【実施例1】
【0011】
図1〜
図4に示されるように、車両用ドアハンドル装置1は、車両のドアを構成するアウターパネルD1の外側表面に設置されるものであり、ベース部材10、ドアハンドル20、ベルクランク30などを備えている。なお、以下の説明では、
図1にて図示右側が車両前方向、図示左側が車両後方向、図示上側が車両上方向、図示下側が車両下方向に対応するものとする。
【0012】
ベース部材10は、
図1及び
図5(A)〜5(C)に示されるように、例えば楕円形状のプレートを主体とするものであり、長軸方向が車両前後方向とほぼ一致するようにアウターパネルD1に固定される。ベース部材10は、その全周にわたってアウターパネルD1の開口部(図示省略)の周縁部位と接触するための平面状の縁部10aを有し、その中央部にてドアハンドル20のグリップ部20aとの間に操作スペースを確保するための窪み部10bを有し、長軸方向の両端部にてパッド22(緩衝部材)を取り付けるための平面状の着座部10cを有している。ドアハンドル20は、パッド22を介して着座部10cに載置される(
図4(A)参照)。
【0013】
ベース部材10の着座部10cには、後述するドアハンドル20の一対のガイドアーム21に対応して、各ガイドアーム21をベース部材10の裏側へ導入する開口部10dが形成されている。ベース部材10の裏面10eには、車両前後方向に平行に延び出す上リブ壁11と下リブ壁12が立設されるとともに、各開口部10dの前後及び上下をそれぞれ壁部13a,13b,13c,13dで囲むようにガイドケース13が上リブ壁11及び下リブ壁12と一体に形成されている(
図5(B)参照)。ガイドケース13については後述する。
【0014】
ドアハンドル20は、例えばポリカーボネート系樹脂やポリブチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン系樹脂等の単一又は複数種類の樹脂材により成形されたものである。ドアハンドル20は、
図3,
図4(A)及び
図6(A)〜6(D)に示されるように、その中央部にてユーザーが触りやすく、握りやすくするために長手方向及び幅方向に沿って湾曲した形状のグリップ部20aを有している。
【0015】
ドアハンドル20の両端部には、ベース部材10の開口部10dに挿入される一対のガイドアーム21が一体に突出形成されている。ドアハンドル20は、各ガイドアーム21にて後述する支持軸17によりベース部材10に取り付けられる。各ガイドアーム21は、複数(本実施例1では3本)の柱部21aを有し、各柱部21a間には車両前後方向に貫通する溝部21bが形成されている。また、各ガイドアーム21の先端部には、互いに対向するように車両前後方向に同軸に延び出す軸部21cが一体に形成されている。さらに、各ガイドアーム21の先端には、車両上下方向に円弧状に突出する凸部21dが一体に形成されている。
【0016】
ベルクランク30は、
図4(B)及び
図7(A)〜7(C)に示されるように、各ガイドアーム21に対応する一対のクランク部31と、両クランク部31を一体に接続する接続バー32と、ドアのロック機構L1(
図2参照)に連結される孔部33とを備える。各クランク部31は、略ブーメラン形状をなし、接続バー32と一体に接続された基部側レバー31aと、自由端側に開口する溝部31bが形成されることで二股形状を呈する自由端側レバー31cとを備える。基部側レバー31aと自由端側レバー31c間の角度θは、90°〜150°に設定されている。各クランク部31の中心(ブーメランの頂点近傍部)には、車両前後方向に延び出すように回動軸部34,35が同軸に形成されている。
【0017】
回動軸部34の両端部には、径方向の両側が段付き面とされた背切り部34a,34bがそれぞれ形成され、円柱形状の中間部34cには、ねじりコイルばね40が巻回する形で組み込まれ、接続バー32がベース部材10の上リブ壁11から離間する向きに付勢される。
【0018】
回動軸部35は、回動軸部34に比して短く、ほぼ背切り部35a,35bのみで構成されている。なお、本実施例1では、クランク部31と回動軸部34,35とが樹脂材を用いて一体成形により形成されている。これにより、回動軸部をピン等の別部材とした場合よりも部品点数を削減することができ、回動軸部を金属製のピンとした場合よりも製造コストを削減することができる。回動軸部34,35が本発明の回動軸に相当し、ねじりコイルばね40が本発明の弾性部材に相当する。
