特許第6241849号(P6241849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人加計学園の特許一覧

特許6241849シリル化セルロースの製造方法、並びにその製造方法により得られたシリル化セルロース繊維、再生セルロース繊維、及びそれらを配合した繊維強化プラスチック成型体
<>
  • 特許6241849-シリル化セルロースの製造方法、並びにその製造方法により得られたシリル化セルロース繊維、再生セルロース繊維、及びそれらを配合した繊維強化プラスチック成型体 図000013
  • 特許6241849-シリル化セルロースの製造方法、並びにその製造方法により得られたシリル化セルロース繊維、再生セルロース繊維、及びそれらを配合した繊維強化プラスチック成型体 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241849
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】シリル化セルロースの製造方法、並びにその製造方法により得られたシリル化セルロース繊維、再生セルロース繊維、及びそれらを配合した繊維強化プラスチック成型体
(51)【国際特許分類】
   C08B 15/05 20060101AFI20171127BHJP
   D01F 2/00 20060101ALI20171127BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C08B15/05
   D01F2/00 Z
   C08J5/04
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-47951(P2014-47951)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-172126(P2015-172126A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2016年12月19日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、岡山県、バイオマスイノベーション創出拠点形成委託事業
(73)【特許権者】
【識別番号】599035627
【氏名又は名称】学校法人加計学園
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【弁理士】
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【弁理士】
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】上本 真也
(72)【発明者】
【氏名】古谷 充章
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031444(WO,A1)
【文献】 特開2011−184816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
C08J
D01F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理したセルロースと、酸触媒と、以下の(化1)で示されるシリル化剤
とを、0〜55℃かつ0.08〜0.11MPaで反応させることを特徴とするシリル化セルロースの
製造方法。
【化1】
〔(化1)の式中においてR〜Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4の低級アルキル基であって、
R7は、水素原子である。
【請求項2】
セルロースの前処理は、アルカリ性溶液にセルロースを添加して撹拌するものである請求項1に記載のシリル化セルロースの製造方法。
【請求項3】
酸触媒は、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はトリフル
オロメタンスルホン酸である請求項1又は2に記載のシリル化セルロースの製造方法。
【請求項4】
シリル化剤とセルロースとを反応させる時間は0.3〜2時間である請求項1ないし3のいずれかに記載のシリル化セルロースの製造方法。
【請求項5】
製造されるシリル化セルロースの置換度は、置換度1.8〜3.0である請求項1ないし4のいずれかに記載のシリル化セルロースの製造方法。
【請求項6】
製造されるシリル化セルロースのガラス相転移温度は、200℃以上である請求項1ないし5のいずれかに記載のシリル化セルロースの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載した製造方法により得られたシリル化セルロースを溶融紡糸してシリル化セルロース繊維を製造するシリル化セルロース繊維の製造方法
