(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被覆部が、内層部と、当該内層部の外周面全体に重ねて設けられ、前記内層部よりも融点が高い材料からなる外層部と、を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆電線。
複数の素線と、前記複数の素線を内側に収容した絶縁性合成樹脂からなるチューブ形状の被覆部と、を有する被覆電線中間材を加工して被覆電線を製造する被覆電線の製造方法であって、
前記被覆部を外部から部分的に加熱圧縮することにより溶融させて前記複数の素線の間隙に浸透させる加熱圧縮工程と、
前記加熱圧縮工程で溶融させた前記被覆部を固化させて変形規制部を形成する変形規制部形成工程と、を含むことを特徴とする被覆電線の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したワイヤハーネス800は、外装部材816によって屈曲形状や直線形状を維持しているところ、例えば、このような樹脂製又は金属製の外装部材816による比較的強固な保護を要しない箇所に配索されるワイヤハーネスにおいては、より簡易な構成で屈曲形状や直線形状を維持したいとの要請があった。また、ワイヤハーネス800では、先付外装部材820と後付外装部材821とを繋いでしまうと形状が固定されてしまうため、配索作業性が低かった。
【0006】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、屈曲形状や直線形状をより簡易な構成で維持できるとともに配索作業性をより向上できる被覆電線、加工によりこの被覆電線となる被覆電線中間材、この被覆電線を備えるワイヤハーネス、及び、この被覆電線の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、複数の素線と、前記複数の素線を内側に収容した絶縁性合成樹脂からなるチューブ形状の被覆部と、を有する被覆電線中間材を加工してなる被覆電線であって、前記被覆部には、当該被覆部が外部から部分的に加熱圧縮されることにより溶融されて前記複数の素線の間隙に浸透したのち固化した部分からなる変形規制部と、前記加熱圧縮していない部分からなる変形許容部と、が設けられていることを特徴とする被覆電線である。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記変形規制部が、前記加熱圧縮が前記被覆部の全周にわたってされることにより設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記変形規制部が、前記加熱圧縮が前記被覆部の周方向の一部にされることにより設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載された発明において、前記被覆部が、内層部と、当該内層部の外周面全体に重ねて設けられ、前記内層部よりも融点が高い材料からなる外層部と、を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載された発明は、上記目的を達成するために、複数の素線と、前記複数の素線を内側に収容した絶縁性合成樹脂からなるチューブ形状の被覆部と、を有する被覆電線中間材であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆電線における前記被覆電線中間材として用いられることを特徴とする被覆電線中間材である。
【0012】
請求項6に記載された発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆電線を備えることを特徴とするワイヤハーネスである。
【0013】
請求項7に記載された発明は、上記目的を達成するために、複数の素線と、前記複数の素線を内側に収容した絶縁性合成樹脂からなるチューブ形状の被覆部と、を有する被覆電線中間材を加工して被覆電線を製造する被覆電線の製造方法であって、前記被覆部を外部から部分的に加熱圧縮することにより溶融させて前記複数の素線の間隙に浸透させる加熱圧縮工程と、前記加熱圧縮工程で溶融させた前記被覆部を固化させて変形規制部を形成する変形規制部形成工程と、を含むことを特徴とする被覆電線の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被覆部には、当該被覆部が外部から部分的に加熱圧縮されることにより溶融されて複数の素線の間隙に浸透したのち固化した部分からなる変形規制部と、加熱圧縮していない部分からなる変形許容部と、が設けられている。このようにしたことから、被覆部が複数の素線の間隙を埋めた状態で固化した変形規制部は、被覆部と複数の素線とが結合していない変形許容部より剛性が高いので、変形規制部を屈曲形状や直線形状とすることで、複数の電線を保護する外装部材等によらず、より簡易な構成で屈曲形状や直線形状を維持することができる。また、特に形状を維持する必要のない部分については変形許容部とすることで、比較的自由に変形させることができるので、配索作業性を向上させることができる。
