(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図3を参照しつつ、第1の実施形態のカテーテル1を説明する。
図1では、図示左側が体内に挿入される先端側(遠位側)、右側が医師等の手技者によって操作される後端側(近位側)になっている。
図2は、
図1のA部を拡大した拡大図であり、
図3は、
図2のB−B断面を示した断面図である。
【0017】
カテーテル1は、例えば、狭窄部又は閉塞部を診断又は治療するために用いられるカテーテルである。
図1に示すように、カテーテル1は、主に、カテーテルシャフト60と、カテーテルシャフト60の先端に接合されたチップ70と、カテーテルシャフト60の後端に接合されたコネクタ75と、を備える。
【0018】
カテーテルシャフト60は、
図2に示すように、半径方向に内側から順に、管状の内層10と、内層10内に隣接する素線20間に間隙25を有するように、素線20が巻回された補強層(コイル体)30と、補強層(コイル体)30を被覆する第一外層40と、を有している。なお、
図2では、理解を助けるために、第一外層40の一部を剥離した状態を示している。
【0019】
内層10は、樹脂から形成されており、内部にガイドワイヤや他のカテーテルを挿入することができる。内層10を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではないが、第1の実施形態では、PTFE(ポリテトラフルオロチレン)が用いられる。
【0020】
管状の内層10内には、補強層であるコイル体30が設けられている。このコイル体30は、素線20を先端側に向かって右方向に巻回して形成されている。コイル体30を構成する素線20の材料として、第1の実施形態では、ステンレス鋼(SUS304)を用いたが、これに限定されない。例えば、タングステンやNi−Ti合金等の金属材料のみならず、強化プラスチック(PEEK)等の樹脂材料を用いても良い。なお、コイル体30を構成する素線20の巻回方向は、先端側に向かって左方向でも良い。
【0021】
補強層(コイル体)30の外周には、樹脂からなる第一外層40が形成されており、内層10及び補強層(コイル体)30を被覆する。第一外層40を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリウレタン等が用いられる。
【0022】
上述したカテーテルシャフト60の先端には、樹脂からなるチップ70が接合されている(
図1を参照)。このチップ70を形成する樹脂は、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等からなる。また、チップ70には、放射線不透過性の粉末を含有させてもよい。例えば、チップ70が、約65w%〜約90w%の範囲で放射線不透過性の粉末(例えば、タングステン粉末)を含有することで、冠動脈造影時に医師等の手技者がカテーテル1の位置を正確に把握することができる。
【0023】
図3に示すように、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10が第一外層40に食い込んだ第一内層突出部12と、第一外層40が内層10に食い込んだ第一外層突出部42とが、互いに巻き込んだ第一接合部50が設けられている。
【0024】
第一内層突出部12は、後端方向に延びる後端方向延出部13と、内周方向に延びる内周方向延出部14と、先端方向に延びる先端方向延出部15と、で形成されている。また、第一外層突出部42は、内周方向に延びる内周方向突出部43と、先端方向に延びる先端方向延出部44と、外周方向に延びる外周方向延出部45と、後端方向に延びる後端方向延出部46と、で形成されている。
【0025】
このように、カテーテル1では、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10が第一外層40に食い込んだ第一内層突出部12と、第一外層40が内層10に食い込んだ第一外層突出部42とが、互いに巻き込んだ第一接合部50が設けられているため、補強層(コイル体)30の間隙25における第一外層40と内層10との接合面積が増えて、第一外層40と内層10との接合強度が向上する。また、第一接合部50が補強層(コイル体)30に引っ掛かるアンカー効果により、カテーテル1が湾曲した状態で、第一外層40が軸方向(先端方向及び後端方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40が内層10から剥離する恐れを低減することができる。更に、第一内層突出部12と第一外層突出部42とが互いに巻き込んでいるため、第一外層40が径方向(外周方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40が内層10から剥離する恐れを低減することができる。
