(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、不溶化能に優れ、経時的に劣化し難い不溶化処理剤、およびかかる不溶化処理剤を使用した不溶化処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記(1)〜(15)の本発明により達成される。
(1) 重金属を含有する有害物質を不溶化処理するための不溶化処理剤であって、
酸化剤として作用する無機酸の金属塩と、
無機酸と、
無機多孔質粒子と、
無機低分子凝集剤と、
無機高分子凝集剤と、を含むことを特徴とする不溶化処理剤。
【0006】
(2) 前記無機酸の金属塩を形成する無機酸と、前記無機酸とが異なる上記(1)に記載の不溶化処理剤。
【0007】
(3) 前記無機酸の金属塩は、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄および硝酸第二セリウムアンモニウムのうちの少なくとも1種である上記(1)または(2)に記載の不溶化処理剤。
【0008】
(4) 前記無機酸の金属塩の含有量は、5〜25重量%である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0009】
(5) 前記無機酸は、硫酸、硝酸および塩酸のうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0010】
(6) 前記無機酸の含有量は、5〜15重量%である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0011】
(7) 前記無機多孔質粒子は、モンモリロナイト、バーミュキュライト、カオリナイトおよびゼオライトのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0012】
(8) 前記無機多孔質粒子の含有量は、5〜25重量%である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0013】
(9) 前記無機低分子凝集剤は、硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0014】
(10) 前記無機低分子凝集剤の含有量は、10〜30重量%である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0015】
(11) 前記無機高分子凝集剤は、ポリ硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄およびポリ塩化アルミニウムのうちの少なくとも1種である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0016】
(12) 前記無機高分子凝集剤の含有量は、30〜50重量%である上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の不溶化処理剤。
【0017】
(13) 前記有害物質を含む被処理物を水に懸濁させて、懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液に、上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の不溶化処理剤を混合する工程と、
前記懸濁液のpHを、pH調整剤を用いて中性領域に調整する工程と、
前記懸濁液から前記水を除去する工程と、を有することを特徴とする不溶化処理方法
【0018】
(14) 前記pH調整剤は、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、紙灰およびペーパースラッジ灰のうちの少なくとも1種である上記(13)に記載の不溶化処理方法。
【0019】
(15) 前記被処理物は、焼却灰である上記(13)ないし(14)のいずれかに記載の不溶化処理方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、重金属を含有する有害物質を長期にわたって安定的に不溶化するとことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の不溶化処理剤および不溶化処理方法について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の不溶化処理剤は、重金属を含有する有害物質を不溶化するための処理剤である。この不溶化処理剤は、後に説明するが、被処理物を水に懸濁させた懸濁液中に添加して使用される。
【0022】
本発明の不溶化処理剤は、酸化剤として作用する無機酸の金属塩と、無機酸と、無機多孔質粒子と、無機低分子凝集剤と、無機高分子凝集剤とを含むことを特徴とする。
以下、不溶化処理剤に含まれる各成分について、順次説明する。
【0023】
<無機酸の金属塩>
無機酸の金属塩は、重金属等の金属に対する酸化剤として作用する。
具体的には、無機酸の金属塩は、被処理物を水に懸濁させた懸濁液中に元素状態で存在する金属(非イオン状態の金属)を酸化させ、金属イオンとして懸濁液中に溶出させる。
【0024】
したがって、かかる無機酸の金属塩としては、酸化性の高い金属塩を選択して用いることが好ましい。無機酸の金属塩の具体例としては、例えば、硫酸第一鉄(硫酸鉄(II):FeSO
4)、硫酸第二鉄(硫酸鉄(III):Fe
2(SO
4)
3)、硝酸第二鉄(硝酸鉄(III):Fe(NO
3)
3)、塩化第二鉄(塩化鉄(III):FeCl
