(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に係る貨幣処理機を図面を参照して以下に説明する。本実施形態の貨幣処理機は、金融機関の窓口に設置されて窓口操作員(テラー)によって使用される窓口処理機である。
【0022】
本実施形態の貨幣処理機10は、
図1に示すように、操作端末装置11と、操作端末装置11にネットワークを介して接続される貨幣処理機本体12と、操作端末装置11および貨幣処理機本体12にネットワークを介して接続されて紙面に印字を行うプリンタ13とを有している。ここで、貨幣処理機本体12は左右二人の窓口操作員により共用されるものであり、操作端末装置11およびプリンタ13は左右二人の窓口操作員のそれぞれに対し設けられるものである。説明の便宜上、一方の窓口操作員用の操作端末装置11およびプリンタ13と貨幣処理機本体12との構成を例にとり説明する。
【0023】
操作端末装置11は、パーソナルコンピュータからなるもので、窓口操作員により操作入力が行われるキーボード等からなる端末操作部15と、窓口操作員に対し表示を行う液晶モニタ等からなる端末表示部16と、端末操作部15からの信号に基づいて、端末表示部16の表示画面を制御し入金指示信号および出金指示信号等を貨幣処理機本体12に送信したり、プリンタ13に印字指示信号を送信する端末本体17とを有している。端末本体17は、各部を制御する端末制御部18と端末記憶部19とを備えている。
【0024】
本実施形態の貨幣処理機本体12には、窓口操作員により操作入力が行われる本体操作部25と、窓口操作員に対し表示を行う液晶モニタ等からなる本体表示部26とが上面に設けられている。これら本体操作部25および本体表示部26は、貨幣処理機本体12の各部を制御する
図2に示す本体制御部(照合手段,残置判定手段)27に接続されており、本体制御部27には本体記憶部(不整合記憶手段)28が接続されている。
【0025】
図1に示すように、貨幣処理機本体12の上面には、機外から入金硬貨が投入される硬貨入金口30が設けられている。硬貨入金口30は、待機状態である閉状態から開状態になることで、機外から一括投入される硬貨を受け入れることになり、また、受け入れた硬貨を、閉状態となってから一枚ずつ分離して機内へ繰り出す。
【0026】
貨幣処理機本体12には、高さ方向の中央よりも上部側に機体の前面から後方に凹む凹部32が設けられており、この凹部32には受皿33が挿入可能となっている。凹部32の天井面には、凹部32内に挿入された受皿33内に機内から硬貨を放出する
図3に示す硬貨放出口35が設けられている。また、
図1に示すように、貨幣処理機本体12には、凹部32の側方に、硬貨が機外に取り出し可能に繰り出される硬貨入金リジェクト口36が設けられている。
【0027】
貨幣処理機本体12は、その上面と凹部32との間の部分が、硬貨入金口30、
図3に示す硬貨放出口35および硬貨入金リジェクト口36を含む硬貨処理部40となっている。
【0028】
図3に示すように、硬貨処理部40は、上記した硬貨入金口30と、硬貨入金口30から繰り出された硬貨を識別しつつ計数する硬貨入金識別部41と、硬貨入金識別部41の識別結果に基づいて硬貨を二方向に振り分ける硬貨入金振分部42と、硬貨入金識別部41で受け入れ可能と識別されて硬貨入金振分部42で一方に案内された硬貨を一時貯留させる硬貨一時貯留部43と、硬貨入金識別部41で受け入れ不可と識別されて硬貨入金振分部42で他方に案内された硬貨を機外に取り出し可能に繰り出す上記した硬貨入金リジェクト口36とを有している。
【0029】
硬貨一時貯留部43は、一時貯留した硬貨を一枚ずつ分離して繰り出すことになり、硬貨処理部40は、硬貨一時貯留部43から繰り出された硬貨を二方向に振り分ける硬貨返却振分部45と、硬貨返却振分部45で一方に案内された硬貨を機外に取り出し可能に放出する上記した硬貨放出口35と、硬貨返却振分部45で他方に案内された硬貨を識別しつつ計数する硬貨収納識別部(計数手段)46と、硬貨収納識別部46の識別結果に基づいて硬貨を金種別に振り分ける硬貨金種別振分部47と、硬貨金種別振分部47で金種別に振り分けられた硬貨を金種別に収納する硬貨収納部48,48,…とを有している。
【0030】
硬貨処理部40は、それぞれが、硬貨収納部48,48,…の対応する一つから硬貨を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す硬貨計数繰出部(計数手段)50,50,…と、硬貨計数繰出部50,50,…で繰り出された硬貨を三方向に振り分ける硬貨出金振分部51と、硬貨出金振分部51で一方に案内された硬貨を収納する硬貨回収金庫52とを有している。硬貨出金振分部51は、硬貨を、硬貨回収金庫52と硬貨放出口35と硬貨一時貯留部43とに振り分ける。
【0031】
硬貨処理部40は、硬貨入金口30の硬貨の有無を検出する入金口硬貨検出手段54を有しており、また、硬貨処理部40での硬貨の詰まりである硬貨ジャム(貨幣ジャム)を含む取引異常の有無を検出する硬貨取引異常検出手段(取引異常検出手段)55を有している。この硬貨取引異常検出手段55は、硬貨処理部40の硬貨の搬送路上に適宜配置された複数の硬貨検出センサを含んでおり、いずれかの硬貨検出センサが移動すべき硬貨の停止状態を検出することにより硬貨ジャムを検出する。
【0032】
図1に示すように、貨幣処理機本体12は、凹部32よりも下側が機体前方に突出している。この突出部分の上面には、機体後側に、機外から入金紙幣が投入される紙幣入金口60が設けられており、紙幣入金口60よりも機体前側に、紙幣が機外に取り出し可能に繰り出される紙幣出金口61が設けられている。紙幣入金口60は、待機状態である閉状態から開状態になることで、機外から集積状態で一括投入される紙幣を受け入れることになり、また、受け入れた紙幣を、閉状態になってから一枚ずつ分離して機内へ繰り出す。紙幣出金口61は、待機状態である閉状態にあるとき、一枚ずつ機内で搬送されてきた紙幣を集積させることになり、また、開状態になると集積状態の紙幣が機外に取り出し可能となる。
【0033】
貨幣処理機本体12は、凹部32よりも下側の部分が、紙幣入金口60および紙幣出金口61を含む紙幣処理部65となっている。
【0034】