【0019】
図5(B),5(C)に戻って、上リブ壁11及び各ガイドケース13の壁部13cの上面には、ベース部材10の裏面10eを基端として、支持部14,15がそれぞれ一体に形成されている。支持部14は、車両前後方向に対向した一対の壁部14aを有する。各壁部14aには、回動軸部34の背切り部34aの二面幅寸法よりも極僅かだけ大きい溝幅を有する溝部14bと、溝部14bに連続して背切り部34aの径寸法よりも極僅かだけ大きい孔径を有する孔部14cとが壁部14a同士の対称位置に形成されている(
図10(A)参照)。同様に、各壁部15aには、回動軸部35の背切り部35aの二面幅寸法よりも極僅かだけ大きい溝幅を有する溝部15bと、溝部15bに連続して背切り部35aの径寸法よりも極僅かだけ大きい孔径を有する孔部15cとが壁部15a同士の対称位置に形成されている。そして、壁部14aの孔部14cと壁部15aの孔部15cは、同軸に形成されている。
【0020】
回動軸部34の背切り部34aが溝部14bを経て孔部14c内に挿入されるのと同時に、回動軸部35の背切り部35aが溝部15bを経て孔部15c内に挿入されることで、ベルクランク30は支持部14,15により回動軸部34,35周りに回動可能に支持されることとなる。そして、ドアハンドル20の操作に対応したベルクランク30の動作範囲内では、背切り部34a(35a)が溝部14b(15b)と平行位置になることはなく、常に孔部14c(15c)内にあり、溝部14b(15b)を通して壁部14a(15a)の外側へ抜け出すことはない(
図11(B)参照)。
【0021】
各ガイドケース13の壁部13cには、壁部13bに隣接して上下に開口する切り欠き13eが形成され、切り欠き13eに沿ってベルクランク30の自由端側レバー31cがガイドケース13内を上下に移動可能とされている(
図4(B)参照)。そして、前側のクランク部31の自由端側レバー31cは、前側のガイドケース13の壁部13bの前方近傍に配置される一方、後側のクランク部31の自由端側レバー31cは、後側のガイドケース13の壁部13bの後方近傍に配置されている。すなわち、ベルクランク30の両自由端側レバー31cは、前後のガイドケース13の壁部13bを挟み込むような形で配置されている。
【0022】
各ガイドケース13の前後の壁部13a,13bには、同軸に開口する円形の孔部13f,13gがそれぞれ形成され、孔部13f,13gには支持軸17が挿入される(
図3及び
図4(B)参照)。
図5(B),5(C)に戻って、ベース部材10の裏面10eには、各ガイドケース13内に突出する係合部10fが形成され、係合部10fは後述するスペーサ16の係合孔部16eに係合する(
図8(A)参照)。
【0023】
図4(B)に戻って、各ガイドケース13内では、ガイドアーム21の軸部21cとベルクランク30の自由端側レバー31cの溝部31bとが相対移動可能に連結されている。ガイドアーム21の軸部21cが本発明の連結軸に相当する。また、ベルクランク30の自由端側レバー31cが本発明のレバーに相当し、自由端側レバー31cの溝部31bが本発明の連結溝に相当する。
【0024】
軸部21cと溝部31bとの連結状態で、各ガイドケース13にはガイドアーム21を囲うようにスペーサ16が介装される。スペーサ16は、
図2及び
図3に示されるように、ベルクランク30の自由端側レバー31cとの干渉が回避される範囲内でガイドケース13内の前後及び上下方向のスペースを占める程度に大きな前後長及び上下長を有する直方体状に形成され、ガイドケース13内を移動不能とされている。スペーサ16は、ガイドケース13内におけるガイドアーム21の車両前後方向への移動を規制、具体的にはがたつきを防止する役割を果たす。スペーサ16が本発明の規制部材に相当する。
【0025】
図8(A)〜8(D)に示されるようにスペーサ16には、ベース部材10の開口部10dと対向する側及び自由端側レバー31cと対向する側に開口する凹部16aが形成されている。凹部16aは、
図8(B)に示されるように、例えば正六角形の2組の対辺をそれぞれ外側に円弧状に凸としたような輪郭形状の内周面16bを有している。
【0026】