3)、シュウ酸第二鉄(シュウ酸鉄(III):Fe
2(C
2O
4)
3、硝酸第二セリウムアンモニウム(硝酸セリウム(IV)アンモニウム:Ce(NO
3)
4・2NH
4NO
3)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
これらの中でも、無機酸の金属塩としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄および硝酸第二セリウムアンモニウムのうちの少なくとも1種が好ましい。これらの無機酸の金属塩は、金属に対する酸化性が特に高く、また比較的容易に入手可能である。
このような無機酸の金属塩の含有量は、特に限定されないが、5〜25重量%程度であることが好ましく、10〜20重量%程度であることがより好ましい。これにより、懸濁液中に元素状態で存在する金属を十分にイオン化することができる。
【0026】
<無機酸>
無機酸は、例えば、本発明の不溶化処理剤に含まれる各種金属塩が不溶性の金属塩(金属化合物)として懸濁液中に析出(沈殿)することを防止するように作用する。これにより、不溶化処理剤を安定した状態で長期にわたって保管することができる。
また、無機酸は、被処理物の塊を粒子にバラけさせるようにも作用する。これにより、より多くの金属をイオン化させ、懸濁液中に溶出させることができる。
【0027】
かかる無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硝酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、硫酸、フッ化水素酸等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、無機酸としては、硫酸、硝酸および塩酸のうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらの無機酸を用いることにより、前記効果がより高まる。
【0028】
また、無機酸は、無機酸の金属塩を形成する無機酸と同じであってもよいが、異なることが好ましい。この場合の組み合わせてとしては、例えば、硫酸第二鉄と硝酸との組み合わせ、硝酸第二鉄と硫酸との組み合わせ、硫酸第二鉄と塩酸との組み合わせ等が挙げられる。
【0029】
なお、無機酸(例えば、硝酸)によっては、金属の酸化剤として作用することもできる。
このような無機酸の含有量は、特に限定されないが、5〜15重量%程度であることが好ましく、7.5〜12.5重量%程度であることがより好ましい。これにより、各種金属塩が不溶性の金属塩として析出することを十分に防止することができるとともに、被処理物の粒子をより細かくバラけさせることができる。
【0030】
<無機多孔質粒子>
無機多孔質粒子は、複数の細孔を有する粒子である。この無機多孔質粒子は、その細孔内に金属イオン(重金属イオン)を保持する他、懸濁液中にイオン状態で存在するフッ素、セレン、シアン等も細孔内に保持するように作用する。
【0031】
無機多孔質粒子としては、特に限定されないが、例えば、モンモリロナイト、カオリナイト(カオリン)、バーミュキュライト、ゼオライト、焼成パーライト、焼成黒曜石、焼成軽石、雲母、麦飯石等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
これらの中でも、二酸化ケイ素(SiO
2)を主成分とし、酸化アルミニウム(Al
2O
3)を多く含有する無機多孔質粒子が好ましい。このような無機多孔質粒子中では、二酸化ケイ素(シリカ)がシリカ四面体構造を形成し、酸化アルミニウム(アルミナ)がアルミナ八面体構造を形成し、これらが互いに層状に重なり合って存在している。
【0033】
また、シリカ四面体構造およびアルミナ八面体構造は、いずれも強固な吸着固定基を備えるため、金属イオン(陽イオン)および陰イオンの双方を確実に固定することができる。
二酸化ケイ素を主成分とし、酸化アルミニウムを多く含有し、多孔性が特に高いことから、無機多孔質粒子としては、モンモリロナイト、バーミュキュライト、カオリナイトおよびゼオライトのうちの少なくとも1種が好適に用いられる。
【0034】
このような無機多孔質粒子の含有量は、特に限定されないが、5〜25重量%であることが好ましく、10〜20重量%程度であることがより好ましい。これにより、無機多孔質粒子の細孔内に吸着固定される有害物質の量をより増大させることができる。
【0035】
<無機低分子凝集剤>
無機低分子凝集剤は、無機多孔質粒子を凝集させ、その凝集体(フロック)を形成するように作用する。無機多孔質粒子が凝集することにより、細孔内から有害物質が溶出(再溶出)することをより確実に防止することができるようになる。
【0036】
無機低分子凝集剤としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、リン酸、チオ硫酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
これらの中でも、凝集作用がより高いことから、アルミニウム系の無機低分子凝集剤が好ましく、硫酸アルミニウムおよび塩化アルミニウムのうちの少なくとも1種がより好ましい。
このような無機低分子凝集剤の含有量は、10〜30重量%程度であることが好ましく、15〜25重量%程度であることがより好ましい。これにより、無機多孔質粒子に対する無機低分子凝集剤の凝集作用を必要かつ十分に発揮させることができる。
【0038】
<無機高分子凝集剤>
