特許第6241936号(P6241936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6241936-不整地用モーターサイクルタイヤ 図000005
  • 特許6241936-不整地用モーターサイクルタイヤ 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6241936
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】不整地用モーターサイクルタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 9/18 20060101AFI20171127BHJP
   B60C 11/11 20060101ALI20171127BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B60C9/18 J
   B60C11/11 A
   B60C11/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-32396(P2014-32396)
(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公開番号】特開2015-157523(P2015-157523A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(72)【発明者】
【氏名】湯生 敏文
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−264494(JP,A)
【文献】 特開2010−173459(JP,A)
【文献】 特開2007−112396(JP,A)
【文献】 特開2008−279996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00−19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その外面にショルダーブロックを含む多数のブロックを有するトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、このトレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、このカーカスとトレッドとの間に積層されるバンドとを備えており、
このバンドがコードとトッピングゴムを備えており、
このコードが実質的に周方向に延びており、
このショルダーブロックの軸方向内側壁面を通る直線とカーカスとの交点を点Paとし、ショルダーブロックの軸方向外側壁面を通る直線と仮想溝底面との交点を点Pbとし、この点Pbを通り仮想溝底面に垂直に交わる直線とカーカスとの交点を点Pcとしたときに、このバンドの軸方向外側端の点Pdがこの点Paより軸方向外側に位置しており、
この点Paから点Pcまでの距離D1に対する、点Paから点Pdまでの距離D2の比D2/D1が1/2以上であり、
この点Pdがカーカスの最大幅Peを越えておらず、
周方向に垂直な断面における、溝底面と直線Lbとの交点の位置が、周方向に垂直な断面における、上記点Pbの位置に一致している不整地用モーターサイクルタイヤ。
【請求項2】
上記比D2/D1が1以下である請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
上記ショルダーブロックの先着側壁面の傾斜角度θ1が0°以上5°以下である請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
上記ショルダーブロックの後着側壁面の傾斜角度θ2が7°以上20°以下である請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山林、原野等の不整地を走行するモーターサイクルに適したタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
不整地では、路面が起伏に富んでいる。不整地を走行するモーターサイクルは、ジャンプと着地とを繰り返す。着地時には、タイヤに大きな荷重がかかる。不整地を走行するモーターサイクルのタイヤでは、柔軟なサイドウォールによって着地の衝撃が吸収される。
【0003】
一般に、この様な不整地用モータサイクルのタイヤには所謂バイアス構造のタイヤが使用されている。このタイヤは、ラジアルタイヤに比べて、トラクション性能に劣る。
【0004】
特開2009−126408公報には、不整地用モーターサイクルタイヤが開示されている。このタイヤは、柔軟なサイドウォールを備えている。特開2008−279996公報には、不整地用モーターサイクルタイヤが開示されている。このタイヤでは、路面に接地するブロック踏面の曲率半径が規定されている。このタイヤは、このブロック踏面のエッジ効果によりトラクション性能の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−126408公報