図4に示すように、紙幣処理部65は、上記した紙幣入金口60と、紙幣入金口60から繰り出された紙幣を識別しつつ計数する紙幣入金識別部(計数手段)71と、紙幣入金識別部71の識別結果に基づいて紙幣を複数の方向に振り分ける紙幣入金振分部72と、紙幣入金識別部71で受け入れ可能と識別されて紙幣入金振分部72で一方に案内された紙幣を一時貯留させる紙幣一時貯留部73と、紙幣入金識別部71で受け入れ不可と識別されて紙幣入金振分部72で他方に案内された紙幣を機外に取り出し可能に繰り出す上記した紙幣出金口61と、紙幣入金振分部72でさらに他方に案内された紙幣を繰り出し不可に収納する紙幣機内リジェクト部(リジェクト部)74とを有している。紙幣機内リジェクト部74は、貨幣処理機本体12の機内で発生したリジェクト紙幣(リジェクト貨幣)を繰り出し不可に収納する。
【0035】
紙幣一時貯留部73は、一時貯留した紙幣を一枚ずつ分離して繰り出すことになり、紙幣処理部65は、紙幣一時貯留部73から繰り出された紙幣を紙幣出金口61と紙幣入金識別部71とに振り分ける紙幣返却振分部75を有している。上記した紙幣入金振分部72は、紙幣一時貯留部73から紙幣返却振分部75を介して紙幣入金識別部71に案内された紙幣を金種別に振り分けることになり、このように紙幣入金振分部72で振り分けられた紙幣を金種別に収納する紙幣収納部(収納部)78,78,…を、紙幣処理部65は有している。
【0036】
紙幣処理部65は、それぞれが、紙幣収納部78,78,…の対応する一つから紙幣を一枚ずつ分離して計数しつつ繰り出す紙幣計数繰出部80,80,…と、紙幣計数繰出部80,80,…で繰り出された紙幣を計数しつつ重送や斜行等の異常搬送を検出する紙幣出金識別部(計数手段)81と、紙幣出金識別部81で識別後の紙幣をその識別結果に基づいて四方向に振り分ける紙幣出金振分部82と、紙幣出金振分部82で一方に案内された紙幣を収納する紙幣回収金庫83とを有している。紙幣出金振分部82は、紙幣を、紙幣回収金庫83と紙幣出金口61と紙幣一時貯留部73と紙幣機内リジェクト部74とに振り分ける。
【0037】
紙幣処理部65は、紙幣入金口60の紙幣の有無を検出する入金口紙幣検出手段84を有しており、また、紙幣処理部65での紙幣の詰まりである紙幣ジャム(貨幣ジャム)を含む取引異常の有無を検出する紙幣取引異常検出手段(取引異常検出手段)85を有している。この紙幣取引異常検出手段85は、紙幣処理部65の紙幣の搬送路上に適宜配置された複数の紙幣検出センサを含んでおり、いずれかの紙幣検出センサが移動すべき紙幣の停止状態を検出することにより紙幣ジャムを検出する。紙幣処理部65は、紙幣機内リジェクト部74内の紙幣の有無を検知するリジェクト検知手段86を有している。
【0038】
図1に示すように、貨幣処理機本体12は、筐体90と、いずれも筐体90にスライド可能に支持された上部ユニット(開閉部)91と中間ユニット(開閉部)92と下部ユニット(開閉部)93とを有している。上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93は、いずれも筐体90から引き出されることで内部が機外に露出する開状態となり、筐体90に押し込まれることで内部が筐体90で覆われる閉状態となる。貨幣処理機本体12は、上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のそれぞれの開作動を検出する
図2に示す開作動検出手段95を有している。この開作動検出手段95は、バッテリ96で給電されるものであり、主電源がオフの状態でも、上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のそれぞれの開作動を検出し記憶可能となっている。
【0039】
図1に示す上部ユニット91には、硬貨入金口30を含む
図3に示す硬貨処理部40が設けられている。硬貨処理部40に取引異常が生じた場合に、操作者は、
図1に示す上部ユニット91を筐体90から引き出し硬貨処理部40の筐体90に覆われていた部分を露出させてジャム硬貨の除去等、取引異常を解消する操作を行う。また、
図3に示す硬貨回収金庫52から硬貨を機外に回収する場合も、操作者は、
図1に示す上部ユニット91を筐体90から引き出し硬貨処理部40の筐体90に覆われていた部分を露出させてこの部分にある
図3に示す硬貨回収金庫52を取り外し、この硬貨回収金庫52から硬貨を取り出す。
【0040】
図1に示す中間ユニット92には、紙幣入金口60および紙幣出金口61と、
図4に示す紙幣機内リジェクト部74とを含む紙幣処理部65の上部が設けられている。紙幣処理部65の上部に取引異常が生じた場合に、操作者は、
図1に示す中間ユニット92を筐体90から引き出して紙幣処理部65の上部の筐体90に覆われていた部分を露出させてジャム紙幣の除去等、取引異常を解消する操作を行う。また、
図4に示す紙幣機内リジェクト部74から紙幣を取り出す場合も、操作者は、
図1に示す中間ユニット92を筐体90から引き出して紙幣処理部65の上部の筐体90に覆われていた部分を露出させてこの部分にある
図4に示す紙幣機内リジェクト部74から紙幣を取り出すことになる。
【0041】
図1に示す下部ユニット93には、紙幣処理部65の
図4に示す紙幣収納部78,78,…および紙幣回収金庫83を含む下部が設けられている。紙幣処理部65の下部に取引異常が生じた場合に、操作者は、
図1に示す下部ユニット93を筐体90から引き出して紙幣処理部65の下部の筐体90に覆われていた部分を露出させてジャム紙幣の除去等、取引異常を解消する操作を行う。また、
図4に示す紙幣回収金庫83から紙幣を機外に回収する場合も、操作者は、
図1に示す下部ユニット93を筐体90から引き出して紙幣処理部65の下部の筐体90に覆われていた部分を露出させてこの部分に設けられている
図4に示す紙幣回収金庫83を取り外し、この紙幣回収金庫83から紙幣を取り出す。
【0042】
次に、以上の構成の貨幣処理機10の各処理について説明する。なお、貨幣処理機10は硬貨および紙幣の両方を一度に処理したり、硬貨および紙幣のいずれか一方のみを処理することが可能であるが、以下では硬貨と紙幣とを一度に処理する場合を例にとり説明する。
【0043】
[入金関連処理]
操作端末装置11において端末操作部15に入金処理の選択操作と金種別の入金枚数の操作入力とが行われて入金処理の実行操作が入力されると、端末制御部18は、この金種別の入金枚数の操作入力値を日時情報とともに端末記憶部19に一時記憶させる。それとともに、端末制御部18は、貨幣処理機本体12の本体制御部27に入金処理の指示信号を送信する。本体制御部27は、入金処理の指示信号を受信すると、硬貨入金口30を開いて硬貨の投入が可能な状態とし、紙幣入金口60を開いて紙幣の投入が可能な状態とする。そして、本体制御部27は、硬貨入金口30に硬貨が投入されたことを入金口硬貨検出手段54が検出すると、硬貨処理部40で以下の硬貨入金処理を行い、また、紙幣入金口60に紙幣が投入されたことを入金口紙幣検出手段84が検出すると、紙幣処理部65で以下の紙幣入金処理を行う。
