(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前面に開口が形成されるとともに内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体と、前記ショーケース本体内の底面と背面と上面とに沿って形成されたダクトと、前記ダクト内に設置された冷却器及び送風ファンとを有し、前記冷却器により冷却された冷気が前記ダクト内を送風され、この冷気が前記ダクトの上部前端側に形成された冷気吹出口から下向きに吹出して前記ダクトの下部前端側に形成された冷気吸込口から吸込まれることにより前記開口を覆うエアカーテンが形成されるオープンショーケースにおいて、
前記商品陳列室内を前記ショーケース本体の横幅方向に沿って複数の陳列室内区画に仕切る少なくとも1つの陳列室内仕切板と、
前記ダクト内の上部側に設けられ、このダクト内を前記陳列室内区画のいずれかに連通する複数のダクト内区画に仕切る複数のダクト内仕切板と、
前記ダクト内区画のそれぞれに配置され、このダクト内区画を冷気が流れることを許容する開放位置と冷気が流れることを遮断する閉止位置とに切換可能な複数の可動ダンパと、を有し、
前記可動ダンパは、開放位置に回動することによりその可動ダンパが配置された前記ダクト内区画を流れる冷気を冷却商品が陳列されている前記陳列室内区画に流入させるとともに、閉止位置に回動することによりその可動ダンパが配置された前記ダクト内区画を流れる冷気が非冷却商品が陳列されている前記陳列室内区画に流入することを遮断し、
前記陳列室内仕切板は、前記ショーケース本体の横幅方向に沿って位置調節可能に設けられ、
前記ダクト内仕切板は、前記陳列室内仕切板を横幅方向に位置調節した場合におけるそれぞれの前記陳列室内仕切板の横幅方向の位置と同じ位置に設けられていることを特徴とするオープンショーケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたオープンショーケースでは、上段の陳列室に冷却商品を陳列し、下段の陳列室に非冷却商品を陳列するという制約があり、上下両方の陳列室に冷却商品を陳列することはできず、オープンショーケースの使用形態が制限されている。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、商品陳列室をショーケース本体の横幅方向に沿って複数の陳列室内区画に仕切り、各陳列室内区画に冷却商品又は非冷却商品のいずれかを陳列することができるオープンショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るオープンショーケースは、前面に開口が形成されるとともに内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体と、前記ショーケース本体内の底面と背面と上面とに沿って形成されたダクトと、前記ダクト内に設置された冷却器及び送風ファンとを有し、前記冷却器により冷却された冷気が前記ダクト内を送風され、この冷気が前記ダクトの上部前端側に形成された冷気吹出口から下向きに吹出して前記ダクトの下部前端側に形成された冷気吸込口から吸込まれることにより前記開口を覆うエアカーテンが形成されるオープンショーケースにおいて、前記商品陳列室内を前記ショーケース本体の横幅方向に沿って複数の陳列室内区画に仕切る少なくとも1つの陳列室内仕切板と、前記ダクト内の上部側に設けられ、このダクト内を前記陳列室内区画のいずれかに連通する複数のダクト内区画に仕切る複数のダクト内仕切板と、前記ダクト内区画のそれぞれに配置され、このダクト内区画を冷気が流れることを許容する開放位置と冷気が流れることを遮断する閉止位置とに切換可能な複数の可動ダンパと、を有し、
前記可動ダンパは、開放位置に回動することによりその可動ダンパが配置された前記ダクト内区画を流れる冷気を冷却商品が陳列されている前記陳列室内区画に流入させるとともに、閉止位置に回動することによりその可動ダンパが配置された前記ダクト内区画を流れる冷気が非冷却商品が陳列されている前記陳列室内区画に流入することを遮断し、前記陳列室内仕切板は、前記ショーケース本体の横幅方向に沿って位置調節可能に設けられ、前記ダクト内仕切板は、前記陳列室内仕切板を横幅方向に位置調節した場合におけるそれぞれの前記陳列室内仕切板の横幅方向の位置と同じ位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、前述の本発明に係るオープンショーケースにおいて、前記可動ダンパは、開放位置と閉止位置とに手動により上下方向回動可能に設けられ、上方に回動した開放位置又は閉止位置で前記可動ダンパを磁力により吸着保持する吸着保持部が前記ショーケース本体に設けられていることが望ましい。
