特許第6242021号(P6242021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242021
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】立体表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   G02F1/13 505
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-171879(P2015-171879)
(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-53717(P2016-53717A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】201410444490.4
(32)【優先日】2014年9月2日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201510402058.3
(32)【優先日】2015年7月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511018044
【氏名又は名称】深▲せん▼超多維光電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUPERD CO.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】全 宏偉
(72)【発明者】
【氏名】皮 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】郭 福忠
(72)【発明者】
【氏名】宮 曉達
【審査官】 廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−173715(JP,A)
【文献】 特開2012−141552(JP,A)
【文献】 特開2012−003072(JP,A)
【文献】 特開2012−027489(JP,A)
【文献】 特開2010−249954(JP,A)
【文献】 特表2010−525388(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0105750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/133
G09G 3/18
G09G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
複数の第1電極が設けられている第1基板と、第2電極が設けられており、液晶層とスペーサーを挟んで前記第1基板と対向するように設置される第2基板とを含み、前記表示パネルの表示側に位置する液晶レンズと、
出力側に前記第1電極、前記第2電極がそれぞれ電気的に接続される駆動回路と、
前記駆動回路に初期電圧を提供する電圧モジュールとを含み、
3D表示用である場合、前記初期電圧を前記駆動回路により処理して、前記液晶レンズの稼働に必要とする複数の駆動電圧を出力する立体表示装置において、
2D表示用である場合、前記駆動回路は、各前記駆動電圧を処理して、液晶分子の閾値電圧より大きく且つ前記初期電圧より小さい偏向電圧を出力し、
前記偏向電圧により、前記液晶層内の前記液晶分子に偏向させ、前記液晶分子と前記スペーサーとの間の屈折率の差を小さくし、前記表示パネルからの光に対する前記スペーサーの影響をなくし、
前記第2電極は、複数設置され、
前記液晶レンズは、各前記第1電極と前記第1基板の間に設置される第3電極をさらに含み、
前記立体表示装置が2D表示用である場合、前記電圧モジュールは、前記駆動回路を介して各前記第1電極に第3電圧を、各前記第2電極に第4電圧を、前記第4電圧との差が前記偏向電圧である第5電圧を各前記第3電極に提供し、第3電圧、第4電圧及び第5電圧の相互作用で立体表示装置の正常表示を実現させることを特徴とする立体表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体表示装置において、
前記駆動回路は、
前記立体表示装置が2D表示用である場合に、制御信号を発生する信号発生モジュールと、
前記制御信号の制御により、各前記駆動電圧を前記偏向電圧に切り替える電圧切替モジュールとを含むことを特徴とする立体表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の立体表示装置において、
前記電圧切替モジュールは、
前記制御信号を受信して各前記駆動電圧を前記偏向電圧に切り替える切替ユニットを含むことを特徴とする立体表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の立体表示装置において、
前記電圧切替モジュールは、電圧調節ユニットをさらに含み、
前記電圧調節ユニットは、前記電圧モジュールの出力側に直列接続し、
前記電圧調節ユニットを調節することにより、各前記駆動電圧を取得し、
