(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸着材料を脱ガス温度付近の温度に維持する工程では、前記排気口と前記チャンバ外とを連通している排気管を介して前記筐体内の気体を前記チャンバ外へ排気しながら前記蒸着材料を加熱する
請求項2に記載の蒸着方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪発明を実施するための形態に至った経緯≫
真空蒸着法を用いて、蒸着対象物である基板等に蒸着を行う際、蒸着面内で蒸発レートが不均一となる場合に膜厚が面内で不均一となり、例えば、有機発光素子では輝度ばらつきの要因となる。特に、従来のポイントソースと呼ばれる点形状の蒸着源では基板全面に均一に蒸着することが難しい。基板に対して均一に材料を蒸着する方法として、各種検討が行われている。
【0010】
例えば、ラインソースと呼ばれる基板の幅よりも長い線形状の蒸着源を用い、ラインソースの上方を基板をラインソース長手方向と垂直に搬送させることで、基板には面状の蒸着膜が形成される(例えば、特許文献1)。これにより、ポイントソースを複数用いた場合に比べてラインソース長手方向における膜厚の均一性が向上する。この場合、大型基板とラインソースとの距離を拡大して長手方向の蒸発レートにおいて多少ばらつきがあっても各蒸着源からの蒸着材料の飛散範囲を重複させて膜厚の均一性の向上を図る方法が考えられる。しかし、チャンバの容積が大きくなり真空引きに時間を要するため好ましくない。
【0011】
そこで、特許文献2では、上述のとおり、成膜の不均一性を防止するために、蒸着材料を入れた坩堝を複数の吐出口を設けた蓋で閉じる方法が提案されている。この方法では、坩堝の上部の開口に蓋をすることにより、坩堝の内部を蒸発した蒸着材料の蒸気で充満され、充満した蒸気が坩堝内圧により各吐出口から同じ圧力で噴出されるものと考えられる。すなわち、一旦坩堝内部で蒸着材料の蒸気を充満させることで、蒸着材料に長手方向の温度ばらつきがあって場合でも、同じ蒸発レートでチャンバに蒸気を噴出させることができ、上記長手方向の温度ばらつきの蒸発レート変動への影響を軽減できると考えられる。
【0012】
しかしながら、発明者は、この方法では別の課題が生じることを検討により見出した。すなわち、チャンバ内の坩堝内への蒸着材料の補充する際に蒸着源とともに不純物が坩堝内へ混入し、混入した不純物が蒸着材料との反応による蒸着材料の変質、ひいては、材料特性の劣化の要因となるという課題があることを見出した。
【0013】
以下、発明者が見出した課題について説明する。チャンバ内の坩堝への蒸着材料の補充は、以下のプロセスにより行われる。
1)成膜終了後、チャンバ内の坩堝を室温まで戻し、その後、チャンバ内の圧力を大気圧にする。
2)坩堝をチャンバ外に取り出す。
3)坩堝に蒸着材料を充填する。蒸着材料は室温では液体又は固体からなる。
4)蒸着材料が充填された坩堝をチャンバ内に戻す。
5)チャンバ内を真空に引き、その後、坩堝を加熱する。
6)その後、蒸着による成膜プロセスを行う。
【0014】
上記プロセスにおいて、3)により、坩堝内への蒸着材料の補充する際に蒸着材料とともに不純物が坩堝内へ混入し、4)により、坩堝をチャンバ内の戻す際に蒸着材料とともに不純物が混入する。そして、5)における加熱により蒸着材料や坩堝から不純物が坩堝内に蒸発する。
【0015】
ここで、不純物は、例えば、大気中の水分や酸素であり、元々蒸着材料の内部に含まれていたり、大気開放したときに坩堝の内周面に吸着されている。上部開口が開放した通常の坩堝であれば、蒸発した不純物はチャンバ内に分散し真空装置でチャンバ外に排気されるので課題は生じない。
【0016】
しかしながら、複数の吐出口を有する蓋を設ける方式では、蒸発した不純物が坩堝内で充満しチャンバに抜けにくい(又は、抜けるために時間を要する)。そして、その際蒸着材料は加熱により比較的活性の高い状態にあるので不純物と反応しやすい条件下にある。その結果、蒸着材料に有機材料を用いた場合には、例えば、有機材料分子のHがOH基に置き換る等、蒸着材料の劣化が生じる。また、坩堝内には不純物である水分の吸着量が多く内圧が急激に上昇する場合があり、この場合、蒸着材料の劣化が加速する。
【0017】
これに対し、坩堝内への蒸着材料の補充する際に蒸着材料とともに坩堝内へ混入した不純物と蒸着材料とが反応することを防止できれば、蒸着材料の劣化防止に効果的であると考えられる。そこで、発明者は、デバイス製造工程において、有機機能層において面内膜厚の均一化を図りつつ、坩堝内へ混入した不純物と蒸着材料との反応を防止する方法について鋭意検討を行った。そして、以下の実施の形態に記載した蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる蒸着装置、及び当該蒸着装置を用いた蒸着方法及びデバイスの製造方法に想到したものである。
【0018】
≪発明を実施するための形態の概要≫
本実施の形態に係る蒸着装置は、蒸着対象物が内設されるチャンバと、前記チャンバ内に存し蒸着材料を収容するための筐体を有する蒸着源と、前記蒸着材料を加熱する加熱部とを備え、前記筐体には、当該筐体の内と外とを連通し前記蒸着対象物に向けて前記蒸着材料の蒸気を吐出する複数の吐出口と、開閉可能な排気口とが開設されていることを特徴とする。