【0012】
また、前述の本発明に係るオープンショーケースにおいて、前記冷気吹出口に吹出口整流体が着脱可能に取付けられ、前記吹出口整流体を取外した前記冷気吹出口から挿入された操作棒が引っ掛けられ、この操作棒が押し引きされることにより前記可動ダンパが開放位置と閉止位置とに回動操作される取手が前記可動ダンパに設けられていることが望ましい。
【0013】
また、前述の本発明に係るオープンショーケースにおいて、前記可動ダンパにこの可動ダンパを開放位置と閉止位置とに回動操作する取手が設けられ、この取手は前記ダクトを形成するダクト形成板を貫通して前記商品陳列室内に突出していることが望ましい。
【0014】
また、前述の本発明に係るオープンショーケースにおいて、
個々の前記可動ダンパの開放位置と閉止位置とへの切換状態を検出する検出部と、開放位置に位置している前記可動ダンパの数が多いことを前記検出部が検出した場合には前記送風ファンの回転数を高くするように変化させ、開放位置に位置している前記可動ダンパの数が少ないことを前記検出部が検出した場合には前記送風ファンの回転数を低くするように変化させる回転数制御手段とを有することが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るオープンショーケースによれば、各陳列室内区画に冷却商品又は非冷却商品を陳列し、冷却商品が陳列された陳列室内区画に連通されるダクト内区画に配置された可動ダンパを開放位置に切換えることにより、ダクト内を送風された冷気が冷却商品を陳列した陳列室内区画に流入し、冷却商品が冷却される。一方、非冷却商品が陳列された陳列室内区画に連通されるダクト内区画に配置された可動ダンパを閉止位置に切換えることにより、ダクト内を流れた冷気が非冷却商品を陳列した陳列室内区画に流入することが遮断され、非冷却商品は冷却されない。したがって、1台のオープンショーケースにおいて、少なくとも1つの陳列室内区画に冷却商品を陳列し、他の陳列室内区画に非冷却商品を陳列して販売することができる。また、全ての可動ダンパを開放位置に切換えることにより全ての陳列室内区画に冷却商品を陳列して販売することもできる。
また、陳列室内仕切板をショーケース本体の横幅方向に沿って位置調節することにより、各陳列室内区画のスペースの比率を変えることができ、季節や時間により、オープンショーケースにおける冷却商品を陳列するスペースを増減したり非冷却商品を陳列するスペースを増減したりすることができる。そして、複数のダクト内仕切板は、陳列室内仕切板を横幅方向に位置調節した場合におけるそれぞれの陳列室内仕切板の横幅方向の位置と同じ位置に設けられているので、陳列室内仕切板を位置調節することにより陳列室内区画のスペースを変更した場合でも、特定の陳列室内区画に対して適宜冷気を流入させ、又は、冷気の流入を遮断することができる。
【0017】
また、上下方向回動可能な可動ダンパは、上方に回動した開放位置又は閉止位置において吸着保持部の磁力により吸着保持されるため、上方に回動した開放位置又は閉止位置での可動ダンパの保持を簡単な構造で確実に行うことができる。なお、下方に回動した閉止位置又は開放位置では、可動ダンパを自重によりその位置で保持することができる。
【0018】
また、冷気吹出口に着脱可能に取付けられている吹出口整流体を冷気吹出口から取外し、冷気吹出口から挿入した操作棒を可動ダンパの取手に引っ掛け、取手に引っ掛けた操作棒を押し引きすることにより可動ダンパを開放位置と閉止位置とに回動操作することができ、可動ダンパを開放位置と閉止位置とに回動させる操作を容易に行うことができる。
【0019】
また、ダクト形成板を貫通して商品陳列室内に突出している取手を把持し、この取手を押し引きすることにより可動ダンパを開放位置と閉止位置とに回動操作することができ、可動ダンパを開放位置と閉止位置とに回動させる操作を容易に行うことができる。
【0020】
また、個々の可動ダンパの開放位置と閉止位置とへの切換状態を検出部で検出し、開放位置に位置する可動ダンパの数が多い場合には冷気を必要とする陳列室内区画のスペースが広いことを意味するので、送風ファンの回転数を高くすることにより冷気を必要とする広いスペースの陳列室内区画に十分な量の冷気を発生することができ、一方、開放位置に位置する可動ダンパの数が少ない場合には冷気を必要とする陳列室内区画のスペースが狭いことを意味するので、送風ファンの回転数を低くすることにより発生する冷気の量を減らして消費電力の低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態のオープンショーケース1について、
