信号を抜取りセンサ3が出力している状態で、制御装置5が新たな発行指令を受けた場合等でもよい。
【0077】
押込み駆動部79が制御装置5から押込み指令を受けると、駆動ピストン81のピストンロッド83が進退移動する。押込み部70の押込み片71は、制御装置5から押込み指令が出力される前、
図2に示すように、退避位置に位置している。すなわち、押込み片71の全体が、下流側ガイド部93の上ガイド94aよりも上側に位置している。また、駆動ピストン81のピストンロッド83は、駆動ピストン81のケーシング82に対して最も突出した前進位置に位置している。
【0078】
押込み駆動部79が押込み指令を受けると、駆動ピストン81のピストンロッド83は、
図3に示すように、前進位置から後退して後退位置に至る。このピストンロッド83の後退により、連結リンク片85は、リンク回転軸89を中心として回転し、第一端部86aが後退する一方で、第二端部86bが前進する。連結リンク片85の第二端部86bが前進すると、押込み片71は、片回転軸76を中心として回転し、押込み位置に至る。
【0079】
押込み片71が退避位置から押込み位置に至る前進過程で、押込み片71の先端74は、片回転軸76を中心とした円弧状の移動軌跡を描く。この円弧状の移動軌跡は、先端74が下流側搬送路P2より上側では、退避位置の押込み片71における先端74が下側に向かうに連れて下流側Dcdに向う軌跡である。この先端74が下流側搬送路P2より下側になると、この先端74が下側に向うに連れて上流側Dcuに向う軌跡になる。
【0080】
押込み片71が押込み位置に至ると、ピストンロッド83は、後退位置から前進する。このピストンロッド83の前進により、押込み片71は、片回転軸76を中心として、前述とは逆向きに回転し、退避位置に戻る。
【0081】
押込み片71が押込み位置から退避位置に至る後退過程でも、押込み片71の先端74は、前述の前進過程と同様に、片回転軸76を中心とした円弧状の移動軌跡を描く。この円弧状の移動軌跡は、先端74が下流側搬送路P2より下側では、押込み位置の押込み片71における先端74が上側に向かうに連れて上流側Dcuに向う軌跡である。この先端74が下流側搬送路P2より上側になると、この先端74が上側に向うに連れて下流側Dcdに向う軌跡になる。
【0082】
すなわち、この押込み片71の移動軌跡は、先端74が下流側搬送路P2を基準にして上側(他方側)に向かうに連れて上流側Dcuに向かって移動し、先端74が下流側搬送路P2を基準にして下側(一方側)に向かうに連れて上流側Dcuに向かって移動する円弧状の軌跡である。
【0083】
本実施形態において、片回転軸76を中心として押込み片71を回転させる回転機構80は、動作端が直線的に移動する駆動ピストン81を有する。しかしながら、回転機構80は、片回転軸76を中心として押込み片71を回転させることができれば、如何なる機構であってもよい。具体的に、例えば、回転モータ等を用いて、片回転軸76を自身の中心軸回りに回転させて、片回転軸76を中心として押込み片71を回転させる機構を採用してもよい。
【0084】
押込み片71が退避位置から押込み位置に至る前進過程で、この押込み片71の複数の先端74が下流側搬送路P2上の用紙Pに接触する。押込み片71は、複数の先端74が用紙Pの接触した状態のまま、押込み位置に至る。
【0085】
押込み片71の複数の爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心を基準にして、この幅方向Dwで対称性を持って配置されている。また、下流側搬送路P2上の用紙Pの中心は、下流側搬送路P2の幅方向Dwのほぼ中心上に位置している。このため、押込み片71の複数の先端74が用紙Pに接してから、押込み片71が押込み位置に至るまでの間で、用紙Pの全体をほぼ均等に押込み片71で押すことができ、下流側搬送路P2及び回収路P3に対して用紙Pが傾くことを抑えることができる。
【0086】