【0019】
また、別の態様では、前記排気口に接続され、前記筐体内と前記チャンバ外とを連通している排気管と、前記筐体内の気体を前記排気管を介して前記チャンバ外へ排気する排気手段とを備えた構成であってもよい。
【0020】
また、別の態様では、前記筐体には、さらに吸気口が開設され、
前記吸気口に接続され、前記筐体内と前記チャンバ外とを連通している吸気管と、
前記吸気管を介して前記筐体内に気体を吸気する吸気手段とを備えた構成であってもよい。
【0021】
また、別の態様では、前記排気口は、前記筐体内と前記筐体外であって前記チャンバ内の空間とを連通している構成であってもよい。
【0022】
また、別の態様では、前記排気口は弁により開閉可能に構成されていてもよい。
【0023】
また、別の態様では、前記筐体は、底板と前記底板を囲繞する周壁を有する筐体本体部と、前記底板に対向し前記底板及び前記周壁とともに前記蒸着材料を収容する内部空間を形成する筐体蓋部とを有し、前記筐体本体部には前記排気口が開設され、前記筐体蓋部には前記複数の吐出口が開設されている構成であってもよい。
【0024】
また、別の態様では、前記筐体には、前記蒸着材料を収容する坩堝が内設されている構成であってもよい。
【0025】
また、別の態様では、有機層を蒸着対象物に形成するための蒸着装置に用いる蒸着源であって、蒸着材料を内部に収容する筐体を有し、前記筐体には、当該筐体の内と外とを連通し前記蒸着対象物に向け前記蒸着材料の蒸気を吐出する複数の吐出口と、開閉可能な排気口とが開設されている構成であってもよい。
【0026】
また、別の態様では、前記蒸着材料を収容する坩堝を備え、前記筐体は、底板と前記底板を囲繞する周壁を有する筐体本体部と、前記底板に対向し前記底板及び前記周壁とともに前記坩堝を収容する内部空間を形成する筐体蓋部とを有し、前記筐体本体部には前記排気口が開設され、前記筐体蓋部には前記複数の吐出口が開設されている構成であってもよい。
【0027】
また、本実施の形態に係る蒸着方法は、上記蒸着装置を用いて前記蒸着対象物に前記蒸着材料を蒸着する蒸着方法であって、前記排気口が開いた状態で前記蒸着材料を所定時間脱ガス温度付近の温度に維持する工程と、前記脱ガス温度付近の温度に維持した後に、前記排気口が閉じた状態で、前記蒸着材料を前記脱ガス温度よりも高い蒸着時加熱温度に維持して前記筐体に開設されている複数の吐出口から前記蒸着材料の蒸気を吐出させ、前記蒸着材料を前記蒸着対象物上に蒸着する工程とを有することを特徴とする。
【0028】
また、別の態様では、前記蒸着材料を脱ガス温度付近の温度に維持する工程では、前記排気口と前記チャンバ外とを連通している排気管を介して前記筐体内の気体を前記チャンバ外へ排気しながら前記蒸着材料を加熱する構成であってもよい。
【0029】
また、別の態様では、前記蒸着材料を脱ガス温度付近の温度に維持する工程では、前記筐体に開設されている吸気口と前記チャンバ外とを連通する吸気管を介して前記筐体内に気体を吸気しながら前記蒸着材料を加熱し、前記蒸着材料を蒸着する工程では、前記吸気口を閉じた状態で前記蒸着材料を前記蒸着対象物上に蒸着する構成であってもよい。
【0030】
また、別の態様では、前記蒸着材料を脱ガス温度付近の温度に維持する工程では、前記筐体に開設されている吸気口と前記チャンバ外とを連通する吸気管を介して前記筐体内に気体を吸気しながら前記蒸着材料を加熱し、前記蒸着材料を蒸着する工程では、吸気管を介して前記筐体内に気体を供給しながら前記蒸着材料を前記蒸着対象物上に蒸着する構成であってもよい。
【0031】
また、別の態様では、前記蒸着材料を脱ガス温度付近の温度に維持する工程では、前記排気口を介して前記筐体内の気体を前記筐体外であって前記チャンバ内の空間に排気しながら前記蒸着材料を加熱し、前記蒸着材料を蒸着する工程では、前記排気口を閉じた状態で前記蒸着材料を前記蒸着対象物上に蒸着する構成であってもよい。
【0032】
また、 本実施の形態に係るデバイスの製造方法は、上記蒸着方法を用いて、前記蒸着材料からなる層を前記蒸着対象物上に形成することを特徴とする。
【0033】
≪実施の形態1≫
以下、実施の形態実施の形態に係る蒸着装置及び蒸着装置を用いたデバイスの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
<蒸着装置1>
(全体構成)
図1は実施の形態1に係る蒸着装置1の構造を示す模式断面図である。蒸着装置1は、基板100の表面に蒸着物質を蒸着する装置である。
図1に示すように、蒸着装置1は、チャンバ2を備えている。チャンバ2におけるチャンバ排気口3には真空ポンプ(不図示)が接続され、チャンバ2の中を真空に維持できるようになってなっている。チャンバ2の内部空間は、仕切板4によって上下に仕切られ、仕切板4の上を基板100が搬送されるようになっている。チャンバ2の側壁には、基板100をチャンバ2内に搬入する搬入口5aと、基板100をチャンバ2から搬出する搬出口5bが設けられている。基板100は搬送手段によって、搬入口5aから間欠的にチャンバ2内に搬入され、仕切板4上を通過して搬出口5bから搬出される。
