特許第6241874号(P6241874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241874
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】体重計
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/44 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   G01G19/44 H
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-235723(P2013-235723)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-94735(P2015-94735A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000127570
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(72)【発明者】
【氏名】古和 勉
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−294322(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0262046(US,A1)
【文献】 ハンドレール付き体重計,取扱説明書[online],日本,株式会社タニタ,2012年,8−9,14−17頁,URL,[平成29年7月20日検索], インターネット<http://www.tanita.co.jp/cms/common/pdf/catalog/ph550a.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/44
G01G 23/00, 23/36, 23/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示を表示する表示器と、ONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示をも表示させる拡張表示スイッチと、が備えられている体重計において、
前記拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられ、
前記表示器は、前記非接触式スイッチがONとされている間、前記拡張表示として実際の測定値の該当桁値を表示し続けるように設定されている、
ことを特徴とする体重計。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示器が、前記体重測定器本体の前側上方に配置され、
前記拡張表示スイッチが、前記表示器に備えられている、
ことを特徴とする体重計。
【請求項3】
上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示を表示する表示器と、ONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示を表示させる拡張表示スイッチと、が備えられている体重計において、
前記拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられ、
前記表示器が、前記体重測定器本体の前側上方に配置され、
前記拡張表示スイッチが、前記表示器に備えられ、
前記表示器に、挿入凹所が形成され、
前拡張表示スイッチが、前記表示器において、前記挿入凹所の内周壁面から該挿入凹所内に臨むようにして設けられている、
ことを特徴とする体重計。
【請求項4】
上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示を表示する表示器と、ONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示を表示させる拡張表示スイッチと、が備えられている体重計において、
前記拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられ、
前記体重測定器本体における荷重入力壁の所定個所に、光が該体重測定器本体の内外間を透過する透過領域が設けられ、
前記体重測定器本体内に、前記透過領域の下方領域において、前記拡張表示スイッチとして、投光した光の反射光を検出したときONとなる拡散反射形の光電センサが配置されている、
ことを特徴とする体重計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重計に関する。
【背景技術】
【0002】
体重計には、特許文献1に示すように、洗面台の前方の床面に配置された体重測定器と、体重測定器に設けられ体重測定器への加重によりオンするスイッチと、スイッチのオンにより作動して体温を測定する非接触式温度センサとを備えたものがある。
【0003】