押込み位置では、押込み片71の複数の先端74が、上下方向における複数の第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63bの間に位置する。このため、複数の先端74に接している用紙Pが、一対の第一回収ローラ63a,63b間に押し込まれることになる。結果として、用紙Pが一対の第一回収ローラ63a,63bに挟まれる。ここで、押込み位置は、具体的には、例えば、押込み片71の先端74が、上下方向で第一回収ローラ部61の一対の第一回収ローラ63a,63bの間に位置し、且つ、一対の第一回収ローラ63a,63bの互いの中心軸を結ぶ線分に接する位置である。但し、これは一例であり、押込み位置は、押込み片71の先端74がこの線分に接する手前側(ここでは上側)の位置であっても、この線分より奥側(ここでは下側)の位置であってもよい。すなわち、押込み位置は、用紙Pが一対の第一回収ローラ63a,63b間に押し込まれ、且つに用紙Pが一対の第一回収ローラ63a,63bに密着する位置でればよい。用紙Pが押込み片71の先端74で押されて一対の第一回収ローラ63a,63bに密着する位置は、第一回収ローラ63a,63bの互いの中心軸の相互間距離、第一回収ローラ63a,63bの外径寸法等の他、用紙Pの厚さ等により、相対的に定まる位置である。よって、好ましい押込み位置は、各部品の寸法や配置のみでは定まらない。
【0087】
仮に、下流側搬送路P2の幅方向Dwで一対の回収ローラが存在する部分に、押込み片71の先端74が存在する場合、一対の回収ローラの外周面が相互に接触している状態では、押込み片71に厚さがあるため、この一対の回収ローラの間に押し込み片の先端74を位置させる(先端74を挿入する)ことが困難である。そこで、この場合、例えば、回収ローラの軸を移動させる軸移動機構を設けることが考えられる。この軸移動機構は、一対の回収ローラ軸のうち、一方の回収ローラ軸に対して、他方の回収ローラ軸を遠近方向に移動させる機構である。この軸移動機構を設けることにより、押込み片71の先端74が一対の回収ローラに近づいてきた時点で、一対の回収ローラのうちの一方の回収ローラに対して他方の回収ローラを遠ざければ、一対の回収ローラの間に押し込み片の先端74を容易に位置させることができる。その後、一方の回収ローラに対して他方の回収ローラを近づければ、この一対の回収ローラで用紙Pを挟み込むことができる。
【0088】
本実施形態では、下流側搬送路P2の幅方向Dwで複数の第一回収ローラ組62が存在する位置とは異なる位置に、押込み片71の複数の先端74が存在する。このため、本実施形態では、前述した軸移動機構を設けなくても、押込み片71の先端74を上下方向における一対の第一回収ローラ63a,63bの間に位置に位置させて、用紙Pを一対の第一回収ローラ63a,63b間の深い位置にまで押し込むことができる。よって、本実施形態では、簡単な構造で、用紙Pを確実に(すなわち、高い回収性能をもって)回収できる。
【0089】
制御装置5は、押込み駆動部79に対する押込み指令の出力とほぼ同時に、回収ローラ駆動部69に搬送指令を出力し、回収ローラ駆動部69を駆動させる。回収ローラ駆動部69が駆動すると、第一回収ローラ部61の第一駆動軸64a、これに固定されている第一駆動回収ローラ63a、この第一駆動回収ローラ63aの外周面に接している第一従動回収ローラ63bが回転する。さらに、第二回収ローラ部65の第二駆動軸68a、これに固定されている第二駆動回収ローラ67a、この第二駆動回収ローラ67aの外周面に接している第二従動回収ローラ67bが回転する。
【0090】
本実施形態では、複数の回収ローラ組62,66を有するものの、複数の回収ローラ組62,66のそれぞれを構成する一対の回収ローラのうち、一方の回収ローラ63a,67aが一方の回収ローラ軸64a,68aに固定され、他方の回収ローラ63b,67bが他方の回収ローラ軸64b,68bに固定されている。このため、本実施形態では、複数の回収ローラ63a,63b,67a,67bの支持構造の簡略化を図ることができる。さらに、本実施形態では、複数の一方の回収ローラ63a,63a,…(67a,67a,…)の回転を相互に確実に同期させることができると共に、複数の他方の回収ロータ63b,63b,…(67b,67b,…)の回転を相互に確実に同期させることができる。
【0091】
押込み部70の動作で、一対の第一回収ローラ63a,63bを構成する第一駆動回収ローラ63aと第一従動回収ローラ63bとにより用紙Pが挟み込まれると、この用紙Pは、回収ガイド部97の上ガイド98aと下ガイド98bとの間を回収路P3に沿って第二回収ローラ部65側へ搬送される。この搬送で、この用紙Pは、一対の第二回収ローラ67a,67bを構成する第二駆動回収ローラ67aと第二従動回収ローラ67bとにより用紙Pが挟み込まれる。この用紙Pは、第二駆動回収ローラ67a及び第二従動回収ローラ67bの回転で、用紙回収部50の収容空間51内に搬送される。