【請求項8】
溶融紡糸は、押出機でシリル化セルロースを230〜250℃に加熱して紡糸口金から押し出して糸状に成形するものである請求項7に記載のシリル化セルロース繊維の製造方法
【請求項9】
請求項1ないし6のいずれかに記載したシリル化セルロースの製造方法の原料として重合度1000以上の原料セルロースを使用してシリル化反応を行い、得られたシリル化セルロースを溶融紡糸して得たシリル化セルロース繊維を延伸する請求項7又は8に記載のシリル化セルロース繊維の製造方法
【請求項10】
溶融紡糸して得たシリル化セルロース繊維を、200〜250℃の温度で延伸する請求項9に記載のシリル化セルロース繊維の製造方法
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれかに記載した方法で得られたシリル化セルロース繊維を脱シリル化して再生セルロース繊維を製造する再生セルロース繊維の製造方法
【請求項12】
請求項7ないし10のいずれかに記載した方法で得られたシリル化セルロース繊維又は請求項11に記載した方法で得られた再生セルロース繊維を配合し繊維強化プラスチック成型体を製造する繊維強化プラスチック成型体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来よりも低い温度と低い圧力でセルロースをシリル化することができるシリル化セルロースの製造方法、当該製造方法によって得られたシリル化セルロースを溶融紡糸してなるシリル化セルロース繊維、当該シリル化セルロース繊維を脱シリル化してなる再生セルロース繊維、及び当該シリル化セルロース繊維又は当該再生セルロース繊維を配合した繊維強化プラスチック成型体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックにガラス繊維などの繊維を加えて強度を高めた複合材料(繊維強化プラスチック:FRP)は軽量で強度や耐熱性に優れることから工業製品に広く利用されている。繊維強化プラスチックの用途の例としては、バンパやドアステップなどの自動車部品、椅子などの家具、バスタブ、ボートの船体などが挙げられる。
【0003】
プラスチックに添加する繊維としては、ガラス繊維が一般的に使用されている。しかし、ガラス繊維は比重が大きいためFRP成型体の重量が大きくなるという欠点があった。また、ガラス繊維を添加したFRP成型体は、加熱炉に溶融したガラスが付着するためリサイクルには適していないという問題がある。
【0004】
一方で、特許文献1のように、セルロース繊維でタイヤを強化する技術が提案されている。特許文献1の発明では、請求項1の(化1)に記載されているO-Si-O-Si骨格を有するシリル化剤、又は請求項1の(化2)に記載されているSi-x-O-Si骨格を有するシリル化剤を使用して、セルロースをシリル化してセルロース誘導体とする。合成されたセルロース誘導体は溶融紡糸して繊維の形状に成形される。
【0005】
特許文献1の例1から例19には、種々のシリル化の条件が記載されているが、シリル化の反応温度は100〜140℃の範囲であり、反応時間は2〜8時間の範囲である。
【0006】
一方、特許文献2の表1には糖などの炭水化物をシリル化する方法が記載されている。具体的には、表1のNo.4にセルロースの酸分解物(糖)をアンモニアとヘキサメチルジシラザンの存在下で100℃、加圧条件下(オートクレーブ中)で反応させて糖をシリル化することが記載されている。No.4における糖の置換度は2.9である。請求項1には温度約0〜200℃で反応させると記載されているが、表1では反応温度は80〜100℃の範囲である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2001−521072
【特許文献2】特開平6−340687
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の特許文献1及び特許文献2には、セルロースや糖をシリル化する方法が開示されているが、シリル化反応の反応温度が100〜140℃又は80〜100℃と比較的に高かった。また、特許文献2に見られるように、シリル化反応を加圧条件下で行う必要があるなど、シリル化反応における操作が煩雑であるし、反応を行うには加圧下での反応に耐える設備が必要になるという問題があった。特許文献2の場合は、スモールスケールで反応を行っているため装置としては比較的に安価で調達できるオートクレーブを使用している。しかし、この反応をラージスケール化して工業化する際には、操作や設備の問題がより顕著に現れる。
【0009】
