特許第6241922号(P6241922)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241922
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】灯器
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20171127BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20171127BHJP
   B63B 45/04 20060101ALI20171127BHJP
   F21W 101/04 20060101ALN20171127BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171127BHJP
【FI】
   F21S2/00 660
   F21V7/04 121
   B63B45/04
   F21W101:04
   F21Y115:10
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-211618(P2013-211618)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2015-76260(P2015-76260A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100123733
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】小島 泰代
(72)【発明者】
【氏名】薬師寺 慧
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−060910(JP,U)
【文献】 特開2011−003440(JP,A)
【文献】 実開平03−032308(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0002118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
B63B 45/04
F21V 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と第2の光源とを搭載し、第1の軸方向に直交する光源基板と、
前記第1の光源と前記第2の光源との間に配置され、前記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に沿って延びる仕切板と、前記第1の光源から出射した光を前記第1の軸まわりの第1の角度範囲にわたって反射することが可能な第1の反射体と、前記第2の光源から出射した光を前記第1の角度範囲とは異なる前記第1の軸まわりの第2の角度範囲にわたって反射することが可能な第2の反射体とを有するリフレクタと、を有するリフレクタユニットと、
前記光源基板を支持する支持板と前記リフレクタユニットを支持する上端部を含み前記第1の反射体および前記第2の反射体で反射された光を透過させる周壁部を有する支持体と
を具備する灯器。
【請求項2】
請求項1に記載の灯器であって、
前記第1の反射体は、
前記第1の軸方向に前記第1の光源と対向する第1の頂部と、
前記第1の頂部を中心とする回転曲線からなる第1の曲面体上に設けられ、前記第1の頂部を中心として同心円状に配列された複数の第1の円弧状凸面部と、を有する
灯器。
【請求項3】
請求項2に記載の灯器であって、
前記第2の反射体は、
前記第1の軸方向に前記第2の光源と対向する第2の頂部と、
前記第2の頂部を中心とする回転曲線からなる第2の曲面体上に設けられ、前記第2の頂部を中心として同心円状に配列された複数の第2の円弧状凸面部と、を有する
灯器。
【請求項4】
請求項3に記載の灯器であって、
前記第1の反射体および前記第2の反射体はそれぞれ、前記仕切板に関して対称な形状を有する
灯器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の灯器であって、
前記リフレクタおよび前記仕切板は、それぞれ一体成形された単一の部材で構成される
灯器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の灯器であって、
前記第1の光源および前記第2の光源は、それぞれ異なる波長域の可視光を出射可能な発光素子で構成される
灯器。
【請求項7】