凹部16aの形成により残された薄板状の壁部16cには、各ガイドケース13の孔部13f,13gと同軸に円形の孔部16dが形成され、支持軸17が各ガイドケース13の孔部13f,13gに加えてスペーサ16の孔部16dに挿入されるようになっている。また、スペーサ16の、ベース部材10の裏面10eに対向する部位には、ベース部材10の係合部10fに係合する係合孔部16eが形成されている。さらに、スペーサ16の上下面には、各ガイドケース13の壁部13c,13dの内面に接触するレール状の突起16fが形成されている。
【0027】
ここで、スペーサ16内におけるガイドアーム21の移動態様について説明しておく。支持軸17は、
図3に示されるように、各ガイドケース13の孔部13f,13g及びスペーサ16の孔部16dに加えて、ガイドアーム21の溝部21bにも挿入され、溝部21bに対して相対移動可能に連結されている。
【0028】
これにより、ガイドアーム21は、
図9(A)に示されるように、その凸部21dが凹部16aの内周面16bに接触することなく、溝部21bが支持軸17に対して車両水平方向に相対移動する態様のスライド移動が可能である。また、ガイドアーム21は、
図9(B)に示されるように、溝部21bと支持軸17との任意の連結位置において支持軸17周りに回転する態様の回転移動が可能である。
【0029】
また、ガイドアーム21は、
図9(C)に示されるように、凸部21dが凹部16aの上部側の内周面16bに沿って案内されることで、支持軸17周りの回転を伴いつつ溝部21bが支持軸17に対して斜め下方向に相対移動する態様のスライド移動が可能である。これとは逆に、ガイドアーム21は、
図9(D)に示されるように、凸部21dが凹部16aの下部側の内周面16bに沿って案内されることで、支持軸17周りの回転を伴いつつ溝部21bが支持軸17に対して斜め上方向に相対移動する態様のスライド移動も可能である。
【0030】
このように、スペーサ16は、ガイドアーム21の斜め上下方向における可動範囲を所定の範囲に設定する役割も果たす。支持軸17が本発明のガイド軸に相当し、ガイドアーム21の溝部21bが本発明のガイド溝に相当する。また、ガイドアーム21の凸部21dが本発明の係合凸部に相当し、スペーサ16の凹部16aが本発明の係合凹部に相当する。
【0031】
次に、
図10(A)〜10(C)及び
図11(A),11(B)を参照して、ベルクランク30、ドアハンドル20などをベース部材10に組み付ける手順について説明する。まず、ベルクランク30を、背切り部34aが壁部14aの溝部14bと平行となる姿勢とし(
図10(A))、その位置関係を維持した状態でベルクランク30をスライド移動させて背切り部34aを孔部14c内に挿入する(
図10(B))。なお、回動軸部34の中間部34c(
図4(B)、
図7(A)参照)にはねじりコイルばね40が既に装着されている。
【0032】
ベルクランク30の自由端側レバー31cがベース部材10の開口部10dから突出するようにベルクランク30をねじりコイルばね40の付勢力に抗して回動軸部34,35を回転中心として回転させる(
図10(C))。
【0033】
続いて、ドアハンドル20におけるガイドアーム21の軸部21cを自由端側レバー31cの溝部31b内に挿入する(
図11(A))。ガイドアーム21は、ねじりコイルばね40の付勢力によりベルクランク30と一体となってガイドケース13内に引き込まれ、ガイドケース13内の原位置で停止状態となる(
図11(B))。
【0034】
その後、ガイドケース13内にスペーサ16を介装し、支持軸17をガイドケース13の孔部13f,13g、スペーサ16の孔部16d及びガイドアーム21の溝部21bに挿入する(
図4(B)参照)。これにより、ガイドアーム21をベルクランク30と連結させつつ、支持軸17によりガイドケース13内に組み付けることができる。
【0035】
次に、上記のように構成された実施例1の作動について説明する。本実施例1の車両用ドアハンドル装置1では、
図12(A)に示されるようにドアハンドル20に対し、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、車両水平方向へ引き出す操作を行うことができる。
【0036】
この操作では、
図12(B)に示されるように、ガイドアーム21の溝部21bが支持軸17に対して車両水平方向に相対移動する。この場合、