前記電圧調節ユニットは、前記切替ユニットに並列接続することを特徴とする立体表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の立体表示装置において、
前記電圧切替モジュールは、前記偏向電圧の安定化処理を行うための電圧安定化ユニットをさらに含み、
前記電圧安定化ユニットは、前記電圧調節ユニットに直列接続し、
前記電圧安定化ユニットは、出力側が各前記第1電極、前記第2電極に電気的に接続されることを特徴とする立体表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立体表示装置において、
観察者が所定観察範囲内に位置するかを検出するための検出モジュールをさらに含み、
前記検出モジュールは、前記観察者が前記所定観察範囲内に位置しない場合、検出信号を送信し、
前記駆動回路は、前記検出信号を受信し、2D表示をするように前記立体表示装置を制御することを特徴とする立体表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の立体表示装置において、
各前記第2電極は、離間して設置されており、
前記液晶層の配向方向は、水平方向であり、
前記第2電極の延伸方向と前記液晶層の配向方向の成す角は、鋭角であり、
前記偏向電圧により、前記第1基板と前記第2基板との間に横電界を発生させ、
前記横電界により、異なる度合いで偏向するように前記液晶層内の液晶分子を駆動することを特徴とする立体表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の立体表示装置において、
前記第1電極と前記第2電極の交差位置における前記横電界は、強電界領域であり、
前記強電界領域内に位置する前記液晶分子の偏向角は、n1であり、
前記強電界領域から離れた前記液晶分子の偏向角は、n2であり、且つn1>n2が成り立つことを特徴とする立体表示装置。
【請求項9】
請求項に記載の立体表示装置において、
前記強電界領域内に位置する前記液晶分子は、前記第2電極の延伸方向に直交する第1方向に沿って偏向することを特徴とする立体表示装置。
【請求項10】
請求項7−9に記載の立体表示装置において、
前記第1電極の延伸方向と前記第2電極の延伸方向の成す角は、鋭角α1であり、
前記第2電極の延伸方向と前記液晶層の配向方向の成す角は、β1であり、且つ45°≦β1<90°が成り立つことを特徴とする立体表示装置。
【請求項11】
請求項7−9に記載の立体表示装置において、
前記第1電極の延伸方向と前記第2電極の延伸方向の成す角は、鈍角α2であり、
前記第2電極の延伸方向と前記液晶層の配向方向の成す角は、β2であり、且つ0°<β2<45°が成り立つことを特徴とする立体表示装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体表示の技術分野に係るものであり、特に、立体表示装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
立体表示技術の発展につれて、立体表示装置には、立体画像の表示のみならず、文字やイメージを表示するなど、観察者のリクエストに応じて2D画像を表示することも求められている。図1に示すように、従来の立体表示装置は、表示パネル2´と、表示パネル2´の出射側に設けられる液晶レンズ1´とを含む。表示パネル2´からの画像差を有する左視図と右視図は、液晶レンズ1´の分光作用により、左視図が観察者の左目に、右視図が観察者の右目に入るようになり、観察者の脳により、感知した画像差に基づいて立体画像が形成される。
【0003】
図1図2に示すように、液晶レンズ1´は、対向に設置される第1基板11´と第2基板12´とを含む。第1基板11´と第2基板12´の間には、液晶層と、液晶層の厚みを支持ためのスペーサー14´が設けられている。第1基板11´には、互いに平行である複数の第1電極15´が設けられている。隣接する2つの第1電極15´は、いずれも一定距離で離間する。第2基板12´には、互いに平行である複数の第2電極16´が設けられている。隣接する2つの第2電極16´は、いずれも一定距離で離間する。第1電極15´、第2電極16´に対してそれぞれ第1電圧、第2電圧を提供することにより、第1電圧と第2電圧の電圧差により、第1基板11´と第2基板12´との間に駆動電界を発生させる。駆動電界により、液晶層内の液晶分子13´を駆動して異なる度合いで偏向させ、アレイ分布となる液晶レンズユニット17´を第1基板11´と第2基板12´内で形成させる。表示パネル2´から出射される偏向光は、液晶レンズユニット17´の分光作用により、左視面が左目に識別され、右視面が右目に識別されることで、三次元表示される。
【0004】
図3に示すように、立体表示装置が2D表示用である場合、液晶レンズ1´に対して電気遮断処理を行うと、第1基板11´と第2基板12´の間に電界の発生がなく、表示パネル2´からの偏向光は、スペーサー14´を透過する。スペーサー14´と液晶分子13´との間の屈折率の差が比較的大きいため、スペーサー14´で光の屈折が起こり、立体表示装置を目視するときに光点がスペーサー14´に存在することを引き起こし、観察者の観察効果と観察の快適さに影響を与える。
