特許第6241868号(P6241868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241868
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20171127BHJP
   B60N 2/10 20060101ALI20171127BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20171127BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20171127BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B60N2/44
   B60N2/10
   B60N2/14
   B60N2/22
   A47C7/50 A
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-149658(P2013-149658)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-20563(P2015-20563A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 朗紀
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健司
(72)【発明者】
【氏名】鵜生 春樹
(72)【発明者】
【氏名】宮原 和志
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友哉
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼本 崇
(72)【発明者】
【氏名】白石 仁史
(72)【発明者】
【氏名】梅田 啓
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】吉村 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】神田 隆太郎
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−227225(JP,A)
【文献】 特開平10−157619(JP,A)
【文献】 特表2005−511375(JP,A)
【文献】 特開2013−001395(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0285551(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
A47C 7/00 − 7/74
B61D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車のシートに搭載される制御装置であって、
前記シートの可動部は、第1の位置検出手段と第2の位置検出手段とで予め決められる可動範囲内で動作可能とされ、
前記シートの可動部が動作して前記第1の位置検出手段又は前記第2の位置検出手段により検出されたときに、前記可動範囲の一方の端点を決定し、その一方の端点の決定された前記可動範囲より狭い通常動作範囲内で前記シートの可動部を動作させ
前記電車の進行方向に応じて前記シートの向きを変えるときに、前記シートに設けられた複数のスイッチが同時に操作されることで、前記シートの可動部を動作させて前記第1の位置検出手段又は前記第2の位置検出手段により検出させて前記可動範囲の一方の端点を決定することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関し、さらに詳しくは、突発的な電源OFFによらずシートの可動部の正確な位置を把握することができる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシートとして、モータ駆動により動作する可動部を備えるものが一般に知られている。このシートの制御装置では、モータ位置を把握するために、フラッシュメモリと呼ばれる記憶媒体を備え、電源投入時にその記憶媒体に記憶されたモータ位置に関するデータを読み込むことで、自身のモータ位置を把握している。
【0003】
ここで、上記従来の制御装置では、シートの可動部を動作させるためにフラッシュメモリに現在位置を記憶する作業が行われる。しかしながら、突発的な電源OFFが生じると、実際のモータ位置とは異なるデータが記憶され、それを用いることで不具合を起こしてしまう。この点は、突発的な電源OFFが生じ易い電車のシートで特に問題となる。
【0004】
なお、他の従来の制御装置として、リミットスイッチによりシートの可動部の動作範囲を決定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1の技術では、シートの可動部が動作範囲の端点まで動作する毎にリミットスイッチが作動するため、リミットスイッチの作動音が不快であり、またリミットスイッチへの負荷も大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−30130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、突発的な電源OFFによらずシートの可動部の正確な位置を把握することができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電車のシートに搭載される制御装置であって、前記シートの可動部は、第1の位置検出手段と第2の位置検出手段とで予め決められる可動範囲内で動作可能とされ、前記シートの可動部が動作して前記第1の位置検出手段又は前記第2の位置検出手段により検出されたときに、前記可動範囲の一方の端点を決定し、その一方の端点の決定された前記可動範囲より狭い通常動作範囲内で前記シートの可動部を動作させ前記電車の進行方向に応じて前記シートの向きを変えるときに、前記シートに設けられた複数のスイッチが同時に操作されることで、前記シートの可動部を動作させて前記第1の位置検出手段又は前記第2の位置検出手段により検出させて前記可動範囲の一方の端点を決定することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の制御装置によると、シートの可動部は、第1の位置検出手段と第2の位置検出手段との間の可動範囲内で動作可能とされ、シートの可動部が動作して第1の位置検出手段又は第2の位置検出手段により検出されたときに、可動範囲の一方の端点を決定し、その一方の端点の決定された可動範囲より狭い通常動作範囲内でシートの可動部を動作させる。