図1ないし
図7に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態のオープンショーケース1を示す断面側面図である。このオープンショーケース1は、基台2と基台2の上に固定されたショーケース本体3とを有している。ショーケース本体3は、断面形状略コの字型の断熱材で形成され、ショーケース本体3の前面に開口4が形成され、ショーケース本体3の横幅方向の両側には側板5が取付けられている。ショーケース本体3の内部には、ショーケース本体3の横幅方向の両端を側板5により覆われた商品陳列室6が形成されている。商品陳列室6内には、商品を陳列するための商品陳列台7が上下方向に3段設けられ、さらに、商品陳列室6をショーケース本体3の横幅方向に沿って2つの陳列室内区画8a、8b(
図1では一方の陳列室内区画8aのみを図示)に仕切る陳列室内仕切板9が設けられている。
【0023】
ショーケース本体3の内周部には、ショーケース本体3の底面と背面と上面とに沿ってダクト形成板10が設けられており、このダクト形成板10とショーケース本体3との間に、ショーケース本体3の底面と背面と上面とに沿ったダクト11が形成されている。ダクト11内には、冷却器12と送風ファン13とが設置され、冷却器12により冷却された冷気が送風ファン13によりダクト11内を送風されるようになっている。
【0024】
冷却器12には、冷媒が流れるパイプを介して圧縮機や凝縮器や膨張弁(いずれも図示せず)等の冷凍装置を構成する機器が接続されている。膨張弁は冷却器12と共にダクト11内に設置され、圧縮機や凝縮器は基台2内に設置されている。基台2には、圧縮機や凝縮器で発生した熱を排熱する排熱ダクト14が接続され、排熱ダクト14はショーケース本体3の後側に位置して立設されている。
【0025】
ダクト11内の上部側には、このダクト11内の上部側をショーケース本体3の横幅方向に沿って仕切る3枚のダクト内仕切板15a、15b、15c(必要に応じて15と表わす)が設けられている。ダクト11内の上部側は、これらのダクト内仕切板15と一対の側板5とにより4つのダクト内区画16a、16b、16c、16d(必要に応じて16と表わす)に仕切られている。
【0026】
各ダクト内区画16には、ダクト内区画16を冷気が流れることを許容する開放位置と、ダクト内区画16を冷気が流れることを遮断する閉止位置とに切換可能な可動ダンパ17a、17b、17c、17d(必要に応じて17と表わす)が1つずつ配置されている。可動ダンパ17、ダクト内仕切板15、ダクト内区画16については、後から詳しく説明する。
【0027】
ダクト11の上部前端側には、ダクト11内を送風された冷気が下向きに吹出す冷気吹出口18が形成され、ダクト11の下部前端側には、冷気吹出口18から吹出した冷気が吸込まれる冷気吸込口19が形成されている。冷気吹出口18には、吹出す冷気を整流するハニカム構造の吹出口整流体20が着脱可能に取付けられている。そして、冷気吹出口18から吹出して冷気吸込口19に吸い込まれるように流れる矢印で示した冷気により、ショーケース本体3の開口4を覆うエアカーテンが形成されている。なお、このエアカーテンは、後述するように陳列室内区画8a、8bが冷却商品を陳列する区画と非冷却商品を陳列する区画とに区分けされた場合、冷却商品を陳列する区画の部分にのみ形成されるようになっている。
【0028】
図2は、オープンショーケース1を示す正面図である。商品陳列室6内には、上述したように商品陳列台7と陳列室内仕切板9とが設けられ、商品陳列室6は陳列室内仕切板9によりショーケース本体3の横幅方向に沿って2つの陳列室内区画8a、8bに仕切られている。陳列室内区画8aは、一方の側板5と陳列室内仕切板9との間に形成された区画であり、陳列室内区画8bは、陳列室内仕切板9と他方の側板5との間に形成された区画である。陳列室内仕切板9は、ショーケース本体3の横幅方向に沿って位置調節可能に設けられており、陳列室内仕切板9をショーケース本体3の横幅方向に沿ってスライドさせて位置調節することにより、2つの陳列室内区画8a、8bの面積の比率を変えることができるようになっている。
【0029】
また、ダクト11内の上部側には、上述したように、ショーケース本体3の横幅方向に沿って位置する3枚のダクト内仕切板15a、15b、15cが設けられ、ダクト11内の上部側はこれらのダクト内仕切板15a〜15cと2枚の側板5とにより4つのダクト内区画16a、16b、16c、16dに仕切られている。ダクト内区画16aは、一方の側板5とダクト内仕切板15aとの間に形成された区画であり、ダクト内区画16bは2つのダクト内仕切板15a、15bの間に形成された区画であり、ダクト内区画16cは2つのダクト内仕切板15b、15cの間に形成された区画であり、ダクト内区画16dはダクト内仕切板15cと他方の側板5との間に形成された区画である。各ダクト内区画16には、上述したように可動ダンパ17がそれぞれ1つずつ配置されている。