【0005】
従来技術において、複数の画素ユニット及び複数の画素ユニットの間に設置されるブラックマトリクスを含む表示パネルと、表示パネルにおけるブラックマトリクスの位置に対応する位置にあるスペーサーを含む液晶レンズ光学格子を含む立体表示装置も開示されている。ブラックマトリクスを表示パネルに設置することは、表示パネルの表示効果に影響を与えるだけではなく、スペーサーがブラックマトリクスに完全に被覆されないため、目視時に相変らず光点現象がスペーサーに存在することを引き起こす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、従来技術に制限や欠陥が存在することにより生じる上記1つ又は複数の問題を解決すべく、立体表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の実施形態は、下記のように実現される。
表示パネルと、
複数の第1電極が設けられている第1基板と、第2電極が設けられており、液晶層とスペーサーを挟んで前記第1基板と対向するように設置される第2基板とを含み、前記表示パネルの表示側に位置する液晶レンズと、
出力側に前記第1電極、前記第2電極がそれぞれ電気的に接続される駆動回路と、
前記駆動回路に初期電圧を提供する電圧モジュールとを含み、
3D表示用である場合、前記初期電圧を前記駆動回路により処理して、前記液晶レンズの稼働に必要とする複数の駆動電圧を出力する立体表示装置において、
2D表示用である場合、前記駆動回路は、各前記駆動電圧を処理して、液晶分子の閾値電圧より大きく且つ前記初期電圧以下の偏向電圧を出力し、
前記偏向電圧により、前記液晶層内の前記液晶分子に偏向させ、前記液晶分子と前記スペーサーとの間の屈折率の差を小さくし、前記表示パネルから出射される光に対する前記スペーサーの影響をなくす。
【0008】
具体的に、前記駆動回路は、前記立体表示装置が2D表示用である場合に制御信号を発生する信号発生モジュールと、前記制御信号の制御により、各前記駆動電圧を前記偏向電圧に切り替える電圧切替モジュールとを含む。
【0009】
さらに、前記電圧切替モジュールは、前記制御信号を受信して各前記駆動電圧を前記偏向電圧に切り替える切替ユニットを含む。
【0010】
さらに、前記電圧切替モジュールは、電圧調節ユニットをさらに含む。前記電圧調節ユニットは、前記電圧モジュールの出力側に直列接続する。前記電圧調節ユニットを調節することにより、各前記駆動電圧を取得する。前記電圧調節ユニットは、前記切替ユニットに並列接続する。
【0011】
さらに、前記電圧切替モジュールは、前記偏向電圧の安定化処理を行うための電圧安定化ユニットをさらに含む。前記電圧安定化ユニットは、前記電圧調節ユニットに直列接続する。前記電圧安定化ユニットは、出力側が各前記第1電極、前記第2電極に電気的に接続される。
【0012】
さらに、前記立体表示装置は、観察者が所定観察範囲内に位置するかを検出するための検出モジュールをさらに含む。前記検出モジュールは、前記観察者が前記所定観察範囲内に位置しない場合、検出信号を送信する。前記駆動回路は、前記検出信号を受信し、2D表示をするように前記立体表示装置を制御する。
【0013】
さらに、前記第2電極は、複数設置される。
【0014】
具体的に、前記立体表示装置が2D表示用の場合、前記電圧モジュールは、前記駆動回路を介して各前記第1電極に第1電圧を、前記第1電圧との差が前記偏向電圧である第2電圧を各前記第2電極に提供する。
【0015】
さらに、前記液晶レンズは、各前記第1電極と前記第1基板の間に設置される第3電極をさらに含む。前記立体表示装置が2D表示用である場合、前記電圧モジュールは、前記駆動回路を介して各前記第1電極に第3電圧を、各前記第2電極に第4電圧を、前記第4電圧との差が前記偏向電圧である第5電圧を各前記第3電極に提供する。
【0016】
具体的に、前記偏向電圧により、前記第1基板と前記第2基板の間に電界強度同一の均一電界を発生させる。前記均一電界により、前記液晶分子に同一度合いで偏向させる。偏向後の前記液晶分子と前記スペーサーとの間の屈折率の差は、所定範囲内にある。
【0017】
さらに、各前記第2電極は、離間して設置されている。前記液晶層の配向方向は、水平方向である。前記第2電極の延伸方向と前記液晶層の配向方向の成す角は、鋭角である。前記偏向電圧により、前記第1基板と前記第2基板との間に横電界を発生させる。前記横電界により、異なる度合いで偏向するように前記液晶層内の液晶分子を駆動する。
【0018】
さらに、前記第1電極と前記第2電極の交差位置における前記横電界は、強電界領域である。前記強電界領域内に位置する前記液晶分子の偏向角は、nであり、前記強電界領域から離れた前記液晶分子の偏向角は、nであり、且つn1>nが成り立つ。
【0019】
さらに、前記強電界領域内に位置する前記液晶分子は、前記第2電極の延伸方向に直交する第1方向に沿って偏向する。
【0020】
前記第1電圧は、接地電圧であり、前記第2電圧は、交流電圧であり、且つ、隣接する2つの前記第2電極に対応する2つの前記第2電圧は、同一時刻で同一の大きさであり、極性が逆であることが好ましい。
