(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
腐植物質を石鹸などの製品に含有させることは知られているが、これは、フルボ酸の抗酸化作用を該製品に付与するためである。上記の製品は、ヒトの皮膚で使用するものであるため、皮膚での酸化を抑制することができると考えられる。
【0007】
本発明者は、エステなどの油を多く使用する業界から出る多量の油が染み込んだタオルなどの布類を既存の洗剤で洗浄しても、1回、2回程度の洗浄だけで油やその臭気を完全に除くことが極めて難しいことを確認している。そこで、このようなしつこい油が染み込んだ布類を効率よく洗浄可能な組成物を提供することを目的にする。
【0008】
本発明者はさらに、腐植物質の主成分であるフルボ酸だけでは得られないより優れた防錆効果だけでなく、錆落とし効果も提供する、上記と同様の組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために、腐植物質(フルボ酸含有)をクレーと組み合わせることによって、優れた油除去効果と、優れた錆落とし及び防錆効果があることを見出し、本発明を完成させた。該腐植物質がフルボ酸による防錆作用を有することは知られていたが、クレーと組み合わせることで、錆落とし効果が生じることや、布等に付着したしつこい油汚れや臭いを洗浄除去する効果は、これまで知られていなかった。
【0010】
したがって、本発明は、要約すると、以下の特徴を包含する。
(1)フルボ酸含有腐植物質とクレーとを含む組成物。
(2)フルボ酸含有腐植物質が、リードアップ(登録商標)、キレートバランス(登録商標)または美しさの源 気麗−留(登録商標)である、上記(1)に記載の組成物。
(3)クレーが、アルミノケイ酸塩系クレーを含む、上記(1)または(2)に記載の組成物。
(4) 1回使用時に、フルボ酸約0.0015〜0.2(乾燥重量部):クレー5〜25(乾燥重量部)の比率の含有量で、フルボ酸含有腐植物質およびクレーを含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)液体または固体の形態である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)固体が、使用時に水に投入したとき懸濁状態となる任意の形状の固体である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)組成物が、洗浄用組成物である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)石鹸洗剤などの別の洗浄剤をさらに含む、上記(7)に記載の組成物。
(9)組成物が、錆落としまたは防錆用組成物である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(10)上記(7)または(8)に記載の組成物を用いて被洗浄物を洗浄することを含む、被洗浄物の洗浄方法。
(11) 被洗浄物が、油で汚染された物質である、上記(10)に記載の方法。
(12) 石鹸洗剤などの別の洗浄剤と組み合わせて洗浄する、上記(10)または(11)に記載の方法。
(13)上記(9)に記載の組成物を、錆のある金属製品に噴霧または塗布して、該製品の錆を落とす、または、該製品が錆びるのを防止することを含む、金属製品の錆落とし、または、防錆のための方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、エステ業界などから出るしつこい油で汚染された布類であって既存の洗剤で油および臭いを洗浄除去することができなかった該布類であっても1回または2回の洗浄によってよごれを除くことができるとともに、乾燥後に布本来の肌触りをもつ布類に仕上げることができる。さらにまた、洗剤による肌荒れを防止できるという特徴も有する。
【0012】
また、本発明により、金属製品に対する防錆だけでなく、該金属製品の錆を落とすという、従来と異なるタイプの新規の錆落とし用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、フルボ酸含有腐植物質とクレーとの混合物を含むことを特徴とする組成物、具体的には洗浄用組成物、ならびに、金属製品の錆落としまたは防錆用組成物を提供する。