【0092】
以上で、不渡し用紙Pの回収が完了する。
【0093】
本実施形態では、前述したように、複数の第一回収ローラ組62及び複数の第二回収ローラ組66は、いずれも、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして、この幅方向Dwで対称性を持って配置されている。さらに、複数の第一回収ローラ組62で互いに対称な二組の第一回収ローラ組62は、互いに同じ材料で形成され、複数の第二回収ローラ組66で互いに対称な二組の第二回収ローラ組66も、互いに同じ材料で形成されている。よって、複数の第一回収ローラ組62全体での用紙Pに対する摩擦力は、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして、この幅方向Dwで対称である。同様に、複数の第二回収ローラ組66全体での用紙Pに対する摩擦力は、回収路P3の幅方向Dwの中心を基準にして、この幅方向Dwで対称である。このため、複数の第一回収ローラ組62及び複数の第二回収ローラ組66での用紙Pの搬送過程で、この用紙Pが回収路P3に対して傾くことを抑制することができる。
【0094】
複数の第一回収ローラ組62及び複数の第二回収ローラ組66は、いずれも、筐体6の用紙排出口7に近く、筐体6外の外部環境に影響され易い。具体的に、筐体6外の気温が低下すれば、複数の第一回収ローラ組62及び複数の第二回収ローラ組66の温度も低下し易い。また、筐体6外で雨が降っていれば、複数の第一回収ローラ組62及び複数の第二回収ローラ組66は濡れ易い。例えば、筐体6外で雨が降っていれば、用紙Pが濡れ、この結果、濡れた用紙Pを回収する複数の第一回収ローラ組62及び複数の第二回収ローラ組66が濡れることになる。
【0095】
本実施形態では、前述したように、複数の第一回収ローラ組62のうち一の第一回収ローラ組62、及び複数の第二回収ローラ組66のうちの一の第二回収ローラ組66は、いずれも、シリコンゴムで形成されている。また、複数の第一回収ローラ組62のうち残りの第一回収ローラ組62、及び複数の第二回収ローラ組66のうちの残りの第二回収ローラ組66は、いずれも、クロロプレンゴムで形成されている。シリコンゴムは、クロロプレンゴムに比べて、低温時のおける用紙Pとの間の摩擦係数が高い。クロロプレンゴムは、シリコンゴムに比べて、低温時のおける用紙Pとの間の摩擦係数が低いものの、水に濡れた場合における用紙Pとの摩擦係数が高い。よって、気温が低下した場合、主として、シリコンゴムで形成されている第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66で、用紙Pが搬送される。また、水に濡れた場合、主として、クロロプレンゴムで形成されている第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66で、用紙Pが搬送される。
【0096】
よって、本実施形態では、筐体6外で環境変化しても、回収ローラ部60における用紙Pの搬送能力の低下を抑えることができる。すなわち、本実施形態では、外部環境が変化したとしても、複数の回収ローラ組のうち、そのときの外部環境において、より摩擦特性が優れている回収ローラにより、用紙Pを効率的に搬送することができる。
【0097】
なお、ここでは、複数の第一回収ローラ組62のうちの一の第一回収ローラ組62、及び複数の第二回収ローラ組66のうちの一の第二回収ローラ組66をシリコンゴムで形成し、残りの第一回収ローラ組62及び残りの第二回収ローラ組66をクロロプレンゴムで形成している。しかしながら、一の第一回収ローラ組62の用紙Pに対する摩擦係数と残りの第一回収ローラ組62の用紙Pにおける摩擦係数とが、外部環境に応じて異なれば、他の材料の組み合わせてもよい。同様に、一の第二回収ローラ組66と残りの第二回収ローラ組66の各形成材料も、他の材料の組み合わせでもよい。
【0098】