これにより、第1又は第2の位置検出手段による必要最小減の検出により可動範囲の一方の端点を決定してシートの可動部の原点位置の初期化が行われる。そして、その初期化以降、可動範囲より狭い通常範囲内でシートの可動部が動作される。その結果、突発的な電源OFFによらずシートの可動部の正確な位置を把握することができる。
また、前記電車の進行方向に応じて前記シートの向きを変えるときに、前記シートの可動部を動作させて前記第1の位置検出手段又は前記第2の位置検出手段により検出させて前記可動範囲の一方の端点を決定するので、シートの向きの変更に伴って、シートの可動部の原点位置の初期化を強制的に行うことができる。
さらに、前記可動範囲の一方の端点の決定が、前記シートに設けられた複数のスイッチが同時に操作されることで行われるので、一般の乗客により操作され難い比較的複雑なスイッチ操作によりシートの可動部の原点位置の初期化を強制的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る制御装置を備えるシートの斜視図である。
図2】上記シートの側面図である。
図3】上記シートの可動部の可動範囲及び通常動作範囲を説明するための説明図である。
図4】上記シートのスイッチ操作部の平面図である。
図5】上記制御装置を説明するためのブロック図である。
図6】上記制御装置による電源投入後の動作制御処理を説明するためのフローチャート図である。
図7】上記制御装置による清掃モードの動作制御処理を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0011】
<制御装置>
本実施形態に係る制御装置は、電車のシート(1)に搭載される制御装置(15)であって、シートの可動部(4、5、6)は、第1の位置検出手段(11)と第2の位置検出手段(12)との間の可動範囲(S1)内で動作可能とされる(例えば、図3等参照)。そして、シートの可動部(4、5、6)が動作して第1の位置検出手段(11)又は第2の位置検出手段(12)により検出されたときに、可動範囲(S1)の端点(P1)を決定し、その端点(P1)が決定された可動範囲(S1)より狭い通常動作範囲(S2)内でシートの可動部(4、5、6)を動作させる(例えば、図3及び図6等参照)。
【0012】
本実施形態に係る制御装置としては、例えば、上記電車の進行方向に応じてシート(1)の向きを変えるときに、シートの可動部(4、5、6)を動作させて第1の位置検出手段(11)又は第2の位置検出手段(12)により検出させて可動範囲(S1)の端点(P1)を決定する形態(例えば、図7等参照)を挙げることができる。
【0013】
上述の形態の場合、例えば、上記可動範囲(S1)の端点(P1)の決定は、シート(1)に設けられた複数のスイッチ(7b、7c、7d)が同時に操作されることで行われることができる(例えば、図4及び図7等参照)。これら複数のスイッチは、例えば、シートの複数の可動部(4、5、6)を連動して起こすためのスイッチ(7b)と、シートの複数の可動部(4、5、6)を連動して倒すためのスイッチ(7c)と、を含むことができる(例えば、図4参照)。
【0014】
本実施形態に係る制御装置としては、例えば、上記シートの可動部(4、5、6)が動作して第1の位置検出手段(11)又は第2の位置検出手段(12)により検出されたときに、可動範囲(S1)の端点(P1)を決定する位置初期化手段(ステップS3、S4)と、その端点(P1)が決定された可動範囲(S1)より狭い通常動作範囲(S2)内でシートの可動部(4、5、6)を動作させる動作範囲制限手段(ステップS2、S11)と、を備える形態(例えば、図3及び図6等参照)を挙げることができる。
【0015】
上述の形態の場合、例えば、上記電車の進行方向に応じてシート(1)の向きを変えるときに、シートの可動部(4、5、6)を動作させて第1の位置検出手段(11)又は第2の位置検出手段(12)により検出させて可動範囲(S1)の端点(P1)を決定する位置初期化強制手段(ステップST2、ST3)を備えることができる(例えば、図7等参照)。
【0016】
<制御方法>
本実施例に係る制御方法は、上述の実施形態に係る制御装置(15)を用いる制御方法であって、シートの可動部(4、5、6)が動作して第1の位置検出手段(11)又は第2の位置検出手段(12)により検出されたときに、可動範囲(S1)の端点(P1)を決定し、その後、その端点(P1)が決定された可動範囲(S1)より狭い通常動作範囲(S2)内でシートの可動部(4、5、6)を動作させる(例えば、図3及び図6等参照)。
【0017】
なお、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
【実施例】
【0018】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、電車内には、複数のシートを連結した連結シート及び/又は単独シートを組み合わせて横方向に並べたシート列が縦方向に複数設けられているものとする。
【0019】