【0014】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0015】
1.フルボ酸含有腐植物質
本発明の組成物の有効成分の1つが、フルボ酸含有腐植物質である。この物質は、界面活性及び抗酸化性を有している。
【0016】
本発明における「フルボ酸含有腐植物質」は、腐植物質のうち少なくともフルボ酸(下記の定義参照)を含有する物質を指す(立花陽子と田和理市, Trace Nutrients Research 22: 111-115 (2005))。フルボ酸含有腐植物質は、精製の都合上、さらに、不純物であるフミン酸(下記の定義参照)を含有してもよいが、本発明ではフルボ酸が重要な有効成分である。本明細書中「腐植物質」とは、植物の葉や茎などの有機物が多種多様な微生物によって分解し、二次的に生成された有機成分で、糖、タンパク質、脂質などに分類されない有機物の総称をいう。
【0017】
フルボ酸含有腐植物質は、一般に、自然界の土壌、湖沼水、海水等に存在し、植物、海草、植物プランクトンなどが微生物により分解される腐植過程で生じる腐植物質から得ることが可能であり、この中には、主として、フルボ酸(fulvic acid)、フミン酸(humic acid)、それらの塩などが含まれている。あるいは、フルボ酸含有腐植物質は、自然界の腐植過程を模倣して人工的に作製された腐植物質から得ることもできる。この腐植物質には、フルボ酸類似物質およびフミン酸類似物質が含まれている。本明細書では、そのようなフルボ酸類似物質およびフミン酸類似物質も、それぞれ、フルボ酸、フミン酸と称する。
【0018】
フルボ酸は、植物、海草、植物プランクトンなどの有機物が微生物により分解される最終生成物である腐植物質のうち、酸およびアルカリに可溶性の分子量約300〜約3,000程度の高分子有機酸を含有する混合物であり、例えば、腐植土を水に懸濁した後に得られる黄色の上澄み液である。フルボ酸は、カルボキシル基によってキレートされたミネラル(金属イオン)や各種の元素を分子構造の中に包含しうる。また、フルボ酸には抗酸化作用および抗微生物作用があることが知られている。
【0019】
フミン酸は、植物などが微生物による分解を経て形成された最終生成物であるフミン質の腐植物質のうち、アルカリに可溶性であるが酸に不溶性である分子量約3,000〜数十万程度の高分子有機酸を含有する混合物である。
【0020】
このように、フルボ酸およびフミン酸はともに、それらの分子内にカルボキシル基、フェノール性水酸基などの酸性官能基を多く含んだ複数の多価有機酸を含む混合物である。
【0021】
フルボ酸含有腐植物質は、現在、腐植物質水溶液として商品化されており、例えば「リードアップ(登録商標)」として株式会社T&G(熊本)から販売されている。リードアップは、有害物質を含まない有機質から製造されたものであり、例えば、市販のリードアップ1Lには約0.15〜0.2重量%のフルボ酸が含まれている。リードアップ1Lから得られる乾燥粉体の場合、粉体約25gにフルボ酸が約1.5〜2.0g含有されている。
【0022】
他のフルボ酸含有物質として、精製フルボ酸を含有するがフミン酸を含まない「キレートバランス(登録商標)」及び「美しさの源 気麗−留(登録商標)(本明細書では、単に「キレート」とも記載する)」(株式会社ミヤモンテJAPAN(兵庫))等が知られている。キレートバランス及びキレートの成分を、以下の表1に示す。
【0024】
フルボ酸含有腐植物質は、水分の蒸発、精製に掛けることも可能であり、粉末等の固体の形態とすることもできる。また、該腐植物質から精製してほぼ純粋なフルボ酸を得ることもできる。このような粉末等の固体や精製フルボ酸は、フルボ酸含有水溶液とともに、本発明におけるフルボ酸含有腐植物質である。本明細書中、フルボ酸含有腐植物質はフルボ酸のみからなってもよい。
【0025】
フルボ酸含有腐植物質は、任意の形状の固体形態(例えば、粉末、顆粒、ペレット、等)または液体形態(例えば、溶液、懸濁液、等)のいずれかの形態であることが望ましい。
【0026】