【0015】
また、変形規制部が、加熱圧縮が被覆部の全周にわたってされることにより設けられていることで、例えば、変形規制部を屈曲形状や直線形状としたときにその形状を比較的強固に維持することができる。
【0016】
また、変形規制部が、加熱圧縮が被覆部の周方向の一部にされることにより設けられていることで、容易に変形規制部を屈曲形状や直線形状とすることができる。被覆部において屈曲形状としたい部分がある場合に、当該屈曲の内側部分となる部分のみ加熱圧縮することで、より簡易な構成で形状を維持できる。
【0017】
また、被覆部が、内層部と、当該内層部の外周面全体に重ねて設けられ、内層部よりも融点が高い材料からなる外層部と、を有していることで、加熱圧縮により内層部のみ溶融させることで、外層部により複数の素線をより確実に被覆することができ、被覆部により複数の素線をより確実に保護することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るワイヤハーネスとしてのシールドケーブルについて説明する。本実施形態のシールドケーブルは、例えば、車両内に配索されて各種電子機器等の接続に用いられる。
【0020】
まず、シールドケーブルの構成について、
図1〜
図5を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態に係るシールドケーブルの斜視図である。
図2は、
図1のシールドケーブルの一端部の拡大斜視図である。
図3は、
図1のシールドケーブルが備える信号線を説明する図であって、(a)は変形許容部を直線状に伸ばした状態での平面図であり、(b)は変形許容部を屈曲した状態での斜視図である。
図4は、信号線の変形規制部の横断面図(長手方向と直交する断面図)であり、
図5は、信号線の変形許容部の横断面図である。
【0022】
図1、
図2に示すように、本実施形態のシールドケーブル1は、複数の被覆電線としての信号線2と、ドレイン線3と、シールド箔5と、保護テープ6と、を有している。なお、
図1において、保護テープ6の端末6aからシールド箔5がはみ出ているが、説明の便宜上このような表現にしており、実際には保護テープ6の端末6aとシールド箔5の端末(縁5a)は同一位置とされ、または、保護テープ6の端末の方が、シールド箔5の端末よりシールドケーブル1の端部寄りの位置となるように設定されている。
【0023】
シールドケーブル1は、配索された状態において、複数の直線部分Sと、これら直線部分をつなぐ複数の屈曲部分Cと、を有している。
【0024】
複数の信号線2は、後述する被覆電線中間材20を加工して得られる被覆電線である。
図3〜
図5に示すように、複数の信号線2のそれぞれは、銅等の導電金属からなる複数の素線21と、これら複数の素線21を絶縁被覆する被覆部22と、両端部において複数の素線21に接続して設けられた端子8と、を有している。本実施形態において、複数の信号線2は、それぞれ同一の長さとされている。
【0025】
被覆部22は、複数の素線21が内部に位置づけられる内層部23と、この内層部23の外周面全体に重ねて設けられた外層部24と、を有している。外層部24は、内層部23よりも融点の高い材料で構成されている。
【0026】
また、複数の信号線2のそれぞれは、複数の変形規制部25と、複数の変形許容部26とが長手方向に交互に並ぶように設けられており、各信号線2において、複数の変形規制部25と複数の変形許容部26とは同一位置に配置されている(
図8)。なお、
図3等においては、変形規制部25と変形許容部26とを明確に区別して認識できるように、これら部分の外径の違いを強調して記載している。
【0027】
変形規制部25は、
図4に示すように、被覆部22の内層部23が溶融されて複数の素線21の間隙に浸透したのち固化した部分である。被覆部22は、変形規制部25において中実(内部に空間のない)形状とされている。本実施形態において、変形規制部25は直線形状に形成されている。変形規制部25は、配索形状に応じて屈曲形状に形成されていてもよい。
【0028】
変形許容部26は、
図5に示すように、被覆部22が後述する被覆電線中間材20の形状を維持した部分であり、即ち、被覆部22の内側に複数の素線21が挿通された中空形状(チューブ形状)とされている。