ところで、体重計には、計量法で特定計量器として指定されるものがある。このような体重計は、一般に、上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示(目量(e))を表示する表示器と、手動操作によりONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示(実目量(d))をも表示させる拡張表示スイッチと、が備えたものとされている。そして、このような体重計においては、上記拡張表示機能に関し、JIS規格に基づき、手動操作により拡張表示スイッチが継続してONとされている間、又は拡張表示スイッチがONとされた後、手動操作が止められた場合には、その後、5秒間だけ、上記拡張表示が行われることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−184435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記体重計においては、拡張表示スイッチとして接触式スイッチが用いられており、その接触式スイッチに対して手動操作が行われた場合には、拡張表示が微細な値を示すものであることもあって、その接触式スイッチに対する手動操作に基づく反力、振動等により、接触式スイッチを押している間は勿論、接触式スイッチを押して離した後、5秒間において、拡張表示は安定せず微妙に変動するおそれがある。このため、折角、通常表示及び拡張表示を含む拡張状態表示を表示させてその拡張状態表示内容を知ろうとしても、その拡張表示を含む拡張状態表示を正確且つ容易に把握することができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、拡張状態表示を正確且つ容易に把握することができる体重計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示を表示する表示器と、ONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示をも表示させる拡張表示スイッチと、が備えられている体重計において、
前記拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられ、
前記表示器は、前記非接触式スイッチがONとされている間、前記拡張表示として実際の測定値の該当桁値を表示し続けるように設定されている構成とされている。この請求項1の好ましい態様としては、請求項2の記載のとおりとなる。
また、前記目的を達成するために本発明(請求項3に係る発明)にあっては、
上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示を表示する表示器と、ONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示を表示させる拡張表示スイッチと、が備えられている体重計において、
前記拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられ、
前記表示器が、前記体重測定器本体の前側上方に配置され、
前記拡張表示スイッチが、前記表示器に備えられ、
前記表示器に、挿入凹所が形成され、
前拡張表示スイッチが、前記表示器において、前記挿入凹所の内周壁面から該挿入凹所内に臨むようにして設けられている構成とされている。
さらに、前記目的を達成するために本発明(請求項4に係る発明)にあっては、
上壁が荷重入力壁とされる体重測定器本体と、該体重測定器本体の荷重入力壁に荷重が作用したとき、該荷重の通常表示を表示する表示器と、ONとされたとき、前記表示器において前記通常表示よりも下の桁の拡張表示を表示させる拡張表示スイッチと、が備えられている体重計において、
前記拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられ、
前記体重測定器本体における荷重入力壁の所定個所に、光が該体重測定器本体の内外間を透過する透過領域が設けられ、
前記体重測定器本体内に、前記透過領域の下方領域において、前記拡張表示スイッチとして、投光した光の反射光を検出したときONとなる拡散反射形の光電センサが配置されている構成とされている。
【発明の効果】
【0008】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、拡張表示スイッチとして、非接触式スイッチが用いられていることから、その非接触式スイッチに対して操作が行われたとしても、その非接触式スイッチに対する操作よって、反力、振動等は生ぜず、拡張表示が変動することはなくなる。このため、拡張表示を表示させるときには、その拡張表示を含む拡張状態表示を正確且つ容易に把握することができる。
【0009】