図12(C)に示されるように、ガイドアーム21の軸部21cは自由端側レバー31cの溝部31bに対して相対移動を伴いながら車両水平方向に移動し、ねじりコイルばね40の付勢力に抗してベルクランク30の自由端側レバー31cを回動軸部34,35周りに回転させる。そして、自由端側レバー31cが支持軸17に接触することで、ガイドアーム21の最大引き出し位置(すなわち移動量の上限)が規定されるようになっている。
【0037】
軸部21cと溝部31bとの連結により、引き出し操作中のドアハンドル20は常時、ねじりコイルばね40の付勢力を受け、ドアハンドル20に対する操作力を弱めれば原位置(破線位置)へ復帰することとなる。
【0038】
一方、
図13(A)に示されるようにドアハンドル20に対し、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、支持軸17周りの回転動作を伴いつつ車両水平方向に対して斜め下方向へ引き出す操作を行うことができる。
【0039】
この操作では、
図9(C)及び
図13(B)に示されるように,ガイドアーム21の凸部21dがスペーサ16における凹部16aの上部側の内周面16bに沿って案内され、支持軸17周りの回転を伴いつつガイドアーム21の溝部21bが支持軸17に対して斜め下方向に相対移動する。この場合、
図13(C)に示されるように、ガイドアーム21の軸部21cは自由端側レバー31cの溝部31bに対して相対移動を伴いながらスペーサ16の凹部16aの上部領域を移動し、ねじりコイルばね40の付勢力に抗してベルクランク30の自由端側レバー31cを回動軸部34,35周りに回転させる。そして、
図12(C)の場合と同様、軸部21cと溝部31bとの連結により、引き出し操作中のドアハンドル20は常時、ねじりコイルばね40の付勢力を受け、ドアハンドル20に対する操作力を弱めれば原位置(破線位置)へ復帰することとなる。
【0040】
また、
図14(A)に示されるようにドアハンドル20に対し、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、支持軸17周りの回転動作を伴いつつ車両水平方向に対して斜め上方向へ引き出す操作を行うことができる。
【0041】
この操作では、
図9(D)及び
図14(B)に示されるようにガイドアーム21の凸部21dがスペーサ16における凹部16aの下部側の内周面16bに沿って案内され、支持軸17周りの回転を伴いつつガイドアーム21の溝部21bが支持軸17に対して斜め上方向に相対移動する。この場合、
図14(C)に示されるように、ガイドアーム21の軸部21cは自由端側レバー31cの溝部31bに対して相対移動を伴いながらスペーサ16の凹部16aの下部領域を移動し、ねじりコイルばね40の付勢力に抗してベルクランク30の自由端側レバー31cを回動軸部34,35周りに回転させる。そして、
図12(C)の場合と同様、軸部21cと溝部31bとの連結により、引き出し操作中のドアハンドル20は常時、ねじりコイルばね40の付勢力を受け、ドアハンドル20に対する操作力を弱めれば原位置(破線位置)へ復帰することとなる。
【0042】
このように本実施例1では、ドアハンドル20は、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、車両水平方向又は支持軸17周りの回転動作を伴いつつ車両水平方向に対して斜め上下方向にスライド移動することができる。そして、ドアハンドル20がいずれの方向にスライド移動してもベルクランク30が動作することとなり、ドアを解錠することができる。
【0043】
また、上記実施例1では、ガイドケース13内にガイドアーム21を囲うスペーサ16が設けられている。これにより、ガイドアーム21の車両前後方向へのがたつきを良好に防止することができ、しかも、上記実施例1のように、スペーサ16の凹部16aにガイドアーム21の凸部21dを係合させるように構成することで、スライド移動時におけるドアハンドル20の可動範囲の設定を簡易化することができる。
【0044】
また、上記実施例1では、支持軸17がガイドケース13の孔部13f,13g、スペーサ16の孔部16d及びガイドアーム21の溝部21b内に挿入されている。これにより、ベース部材10に対するドアハンドル20の可動構成を簡易化することができる。
【実施例2】
【0045】
図15〜