以上のような問題に鑑みて、本発明は、より穏やかな反応条件でシリル化反応を進行させてシリル化セルロースを製造することができる方法を提供することを目的とする。また、当該方法により製造されたシリル化セルロースを溶融紡糸してなるシリル化セルロース繊維を提供する。そして、当該シリル化セルロース繊維を脱シリル化してなる再生セルロース繊維を提供する。さらに、前記シリル化セルロース繊維又は前記再生セルロース繊維を配合した繊維強化プラスチック成型体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前処理したセルロースと、酸触媒と、以下の(化1)又は(化2)で示されるシリル化剤とを、0〜55℃かつ0.08〜0.11MPaで反応させることを特徴とするシリル化セルロースの製造方法によって上記の課題を解決する。(化1)の式中においてR〜Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルケニル基、又はアリール基であって、Rは、水素原子である。(化2)の式中においてR8〜R10は、同一又は異なって、炭素数1〜4の低級アルキル基、炭素数1〜4の低級アルケニル基、又はアリール基であって、R 11〜R12は、同一又は異なって、水素原子、若しくは炭素数1〜4のアルキル基であって、又はN-R11R12は、窒素原子を含有するヘテロアリール基である。式中でSiはケイ素であり、Nは窒素である。本発明者らは、穏やかな条件でシリル化反応を行う方法について、研究したところ、Si-NH-Si骨格又はSi-NH2骨格若しくはSi-N骨格を有するシリル化剤と酸触媒との存在下であれば、室温かつ大気圧のような穏やかな反応条件でシリル化セルロースを製造することができることを見出して、本発明を完成するに至った。本発明において、「シリル化」とは、(化1)におけるR1R2R3-Si基若しくはR1R2R3-Si基、又は(化2)におけるR8R9R10-Si基で特定の官能基を置換することを示す。
【化1】
【化2】
【0011】
上記のシリル化セルロースの製造方法において、セルロースの前処理はアルカリ性溶液にセルロースを添加して撹拌することにより行うことが好ましい(マーセル化(mercerization)と称することがある)。アルカリ性溶液にセルロースを添加して撹拌することで、セルロースの水酸基間の水素結合を切断してシリル化の効率を向上させることができる。
【0012】
上記のシリル化セルロースの製造方法において、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸を使用することが好ましい。上記(化1)のシリル化剤と共に使用することで、穏やかな反応条件でシリル化を行うことができる。
【0013】
上記のシリル化セルロースの製造方法において、前処理したセルロースと、酸触媒と、上記(化1)のシリル化剤を反応させる時間は0.3〜2時間であることが好ましい。本発明では、従来よりも穏やかな反応条件で、しかも短時間にシリル化反応を完了させることができる。
【0014】
上記のシリル化セルロースの製造方法によれば、置換度1.8〜3.0のシリル化セルロースを得ることができる。ここでいう置換度とは、セルロースを構成するグルコースにおける水酸基が置換されている程度を示す。セルロース中のグルコースの水酸基の数は3であるので、置換度3.0が最大である。置換度を前記範囲内とすることで、後述するように、シリル化セルロースを溶融紡糸したり、溶融させたプラスチックにシリル化セルロース繊維を混合して成形したりする際に必要な耐熱性をセルロースに与えることができる。
【0015】
上記のシリル化セルロースの製造方法により得られたシリル化セルロースを溶融紡糸することでシリル化セルロース繊維を得ることができる。溶融紡糸に際しては、押出機で上記のシリル化セルロースの製造方法により得られたシリル化セルロースを230〜250℃に加熱した後に紡糸口金から押し出すことにより行うことが好ましい。上記の製造方法によって得られたシリル化セルロースは、前記温度範囲内において、簡易にしかも品質を損なうことなく糸状に成形することができる。
【0016】
上記のシリル化セルロースの製造方法の原料として、重合度1000以上の原料セルロースを使用してシリル化反応を行い、得られたシリル化セルロースを溶融紡糸して得たシリル化セルロース繊維を延伸すると、引張強度が高いシリル化セルロース繊維を得ることができる。延伸に際しては、シリル化セルロース繊維が200〜250℃の温度範囲内にあるときに延伸することが好ましい。
【0017】
上記のシリル化セルロース繊維を脱シリル化することで、再生セルロース繊維を得ることができる。この再生セルロース繊維は、衣料品用布地の原糸、カーテンなどの装飾品用布地の原糸として好適に使用することができる。
【0018】