【0029】
ここで、この信号線2の作製方法について、
図6、
図7を参照して説明する。
【0030】
図6は、加工により
図3に示す信号線2となる被覆電線中間材を説明する図であって、(a)は縦断面図(長手方向に沿う断面図)であり、(b)は横断面図(長手方向に直交する断面図)である。
図7は、本実施形態の信号線を得るために
図6被覆電線中間材を加熱圧縮する工程を説明する図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【0031】
図6(a)、(b)に示すように、加工されることにより信号線2となる被覆電線中間材20は、銅等の導電金属からなる複数の素線21と、これら複数の素線21が内側に挿通収容されたチューブ形状の絶縁被覆である被覆部22と、を有している。被覆電線中間材20は、例えば、押出成形により製造される。被覆部22は、複数の素線21が内部に位置づけられる内層部23と、この内層部23の外周面全体に重ねて設けられた外層部24と、を有している。外層部24は、内層部23よりも融点の高い材料で構成されている。一例として、内層部23は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(Ethylene‐vinyl acetate、以下、EVAと記載する)等の絶縁性合成樹脂を材料として構成され、外層部24は、EVA等よりも融点が高いポリエチレン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の絶縁性合成樹脂を材料として構成されている。
【0032】
このような被覆電線中間材20について、始めに、両端部に端子8を取り付けるための被覆部22の皮むき加工をして複数の素線21を露出させ、次に、
図7(a)、(b)に示すように、加熱圧縮金型40を用いて加熱圧縮加工を施す(加熱圧縮工程)。
【0033】
加熱圧縮金型40は、接離可能に対向配置された一対の金型部分41、41を有し、これら一対の金型部分41、41が互いに組み合わされたときに、内部に被覆電線中間材20の外径よりも小さい内径の直線状に延びる円柱空間Eが形成されるように構成されている。加熱圧縮金型40は、図示しないヒータなどにより、被覆部22の内層部23が溶融しかつ外層部24が溶融しない温度に加熱されて、被覆電線中間材20における上述したシールドケーブル1の直線部分Sに対応する部分を一対の金型部分41、41の間に挟み込む。これにより当該部分が加熱圧縮されて上記円柱空間Eに合わせて縮径するように力が加えられて、内層部23が周方向全体にわたって溶融して複数の素線21の間隙に浸透し、また、加熱圧縮により外層部24も変形して円柱空間Eに応じた外形となる。
【0034】
本実施形態においては、加熱圧縮金型40の円柱空間Eが、溶融された内層部23の一部が複数の素線21の間隙K全体に浸透するように(即ち、間隙K全体を埋めるように)圧縮可能な大きさに形成されている。
図7(a)において、一対の金型部分41、41に挟まれた部分(外径の小さい部分)が変形規制部25に対応し、一対の金型部分41、41に挟まれていない部分(外径の大きい部分)が変形許容部26に対応する。
【0035】
そして、被覆電線中間材20を、加熱圧縮金型40から取り外して常温まで冷却することにより溶融した被覆部22の内層部23を固化させて、変形規制部25を形成する(変形規制部形成工程)。このようにして、加熱圧縮した部分に変形規制部25が形成され、加熱圧縮していない部分に変形許容部26が形成されて、これらが長手方向に交互に並ぶ。最後に、被覆電線中間材20の両端部に露出している複数の素線21に端子8を取り付けることにより、信号線2が完成する。
【0036】
ドレイン線3は、撚り線からなる芯線3aと、この芯線3aの両端部のみ覆う絶縁被覆3bと、を有し、中間部において芯線3aが露出された電線である(
図8)。ドレイン線3も、両端末に端子8が設けられている。本実施形態において、ドレイン線3は、複数の信号線2と同一の長さとされている。ドレイン線3は、複数の信号線2より長くてもよく、この場合、ドレイン線3における保護テープ6の端末から延在する部分が、複数の信号線2における当該延在する部分より長くなる。
【0037】
シールド箔5は、アルミ箔、銅箔などの導電性の矩形状の金属箔である。シールド箔5は、各信号線2及びドレイン線3が束ねられた電線束10に巻き付けられて、ドレイン線3の中間部の芯線3aが接触することにより、当該ドレイン線3と電気的に接続されている。
【0038】
保護テープ6は、絶縁性を有する可撓性の長尺状のテープである。保護テープ6の一方の面は、粘着材が塗布された粘着面6bとなっており(