図18に示されるように、車両用ドアハンドル装置2は、車両のドアを構成するアウターパネルD2の外側表面に設置されるものであり、ベース部材100、ドアハンドル200、ベルクランク300などを備えている。なお、以下の説明では、
図15にて図示右側が車両前方向、図示左側が車両後方向、図示上側が車両上方向、図示下側が車両下方向に対応するものとする。
【0046】
ベース部材100は、
図15及び
図19(A)〜19(C)に示されるように、例えば楕円形状のプレートを主体とするものであり、長軸方向が車両前後方向とほぼ一致するようにアウターパネルD2に固定される。ベース部材100は、その全周にわたってアウターパネルD2の開口部(図示省略)の周縁部位と接触するための平面状の縁部100aを有し、その中央部にてドアハンドル200のグリップ部200aとの間に操作スペースを確保するための窪み部100bを有し、長軸方向の両端部にてパッド220(緩衝部材)を取り付けるための平面状の着座部100cを有している。ドアハンドル200は、パッド220を介して着座部100cに載置される(
図18(A)参照)。
【0047】
ベース部材100の着座部100cには、後述するドアハンドル200の一対のガイドアーム210に対応して、各ガイドアーム210をベース部材100の裏側へ導入する開口部100dが形成されている。ベース部材100の裏面100eには、車両前後方向に平行に延び出す上リブ壁110と下リブ壁120が立設されるとともに、各開口部100dの前後及び上下をそれぞれ壁部130a,130b,130c,130dで囲むようにガイドケース130が上リブ壁110及び下リブ壁120と一体に形成されている。ガイドケース130については後述する。
【0048】
ドアハンドル200は、例えばポリカーボネート系樹脂やポリブチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン系樹脂等の単一又は複数種類の樹脂材により成形されたものである。ドアハンドル200は、
図17,
図18(A)及び
図20(A)〜20(C)に示されるように、その中央部にてユーザーが触りやすく、握りやすくするために長手方向及び幅方向に沿って湾曲した形状のグリップ部200aを有している。
【0049】
ドアハンドル200の両端部には、ベース部材100の開口部100dに挿入される一対のガイドアーム210が一体に突出形成されている。ドアハンドル200は、各ガイドアーム210にて後述する支持軸170によりベース部材100に取り付けられる。各ガイドアーム210には、車両前後方向に貫通する溝部210bが形成されるとともに、上下面には溝部210bと平行に延びる底付きの溝部210eがそれぞれ形成されている。
【0050】
また、各ガイドアーム210の先端部には、車両前後方向のうちのいずれか一方向(本実施例2では前方向)に同軸に延び出す軸部210cが一体に形成されている。軸部210cは、後述するベルクランク300の溝部310bを貫通し、更にガイドケース130の孔部131を貫通する程度の軸長に設定されている。
【0051】
ベルクランク300は、
図18(B)及び
図21(A)〜21(C)に示されるように、各ガイドアーム210に対応する一対のクランク部310と、両クランク部310を一体に接続する接続バー320と、ドアのロック機構L2(
図16参照)に連結される孔部330とを備える。各クランク部310は、略ブーメラン形状をなし、接続バー320と一体に接続された基部側レバー310aと、溝部310bを有する自由端側レバー310cとを備える。基部側レバー310aと自由端側レバー310c間の角度θは、90°〜150°に設定されている。各クランク部310の中心(ブーメランの頂点近傍部)には、車両前後方向に延び出すように円筒形状の軸受部340,350が同軸に形成されている。
【0052】
図19(B),19(C)に戻って、上リブ壁110及び各ガイドケース130の壁部130cの上面には、ベース部材100の裏面100eを基端として、支持部140,150がそれぞれ一体に形成されている。支持部140は、車両前後方向に対向し、ベルクランク300の軸受部340を挟み込むような形で収容する一対の壁部140aを有する。各壁部140aには、円形状の孔部140cが壁部140a同士の対称位置に形成されている。同様に、支持部150は、車両前後方向に対向し、ベルクランク300の軸受部350を挟み込むような形で収容する一対の壁部150aを有する。各壁部150aには、円形状の孔部150cが壁部150a同士の対称位置に形成されている。そして、壁部140aの孔部140cと壁部150aの孔部150cは、同軸に形成されている。