請求項2に係る発明によれば、表示器が、体重測定器本体の前側上方に配置され、拡張表示スイッチが表示器に備えられていることから、被測定者が体重測定器本体に乗りながら、拡張表示させる手動操作を容易にできる一方で、拡張表示スイッチが接触式スイッチである場合のように、被測定者が手動操作することに伴って、その反力(反作用)が体重測定器本体に作用するようなことはなくなり、拡張表示スイッチに対して手動操作を行ったとしても、拡張表示の安定性を高めることができる。このため、拡張表示スイッチに対する被測定者による手動操作の容易性を確保しつつ、被測定者に拡張状態表示を正確且つ容易に把握させることができる。
【0010】
請求項3に係る発明によれば、表示器に挿入凹所が形成され、拡張表示スイッチが、表示器において、挿入凹所の内周壁面から該挿入凹所内に臨むようにして設けられていることから、手や指を挿入凹所内に挿入しない限り、非接触式スイッチがONしないことになり、意図しない誤作動を防止できる。
【0011】
請求項4に係る発明によれば、体重測定器本体における荷重入力壁の所定個所に、光が該体重測定器本体の内外間を透過する透過領域が設けられ、体重測定器本体内に、透過領域の下方領域において、拡張表示スイッチとして、投光した光の反射光を検出したときONとなる拡散反射形の光電センサが配置されていることから、被測定者が体重測定器本体上に乗りながら、その足を透過領域上に位置させて、拡散反射形のセンサからの投光を反射させれば、その拡散反射形のセンサがONとなり、拡張状態表示が表示器に表示される。このため、拡散反射形のセンサをONさせるに際して、反力(反作用)を生じないようにして、拡張表示を変動させないようにすることができることになり、拡張状態表示を正確且つ容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る体重計を説明する説明図。
図2】通常表示と拡張状態表とを説明する説明図。
図3】通常表示と拡張状態表示とを別の態様をもって説明する説明図。
図4】従前に係る体重計を説明する説明図。
図5】第1実施形態に係る体重計における制御例を示すフローチャート。
図6】第2実施形態に係る表示器を示す正面図。
図7】第2実施形態に係る表示器を示す一部断面側面図。
図8】第3実施形態に係る体重計を説明する説明図。
図9】第3実施形態に係る体重測定器本体を説明する縦断面図。
図10】第4実施形態に係る体重計を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1図3図5は第1実施形態を示している。その第1実施形態において、符号1は体重計であり、その体重計1には、体重測定器本体2と、表示器3と、が備えられている。
【0014】
前記体重測定器本体2は、被測定者5の体重を測定する役割を有している。この体重測定器本体2は、既知の如く、扁平な箱状に形成されており、その体重測定器本体2の上壁が、平坦面を構成する荷重入力壁4として形成され、被測定者5が体重を測定するときには、その荷重入力壁4上に被測定者5が乗ることになる。
【0015】
前記表示器3は、本実施形態においては、図1に示すように、支柱6を用いることにより、体重測定器本体2の前側上方に配置されている。
支柱6は、体重測定器本体2の前側において、上下方向に延びるように配置されており、その下端部には、支柱6を安定に支持するために支持台7が取付けられている。
表示器3は、体重測定器本体2が測定した被測定者5の体重を表示する役割を有している。表示器3は、前記支柱6の上端部に取付けられており、その表示器3の上面には、例えば数値をもって表示する計測表示部3aが設けられている。この計測表示部3aにおいては、図2図3に示すように、荷重の通常表示(目量(e))を表示できるだけでなく、通常表示及びその通常表示よりも下の桁の拡張表示(実目量(d))sをも併せて表示した拡張状態表示を選択的に表示させることができる。この表示器3は、支柱6により、大人の身長の半分程度の高さ位置に位置されており、これにより、その計測表示部3aの見易さ、後述の拡張表示スイッチ8の手動操作容易性が確保されている。
【0016】
この表示器3には、図1に示すように、その上面において、操作手段として非接触式の拡張表示スイッチ8が設けられている。この非接触式スイッチとしては、例えば、光学センサ、超音波センサ、レーザセンサ、非接触式温度センサ等を適宜、用いることができ、本実施形態においては、拡散反射形の光電センサ(以下、拡張表示スイッチ8と同符号8を用いる)が用いられている。この拡散反射形の光電センサ8には、光を投光する投光部と、反射光を受光する受光部とが備えられており、この拡散反射形光電センサ8においては、投光部から投光された光が反射されて受光部の受光量が増加されたときには、ON信号が出力され、その他の場合にはOFF信号が出力されることになる。このため、被測定者5が、上記非接触式の拡散反射形光電センサ8上に手をかざして、その拡散反射形光電センサ8からの投光を遮ったときには、ON信号が出力されることになる。
【0017】