上記のシリル化セルロース繊維又は上記の再生セルロース繊維をプラスチックに配合することで繊維強化プラスチック成型体を得ることができる。シリル化セルロース繊維又は再生セルロース繊維は、ガラス繊維の半分程度の比重であるので、軽量でしかも強度に優れるプラスチック成型体を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のシリル化セルロースの製造方法によれば、従来よりも低い温度と低い圧力でシリル化セルロースを製造することができる。この製造方法で得られたシリル化セルロースは、溶融紡糸によってシリル化セルロース繊維、つまり糸状に成形することができる。このシリル化セルロース繊維を脱シリル化すると再生セルロース繊維を得ることができる。シリル化セルロース繊維は、自動車用部品などの用途に好適に使用することができる。再生セルロース繊維は、衣料品用布地などの用途に好適に使用することができる。シリル化セルロース繊維又は再生セルロース繊維を所定の長さに切断して、溶融させたプラスチックに添加し、成形すれば、軽量で強度の高いプラスチック成型体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】セルロースをマーセル化するときの反応式である。
図2】ヘキサメチルジシラザンとトリフルオロ酢酸との存在下でセルロースをシリル化するときの反応式である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態について説明する。
【0022】
本発明のシリル化セルロースの製造方法では、セルロースに前処理を施す。前処理では、結晶化したセルロースの水素結合を切断して、セルロース分子を構成するグルコースの水酸基に上記の(化1)又は(化2)で示したシリル化剤がアクセスしやすいようにする。前処理としては、上述のマーセル化を好適に採用することができる。その他、アンモニア溶液にセルロースを添加して、これをオートクレーブ等で加圧してセルロースを爆砕する方法も採用できる。後者の場合は、加圧処理を伴うので前者を好適に採用することができる。
【0023】
マーセル化において使用するアルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化バリウム水溶液などが挙げられる。安価に調達できる水酸化ナトリウム水溶液を使用することが好ましい。水酸化ナトリウム溶液は、溶液の全重量に対して15〜60重量%(以下、wt%と記載することがある)となるように水酸化ナトリウムを溶媒に対して添加することが好ましく、18〜40重量%とするとより好ましい。水酸化ナトリウムの添加量が少ないと、水素結合の切断が不十分になり、シリル化が十分に行えないことがある。水酸化ナトリウムの添加量が多いと、セルロースの分子量が低下することがある。マーセル化によって、セルロース分子中のグルコースにおける水酸基からプロトンが解離する(図1参照)。マーセル化の温度は5〜60℃の範囲内とすることが好ましい。
【0024】
セルロースをマーセル化した後は、濾過や遠心分離機にかけてセルロースを沈殿させて(以下、遠沈と称する)、アルカリ性溶液を取り除く。そして、セルロースに極性溶媒を添加することでアルカリ性溶液から極性溶媒へと溶媒を置換する。極性溶媒としては、取扱いに不便でなく、その後のシリル化反応を妨げないようなものが挙げられる。例えば、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホン、テトラメチルフランなどが挙げられる。
【0025】
溶媒を置換する際には、上述のように濾過又は遠沈を行う。濾過の際に吸引濾過によって過度の吸引を行ったり、遠沈の際に過度の遠心力をかけるとセルロースが凝集して、シリル化の効率が低下することがある。したがって、遠沈の場合は、遠心力を2000〜4000×gの範囲内とすることが好ましい。
【0026】
極性溶媒で置換したセルロースに対して、シリル化剤と酸触媒を添加する。シリル化剤と酸触媒とを一度に添加するとセルロースの水酸基が適切にシリル化されないことがあるので、滴下などの操作によって酸触媒はシリル化剤とセルロースとを含む極性溶媒に徐々に添加していくことが好ましい。酸触媒を極性溶媒で希釈して滴下するとより好ましい。
【0027】
上記の(化1)のシリル化剤のうちR〜Rが低級アルキル基の化合物としては、ビス(トリメチルシリル)アミン(慣用名:ヘキサメチルジシラザン(HMDS))、ビス(トリエチルシリル)アミン、ビス(トリプロピルシリル)アミン、ビス(トリブチルシリル)アミン等が挙げられる。ここでは(化1)中において、R〜Rが同一の例を挙げたが、R〜Rが炭素数1〜4の範囲で互いに異なってもよい。例えば、1,3-ジ-n-エチルテトラメチルジシラザン等のジ-n-エチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ-n-プロピルテトラメチルジシラザン等のジ-n-プロピルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ-n-ブチルテトラメチルジシラザン等のジ-n-ブチルテトラメチルジシラザンなどが挙げられる。
【0028】