【0026】
次に、
図4を参照しつつ、第2の実施形態のカテーテル2を説明する。
図3に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル2では、補強層であるコイル体30の内周面は、内層10a内に埋没している一方、補強層であるコイル体30の外周面は、第一外層40a内に埋没している。補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10aが第一外層40aに食い込んだ第一内層突出部12aと、第一外層40aが内層10aに食い込んだ第一外層突出部42aとが、互いに巻き込んだ第一接合部50aが設けられている。
【0027】
第一内層突出部12aは、後端方向に延びる後端方向延出部13aと、内周方向に延びる内周方向延出部14aと、先端方向に延びる先端方向延出部15aと、で形成されている。また、第一外層突出部42aは、内層10a方向に延びる内周方向突出部43aと、先端方向に延びる先端方向延出部44aと、外周方向に延びる外周方向延出部45aと、後端方向に延びる後端方向延出部46aと、で形成されている。
【0028】
カテーテル2では、カテーテル1と同様に、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10aが第一外層40aに食い込んだ第一内層突出部12aと、第一外層40aが内層10aに食い込んだ第一外層突出部42aとが、互いに巻き込んだ第一接合部50aが設けられているため、補強層(コイル体)30の間隙25における第一外層40aと内層10aとの接合面積が増えて、第一外層40aと内層10aとの接合強度が向上する。また、第一接合部50aが補強層(コイル体)30に引っ掛かるアンカー効果により、カテーテル2が湾曲した状態で、第一外層40aが軸方向(先端方向及び後端方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40aが内層10aから剥離する恐れを低減することができる。更に、第一内層突出部12aと第一外層突出部42aとが互いに巻き込んでいるため、第一外層40aが径方向(外周方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40aが内層10aから剥離する恐れを低減することができる。
【0029】
次に、
図5を参照しつつ、第3の実施形態のカテーテル3を説明する。
図3に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル3では、補強層であるコイル体30が、内層10bの外周に形成されている。補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10bが第一外層40bに食い込んだ第一内層突出部12bと、第一外層40bが内層10bに食い込んだ第一外層突出部42bとが、互いに巻き込んだ第一接合部50bが設けられている。
【0030】
第一内層突出部12bは、外周方向に延びる外周方向延出部16と、後端方向に延びる後端方向延出部13bと、内周方向に延びる内周方向延出部14bと、先端方向に延びる先端方向延出部15bと、で形成されている。また、第一外層突出部42bは、内周方向に延びる内周方向突出部43bと、先端方向に延びる先端方向延出部44bと、外周方向に延びる外周方向延出部45bと、後端方向に延びる後端方向延出部46bと、で形成されている。
【0031】
カテーテル3では、カテーテル1と同様に、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10bが第一外層40bに食い込んだ第一内層突出部12bと、第一外層40bが内層10bに食い込んだ第一外層突出部42bとが、互いに巻き込んだ第一接合部50bが設けられているため、補強層(コイル体)30の間隙25における第一外層40bと内層10bとの接合面積が増えて、第一外層40bと内層10bとの接合強度が向上する。また、第一接合部50bが補強層(コイル体)30に引っ掛かるアンカー効果により、カテーテル3が湾曲した状態で、第一外層40bが軸方向(先端方向及び後端方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40bが内層10bから剥離する恐れを低減することができる。更に、第一内層突出部12bと第一外層突出部42bとが互いに巻き込んでいるため、第一外層40bが径方向(外周方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40bが内層10bから剥離する恐れを低減することができる。
