【実施例】
【0054】
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は何ら限定されるものではない。なお、例中、各種測定は下記の方法で実施した。また、以下実施例・比較例・参考例に記載した各成分の生成率(残存率)及び純度は下記条件で測定したHPLCの面積百分率値(反応液中の溶媒及び包接されている有機化合物のピークは除いた修正面積百分率値)であり、収率は、得られた上記式(1)で表されるアルコールが包接体であっても、包接体でないと仮定した場合の見掛収率である。また、実施例・比較例における「多量体」とは上記式(1)で表されるアルコール化合物にエチレンカーボネートが更に1分子以上反応した化合物類のことを示す。
【0055】
(1)HPLC純度
装置 :島津製作所製 LC−2010A、
カラム:SUMIPAX ODS A−211(5μm、4.6mmφ×250mm)、
移動相:純水/アセトニトリル(アセトニトリル30%→100%)、
流量 :1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV 254nm。
【0056】
(2)残存溶媒量、包接化合物含量の分析
溶媒の残存量、または上記式(1)で表されるアルコール化合物に包接されている有機化合物の含量については下記条件に基づくガスクロマトグラフィーにより定量を行った。
装置 :島津製作所製 GC−2014、
カラム:DB−1(0.25μm、0.25mmID×30m)、
昇温:40℃(5分保持)→20℃/min→250℃(10分保持)、
Inj温度:250℃、Det温度:300℃、スプリット比 1:10、
キャリアー:窒素54.4kPa(一定)、
サンプル調製方法:十分に乾燥させた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶100mgを10mlメスフラスコに量り取り、そこへあらかじめ調製していた1,2−ジメトキシエタンのアセトニトリル溶液(1,2−ジメトキシエタン400mgをアセトニトリル200mlに溶解したもの)をホールピペットで5ml加え、アセトニトリルでメスアップさせ溶解したものを試料溶液とした。
一方、残存量(包接量)を測定したい化合物10mgを10mlメスフラスコに量り取り、上述と同量の1,2−ジメトキシエタンのアセトニトリル溶液を加え、アセトニトリルでメスアップさせ溶解したものを標準溶液とした。
試料溶液及び標準溶液を上述の条件にて分析し、得られた各成分のピーク面積をデータ処理装置で求め、各成分の含量(%)を算出した(内部標準法)。
なお、イソプロパノールを含むサンプルについては、試料溶液及び標準溶液の調製に用いる溶媒をアセトニトリルからトリグライムへ変更して実施した。
【0057】
(3)赤外線吸収スペクトル測定
上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を、1回反射型全反射測定装置((株)島津製作所 デュラサンプラーII)を搭載したフーリエ変換赤外分光光度計((株)島津製作所 IRtracer−100)を用い、下記条件にて測定した。
(条件)
分解能:4cm
−1
積算回数:16回
【0058】
(4)YI値
上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶12gを、純度99重量%以上のN,N―ジメチルホルムアミド30mlに溶解させ、以下の条件で得られたN,N―ジメチルホルムアミド溶液のYI値(黄色度)を測定した。
装置 :色差計(日本電色工業社製,SE6000)、
使用セル:光路長33mm 石英セル。
なお、測定に使用するN,N−ジメチルホルムアミド自身の着色が測定値に影響を与えないよう、事前にN,N−ジメチルホルムアミドの色相を測定して補正した。(ブランク測定)。
上述のブランク測定を実施したうえで、サンプルを測定した値を本発明におけるYI値とする。
【0059】
(5)水分値
晶析溶液中の水分値はJIS−K0068に準拠した方法(カールフィッシャー容量滴定法)にて測定した。
【0060】
<実施例1>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン(上記式(2)で表されるフェノール化合物)150g(0.298mol)、炭酸カリウム3.4g(0.025mol)、エチレンカーボネート60.1g(0.682mol)、トルエン225g、およびトリエチレングリコールジメチルエーテル15gを仕込み、115℃まで昇温し、同温度で8時間撹拌後、HPLCにて原料ピークが消失していることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約1%であった。
得られた反応液を90℃まで冷却した後、水225gを加え、80〜85℃で30分撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を濃縮することにより溶媒を除去し、濃縮物を得た。得られた濃縮物にトルエン49g、メタノール188gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1重量%であった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却することにより45℃で結晶を析出させ、同温度で2時間撹拌した。更に22℃まで冷却した後、濾過し結晶を得た。
得られた結晶を内圧1.3kPaの減圧下、内温55〜59℃で3時間乾燥し、結晶の一部をガスクロマトグラフィーで分析した所、メタノールを4重量%含有していることを確認した。更に同条件で3時間乾燥を継続し分析しても、メタノールの含有量が4重量%と変化がなかった。次いで、内圧1.3kPaの減圧下、内温を68℃〜73℃に昇温し更に3時間乾燥することにより、メタノールの含有量が0.2重量%となった。