【0053】
壁部140aの孔部140cを通してベルクランク300の軸受部340内に、例えば金属製のピン341が挿入されるのと同時に、壁部150aの孔部150cを通してベルクランク300の軸受部350内に、例えば金属製のピン351が挿入されることで、ベルクランク300は支持部140,150によりピン341,351周りに回動可能に支持されることとなる。そして、ピン341の先端部には、ねじりコイルばね400が巻回する形で組み込まれ、接続バー320がベース部材100の上リブ壁110から離間する向きに付勢される。ピン341,351が本発明の回動軸に相当し、ねじりコイルばね400が本発明の弾性部材に相当する。
【0054】
各ガイドケース130の壁部130cには、壁部130bに隣接して上下に開口する切り欠き130eが形成され、切り欠き130eに沿ってベルクランク300の自由端側レバー310cがガイドケース130内を上下に移動可能とされている(
図18(B),19(C)参照)。そして、前側のクランク部310の自由端側レバー310cは、前側のガイドケース130の壁部130aの後方近傍に配置される一方、後側のクランク部310の自由端側レバー310cは、後側のガイドケース130の壁部130bの後方近傍に配置されている。
【0055】
各ガイドケース130の前後の壁部130a,130bには、同軸に開口する円形の孔部130f,130gがそれぞれ形成され、孔部130f,130gには支持軸170が挿入される(
図17及び
図18(B)参照)。
【0056】
前側のガイドケース130の壁部130a、及び後側のガイドケース130の壁部130bの対称位置(投影位置)には、それぞれ前後に貫通する孔部131が形成されている。孔部131は、例えば正五角形の2組の対辺をそれぞれ外側に円弧状に凸としたような輪郭形状に形成されている(
図24(D)参照)。
【0057】
各ガイドケース130の対向する壁部130c,130dの内面には、ベース部材100の開口部100dから遠ざかるほど互いの間隔が広くなるような勾配を有するストッパ部132,133がそれぞれ一体に形成されている。ストッパ部132,133は後述するスペーサ160を位置規制する役割を果たす(
図25(B),26(B)参照)。
【0058】
図18(B)に戻って、各ガイドケース130内では、ガイドアーム210の軸部210cとベルクランク300の自由端側レバー310cの溝部310bとが相対移動可能に連結されている。ガイドアーム210の軸部210cが本発明の連結軸に相当する。また、ベルクランク300の自由端側レバー310cが本発明のレバーに相当し、自由端側レバー310cの溝部310bが本発明の連結溝に相当する。
【0059】
軸部210cと溝部310bとの連結状態で、各ガイドケース130にはガイドアーム210を囲うようにスペーサ160が介装される。スペーサ160は、
図16及び
図17に示されるように、ベルクランク300の自由端側レバー310cとの干渉が回避される範囲内でガイドケース13内の前後方向のスペースを占める程度に大きな前後長を有する先細りの立体形状に形成され、ガイドケース13内を移動可能とされている。スペーサ160は、ガイドケース130内におけるガイドアーム210の車両前後方向への移動を規制、具体的にはがたつきを防止する役割を果たす。スペーサ160が本発明の規制部材に相当する。
【0060】
図22(A)〜22(E)に示されるように、スペーサ160には、ベース部材100の開口部100dと対向する側及び自由端側レバー310cと対向する側に開口する凹部160aが形成されている。凹部160aは、スペーサ160の外形に対応した平面視にて先細りの形状に形成され、対向する壁部の内面にはガイドアーム210の溝部210eと係合する直線状の係合突起160gが形成されている。
【0061】
凹部160aの形成により残された薄板状の壁部160cには、各ガイドケース130の孔部130f,130gと同軸に孔部160dが形成され、支持軸170が各ガイドケース130の孔部130f,130gに加えてスペーサ160の孔部160dに挿入されるようになっている。また、スペーサ160の前面には、前側のガイドケース130の壁部130aの内面、後側のガイドケース130の壁部130bの内面にそれぞれ接触する突起160fが形成されている。