【特許文献2】特開2008−279996公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この不整地用モータサイクルタイヤに、所謂JLB構造を採用することで、トラクション性能が向上しうることを、発明者らは見出した。不整地用モータサイクルタイヤは、ショルダーブロックのエッジ部が、軸方向においてサイドウォールまで大きく張り出している。このショルダーブロックのエッジ部までJLB構造のバンドを採用すると、サイドウォール部までJLB構造のバンドでカバーされることとなる。
【0007】
サイドウォール部までカーカスがJLB構造のバンドでカバーされると、サイドウォール部が撓み難くなる。このタイヤの衝撃吸収性が損なわれる。
【0008】
本発明の目的は、トラクション性能に優れるとともに、衝撃吸収性能にも優れている不整地用モーターサイクルタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る不整地用モーターサイクルタイヤは、その外面にショルダーブロックを含む多数のブロックを有するトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、このトレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、このカーカスとトレッドとの間に積層されるバンドとを備えている。
このバンドは、コードとトッピングゴムを備えている。このコードは、実質的に周方向に延びている。このショルダーブロックの軸方向内側壁面を通る直線とカーカスとの交点を点Paとし、ショルダーブロックの軸方向外側壁面を通る直線と仮想溝底面との交点を点Pbとし、この点Pbを通り仮想溝底面に垂直に交わる直線とカーカスとの交点を点Pcとしたときに、このバンドの軸方向外側端の点Pdがこの点Paより軸方向外側に位置している。この点Paから点Pcまでの距離D1に対する、点Paから点Pdまでの距離D2の比D2/D1が1/3以上である。この点Pdがカーカスの最大幅Peを越えていない。
【0010】
好ましくは、上記比D2/D1は、1/2より大きい。好ましくは、上記比D2/D1が1以下である。好ましくは、上記ショルダーブロックの先着側壁面の傾斜角度θ1が0°以上5°以下である。好ましくは、上記ショルダーブロックの後着側壁面の傾斜角度θ2が7°以上20°以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る不整地用モーターサイクルタイヤは、トラクション性能に優れるとともに、衝撃吸収性能にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る不整地用モーターサイクルタイヤの一部が示された断面図である。
図2図2は、図1のタイヤのショルダーブロックが示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0014】
図1には、不整地用モーターサイクルタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
【0015】
このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、バンド12、インナーライナー14及びチェーファー16を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。
【0016】
トレッド4は、多数のブロック18を備えている。これらのブロック18は、センターブロック20、ミッドブロック22及びショルダーブロック24に区別されうる。センターブロック20は、赤道面CLを跨いでいる。ミッドブロック22は、センターブロック20よりも軸方向外側に位置している。ショルダーブロック24は、軸方向で最も外側に位置している。ショルダーブロック24は、ミッドブロック22よりも軸方向外側に位置している。これらのブロック18により、トレッド4にブロックパターンが形成されている。なお、ミッドブロック22は、センターブロック20とショルダーブロック24との間の軸方向に複数並べられてもよい。
【0017】
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、振動吸収性、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。
【0018】
ビード8は、サイドウォール6の軸方向内側に位置している。ビード8は、コア26と、このコア26から半径方向外向きに延びるエイペックス28とを備えている。コア26はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス28は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス28は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0019】
カーカス10は、第一プライ30及び第二プライ32からなる。第一プライ30及び第二プライ32は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。第一プライ30は、コア26の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第一プライ30には、主部30aと折り返し部30bとが形成されている。第二プライ32は、コア26の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第二プライ32には、主部32aと折り返し部32bとが形成されている。第一プライ30の折り返し部30bの端34は、半径方向において、第二プライ32の折り返し部32bの端36よりも外側に位置している。