【0030】
図3は、商品陳列台7と、陳列室内仕切板9と、3枚のダクト内仕切板15a、15b、15cと、4つの可動ダンパ17a、17b、17c、17dとの配置状態を示す斜視図である。
【0031】
陳列室内仕切板9は、
図1及び
図2で説明したように商品陳列室6を2つの陳列室内区画8a、8bに仕切る板状部材である。この陳列室内仕切板9には上下2段にスライド溝21が形成され、これらのスライド溝21に商品陳列台7がスライド可能に嵌合され、陳列室内仕切板9は実線で示した位置と二点鎖線で示した2つの位置とに位置調節できるようになっている。陳列室内仕切板9には、商品陳列台7の上面に当接し、陳列室内仕切板9が傾くことを防止するための仕切板支え脚22が取付けられている。
【0032】
ダクト内仕切板15a〜15cは、
図1及び
図2で説明したように、ダクト11内の上部側にショーケース本体3の横幅方向に沿って配列され、ダクト11内の上部側をショーケース本体3の横幅方向に沿った4つのダクト内区画16a〜16dに仕切る板状部材である。陳列室内仕切板9が
図3において実線で示す位置に位置する場合、2つのダクト内区画16a、16bが一方の陳列室内区画8aに連通され、他の2つのダクト内区画16c、16dが他方の陳列室内区画8bに連通されている。
【0033】
4つの可動ダンパ17a〜17dは、
図1及び
図2で説明したように、4つのダクト内区画16a〜16dにそれぞれ1つずつ配置され、冷気がダクト内区画16a〜16dを流れることを許容する開放位置と、冷気がダクト内区画16a〜16dを流れることを遮断する閉止位置とに切換可能に設けられている。
図3は、2つの可動ダンパ17a、17bが開放位置に切換えられ、他の2つの可動ダンパ17c、17dが閉止位置に切換えられている状態を示している。可動ダンパ17a〜17dの開放位置と閉止位置とへの切換えは、後述するように手動による回動操作で行われる。
【0034】
図4は、可動ダンパ17を示す斜視図である。可動ダンパ17は、鉄板製のダンパ本体23にポリエチレン発泡体からなる断熱材24を張り付けて形成されている。また、ダンパ本体23には、可動ダンパ17をショーケース本体3の上部側内面に回動可能に取付けるための一対の蝶番25が取付けられている。さらに、ダンパ本体23には、可動ダンパ17を開放位置と閉止位置とに回動操作する場合に使用される取手26が設けられている。
【0035】
図5は、ショーケース本体3への可動ダンパ17の取付構造を示すとともに可動ダンパ17が上方に回動した開放位置に位置している状態を示している。可動ダンパ17は、蝶番25によりショーケース本体3の上部側内面に回動可能に取付けられている。可動ダンパ17が開放位置に位置する場合、その可動ダンパ17が配置されているダクト内区画16は開放状態となり、冷気はそのダクト内区画16を流れることが可能となる。
【0036】
ショーケース本体3の上部には、吸着保持部27と検出部28とが設けられている。吸着保持部27は、磁石により形成され、可動ダンパ17が開放位置に回動している場合にダンパ本体23を磁力により吸着し、可動ダンパ17は開放位置で保持されている。検出部28は、出没可能な可動端子28aを有して可動ダンパ17の開放位置と閉止位置とへの切換え状態を検出するセンサであり、可動ダンパ17が開放位置に回動している場合に可動端子28aが可動ダンパ17に押されて検出部28の内部に入り込み、可動ダンパ17が開放位置に回動していることを検出するようになっている。検出部28は、可動ダンパ17が開放位置に回動していることを検出すると、検出信号を冷却器12や送風ファン13を制御する制御部(図示せず)に送信するようになっている。制御部には、検出部28から送信された検出信号の数(可動ダンパ17の開閉数)により送風ファン13の回転数を変化させる回転数制御手段が設けられている。回転数制御手段は、開放位置に回動している可動ダンパ17が増えた場合に送風ファン13の回転数を上げ、開放位置に回動している可動ダンパ17の数が減った場合に送風ファン13の回転数を下げるように構成されている。
【0037】