【0032】
次に、
図6及び
図7を参照しつつ、第4の実施形態のカテーテル4を説明する。
図2に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル4では、半径方向に内側から順に、内層10cと、内層10c内に複数の素線20a、20bが互いに編み込まれて、隣接する第一素線20a、第二素線20b間に間隙25aを有する補強層(ブレード)35と、補強層(ブレード)35を被覆する外層40cと、を有している(
図6を参照)。なお、
図6では、理解を助けるために、外層40cの一部を剥離した状態を示している。
【0033】
補強層(ブレード)35は、第一素線20aと第二素線20bとが互いに網目状(メッシュ状)に編み込まれたものであり、第一素線20aは、先端側に向かって右方向に巻回されている一方、第二素線20bは、先端側に向かって左方向に巻回されている。第4の実施形態では、8本の第一素線20aと8本の第二素線20bとの合計16本(8本×8本)の素線が交互に編み込まれて、補強層(ブレード)35が形成されている。
【0034】
補強層(ブレード)35を構成する第一素線20a及び第二素線20bの材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料を用いてよい。第4の実施形態では、タングステンからなる第一素線とステンレス鋼(SUS304)からなる第二素線とを用いたが、特に限定されず、金属以外の樹脂材料(例えば、強化プラスチック)を用いてもよい。
【0035】
図7に示すように、補強層(ブレード)35の間隙25aにおいて、内層10cが第一外層40cに食い込んだ第一内層突出部12cと、第一外層40cが内層10cに食い込んだ第一外層突出部42cとが、互いに巻き込んだ第一接合部50cが設けられている。
【0036】
第一内層突出部12cは、後端方向に延びる後端方向延出部13cと、内周方向に延びる内周方向延出部14cと、先端方向に延びる先端方向延出部15cと、で形成されている。また、第一外層突出部42cは、内層10c方向に延びる内周方向突出部43cと、先端方向に延びる先端方向延出部44cと、外周方向に延びる外周方向延出部45cと、後端方向に延びる後端方向延出部46cと、で形成されている。
【0037】
このように、カテーテル4では、補強層(ブレード)35の間隙25aにおいて、内層10cが第一外層40cに食い込んだ第一内層突出部12cと、第一外層40cが内層10cに食い込んだ第一外層突出部42cとが、互いに巻き込んだ第一接合部50cが設けられているため、補強層(ブレード)35の間隙25aにおける第一外層40cと内層10cとの接合面積が増えて、第一外層40cと内層10cとの接合強度が向上する。また、第一接合部50cが補強層(ブレード)35に引っ掛かるアンカー効果により、カテーテル4が湾曲した状態で、第一外層40cが軸方向(先端方向及び後端方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40cが内層10cから剥離する恐れを低減することができる。更に、第一内層突出部12cと第一外層突出部42cとが互いに巻き込んでいるため、第一外層40cが径方向(外周方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40cが内層10cから剥離する恐れを低減することができる。
【0038】
なお、カテーテル4の補強層(ブレード)35は、(i)
図4に示したカテーテル2のように、補強層であるブレード35の内周面が、内層10c内に埋没している一方、補強層であるブレード35の外周面が、第一外層40c内に埋没している、又は、(ii)
図5に示したカテーテル3のように、補強層であるブレード35が、内層10cの外周に形成されている、ように変更しても良い。
【0039】
次に、
図8を参照しつつ、第5の実施形態のカテーテル5を説明する。
図3に示したカテーテル1との相違点のみを説明すると、カテーテル5では、後端側Dでは、半径方向に内側から順に、管状の内層10dと、内層10d内に隣接する素線20間に間隙25を有するように、素線20が巻回された補強層(コイル体)30と、補強層(コイル体)30を被覆する第一外層40dと、を有している。一方、先端側Eでは、半径方向に内側から順に、管状の内層10dと、内層10d内に隣接する素線20間に間隙25を有するように、素線20が巻回された補強層(コイル体)30と、補強層(コイル体)30を被覆する第二外層80と、を有している。
【0040】