上記の(化1)のシリル化剤のうちR〜Rが低級アルケニル基の化合物としては、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン等のジビニルテトラメチルジシラザン、1,3-ジアリル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン等のジアリルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ(1-ブテニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン等のジブテニルテトラメチルジシラザンなどが挙げられる。ここでは(化1)中において、R〜Rが異なる例を挙げたが、R〜Rが炭素数1〜4の範囲で同一であってもよい。
【0029】
上記の化(1)のシリル化剤のうちR〜Rがアリール基の化合物としては、1,3-ジフェニル-1,1,3,3-テトラメチル-ジシラザンなどのジフェニルテトラメチルジシラザン、ジトリルテトラメチルジシラザン、ジキシリルテトラメチルジシラザンなどが挙げられる。ここでは(化1)中において、R〜Rが異なる例を挙げたが、R〜Rが炭素数1〜4の範囲で同一であってもよい。
【0030】
上記の(化2)のシリル化剤のうちR〜R10が低級アルキル基の化合物としては、トリメチルシリルアミン、トリエチルシリルアミン、トリプロピルシリルアミン、トリブチルシリルアミンなどが挙げられる。ここでは(化2)中において、R〜R10が同一の例を挙げたが、R〜R10が炭素数1〜4の範囲で互いに異なってもよい。例えば、ジメチルエチルシリルアミン、ジメチルブチルシリルアミン、ジブチルエチルシリルアミンなどが挙げられる。
【0031】
上記の(化2)のシリル化剤のうちR〜R10が低級アルケニル基の化合物としては、トリビニルシリルアミン、トリアリルシリルアミン、トリ(1-ブテニル)シリルアミンなどが挙げられる。ここでは(化2)中において、R〜R10が同一の例を挙げたが、R〜R10が炭素数1〜4の範囲で互いに異なってもよい。例えば、ジビニルメチルシリルアミン、ジビニルブチルシリルアミン、ビニルジブチルシリルアミンなどが挙げられる。
【0032】
上記の(化2)のシリル化剤のうちR〜R10がアリール基の化合物としては、ジメチルフェニルシリルアミン、ジエチルフェニルシリルアミン、ジブチルフェニルシリルアミン、メチルジフェニルシリルアミン、ジメチルトリルシリルアミン、ジメチルキシリルシリルアミンなどが挙げられる。ここでは(化2)中において、R〜R10が異なる例を挙げたが、R〜R10が同一であってもよい。例えば、トリフェニルシリルアミンが挙げられる。
【0033】
上記の(化2)のシリル化剤のうち、R11〜R12が炭素数1〜4のアルキル基の化合物としては、N,N-ジメチルアミノトリメチルシラン、N,N-ジエチルアミノトリメチルシラン、N,N-ジブチルアミノトリメチルシラン、N-メチル-Nブチルアミノトリメチルシラン、N,N-ジメチルアミノトリエチルシラン等が挙げられる。
【0034】
上記の(化2)のシリル化剤のうち、-N-R11R12が窒素を含有するヘテロアリール基の化合物としては、トリメチルシリルイミダゾール、トリエチルシリルイミダゾール、トリプロピルシリルイミダゾール、ジビニルメチルシリルイミダゾール、トリフェニルシリルイミダゾール、ジエチルフェニルシリルイミダゾール等が挙げられる。なお、「-N-R11R12」のうちのNはヘテロアリール基中の窒素原子である。
【0035】
上記の酸触媒としては、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。シリル化反応を妨げないものであれば、ここに列挙したもの以外のプロトンを解離する酸触媒を使用することができる。
【0036】
次に、セルロースのシリル化の反応機構について説明する。(化1)のシリル化剤は、Si-NH-Si骨格を有しており、図2の式に示したようにしてセルロースのシリル化反応が進行すると推測される。すなわち、酸触媒(図2の場合はトリフルオロ酢酸)から供給されるプロトンが(化1)の化合物(図2の場合はヘキサメチルジシラザン)におけるSi-NH-Si骨格の窒素につきやすい傾向があり、プロトンが窒素に結合すると窒素は正に荷電する。セルロースの水酸基は求核試薬(δ-)として作用し、正に荷電した窒素を攻撃してR1R2R3-Si基(図2ではトリメチルシリル基:TMS基)とセルロースの水酸基の水素とが置換する。置換反応の結果、R4R5R6-Si-NH2図2ではトリメチルシリルアミン)が副生する。副生物である(化2)のR4R5R6-Si-NH2図2ではトリメチルシリルアミン)の窒素にはプロトンがつきやすく、窒素は正に荷電する。セルロースの水酸基は、上述のように求核試薬(δ-)として作用し、正に荷電した窒素を攻撃してR4R5R6-Si基(図2ではトリメチルシリル基)とセルロースの水酸基の水素とが置換する。この置換反応の結果、アンモニアガス(NH3)が副生する。実験の結果、反応後にアンモニアガスが副生することが確認されており、このことから上記の反応機構にしたがって反応が進行しているものと推測される。ここでは、(化1)のシリル化剤を使用する例を挙げたが、(化2)のシリル化剤においても同様の反応機構でシリル化が生じる。