本発明の組成物中のフルボ酸含有腐植物質の含有量は、クレーと一緒に使用したとき洗浄効果または錆落とし/防錆効果を発揮する量であり、組成物が固体形態または液体形態に関わらず、例えば、フルボ酸として約0.0001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.001重量%〜約1重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%であるがこれらに限定されないものとする。
【0027】
2.クレー
本発明の組成物のもう一つの有効成分が、クレーである。
本発明で使用可能なクレーは、アルミノケイ酸塩系クレーであり、例えば、ベントナイト、酸性白土、活性白土などのモンモリロナイト含有クレー、モンモリロナイトなどが挙げられる。モンモリロナイトとしては、ナトリウム型モンモリロナイトが好ましい。また、酸性白土や活性白土は、不純物の吸着材や脱色剤として利用されており、本発明では、ベントナイト代替クレーとして使用できる。
【0028】
クレーは、乾燥形態(例えば、粉末、顆粒、ペレット、等)または湿潤形態(多様な形状の固体、懸濁液、等)のいずれの形態でもよい。
【0029】
本発明の組成物中のクレーの含有量は、フルボ酸含有腐植物質と一緒に使用したとき洗浄効果または錆落とし/防錆効果を発揮する量であり、組成物が固体の場合、例えば、乾燥重量として約50重量%〜約99.99重量%であり、また、組成物が液体の場合、例えば、フルボ酸0.0015〜0.2(乾燥重量部):クレー約5〜25(乾燥重量部)の比率である。
【0030】
3.組成物
本発明の組成物は、上で説明したような、フルボ酸含有腐植物質およびクレーを含有することを特徴とする。
【0031】
フルボ酸含有腐植物質の水溶液は、通常、酸性(例えば、pH2.0〜4.0)であるが、これにクレーを混合し組み合わせることにより、液のpHは弱アルカリ性(例えばpH8前後)となる。
【0032】
該組成物は、液体または固体のいずれでもよく、あるいは、濃縮形態または希釈形態のいずれでもよい。また、組成物の形状は任意である。
【0033】
組成物が液体の場合、例えば、ボトルタイプ、計量キャップ付きボトルタイプ、スプレータイプなどの任意の形状としうる。液体は、クレーが水に不溶であるため、懸濁液の形態である。このとき、クレーとしてナノサイズの超微粒子を使用することにより、液体組成物でのクレーの沈降を抑制し懸濁状態を維持することが可能である。
【0034】
組成物が固体の場合、粉末タイプ、顆粒タイプ、タブレットタイプ、スチックタイプ、小袋(すなわち、サシェ)タイプ、ペーストタイプなどの任意の形状としうる。特に、小袋タイプ、スチックタイプ、タブレットタイプなどの形状の場合、1回ずつの使用のための処方形態としうる。小袋タイプの場合、組成物を収容する小袋の材質は、水溶性の材質、例えばデンプン、ゼラチンなどの材質とし、小袋のなかに、好ましくは粉末状または顆粒状の組成物を封入することができる。また、タブレットタイプ、スチックタイプなどの場合、水に懸濁しやすいように、タブレットやスチックを形成する際の結合剤(例えば、水溶性デキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース、等)、崩壊剤(例えば、デンプン、セルロース系、等)などの添加剤を水溶性の種類のものとするか、あるいは、タブレットやスチックのなかに発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウム、等)を含有させることによって水面に浮くような形態としうる。ペーストタイプの場合、乾燥クレーにフルボ酸含有腐植物質水溶液と適宜水を加えて混合することにより得ることができる。このようなペーストタイプは、例えば、金属の錆部分に塗布するような使用形態を有するし、あるいは、該ペーストを水に懸濁して洗浄剤として使用することもできる。
【0035】
組成物が濃縮形態である場合、組成物から所定量を計量し、水への希釈状態で使用できる組成物である。この組成物は、洗浄効果または錆落とし/防錆効果を有するため、所定量は、洗浄効果または錆落とし/防錆効果を発揮しうる量としうる。濃縮形態の組成物の希釈倍率は、特に制限はないが、例えば約10〜5,000倍である。
【0036】