【0035】
チャンバ2内における仕切板4の下方には、蒸着物質を噴出させる蒸着源6が設置されている。蒸着源6から噴出させる蒸着物質は、例えば、有機EL素子の電極や機能層を形成する物質であって、無機物あるいは有機物である。無機物としては、例えば、陰極を形成するAlをはじめとして、Ba、Ni、Li、Mg、Au、Agなどの金属材料、MgF
2、SiO
2、Cr
2O
3などの金属酸化物材料が挙げられる。有機物としては、例えば、有機EL素子の機能層を形成する材料であるジアミン、TPD、クマリン、キナクリドンが挙げられる。
【0036】
仕切板4には、この蒸着源6から放出される蒸着物質が通過する窓4aが開設され、この窓4aはシャッタ7によって開閉できるようになっている。このような蒸着装置1において、シャッタ7を開いた状態で、蒸着源6から蒸着物質を噴出しながら、基板100を搬送することによって、蒸着源6から噴出される蒸着物質が窓4aを通って、基板100の下面に蒸着される。
【0037】
チャンバ2の内部には、蒸着源6から基板100に向けて蒸着物質が単位時間当たりに供給される量(蒸発レート)を測定するセンサ8が設置されている。センサ8によって測定される蒸着物質の蒸発レートを参照することによって、基板100を搬送する速度などが設定される。なお、蒸着物質を基板100にパターン蒸着する場合には、パターンが形成されたマスクを基板100の下面側に設けて蒸着を行う。
【0038】
図2は、蒸着装置1内において基板100に蒸着物質が蒸着される様子を示す模式断面図である。当図において窓4aは開放された状態である。
図2に示すように、蒸着源6は、搬送方向Cと直交する幅方向Dに伸長する直線状の蒸着源(ラインソース)である。基板100が搬送方向Cに搬送されながら、蒸着源6からの蒸着物質が窓4aを通って基板100の下面に蒸着される。
【0039】
(蒸着源6)
図3は、蒸着源6の構成を示す斜視図である。
図4は、蒸着源6の模式断面図である。蒸着源6は、蒸着物質の基になる蒸着材料101を収納する坩堝10と、その坩堝10を収納する筐体20と、筐体20の周囲と下側に取り付けられた加熱部30とを備え、筐体20及び加熱部30はチャンバ2の下空間に取り付けられている。坩堝10は、蒸着材料101が収納される長尺状の容器であって、長方形状の底板11と側板12とを有し、その上面側は開放されている。坩堝10は、例えば、ステンレス板材を直方体状に成型することによって作製することができる。坩堝10を作製する素材としては、ステンレス板の他に、カーボン、チタン、タンタル、モリブデンなどの板材を用いることもできる。筐体20は、長尺の直方体形状であって、その内部空間に坩堝10を収納することができるようになっている。
【0040】
筐体20は、坩堝10を収納する凹部空間21cを有する長尺直方体状の筐体本体部21と、凹部空間21cの上面開口を覆う筐体蓋部22と、筐体本体部21の一端開口部を開閉する開閉扉24とからなり、筐体蓋部22には複数の吐出口23が列設されている。筐体本体部21、筐体蓋部22、開閉扉24は、それぞれ、金属板(例えばステンレス板)を成形することによって作製されている。
【0041】
筐体本体部21は、長方形状の底板21aと周壁21bとを有し、筐体蓋部22は周壁21bの上にネジなどで固定され、開閉扉24は筐体本体部21の一端部にヒンジなどによって開閉可能に取り付けられている。
【0042】
筐体本体部21の周壁21bには、筐体20内の気体を筐体20外へ排出するための1又は複数の排気口21d1が開設されている。各排気口21d1の開口面積は、各吐出口23の開口面積よりも大きく構成してもよい。気体の排出に要する時間を短縮できる。さらに、排気口21d1に接続され筐体20内とチャンバ2外とを連通している排気管51、排気管51と接続された、例えば真空ポンプ、吸引ポンプの強制排気手段、又は逆止弁、排出用配管等の受動的排気手段からなる排気手段71が配設されている。また、排気管51には、排気手段71までの経路に排気口21d1の開閉機構である弁61が配設され、排気口21d1は開閉可能に構成されている。排気手段71を動作させて弁61を開くことにより、筐体20内の気体を排気管51を介してチャンバ2外へ排出することができる(
図1における矢印B)。
【0043】
また、筐体本体部21の周壁21bには、筐体20内へ気体を導入するための1又は複数の吸気口21d2が開設されている。さらに、吸気口21d2に接続され筐体20内とチャンバ2外とを連通している吸気管52、吸気管52と接続された吸気手段72が配設されている。また、吸気手段72は、例えばアルゴン等の不活性ガスが充填されたタンクとタンクに接続されたガス供給用のポンプである。吸気管52には、吸気手段72までの経路に吸気気口21d2の開閉機構である弁62が配設され、吸気気口21d2は開閉可能に構成されている。吸気手段72を動作させて弁62を開くことにより、筐体20内へ吸気管52を介して、例えば不活性ガス等の気体を導入することができる(