請求項6に記載の灯器であって、
前記第1の光源は、緑色光を出射可能な発光素子で構成され、
前記第2の光源は、赤色光を出射可能な発光素子で構成される
灯器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の灯器であって、
前記支持体の周囲に設けられ、前記周壁部からの光の出射範囲を制限する遮光部材をさらに具備する
灯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば船灯の一種である両色灯に用いて好適な灯器に関する。
【背景技術】
【0002】
航海、航空の交通の安全を期すため、法律や規則により、船体や航空機体への灯器の取り付けが義務づけられており、例えば、その取り付け位置ごとの光の射光範囲、および出射光の色などが細かく定められている。例えば、船体への装備が義務付けられた船灯として、マスト灯、船尾灯、右舷灯、左舷灯等が知られている。さらに、右舷灯と左舷灯とを一体化した両色灯も知られている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
近年では、光源として例えば発光ダイオードを用いた灯器が提案されており、発光ダイオードによる光度や配光等の技術に関する提案がなされている。例えば下記特許文献2(段落[0013]には、発光素子と、発光素子が発する光を反射するメインリフレクタ及びサブリフレクタとを備えた灯具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−115491号公報
【特許文献2】特開2012−216334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2には当該灯具の適用例として両色灯が挙げられているが、その具体的な構成は記載されていない。また一般に、両色灯には、右舷灯および左舷灯各々に要求される光度、射光範囲を一台の灯具で容易に実現できることが要求される。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、所定の角度範囲にわたって所定以上の光度を実現することができる灯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る灯器は、光源基板と、仕切板と、リフレクタと、支持体とを具備する。
上記光源基板は、第1の光源と第2の光源とを搭載し、第1の軸方向に直交する。
上記仕切板は、上記第1の光源と上記第2の光源との間に配置され、上記第1の軸方向と直交する第2の軸方向に沿って延びる。
上記リフレクタは、第1の反射体と、第2の反射体とを有する。上記第1の反射体は、上記第1の光源から出射した光を上記第1の軸まわりの第1の角度範囲にわたって反射することが可能に構成される。上記第2の反射体は、上記第2の光源から出射した光を上記第1の角度範囲とは異なる上記第1の軸まわりの第2の角度範囲にわたって反射することが可能に構成される。
上記支持体は、上記光源基板、上記仕切板および上記リフレクタを収容し、上記第1の反射体および上記第2の反射体で反射された光を透過させる周壁部を有する。
【0008】
上記灯器は、照射範囲毎に独立した光源および反射体を有するため、照射光の光学設計を最適化でき、所定の角度範囲にわたって所定以上の光度を容易に実現することが可能となる。
【0009】
上記灯器は、第1の角度範囲に照射される光の色と第2の角度範囲に照射される光の色とが相互に異なるように構成される。典型的には、各光源が相互に異なる波長域の可視光を出射可能な発光素子で構成される。これ以外にも、各光源を白色光を出射する発光素子で構成するとともに、上記周壁部の光透過領域が各々所定の色に着色されていてもよい。
【0010】
上記第1の反射体は、第1の頂部と、複数の第1の円弧状凸面部とを有してもよい。上記第1の頂部は、上記第1の軸方向に上記第1の光源と対向する。上記複数の第1の円弧状凸面部は、上記第1の頂部を中心とする回転曲線からなる第1の曲面体上に設けられ、上記第1の頂部を中心として同心円状に配列される。
上記構成によれば、個々の円弧状凸面部における光の拡散機能により、光源の配置誤差や周辺の付属物による影響を緩和し、これにより周方向および軸方向の所定範囲にわたって光度のバラツキを抑えつつ、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0011】