本明細書中で使用する「洗浄効果」とは、フルボ酸含有腐植物質とクレーによる相乗的洗浄効果をいう。「相乗的」とは、フルボ酸含有腐植物質の界面活性作用がクレーにより増強されることをいう。
【0037】
本明細書中で使用する「錆落とし/防錆効果」とは、フルボ酸含有腐植物質とクレーによる錆落とし/防錆効果をいう。フルボ酸含有腐植物質は、抗酸化作用による防錆効果を有することは知られていたが、クレーと組み合わせることによって、防錆効果だけでなく、金属製品の錆落とし効果も発揮されることをいう。
【0038】
本発明の組成物は、液体形態または固体形態のいずれにおいても、その1回使用時に、例えば、フルボ酸約0.0015〜0.2(乾燥重量部):クレー5〜25(乾燥重量部)の比率の含有量で、フルボ酸含有腐植物質およびクレーを含むことが好ましい。
【0039】
本発明の組成物中のフルボ酸含有腐植物質の含有量は、以下の範囲に制限はないが、組成物が固体形態または液体形態に関わらず、例えば、フルボ酸として約0.0001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.001重量%〜約1重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約0.5重量%であるがこれらに限定されないものとする。
【0040】
本発明の組成物中のクレーの含有量は、以下の範囲に制限はないが、組成物が固体の場合、例えば、乾燥重量として約50重量%〜約99.99重量%であり、また、組成物が液体の場合、例えば、フルボ酸約0.0015〜0.2(乾燥重量部):クレー約5〜25(乾燥重量部)の比率を満たすようなクレーの含有量である。
【0041】
本発明の組成物にはさらに、洗剤等に使用可能な、別の界面活性剤(石鹸洗剤、合成洗剤など)、着色剤、芳香剤(ハーブ、果汁エキス、香料など)、汚れ付着防止剤、酵素(リパーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼなど)、ビルダー(ゼオライト、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムなど)などを含有させてもよい。
【0042】
以下に説明するように、本発明の組成物として、具体的に、洗浄用組成物、ならびに、錆落としまたは防錆用組成物を挙げることができる。
【0043】
(1)洗浄用組成物及び方法
本発明の組成物の具体例の1つは、洗浄用組成物であり、これを、被洗浄物の洗浄に用いることができる。
【0044】
該組成物は、たとえばエステ業界から多量に出る、相当量の油、例えばゴマ油、ヒマシ油、及びオリーブオイル等で汚れたタオル等の被洗浄物の効率的な洗浄に使用することができる。このようなタオル類を既存の洗剤で効率よく除くことは難しかったし、また、油の臭いを除くことや、仕上がり後にタオル本来のふっくら感を回復することが容易ではなかった。本発明の組成物を使用して、そのような油で相当汚染されたような被洗浄物を洗浄する場合、先ず、浸け置き洗いをすることで、相当量の油を取り除くことができる。この場合、二次洗浄剤として別の洗浄剤を用いて、または別の洗浄剤と本発明組成物との組み合わせを用いて、洗浄することにより、大部分の油を除去することができるとともに、油臭がほとんどない、かつ、タオル本来の肌触りのある状態に仕上げることができる。あるいは、浸け置き洗浄に代えて、一次洗浄剤として、本発明組成物と別の洗浄剤、好ましくは石鹸洗剤、との組み合わせを使用することにより、同様の効果を達成することができる。このような作用効果は、予想外であり、また、驚くべきことである。
【0045】
このように、本発明の組成物は、とりわけ、多量の油(油/油脂)で汚染されたような汚れのひどい、通常の洗剤で汚れを落とし難い被洗浄物の洗浄に効果的に使用可能である。
【0046】
本発明の洗浄用組成物は、フルボ酸含有腐植物質とクレーを有効成分として含有し、他の化学物質を必要とせずに洗浄効果を発揮することができるが、これにさらに別の洗浄剤、例えば、石鹸洗剤(脂肪酸ナトリウム)、合成洗剤(例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド、アルキルスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤、等)など、好ましくは、環境にやさしい洗剤である石鹸洗剤、を添加・混合することができる。油やカビなどのしつこい汚れを洗浄する場合、本発明の組成物と別の洗浄剤とを組み合わせると効果的な洗浄が可能である。