図1における矢印A)。さらに、同時に排気手段71を動作させて弁61を開くことにより、筐体20内の気体を排気管51を介してチャンバ2外へ排出することができる。このとき、排気手段71として、強制排気手段を用いる場合には、筐体20内の気体を排気管51を介してチャンバ2外へ強制排気することができる。排気手段71として、逆止弁、排出用配管等の受動的排気手段を用いる場合には、筐体20内に導入した不活性ガスのよる押出し効果により筐体20内の気体を筐体20外に排気することができる。
【0044】
加熱部30は、筐体本体部21の底板21a及び周壁21bの外面下部を覆うように設置されている。この加熱部30は、例えばシース型ヒータ31が加熱部ケース32に収納されて構成されている。加熱部30には、加熱部コントローラ40が接続されている。また、筐体20には蒸着源6の温度を測定する温度センサ41が取り付けられてる。そして、加熱部コントローラ40は、温度センサ41で測定する温度を監視しながら、その温度が所定の設定温度(
図5(a)の温度プロファイル参照)と一致するように、加熱部30の出力をコントロールする。
【0045】
このような構成の蒸着源6において、加熱部30で坩堝10内の蒸着材料101が加熱されて生成される蒸気(蒸着物質)は、筐体20内に充満して、筐体蓋部22に列設されている複数の吐出口23から噴出される。このとき、坩堝10の上部の筐体本体部21の上部開口に筐体蓋部22をしているので、筐体20の内部が蒸発した蒸着材料で充満させることができ、筐体20内に充満した蒸着材料101の蒸気は筐体20内圧により各吐出口23から同じ圧力で噴出される。すなわち、筐体20の内部空間は、蒸着材料101の蒸気を一時的に蓄えるバッファとして機能し、筐体20の内部圧力が筐体20の外よりも若干高い状態で、蒸着物質がY方向に列設された複数の各吐出口23から整流されて噴出される。この方法により、蒸発前の蒸着材料に長手方向の温度ばらつきがあっても、一旦筐体20内部で蒸発した蒸着材料を充満させることができるので、同じ蒸発レートでチャンバ2に噴出させることができる。その結果、基板幅方向における膜厚の均一性が向上する。
【0046】
<蒸着装置1を用いて行う蒸着プロセス>
蒸着装置1を用いて基板100の表面に蒸着を行う工程を説明する。
図5(a)は蒸着装置1において蒸着源6の温度をコントロールするときの時間ごとの設定温度の変化を示す温度プロファイルの一例である。(b)はチャンバ2内の圧力プロファイルの一例である。蒸着装置1では、この
図5(a)に示す温度プロファイルに基づいて蒸着源6の温度と圧力をコントロールする。
【0047】
先ず、
図3に示すように、坩堝10に蒸着材料101を充填し、その坩堝10を、チャンバ2内の筐体20の中に入れて、開閉扉24を閉める。
【0048】
シャッタ7を閉じた状態で、搬入口5aからチャンバ2内に基板100を搬入し、真空ポンプを駆動してチャンバ2内を大気圧P0から真空P1まで減圧する。
【0049】
チャンバ2内が真空P1まで減圧されたら、時刻t0において、チャンバ2内を真空に保った状態で、蒸着源6における加熱部30を駆動して、坩堝10を加熱する。期間t0〜t1においては、蒸着源6の温度を蒸着材料から不純物ガスの放出がなされる脱ガス温度T1まで、急な温度勾配で昇温させる。脱ガス温度T1は、蒸着材料101に吸着されている水分などの不純物が離脱する温度であって、例えば100℃〜200℃の範囲内にある。ここで、チャンバ2内を真空P1まで減圧した状態で坩堝10を加熱することにより、チャンバ2内の不純物をある程度除去したのち、坩堝10の加熱を開始することができる。そのため、例えば、仮にチャンバ2内を大気圧P0に保ったまま坩堝10を加熱した場合と較べて、チャンバ2内の不純物と蒸着材料との反応を軽減することができるものと考えられる。
【0050】
次に、時刻t1において蒸着源6の温度が、脱ガス温度T1に達したら、時刻t1〜t2までの期間T
Aにおいては、温度T1付近の一定温度もしくは緩やかな温度勾配を維持
する。
【0051】
期間T
Aでは、吸気手段72を動作させて弁62を開くことにより、筐体20内へ吸気
管52を介して、例えば不活性ガス等の気体を導入する。並行して、排気手段71を動作させて弁61を開くことにより、筐体20内の気体を排気管51を介してチャンバ2外へ排出する。不活性ガスを筐体20内に導入してその押出し効果により筐体20内の気体を筐体20外に排気することにより、後述する排気のみを行う場合と較べて排気に要する期間T
Aを短縮することができる。期間T
Aは、例えば、予め蒸着材料を加熱する実験を行い放出される不純物量をガス分析で測定することにより、十分に不純物が除去される時間を求めて定めることができる。
【0052】
ここで、排気期間における蒸着源6の温度を脱ガス温度T1以上蒸着時加熱温度T2(以後、「蒸着温度T2」とする)未満に維持することにより、排気期間は温度を不純物は蒸発するが蒸着材料101の蒸発は生じない構成とすることができる。これにより蒸着材料の無駄な消費を防止し低コスト化に資することができる。
【0053】
脱ガスに必要な期間t1〜t2を経過した後、期間t2〜t3では、吸気手段72を停止させて弁62を閉じることにより、筐体20内への気体の導入を停止する。併せて、排気手段71の動作を停止させて弁61を閉じることにより、筐体20内の気体のチャンバ2外への排気を停止する。