【0061】
得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
得られた結晶の重さ:139g(収率:79%)
HPLC純度:98.5%(多量体含量:1.1%)
トルエン含量:0.03重量%
メタノール含量:0.2重量%
25℃で液状である有機化合物の含有量:0.25重量%
YI値:0.7
【0062】
赤外線吸収スペクトルを
図1に示す。
図1に示す通り、1148(cm
−1)にピークを有する一方、1153±2(cm
−1)にはピークを有さなかった。
【0063】
<実施例2>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン150g(0.298mol)、炭酸カリウム3.4g(0.025mol)、エチレンカーボネート60.1g(0.682mol)、トルエン225g、およびジエチレングリコールジメチルエーテル150gを仕込み、115℃まで昇温し、同温度で13時間撹拌後、HPLCにて原料ピークが消失していることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約0.5%であった。
得られた反応液を85℃まで冷却した後、水225gを加え、80〜85℃で30分撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を一部濃縮し、上記式(1)で表されるアルコール化合物、トルエン及びジエチレングリコールジメチルエーテルを含む溶液を得た。
該溶液にトルエン54g、メタノール84gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1重量%であり、該溶液中に含まれるトルエンは173g、メタノールは84g、ジエチレングリコールジメチルエーテルは61gであった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却し50℃とした時点で、実施例1で得られた結晶0.01gを種晶として添加した所、結晶が析出した。その後、同温度で1時間撹拌した。更に25℃まで冷却した後、濾過し、結晶を得た。
得られた結晶を内圧1.1kPaの減圧下、内温を68℃〜73℃で3時間乾燥した所、メタノールの含有量は0.2重量%であった。
【0064】
得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
得られた結晶の重さ:123g(収率:70%)
HPLC純度:98.0%(多量体含量:0.10%)
トルエン含量:0.05重量%
25℃で液状である有機化合物の含有量:0.26重量%
YI値:0.7
赤外線吸収スペクトル:1148(cm
−1)にピークを有する一方、1153±2(cm
−1)にはピークを有さなかった。
【0065】
<実施例3−6>
実施例1と同様に反応、後処理を行い濃縮物を得た。得られた濃縮物を4等分し、下記表1に示す比率となるようトルエン、メタノールをそれぞれ添加し、実施例1記載の方法と同様に晶析・乾燥操作を行い、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。各結晶の各分析値を以下表1に示す。なお、表1におけるトルエン・メタノールの添加量はそれぞれの濃縮物に含まれる上記式(1)で表されるアルコール化合物に対する比率(重量倍)である。
【0066】
【表1】
【0067】
<実施例7>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン30.0g(0.060mol)、エチレンカーボネート13.1g(0.149mol)、炭酸カリウム0.7g(0.005mol)、トルエン45.0gおよびシクロヘキサノン15.0gを仕込み、115℃で6時間撹拌し、HPLCにて原料ピークが1%以下であることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約1.0%であった。
得られた反応液を85℃まで冷却した後、水23gを加え、80〜85℃で30分撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を一部濃縮し、上記式(1)で表されるアルコール化合物、トルエン及びシクロヘキサノンを含む溶液を得た。
該溶液にトルエン21g、メタノール38gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1重量%であり、該溶液中に含まれるトルエンは38g、メタノールは38g、シクロヘキサノンは11gであった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却し50℃とした時点で、実施例1で得られた結晶0.01gを種晶として添加した所、結晶が析出した。その後、同温度で1時間撹拌した。更に20℃まで冷却した後、濾過することで結晶をろ別し、得られた結晶を内圧1.3kPaの減圧下、内温を68℃〜73℃で3時間乾燥することで、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。
【0068】
得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
得られた結晶の重さ:26g(収率:73%)
HPLC純度:98.6%(多量体含量:0.8%)
トルエン含量:0.02重量%
メタノール含量:0.1重量%
25℃で液状である有機化合物の含有量:0.15重量%
YI値:1.2