【0047】
洗浄用組成物は、通常の液体洗剤形態(濃縮タイプ、計量タイプ、スプレータイプ、等)、通常の固体洗剤形態(粉末タイプ、クレンザータイプ、顆粒タイプ、タブレットタイプ、ペーストタイプ、小袋タイプ、等)のいずれでもよい。
【0048】
被洗浄物の例は、特に制限はないが、クレーを含有するため傷のつきやすい物での使用以外の物、例えば、流し台、レンジ、換気扇、焦げ付きの魚網や鍋、釜、その他の調理器具、食器などの台所用品、浴槽、タイル、カビの生えた目地、シャワーホース、プラスティック品、鏡、カランなどの浴室用品、木製・ビニール製床、木製・ビニール製壁紙、窓ガラスなどの住宅用品、衛生陶器、カラン、木製・ビニール製床、木製・ビニール製壁などのトイレ用品、家庭用衣類、業務用衣類、エステ業界などから出るひどい油汚れのタオル等の布類、などを挙げることができるが、これらに制限されない。また、本発明の組成物は、キュウリ、キャベツ、レタス、及びトマト等の野菜、並びにリンゴ、ナシ、イチゴ、ブドウ果物等の食物の洗浄に用いることができる。さらに、本発明の組成物は、ヒトを含む動物の洗浄に用いることもできる。例えば、本発明の組成物はヒトの体及び顔を洗うのに用いることもできるし、シャンプーまたはスプレーとして用い、動物、例えばイヌ及びネコなどのペット、並びにブタ及びウシなどの家畜を洗浄することもできる。本発明の組成物は、肌荒れを防止するともに、アレルギーなどの予防にも有効であるという特徴も有する。
【0049】
また、本発明の組成物は、トイレ用の置き型洗浄剤として用いることもできる。この場合、本発明の組成物を乾燥させて固形状にしたものを、トイレの手洗いボウルにおいておくだけで、脱臭効果及び洗浄効果が期待できる。
【0050】
さらに、本発明の組成物は、室内脱臭用スプレーまたはペット用脱臭スプレーとして用いることもできる。
【0051】
本発明はまた、上記の組成物を用いて被洗浄物を洗浄することを含む、洗浄方法を提供する。
【0052】
洗浄は、例えば、本洗浄の前の浸け置き洗浄、家庭用洗濯機での洗浄、クリーニング業界での洗浄、油汚れの洗浄、カビ汚れの洗浄、食器洗浄、錆のついた金属の洗浄などを包含するが、これらに制限されない。
【0053】
洗剤組成物の所定量(上記)を計量し、必要に応じて水で希釈し、または水に懸濁したのち、該組成物を被洗浄物質に塗布、スプレー、添加等し接触して、洗浄する。
【0054】
洗浄時の水量は、適宜選択可能であり、例えば家庭用洗濯機での洗浄であれば30L〜50Lの水を使用できる。また、洗浄温度は、20℃〜45℃程度が好ましい。
【0055】
洗浄は、1回または2回以上行うことができる。洗浄は、1回目の洗浄で、本発明の組成物のみ、または、本発明の組成物と別の洗浄剤との組み合わせを使用して洗浄をしてもよい。必要な場合の2回目の洗浄では、別の洗浄剤、または、本発明の組成物と別の洗浄剤との組み合わせを使用して洗浄することができる。洗浄後に、水で濯ぎ洗いを行う。
【0056】
(2)錆落としまたは防錆用組成物及び方法
本発明はさらに、錆落としまたは防錆用組成物を提供する。
本発明はまた、該組成物を、錆のある金属物質に噴霧または塗布して、該物質の錆を落とす、または、該物質が錆びるのを防止することを含む、金属物質の錆落とし、または、防錆のための方法を提供する。
【0057】
後述の実施例では、錆びたクギを使用して実験を行った結果、意外にも、本発明の組成物が錆落としに有効であることが判明した。フルボ酸の抗酸化作用は知られていたが、防錆効果だけでなく金属の錆落としも可能とすることは知られていなかった。
【0058】
金属の錆びた部分に該組成物を塗布するか、あるいは、錆びた金属を該組成物の液に漬ける、などの手法により、金属と組成物を接触させ、約30分以上放置する。
【0059】