本実施形態における押込み片71の先端74の移動軌跡は、前述したように、先端74が下流側搬送路P2を基準にして上側(他方側)に向かうに連れて上流側Dcuに向かって移動し、先端74が下流側搬送路P2を基準にして下側(一方側)に向かうに連れて上流側Dcuに向かって移動する円弧状の軌跡である。
【0099】
よって、本実施形態では、押込み片71の先端74が上下方向(交差方向)で下流側搬送路P2近傍に位置しているときに、つまり、この先端74が下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したとき、この先端74が搬送方向Dcで最も上流側Dcuに位置に位置することになる。先端74が下流側搬送路P2よりも上側に位置している場合、搬送方向Dcにおける先端74の位置は、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置よりも、上流側Dcuになる。また、先端74が下流側搬送路P2よりも下側に位置している場合、搬送方向Dcにおける先端74の位置も、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置よりも、上流側Dcuになる。しかも、押込み片71の先端74は、押込み片71中で片回転軸76から最も遠い位置に位置している。このため、本実施形態では、下流側搬送路P2よりも上側での押込み片71の占有領域、及び、下流側搬送路P2よりも下側での押込み片71の占有領域を、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置よりも、上流側Dcuに位置させることができる。
【0100】
また、本実施形態では、先端74が下流側搬送路P2を基準にして下側に向かうに連れて下流側搬送路P2の上流側Dcuに向かって移動する円弧状の移動軌跡である。しかも、本実施形態では、回収ローラ部60における一対の第一回収ローラ63a,63b及び一対の第二回収ローラ67a,67bにおける用紙Pの送り方向は、前述の円弧状の移動軌跡の接線方向、つまり、下側に向かうに連れて上流側Dcuに向かう方向である。よって、本実施形態では、下流側搬送路P2の下側に配置される用紙回収部50を、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置よりも、上流側Dcuに位置させることができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置より、押込み片71の片回転軸76を上流側Dcuに位置させることができる。このため、この片回転軸76を含む進退機構75も、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置より、上流側Dcuに位置させることができる。
【0102】
以上のように、本実施形態では、押込み部70、回収ローラ部60、及び用紙回収部50を、下流側搬送路P2上の用紙Pに接触したときの先端74の搬送方向Dcにおける位置より、上流側Dcuに位置させることができる。よって、本実施形態では、搬送方向Dcの装置長さを短くすることができる。
【0103】
このため、印刷物発行装置1の用紙供給部10、印刷部20、切断部30、搬送ローラ部40、用紙回収部50、回収ローラ部60、押込み部70、これらが搭載されるベース2を筐体6の用紙排出口7に近づけることができる。
【0104】
さらに、本実施形態では、先端74の移動軌跡が円弧状であるため、先端が上下方向(交差方向)に直線移動する場合よりも、交差方向の装置長さも短くすることができる。よって、本実施形態では、装置の小型化を図ることができる。
【0105】
「押込み片及び回収ローラ部の第一変形例」
押込み片71及び回収ローラ部60の第一変形例について、
図8を参照して説明する。
【0106】
上記実施形態における第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の数量は、それぞれ三つである。しかしながら、本変形例のように、第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の数量は、それぞれ一つであってもよい。一つの第一回収ローラ組62及び一つの第二回収ローラ組66は、いずれも、下流側搬送路P2の幅方向Dwにおける中心Cの位置に配置されている。
【0107】