【0020】
第一プライ30及び第二プライ32は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、30°から90°である。第二プライ32のコードの赤道面に対する傾斜方向は、第一プライ30のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。このタイヤ2では、このカーカス10はバイアス構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、レーヨン繊維及びポリエチレンナフタレート繊維が例示される。カーカス10が、1枚又は3枚以上のプライから形成されてもよい。このカーカス10が、ラジアル構造を有してもよい。
【0021】
バンド12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。バンド12は、トレッド4とカーカス10との間に位置している。バンド12は、軸方向において、一方のショルダーブロック24の内側から図示されない他方のショルダーブロック24の内側まで延在している。図示されていないが、このバンド12は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンドは、いわゆるJLB構造(ジョイントレス構造)を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0022】
チェーファー16は、ビード8の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー16がリムと当接する。この当接により、ビード8の近傍が保護される。チェーファー16は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。
【0023】
図1の二点鎖線Laは、ショルダーブロック24の軸方向内側壁面24aを通る直線である。この壁面24aを通る直線は、壁面24aに平行で、かつ壁面24aを通る直線を意味する。二点鎖線Lbは、ショルダーブロック24の軸方向外側壁面24bを通る直線である。この壁面24bを通る直線は、壁面24bに平行で、かつ壁面24bを通る直線を意味する。点Paは、カーカス10の外側面と直線Laとの交点である。点Pbは、仮想溝底面と直線Lbとの交点である。この仮想溝底面とは、ショルダーブロック24が形成されている部分が、ショルダーブロック24が形成されていない溝底面であった場合の仮想の面である。二点鎖線Lcは、点Pbを通り仮想溝底面に垂直に交わる直線である。点Pcは、カーカス10の外側面と直線Lcとの交点である。点Pdは、バンド12の軸方向外側端である。点Peは、カーカス10の軸方向最大幅を示す点である。
【0024】
両矢印D1は、点Paから点Pcまでの距離を示している。両矢印D2は、点Paから点Pdまでの距離を示している。この点Pa、Pb、Pc、距離D1及びD2は、カーカス10の外側面に沿って測られる。この距離D1及びD2は、タイヤ2から切り出された断面において測られる。
【0025】
図2の矢印Rは、タイヤ2の正転向きを示している。このショルダーブロック24は、正転向き先着側壁面24cと、後着側壁面24dを備えている。点Pvは、設置面38と壁面24cと交点を示している。二点鎖線Lvは、この点Pvを通り、設置面38に直交する直線を示している。点Pwは、設置面38と壁面24dと交点を示している。二点鎖線Lwは、この点Pwを通り、設置面38に直交する直線を示している。
【0026】
両矢印θ1は、直線Lvと壁面24cとがなす角度を示している。この角度θ1は、先着側壁面24cの傾斜角度を示している。両矢印θ2は、直線Lwと壁面24dとがなす角度を示している。この角度θ2は、後着側壁面24dの傾斜角度を示している。
【0027】
このタイヤ2では、バンド12のコードが実質的に周方向に延びているので、ブロック18の周方向の動きが抑制される。このバンド12は、タイヤ2のトラクション性能の向上に寄与している。
【0028】
このタイヤ2では、バンド12の軸方向外側端Pdが点Paより軸方向外側に位置している。このタイヤでは、距離D1に対する距離D2の比D2/D1は、1/3以上とされている。これにより、ショルダーブロック24においても、JLB構造によるトラクション性能の向上効果が得られている。この観点から、この比D2/D1は、1/2以上にされることが好ましい。この比D2/D1が1/2以上とされることで、ショルダーブロック24で更に大きなトラクション性能の向上効果を得ることができる。
【0029】
不整地を走行するモーターサイクルでは、ジャンプの着地時にサイドウォール6が大きく撓む。サイドウォール6が大きく撓むことで、着地時の大きな荷重が吸収されている。バンド12の外側端Pdが、サイドウォール6に深く回り込むと、サイドウォール6の軸方向外側への変形を抑制する。タイヤ2の衝撃吸収性が損なわれる。この観点から、バンド12の外側端Pdは、点Peを越えない範囲とされている。更に好ましくは、この比D2/D1は、1以下とされる。
【0030】