【0044】
「硬貨入金処理」
硬貨入金口30を閉じて硬貨入金口30から硬貨を一枚ずつ分離して機内へ繰り出し、硬貨入金識別部41で識別する。そして、硬貨入金識別部41で受け入れ可能と識別された硬貨を硬貨入金振分部42で硬貨一時貯留部43に搬送し、硬貨入金識別部41で受け入れ不可と識別された硬貨を硬貨入金振分部42で硬貨入金リジェクト口36に搬送する。硬貨入金リジェクト口36に搬送された硬貨は機外に取り出し可能となる。
【0045】
「紙幣入金処理」
紙幣入金口60を閉じて紙幣入金口60から紙幣を一枚ずつ分離して機内へ繰り出し、紙幣入金識別部71で識別する。そして、紙幣入金識別部71で受け入れ可能と識別された紙幣を紙幣入金振分部72で紙幣一時貯留部73に搬送し、紙幣入金識別部71で受け入れ不可と識別された紙幣を紙幣入金振分部72で紙幣出金口61に搬送する。紙幣出金口61に搬送された紙幣がある場合、紙幣出金口61を開いて機外に取り出し可能とする。
【0046】
上記した硬貨入金処理および紙幣入金処理が終了すると、本体制御部27は、硬貨入金識別部41の識別結果つまり硬貨の金種別の入金枚数の計数値である受け入れ可能な入金硬貨の金種別の枚数データと、紙幣入金識別部71の識別結果つまり紙幣の金種別の入金枚数の計数値である受け入れ可能な入金紙幣の金種別の枚数データとを日時情報とともに、本体記憶部28に一時記憶させるとともに端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18は、金種別の入金枚数の計数値である受け入れ可能な入金硬貨の金種別の枚数データおよび入金紙幣の金種別の枚数データと、端末記憶部19に一時記憶された金種別の入金枚数の操作入力値と、了解操作およびキャンセル操作のいずれか一方の選択入力を促す表示とを、端末表示部16に表示させる。
【0047】
これを見て窓口操作者が端末操作部15に了解操作を入力すると、端末制御部18は、入金処理の開始時に入力されて端末記憶部19に一時記憶された金種別の入金枚数の操作入力値を日時情報とともに端末記憶部19に確定記憶させるとともに、この金種別の入金枚数の操作入力値と入金収納処理の指示信号とを本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、受信した金種別の入金枚数の操作入力値と、本体記憶部28に一時記憶させていた金種別の入金枚数の計数値と、日時情報とを関連づけて本体記憶部28に確定記憶させ、さらに、硬貨処理部40で以下の硬貨入金収納処理を行い、紙幣処理部65で以下の紙幣入金収納処理を行う。
【0048】
また、窓口操作者が端末操作部15にキャンセル操作を入力すると、端末制御部18は、入金処理の開始時に入力されて端末記憶部19に一時記憶された金種別の入金枚数の操作入力値を消去するとともに、入金返却処理の指示信号を本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、本体記憶部28に一時記憶させていた金種別の入金枚数の計数値を消去するとともに、硬貨処理部40で以下の硬貨入金返却処理を行い、紙幣処理部65で以下の紙幣入金返却処理を行う。
【0049】
ここで、金種別の入金枚数の操作入力値と金種別の入金枚数の計数値とが一致しない場合もある。例えば、窓口操作者が操作を急いでいる状態で、硬貨入金リジェクト口36にリジェクトされた硬貨がある場合や、紙幣出金口61にリジェクトされた紙幣がある場合に、窓口操作者が、リジェクト貨幣の状態を目視で確認して、金種別の入金枚数の計数値にリジェクトされた貨幣の分を加えれば、金種別の入金枚数の操作入力値と一致することが確認される場合に、後で手入力で数値を合わせることを前提に、端末操作部15に了解操作を入力する場合等である。
【0050】
金種別の入金枚数の操作入力値と金種別の入金枚数の計数値とが一致しない不整合を生じた状態で、端末操作部15に了解操作が入力されると、端末制御部18は、入金処理の開始時に入力されて端末記憶部19に一時記憶された金種別の入金枚数の操作入力値を日時情報とともに端末記憶部19に確定記憶させるとともに、この金種別の入金枚数の操作入力値と、入金収納処理の指示信号と、不整合を生じている旨の信号とを本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、受信した金種別の入金枚数の操作入力値と、本体記憶部28に一時記憶させていた金種別の入金枚数の計数値と、これらが不整合を生じている旨と、日時情報とを関連づけて本体記憶部28に確定記憶させる。つまり、本体記憶部28は入金処理に関連する操作入力値と計数値との不整合を時系列的に記憶する。
【0051】
「硬貨入金収納処理」
硬貨一時貯留部43から硬貨を一枚ずつ分離して繰り出し、硬貨返却振分部45で硬貨収納識別部46に搬送し硬貨収納識別部46で識別する。そして、硬貨収納識別部46の識別結果に基づいて、硬貨を硬貨金種別振分部47によって硬貨収納部48,48,…のうちの対応する金種のものに案内して収納する。
【0052】
「紙幣入金収納処理」
紙幣一時貯留部73から紙幣を一枚ずつ分離して繰り出し、紙幣返却振分部75で紙幣入金識別部71に搬送し紙幣入金識別部71で識別する。そして、紙幣入金識別部71の識別結果に基づいて、紙幣を紙幣入金振分部72によって紙幣収納部78,78,…のうちの対応する金種のものに案内して収納する。また、紙幣入金識別部71で重送や斜行等の異常搬送と識別された紙幣を、紙幣入金振分部72によって紙幣機内リジェクト部74に案内して収納する。
【0053】
「硬貨入金返却処理」
硬貨一時貯留部43から硬貨を一枚ずつ分離して繰り出し、硬貨返却振分部45によって硬貨放出口35に搬送し、硬貨放出口35から受皿33に放出する。
【0054】
「紙幣入金返却処理」
紙幣一時貯留部73から紙幣を一枚ずつ分離して繰り出し、紙幣返却振分部75によって紙幣出金口61に搬送し、紙幣出金口61を開いて機外に取り出し可能とする。
【0055】
[出金処理]
操作端末装置11において端末操作部15に出金処理の選択操作と金種別の出金枚数の操作入力とが行われて出金処理の実行操作が入力されると、端末制御部18は、この金種別の出金枚数の操作入力値を端末記憶部19に一時記憶させる。それとともに、端末制御部18は、貨幣処理機本体12の本体制御部27に、この金種別の出金枚数の操作入力値を含む出金処理の指示信号を送信する。本体制御部27は、出金処理の指示信号を受信すると、それに含まれる金種別の出金枚数の操作入力値を本体記憶部28に記憶させるとともに、金種別の出金枚数の操作入力値にしたがって、硬貨処理部40で以下の硬貨出金処理を行い、紙幣処理部65で以下の紙幣出金処理を行う。