【0054】
次に、期間t2〜t3では蒸着温度T2まで昇温させる。この蒸着温度T2は、坩堝10内の蒸着材料101が蒸発開始する温度T3よりも高い温度であって、例えば250〜350℃の範囲内にある。
【0055】
期間t3〜t4では、蒸着温度T2に維持し、基板100に対して蒸着を行う。すなわち、センサ8によって測定される蒸着材料の蒸発レートが安定すれば、シャッタ7を開けて、基板100を搬送しながら、基板100の下面に蒸着物質を蒸着させる。これによって、基板100の下面には、蒸着物質が均一的に蒸着される。
【0056】
基板100に対する蒸着が終了すれば、シャッタ7を閉じて、搬出口5bから基板100を取り出す。このような工程を繰り返すことによって、複数の基板100に蒸着を行う。
【0057】
蒸着に伴って坩堝10内に収容されている蒸着材料101が少なくなってきたら、蒸着源6の温度を下げて、真空ポンプを停止し、開閉扉24を開けて坩堝10を筐体20から取り出して、坩堝10に蒸着材料101を補給する。
【0058】
なお、以上の説明においては、期間t0〜t1における昇温中および期間t2〜t3における昇温中およびt4〜t5における降温中は気体の導入及び排気を停止する構成としたが、昇温中および降温中も引き続き気体の導入及び排気を継続する構成としてもよい。
【0059】
<効果>
以上説明したとおり、上記蒸着装置1を用いた蒸着プロセスでは、蒸着源6の温度を、脱ガス温度T1付近に維持した状態で、所定の期間T
Aだけ気体を筐体20内に導入しつ
つ同時に筐体20内の気体をチャンバ2外に排気する。これにより、蒸着材料101を補充する際に蒸着源6とともに蒸着源6の筐体20内へ混入した不純物を筐体20外に排出することができる。
【0060】
上述のとおり、複数の吐出口23を有する筐体蓋部22を設け蒸着源6を用いた蒸着装置では、筐体20とチャンバ2との流通を抑え筐体20の内圧を高めるために吐出口23を設けているので、蒸発した不純物が筐体20で充満しチャンバ2に抜けにくい(又は、抜けるために時間を要する)という特性があった。そして、その際蒸着材料101は加熱により比較的活性の高い状態にあるので不純物と反応しやすい条件化にあり、特に蒸着材料101に有機材料を用いた場合には、例えば、有機材料分子のHがOH基に置き換る等、蒸着材料の劣化が生じていた。また、筐体20内には不純物である水分の吸着量が多く内圧が急激に上昇する場合があり、蒸着材料101の劣化が加速することが考えられた。
【0061】
これに対し、本実施の形態に係る蒸着装置1では、蒸着材料101とともに蒸着源6の筐体20内へ混入した不純物を筐体20外に排出することができるので、不純物と蒸着材料とが反応することを防止することができる。その結果、蒸着工程において蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。また、脱ガス温度T1付近で温度を維持することによって、不純物ガスが一気に蒸発するのを抑えることができる。
【0062】
≪実施の形態2≫
図6は、実施の形態2に係る蒸着装置1Xの構造を示す模式断面図である。蒸着装置1Xは、実施の形態1に係る蒸着装置1から、排気口21d1、排気管51、排気手段71、弁61を取り除いた構成を採る。それ以外に構成については、蒸着装置1Xは、蒸着装置1と同じ構成を採る。
【0063】
この蒸着装置1X及び蒸着装置1Xを用いた蒸着方法では、蒸着源6の温度を、脱ガス温度T1付近に維持した状態で、所定の期間T
Aだけ気体を筐体20内に導入しつつ同時
に筐体20内の気体をチャンバ2外に排気する点に特徴がある。
図6に示すように、蒸着装置1Xでは蒸着源6Xの吸気口21d2に接続された吸気管52は吸気手段72と接続されている。蒸着装置1Xを、
図5(a)及び(b)に示す温度及び圧力プロファイルで運転する。このとき、
図5(a)における期間T
Aにおいて、蒸着源6Xの温度を、脱ガ
ス温度T1付近に維持した状態で、吸気手段72を動作させて吸気口21d2の開閉機構である弁62を開くことにより、所定の期間T
Aだけ筐体20内へ吸気管52を介して、例えば不活性ガス等の気体を導入する(
図6における矢印A)。これにより、蒸着装置1Xにおいても蒸着装置1と同様に、蒸着材料101を補充する際に蒸着源6Xとともに混入した不純物をチャンバ2外に排出することができる。そのため、蒸着工程において、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。
【0064】
また、蒸着プロセス中にも弁62を開いて気体の導入を継続する構成としてもよい。蒸着プロセス中にも不純物をチャンバ2外に排出できるからである。なお、この場合において、蒸着装置1のように排気手段71を用いた排気は行わないので、蒸着プロセス中に蒸着材料がチャンバ2外に排出されことはない。
【0065】
また、蒸着装置1Xにおいて、期間t0〜t1における昇温中および期間t2〜t3における昇温中およびt4〜t5における降温中は気体の導入及び排気を停止する構成としたが、昇温中および降温中も引き続き気体の排気を継続する構成としてもよい。