図6は、ショーケース本体3への可動ダンパ17の取付構造を示すとともに可動ダンパ17が下方に回動した閉止位置に位置している状態を示している。可動ダンパ17は、吸着保持部27による吸着保持を解除され、蝶番25による取付部を支点として下方に回動し、先端部がダクト形成板10の上部に当接されている。可動ダンパ17が閉止位置に回動することにより、その可動ダンパ17が配置されているダクト内区画16が閉止状態となり、そのダクト内区画16を冷気が流れることが遮断されるようになる。また、可動ダンパ17が閉止位置に回動することにより可動端子28aが検出部28から突出し、可動ダンパ17が閉止位置に回動したことが検出される。
【0038】
図7は、開放位置に回動している可動ダンパ17を閉止位置に回動させる状態を示している。開放位置に回動している可動ダンパ17を閉止位置に回動させる操作は、冷気吹出口18から吹出口整流体20を取り外し、吹出口整流体20を取り外した冷気吹出口18から操作棒29を挿入し、挿入した操作棒29の先端部を可動ダンパ17の取手26に引っ掛け、その操作棒29を手前側に引っ張ることにより手動で行われる。また、閉止位置に回動している可動ダンパ17を開放位置に回動させる操作は、吹出口整流体20を取り外した冷気吹出口18から操作棒29を挿入し、操作棒29の先端部を取手26に引っ掛けてその操作棒29を奥側に押すことにより手動で行われる。
【0039】
このような構成において、
図1ないし
図3は、陳列室内仕切板9をショーケース本体3の横幅方向の中央に位置させ、2つの陳列室内区画8a、8bのスペースを同じにし、一方の陳列室内区画8aに冷却商品を陳列し、他方の陳列室内区画8bに非冷却商品を陳列する場合を示している。この場合、冷却商品を陳列する陳列室内区画8aに連通されている2つのダクト内区画16a、16bに配置されている可動ダンパ17a、17bは、
図5に示したように上方に回動した開放位置に位置している。また、非冷却商品を陳列する陳列室内区画8bに連通されている2つのダクト内区画16c、16dに配置されている可動ダンパ17c、17dは、
図6に示したように下方に回動した閉止位置に位置している。
【0040】
ダクト内区画16a、16bに設置されている可動ダンパ17a、17bが上方に回動した開放位置に位置する場合には、冷却器12により冷却された冷気がダクト内区画16a、16bを流れることが許容され、ダクト内区画16a、16bを流れた冷気は冷気吹出口18における陳列室内区画8aに面している領域から吹出し、陳列室内区画8aの開口4を覆うエアカーテンが形成される。そして、エアカーテンを形成する冷気の一部が陳列室内区画8aに流入することにより、陳列室内区画8aに陳列されている冷却商品が冷却される。
【0041】
冷却商品としては、冷却温度が5℃程度が適温であるサラダ類や、冷却温度が20℃程度が適温であるお弁当等があり、これらの冷却温度の切換えは、冷却器12での温度設定を切換えることにより行われる。
【0042】
一方、ダクト内区画16c、16dに設置されている可動ダンパ17c、17dが下方に回動した閉止位置に位置する場合には、冷却器12により冷却された冷気はダクト内区画16c、16dを流れることが遮断され、冷却器12により冷却された冷気は冷気吹出口18における陳列室内区画8bに面している領域からは吹出さず、冷気が陳列室内区画8bに流入することはなく、陳列室内区画8bに陳列された非冷却商品は冷却されない。
【0043】
このようにして、ダクト内区画16a〜16dを形成するとともに可動ダンパ17a〜17dを配置することにより、ショーケース本体3の横幅方向に位置する一方の陳列室内区画8aに冷却商品を陳列し、他方の陳列室内区画8bに非冷却商品を陳列して販売することができる。このため、冷却商品と非冷却商品とを1つのオープンショーケース1を用いて陳列販売することができ、冷却商品と非冷却商品とを陳列販売するために2つのオープンショーケースを準備する必要がなくなり、設備投資に関するコストの低減を図ることができる。また、冷却商品用と非冷却商品用との2つのオープンショーケースを設置する面積のない店舗面積が狭い店舗においても、冷却商品と非冷却商品とを陳列販売することができる。
【0044】
可動ダンパ17が上方に回動した開放位置に位置する場合には、鉄板製のダンパ本体23が吸着保持部27に吸着され、可動ダンパ17は開放位置で保持されている。このため、上方に回動して開放位置に位置する可動ダンパ17は、簡単な構造で確実に開放位置に保持されている。一方、下方に回動して閉止位置に位置する可動ダンパは、先端部をダクト形成板10の上部に当接させて自重により閉止位置に位置するように保持されるため、可動ダンパ17を閉止位置で保持するための機構を設けることは不要になる。
【0045】
陳列室内仕切板9は、ショーケース本体3の横幅方向に沿ってスライド可能であり、