同様に、上記第2の反射体は、第2の頂部と、複数の第2の円弧状凸面部とを有してもよい。上記第2の頂部は、上記第1の軸方向に上記第2の光源と対向する。上記複数の第2の円弧状凸面部は、上記第2の頂部を中心とする回転曲線からなる第2の曲面体上に設けられ、上記第2の頂部を中心として同心円状に配列される。
【0012】
上記第1の反射体および上記第2の反射体はそれぞれ、上記仕切板に関して対称な形状を有してもよい。
これにより第1および第2の角度範囲に照射される光の光学特性を共通にすることができる。
【0013】
上記リフレクタおよび上記仕切板は、それぞれ一体成形された単一の部材で構成されてもよい。
これにより部材の共通化、組立ての簡素化を図ることができるとともに、小型のリフレクタユニットを構成することが可能となる。
【0014】
上記灯器は、上記周壁部に設けられ上記周壁部からの光の出射範囲を制限する遮光部材をさらに具備してもよい。
これにより、用途に応じた最適な照射角度の設定が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によれば、所定の角度範囲にわたって所定以上の光度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る灯器の正面側を示す全体斜視図である。
図2】上記灯器の正面図である。
図3】上記灯器の左側面図である。
図4図2におけるA−A線断面図である。
図5図3におけるB−B線断面図である。
図6】上記灯器における光源ユニットの要部の分解斜視図である。
図7】上記光源ユニットにおけるリフレクタユニットの底面図である。
図8】上記リフレクタユニットの正面図である。
図9】上記リフレクタユニットの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、灯器として、船灯の一種である両色灯(舷灯)を例に挙げて説明する。
【0018】
図1図5は、本発明の一実施形態に係る両色灯100を示しており、図1は正面側から見た全体斜視図、図2は正面図、図3は左側面図、図4は、図2におけるA−A線断面図、図5は、図3におけるB−B線断面図である。
【0019】
両色灯100は、図において、Z軸方向を上下方向(縦方向)として主に使用される。また、以降の説明では、Z軸方向を上下方向とし、XおよびY軸方向を水平面内の直交する2軸方向とする。
【0020】
本実施形態の両色灯100は、光源ユニット10と、収容体40と、リッド70と、ベース80と、ルーバ90とを有する。光源ユニット10、収容体40、リッド70およびベース80の各部品は、概ね円筒形状を有して構成されている。
【0021】
収容体40は、透光性を有する樹脂材料で構成されたアウターカバー50と、このアウターカバー50に装着されたベースカバー60とを有する。光源ユニット10は、収容体40の内部に配置される。リッド70は、アウターカバー50の上部に装着される。ベース80は、ベースカバー60の下部に装着される。
【0022】
アウターカバー50は、透光性材料で構成され、主に光源ユニット10からの光を外部に出射させる側周部53を有する。アウターカバー50の下端は開口され、また、ベースカバー60の、その一端に対面する上端は開口されている。アウターカバー50には、外方へ突設された突設部51が設けられ、また、ベースカバー60にもその突設部51の形状に概ね対応する形状を有する突設部61が設けられている。これら突設部51および61は、複数のネジ部材N1で締結され、これによりアウターカバー20およびベースカバー60が相互に接続される。また、これらの突設部51および61の間には、シールリング59(図4,5)が介在されている。さらに、これら突設部51および61を貫通する複数のネジ部材N2によって、収容体40とベース80とが相互に接続される。
【0023】
アウターカバー50の上部中央には開口52が形成され、その開口52を介して収容体40内の空気圧が外気圧(大気圧)に維持される。突設部51の上面には、ルーバ90の羽根部91と係合する係合溝55を有する。リッド70にも、アウターカバー50と同様に、ルーバ90の羽根部91と係合する係合溝75を有する。ルーバ90は、側周部53から光の出射範囲(射光範囲)を所定角度(本例では225°)に制限する円弧状の遮光部材であり、リッド70と係合溝55との間に配置される。リッド70は、複数のネジ部材N3によって、アウターカバー50に固定される。
【0024】
(光源ユニットの構成)
図5に示すように、光源ユニット10は、第1の光源151および第2の光源152を搭載した光源基板11と、リフレクタユニット20と、インナーカバー30とを有する。
【0025】