【0066】
≪実施の形態3≫
以上、実施の形態1に係る蒸着装置1及び蒸着装置1を用いた蒸着方法について説明したが、本発明が上述の実施の形態1で示した例に限られないことは勿論である。例示した構成を以下の構成とすることも可能である。上記した実施の形態に係る蒸着装置1及び蒸着装置1を用いた蒸着方法では、蒸着源6の温度を、脱ガス温度T1付近に維持した状態で、所定の期間T
Aだけ気体を筐体20内に導入しつつ同時に筐体20内の気体をチャン
バ2外に排気する構成とした。しかしながら、蒸着源6とともに混入した不純物を筐体20外に排出することができる構成であれば良く、下記の構成とすることも可能である。
【0067】
図7は、実施の形態3に係る蒸着装置1Aの構造を示す模式断面図である。
図7に示すように、蒸着装置1Aは、実施の形態1に係る蒸着装置1から、吸気口21d2、吸気管52、吸気手段72、弁62を取り除いた構成を採る。それ以外に構成については、蒸着装置1Aは、蒸着装置1と同じ構成を採る。
【0068】
図7に示すように、蒸着装置1Aでは蒸着源6Aの排気口21d1に接続された排気管51は排気手段71と接続されている。蒸着装置1Aを、
図5(a)及び(b)に示す温度及び圧力プロファイルで運転し、
図5(a)における期間T
Aにおいて、蒸着源6Aの
温度を、脱ガス温度T1付近に維持した状態で、排気手段71を動作させて排気口21d1の開閉機構である弁61を開くことにより、所定の期間T
Aだけ筐体20内の気体を排
気管51を介してチャンバ2外へ排気する構成としている。排気手段71は、例えば真空ポンプ、吸引ポンプの強制排気手段、又は逆止弁、排気用配管等の受動的排気手段からなる。これにより、蒸着装置1Aにおいても蒸着装置1と同様に、蒸着材料101を補充する際に蒸着源6とともに混入した不純物をチャンバ2外に排出することができる。そのため、蒸着工程において、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。また、蒸着プロセス中に蒸着材料がチャンバ2外に排出されることを防止するため、蒸着プロセス中には弁61を閉じて気体の排気を停止することが好ましい。
【0069】
なお、期間t0〜t1における昇温中および期間t2〜t3における昇温中およびt4〜t5における降温中は気体の導入及び排気を停止する構成としたが、昇温中および降温中も引き続き気体の排気を継続する構成としてもよい。
【0070】
<変形例>
図8は、実施の形態3の変形例に係る蒸着装置1Bの構造を示す模式断面図である。蒸着装置1Bは、蒸着装置1Aから、排気手段71を取り除いた構成を採る。蒸着装置1Bでは、蒸着源6Bの排気口21d1に接続された排気管51はチャンバ2を真空引きするための真空ポンプと接続されている。それ以外に構成については、蒸着装置1Bは、蒸着装置1Aと同じ構成を採る。
【0071】
蒸着装置1Bを、
図5(b)に示す圧力プロファイルで運転し真空ポンプを動作させた状態で、
図5(a)における期間T
Aにおいて、蒸着源6Bの温度を脱ガス温度T1付近
に維持した状態で、排気口21d1の開閉機構である弁61を開くことにより、所定の期間T
Aだけ筐体20内の気体を排気管51を介してチャンバ2外へ排気する構成としてい
る。
【0072】
これにより、蒸着装置1Bでは、排気手段71を省略した簡易な構成において、蒸着装置1Aと同様に、蒸着材料101に混入した不純物をチャンバ2に排出することができる。そのため、蒸着工程において、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。
【0073】
なお、以上の説明においては、蒸着プロセス中には弁61を閉じて気体の排気を停止することが好ましい。蒸着プロセス中に蒸着材料がチャンバ2外に排出されることを防ぎ蒸着材料の無駄な消費を防止できるからである。
【0074】
≪実施の形態4≫
以上、実施の形態1に係る蒸着装置1及び蒸着装置1を用いた蒸着方法について説明したが、本発明が上述の実施の形態1で示した例に限られないことは勿論である。例示した構成を以下の構成とすることも可能である。上記した実施の形態に係る蒸着装置1及び蒸着装置1を用いた蒸着方法では、蒸着源6の温度を、脱ガス温度T1付近に維持した状態で、所定の期間T
Aだけ気体を筐体20内に導入しつつ同時に筐体20内の気体をチャン
バ2外に排気する構成とした。しかしながら、蒸着源に混入した不純物を筐体20外に排出することができる構成であれば良く、下記の構成とすることも可能である。
【0075】
図9は、実施の形態4に係る蒸着装置1Cの構造を示す模式断面図である。
図10は、蒸着源6Cの断面模式図である。
図11(a)は、実施の形態4に係る蒸着装置1Cを用いた蒸着方法における蒸着源6Cの温度プロファイルの一例、(b)はチャンバ2内の圧力プロファイルの一例である。
【0076】