赤外線吸収スペクトル:1148(cm
−1)にピークを有する一方、1153±2(cm
−1)にはピークを有さなかった。
【0069】
<比較例1>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン40.0g(0.080mol)、エチレンカーボネート16.1g(0.183mol)、炭酸カリウム0.8g(0.006mol)およびトルエン40.0gを仕込み、110℃で11時間撹拌し、HPLCにて原料ピークが1%以下であることを確認した。また、反応液中には、多量体が約3%副生していることを確認した。
得られた反応液を85℃まで冷却した後、水68gを加え、80〜85℃で30分撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層をディーンスターク装置を用いて還流下で脱水し、上記式(1)で表されるアルコール化合物が溶解した晶析溶液を得た。該晶析溶液中の水分は0.1重量%であった。
得られた晶析溶液を0.3℃/分で冷却した所、65℃で結晶が析出し、同温度で2時間撹拌した。更に26℃まで冷却した後、濾過し、結晶を得た。
得られた結晶を内圧1.1kPaの減圧下、内温を68℃〜73℃で3時間乾燥したが、トルエンが4重量%含まれていた。内温を110℃まで昇温し、同温度で更に3時間乾燥したが、トルエンの含量は4重量%のままであった。
【0070】
得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
得られた結晶の重さ:39.3g(収率:84%)
HPLC純度:97.5%(多量体含量:2.6%)
トルエン含量:4.1重量%
【0071】
赤外線吸収スペクトルを
図2に示す。
図2に示す通り、1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0072】
<比較例2>
晶析工程においてメタノールの代わりにエタノールを使用し、最終乾燥温度を90℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。得られた結晶の各分析値は以下の通り。
得られた結晶の重さ:127g(収率:72%)
HPLC純度:98.0%(多量体含量:0.8%)
トルエン含量:4.1重量%
赤外線吸収スペクトル:1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0073】
<比較例3〜6>
実施例1と同様に反応、後処理を行い濃縮物を得た。得られた濃縮物を4等分し、下記表2に示す比率となるよう各溶媒をそれぞれ添加し、最終乾燥温度を90℃とする以外は実施例1記載の方法と同様に晶析・乾燥操作を行い、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。各結晶の各分析値を以下表2に示す。なお、表2における各溶媒の添加量はそれぞれの濃縮物に含まれる上記式(1)で表されるアルコール化合物に対する比率(重量倍)である。
【0074】
【表2】
【0075】
上記表2に示す通り、上記式(1)で表されるアルコール化合物は芳香族炭化水素類と包接体を形成し、キシレンを単独で用いた場合や、メタノール以外の溶媒を混合し晶析させても芳香族炭化水素類を包接した包接体が得られることが判明した。
【0076】
<比較例7>
実施例2と同様に反応、後処理を行なった後、溶媒を除去することで濃縮物171gを得た。得られた濃縮物にトルエン228g、メタノール114gを添加後65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌することにより結晶を完溶させた。その後、1.5℃/分で冷却することにより21℃で結晶を析出させ、同温度で2時間撹拌した。その後、濾過し、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。
得られた結晶を内圧1.1kPaの減圧下、内温を68℃〜73℃で3時間乾燥したが、トルエンが4重量%含まれていた。内温を110℃まで昇温し、同温度で更に3時間乾燥したが、トルエンの含量は4重量%のままであった。
【0077】
<比較例8>
反応スケールを10分の1とする以外は特開2001−206863号 実施例6に記載されている方法にて仕込・反応を行い、65℃で1時間撹拌した段階で反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したが、上記式(1)で表されるアルコール化合物は殆ど生成しておらず、原料の9−フルオレノンが98%残存していた。そこで更に同温度で7時間撹拌を継続し、反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したが同様に反応は殆ど進行しておらず、原料の9−フルオレノンが97%残存していた。
そこで特開2001−206863号〔0019〕の記載に基づき、反応温度を65℃から100℃へと変更し同温度で撹拌を継続したところ、原料である9−フルオレノンの消失までに73時間必要であった。
該文献記載に基づく後処理を実施するため、得られた反応液を2分割し、一方にメタノール10g、もう片方にイソプロピルアルコール10gを加え60℃まで加温し、1時間撹拌を継続した後、それぞれ純水30gを加え、30℃まで冷却したが両方とも結晶は析出せず、それぞれ水と分離したタール状の液体が得られた。
【0078】
<比較例9>
9−フルオレノンの使用量を18gとして特開2009−256342号 実施例1記載の方法を追試した所、上記式(1)で表されるアルコール化合物34.2g(収率58%、純度85.1%)を得た。得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