この第二外層80は、第一外層40dよりも柔軟な樹脂で形成されている。第二外層80を形成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、第一外層40dと同様に、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリウレタン等が用いられる。
【0041】
カテーテル5の後端側Dでは、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10dが第一外層40dに食い込んだ第一内層突出部12dと、第一外層40dが内層10dに食い込んだ第一外層突出部42dとが、互いに巻き込んだ第一接合部50dが設けられている。一方、カテーテル5の先端側Eでは、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10dが第二外層80に食い込んだ第二内層突出部12eと、第二外層80が内層10dに食い込んだ第二外層突出部82とが、互いに巻き込んだ第二接合部50eが設けられている。
【0042】
第一内層突出部12dは、後端方向に延びる後端方向延出部13dと、内周方向に延びる内周方向延出部14dと、先端方向に延びる先端方向延出部15dと、で形成されている。また、第一外層突出部42dは、内周方向に延びる内周方向突出部43dと、先端方向に延びる先端方向延出部44dと、外周方向に延びる外周方向延出部45dと、後端方向に延びる後端方向延出部46dと、で形成されている。
【0043】
一方、第二内層突出部12eは、後端方向に延びる後端方向延出部13eと、内周方向に延びる内周方向延出部14eと、先端方向に延びる先端方向延出部15eと、外周方向に延びる外周方向延出部16aと、で形成されている。また、第二外層突出部82は、内周方向に延びる内周方向突出部83と、先端方向に延びる先端方向延出部84と、外周方向に延びる外周方向延出部85と、後端方向に延びる後端方向延出部86と、内周方向に延びる内周方向突出部87と、で形成されている。
【0044】
このように、カテーテル5では、第二接合部50eが、第一接合部50dよりも多く巻き込んでいる(言い換えると、第二接合部50eにおける第二内層突出部12eと第二外層突出部82との巻き込み力は、第一接合部50dにおける第一内層突出部12dと第一外層突出部42dとの巻き込み力よりも強くなっている)。カテーテル5を血管、胆管、膵管等の末梢部位まで挿入した際、カテーテル5の先端側Eは、血管、胆管、膵管等に沿って強く湾曲し、柔軟な樹脂からなる第二外層80と内層10dとの第二接合部50eに応力が集中し易い。このような場合であっても、第二接合部50eでは、第二内層突出部12eと第二外層突出部82とが互いに多く巻き込んでいる(言い換えると、第二内層突出部12eと第二外層突出部82との巻き込み力が強い)ため、(コイル体)30の間隙25における第二外層80と内層10dとの接合面積が増えて、第二外層80と内層10dとの接合強度が向上し、その結果、柔軟な樹脂からなる第二外層80が内層10dから剥離する恐れを低減することができる。
【0045】
なお、カテーテル5の補強層(コイル体)30は、(i)
図4に示したカテーテル2のように、補強層であるコイル体30の内周面が、内層10d内に埋没している一方、補強層であるコイル体30の外周面が、第一外層40d及び第二外層80内に埋没している、又は、(ii)
図5に示したカテーテル3のように、補強層であるコイル体30が、内層10dの外周に形成されている、ように変更しても良い。また、カテーテル5として、補強層(コイル体)30の代わりに、
図7で示したカテーテル4のように、補強層(ブレード)35を用いても良い。
【0046】
次に、
図9及び
図10を参照しつつ、第6の実施形態のバルーンカテーテル6を説明する。
図10は、
図9のF部を拡大した拡大図である。バルーンカテーテル6は、例えば、狭窄部又は閉塞部を拡張して治療するために用いられる治療用バルーンカテーテルである。
【0047】
図9に示すように、バルーンカテーテル6は、主に、バルーン90と、チップ100と、アウターシャフト110と、インナーシャフト60aと、補強体120と、コネクタ130と、からなる。
【0048】
狭窄部又は閉塞部を拡張するバルーン90は、樹脂製の部材からなり、バルーン90の先端は、インナーシャフト60aの先端及びチップ100に接合されており、バルーン90の後端は、アウターシャフト110の先端に接合されている。
【0049】