図9に示すように、蒸着装置1Cは、実施の形態3の変形例に係る蒸着装置1Bから、さらに排気管51を取り除き、1以上の排気口21d1に接続され筐体20内とチャンバ2内とを連通している排気管53、排気管53の経路中に排気口21d1の開閉機構である弁63が配設された構成を採る。蒸着装置1Cでは、排気口21d1の開口面積が、各吐出口23の開口面積よりも大きいことが好ましい。また、他の実施形態(蒸着装置1、1A、1B)における排気口21d1の開口面積よりも大きいことが好ましい。それ以外に構成については、蒸着装置1Aは、蒸着装置1と同じ構成を採る。この構成により、弁63を開くことにより、筐体20内の気体を排気管53を介してチャンバ2内へ排気することができる。
【0077】
実施の形態4に係る蒸着装置1Cを、
図11(a)及び(b)に示す温度及び圧力プロファイルで運転し、
図11(a)における期間T
Aで示される蒸着源6Cの温度が脱ガス
温度T1付近に維持された状態において弁63を開状態とすることにより、所定の期間T
Aだけ筐体20内の気体を排気管53を介してチャンバ2内へ排気することができる。
【0078】
これにより、蒸着装置1Cにおいては、蒸着材料101を補充する際に蒸着源6とともに筐体20内へ混入した不純物を、筐体20外であってチャンバ2内の空間に排出することができる。そして、チャンバ2内に排出された不純物は、チャンバ2内に分散し真空装置でチャンバ外に排気される。
【0079】
また、期間t3〜t4における蒸着プロセス中は弁63を閉じ気体の排気を停止することが好ましい。蒸着プロセス中は蒸着材料101の蒸気を吐出口23から蒸着対象物100に向けて噴出する方が、蒸着材料101をより効率的に蒸着対象物100への成膜に利用できるからである。
【0080】
<効果>
以上説明したとおり、上記蒸着装置1Cを用いた蒸着プロセスでは、蒸着源6Cの温度を、脱ガス温度T1付近に維持した状態で、所定の期間T
Aだけ気体を筐体20内に導入
しつつ同時に筐体20内の気体を筐体20外であってチャンバ2内の空間に排気する。これにより、蒸着材料101を補充する際に蒸着源6とともに蒸着源6の筐体20内へ混入した不純物を筐体20外へ排出することができる。
【0081】
ここで、上述のとおり、複数の吐出口23を有する筐体蓋部22を設けた蒸着源を用いた蒸着装置では、筐体20とチャンバ2との流通を抑え筐体20の内圧を高めている。そして、その際蒸着材料101は加熱により比較的活性の高い状態にあるので不純物と反応しやすく、また蒸着材料101に有機材料を用いた場合には蒸着材料の劣化が生じやすい条件化にあった。これに対し、蒸着装置1Cでは、筐体20内へ混入した不純物を少なくとも筐体20外に排出することができるので、不純物と蒸着材料とが筐体20内で反応することを防止できる。その結果、蒸着工程において、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。
【0082】
≪実施の形態5≫
(有機EL素子の製造工程)
図12は、実施の形態5に係るデバイスの製造方法の一態様である有機EL装置の製造方法を説明する工程図である。
図12に示す基板1は、TFT基板上に、感光性樹脂を塗布しフォトマスクを介した露光・現像によって平坦化膜が形成されたものである。
【0083】
図12(a)に示すように、基板100上に、陽極200、ITO層300、ホール注入層400を順に形成し、ホール注入層400上にバンク500を形成する。それに伴ってバンク500どうしの間に素子形成領域となる凹部空間500aが形成される。
【0084】
陽極200は、例えばスパッタリングによりAg薄膜を形成し、当該Ag薄膜を例えばフォトリソグラフィ法でマトリックス状にパターニングすることによって形成する。なお、Ag薄膜は、上述の蒸着方法を用いて真空蒸着等で形成してもよい。
【0085】
ITO層300は、例えばスパッタリングによりITO薄膜を形成し、当該ITO薄膜を例えばフォトリソグラフィ法でパターニングすることにより形成する。
【0086】
ホール注入層400は、WOx又はMoxWyOzを含む組成物を用いて、上述の蒸着方法を用いた真空蒸着法や、スパッタリングなどの技術で形成する。
【0087】
バンク500は、ホール注入層400上にバンク材料を塗布する等によってバンク材料層を形成し、形成したバンク材料層の一部を除去することによって形成する。バンク材料層の除去は、バンク材料層上にレジストパターンを形成し、その後、エッチングすることにより行うことができる。バンク材料層の表面に、必要に応じてフッ素系材料を用いたプラズマ処理等によって撥液処理を施してもよい。バンク500はラインバンクであって、基板1上には、複数のラインバンクが互いに平行に形成されている。
【0088】
次に、機能層としての発光層600を形成する。
図12(b)に示すように、バンク500同士間のサブピクセル形成領域となる凹部空間500aに、インクジェット法により有機発光層の材料を含むインクを充填し、印刷成膜したその膜を乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層600を形成する。
【0089】
図12では1対のバンク500間に発光層600が1つだけ示されているが、基板1上には、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層が、
図12の紙面横方向に繰り返して並んで形成される。この工程では、R、G、Bいずれかの機発光材料を含むインク600aを充填し、充填したインク600aを減圧下で乾燥させることによって、