【0062】
次に、
図18(A),18(B)及び
図23(A)〜23(C)を参照して、ドアハンドル200などをベース部材100に組み付ける手順について説明する。まず、ベルクランク300をピン341,351によりねじりコイルばね400と共にベース部材100に取り付ける。次に、ベルクランク300の自由端側レバー310cがベース部材100の開口部100dから突出するようにベルクランク300をねじりコイルばね400の付勢力に抗してピン341,351を回転中心として回転させる(
図18(A)参照)。
【0063】
続いて、各ガイドアーム210の軸部210cを対応する自由端側レバー310cの溝部310bの後方に位置させた後、ガイドアーム200を前方向へスライド移動させ、各軸部210cを対応する溝部310b内に挿入する(
図18(A)の一点鎖線参照)。ガイドアーム210は、ねじりコイルばね400の付勢力によりベルクランク300と一体となってガイドケース130内に引き込まれ、ガイドケース130内の原位置で停止状態となる(
図18(B)参照)。
【0064】
この状態では、
図23(A)に示されるように、軸部210cは溝部310bとは連結状態にあるが、ガイドケース130の孔部131とは連結状態にない。このため、
図23(B)に示されるように、ガイドアーム200を前方向へスライド移動させると、軸部210cはガイドケース130の孔部131にも係合するようになる。この状態で、
図18(B)及び
図23(C)に示されるように、ガイドアーム200にスペーサ160をスライド嵌合し、支持軸170をガイドケース130の孔部130f,130g、スペーサ160の孔部160d及びガイドアーム210の溝部210b内に挿入する。これにより、ガイドアーム210がガイドケース130内に支持軸170を介して取り付けられる。支持軸170が本発明のガイド軸に相当し、ガイドケース130の孔部131が本発明の係合孔に相当する。
【0065】
次に、上記のように構成された実施例2の作動について説明する。本実施例2の車両用ドアハンドル装置2では、
図24(A)に示されるように、ドアハンドル200に対し、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、車両水平方向へ引き出す操作を行うことができる。
【0066】
この操作では、
図24(B)に示されるように、ガイドアーム210の溝部210bが支持軸170に対して車両水平方向に相対移動する。この場合、
図24(C),24(D)に示されるように、ガイドアーム210の軸部210cは自由端側レバー310cの溝部310bに対して相対移動を伴いながら車両水平方向に移動し、ねじりコイルばね400の付勢力に抗してベルクランク300の自由端側レバー310cをピン341,351周りに回転させる。そして、自由端側レバー310cが支持軸170に接触することで、ガイドアーム200の最大引き出し量(すなわち移動量の上限)が規定されるようになっている。
【0067】
軸部210cと溝部310bとの連結により、引き出し操作中のドアハンドル200は常時、ねじりコイルばね400の付勢力を受け、ドアハンドル200に対する操作力を弱めれば原位置(破線位置)へ復帰することとなる。
【0068】
一方、
図25(A)に示されるようにドアハンドル200に対し、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、支持軸170周りの回転動作を伴いつつ車両水平方向に対して斜め下方向へ引き出す操作を行うことができる。
【0069】
この操作では、
図25(D)に示されるように、ガイドアーム210の軸部210cがガイドケース130の孔部131に沿って領域S1を移動するのに伴い、ガイドアーム210がスペーサ160と共に支持軸170周りに回転する。スペーサ160がガイドケース130のストッパ部132に接触して停止した後は(
図25(B))、停止状態となったスペーサ160に対してガイドアーム210がスライド移動し、軸部210cが孔部131に沿って領域S2を移動するのに伴い(
図25(D)参照)、溝部210bが支持軸170に対して斜め下方向に相対移動する。