アウターシャフト110は、バルーン90を拡張するために、造影剤や生理食塩水などの液体を供給するための拡張ルーメン116を構成する管状の部材である。アウターシャフト110は、先端側から順に、先端アウターシャフト部111と、ガイドワイヤポート部113と、中間アウターシャフト部115と、後端アウターシャフト部117と、からなる。先端アウターシャフト部111と中間アウターシャフト部115とは、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマーなどの樹脂からなるチューブである。ガイドワイヤポート部113は、先端アウターシャフト部111と、中間アウターシャフト部115と、インナーシャフト60aと、を互いに接合した部分である。
【0050】
先端アウターシャフト部111には、インナーシャフト60aが挿入されており、先端アウターシャフト部111とインナーシャフト60aとの間には、上述した拡張ルーメン116が形成されている。
【0051】
後端アウターシャフト部117は、所謂ハイポチューブと呼ばれる金属製の管状部材である。後端アウターシャフト部117の先端は、中間アウターシャフト部115の後端に挿入されて接合されている。後端アウターシャフト部117の後端には、コネクタ130が取り付けられている。コネクタ130に取り付け可能なインデフレータ(図示せず)からバルーン90を拡張するための造影剤や生理食塩水などの液体が供給されると、液体は、拡張ルーメン116を通ってバルーン90を拡張する。なお、後端アウターシャフト部117の材料は、特に限定されず、ステンレス鋼(SUS302、SUS304)やNi−Ti合金などの超弾性合金を用いることができる。
【0052】
インナーシャフト60aは、内部にガイドワイヤを挿入するためのガイドワイヤルーメン62を形成している。また、インナーシャフト60aの後端は、アウターシャフト110のガイドワイヤポート部113に接合することで、後端側ガイドワイヤポート134を形成している。手技者は、この後端側ガイドワイヤポート134からガイドワイヤの交換ができるようになっている。
【0053】
インナーシャフト60aの先端及びバルーン90の先端には、チップ100が接合されている。チップ100は、柔軟な樹脂で形成されている。材料は特に限定されないが、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマーなどを用いることができる。また、先端チップ100は、先端に先端側ガイドワイヤポート133を有している。
【0054】
後端アウターシャフト部117の先端の内周には、補強体120が接合されている。補強体120は、断面が円形であり、先端に向かって細径化されたテーパ状の金属製の線材である。補強体120の材料は、特に限定されず、ステンレス鋼(SUS304)やNi−Ti合金などの超弾性合金を用いることができる。この補強体120は、中間アウターシャフト部115とガイドワイヤポート部113とを通過して、先端アウターシャフト部111まで延びている。また、補強体120は、ガイドワイヤポート部113に当接可能なプッシャー部122を備える。
【0055】
バルーン90の内部には、2個のマーカー105がインナーシャフト60aの外周に取り付けられている。これにより、医師等の手技者が、冠動脈造影時にバルーン90の位置を正確に把握することができ、その結果、狭窄部又は閉塞部を確実に拡張することが容易となる。
【0056】
図10に示すように、このインナーシャフト60aは、半径方向に内側から順に、内層10eと、内層10e内に隣接する素線20間に間隙25bを有するように素線20が巻回された補強層(コイル体)30と、を有している。そして、バルーン90は、補強層(コイル体)30を被覆するように、インナーシャフト60aの外周に接合されている。
【0057】
インナーシャフト60aとバルーン90との接合部では、補強層(コイル体)30の間隙25bにおいて、内層10eがバルーン90に食い込んだ内層突出部12fと、バルーン90が内層10eに食い込んだバルーン突出部92とが、互いに巻き込んだ接合部50fが設けられている。
【0058】
内層突出部12fは、後端方向に延びる後端方向延出部13fと、内周方向に延びる内周方向延出部14fと、先端方向に延びる先端方向延出部15fと、で形成されている。また、バルーン突出部92は、内周方向に延びる内周方向突出部93と、先端方向に延びる先端方向延出部94と、外周方向に延びる外周方向延出部95と、後端方向に延びる後端方向延出部96と、で形成されている。
【0059】
このように、バルーンカテーテル6では、補強層(コイル体)30の間隙25bにおいて、内層10eがバルーン90に食い込んだ内層突出部12fと、バルーン90が内層10eに食い込んだバルーン突出部92とが、互いに巻き込んだ接合部50fが設けられていることで、補強層(コイル体)30の間隙25bにおけるバルーン90と内層10eとの接合面積が増えて、バルーン90と内層10eとの接合強度が向上し、かつ、バルーン90が補強層(コイル体)30に引っ掛かるアンカー効果により、バルーンカテーテル6が湾曲した状態で、バルーン90が軸方向(先端方向及び後端方向)に引っ張られた場合でも、バルーン90が内層10eから剥離する恐れを低減することができる。