本変形例における押込み片71aの爪部73の数は、二つである。二つの爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、互いに離れている。二つの爪部73のうち一方の爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心Cを基準として、他方の爪部73に対して対称な位置に配置されている。幅方向Dwにおける第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の位置は、幅方向Dwにおける二つの爪部73の間の位置である。
【0108】
本変形例で、第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63bの形成材料と、第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bの形成材料とは、同じである。
【0109】
本変形例でも、下流側搬送路P2の幅方向Dwで第一回収ローラ組62が存在する部分に、押込み片71aの爪部73が存在しない。このため、本変形例でも、上記実施形態と同様、簡単な構造で、用紙Pを容易に一対の第一回収ローラ63a,63b間に押し込むことができる。
【0110】
「押込み片及び回収ローラ部の第二変形例」
押込み片及び回収ローラ部の第二変形例について、
図9を参照して説明する。
【0111】
上記実施形態における爪部73の数量は、四つである。しかしながら、本変形例のように、押込み片71bにおける爪部73の数量は、一つであってもよい。一つの爪部73は、下流側搬送路P2の幅方向Dwにおける中心の位置に配置されている。
【0112】
本変形例における第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の数量は、それぞれ二つである。二つの第一回収ローラ組62は、下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている。また、二つの第二回収ローラ組66も、下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている。二つの第一回収ローラ組62のうち一方の第一回収ローラ組62は、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心を基準として、他方の第一回収ローラ組62に対して対称な位置に配置されている。二つの第二回収ローラ組66のうち一方の第二回収ローラ組66は、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心を基準として、他方の第二回収ローラ組66に対して対称な位置に配置されている。幅方向Dwにおける一つの爪部73の位置は、幅方向Dwにおける二つの第一回収ローラ組62の間の位置、及び二つの第二回収ローラ組66の間の位置である。
【0113】
本変形例で、二つの第一回収ローラ組62を構成する一対の第一回収ローラ63a,63bの形成材料と、二つの第二回収ローラ組66を構成する一対の第二回収ローラ67a,67bの形成材料とは、同じである。
【0114】
本変形例でも、下流側搬送路P2の幅方向Dwで第一回収ローラ組62が存在する部分に、押込み片71bの爪部73が存在しない。このため、本変形例でも、上記実施形態と同様、簡単な構造で、用紙Pを容易に一対の第一回収ローラ63a,63b間に押し込むことができる。
【0115】
以上、第一変形例のように、第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の数量は、それぞれ一つであってもよく、第二変形例のように、爪部73の数量は、一つであってもよい。さらに、第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の数量は、四つ以上でもよく、爪部73の数量は、五つ以上であってもよい。
【0116】
なお、第一回収ローラ組62及び第二回収ローラ組66の数量が五つ以上の場合、複数の第一回収ローラ組62の形成材料は、三種類以上であってよい。
【0117】
「印刷物発行装置の第二実施形態」
印刷物発行装置の第二実施形態について、
図10を参照して説明する。
【0118】