無機高分子凝集剤は、無機多孔質粒子の凝集体(フロック)をさらに絡めるようにして、粗大凝集体(粗大フロック)を形成するように作用する。これにより、無機多孔質粒子の細孔内から有害物質が溶出することをさらに強力に防止することができるようになる。
【0039】
無機高分子凝集剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリ硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄([Fe
2(OH)
n(SO
4)
3−n/2]
m)(ただし2<n、m>10))、ポリ塩化アルミニウム([Al
2(OH)
nCl
6−n]
m(ただし1≦n≦5、m≦10))、鉄−シリカ凝集剤、塩化第二鉄−シリカ凝集剤(PSI)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
比較的少ない量でも十分な凝集作用を発揮することから、無機高分子凝集剤としては、ポリ硫酸第二鉄およびポリ塩化アルミニウムのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
また、これらの無機高分子凝集剤は、無機酸の金属塩によるイオン化した重金属等の金属を懸濁液中に溶出させる効果を増強させる作用を有することからも好ましい、
【0041】
このような無機高分子凝集剤の含有量は、30〜50重量%程度であることが好ましく、35〜45重量%程度であることがより好ましい。これにより、前述したような効果が如何なく発揮される。
以上説明したような本発明の不溶化処理剤は、常温(室温)において、液状をなしている。このため、本発明の不溶化処理剤は、必要量を分取し、懸濁液に添加するだけでよいので、取り扱いに便利である。
【0042】
また、本発明の不溶化処理剤は、これを構成する各成分がいずれも無機物であるため、保存安定性に優れる。
このような不溶化処理剤のpHは。0.1〜1程度であることが好ましく、0.2〜0.7程度であることがより好ましい。
【0043】
次に、本発明の不溶化処理剤の使用方法、すなわち本発明の有害物質の不溶化処理方法について説明する。
[1] まず、有害物質を含む被処理物に水を添加して撹拌することにより、被処理物を水に懸濁させて、懸濁液を調製する。
【0044】
ここで、被処理物としては、特に限定されないが、例えば、焼却灰、汚染土壌、汚泥(沼地)等が挙げられるが、本発明の不溶化処理剤は、焼却灰(特に、産業廃棄物の焼却灰である中間灰)の不溶化処理に好適に使用することができる。
また、水の添加量は、被処理物100重量部に対して、好ましくは25〜125重量部程度、より好ましくは50〜100重量部程度である。
【0045】
撹拌時間は、1〜15分間程度であることが好ましく、5〜10分間程度であることがより好ましい。
また、このとき、懸濁液のpHは、通常、7〜9程度となる。
【0046】
[2] 次に、懸濁液に、本発明の不溶化処理剤を混合して、撹拌する。
これにより、懸濁液中の有害物質は、無機多孔質粒子の細孔内に吸着固定されるとともに、無機多孔質粒子同士は、無機低分子凝集剤および無機高分子凝集体の作用により凝集体を形成して沈降する。
不溶化処理剤の添加量は、懸濁液100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部程度、より好ましくは5〜15重量部程度である。
【0047】
撹拌時間は、5〜30分間程度であることが好ましく、10〜20分間程度であることがより好ましい。
また、このとき、懸濁液のpHは、好ましくは4未満、より好ましくは2以上4未満となる。
【0048】
[3] 次に、懸濁液にpH調整剤を添加して撹拌することにより、懸濁液のpHを中性領域(例えば、6,5〜7,5程度)に調整する。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、紙灰、ペーパースラッジ灰、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
これらの中でも、pH調整剤としては、炭酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、紙灰およびペーパースラッジ灰の少なくとも1種であることが好ましい。炭酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、紙灰やペーパースラッジ灰は、安価かつ容易に入手することができるためである。
また、紙灰は、炭素粒子を多く含むため、懸濁液中に残存する有害物質を吸着したり、臭気成分を吸着することもできる。
【0050】
ここで、紙灰とは、紙を焼却することにより生成される灰のことを指すが、アルミニウムがコートされた紙を焼却することにより生成される灰がより好ましい。このような灰は、炭素粒子に加えて、酸化アルミニウムおよび二酸化ケイ素を含むため、無機多孔質粒子で説明したのと同様の作用も期待できる。
【0051】
また、ペーパースラッジ灰とは、古紙から再生紙を製造する際、紙にならずに排水中に流失した短繊維や無機物を濃縮し脱水したペーパースラッジの焼却灰である。ペーパースラッジ灰は、酸化アルミニウム、酸化第二鉄、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、ケイ酸、マグネシウム、チタン、リン酸、無水硫酸等を含有する。
ペーパースラッジ灰は、酸化カルシウムや酸化ナトリウムを含有することにより、pH調整剤として作用することができ、また酸化アルミニウムを含有することにより、無機多孔質粒子で説明したのと同様の作用も期待できる。