このタイヤ2は、バンド12によりトラクション性能に優れるので、従来のタイヤに比べ、ブロック18(20、22、24)の壁面の傾斜角度を小さくしても、十分なトラクション性能を得ることができる。一般に、不整地用モータサイクル用のタイヤでは、ブロックの壁面の傾斜角度は7°から15°にされている。このタイヤ2では、この壁面の傾斜角度が小さくされて、十分なトラクション性能を得ることができる。
【0031】
このタイヤ2では、先着側壁面24cの傾斜角度θ1を小さいして、高いトラクション性能が得られる。この観点から、傾斜角度θ1は、好ましくは5°以下であり、更に好ましくは、4°以下である。一方で、この傾斜角度θ1が大きいタイヤ2では、ショルダーブロック24の高い剛性が得られる。この観点から、この傾斜角度θ1は、好ましくは0°以上であり、更に好ましくは1°以上である。このタイヤ2では、この傾斜角度θ1が小さくされても、ショルダーブロック24に十分な剛性が得られる。このタイヤ2では溝底クラックの発生が抑制される。
【0032】
後着側壁面24bの傾斜角度θ2が小さいタイヤ2では、制動時に高い制動効果を得られる。この観点から、傾斜角度θ2は、好ましくは20°以下であり、更に好ましくは、15°以下である。一方で、この傾斜角度θ2が大きいタイヤ2では、ショルダーブロック24の高い剛性が得られる。この観点から、この傾斜角度θ2は、好ましくは7°以上であり、更に好ましくは9°以上である。
【0033】
ここでは、ショルダーブロック24の先着側壁面24cの傾斜角度θ1と後着側壁面24dの傾斜角度θ2を例に説明した。センターブロック20及びミッドブロック22の先着側壁面の傾斜角度及び後着側壁面の傾斜角度についても、ショルダーブロック24のそれらと同様の効果が得られる。
【0034】
本発明では、特に言及しない限り、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤには荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0036】
[実施例1]
図1に示される構造のタイヤが得られた。このタイヤサイズも、「120/80−19」である。このタイヤでは、ショルダーブロックの壁面の傾斜角度θ1及びθ2は、表1に示す通りとした。このタイヤのバンドの外側端の位置は、表1に示す通りとした。
【0037】
この表1から表3において、バンドの外側端の位置の記号A及びBは、それぞれ、以下の位置範囲を意味している。記号Aは、バンドの外側端がカーカスの最大幅を超えない範囲に位置している。記号Bは、バンドの外側端がカーカスの最大幅を超えた範囲に位置している。
【0038】
[比較例1]
バンドを備えていない他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。
【0039】
[実施例2−3及び比較例2−3]
比D2/D1が表1に示す通りとされた他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。
【0040】
[実施例4−7]
後着側の壁面の傾斜角度θ2が表2に示す通りとされた他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。
【0041】
[実施例9−12]
先着側の壁面の傾斜角度θ1が表3に示す通りとされた他は、実施例1と同様にしてタイヤが得られた。なお、実施例10の傾斜角度θ1の−1°は、先着側の壁面が、直線Lvに対して、実施例1と逆方向に傾いていることを示している。
【0042】
[トラクション性能及び制動性能]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を80kPaとした。このタイヤを450ccのモトクロスバイクに装着した。このモトクロスバイクをモトクロスコースで走行させて、モトクロスのプロライダーにトラクション性能を官能評価させた。更に、実施例1と実施例4から8のタイヤについて、制動性能を官能評価させた。この評価結果が、表1から表3に示されている。この評価は、10点満点として、数字が大きいほど、好ましい。
【0043】
[衝撃吸収性]
トラクション性能と併せて、衝撃吸収性が官能評価された。この評価結果が、表1から表3に示されている。この評価は、10点満点として、数字が大きいほど、好ましい。
【0044】
[耐クラック性]
同一条件でハード路面のモトクロスコースを1時間走行させた。走行後に、タイヤの溝底のクラックの発生の有無、発生したクラックの大きさ及び発生したクラックの個数が確認された。この評価では、市販品の合格レベルを5点とした。この5点を基準に10点満点として相対評価をした。この評価結果が、表1から表3に示されている。この評価は、数字が大きいほど、好ましい。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
表1から表3に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明された空気入りタイヤは、特に不整地用モータサイクル用タイヤに適している。
【符号の説明】
【0050】
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・バンド
14・・・インナーライナー
16・・・チェーファー
18・・・ブロック
20・・・センターブロック
22・・・ミッドブロック
24・・・ショルダーブロック
26・・・コア
28・・・エイペックス
30・・・第一プライ
32・・・第二プライ
34、36・・・端
38・・・接地面
図1
図2