【0056】
「硬貨出金処理」
硬貨収納部48,48,…の対応する金種のものから硬貨計数繰出部50,50,…の対応するもので硬貨を計数しつつ繰り出し、硬貨出金振分部51で硬貨放出口35から受皿33に放出する。
【0057】
「紙幣出金処理」
紙幣収納部78,78,…の対応する金種のものから紙幣計数繰出部80,80,…の対応するもので紙幣を計数しつつ繰り出し、紙幣出金識別部81で識別しつつ計数し、正常搬送の紙幣を紙幣出金振分部82で紙幣出金口61に放出し、紙幣出金口61を開いて取り出し可能とする。このとき、紙幣出金識別部81で重送や斜行等の異常搬送と識別されたリジェクト紙幣を紙幣出金振分部82で紙幣機内リジェクト部74に収納する。
【0058】
硬貨出金処理および紙幣出金処理が終了すると、本体制御部27は、硬貨計数繰出部50,50,…の計数結果つまり硬貨の金種別の出金枚数の計数値と、紙幣出金口61に搬送した紙幣の紙幣出金識別部81での計数結果つまり紙幣の金種別の出金枚数の計数値と、日時情報とを関連づけて本体記憶部28に記憶させる。
【0059】
[補充関連処理]
操作端末装置11において端末操作部15に補充処理の選択操作と金種別の補充枚数の操作入力とが行われて補充処理の実行操作が入力されると、端末制御部18は、この金種別の補充枚数の操作入力値を端末記憶部19に一時記憶させる。それとともに、端末制御部18は、貨幣処理機本体12の本体制御部27に補充処理の指示信号を送信する。本体制御部27は、補充処理の指示信号を受信すると、硬貨処理部40で上記の硬貨入金処理と同様の硬貨補充処理を行い、紙幣処理部65で上記の紙幣入金処理と同様の紙幣補充処理を行う。
【0060】
硬貨補充処理および紙幣補充処理が終了すると、本体制御部27は、硬貨入金識別部41の識別結果つまり硬貨の金種別の補充枚数の計数値である受け入れ可能な補充硬貨の金種別の枚数データと、紙幣入金識別部71の識別結果つまり紙幣の金種別の補充枚数の計数値である受け入れ可能な補充紙幣の金種別の枚数データと、日時情報とを、本体記憶部28に一時記憶させるとともに、端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18は、金種別の補充枚数の計数値である、受け入れ可能な補充硬貨の金種別の枚数データおよび受け入れ可能な補充紙幣の金種別の枚数データと、端末記憶部19に記憶された金種別の補充枚数の操作入力値と、了解操作かキャンセル操作の選択入力を促す表示とを、端末表示部16に表示させる。
【0061】
これを見て窓口操作者が端末操作部15に了解操作を入力すると、端末制御部18は、補充処理の開始時に入力されて端末記憶部19に一時記憶された金種別の補充枚数の操作入力値を端末記憶部19に確定記憶させるとともに、この金種別の補充枚数の操作入力値と補充収納処理の指示信号とを本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、受信した金種別の補充枚数の操作入力値と本体記憶部28に一時記憶させていた金種別の補充枚数の計数値と日時情報とを本体記憶部28に確定記憶させ、さらに、硬貨処理部40で上記した硬貨入金収納処理と同様の硬貨補充収納処理を行い、紙幣処理部65で上記した紙幣入金収納処理と同様の紙幣補充収納処理を行う。
【0062】
また、窓口操作者が端末操作部15にキャンセル操作を入力すると、端末制御部18は、補充処理の開始時に入力されて端末記憶部19に一時記憶された金種別の補充枚数の操作入力値を消去するとともに、補充返却処理の指示信号を本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、本体記憶部28に一時記憶させていた金種別の補充枚数の計数値を消去するとともに、硬貨処理部40で上記した硬貨入金返却処理と同様の硬貨補充返却処理を行い、紙幣処理部65で上記した紙幣入金返却処理と同様の紙幣補充返却処理を行う。
【0063】
ここでも、金種別の補充枚数の操作入力値と金種別の補充枚数の計数値とが一致しない場合がある。例えば、窓口操作者が操作を急いでいる状態で、硬貨入金リジェクト口36にリジェクトされた硬貨がある場合や、紙幣出金口61にリジェクトされた紙幣がある場合に、窓口操作者が、リジェクト貨幣の状態を目視で確認して、金種別の補充枚数の計数値にリジェクトされた貨幣の分を加えれば、金種別の補充枚数の操作入力値と一致することが確認される場合に、後で手入力で数値を合わせることを前提に、端末操作部15に了解操作を入力する場合等である。
【0064】
金種別の補充枚数の操作入力値と金種別の補充枚数の計数値とが一致しない不整合を生じた状態で、端末操作部15に了解操作が入力されると、端末制御部18は、補充処理の開始時に入力されて端末記憶部19に一時記憶された金種別の補充枚数の操作入力値を日時情報とともに端末記憶部19に確定記憶させるとともに、この金種別の補充枚数の操作入力値と、補充収納処理の指示信号と、不整合を生じている旨の信号とを本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、受信した金種別の補充枚数の操作入力値と、本体記憶部28に一時記憶させていた金種別の補充枚数の計数値と、これらが不整合を生じている旨の情報と、日時情報とを関連づけて本体記憶部28に確定記憶させる。つまり、本体記憶部28は、補充処理に関する操作入力値と計数値との不整合を時系列的に記憶する。
【0065】
[回収処理]
操作端末装置11において端末操作部15に回収処理の選択操作と金種別の回収枚数の操作入力とが行われて回収処理の実行操作が入力されると、端末制御部18は、この金種別の回収枚数の操作入力値を日時情報とともに端末記憶部19に一時記憶させる。それとともに、端末制御部18は、貨幣処理機本体12の本体制御部27に、この金種別の回収枚数の操作入力値を含む回収処理の指示信号を送信する。本体制御部27は、回収処理の指示信号を受信すると、それに含まれる金種別の回収枚数の操作入力値を日時情報とともに本体記憶部28に記憶させるとともに、金種別の回収枚数の操作入力値にしたがって、硬貨処理部40で以下の硬貨回収処理を行い、紙幣処理部65で以下の紙幣回収処理を行う。
【0066】
「硬貨回収処理」
硬貨収納部48,48,…の対応する金種のものから硬貨計数繰出部50,50,…の対応するもので硬貨を計数しつつ繰り出し、硬貨出金振分部51で硬貨回収金庫52に収納する。これにより、金種別の回収枚数の操作入力値の枚数の硬貨が硬貨回収金庫52に収納される。
【0067】
「紙幣回収処理」