図9)、シールド箔5の周囲にらせん状に巻き付けられている。シールド箔5及び保護テープ6におけるシールドケーブル1の長手方向に沿う長さ(即ち、全長)は同一とされ、または、保護テープ6がシールド箔5の端末を含む全体を覆うように、保護テープの方がシールド箔5より全長が長く設定されている。また、保護テープ6は単一の部材である必要はなく、いくつかの部材(テープやシートなど)を組み合わせて同等の機能を実現してもよい。
【0039】
次に、シールドケーブル1の製造方法について、
図8、
図9を参照して説明する。
【0040】
図8、
図9は、
図1のシールドケーブルの製造方法を説明する図であって、それぞれ、電線束をシールド箔に包む工程、電線束に保護テープを巻き付ける工程を示している。
【0041】
まず、複数の信号線2とドレイン線3とを、それぞれが同一長さとなるように作製する。そして、
図8に示すように、広げた状態のシールド箔5上に複数の信号線2とドレイン線3とを互いに平行に並べて配置して電線束10とする。このとき、複数の信号線2における各変形規制部25が長手方向について同位置に配置され、かつ、各変形許容部26が長手方向について同位置に配置される。
【0042】
次に、シールド箔5を丸めて電線束10の中間部分を包む。このとき、シールド箔5の端末から各信号線2の端部とドレイン線3の端部が同じ長さだけ外部に延在するようにする。そして、
図9に示すように、シールド箔5の一端から他端にわたって保護テープ6を隣接する巻回部分が若干重なるようにしてらせん状に巻き付ける。このようにして、シールドケーブル1が完成する。
【0043】
このようにして製造されたシールドケーブル1は、複数の信号線2の変形規制部25同士が束ねられ、変形許容部26同士が束ねられている。そして、変形規制部25は中実形状であるため、内側に空間がなく複数の素線21の位置関係に自由度がなく、変形しづらく(剛性が高く)その形状を維持することができる。また、変形許容部26は中空形状であるため、内側に空間があり複数の素線21の位置関係に自由度があり、変形しやすく(剛性が低く)比較的自由に変形させることができる。そのため、シールドケーブル1において、変形規制部25同士を束ねた部分が直線部分Sとなり、変形許容部26同士を束ねた部分を屈曲させることで当該部分が屈曲部分Cとなり、
図1に示す形状のシールドケーブル1が得られる。なお、本実施形態の屈曲部分Cは、車両への配索時に屈曲形状に変形させればよく、または、直線状に引き延ばして配索して直線部分Sの一部としてもよい。
【0044】
以上より、本実施形態によれば、被覆部22には、当該被覆部22が外部から部分的に加熱圧縮されることにより溶融されて複数の素線21の間隙に浸透したのち固化した部分からなる変形規制部25と、加熱圧縮せずに当初のチューブ形状を維持した部分からなる変形許容部26と、が設けられている。このようにしたことから、被覆部22が複数の素線21の間隙を埋めた状態で固化した変形規制部25は、被覆部22と複数の素線21とが結合していない変形許容部26より剛性が高いので、変形規制部25を直線形状とすることで、複数の信号線2を保護する外装部材等によらず、より簡易な構成で直線形状を維持することができる。また、特に形状を維持する必要のない部分については変形許容部26とすることで、比較的自由に変形させることができるので、配索作業性を向上させることができる。
【0045】
また、変形規制部25が、加熱圧縮が被覆部22の全周にわたってされることにより設けられている。このようにしたことから、例えば、変形規制部25を直線形状としたときにその形状を比較的強固に維持することができる。
【0046】
また、被覆部22が、内層部23と、当該内層部23の外周面全体に重ねて設けられ、内層部23よりも融点が高い材料からなる外層部24と、を有している。このようにしたことから、加熱圧縮により内層部23のみ溶融させることで、外層部24により複数の素線21をより確実に被覆することができ、被覆部22により複数の素線21をより確実に保護することができる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネスについて、
図10〜
図13を参照して説明する。本実施形態のワイヤハーネスも、例えば、車両内に配索されて各種電子機器等の接続に用いられる。
【0048】
図10は、本発明の第2実施形態に係るワイヤハーネスの斜視図である。
図11は、
図10のワイヤハーネスが備える信号線の平面図である。
図12は、
図11のX3−X3に沿う断面図(変形規制部の横断面図)である。
図13は、本実施形態の信号線を得るために