図3において実線で示す位置と二点鎖線で示す2つの位置とに位置調節することができる。そして、陳列室内仕切板9を位置調節した場合には、それに伴って可動ダンパ17を開放位置又は閉止位置に回動させ、冷却商品を陳列するスペースと非冷却商品を陳列するスペースとの比率を変えることができる。例えば、陳列室内仕切板9を
図3において左側に示す二点鎖線の位置に位置調節することにより、陳列室内区画8aを狭くするとともに陳列室内区画8bを広くすることができる。そして、狭くした陳列室内区画8aに冷却商品を陳列するとともに広くした陳列室内区画8bに非冷却商品を陳列する場合には、狭くした陳列室内区画8aに連通するダクト内区画16aの可動ダンパ17aを開放位置に維持するとともに、広くした陳列室内区画8bに連通するダクト内区画16bの可動ダンパ17bを閉止位置に回動させ、冷気が冷気吹出口18における陳列室内区画8aに面している領域のみから吹出すようにし、陳列室内区画8aに陳列されている冷却商品を冷却する。
【0046】
このように、陳列室内仕切板9をショーケース本体3の横幅方向に沿って位置調節することにより、陳列室内区画8a、8bのスペースの比率を変えることができ、季節や時間により、オープンショーケース1における冷却商品を陳列するスペースを増減したり、非冷却商品を陳列するスペースを増減したりすることができる。なお、商品陳列室6の全体に、冷却商品を陳列したり非冷却商品を陳列したりすることも可能である。
【0047】
陳列室内仕切板9をショーケース本体3の横幅方向に沿って位置調節し、陳列室内区画8a、8bのスペースの比率を変えた場合において、冷却商品を陳列するスペースの比率が大きくなった場合には冷却商品を冷却するための冷気の必要量が多くなり、冷却商品を陳列するスペースの比率が小さくなった場合には冷却商品を冷却するための冷気の必要量が少なくなる。そこで、可動ダンパ17が開放位置に位置することを検出する検出部28を各可動ダンパ17ごとに設け、開放位置に位置する可動ダンパ17の数が多くなった場合、すなわち、冷却商品を陳列するスペースの比率が大きくなった場合には、開放位置に位置する可動ダンパ17の数を検出した検出部28からの検出結果に基づいて送風ファン13の回転数を高くする。これにより、冷却商品を冷却するために必要な量の冷気を発生させることができ、冷却商品の冷却を良好に行うことができる。一方、開放位置に位置する可動ダンパ17の数が少なくなった場合、すなわち、冷却商品を陳列するスペースの比率が小さくなった場合には、開放位置に位置する可動ダンパ17の数を検出した検出部28からの検出結果に基づいて送風ファン13の回転数を低くする。これにより、送風ファン13を駆動するための消費電力の削減を図ることができる。
【0048】
可動ダンパ17を開放位置から閉止位置へ回動させる場合は、
図7に示したように冷気吹出口18から吹出口整流体20を取外し、吹出口整流体20を取外した冷気吹出口18から操作棒29を挿入して開放位置に位置している可動ダンパ17の取手26に引っ掛け、操作棒29を手前側に引っ張ることにより行う。また、可動ダンパ17を閉止位置から開放位置へ回動させる場合は、吹出口整流体20を取外した冷気吹出口18から操作棒29を挿入して閉止位置に位置している可動ダンパ17の取手26に引っ掛け、操作棒29を奥側に押すことにより行う。このように、可動ダンパ17を開放位置から閉止位置へ、又は、閉止位置から開放位置へ回動させる操作は、吹出口整流体20を取外した冷気吹出口18から操作棒29を挿入して取手26に引っ掛け、操作棒29を押し引きすることにより容易に行うことができる。
【0049】
なお、第1の実施形態では、1枚の陳列室内仕切板9を用い、商品陳列室6をショーケース本体3の横幅方向に沿って2つの陳列室内区画8a、8bに仕切った場合を例に挙げて説明したが、2枚以上の陳列室内仕切板を用い、ショーケース本体3の横幅方向に沿って3つ以上の陳列室内区画に仕切ってもよい。
【0050】
また、第1の実施形態では、ショーケース本体3への可動ダンパ17の取付構造が、可動ダンパ17を上方に回動させることにより開放位置に位置して下方に回動させることにより閉止位置に位置する場合を例に挙げて説明したが、可動ダンパ17を上方に回動させることにより閉止位置に位置して下方に回動させることにより開放位置に位置するような取付構造としてもよい。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のオープンショーケース31について、
図8ないし
図10に基づいて説明する。なお、
図1ないし
図7において説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0052】