【0037】
シリル化反応の反応温度は、0〜55℃とすることが好ましく、5〜40℃の範囲とするとより好ましく、室温とすることが最も好ましい。加熱又は冷却して当該範囲内に収まるように反応温度を制御してもよいが、室温で加熱や冷却をせずに反応させるのが最も操作や設備が簡単で済むので好ましい。シリル化反応の反応圧力は0.08〜0.11MPaとすることが好ましく、0.09〜0.105MPaの範囲とするとより好ましく、大気圧とすることが最も好ましい。加圧又は減圧して当該範囲内に収まるように反応圧力を制御してもよいが、大気圧下で加圧や減圧をせずに反応させるのが操作や設備が簡単で済むので最も好ましい。
【0038】
上述のシリル化セルロースの製造方法によれば、高い耐熱性を有するシリル化セルロースを0.3〜2時間程度の短い反応時間で製造することができる。セルロースを構成するグルコースの水酸基の置換度と耐熱性には相関関係があり、置換度が高いほど高い耐熱性を発揮する。本発明の製造方法では、置換度1.8〜3.0のシリル化セルロースを得ることができる。これにより、ガラス相転移温度が200℃以上の優れた耐熱性を実現することができる。置換度は、2.0〜3.0であることがより好ましい。
【0039】
上述のシリル化セルロースの製造方法で得られたシリル化セルロースは、任意の方法で加熱して軟化させることで簡単に糸状に成形することができる(溶融紡糸)。ガラス相転移点は200℃以上であるので、公知の押出機を使用して230〜250℃に加熱して紡糸口金から押し出すことでシリル化セルロース繊維を得ることができる。シリル化セルロース繊維を延伸することで、シリル化セルロースを配向させて引張強度を高めることができる。延伸はガラス相転移温度以上の温度で行うことが好ましい。より好ましくは、200〜250℃の範囲である。紡糸口金から押し出した直後に延伸を施すと作業効率よく延伸を行うことができる。シリル化セルロース繊維を冷却した後に再度加熱して第二次延伸を行ってもよい。延伸倍率は10〜80倍にすることが好ましい。シリル化セルロース繊維は、酸性溶液に浸漬して脱シリル化を行えば再生セルロース繊維を得ることができる。
【0040】
ポリプロピレンやポリエチレンなどの母材を溶融して、これに上記シリル化セルロース繊維又は再生セルロース繊維を添加して所定の形状に成形することで、軽量かつ強度に優れた繊維強化プラスチック成型体を得ることができる。射出成型等の成形法を採用することができる。
【0041】
以下、本発明の実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0042】
[実施例1]
重合度300の原料セルロース(日本製紙ケミカル、W-400G)1gを、24wt%の水酸化ナトリウム水溶液20mLに投入して、1時間40℃に維持してマーセル化を行った。マーセル化後のセルロースと水酸化ナトリウム水溶液との懸濁液にメタノール80mLを添加して、これを濾過した。濾過残渣を30mLのN-メチルピロリドン(NMP)に加えて、3080×gで遠沈して上澄みを除去した。遠心分離によって沈殿したセルロースにNMP10mlを加えて溶媒置換をし、これに以下の式で示されるヘキサメチジシラザン(HMDS)8ml(セルロースの水酸基あたり2mol)を加えて室温(24℃)かつ大気圧下(約0.1MPa)で撹拌してスラリー状にした。
【化3】
【0043】
トリフルオロ酢酸(TFA)0.135mL(セルロースの水酸基1molあたり触媒を0.1mol、0.1/1×100=10%)とNMP10mlとを混合したものの全量を2分間かけて撹拌しながら上記のスラリー状のセルロースに滴下した。TFAを滴下完了後スラリーは透明になり、さらに時間が経過すると反応物が析出するとともに、アンモニアガスが副生した。TFAの滴下完了後30分が経過した懸濁液にメタノール100mlを添加して濾過を行った。濾過残渣を50℃で16時間に亘って真空乾燥した。
【0044】
[実施例2]
原料セルロースとして重合度1500のセルロース(日本製紙ケミカル、W-100GK)を使用したこと、及び遠心分離によって沈殿したセルロースにNMP40mlを加えて溶媒置換をし、これにHMDS8ml(セルロースの水酸基あたり2mol)を加えて室温下(24℃)で撹拌してスラリー状にし、トリフルオロ酢酸(TFA)0.135mL(セルロースの水酸基1molあたり触媒を0.1mol、0.1/1×100=10%)とNMP10mlとを混合したものの全量を2分間かけて撹拌しながら上記のスラリー状のセルロースに滴下したことの2点以外は、実施例1と同様にして反応を行った。実施例1と同様にTFAを滴下完了後スラリーは透明になり、さらに時間が経過すると反応物が析出するとともに、アンモニアガスが副生した。