(1)シートの構成
本実施例に係るシート1は、図1及び図2に示すように、シート本体2と、このシート本体2をその後方及び側方を覆うように収容するシェル3と、を備えている。また、シート本体2は、座席となるクッション部4と、クッション部4の前端側に連なり足のせとなるオットマン部5と、クッション部4の後端側に連なり背もたれとなるバック部6と、を備えている。このクッション部4は、モータM1の駆動により傾動可能(すなわち、チルト可能)に設けられている。また、オットマン部5は、モータM2の駆動により傾動可能に設けられている。さらに、バック部6は、モータM3の駆動により傾動可能(すなわち、リクライニング可能)に設けられている。
【0020】
上記クッション部4、オットマン部5及びバック部6のそれぞれは、図3に示すように、第1リミットスイッチ11と第2リミットスイッチ12とで予め決められる可動範囲S1内で動作可能とされている。すなわち、各部4〜5は、動作中に可動範囲S1の端側に設けられた第1又は第2リミットスイッチ11、12に当接することで可動範囲S1の端点P1を超える動作が規制される。さらに、各部4〜5の動作範囲として、可動範囲S1より狭い通常動作範囲S2が予め決められている。この通常動作範囲S2の端点P2は、可動範囲S1の端点P1より内側に位置している。
【0021】
なお、上記クッション部4、オットマン部5及びバック部6によって、本発明に係る「シートの可動部」が構成されている。また、上記第1リミットスイッチ11によって、本発明に係る「第1の位置検出手段」が構成されている。さらに、上記第2リミットスイッチ12によって、本発明に係る「第2の位置検出手段」が構成されている。
【0022】
上記各モータM1〜M3の駆動は、シート1のアームレストの先端側に設けられるスイッチ操作部7(図1参照)を操作することで、後述する制御装置の制御により実行される。このスイッチ操作部7は、図4に示すように、モータM1〜M3のそれぞれを単独で正転駆動又は逆転駆動させるスイッチ7aと、モータM1〜M3の全てを同時に駆動させる起しスイッチ7bと、モータM1〜M3の全てを同時に駆動させる倒れスイッチ7cと、アテンダントコール用のスイッチ7dと、読書灯用のスイッチ7eと、を備えている。
【0023】
(2)制御装置の構成
本実施例に係る制御装置15は、シート1に搭載されている(図1参照)。この制御装置15は、図5に示すように、各モータM1〜M3の駆動制御等を司る制御部16(ECU(Electronic Control Unit)とも称される。)を備えている。この制御部16は、CPU17(Central Processing Unit)と、図示しないメモリ(例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等)と、を備えている。また、制御部16は、スイッチ操作部7の各スイッチ7a〜7eからの操作信号が入力される入力回路18と、モータM1〜M3を駆動するためのモータ駆動回路19と、第1及び第2リミットスイッチ11、12からの検出信号が入力される入力回路20と、を備えている。
【0024】
上記制御部16は、電源投入後及び清掃モードにおいて、クッション部4、オットマン部5及びバック部6の動作制御処理を実行する。なお、本実施例では、電源投入後の各部4〜6の動作制御処理は略同じであるため、クッション部4でのモータM1の正転方向の動作制御処理について以下に詳説する。
【0025】
上記電源投入後の動作制御処理では、図6に示すように、スイッチ操作され(ステップS1)、正転側のスイッチ操作が継続中であると、モータM1を正転駆動してクッション部4を通常動作範囲S2の端点P2まで動作させる(ステップS2)。このとき、その動作が電源投入後で初回であり、正転側のスイッチ操作が継続中であると、モータM1を正転駆動してクッション部4を可動範囲S1の端点P1まで動作させる(ステップS3)。すると、クッション部4が第1リミットスイッチ11に当接することで可動範囲S1の端点P1を決定する(ステップS4)。すなわち、制御部16に記憶されているクッション部4の原点位置を更新して初期化を行う。その後、スイッチ操作され(ステップS5)、それが正転側のスイッチ操作であると、クッション部4が可動範囲S1の端点P1を超えて動作しないようにモータM1を停止する(ステップS6)。
【0026】
上述のクッション部4の原点位置の初期化以降において、スイッチ操作され(ステップS1)、正転側のスイッチ操作が継続中であると、モータM1を正転駆動してクッション部4を通常動作範囲S2の端点P2まで動作させる(ステップS2)。このとき、その動作が電源投入後で2回目以降となるので、クッション部4が通常動作範囲S2の端点P2を超えて動作しないようにモータM1を停止し(ステップS11)、その後、ステップ1に戻る。
【0027】
なお、上記スイッチ操作が逆転側のスイッチ操作である場合(ステップS1、S5)には、モータM1を逆転駆動してクッション部4を逆転方向に動作させ(ステップS7、S9)、次いで、逆転側のスイッチ操作が解除される(ステップS8、S10)と、ステップ1に戻る。
【0028】
上記清掃モードの動作制御処理では、図7に示すように、複数のスイッチ7b、7c、7dが同時に操作される(ステップST1)と、モータM1〜M3を駆動してクッション部4、オットマン部5及びバック部6のそれぞれを可動範囲S1の端点P1まで動作させる(ステップST2)。すると、各部4〜6が第1又は第2リミットスイッチ11、12に当接することで可動範囲S1の端点P1を決定する(ステップST3)。すなわち、制御部15に記憶されている各部4〜6の原点位置を更新して初期化を行う。このとき、各部4〜6を可動範囲S1の端点P1で停止させる(ステップST4)。
【0029】
その後、反転検出用リミットスイッチ(図示省略)によりシート1の向きが変更(反転)されたことを検出すると(ステップST5のYES判定)、モータM1〜M3を駆動して各部4〜6を予め決められたニュートラル位置まで動作させ(ステップST6)、その位置に停止させる(ステップST7)。