【0052】
このようなpH調整剤の添加量は、被処理物100重量部に対して、好ましくは5〜20重量部程度、より好ましくは10〜15重量部程度である。
撹拌時間は、1〜15分間程度であることが好ましく、3〜10分間程度であることがより好ましい。
【0053】
[4] 次に、懸濁液を静置することにより、沈殿物を生成させた後、懸濁液を乾燥させる。これにより、懸濁液から水が除去されて固形物が得られる。
乾燥は、加熱乾燥、減圧乾燥のような強制乾燥により行ってもよいが、自然乾燥(自然風乾)により行うことが好ましい。自然乾燥によれば、懸濁液が激しく撹拌されるようなことがないため、重金属等の有害物質が無機多孔質粒子から離脱することを好適に防止することができる。
【0054】
得られた固形物は、特に限定されないが、例えば、セメント材料、コンクリート材料、アスファルト材料、骨材、地盤改良材、埋立(山、川、海)等に利用可能である。これらの材料に固形物を用いても、本発明によれば、重金属等の有害物質の環境への溶出を防止することができ、安全性が高い。
【0055】
以上、本発明の不溶化処理剤および不溶化処理方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明の不溶化処理剤は、他の任意の成分を含有してもよいし、同様の機能を発揮する成分と置換されてもよい。また、本発明の不溶化処理方法は、1以上の任意の目的の工程を含んでもよい。
【実施例】
【0056】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.不溶化処理剤の調製
(実施例1)
以下の処方の不溶化処理剤(pH:約0.4)を調製した。
【0057】
硫酸第二鉄(無機酸の金属塩) :15.0重量%
75%硫酸水溶液(無機酸) :12.5重量%
モンモリロナイト(無機多孔質粒子) :15.0重量%
硫酸第二鉄(無機低分子凝集剤) :20.0重量%
ポリ硫酸第二鉄(無機高分子凝集剤) :37.5重量%
【0058】
(実施例2)
以下の処方の不溶化処理剤(pH:約0.5)を調製した。
硝酸第二鉄(無機酸の金属塩) :15.5重量%
80%硝酸水溶液(無機酸) :12.0重量%
バーミュキュライト(無機多孔質粒子) :15.5重量%
塩化アルミニウム(無機低分子凝集剤) :22.5重量%
ポリ塩化アルミニウム(無機高分子凝集剤) :34.5重量%
【0059】
(実施例3)
以下の処方の不溶化処理剤(pH:約0.7)を調製した。
硝酸第二セリウムアンモニウム(無機酸の金属塩) :20.0重量%
60%硫酸水溶液(無機酸) :13.0重量%
カオリナイト(無機多孔質粒子) :25.0重量%
塩化第二鉄(無機低分子凝集剤) :17.0重量%
ポリ硫酸第二鉄(無機高分子凝集剤) :25.0重量%
【0060】
(実施例4)
以下の処方の不溶化処理剤(pH:約0.3)を調製した。
硝酸第二鉄(無機酸の金属塩) :12.5重量%
75%硫酸水溶液(無機酸) :12.5重量%
ゼオライト(無機多孔質粒子) :15.0重量%
硫酸アルミニウム(無機低分子凝集剤) :25.0重量%
ポリ硫酸第二鉄(無機高分子凝集剤) :35.0重量%
【0061】
(実施例5)
以下の処方の不溶化処理剤(pH:約0.5)を調製した。
硫酸第二鉄(無機酸の金属塩) :12.5重量%
75%塩酸水溶液(無機酸) :15.0重量%
ゼオライト(無機多孔質粒子) :20.0重量%
塩化第二鉄(無機低分子凝集剤) :17.5重量%
ポリ塩化アルミニウム(無機高分子凝集剤) :35.0重量%
【0062】
2.焼却灰中における有害物質の含有量の測定
回収した焼却灰を、環境庁告示第19号・土壌含有量調査に係る測定方法に従って、焼却灰中の有害物質の含有量を測定した。
その結果を、表1に示す。
【0063】
3.焼却灰の処理
まず、回収された焼却灰200gに水150gを添加して、5分間撹拌することにより、懸濁液(pH:約7.4)を得た。
次に、この懸濁液に、実施例1〜5で調整した不溶化処理剤17.5gをそれぞれ添加して、15分間撹拌した。なお、この時点で、各懸濁液のpHは、4未満となった。
【0064】
次に、各懸濁液にペーパースラッジ灰(pH調整剤)20gを添加して、3分間撹拌した。その後、各懸濁液を静置すると、沈殿物が生成した。
次に、各懸濁液を自然風乾して、固形物を得た。
【0065】
4.固形物からの有害物質の溶出量の測定
固形物からの有害物質の溶出量は、環境庁告示第18号・土壌溶出量調査に係る測定方法に従って測定した。なお、溶出水中の重金属等の測定は、JIS K 0102「工場排水試験方法」に従って行った。
この結果を、表1に併せて示す。
【0066】
【表1】
単位:mg/L
【0067】
表1に示すように、実施例1〜5で調製された不溶化処理剤を用いることにより、重金属等の有害物質の溶出量を報告下限以下に抑えることができた。
【解決手段】本発明の不溶化処理剤は、重金属を含有する有害物質を不溶化処理するための不溶化処理剤であり、酸化剤として作用する無機酸の金属塩と、無機酸と、無機多孔質粒子と、無機低分子凝集剤と、無機高分子凝集剤とを含むことを特徴とする。無機酸の金属塩は、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄および硝酸第二セリウムアンモニウムのうちの少なくとも1種であることが好ましく、無機酸は、硫酸、硝酸および塩酸のうちの少なくとも1種であることが好ましく、無機多孔質粒子は、モンモリロナイト、バーミュキュライト、カオリナイトおよびゼオライトのうちの少なくとも1種であることが好ましい。