第1および第2の光源151,152は、固体発光素子であるLED(Light Emitting Diode)で構成される。第1および第2の光源151,152は、それぞれ異なる波長域の可視光を出射可能なLEDで構成される。本実施形態において、第1の光源151は、緑色光を出射可能なLEDで構成され、第2の光源152は、赤色を出射可能なLEDで構成される。
【0026】
図6は、光源ユニット10の要部の分解斜視図である。
【0027】
光源基板11は、Z軸(第1の軸)に直交するLED搭載面を有しており、第1および第2の光源151,152は、Z軸と直交するX軸方向に相互に対向して配置される。光源基板11は、インナーカバー30の支持板33の上面に配置される。
【0028】
光源基板11および支持板30は、XY平面に平行な平面で形成されている。光源基板11には、支持板33の上面に設けられた複数の嵌合突起33aと嵌合する複数の嵌合孔11aが設けられるとともに、支持板33に設けられた複数のネジ孔33bと整列する複数のネジ挿通孔11bが設けられる。光源基板11は、嵌合突起33aとの嵌合作用によって位置決めされた後、複数のネジ部材(図示略)を介して支持板33上に固定される。

【0029】
図7はリフレクタユニット20の底面図、図8は同正面図、図9は同側面図である。
【0030】
リフレクタユニット20は、リフレクタ12と、仕切板13とを有する。リフレクタ12は、第1の反射体121と第2の反射体122とを有し、仕切板13は、第1の反射体121と第2の反射体122との間に配置される。第1の反射体121および第2の反射体122はそれぞれ、仕切板13に関して対称な形状を有する。
【0031】
第1の反射体121は、第1の光源151から出射した光をZ軸まわりの第1の角度範囲にわたって反射することが可能に構成される。第1の角度範囲としては、例えば、正面方向(Y軸の正の方向)から右方へ112.5°の範囲とされる。
【0032】
本実施形態において第1の反射体121は、第1の頂部121aと、複数の第1の円弧状凸面部121cとを有する。第1の頂部121aは、Z軸方向に第1の光源151と対向する。複数の第1の円弧状凸面部121cは、第1の頂部121aを中心とする回転曲線からなる第1の曲面体121b上に設けられ、第1の頂部121aを中心として同心円状に配列される。
【0033】
一方、第2の反射体122は、第2の光源152から出射した光を上記第1の角度範囲とは異なるZ軸まわりの第2の角度範囲にわたって反射することが可能に構成される。第2の角度範囲としては、例えば、正面方向(Y軸の正の方向)から左方へ112.5°の範囲とされる。
【0034】
本実施形態において第2の反射体122は、第2の頂部122aと、複数の第2の円弧状凸面部122cとを有する。第2の頂部122aは、Z軸方向に第2の光源152と対向する。複数の第2の円弧状凸面部122cは、第2の頂部122aを中心とする回転曲線からなる第2の曲面体122b上に設けられ、第2の頂部122aを中心として同心円状に配列される。
【0035】
仕切板13は、第1の光源151と第2の光源152との間に配置され、X軸およびZ軸と直交するY軸(第2の軸)方向に沿って延びる板状部材で構成される。仕切板13は、第1の反射体121と第2の反射体122とを分断するようにリフレクタユニット20の直径方向に延在し、その長さは、リフレクタユニット20のY軸方向に平行な直径と略同等である。
【0036】
仕切板13の先端13aは、光源基板11の表面に接触していてもよいし、当該表面と隙間を介して対向していてもよい。仕切板13のX軸に沿った厚み(幅)は、光源基板11の表面に向かうにつれて薄くなり、第1および第2の光源151,152との対向領域には薄肉部130が設けられている。これにより第1及び第2の光源151,152を相互に近接して配置することが可能となる。
【0037】
第1の反射体121および第2の反射体122は共通のベース部120を有している。第1の曲面体121bおよび第2の曲面体122bは、概略的には1つの回転曲線を仕切板13で2つに分割した個々の曲面体で構成され、仕切板13の厚みの分だけ当該回転曲線の軸心がX軸方向に沿って2つに分かれ、当該1つの頂部が2つの頂部121a,122aに分割された態様を呈する。このため複数の第1および第2の円弧状凸面部121c,122cは、X軸方向に長軸を有する長円の部分円弧形状を有する。
【0038】