紙幣収納部78,78,…の対応する金種のものから紙幣計数繰出部80,80,…の対応するもので紙幣を計数しつつ繰り出し、紙幣出金識別部81で識別しつつ、正常搬送の紙幣を紙幣出金振分部82で紙幣回収金庫83に収納する。このとき、紙幣出金識別部81で重送や斜行等の異常搬送と識別されたリジェクト紙幣を紙幣出金振分部82で紙幣機内リジェクト部74に収納する。これにより、金種別の回収枚数の操作入力値の枚数の紙幣が紙幣回収金庫83に収納される。
【0068】
硬貨回収処理および紙幣回収処理が終了すると、本体制御部27は、硬貨計数繰出部50,50,…の対応するものの計数結果つまり硬貨の金種別の回収枚数の計数値と、紙幣出金口61に搬送した紙幣の紙幣出金識別部81での計数結果つまり紙幣の金種別の回収枚数の計数値と、日時情報とを本体記憶部28に記憶させる。硬貨回収金庫52の硬貨は、上部ユニット91が筐体90から引き出されて回収されることになり、紙幣回収金庫83の紙幣は、下部ユニット93が筐体90から引き出されて回収されることになる。
【0069】
入金関連処理、出金処理、補充関連処理および回収処理のいずれの実行時においても、貨幣処理機本体12では、硬貨取引異常検出手段55が硬貨処理部40の取引異常の有無を検出しており、紙幣取引異常検出手段85が紙幣処理部65の取引異常の有無を検出している。そして、硬貨取引異常検出手段55が硬貨の取引異常有りを検出すると、本体制御部27は、検出時刻とともに硬貨の取引異常が有った旨を本体記憶部28に記憶させる。また、紙幣取引異常検出手段85が紙幣の取引異常有りを検出すると、本体制御部27は、検出時刻とともに紙幣の取引異常が有った旨の情報を本体記憶部28に記憶させる。つまり、本体記憶部28は、取引異常があるとこれを時系列的に記憶する。
【0070】
また、停電等により貨幣処理機本体12の主電源がオフの状態となると、バッテリ96で駆動される開作動検出手段95が上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のそれぞれの開作動の有無を検出する。停電等により主電源がオフの状態で、上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のいずれかの開作動を開作動検出手段95が検出すると、本体制御部27は、検出時刻とともに開作動があった旨の情報を本体記憶部28に記憶させる。つまり、本体記憶部28は、主電源がオフの状態で上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のいずれかが開閉されると、開閉されたユニットの識別を含む情報を時系列的に記憶する。
【0071】
営業日当日には、その営業開始時刻から営業終了時刻までの間、貨幣処理機10は、以上の入金関連処理と出金処理と補充関連処理と回収処理とを主体として処理を行う。そして、営業終了時刻になると、貨幣処理機10は締め上げ処理を行うことになる。
【0072】
端末操作部15に締め上げ処理の操作入力が入力されると、端末制御部18は、本体制御部27に締め上げ処理の指示信号を送信する。すると、本体制御部27は、本体記憶部28に記憶されている締め上げの対象期間である営業日当日の上記した操作入力値を読み出して機内の論理在高値を算出する。つまり、営業日当日のすべての入金関連処理の金種別の入金枚数の操作入力値に対して、営業日当日のすべての補充関連処理の金種別の補充枚数の操作入力値を金種毎に加算するとともに、営業日当日のすべての出金処理の金種別の出金枚数の操作入力値を金種毎に減算し、さらに営業日当日のすべての回収処理の金種別の回収枚数の操作入力値を金種毎に減算して、機内の論理在高値を算出し、論理在高値を営業日当日の日付を含む日時情報とともに本体記憶部28に記憶する。
【0073】
それとともに、本体制御部27は、本体記憶部28に記憶されている営業日当日の上記した計数値を読み出して機内の物理在高値を算出する。つまり、営業日当日のすべての入金関連処理の金種別の入金枚数の計数値に対して、営業日当日のすべての補充関連処理の金種別の補充枚数の計数値を金種毎に加算するとともに、営業日当日のすべての出金処理の金種別の出金枚数の計数値を金種毎に減算し、さらに営業日当日のすべての回収処理の金種別の回収枚数の計数値を金種毎に減算して、機内の物理在高値を算出し、物理在高値を営業日当日の日付を含む日時情報とともに本体記憶部28に記憶する。
【0074】
論理在高値および物理在高値を算出すると、本体制御部27は、これらのデータを端末制御部18に送信することになり、端末制御部18は、論理在高値および物理在高値を営業日当日の日付を含む日時情報とともに端末記憶部19に記憶する。端末操作部15への操作入力に基づいて、端末制御部18は、端末記憶部19に記憶している論理在高値と物理在高値とをプリンタ13によって
図5(a),(b)に示すように紙面に印字させる(
図5では論理在高値を理論値と称し、物理在高値を格納値と称している)。具体的な印字内容は、論理在高値および物理在高値のそれぞれについての金種毎の枚数および金額と、合計枚数と合計金額とを含んでいる。
【0075】
本体制御部27は、上記した操作入力値に基づく機内の論理在高値と上記した計数値に基づく機内の物理在高値とを照合する。それとともに、本体制御部27は、本体記憶部28に記憶されている、営業日当日に硬貨取引異常検出手段55により検出された硬貨の取引異常有りの履歴と、営業日当日に紙幣取引異常検出手段85により検出された紙幣の取引異常有りの履歴とを確認する。加えて、本体制御部27は、本体記憶部28に記憶されている、営業日当日に開作動検出手段95により検出された、貨幣処理機本体12の主電源がオフの状態での上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のいずれかの開作動有りの履歴を確認する。
【0076】
本体制御部27は、判定対象期間である営業日当日の機内の論理在高値と機内の物理在高値との照合結果と、判定対象期間である営業日当日の硬貨取引異常検出手段55および紙幣取引異常検出手段85の検出結果と、判定対象期間である営業日当日の開作動検出手段95の検出結果と、に基づいて貨幣処理機本体12の貨幣の機内残置が可能であるか否かを判定する残置判定処理を行う。なお、上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のいずれについても、貨幣処理機本体12の主電源オフ状態での開作動が厳重に管理される場合には、開作動検出手段95の検出結果を残置判定処理の判定項目から除外しても良い。
【0077】