また、表示器3には、前記拡張表示スイッチ8の他に、他の操作手段として、例えば、電源のオン・オフを行う電源ボタン(電源スイッチ)、風袋引きを行う(例えば衣服の質量分を差し引く)風袋ボタン、測定前に表示が0でないときに押して0にする零点リセットボタン、風袋引きの数値を設定したり、オートオフの時間を設定したり、拡張表示の設定時間(通常5秒)を変更したりする設定ボタンが設けられている。これらの操作ボタンは、体重測定器本体2上に乗った状態で操作する非接触式の拡張表示スイッチ8とは異なり、被測定者5が体重測定器本体2に乗る前に操作するものであるため、接触式スイッチとされている。
【0018】
前記体重測定器本体2の内部には、図1に示すように、荷重検出構造9と、制御ユニットUとが収納されている。尚、図1においては、荷重検出構造9、制御ユニットUの存在を明確にするために、それらは、体重測定器本体2の外部に図示されている。
【0019】
前記荷重検出構造9は、体重測定器本体2の荷重入力壁4に作用する荷重を検出して、その荷重に応じた荷重相当信号(例えば電圧信号)を出力する役割を有している。このため、荷重検出構造9としては、例えば、荷重入力壁4に作用する荷重に応じて歪を生じさせる歪発生機構10(起歪体、歪ゲージ等により構成)と、その歪発生機構10が発生させる歪に基づき荷重相当信号(例えば電圧信号)を出力する歪−信号変換機構11(ホイートストンブリッジ回路)と、を備えるものが用いられている。
【0020】
前記制御ユニットUには、演算部12と、表示調整部13と、制御部14と、が組み込まれている。これらは、電源状態検出センサ22からの電源ON状態信号が制御ユニットUに入力されることを条件に作動されることになる。
演算部12は、前述の荷重検出構造9(歪−信号変換機構11)からの荷重相当信号に基づき、前記荷重入力壁4に入力される荷重を体重として演算する役割を有している。このため、演算部12には、所定の演算式が予め記憶されている一方、その演算部12には、荷重検出構造9(歪−信号変換機構11)からの荷重相当信号が入力されることになっており、これにより、演算部12は、所定の演算式と、荷重検出構造9(歪−信号変換機構11)からの荷重相当信号とにより、荷重入力壁4に入力される荷重Wを体重として演算することになる。勿論この場合、通常表示だけでなく、拡張状態表示(拡張表示を含む全体表示)をも可能とする演算値が算出されている。
【0021】
前記表示調整部13は、前記演算部12からの演算結果を調整して、表示器3での表示状態を、通常表示にするか、拡張状態表示にするかを決める役割を有している。このため、表示調整部13には、演算部12からの出力信号が入力される一方、その表示調整部13から表示器3に対して、通常表示又は拡張状態表示に係る表示信号が出力されることになっている。
【0022】
前記制御部14は、前述の拡張表示スイッチ8からのON,OFF信号に基づき、表示調整部13が出力する表示信号を、通常表示に係るものにするか、拡張状態表示に係るものにするかを表示調整部13に指示する役割を有している。このため、制御部14には拡張表示スイッチ8からのON、OFF信号が入力されていて、制御部14に拡張表示スイッチ8からのON信号が入力されたときには、拡張状態表示に係る表示信号が表示器3に出力され、制御部14に拡張表示スイッチ8からのOFF信号が入力されたときには、通常表示に係る表示信号が表示器3に出力されることになる。
【0023】
このような制御ユニットUは、概略的には次のような制御を行う。
被測定者5が体重測定器本体2に乗った場合には、荷重検出構造9(歪−信号変換機構11)からの荷重相当信号に基づき、演算部12が荷重入力壁4に入力される荷重Wを体重として演算する。そしてこの場合、被測定者5が、拡張表示スイッチ8の投光を遮らないときには、拡張表示スイッチ8からON信号が出力されないことになるため、表示調整部13は、演算部12からの出力信号を通常表示に係る表示信号として表示器3に出力する。これにより、表示器3は、通常表示をもって被測定者5の体重を表示する。
【0024】
一方、上記状態(被測定者5が体重測定器本体2に乗った状態)で(体重測定中に)、被測定者5が拡張表示スイッチ8の投光を手で遮ったときには、拡張表示スイッチ8からON信号が出力されることになり、表示調整部13は、演算部12からの出力信号を拡張状態表示に係る表示信号として表示器3に出力する。これにより、表示器3は、拡張状態表示をもって被測定者5の体重を表示する。
この場合、被測定者5は、拡張表示スイッチ8を押すような操作をする必要がないことから、その拡張表示スイッチ8に対する操作に伴い、反作用が生じることはなく、体重測定器本体2に被測定者5の体重以外の荷重は加わらない。このため、拡張表示スイッチ8からの投光を遮っている間は勿論、拡張表示スイッチ8に対する手動操作を止めた後の5秒間においても、自己の拡張状態表示に係る体重を正確且つ容易に把握できる。
【0025】
これに対して、図4に示すように、表示器3に拡張表示スイッチ8’として、接触式スイッチが設けられている場合には、被測定者5が、表示器3を拡張状態表示にすべく、拡張表示スイッチ8’をONとするときには、被測定者5は接触式スイッチである拡張表示スイッチ8’を押圧しなければならず、これに伴い、その押圧に伴う反作用が被測定者5を介して体重測定器本体2に作用することになる。このため拡張表示スイッチ8’の押圧による不安定な荷重に基づき、拡張状態表示は、変動して不安定となり、被測定者5は、拡張状態表示を正確且つ容易に把握できなくなる。