図6の被覆電線中間材を加熱圧縮する工程を説明する図であって、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【0049】
図10、
図11に示すように、本実施形態のワイヤハーネス1Aは、複数の被覆電線としての信号線2Aと、保護テープ6と、を有している。本実施形態のワイヤハーネス1Aは、複数の信号線2Aを束ねた電線束10Aに直接保護テープ6を巻き付けて構成している。保護テープ6は、上述した第1実施形態の保護テープ6と同一のものである。
【0050】
ワイヤハーネス1Aは、配索された状態において、複数の直線部分Sと、これら直線部分をつなぐ屈曲部分Cと、を有している。
【0051】
複数の信号線2Aは、上述した被覆電線中間材20(
図6)を加工して得られる被覆電線である。複数の信号線2Aのそれぞれは、銅等の導電金属からなる複数の素線21と、これら複数の素線21を絶縁被覆する被覆部22と、両端部において複数の素線21に接続して設けられた端子8と、を有している。本実施形態において、複数の信号線2Aは、それぞれ同一の長さとされている。
【0052】
被覆部22は、複数の素線21が内部に位置づけられる内層部23と、この内層部23の外周面全体に重ねて設けられた外層部24と、を有している。外層部24は、内層部23よりも融点の高い材料で構成されている。
【0053】
また、複数の信号線2Aのそれぞれは、複数の変形規制部27と、複数の変形許容部28とが長手方向に交互に並ぶように設けられており、各信号線2Aにおいて、複数の変形規制部27と複数の変形許容部28とは同一位置に配置されている。なお、
図11においては、変形規制部27と変形許容部28とを明確に区別して認識できるように、これら部分の外径の違いを強調して記載している。
【0054】
変形規制部27は、
図11に示すように、被覆部22の内層部23における屈曲形状の内側部分が溶融されて複数の素線21の間隙に浸透したのち固化した部分である。
図12に変形規制部27の横断面図を示す。本実施形態において、変形規制部27は屈曲形状に形成されている。
【0055】
変形許容部28は、被覆部22が被覆電線中間材20の形状を維持した部分であり、即ち、被覆部22の内側に複数の素線21が挿通された中空形状(チューブ形状)とされている。変形許容部28は、上述した第1実施形態の変形許容部26と断面形状が同一とされている(
図5)。
【0056】
ここで、この信号線2Aの作製方法について、
図13を参照して説明する。
【0057】
加工により信号線2Aとなる被覆電線中間材20(
図6)について、始めに、両端部に端子8を取り付けるための被覆部22の皮むき加工をして複数の素線21を露出させ、次に、
図13(a)、(b)に示すように、加熱圧縮金型42を用いて加熱圧縮加工を施す(加熱圧縮工程)。
【0058】
加熱圧縮金型42は、外側に所望の屈曲形状に応じた凸の曲面を先端43aに有する金型部分43を有している。加熱圧縮金型42は、図示しないヒータなどにより、被覆部22の内層部23が溶融しかつ外層部24が溶融しない温度に加熱されて、被覆電線中間材20における上述したワイヤハーネス1Aの屈曲部分Cに対応する部分を当該屈曲形状の内側から外側に向けて押圧する。これにより当該部分が加熱圧縮されて先端43aの曲面に沿って変形するように力が加えられて、内層部23における屈曲形状の内側にあたる部分(即ち、周方向の一部)が溶融して複数の素線21の間隙に浸透し、また、加熱圧縮により外層部24も変形して被覆部22における屈曲形状の内側が凹んだ外形となる。
【0059】
図13(a)において、金型部分43に押圧された部分(屈曲形状の内側が凹んだ部分)が変形規制部27に対応し、金型部分43に押圧されていない部分が変形許容部28に対応する。
【0060】
そして、被覆電線中間材20を、加熱圧縮金型42から離して常温まで冷却することにより溶融した被覆部22の内層部23を固化させて、変形規制部27を形成する(変形規制部形成工程)。このようにして、加熱圧縮した部分に変形規制部27が形成され、加熱圧縮していない部分に変形許容部28が形成されて、これらが長手方向に交互に並ぶ。最後に、被覆電線中間材20の両端部に露出している複数の素線21に端子8を取り付けることにより、信号線2Aが完成する。
【0061】
次に、ワイヤハーネス1Aの製造方法について説明する。
【0062】
まず、複数の信号線2Aを変形規制部27の屈曲方向を揃えつつ束ねて電線束10Aとする。このとき、複数の信号線2Aにおける各変形規制部27が長手方向について同位置に配置され、かつ、各変形許容部28が長手方向について同位置に配置される。
【0063】