本体制御部27は、残置判定処理にて、営業日当日の上記した機内の論理在高値と上記した機内の物理在高値とが一致し、且つ営業日当日に取引異常がなく、且つ営業日当日に主電源オフ状態での開作動がなければ、貨幣の機内残置が可能であると判定し、その旨の残置許可信号を端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18は端末表示部16に貨幣の機内残置が可能である旨を報知するとともに、以下の機内残置処理の設定操作を受け付け、機内残置処理が実行可能な状態になる。
【0078】
[機内残置処理]
端末操作部15を介して行われる機内残置処理の設定操作により、機内の金種別の在高値の範囲内で、残置させる金種別の残置枚数値が入力される。すると、端末制御部18は、機内の金種別の在高値から、残置させる金種別の残置枚数値を金種毎に減算して、金種別の回収枚数の設定値とし、この設定値を操作入力値と置き換えて、上記と同様の回収処理を実行する。以上が、入力された金種別の残置枚数値の貨幣を貨幣処理機本体12内に残置する機内残置処理となる。この金種別の残置枚数値が翌営業日の初期の論理在高値と物理在高値とになる。なお、
図5(a)に示すように、一致した論理在高値(
図5では理論値)および物理在高値(
図5では格納値)をプリンタ13により紙面に印字することができるため、操作者は、この印字データを参照して、金種別の残置枚数値を設定することが可能になる。
【0079】
また、本体制御部27は、残置判定処理にて、営業日当日の上記した機内の論理在高値と上記した機内の物理在高値とが不一致であり、且つ営業日当日に取引異常がなく、且つ営業日当日に主電源オフ状態での開作動がなかった場合には、硬貨および紙幣のうちの硬貨のみの論理在高値と物理在高値とが不一致であるのか、硬貨および紙幣のうちの紙幣のみの論理在高値と物理在高値とが不一致であるのか、硬貨および紙幣の両方について論理在高値と物理在高値とが不一致であるのかを判定する。そして、本体制御部27は、硬貨のみの論理在高値と物理在高値とが不一致である場合には以下の硬貨処理部40での硬貨精査処理のみを強制的に行い、紙幣のみの論理在高値と物理在高値とが不一致である場合には以下の紙幣処理部65での紙幣精査処理のみを強制的に行い、硬貨および紙幣両方の論理在高値と物理在高値とが不一致である場合は、硬貨精査処理および紙幣精査処理の両方を強制的に行う。
【0080】
ここで、上記したように、入金関連処理にて金種別の入金枚数の操作入力値と金種別の入金枚数の計数値とが一致しない不整合を生じた状態で、端末操作部15に了解操作が入力されると、本体制御部27が、金種別の入金枚数の操作入力値と金種別の入金枚数の計数値とを含む不整合の詳細の時系列データを、本体記憶部28に記憶させている。また、補充関連処理にて金種別の補充枚数の操作入力値と金種別の補充枚数の計数値とが一致しない不整合を生じた状態で、端末操作部15に了解操作が入力されると、本体制御部27が、金種別の補充枚数の操作入力値と金種別の補充枚数の計数値とを含む不整合の詳細の時系列データを、本体記憶部28に記憶させている。
【0081】
そして、端末操作部15に、不整合の時系列データを読み出す操作が入力されると、端末制御部18が本体制御部27を介して本体記憶部28から営業日当日のすべての不整合の時系列データを読み出し、端末表示部16に表示させる。これにより、営業日当日の機内の論理在高値と機内の物理在高値とが不一致である原因の操作者による究明を補助することができる。このとき、端末操作部15への操作入力により、端末制御部18が、
図5(b)に示すように営業日当日の不一致の論理在高値(
図5では理論値)および物理在高値(
図5では格納値)の詳細をプリンタ13により紙面に印字する。このため、操作者は、この印字データを参照して、不一致の原因を究明することができる。
【0082】
「硬貨精査処理」
いずれか一金種の硬貨収納部48から硬貨計数繰出部50で硬貨を繰り出し、硬貨出金振分部51で硬貨一時貯留部43に一時貯留させる。この一金種の硬貨収納部48の硬貨がすべて硬貨一時貯留部43に一時貯留されて空になると、次に、硬貨一時貯留部43が硬貨を一枚ずつ分離して繰り出し、硬貨返却振分部45で硬貨収納識別部46に搬送し硬貨収納識別部46で識別しつつ計数して硬貨金種別振分部47によってこの一金種の硬貨収納部48に戻す。これにより、硬貨収納識別部46の計数値をこの一金種の硬貨収納部48の硬貨の物理在高値として確定する。同様の処理をすべての金種の硬貨収納部48について順次行うことにより、すべての硬貨の物理在高値が確定する。
【0083】
「紙幣精査処理」
いずれか一金種の紙幣収納部78から紙幣計数繰出部80によって紙幣を繰り出し、紙幣出金識別部81で識別計数して、正常搬送の紙幣を紙幣出金振分部82で紙幣一時貯留部73に一時貯留させる一方、異常搬送の紙幣を紙幣出金振分部82で紙幣機内リジェクト部74に収納する。この一金種の紙幣収納部78の紙幣がすべて紙幣一時貯留部73および紙幣機内リジェクト部74のいずれかに搬送されて空になると、次に、紙幣一時貯留部73の紙幣を紙幣返却振分部75で紙幣入金識別部71に搬送し、紙幣入金識別部71で識別する。そして、紙幣入金識別部71で計数された紙幣を紙幣入金振分部72でこの一の金種の紙幣収納部78に搬送する。これにより、紙幣入金識別部71の計数値をこの一金種の紙幣収納部78の紙幣の物理在高値として確定する。同様の処理をすべての金種の紙幣収納部78について順次行うことにより、すべての紙幣の物理在高値が確定する。なお、紙幣精査処理で紙幣機内リジェクト部74に収納された紙幣は、紙幣精査処理での紙幣の物理在高値には含まれない。
【0084】
硬貨のみの論理在高値と物理在高値とが不一致の場合に、本体制御部27は、硬貨処理部40の硬貨精査処理のみを強制的に行った後に、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。また、紙幣のみの論理在高値と物理在高値とが不一致の場合には、本体制御部27は、紙幣処理部65の紙幣精査処理のみを強制的に行った後に、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。また、硬貨および紙幣両方の論理在高値と物理在高値とが不一致の場合に、本体制御部27は、硬貨精査処理および紙幣精査処理の両方を強制的に行った後に、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。貨幣の機内残置が可能である旨の信号を受けると、端末制御部18は端末表示部16に貨幣の機内残置が可能である旨を報知するとともに、上記した機内残置処理の設定操作を受け付ける状態になる。ここで、精査処理を行うと、