第1の反射体121および第2の反射体122のマクロ的な形状は、二次曲面(例えば放物面や楕円面)とされる。すなわち図5に示す断面で見て、第1および第2の反射体121,122の断面のマクロ的な形状は、それぞれ二次曲線を描く。これら二次曲線を第1および第2の頂部121a,122aの中心を通る中心軸の周りに回転させた回転曲線によって、第1および第2の曲面体121b,122bがそれぞれ構成される。第1および第2の曲面体121b,122bは、各々の中心軸側に凸なる形状の二次曲面で構成され、その具体的な形状は、両色灯100に要求される光学特性に応じて決定される。
【0039】
複数の円弧状凸面部121c,122cはそれぞれ、頂部121a,122aを中心として同心円状にそれぞれ配列されている。複数の円弧状凸面部121c,122cはそれぞれ、曲面体121b,122bの表面に沿って各々配列された、曲面体121b,122bの表面から外側に突出する凸状の曲面で形成される。個々の円弧状凸面部121c,122cは、周方向にほぼ等価な形状を有するとともに、頂部121a,122aからベース部120に向かって半径が徐々に大きくなるように形成される。
【0040】
円弧状凸面部121c,122cを構成する曲面部の曲率半径は、曲面体121b,122bの半径位置に応じて異なっており、その大きさは特に限定されず、光学仕様に応じて適宜設定され、例えば1m〜100mの範囲に設定される。円弧状凸面部121c,122cの凸部の高さも特に限定されず、曲面体121b,122bの半径位置に応じて適宜設定可能であり、例えば、最大で0.25mm程度に設定される。
【0041】
円弧状凸面部121c,122cの配列ピッチは特に限定されず、要求される光学特性に応じて適宜設定される。本実施形態では、頂部121a,122aからベース部120に向かって、円弧状凸面部121c,122cの配列ピッチが大きくなるように構成される。
【0042】
リフレクタ12(第1および第2の反射体121,122)および仕切板13は、それぞれ一体成形された単一の部材であるリフレクタユニット20として構成される。これにより光源ユニット10の構成を簡素化できるとともに、光源ユニット10の部品点数を削減して組立作業性や組立精度の向上を図ることができる。
【0043】
本実施形態では、リフレクタユニット20は、樹脂材料の射出成形体で構成され、第1および第2の反射体121,122が銀やアルミニウム等の光反射性の高い金属膜で被覆され、仕切板13は光吸収性の高い黒色で着色されている。
【0044】
インナーカバー30は、透光性の樹脂材料で構成され、概略円筒形状を有する。インナーカバー30の内部には光源基板11を支持する円盤状の支持板33が設けられる。支持板33は、インナーカバー30の内部を2つの領域に区画し、支持板33と第1の周壁部31とで区画されるインナーカバー30の上方空間がリフレクタユニット20の収容空間とされ、支持板33と第2の周壁部32とで区画されるインナーカバー30の下方空間が回路基板18の収容空間とされる。なお、第2の周壁部32には上下方向に延在する複数の溝が設けられ、これにより灯器外部から当該下方空間の視認性が阻害されている。
【0045】
回路基板18は、支持板33の下面に設けられた支持柱34に固定される。回路基板18は、光源基板11に電気的に接続され、第1および第2の光源151,152の発光の制御や発光状態の監視等を行う。回路基板18は、ベースカバー60の中心部に設けられた開口部62およびベース80の中心部に設けられた開口部82を介して外部のコントローラ(図示略)に電気的に接続される。
【0046】
第1の周壁部31の上端は、リフレクタユニット20のベース部120を支持する。すなわちベース部120は、アウターカバー50の上端周縁部54(図5)と第1の周壁部31の上端との間に挟持される。これにより、第1の光源151および第1の反射体121とを含む右舷灯部10Rと、第2の光源152および第2の反射体122とを左舷灯部10Lとが構成される(図5)。
【0047】
第1の周壁部31は、第1の反射体121および第2の反射体122で反射された光を透過させる出射窓として機能し、アウターカバー50の側周部53を介して右舷光を示す緑色の光と左舷光を示す赤色の光を外部へ照射する。
【0048】
(両色灯の動作)
以上のように構成される本実施形態の両色灯100においては、光源基板11上の第1および第2の光源151,152が同時に点灯し、それらの出射光が各々第1および第2の反射体121,122で反射される。第1および第2の反射体121,122で反射された光は、インナーカバー30の第1の周壁部31およびアウターカバー50の側周部53を介して、ルーバ90および仕切板13で制限された所定の角度範囲(第1および第2の角度範囲)に出射する。