【0030】
なお、上記制御部16による制御処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれによって実現されてもよく、好適にはCPU、メモリ(ROM、RAM等)、入出力回路等を備えるマイクロコントローラ(マイクロコンピュータ)を中心に、入出力インターフェース等周辺回路を備えることにより構成することができる。
【0031】
(3)制御装置の作用
次に、上記構成の制御装置15の作用について説明する。電源投入後には、クッション部4、オットマン部5及びバック部6のそれぞれは、スイッチ操作によるモータM1〜M3の駆動により可動範囲S1内で動作される。そして、スイッチ操作が継続されると、各部4〜6が可動範囲S1の端点P1まで動作される。このとき、各部4〜6が第1又は第2リミットスイッチ11、12に当接することで可動範囲S1の端点P1が決定されて各部4〜6の原点位置の初期化が行われる。その初期化以降、スイッチ操作が継続されても、各部4〜6は通常動作範囲S2内で動作される。
【0032】
ここで、突発的な電源OFFが生じて、実際のモータ位置とは異なるデータを用いてモータM1〜M3が駆動されても、各部4〜5が第1又は第2リミットスイッチ11、12に当接することで可動範囲S1の端点P1が決定されて各部4〜6の原点位置の初期化が行われ、その初期化以降、各部4〜6は通常動作範囲S2内で動作される。
【0033】
一方、清掃モードでは、シート1に設けられた複数のスイッチ7b、7c、7dが同時に操作されると、クッション部4、オットマン部5及びバック部6のそれぞれが可動範囲S1の端点P1まで動作される。すると、各部4〜6が第1又は第2リミットスイッチ11、12に当接することで可動範囲S1の端点P1が決定されて各部4〜6の原点位置の初期化が行われる。このとき、各部4〜6は、可動範囲S1の端点P1で停止されて、シート1は、その向きを変更可能な所定の姿勢とされる。その後、手動又は自動でシート1の向きが変更(反転)されると、各部4〜6が予め決められたニュートラル位置まで動作され、その位置で停止される。なお、上記所定の姿勢のシート1では、クッション部4の前方部が上方へ持ち上がり、オットマン部5が上方へ起き上がり、バック部6が後方へ倒れた状態となる。
【0034】
(4)実施例の効果
本実施例の制御装置15によると、シートの可動部4〜6は、第1リミットスイッチ11と第2リミットスイッチ12との間の可動範囲S1内で動作可能とされる。そして、シートの可動部4〜6が動作して第1又は第2リミットスイッチ11、12により検出されたときに、可動範囲S1の端点P1を決定し、その端点P1の決定された可動範囲S1より狭い通常動作範囲S2内でシートの可動部4〜6を動作させる。これにより、第1又は第2リミットスイッチ11、12による必要最小減の検出により可動範囲S1の端点P1を決定してシートの可動部4〜6の原点位置の初期化が行われる。そして、その初期化以降、可動範囲S1より狭い通常動作範囲S2内でシートの可動部4〜6が動作される。その結果、突発的な電源OFFによらずシートの可動部4〜6の正確な位置を把握することができる。また、従来のようなフラッシュメモリを使用する必要がない。
【0035】
また、本実施例では、電車の進行方向に応じてシート1の向きを変えるときに、シートの可動部4〜6を動作させて第1又は第2リミットスイッチ11、12により検出させて可動範囲S1の端点P1を決定する。これにより、シート1の向きの変更に伴って、シートの可動部4〜6の原点位置の初期化を強制的に行うことができる。
【0036】
さらに、本実施例では、可動範囲S1の端点P1の決定は、シート1に設けられた複数のスイッチ7b、7c、7dが同時に操作されることで行われる。これにより、一般の乗客により操作され難い比較的複雑なスイッチ操作によりシートの可動部4〜6の原点位置の初期化を強制的に行うことができる。
【0037】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、可動部として、クッション部4、オットマン部5及びバック部6を備えるシート1を例示したが、これに限定されず、例えば、可動部として、クッション部4、オットマン部5及びバック部6のうちの1種又は2種の組み合わせを備えるシートとしてもよい。さらに、上記各部4〜6以外に他の可動部を更に備えるシートとしてもよい。
【0038】
また、上記実施例では、複数のスイッチ7b、7c、7dの同時操作を契機として原点位置の初期化を強制的に行うようにしたが、これに加えて、例えば、電車の全シートを所定順序で清掃モード(すなわち、シートの向きを変更可能とする状態)にするためのスイッチ操作を契機として原点位置の初期化を強制的に行うようにしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施例では、位置検出手段としてリミットスイッチ11、12を例示したが、これに限定されず、例えば、近接スイッチや光電スイッチ等を採用してもよい。
【0040】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0041】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
電車のシートの可動部を制御する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0043】
1;シート、4;クッション部、5;オットマン部、6;バック部、7b〜7d;スイッチ、11,12;リミットスイッチ、15;制御装置、S1;可動範囲、P1;端点、S2;通常動作範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7