図5(c)に示すように精査処理後の機内在高をプリンタ13により紙面に印字することができる。具体的な印字内容は、精査処理前および精査処理後のそれぞれについての金種毎の枚数および金額と合計枚数と合計金額とを含む機内在高と、精査処理後の論理在高値および物理在高値のそれぞれについての金種毎の枚数および金額と、合計枚数と合計金額とを含んでいる。
【0085】
また、本体制御部27は、残置判定処理にて、営業日当日の上記した機内の論理在高値と上記した機内の物理在高値とが一致し、且つ営業日当日の取引異常があり、且つ営業日当日に主電源オフ状態での開作動がなかった場合には、端末制御部18に取引異常の詳細内容を含む信号を送信する。すると、端末制御部18は、端末表示部16に、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち取引異常があったもののみについて自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示を表示させ、端末操作部15にこの選択操作を受け付ける。
【0086】
つまり、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち硬貨処理部40のみに取引異常があった場合には、硬貨処理部40のみについて自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示を端末表示部16に表示させる。これに対し、硬貨処理部40についての自己精査処理実行有りが端末操作部15に入力されると、端末制御部18は、本体制御部27に硬貨処理部40の自己精査処理実行有りの信号を送信する。すると、本体制御部27は、硬貨処理部40の硬貨精査処理のみを強制的に行う。その後、本体制御部27は、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。
【0087】
また、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち紙幣処理部65のみに取引異常があった場合には、紙幣処理部65のみについて自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示を端末表示部16に表示させる。これに対し、紙幣処理部65についての自己精査処理実行有りが端末操作部15に入力されると、端末制御部18は、本体制御部27に紙幣処理部65の自己精査処理実行有りの信号を送信する。すると、本体制御部27は、紙幣処理部65の紙幣精査処理のみを強制的に行う。その後、本体制御部27は、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。
【0088】
また、硬貨処理部40および紙幣処理部65の両方に取引異常があった場合には、硬貨処理部40について自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示と紙幣処理部65について自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示とを表示させる。これらの表示に対し、硬貨処理部40について自己精査処理実行有りが端末操作部15に入力され、紙幣処理部65について自己精査処理実行無しが端末操作部15に入力されると、端末制御部18は、本体制御部27に硬貨処理部40の自己精査処理実行有りの信号を送信する。すると、本体制御部27は、上記した硬貨処理部40の硬貨精査処理のみを行う。その後、本体制御部27は、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。
【0089】
硬貨処理部40および紙幣処理部65の両方に取引異常があった場合に、上記の自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示に対し、硬貨処理部40について自己精査処理実行無しが端末操作部15に入力され、紙幣処理部65について自己精査処理実行有りが端末操作部15に入力されると、端末制御部18は、本体制御部27に紙幣処理部65の自己精査処理実行有りの信号を送信する。すると、本体制御部27は、上記した紙幣処理部65の紙幣精査処理のみを行う。その後、本体制御部27は、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。
【0090】
硬貨処理部40および紙幣処理部65の両方に取引異常があった場合に、上記の自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示に対し、硬貨処理部40について自己精査処理実行有りが端末操作部15に入力され、紙幣処理部65について自己精査処理実行有りが端末操作部15に入力されると、端末制御部18は、本体制御部27に硬貨処理部40の自己精査処理実行有りの信号と紙幣処理部65の自己精査処理実行有りの信号とを送信する。すると、本体制御部27は、上記した硬貨処理部40の硬貨精査処理と紙幣処理部65の紙幣精査処理とを行う。その後、本体制御部27は、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。
【0091】
硬貨処理部40および紙幣処理部65の両方に取引異常があった場合に、上記の自己精査処理実行の有無の選択操作を促す表示に対し、硬貨処理部40について自己精査処理実行無しが端末操作部15に入力され、紙幣処理部65について自己精査処理実行無しが端末操作部15に入力されると、自己精査処理が実行されないまま、端末制御部18が、残置許可信号を受信した状態となる。
【0092】
端末制御部18は、残置許可信号を受信すると、端末表示部16に貨幣の機内残置が可能である旨を報知するとともに、上記した機内残置処理の設定操作を受け付ける状態になる。
【0093】
また、本体制御部27は、残置判定処理にて、上記以外の場合、つまり、営業日当日に貨幣処理機本体12の主電源オフ状態での開作動があった場合と、営業日当日の上記した機内の論理在高値と上記した機内の物理在高値とが不一致であり、且つ営業日当日の取引異常があり、且つ営業日当日に貨幣処理機本体12の主電源オフ状態での開作動がなかった場合とについては、硬貨精査処理および紙幣精査処理の両方を強制的に行う。その後、本体制御部27は、貨幣の機内残置が可能であると判定し、残置許可信号を端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18が、端末表示部16に貨幣の機内残置が可能である旨を報知するとともに、上記した機内残置処理の設定操作を受け付ける状態になる。