【0045】
[実施例3]
マーセル化において使用する水酸化ナトリウム溶液の濃度を18wt%とした点、NMPに代えてN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を使用する点、反応温度(DMAcで溶媒置換したセルロースにHMDSを添加した後の加熱温度)を30℃に変更した点、及び反応時間を1時間に変更した点の4点以外は実施例2と同様にして反応を行った。実施例2と同様にTFAを滴下完了後スラリーは透明になり、さらに時間が経過すると反応物が析出するとともに、アンモニアガスが副生した。
【0046】
[実施例4]
マーセル化において使用する水酸化ナトリウム溶液の濃度を25wt%とした点、マーセル化の反応時間を2時間に変更した点、使用する酸触媒をメタンスルホン酸に変更する点、及び反応温度(NMPで溶媒置換したセルロースにHMDSを添加した後の加熱温度)を22℃に変更した点の4点以外は実施例2と同様にして反応を行った。実施例2と同様に、TFAを滴下完了後スラリーは透明になり、さらに時間が経過すると反応物が析出するとともに、アンモニアガスが副生した。
【0047】
[実施例5]
マーセル化において使用する水酸化ナトリウム溶液の濃度を25wt%とした点、及び使用する酸触媒をp-トルエンスルホン酸に変更する点の2点以外は実施例1と同様にして反応を行った。実施例1と同様に、TFAを滴下完了後スラリーは透明になり、さらに時間が経過すると反応物が析出するとともに、アンモニアガスが副生した。
【0048】
[実施例6]
マーセル化において使用する水酸化ナトリウム溶液の濃度を25wt%とした点、使用する酸触媒をトリフルオロメタンスルホン酸に変更する点、反応温度(NMPで溶媒置換したセルロースにHMDSを添加した後の加熱温度)を22℃に変更した点の3点以外は実施例2と同様にして反応を行った。実施例2と同様に、TFAを滴下完了後スラリーは透明になり、さらに時間が経過すると反応物が析出するとともに、アンモニアガスが副生した。
【0049】
[比較例1]
マーセル化において使用する水酸化ナトリウム溶液の濃度を25wt%とした点、反応温度(NMPで溶媒置換したセルロースにHMDSを添加した後の加熱温度)を22℃に変更した点、反応時間を1時間に変更した点、シリル化剤として以下の(化4)の式で示される1,1,3,3‐テトラメチルジシラザン(TMDS)を使用した点の4点以外は実施例2と同様にして反応を行った。TFAを滴下後スラリーに変化は見られず、アンモニアガスの副生も伴わなかった。
【化4】
【0050】
[比較例2]
反応温度(NMPで溶媒置換したセルロースにHMDSを添加した後の加熱温度)を60℃に変更し、反応時間を1時間に変更した点の2点以外は実施例2と同様にして反応を行った。TFAを滴下直後、急激な反応が起こり、半透明な塊ができた。アンモニアガスは副生したが、得られた塊は目的とする置換度には至らなかった。
【0051】
〔置換度〕
各実施例及び比較例で真空乾燥して得た反応物について、以下の方法によってプロトン核磁気共鳴による分析を行って化合物の同定とセルロースを構成するグルコース単位における水酸基の置換度(DS)を求めた。グルコース単位は、1単位当たり3個の水酸基を持っており、置換度は最大で3.0である(DS≦3.0)。測定の結果、実施例1ないし6は、表1に記載した各置換度を有するトリメチルシリル化セルロースであることが分かった。なお、比較例1及び2で得られた反応物については、クロロホルムやテトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解させることができなかったため、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)による測定を行うことができなかった。
【0052】
〔プロトン核磁気共鳴〕
各実施例及び各比較例の反応物20mgを1500mgのクロロホルム-dに溶解した。その後、溶液に内部標準物質としてテトラクロロエタン(TCE)20μLを加えてよく撹拌した。プロトン核磁気共鳴によって、トリメチルシリル基の定量を行い以下の数1から数3によって置換度(DS)を求めた。式中、Yは各実施例又は各比較例の反応物の重量(g)であり、TCEはTCE重量(g)であり、XTCEはTCEの純度であり、P0ppmはトリメチルシリル基のピーク面積値であり、P6ppmはTCEのピーク面積値である。また、378はDS=3としたときのTMSCの分子量であり、27はDS=3としたときのトリメチルシリル基の水素原子数、167.84はTCEの分子量であり、2はTCEの水素原子数である。
【0053】
【数1】
【0054】
【数2】
【0055】
【数3】
【0056】