金属の錆、特に鉄製品の錆は、ブラシなどで機械的に落とすものの、完全に錆を落とすことが難しい。このような錆に対し、本発明の組成物を接触させ、必要に応じて機械的に擦るなどしたのち、所定時間放置することにより、錆を落とすことができる。金属の柱の錆部には、本発明組成物のペーストタイプを該錆部分に塗布するとよい。
【0060】
錆落としまたは防錆用組成物では、有効成分としてのフルボ酸含有腐植物質及びクレーの量は、上で説明した洗浄用組成物と同じ量である。
【0061】
金属錆がみられる物品のすべてが、本発明方法で使用できる。そのような物品の例は、流し台、レンジ、調理器具、包丁、ハサミ、自転車、及びベランダ及び非常階段の手すりなどを挙げることができるが、それらに制限されない。
【0062】
例えば、包丁の場合、ペーストタイプの組成物を充填した包丁収納容器に、包丁を差し込み保管することができる。これにより、錆を防止することができるし、同時に錆落としも可能になる。
【実施例】
【0063】
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はそれらの実施例によって制限されないものとする。
【0064】
[実施例1]
<洗浄例1>
エステで使用されたゴマ油等の油が多量に染み込んだタオル生地を裁断して得た生地片(約14cm×9cm)を、リードアップ(株式会社T&G(熊本)製、1L中にフルボ酸1.8gを含有する。)100倍希釈水溶液100ccおよびクレー(ベントナイト;クニミネ工業製)5g、10g、15g、20gまたは25gを添加し、浸け置き洗いを行った。約30分後に、45℃の温水で4,000倍希釈したリードアップ水溶液2Lで濯ぎ洗いをし、タオル生地を濯ぎ洗いし、乾燥し、洗濯前後のタオル生地の重量を測定し、また、肌触り、色、臭いを評価した。結果を表2に示した。
【0065】
【表2】
【0066】
<洗浄例2>
エステで使用されたゴマ油等の油が多量に染み込んだタオル生地を裁断して得た生地片(約14cm×9cm)を、リードアップ(株式会社T&G(熊本)製、1L中にフルボ酸1.8gを含有する。)100倍希釈水溶液100ccおよびクレー(ベントナイト;クニミネ工業製)5g、10g、15g、20gまたは25gを添加し、浸け置き洗いを行った。約30分後に、45℃の温水に市販の液体石鹸10ccを溶解した洗剤で洗った。その後、タオル生地をよく絞り4,000倍希釈したリードアップ水溶液30ccに漬けてリンスし、タオル生地を濯ぎ洗いし、乾燥し、洗濯前後のタオル生地の重量を測定し、また、肌触り、色、臭いを評価した。結果を表3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】
<洗浄例3>
エステで使用されたゴマ油等の油が多量に染み込んだタオル生地を裁断して得た生地片(約14cm×17cm)を、リードアップ(株式会社T&G(熊本)製、1L中にフルボ酸1.8gを含有する。)水溶液1cc、クレー(ベントナイト;クニミネ工業製)12gまたは17g、市販の洗濯用合成洗剤(界面活性剤として、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウムポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む。ライオントップ・プラチナクリア(商品名)、pH9.1)3.8gを水1Lに添加し、約30分浸け置き洗いを行った。その後、タオル生地を濯ぎ洗いし、乾燥し、洗濯前後のタオル生地の重量を測定し、また、肌触り、色、臭いを評価した。また、比較のために、同じ合成洗剤のみ(25g、水1L)、クレー(12g),合成洗剤(2.7g)および水1Lの組み合わせ、ならびに、クレー(17g),合成洗剤(3.8g)および水1Lの組み合わせについても上記と同様に洗浄試験を行った。結果を表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
<洗浄例4>
エステで使用されたゴマ油等の油が多量に染み込んだタオル生地を裁断して得た生地片(約14cm×17cm)を、リードアップ(株式会社T&G(熊本)製、1L中にフルボ酸1.8gを含有する。)水溶液1ccまたは10cc、クレー(ベントナイト;クニミネ工業製)12gまたは17g、市販の石鹸洗剤(99%脂肪酸ナトリウム含有;エスケー石鹸製)2.7gまたは3.8gを水1Lに添加し、約30分浸け置き洗いを行った。その後、タオル生地を濯ぎ洗いし、乾燥し、洗濯前後のタオル生地の重量を測定し、また、肌触り、色、臭いを評価した。結果を表5に示した。