【0026】
上記制御ユニットUによる制御の具体的な制御例を、図5に示すフローチャートにより説明する。尚、Sはステップを示す。
先ず、S1において、電源がONになったか否かが判別され、そのS1がNOのときには、その判別が繰り返される一方、S1がYESのときには、S2において初期化が行われる。この初期化としては、零点設定と通常表示設定とが行われる。
【0027】
S2が終了すると、S3においては、荷重検出構造9が荷重相当信号を検出し、演算部12が、所定の演算式と、荷重検出構造9からの荷重相当信号とにより、荷重入力壁4に入力される荷重(体重)を測定値として演算する。このS3が終了すると、S4において、計量表示部3aでの表示として、拡張状態表示が選択されているか否かが判別される。当初は、S2での初期化により通常表示が選択されていることから、S5に進み、そのS5において、被測定者5により拡張表示スイッチ8がONとされたか否か、すなわち、被測定者5が拡張表示スイッチ8からの投光を手で遮ったか否かが判別される。このS5がNOのときには、前述のS4の判断結果を実行すべく、S6において、表示器3に被測定者5の体重が通常表示をもって表示される。続いて、次のS7において、測定終了か否かが判別され、S7がYESのときには、処理を終了する一方、S7がNOのときには、S3に戻され、これまでのS3〜S7が繰り返される。このS7の判別ステップでは、具体的には、電源がオフになったか否か、オートオフになったか否か(最終操作から設定時間が経過したか否か)が判別される。
【0028】
前記S5がYESのときは、通常表示選択中に拡張表示スイッチ8がONされたときであり、このときには、S8において、拡張状態表示に切替えが行われ、次のS9において、被測定者5が拡張表示スイッチ8に対するON操作を継続しているか否かが判別される。このS9がYESのときには、前記S6に移行し、前記S8の処理結果に基づき、表示器3に被測定者5の体重が拡張状態表示をもって表示される。
この場合、拡張表示スイッチ8が非接触式スイッチであり、拡張表示スイッチ8をONとするときに、被測定者5が拡張表示スイッチ8を押圧する必要が無いことから、その反作用が被測定者5を介して体重測定器本体2に作用することはなく、拡張状態表示は、変動することなく安定した状態で表示される。
【0029】
一方、S9がNOのときは、被測定者5が拡張表示スイッチ8に手をかざすことを止めてその拡張表示スイッチ8をOFFにしたときであり、このときには、タイマがセットされ、作動時間Tが計測し始められる(S10、S11)。
そして次のS12において、タイマの作動時間開始から所定時間(5秒)が経過したか否かが判別され、このS12がNOのときには、未だ所定時間を経過していないとして、前記S6に移行し、表示器3において、被測定者5の体重が拡張状態表示をもって表示される。
これに対して、S12がYESのときは、所定時間が経過したときであり、このときには、S13において、拡張状態表示から通常表示に切替えられた後、S6に移行して、表示器3に被測定者5の体重が通常表示をもって表示される。JIS規格を遵守するためである。
【0030】
前記S4がYESのときは、表示器3において拡張状態表示が選択されているときであり、このときには、S14において、拡張表示スイッチ8がONされているか否かが判別される。このS14がNOのときには、前記S11に移行してタイマの作動時間Tの計測が続行され、S14がYESのときには、前記S10に移行してタイマがリセットされる。このため、被測定者5が拡張表示スイッチ8からの投光を手で遮っている限り、タイマのリセットが繰り返され、表示器3での拡張状態表示は継続される。これに対して、被測定者5が拡張表示スイッチ8からの投光を手で遮らなくなったときには、タイマ作動時間Tの計測が継続され、その計測時間が5秒に到達したときには、JIS規格を遵守するべく通常表示に切替えられる。
【0031】
図6図7は第2実施形態、図8図9は第3実施形態、図10は第4実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図6図7に示す第2実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、表示器3が支柱6上端部に取付けられたとき、その表示器3における計測表示部3aを含む上面3bが、上方に向かうに従って体重測定器本体2から離間するように傾斜されており、その傾斜した表示器上面3bには、その上部において計測表示部3aが配置され、その表示器上面3bの下部には挿入凹所としての指挿入凹所15が形成されている。
【0033】
前記指挿入凹所15は、本実施形態においては、溝形状をもって横方向に延びるようにして形成されている。この溝状の指挿入凹所15の開口は、体重測定器本体2の後方側に向けつつ、水平方向よりも多少、上方に傾斜され、その指挿入凹所15の大きさは、被測定者5の指5aを挿入できるものとされている(図6参照)。