上記実施形態における押込み片71の先端74の移動軌跡は、円弧状である。一方、本実施形態における押込み片71cの先端74の移動軌跡は、直線状である。このため、本実施形態における押込み部70cの構成と上記実施形態における押込み部70の構成とは異なる。さらに、本実施形態の回収ローラ部60cにおける第一回収ローラ部61c及び第二回収ローラ部65cの配置が、上記実施形態における第一回収ローラ部61及び第二回収ローラ部65の配置と異なる。
【0119】
本実施形態の押込み部70cは、押込み片71cと、この押込み片71cを直線状の移動軌跡で進退させる進退機構75cと、を有する。この押込み片71cの直線状の移動軌跡が延びる方向は、鉛直方向である。
【0120】
押込み片71cは、例えば、平板状の基部72cと、平板状の基部72cの縁から平板状の基部72cが広がる方向に突出している四つの爪部73cと、を有する。この押込み片71cは、平板状の基部72cの厚さ方向が搬送方向Dcを向き且つ基部72cに対して四つの爪部73cが下側に位置するよう配置される。
【0121】
四つの爪部73cは、上記実施形態と同様、下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている。四つの爪部73cは、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心を基準として、この幅方向Dwで対称性を持つように設けられている。
【0122】
本実施形態の進退機構75cは、押込み片71cの基部72cを保持し、前述したように、押込み片71cを鉛直方向(交差方向)に直線移動させる機構である。
【0123】
本実施形態の回収路P3cは、搬送方向Dcにおける押込み片71cの位置において、下流側搬送路P2から鉛直下方に延びている。第一回収ローラ部61c及び第二回収ローラ部65cは、この回収路P3に沿って配置されている。
【0124】
第一回収ローラ部61cは、上記実施形態と同様、三つの第一回収ローラ組62cを有する。また、第二回収ローラ部65cも、上記実施形態と同様、三つの第二回収ローラ組66cを有する。三つの第一回収ローラ組62cは、上記実施形態と同様、下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている。また、三つの第一回収ローラ組62cは、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心を基準として、この幅方向Dwで対称性を持つように配置されている。三つの第二回収ローラ組66cは、上記実施形態と同様、下流側搬送路P2の幅方向Dwで互いに離れている。また、三つの第二回収ローラ組66cは、下流側搬送路P2の幅方向Dwの中心を基準として、この幅方向Dwで対称性を持つように配置されている。
【0125】
本実施形態でも、下流側搬送路P2の幅方向Dwで第一回収ローラ組62cが存在する部分に、押込み片71cの爪部73cが存在しない。このため、本実施形態でも、上記実施形態と同様、簡単な構造で、用紙Pを容易に一対の第一回収ローラ63a,63b間に押し込むことができる。
【0126】
なお、以上の本実施形態で例示したように、本発明では、押込み片の先端の移動軌跡は、円弧状でなくてもよい。
【0127】
また、本実施形態でも、上記第一変形例と同様、第一回収ローラ組62c及び第二回収ローラ組66cの数量が、それぞれ一つであってもよく、上記第二変形例と同様、爪部73cの数量が、一つであってもよい。さらに、第一回収ローラ組62c及び第二回収ローラ組66cの数量は、四つ以上でもよく、爪部73cの数量は、五つ以上であってもよい。
【0128】
また、以上の各実施形態及び各変形例では、第二回収ローラ組の数量が第一回収ローラ組の数量と同じである。しかしながら、第二回収ローラ組の数量は、第一回収ローラ組の数量と異なってもよい。また、以上の各実施形態及び各変形例におけるローラ回収部の第二回収ローラ部を省略してもよい。この場合、回収ガイド部97を省略することができる。
【0129】
「料金自動収受機の実施形態」
料金自動収受機の実施形態について、
図11を参照して説明する。
【0130】
本実施形態の料金自動収受機100は、有料道路、有料駐車場、有料プール等の有料施設の料金所に設けられている。この料金自動収受機100は、筐体110と、この筐体110内に配置されている料金収受処理装置130と、同じくこの筐体110内に配置されている領収書発行装置140と、を備える。