【0070】
この場合、
図25(C)に示されるように、ガイドアーム210の軸部210cは自由端側レバー310cの溝部310bに沿って相対移動し、ねじりコイルばね400の付勢力に抗してベルクランク300の自由端側レバー310cをピン341,351周りに回転させる。そして、
図24(C)の場合と同様、軸部210cと溝部310bとの連結により、引き出し操作中のドアハンドル200は常時、ねじりコイルばね400の付勢力を受け、ドアハンドル200に対する操作力を弱めれば原位置(破線位置)へ復帰することとなる。
【0071】
また、
図26(A)に示されるようにドアハンドル200に対し、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、支持軸170周りの回転動作を伴いつつ車両水平方向に対して斜め上方向へ引き出す操作を行うことができる。
【0072】
この操作では、
図26(D)に示されるように、ガイドアーム210の軸部210cがガイドケース130の孔部131に沿って領域S3を移動するのに伴い、ガイドアーム210がスペーサ160と共に支持軸170周りに回転する。スペーサ160がガイドケース130のストッパ部133に接触して停止した後は(
図26(B))、停止状態となったスペーサ160に対してガイドアーム210がスライド移動し、軸部210cが孔部131に沿って領域S4を移動するのに伴い(
図26(D)参照)、溝部210bが支持軸170に対して斜め上方向に相対移動する。
【0073】
この場合、
図26(C)に示されるように、ガイドアーム210の軸部210cは自由端側レバー310cの溝部310bに沿って相対移動し、ねじりコイルばね400の付勢力に抗してベルクランク300の自由端側レバー310cをピン341,351周りに回転させる。そして、
図24(C)の場合と同様、軸部210cと溝部310bとの連結により、引き出し操作中のドアハンドル200は常時、ねじりコイルばね400の付勢力を受け、ドアハンドル200に対する操作力を弱めれば原位置(破線位置)へ復帰することとなる。
【0074】
本実施例2のドアハンドル200は、その長手方向が車両前後方向を向いたまま、車両水平方向又は支持軸170周りの回転動作を伴いつつ車両水平方向に対して斜め上下方向にスライド移動することができる。そして、ドアハンドル200がいずれの方向にスライド移動してもベルクランク300が動作することとなり、ドアを解錠することができる。
【0075】
また、上記実施例2のように、ガイドケース130の孔部131にガイドアーム210の軸部210cを係合させるように構成することで、スライド移動時におけるドアハンドル20の可動範囲の設定を簡易化することができる。
【0076】
また、上記実施例2では、ガイドケース130内にガイドアーム210を囲うスペーサ160が設けられている。これにより、ガイドアーム210の車両前後方向へのがたつきを良好に防止することができる。この場合、スペーサ160がガイドケース130に支持軸170周りに回動可能に取り付けられ、ガイドアーム210がスペーサ160に対しスライド移動可能とされている。これにより、ガイドアーム210をスペーサ160により保護しつつ、ハンドルの操作方向に対応したガイドアーム210の移動を良好に確保することができる。
【0077】
また、上記実施例2では、支持軸170がガイドケース130の孔部130f,130g、スペーサ160の孔部160d及びガイドアーム210の溝部210b内に挿入されている。これにより、ベース部材100に対するドアハンドル200の可動構成を簡易化することができる。
【0078】
なお、上記実施例1,2では、それぞれスペーサ16,160を設けたが、例えば実施例2で採用したようなストッパ部132,133を上記実施例1のガイドケース13に形成し、ガイドアームが直接ストッパ部に接触することでドアアームが位置規制されるような構成とすれば、スペーサ16,160を省略することも可能である。
【0079】
また、上記実施例1で用いた回動軸部34,35を上記実施例2で用いてもよく、これとは逆に上記実施例2で用いたピン341,351を上記実施例1で用いてもよい。その他、本発明は上記実施例1,2に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えた態様で実施することが可能である。