【0071】
【表5】
【0072】
また、リードアップに代えて、キレートバランス又はキレート(株式会社ミヤモンテJAPAN(兵庫))を用いて同様の試験を行ったところ、同等の洗浄効果が認められた。結果を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
<比較例4〜6>
エステで使用されたゴマ油等の油が多量に染み込んだタオル生地を裁断して得た生地片(約14cm×17cm)を、市販の洗濯用合成洗剤(界面活性剤として、アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウムポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む。ライオントップ・プラチナクリア(商品名)、25g(pH9.1)、水1L)、リードアップ(株式会社T&G(熊本)製、200倍希釈水溶液1L)、またはクレー(ベントナイト(クニミネ工業製)35g、水1L)を添加し、30分浸け置き洗いを行った。その後、タオル生地を濯ぎ洗いし、乾燥し、洗濯前後のタオル生地の重量を測定し、また、肌触り、臭いを評価した。結果を表7に示した。
【0075】
【表7】
【0076】
<スケールアップ洗浄例>
以下の洗浄条件で、エステで使用されたゴマ油等の油が多量に染み込んだタオルを本発明の洗浄用組成物を用いて全自動洗濯機で洗浄した。
1)洗濯機表示水量45Lの温度30℃の温水で洗濯した。
2)洗剤は、本発明のペーストタイプの洗剤(400g)+市販の石鹸洗剤(エスケー石鹸製)(120g)である。
ペースト成分配合比は、以下のとおりである。
100倍希釈のリードアップ(株式会社T&G(熊本)製;原液1L中にフルボ酸1.8g含有)水溶液1000cc、これにさらに、4000倍希釈のリードアップ水溶液150ccを配合する。
クレー170gを配合する。
水1100ccを配合する。
【0077】
3)エステで使用された油(ゴマ油(岩塩、牛乳、多種の薬草抽出物、果実の抽出物などを含有))が多量に染み込んだ大型タオル(敷布程度のサイズ)を使用した。タオル1枚あたり約1000ccの油が浸み込んでおり、洗浄の際、タオル2枚を一緒に洗ったので、約2000ccの油がタオルに染みこんでいた。約50回使ったタオルであり、洗濯しても落としきれなかった油が残留し蓄積された状態のタオルである。
【0078】
上記の洗剤に水を加えてドロドロの状態にし、全自動洗濯機に流し込み、洗濯を約9分行い、続いて水で2回濯ぎ洗いを行い、脱水し、乾燥した。
【0079】
その結果、油は完全に除去され、油臭や刺激がほとんどなく、タオル本来のふっくら感が回復した。
【0080】
[実施例2]
<錆落としおよび防錆例1>
錆びた約5cmクギ(鉄製)1本に、100倍希釈のリードアップ(株式会社T&G(熊本)製)(フルボ酸含有)水溶液リードアップ100ccとクレー(ベントナイト)5gからなるペーストタイプの組成物を全面に塗布し、約2週間放置したのち、錆の除去効果を評価した。
【0081】
その結果、1回の操作で、約70%の錆が除去され、また防錆効果もあった。
【0082】
<錆落としおよび防錆例2>
錆びた約5cmクギ(鉄製)1本を、100倍希釈のリードアップ(株式会社T&G(熊本)製)(フルボ酸含有)水溶液リードアップ200ccとクレー(ベントナイト)5gからなる懸濁タイプの組成物に浸し、約1か月放置したのち、錆の除去効果を評価した。
【0083】
その結果、1回の操作で、約90%以上の錆が除去され、また防錆効果もあった。
【0084】
<錆落としおよび防錆例3>
鉄錆で変色した洗面台(陶器)に、100倍希釈のリードアップ(株式会社T&G(熊本)製)(フルボ酸含有)水溶液リードアップ100ccとクレー(ベントナイト)5gからなるペーストタイプの組成物を塗布し、約30分放置したのち、水で洗い流し、鉄錆による変色の除去効果を評価した。
【0085】
その結果、擦り落とすことなく、約60%の鉄錆が除去され、また防錆効果もあった。