【0060】
また、接合部50fで内層突出部12fとバルーン突出部92とが互いに巻き込んでいるため、バルーン90を径方向(外周方向)に拡張させた場合でも、バルーン90が内層10eから剥離する恐れを低減することができる。また、内層突出部12fとバルーン突出部92とが互いに巻き込んでいることで、バルーン90と内層10eとの接合強度を担保しつつ、バルーン90の厚みを薄くすることができ、その結果、血管、胆管、膵管等に対するバルーンカテーテル6の挿入性を向上させることができる。
【0061】
なお、
図9及び
図10に示したバルーンカテーテル6のインナーシャフト60aとして、第1〜第5の実施形態のカテーテル1〜5に示した内層10、10a、10b、10c、10dと、内層10、10c、10d内に又は内層10a、10bの外周に形成された補強層(コイル体)30、(ブレード)35と、を適用しても良い。
【0062】
また、上記に示したカテーテル1〜5で説明した第一接合部50、50a、50b、50c、50dは、第一内層突出部12、12a、12b、12c、12dと第一外層突出部42、42a、42b、42cとが、互いに巻き込んでいれば、どのような形状でも良い。また、カテーテル5で説明した第二接合部50eは、第二内層突出部12eと第二外層突出部82とが、互いに巻き込んでいれば、どのような形状でも良い。更に、バルーンカテーテル6で説明した接合部50fは、内層突出部12fとバルーン突出部92とが、互いに巻き込んでいれば、どのような形状でも良い。
【0063】
例えば、
図11に示すように、第7の実施形態のカテーテル7では、補強層(コイル体)30の間隙25cにおいて、内層10fが第一外層40eに食い込んだ第一内層突出部12g、12hと、第一外層40eが内層10fに食い込んだ第一外層突出部42eとが、互いに巻き込んだ第一接合部50gが設けられている。
【0064】
第一内層突出部12gは、先端方向に延びる先端方向延出部13gと、内周方向に延びる内周方向延出部14gと、後端方向に延びる後端方向延出部15gと、で形成されている。第一内層突出部12hは、後端方向に延びる後端方向延出部13hと、内周方向に延びる内周方向延出部14hと、先端方向に延びる先端方向延出部15hと、で形成されている。また、第一外層突出部42eは、内周方向に延びる内周方向突出部43eと、先端方向及び後端方向に延びる延出部44eと、外周方向に延びる2個の外周方向延出部45eと、先端方向及び後端方向に延びる2個の延出部46eと、で形成されている。
【0065】
また、
図12に示すように、第8の実施形態のカテーテル8では、補強層(コイル体)30の間隙25dにおいて、内層10gが第一外層40fに食い込んだ第一内層突出部12j、12kと、第一外層40fが内層10gに食い込んだ第一外層突出部42fとが、互いに巻き込んだ第一接合部50hが設けられている。
【0066】
第一内層突出部12jは、先端方向に延びる先端方向延出部13jと、内周方向に延びる内周方向延出部14jと、で形成されている。第一内層突出部12kは、後端方向に延びる後端方向延出部13kと、内周方向に延びる内周方向延出部14kと、で形成されている。また、第一外層突出部42fは、内周方向に延びる内周方向突出部43fと、先端方向及び後端方向に延びる延出部44fと、外周方向に延びる2個の外周方向延出部45fと、で形成されている。
【0067】
上記の説明では、補強層として、コイル体30及びブレード35を例示したが、これに限定されない。例えば、カテーテル1〜5、7、8及びバルーンカテーテル6として、ハイポチューブ(金属チューブ)に螺旋状のスリットを設けて、このスリットを間隙とした補強層を適用しても良い。
本発明は、外層が軸方向(先端方向及び後端方向)及び径方向(外周方向)に引っ張られた場合でも、外層が内層から剥離しにくいカテーテル及びバルーンカテーテルを提供することを課題とする。
カテーテル1では、補強層(コイル体)30の間隙25において、内層10が第一外層40に食い込んだ第一内層突出部12と、第一外層40が内層10に食い込んだ第一外層突出部42とが、互いに巻き込んだ第一接合部50が設けられているため、補強層(コイル体)30の間隙25における第一外層40と内層10との接合面積が増えて、第一外層40と内層10との接合強度が向上する。また、第一接合部50が補強層(コイル体)30に引っ掛かるアンカー効果により、カテーテル1が湾曲した状態で、第一外層40が軸方向(先端方向及び後端方向)に引っ張られた場合でも、第一外層40が内層10から剥離する恐れを低減することができる。