【0079】
キシレン含量:4.8重量%
YI値:51
赤外線吸収スペクトル:1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0080】
<比較例10>
9−フルオレノンの使用量を9gとして特開2009−256342号 実施例2記載の方法を追試した所、上記式(1)で表されるアルコール化合物13.5g(収率46%、純度74.7%)を得た。得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
【0081】
トルエン含量:3.0重量%
YI値:83
赤外線吸収スペクトル:1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0082】
<比較例11>
9−フルオレノンの使用量を18gとして特開2009−256342号 実施例3記載の方法を追試した所、上記式(1)で表されるアルコール化合物23.6g(収率40%、純度91.2%)を得た。得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
【0083】
キシレン含量:5.0重量%
YI値:18
【0084】
赤外線吸収スペクトルを
図3に示す。
図3に示す通り、1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0085】
<比較例12>
9−フルオレノンの使用量を18gとして特開2009−256342号 実施例4記載の方法を追試した所、上記式(1)で表されるアルコール化合物20.7g(収率35%、純度88.6%)を得た。得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
【0086】
キシレン含量:5.2重量%
YI値:46
赤外線吸収スペクトル:1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1152(cm
−1)にピークを有した。
【0087】
<参考例>
実施例1で得られた結晶約5mgに、パスツールピペットを用いてトルエンを2滴振りかけた後、速やかに該結晶のFT−IR分析を実施した。赤外線吸収スペクトルを
図4に示す。
図4に示す通り、包接体でない上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶中に、包接化合物のゲスト分子としてでなく、溶媒残として芳香族炭化水素類を有する場合、包接体特有のピークである1153±2(cm
−1)にはピークを有さず、1148(cm
−1)にピークを有することが判明した。
【0088】
<比較例13>
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンの使用量を50.2gとする以外は特開2009−173647号合成例2記載の方法を追試し、上記式(1)で表されるアルコール化合物45.1g(純度93.8%)を得た。得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
【0089】
ジエチレングリコール含量:24.6重量%
イソプロピルアルコール含量:42.0重量%
赤外線吸収スペクトル:1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0090】
上記追試にて得られた結晶が溶媒で濡れた状態であった為、更に、前記結晶を内圧1.1kPaの減圧下、90℃で8時間乾燥することで、さらさらとした上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶26.2g(純度94.2%)を得た。得られた結晶の各分析値は以下の通り。
【0091】
ジエチレングリコール含量:42.4重量%
イソプロピルアルコール含量:0.3重量%
【0092】
また、得られた結晶の赤外線吸収スペクトルを
図5に示す。
図5に示す通り、1148±2(cm
−1)にピークを有さない一方、1153(cm
−1)にピークを有した。
【0093】
上記の通りジエチレングリコールの含量が殆ど減少していなかった為、内圧1.1kPaの減圧下、乾燥温度を徐々に上昇させた所、約100℃で結晶が溶融しはじめた為、乾燥操作を終了した。
【0094】
<比較例14>
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン30.0g(0.060mol)、エチレンカーボネート12.0g(0.136mol)、炭酸カリウム0.7g(0.005mol)、およびシクロヘキサノン30.0gを仕込み、140℃で7時間撹拌し、HPLCにて原料ピークが1%以下であることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約1.2%であった。
得られた反応液を90℃まで冷却した後、シクロヘキサノン23g、ノルマルヘプタン27gを加え、有機溶媒層を90℃に保ちながら洗浄水が中性となるまで水洗を行った。水洗後、得られた有機溶媒層をディーンスターク装置を用いて還流下で脱水し、上記式(1)で表されるフルオレン骨格を有するアルコールが溶解した晶析溶液を得た。該晶析溶液中の水分は0.1重量%であった。
その後、70℃まで冷却し、70℃で1時間保温することで結晶を析出させた後、同温度で2時間撹拌した。撹拌後、更に19℃まで冷却し、濾過し、結晶を得た。
得られた結晶を内圧1.1kPaの減圧下、内温110℃で5時間乾燥したが、シクロヘキサノンが14重量%含まれていた為、内圧1.1kPaの減圧下、乾燥温度を徐々に上昇させた所、約115℃で結晶が溶融しはじめた為、乾燥操作を終了した。