【0131】
筐体110は、前板111を有する。この前板111には、紙幣が挿入及び返却される紙幣挿入口112と、硬貨が投入される硬貨投入口113と、釣銭が返却される釣銭返却口114と、有料施設の利用券が挿入される利用券挿入口115と、クレジットカード等のカードが挿入及び返却されるカード挿入口116と、領収書発行ボタン117と、領収書排出口118と、管理人呼出しボタン119と、表示装置121と、スピーカ122と、が設けられている。
【0132】
利用券は、有料施設が有料道路の場合、有料道路への入場位置等の情報が記憶されている通行券である。有料施設が有料駐車場の場合、利用券は、入車時刻等の情報が記憶されている駐車券である。また、有料施設が有料プールの場合、利用券は、入場時刻等の情報が記憶されている入場券である。
【0133】
利用券が利用券挿入口115に挿入されると、料金収受処理装置130は、利用者による有料施設の利用量に応じた施設利用料金を求める。続いて、料金収受処理装置130は、求めた施設利用料金を表示装置121に表示する共に、スピーカ122から音声ガイドする。
【0134】
利用者は、例えば、表示装置121に表示された料金相当の硬貨を硬貨投入口113から筐体110内に入れる。また、利用者は、紙幣を紙幣挿入口112から筐体110内に入れる。また、利用者は、クレジットカード等をカード挿入口116から筐体110内に入れる。硬貨投入口113から硬貨が投入された場合、紙幣挿入口112から紙幣が挿入された場合で、釣銭が発生する場合に、料金収受処理装置130は、この釣銭を釣銭返却口114から排出する。カード挿入口116からカードが挿入された場合、このカードに記憶されている情報を読み取り、このカードの利用者に対して課金処理する。
【0135】
料金収受処理装置130は、領収書発行ボタン117が押されると、先に求めた施設利用料金を含む印刷指令を領収書発行装置140に送る。領収書発行装置140は、以上で説明した各実施形態又は各変形例の印刷物発行装置である。この領収書発行装置140は、印刷指令に含まれる施設利用料金等を用紙Pに印刷した後、この用紙Pを領収書として発行する。
【0136】
利用者が領収書発行ボタン117を押したにもかかわらず、領収書を受け取らなかった場合、本実施形態では、領収書発行装置140がこの領収書を回収する。
【0137】
「その他の変形例」
以上、本発明に係る各種実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0138】
例えば、以上の各実施形態では、プラテンローラ22及び搬送ローラ部40によって用紙Pを送り出す。しかしながら、他のローラが、用紙Pを送り出してもよい。例えば、印刷部20と搬送ローラ部40との間に他のローラが配置されていてもよい。
【0139】
以上の実施形態では、全ての先端74が、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、ローラが存在していない位置に設けられている。しかしながら、複数の先端74のうち、一部の先端74が、下流側搬送路P2の幅方向Dwで、ローラが存在している位置に設けられてもよい。
【0140】
以上では、印刷された用紙Pとして、領収書を例示している。しかしながら、この用紙Pは、何らかの情報が印刷されていれば、如何なる用紙Pでもよい。例えば、有料道路、有料駐車場、有料プール等の有料施設の利用券等であってもよい。
【0141】
以上の各実施形態の印刷物発行装置は、ロール紙RPを切断する切断部30を有する。しかしながら、発行する用紙Pのサイズと同じサイズの用紙Pが複数準備されており、この用紙Pに所定の情報を印刷する場合には、切断部30はなくてもよい。
【0142】
以上の各実施形態の印刷物発行装置は、ロール紙RPの一部に印刷する印刷部20と、このロール紙RPを切断する切断部30を有する。しかしながら、所定の情報が予め印刷された用紙Pが複数準備されており、この用紙Pを発行する場合には、印刷部20及び切断部30はなくてもよい。例えば、入場券である旨と、この入場券のイニシャルデータ等とが予め印刷された入場券が複数準備されている場合には、印刷部20及び切断部30はなくてもよい。