次に、保護テープ6の端末6aから各信号線2Aの端部が同じ長さだけ外部に延在するようにして、電線束10Aの一端側から他端側にわたって保護テープ6を隣接する巻回部分が若干重なるようにしてらせん状に巻き付ける。このようにして、ワイヤハーネス1Aが完成する。
【0064】
このようにして製造されたワイヤハーネス1Aは、複数の信号線2Aの変形規制部27同士が束ねられ、変形許容部28同士が束ねられている。そして、変形規制部27は一部の複数の素線21の位置関係に自由度がなく、変形しづらく(剛性が高く)その形状を維持することができる。また、変形許容部28は中空形状であるため、内側に空間があり複数の素線21の位置関係に自由度があり、変形しやすく(剛性が低く)比較的自由に変形させることができる。そのため、ワイヤハーネス1Aにおいて、変形規制部27同士を束ねた部分が屈曲部分Cとなり、変形許容部28同士を束ねた部分を直線形状に伸ばすことで当該部分が直線部分Sとなり、
図10に示す形状のワイヤハーネス1Aが得られる。なお、本実施形態の直線部分Sは、車両への配索時に直線形状に引き延ばせばよく、または、配索箇所に応じて屈曲して配索してもよい。
【0065】
以上より、本実施形態によれば、被覆部22には、該被覆部22が外部から部分的に加熱圧縮されることにより溶融されて複数の素線21の間隙に浸透したのち固化した部分からなる変形規制部27と、加熱圧縮せずに当初のチューブ形状を維持した部分からなる変形許容部28と、が設けられている。このようにしたことから、被覆部22が複数の素線21の間隙を埋めた状態で固化した変形規制部27は、被覆部22と複数の素線21とが結合していない変形許容部28より剛性が高いので、変形規制部27を屈曲形状とすることで、複数の信号線2Aを保護する外装部材等によらず、より簡易な構成で屈曲形状を維持することができる。また、特に形状を維持する必要のない部分については変形許容部28とすることで、比較的自由に変形させることができるので、配索作業性を向上させることができる。
【0066】
また、変形規制部27が、加熱圧縮が被覆部22の周方向の一部にされることにより設けられている。このようにしたことから、例えば、被覆部22において屈曲形状としたい部分がある場合に、当該屈曲の内側部分となる部分のみ加熱圧縮することで、より簡易な構成で形状を維持できる。変形規制部27は、容易に屈曲形状や直線形状とすることができる。
【0067】
また、被覆部22が、内層部23と、当該内層部23の外周面全体に重ねて設けられ、内層部23よりも融点が高い材料からなる外層部24と、を有している。このようにしたことから、加熱圧縮により内層部23のみ溶融させることで、外層部24により複数の素線21をより確実に被覆することができ、被覆部22により複数の素線21をより確実に保護することができる。
【0068】
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の被覆電線、被覆電線中間材、ワイヤハーネス及び被覆電線の製造方法は、これらの実施形態の構成に限定されるものではない。
【0069】
例えば、上述した第1実施形態において、
図6に示すように、内層部23及び外層部24を有する被覆部22を備えた被覆電線中間材20を加工することにより、信号線2を得ているものであったが、これに限定されるものではない。例えば、
図14(a)、(b)に示すように、単層部23Aのみからなる被覆部22Aを備えた被覆電線中間材20Aを加工することにより、上述した信号線2、2Aと同様のものを得るようにしてもよい。この構成の被覆電線中間材20Aの被覆部22Aの単層部23Aを加熱圧縮して複数の素線21の間隙に浸透させることにより形成した変形規制部25A、及び、加熱圧縮していない変形許容部26Aを、それぞれ
図15、
図16に示す。このような構成においても、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。上述した第2実施形態においても同様である。
【0070】
また、上述した第1実施形態では、保護部材としてテープ状の保護テープ6を有する構成であったが、これに限定されるものではなく、保護部材として矩形のシート状の絶縁シートを有し、当該絶縁シートでシールド箔5の周囲を包んだ構成等としてもよい。
【0071】
また、上述した第1実施形態において、より高い防水性能が必要な場合には、例えば、シールド箔5と保護テープ6との間に塩ビペーストなどの防水部材を設けた構成等としてもよい。
【0072】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の被覆電線、被覆電線中間材、ワイヤハーネス及び被覆電線の製造方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。