【0049】
本実施形態に係る両色灯100は、照射範囲毎に独立した光源(151,152)および反射体(121,122)を有するため、照射光の光学設計を最適化でき、所定の角度範囲にわたって所定以上の光度を容易に実現することが可能となる。
【0050】
また本実施形態においては、各反射体121,122の円弧状凸面部121c,122cによって、光源151,152からの光をそれぞれ拡散させるように反射することができる。すなわち、点光源であるLEDを用いた場合であっても、反射体が連続鏡面で構成される場合と比較して、各光源151,152の出射光は、円弧状凸面部の曲面によって両色灯100の軸方向(z方向)に拡散されつつ、両色灯100の周方向(xy平面方向)に反射されることになる。これにより軸方向へより広い照射範囲にわたって、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0051】
また、個々の円弧状凸面部121c,122cにおける光の拡散機能により、光源の配置誤差や周辺の付属物、寸法公差等による影響が緩和されことになる。これにより周方向および軸方向の所定範囲にわたって光度のバラツキを抑えつつ、所定値以上の光度を実現することが可能となる。
【0052】
さらに、複数の円弧状凸面部121c,122cは、頂部121a,122aからベース部120に向かって配列ピッチが大きくなるように形成されている。これにより曲面体の曲率の変化に応じて円弧状凸面部の配列ピッチを最適化することができ、光学設計自由度を向上させることができる。
【0053】
より具体的には、光源151,152から遠ざかるに従って、円弧状凸面部121c,122cの配列ピッチが大きくなるため、光源151,152からの光の出射角(拡散角)に対応した円弧状凸面部121c,122cの最適化が図れる。これにより光源151,152からの出射光を効率よく利用でき、両色灯100の周方向及び軸方向への所定以上の光度を容易に実現することが可能となる。
【0054】
本発明者らの実験によれば、周方向に対する軸方向(z方向)の角度が−5°〜5°の範囲において平行な光線を照射できるとともに、特定のz位置での周方向における最大光度と最小光度との差が1.5倍以内(特定のz位置での周方向における最大光度がその最小光度の1.5倍以下)の均一な光を得ることができることが確認された。
【0055】
さらに本実施形態においては、第1および第2の反射体121,122が仕切板13に関して対称な形状を有するため、第1および第2の角度範囲に照射される光の光学特性を共通にすることができる。そして、リフレクタ12および仕切板13が単一のリフレクタユニット20で構成されているため、部材の共通化、組立ての簡素化を図ることができるとともに、小型のリフレクタユニットを構成することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0057】
例えば以上の実施形態では、光源として単数又は複数のLED15を用いたが、これら点光源に代えて、EL素子等の面光源やCCFL等の線光源が採用されてもよい。
【0058】
また以上の実施形態では、第1および第2の光源151,152をそれぞれ異なる波長域の可視光を発光可能なLEDで構成されたが、これに限られず、各光源を白色光を出射するLEDで構成するとともに、周壁部41の各光透過領域がそれぞれ所定の色(例えば緑色と赤色)に着色されてもよい。
【0059】
さらに以上の実施形態では、灯器を船体に装備される両色灯として説明したが、航空機体に取り付けられる灯器、あるいは、標識灯としても利用可能である。この場合、照射方向に応じて異なる光学特性が要求される場合には、第1および第2の反射体121,122は仕切板13に関して非対称な形状に構成されてもよい。すなわち上記各反射体は、各々最適な光学特性が得られるように相互に異なる形状で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10…光源ユニット
11…光源基板
12…リフレクタ
13…仕切板
20…リフレクタユニット
30…インナーカバー
31…第1の周壁部
50…アウターカバー
100…両色灯
121…第1の反射体
121a…第1の頂部
121c…第1の円弧状凸面部
122…第2の反射体
122a…第2の頂部
122c…第2の円弧状凸面部
図1
図2
図3
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図9