【0094】
ここで、本体制御部27は、残置判定処理を行うにあたって、リジェクト検知手段86の検知結果から紙幣機内リジェクト部74に紙幣があるか否かを判定し、紙幣機内リジェクト部74に紙幣がある場合には、紙幣機内リジェクト部74の紙幣の戻し処理の実行を受け付け、この戻し処理が実行されると、残置判定処理を行うようにしても良い。
【0095】
つまり、本体制御部27は、残置判定処理を行うにあたって、紙幣機内リジェクト部74に紙幣があることがリジェクト検知手段86により検知されると、その旨の信号を端末制御部18に送信する。すると、端末制御部18が端末表示部16に、紙幣機内リジェクト部74の紙幣について戻し処理を行う旨を案内する表示を行って、戻し処理の実行を受け付ける状態となる。端末操作部15に戻し処理を実行する旨の選択操作が入力されると、端末制御部18は、その旨の信号を本体制御部27に送信する。すると、本体制御部27は、以下の戻し処理を実行する。
【0096】
「戻し処理」
本体制御部27は、中間ユニット92と筐体90とのロックを解除し、中間ユニット92を開作動可能とする。この状態で、中間ユニット92が筐体90から引き出され、紙幣機内リジェクト部74が取り出されて、紙幣機内リジェクト部74が中間ユニット92に戻され中間ユニット92が筐体90に押し込まれると、本体制御部27は、中間ユニット92を筐体90にロックする。
【0097】
次に、本体制御部27は、リジェクト検知手段86が紙幣機内リジェクト部74に紙幣がないことを検知すると、紙幣入金口60を開いて紙幣の投入が可能な状態とし、紙幣入金口60に紙幣が投入されたことを入金口紙幣検出手段84で検出すると、紙幣一時貯留部73から紙幣を一枚ずつ分離して繰り出し、紙幣入金識別部71で識別する。そして、紙幣入金識別部71の識別結果に基づいて、紙幣を紙幣入金振分部72によって紙幣収納部78,78,…のうちの対応する金種のものに案内して収納する。これにより、紙幣処理部65が紙幣をこれを繰り出し可能に収納する紙幣収納部78,78,…に戻すことになる。ただし、紙幣機内リジェクト部74の紙幣は機内に収納している確定紙幣であるため、この戻し処理で紙幣を紙幣収納部78,78,…の対応するものに戻しても、機内の論理在高値と機内の物理在高値とは変わらない。紙幣を紙幣収納部78,78,…に戻すと、本体制御部27は、残置判定処理を実行する。なお、この戻し処理においても、紙幣入金識別部71で重送や斜行等の異常搬送と識別された紙幣については、紙幣入金振分部72によって紙幣機内リジェクト部74に再び案内して収納する。
【0098】
以上に述べた本実施形態の貨幣処理機10によれば、本体制御部27が、残置判定処理にて、判定対象期間である営業日当日の論理在高値と物理在高値とが一致し、且つ判定対象期間である営業日当日に取引異常がなかったという条件が揃えば、自己精査しなくても貨幣の機内残置処理が可能であると判定し、その旨を、端末制御部18を介して端末表示部16に表示させて報知するとともに機内残置処理が実行可能な状態となる。このように、自己精査しなくても機内の在高値を適正に把握していると判断できる条件である、営業日当日の論理在高値と物理在高値とが一致し、且つ営業日当日に取引異常がなかったという条件が整っているか否かを判断し、これらの条件が整っている場合には、自己精査を行わずに貨幣の機内残置処理が実行可能となる。このため、自己精査を行わなくても適正に貨幣を機内に残置させることができ、残置運用のための処理時間を短縮可能となる。
【0099】
また、残置判定処理にて、判定対象期間である営業日当日の論理在高値と物理在高値とが不一致であり、且つ判定対象期間である営業日当日に取引異常がなかった場合、本体制御部27が、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち、論理在高値と物理在高値とが不一致であったもののみについて自己精査処理を実行する。このため、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち論理在高値と物理在高値とが不一致となっていないものについては自己精査処理を実行しないことになり、残置運用のための処理時間を短縮可能となる。
【0100】
また、残置判定処理にて、判定対象期間である営業日当日の論理在高値と物理在高値とが一致し且つ判定対象期間である営業日当日に取引異常があった場合に、本体制御部27が、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち営業日当日に取引異常があったもののみについて自己精査処理実行の有無の選択操作を受け付ける。よって、硬貨処理部40および紙幣処理部65のうち営業日当日に取引異常がなかったものについては自己精査処理を実行しないことになり、また、取引異常があったものについては、自己精査処理実行有りの選択操作を受け付けることから、操作者が取引異常の内容を把握していて自己精査処理の実行が不要と判断した場合には、自己精査処理を実行しないようにできる。したがって、残置運用のための処理時間を短縮可能となる。
【0101】
また、残置判定処理を行うにあたって紙幣機内リジェクト部74に貨幣がある場合には、本体制御部27が、紙幣機内リジェクト部74の貨幣を紙幣収納部78,78,…に戻す戻し処理の実行を受け付ける状態となり、戻し処理が実行されると残置判定処理を行う。このため、紙幣機内リジェクト部74に貨幣がない状態として、残置判定処理を行って貨幣を機内に残置させることができる。
【0102】
また、論理在高値と物理在高値とが不一致の場合に、本体記憶部28に時系列的に記憶された操作入力値と計数値との不整合を確認させることで、不一致の原因を容易に究明させることが可能となる。
【0103】
また、本体制御部27が、残置判定処理にて、判定対象期間である営業日当日の論理在高値と物理在高値とが一致し、且つ判定対象期間である営業日当日に取引異常がなく、且つ判定対象期間である営業日当日に主電源オフ状態での上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93の開作動がなければ、貨幣の機内残置処理が実行可能となる。よって、主電源オフ状態で、上部ユニット91、中間ユニット92および下部ユニット93のいずれかに開作動があった場合に、自己精査処理を実行せずに貨幣が機内に残置されてしまうことを防止できる。
【0104】
また、プリンタ13が論理在高値と物理在高値とを紙面に印字することにより、残置判定処理時の論理在高値と物理在高値とを紙面に印字して残しておくことができ、また、これらを参照することにより、機内残置処理の設定操作が容易となる。