図12(c)に示すように発光層600を形成する。
【0090】
なお、
図12では示していないが、発光層600の下には、機能層としてのホール輸送層をウェット方式で形成してもよい。また、発光層600の上に機能層としての電子輸送層をウェット方式で形成してもよい。
【0091】
次に、
図12(d)に示すように、電子注入層700、陰極800、封止層900を順次形成する。
【0092】
電子注入層700は、例えば、上述の蒸着方法を用いた真空蒸着によって、例えばアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした有機材料を薄膜成形する。
【0093】
陰極800は、例えばスパッタリング法によってITOを薄膜成形する。
【0094】
封止層900は、樹脂封止材料を塗布した後、UVを照射してその樹脂封止材料を硬化させて形成する。さらに、その上に板ガラスを載せて封止してもよい。
【0095】
以上の工程を経て有機EL装置が完成しデバイスが製造される。
【0096】
ホール注入層400、電子注入層700等の有機機能層を、実施の形態1から3に示した蒸着方法により成膜をすことにより、蒸着材料101とともに蒸着源6の筐体20内へ混入した不純物を筐体20外へ排出することができるので、不純物と蒸着材料とが反応することを防止することができる。その結果、蒸着工程において、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。また、蒸着により成膜した有機機能層に含まれる不純物量を削減でき、不純物の少ない有機機能層を成膜できる。また、Ag薄膜等の金属層についても、実施の形態1から4に示した蒸着方法を適用することができる。
【0097】
≪まとめ≫
以上、説明したとおり上記各実施の形態に係る蒸着装置では、蒸着対象物100が内設されるチャンバ2と、チャンバ2内に存し、蒸着材料101を収容するための筐体20を有する蒸着源6と、蒸着材料101を加熱する加熱部30とを備え、筐体20には、当該筐体20の内と外とを連通し蒸着対象物100に向けて蒸着材料101の蒸気を吐出する複数の吐出口23と、開閉機構を備えた排気口21d1とが開設されている構成を採る。
【0098】
これにより、蒸着材料101とともに蒸着源6の筐体20内へ混入した不純物を筐体20外に排出することができるので、不純物と蒸着材料とが反応することを防止することができる。その結果、蒸着工程において、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。
【0099】
≪変形例≫
1.上記実施の形態では、チャンバ2に蒸着源6が1つだけ設けられていたが、チャンバ内に2つ以上の蒸着源を設けることもでき、その場合も、各蒸着源において、上記実施の形態で説明した構成を適用することによって、蒸着材料の変質や材料特性の劣化を軽減することができる。
【0100】
2.上記実施の形態では、
図1に示すように、蒸着源6の筐体20がチャンバ2の底板上に設置されていたが、筐体20はチャンバ2と一体形成されていてもよい。
【0101】
3.上記実施の形態では、蒸着源が長尺状のラインソースである場合について説明したが、必ずしもラインソースでなくてもよく、例えば円筒状の蒸着源であっても同様に実施することができる。すなわち、筐体の凹空間に坩堝が収納され、複数の吐出口が開設された蓋体で凹空間の開口部が覆われた蒸着源であれば、蒸着源の形状に関わらず、坩堝の底面や坩堝の鍔に複数の支持凸部を設けたり、筐体に複数の支持凸部を設けることによって、同様に坩堝と筐体との固着を抑制する効果を得ることができる。
【0102】
4.上記実施の形態5では、1つのインクジェットヘッドを有する液滴吐出装置を用いて、インクを基板に塗布し発光層600を形成した。しかしながら、例えば発光層600を蒸着法により成膜することもできる。その場合、実施の形態1から4に示した蒸着方法を適用して成膜することもでき、成膜した有機機能層に不純物が混入することを防止できる。
【0103】
5.上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。また、各実施の形態に係る液滴吐出装置の吐出口検査方法、液滴吐出装置の検査方法、検査方法、デバイスの製造方法、及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
【0104】
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0105】
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0106】
さらに、蒸着装置においては基板上に回路部品、リード線等の部材も存在するが、電気的配線、電気回路について当該技術分野における通常の知識に基づいて様々な態様を実施可能であり、本発明の説明として直接的には無関係のため、説明を省略している。尚、上記示した各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。