図8は、第2の実施形態のオープンショーケース31を示す断面側面図である。このオープンショーケース31は、断熱材で形成された断面形状コの字型のショーケース本体32を有し、ショーケース本体32の上下方向の中央部にはショーケース本体32の一部である中間仕切板33が設けられ、ショーケース本体32の横幅方向の両側には側板(図示せず)が取付けられている。ショーケース本体32の内部には、中間仕切板33を挟んだ上下に上部商品陳列室34と下部商品陳列室35とが形成されている。また、ショーケース本体32の前面には、開口36、37が形成されている。
【0053】
まず、上部商品陳列室34側について説明する。上部商品陳列室34内には、商品を陳列するための複数の商品陳列台38と、上部商品陳列室34内をショーケース本体32の横幅方向に沿って2つの陳列室内区画39a、39bに仕切る陳列室内仕切板40とが設けられている。
【0054】
ショーケース本体32の内周部には、ショーケース本体32の底面と背面と上面とに沿ってダクト形成板41が設けられ、このダクト形成板41とショーケース本体32との間に、ショーケース本体32の底面と背面と上面とに沿ったダクト42が形成されている。ダクト42内には、冷気を発生させる冷却器12と、冷気を送風する送風ファン13とが設置されている。
【0055】
ダクト42の上部前端側には、ダクト42内を送風された冷気が下向きに吹出す冷気吹出口43が形成され、ダクト42の下部前端側には、冷気吹出口43から吹出した冷気が吸込まれる冷気吸込口44が形成されている。そして、冷気吹出口43から吹出して冷気吸込口44に吸い込まれるように流れる矢印で示した冷気により、開口36を覆うエアカーテンが形成されている。なお、このエアカーテンは、第1の実施形態で説明したように、陳列室内区画39a、39bが冷却商品を陳列する区画と非冷却商品を陳列する区画とに区分けされた場合、冷却商品を陳列する区画の部分にのみ形成されるようになっている。
【0056】
ダクト42内の上部側には、このダクト42内の上部側をショーケース本体32の横幅方向に沿って複数のダクト内区画45に仕切る複数枚のダクト内仕切板46が設けられている。一部のダクト内区画45は一方の陳列室内区画39aに連通され、他のダクト内区画45は他方の陳列室内区画39bに連通されている。
【0057】
各ダクト内区画45には、各ダクト内区画45を冷気が流れることを許容する開放位置と、各ダクト内区画45を冷気が流れることを遮断する閉止位置とに切換可能な可動ダンパ47が配置されている。可動ダンパ47は、第1の実施形態で説明した可動ダンパ17と同様に、上下方向に回動することにより開放位置と閉止位置とに切換えられるようになっている。
【0058】
図9は、ショーケース本体32への可動ダンパ47の取付構造を示すとともに可動ダンパ47が上方に回動した開放位置に位置している状態を示している。可動ダンパ47は、蝶番25によりショーケース本体32の上部側内面に回動可能に取付けられている。可動ダンパ47が開放位置に位置する場合、その可動ダンパ47が設置されているダクト内区画45は開放状態となり、冷気はそのダクト内区画45を流れることが許容されるようになっている。
【0059】
可動ダンパ47には、この可動ダンパ47を開放位置と閉止位置とに回動操作するための取手48が設けられている。取手48は、ダクト形成板41を貫通して設けられ、取手48の先端部は上部商品陳列室34内に突出している。ダクト形成板41における上部商品陳列室34側の面には、可動ダンパ47を閉止位置に回動させた場合において取手48を保持する取手保持部49が取付けられている。
【0060】
ショーケース本体32の上部には、第1の実施形態と同じように吸着保持部27と検出部28とが設けられている。吸着保持部27は、磁石により形成され、可動ダンパ47が開放位置に回動している場合に可動ダンパ47の鉄板製部材が吸着され、可動ダンパ47は開放位置で保持されている。検出部28は、出没可能な可動端子28aを有するセンサであり、可動ダンパ47が開放位置に回動している場合に可動端子28aが可動ダンパ47に押されて検出部28の内部に入り込み、可動ダンパ47が開放位置に回動していることを検出するようになっている。
【0061】
図10は、ショーケース本体32への可動ダンパ47の取付構造を示すとともに可動ダンパ47が下方に回動した閉止位置に位置している状態を示している。可動ダンパ47は、吸着保持部27による吸着保持を解除され、蝶番25による取付部を支点として下方に回動し、先端部がダクト形成板41に当接されている。可動ダンパ47が閉止位置に回動することにより、その可動ダンパ47が配置されているダクト内区画45が閉止状態となり、そのダクト内区画45を冷気が流れることが遮断されるようになる。可動ダンパ47が閉止位置に位置する場合、上部商品陳列室34内に伸び出した取手48は取手保持部49により保持されている。