【0034】
前記表示器3には、図7に示すように、拡張表示スイッチ8が指挿入凹所15の内周壁面から指挿入凹所15内に臨むようにして設けられている。本実施形態においても、拡張表示スイッチ8として、拡散反射形の光電センサ8が用いられており、被測定者5が指5aを指挿入凹所15に挿入することにより、拡散反射形光電センサ8の投光部から投光された光が反射されたときには、その拡散反射形光電センサ8の受光部の受光量が増加されて、拡散反射形光電センサ8がON信号を出力することになっている。
【0035】
したがって、この第2実施形態においては、表示器3に拡張状態表示を表示させた場合に、その拡張状態表示を安定な状態にできると共に、指5aを指挿入凹所15内に挿入しない限り非接触式拡張表示スイッチ8がONしないようにしたことにより、意図しない誤作動を防止できる。
【0036】
図8図9に示す第3実施形態は、非接触式の拡張表示スイッチ8を体重測定器本体2内に設けて、被測定者5の足によりその拡張表示スイッチ8を操作するようにしたものを示している。
この第3実施形態においては、体重測定器本体2は、図9に示すように、下側基板16上に荷重検出構造9を介して荷重入力プレート17が配置され、それらは、上側カバーケース18により覆われている。このため、被測定者5が体重測定のために体重測定器本体2に乗った場合には、その被測定者5の荷重は、上側カバーケース18の上壁部及び荷重入力プレート17(荷重入力壁4)を介して荷重検出構造9に伝達され、その荷重検出構造9からの出力信号に基づき被測定者5の体重が表示器3に表示される。
【0037】
この体重測定器本体2においては、荷重入力プレート17及び上側カバーケース18の上壁部の所定個所に、図9に示すように、光を体重測定器本体2の内外間において透過させる透過領域19が形成されている。この透過領域19は、荷重入力プレート17及び上側カバーケース18の上壁部の所定個所にそれぞれ貫通孔17a,18aを連続して形成し、その各貫通孔17a,18aに光を透過させる非反射材20を充填した構成とされており、この透過領域19においては、光が体重測定器本体2の内外間を透過できることになっている。この体重測定器本体2における下側基板16上には、上記透過領域19の下方領域において、前述の非接触式の拡散反射形光電センサ8が設けられており、その拡散反射形光電センサ8における投光部からの投光は、上記透過領域19を利用して外部に出射できることになっている。
【0038】
したがって、図9に示すように、被測定者5が体重測定器本体2上に乗りながら、その足を透過領域19上に位置させて、拡散反射形の光電センサ8からの投光を反射させれば、その拡散反射形のセンサがON信号を出力することなり、拡張状態表示が表示器3に表示される。この場合、拡散反射形の光電センサ8をON操作することに伴って、被測定者5の荷重以外の荷重を生じさせる反作用が体重測定器本体2に作用しないことから、拡張状態表示において、その拡張状態表示が変動して不安定になることを防止できる。これにより、被測定者5は、その拡張状態表示を正確且つ容易に把握することができることになる。
【0039】
図10に示す第4実施形態においては、乳児用体重計1が示されている。乳児用体重計1は、一般に、操作部を含む体重測定器本体及び表示器が一体なっており、その測定に関しては、乳児5の体重範囲が広くないことから、狭い所定範囲で高い精度が要求されるものとなっている。このため、乳児用体重計1に拡張表示スイッチ8として接触式スイッチを設けた場合には、その押圧操作により乳児用体重計1に振動が生じ、特に計量表示部において拡張状態表示を表示する際、その表示が不安定となる傾向が強い。
このため、本実施形態においては、乳児用体重計1の前面21に、通常表示又は拡張状態表示を表示する計測表示部(図10では図示略)と共に、前述の非接触式の拡散反射形光電センサ8が設けられ、表示器3に拡張状態表示を表示するに際して、乳児用体重計に振動が発生しないようにされている。これにより、拡張状態表示が不安定になることを防止され、測定者は、その拡張状態表示を正確且つ容易に把握することができることになる。
【0040】
以上実施形態について説明したが、本発明にあっては、拡張表示スイッチ8として、接触、非接触式スイッチの両方の機能を兼ね備えたものを用いてもよい。例えば、接触式のボタンスイッチを構成する一方で、その一部を透明にすると共にその内部に非接触式センサを埋め込む構成のものを用いることができる。これにより、被測定者5は、重測定器本体2に上がる前に拡張表示スイッチ8を押して操作し、重測定器本体2に上がったときには、拡張表示スイッチ8に手を近づけて非接触で操作できることになる。
【符号の説明】
【0041】
1 体重計
2 体重測定器本体
3 表示器
4 荷重入力壁
8 拡張表示スイッチ
15 指挿入凹所(挿入凹所)
17 荷重入力プレート(荷重入力壁)
18 上側カバーケース(荷重入力壁)
19 透過領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10