【表1】
【0057】
[溶融紡糸]
一軸式押出機(株式会社東洋精機製作所、ラボプラストミル50MR)を使用して、各実施例及び各比較例で得られた反応物を溶融紡糸した。ダイは直径0.6mmの円形の紡糸口金を備えている。押出機の混練部の温度は230℃、20MPa未満であり、押出口の温度は240℃である。20MPa以下の圧力で紡糸口金から押し出した後、空気を吹き付けて冷却し、延伸しながらボビンに巻き取った。巻き取り速度は20m/minである。巻き取った繊維を延伸紡糸用加熱板(株式会社井元製作所、IMC-1A24型)にかけて220℃でさらに第2次延伸を行った。第1次延伸と第2次延伸とを合計した延伸倍率は53倍である。
【0058】
実施例1ないし4の方法で得られた反応物を上記の方法で溶融紡糸して延伸を行ったところ、白色の糸が途切れることなく吐出され、0.07mm径のシリル化セルロース繊維を得ることができた(表1中◎で示した)。実施例5及び6の方法で得られた反応物を上記の方法で溶融紡糸したところ、0.07mm径のシリル化セルロース繊維を得ることができた(表1中〇で示した)。一方、比較例1及び2の方法で得られた反応物を上記の方法で紡糸したところ、パサパサとした黄褐色のケーキが紡糸口金から吐出されるばかりで糸状に成形することはできなかった(表1中×で示した)。
【0059】
〔引張強度の測定〕
上記のようにして延伸したモノフィラメントの引張強度を冷却加熱延伸観察ステージ(ジャパンハイテック株式会社;10073B)を用いて、引張速度100μm/secで測定した。測定は実施例1の方法で合成したトリメチルシリル化セルロースを溶融紡糸し、その後延伸を施したものを代表例として測定したところ、引張強度は659.8MPaであり、繊維径は18.79μmであった。次いで、この繊維を75℃に加熱した2-プロパノール-水-35%塩酸溶液(混合比は、記載した順に容積比で12:8:1)の混合液に2分間浸漬した。その後、メタノールで洗浄し、乾燥することで再生セルロース繊維を得た。この再生セルロース繊維について、上述と同様の測定方法で引張強度を測定したところ602.8MPaであった。
【0060】
実施例2方法で合成したトリメチルシリル化セルロースを溶融紡糸し、その後延伸を施したものについても上記と同様の方法で引張強度を測定したところ、引張強度は735.5MPaであり、繊維径は13.62μmであった。次いで、この繊維を構成するシリル化セルロースについて、以下の方法でゲル浸透クロマトグラフィーで分子量を調べたところ、分子量501870(重合度約1490)であった。
【0061】
〔ゲル浸透クロマトグラフィー〕
実施例2で得られた反応物を1wt%の濃度になるようクロロホルムに溶解した。ゲル浸透クロマトグラフィー(日本分光株式会社、RI-2031 Plus)を用い、40℃に加熱したカラムに移動相としてクロロホルムを用いて流量1mL/minで測定を行った。以下の数4及び数5に示したように、予め1H-NMRで測定した置換度より、トリメチルシリル化セルロースにおけるグルコース1分子当たりの分子量を計算し、ゲル浸透クロマトグラフィーで得られた分子量をトリメチルシリル化セルロースにおけるグルコース1分子当たりの分子量で割り重合度(DP)を求めた。式中、159は、グルコースと水酸基のプロトンの差であり、73は、トリメチルシリル基の分子量であり、3はグルコースの水酸基のプロトンの分子量であり、MWTMSCはトリメチル化セルロースにおけるグルコース1分子当たりの分子量であり、DSは、1H-NMRから求めた置換度であり、MWGPCはGPCで得られたトリメチルシリル化セルロースの分子量である。
【数4】
【0062】
【数5】
【0063】
〔繊維強化プラスチック成型体の製造〕
上記の引張強度は735.5MPa、繊維径13.62μmのトリメチルシリル化セルロース繊維(実施例2)のガラス相転移点を示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツルメンツ;EXSTAR DSC6200)で測定したところ、ガラス相点移転温度は203℃であった。リファレンスとしてアルミナを用い、サンプルを-20℃で30分間冷却したのち、昇温速度10℃/minで270℃まで加熱した。270℃からTMSCの熱分解が起こるため270℃までとした。このトリメチルシリル化セルロース繊維とポリプロピレン(株式会社プライムポリマー、J-700GP)のペレットを、射出成型機のホッパに投入して、加熱ジャケットで加熱されたシリンダー内をスクリューで圧力をかけながら搬送し、シリンダー先端の押出口から、金型の中に押し出した。押出口の温度は185℃になるようにした。金型から脱型して、自動車用のドアステップを製造した。このドアステップはトリメチルシリル化セルロース繊維で強化されているため十分な強度を備えていた。重量はガラス繊維で強化したものよりも軽量に仕上げることができた。
図1
図2