【0062】
つぎに、
図8に戻り、下部商品陳列室35側について説明する。下部商品陳列室35内には、商品を陳列するための複数の商品陳列台50が設けられている。
【0063】
ショーケース本体32の内周部には、ショーケース本体32の底面と背面と上面とに沿ってダクト形成板51が設けられ、このダクト形成板51とショーケース本体32との間に、ショーケース本体32の底面と背面と上面とに沿ったダクト52が形成されている。ダクト52内には、冷気を発生させる冷却器12と、冷気を送風する送風ファン13とが設置されている。
【0064】
ダクト52の上部前端側には、ダクト52内を送風された冷気が下向きに吹出す冷気吹出口53が形成され、ダクト52の下部前端側には、冷気吹出口53から吹出した冷気が吸込まれる冷気吸込口54が形成されている。そして、冷気吹出口53から吹出して冷気吸込口54に吸い込まれるように流れる矢印で示した冷気により、開口37を覆うエアカーテンが形成されている。
【0065】
このような構成において、上部商品陳列室34は陳列室内仕切板40によりショーケース本体32の横幅方向に沿って2つの陳列室内区画39a、39bに仕切られており、一方の陳列室内区画39bに冷却商品が陳列され、他方の陳列室内区画39bに非冷却商品が陳列されている。その場合、陳列室内区画39aに連通されているダクト内区画45に配置されている可動ダンパ47が
図9に示すように上方に回動した開放位置に位置し、陳列室内区画39bに連通されているダクト内区画45に配置されている可動ダンパ47が
図10に示すように下方に回動した閉止位置に位置している。
【0066】
可動ダンパ47が開放位置に位置しているダクト内区画45は、冷却器12により冷却された冷気が流れることが許容されるので、このダクト内区画45を流れた冷気は冷気吹出口43における陳列室内区画39aに面している領域から吹出し、陳列室内区画39aの開口36を覆うエアカーテンが形成される。そして、エアカーテンを形成する冷気の一部が陳列室内区画39aに流入することにより、陳列室内区画39aに陳列されている冷却商品が冷却される。
【0067】
一方、可動ダンパ47が閉止位置に位置しているダクト内区画45は、冷却器12により冷却された冷気が流れることが遮断されるので、冷却器12により冷却された冷気は冷気吹出口43における陳列室内区画39bに面している領域からは吹出さず、冷気が陳列室内区画39bに流入することはなく、陳列室内区画39bに陳列された非冷却商品は冷却されない。
【0068】
このようにして、複数のダクト内区画45を形成するとともに複数の可動ダンパ47を配置することにより、ショーケース本体32の横幅方向に位置する1つの陳列室内区画39aに冷却商品を陳列し、他の陳列室内区画39bに非冷却商品を陳列して販売することができる。このため、冷却商品と非冷却商品とを1つのオープンショーケース31を用いて陳列販売することができ、冷却商品と非冷却商品とを陳列販売するために2つのオープンショーケースを準備する必要がなくなり、設備投資に関するコストの低減を図ることができる。また、2つのオープンショーケースを設置する面積のない店舗面積が狭い店舗においても、冷却商品と非冷却商品とを陳列販売することができる。
【0069】
可動ダンパ47を開放位置から閉止位置へ、又は、閉止位置から開放位置へ回動させる場合は、取手48を把持し、取手48を下方へ引っ張り又は上方へ押し上げることにより手動で行う。開放位置へ回動した可動ダンパ47は、吸着保持部27により吸着され、開放位置で保持される。これにより、可動ダンパ17を開放位置から閉止位置へ、又は、閉止位置から開放位置へ回動させる操作を、取手48を把持して押し引きすることにより容易に行うことができる。
【0070】
また、下部商品陳列室35に冷却商品を陳列し、冷却器12や送風ファン13を駆動させることにより、冷却器12により冷却された冷気がダクト52内を流れて冷気吹出口
53から吹出し、下部商品陳列室35の開口37を覆うエアカーテンが形成される。そして、エアカーテンを形成する冷気の一部が下部商品陳列室35に流入することにより、下部商品陳列室35に陳列されている冷却商品が冷却される。
【0071】
なお、下部商品陳列室35に非冷却商品を陳列し、冷却器12の駆動を停止させれば、下部商品陳列室35を非冷却商品の陳列販売に利用することができる。
【0072】
本発明は、前述の実施形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施形態に係る構成要素を適宜組み合わせてもよい。