【0021】
前記第1電極の延伸方向と前記第2電極の延伸方向の成す角は、鋭角αであり、前記第2電極の延伸方向と前記液晶層の配向方向の成す角は、βであり、且つ45°≦β<90°が成り立つことが好ましい。
【0022】
又は、前記第1電極の延伸方向と前記第2電極の延伸方向の成す角は、鈍角αであり、前記第2電極の延伸方向と前記液晶層の配向方向の成す角は、βであり、且つ0°<β<45°が成り立つことが好ましい。
【0023】
前記第2電極は、複数設置されるバー型電極であるか、面電極である。
【0024】
本発明の実施形態による立体表示装置は、2D表示用の場合、信号発生モジュールから制御信号を生成し、切替ユニットが制御信号を受信して各駆動電圧を偏向電圧に切り替え、偏向電圧により、液晶分子に偏向させ、偏向後液晶分子の光に対する屈折率も変化が生じることとなり、液晶分子とスペーサーとの間の屈折率の差を小さくする。よって、表示パネルから出射される光のスペーサーによる屈折を弱め、立体表示装置の目視時に光点現象がスペーサーに存在することをなくす。本実施形態は、従来技術に比較し、表示パネルにおけるブラックマトリクスの位置にスペーサーの位置を対応させる必要がなく、液晶レンズの製造の難度が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術による2D/3D切替可能な立体表示装置の構造模式図である。
図2図1における液晶レンズの構造模式図である。
図3図1における液晶レンズの別の構造模式図である。
図4】本発明の実施形態1による立体表示装置の2D表示用の場合の構造模式図である。
図5図4による立体表示装置の3D表示用の場合の構造模式図である。
図6図4による立体表示装置の別の構造模式図である。
図7図6による駆動回路の構造模式図である。
図8図7による電圧切替モジュールの構造模式図である。
図9】本発明の実施形態2による立体表示装置の構造模式図である。
図10】本発明の実施形態3による立体表示装置の構造模式図である。
図11図10による液晶レンズの構造模式図である。
図12図10による液晶層の分布模式図である。
図13図10による第2電極と液晶層の配向方向が交差する模式図である。
図14】本発明の実施形態4による第2電極と液晶層の配向方向が交差する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の解決しようとする技術問題、技術案及び有益な効果をより明確かつ明白にするために、以下、図面および実施形態とともに本発明についてさらに詳細に記載する。なお、ここで記載する具体的な実施形態は、単に本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0027】
[実施形態1]
図4〜6に示すように、本発明の実施形態による立体表示装置(図示せず)は、液晶レンズ1と、表示パネル2と、駆動回路3と、電圧モジュール4とを含む。液晶レンズ1は、表示パネル2の表示側に設置される。液晶レンズ1は、対向に設置する第1基板11と、第1基板11より上に設置される第2基板12とを含む。第1基板11と第2基板12の間には、液晶層(図示せず)と、液晶層の厚みを支持するためのスペーサー14が設けられている。図4図6に示すように、第1基板11には、延伸方向が同じである複数の第1電極15が設けられている。即ち、各第1電極15は、互いに平行し、隣接する2つの第1電極15は、いずれも一定距離で離間する。第2基板12には第2電極16が設けられている。各第1電極15、第2電極16は、それぞれ駆動回路3の出力側に電気的に接続する。
【0028】
本実施例において、第1基板11には、延伸方向が同じである複数の第1電極15が設けられている。第1電極15は、バー型電極であってもよい。即ち、各第1電極15は、互いに平行し、隣接する2つの第1電極15は、いずれも一定距離で離間する。
【0029】
本実施例において、第2基板12には、延伸方向が同じである複数の第2電極16が設けられてもよい。即ち、各第2電極16は、互いに平行し、隣接する2つの第2電極16は、いずれも一定距離で離間する。本実施例において、第2電極16も、バー型電極であってもよい。駆動回路3は、第2電極16に共通電圧又は接地電圧を提供する。なお、他の実施例において、第2電極16は、バー型電極に限定されず、面電極であってもよい。
【0030】
液晶レンズ1が3D表示用である場合、駆動回路3は、各第1電極15に駆動電圧を、第2電極16に共通電圧又は接地電圧を提供する。駆動電圧と共通電圧との間の電圧差により、第1基板11と第2基板12の間に電界を発生させ、電界により液晶分子13に偏向させる。
【0031】
図5に示すように、立体表示装置が3D表示用である場合、電圧モジュール4は、駆動回路3に初期電圧を提供する。駆動回路3は、初期電圧を処理して、液晶レンズ1の稼働に必要とする複数の駆動電圧を出力する。複数の駆動電圧により、液晶層内の液晶分子13は、屈折率が漸変する液晶レンズユニットL1を形成する。液晶レンズユニットL1は、表示パネル2からの光を分光して立体画像を形成させる。屈折率が段階的分布となる液晶レンズユニットL1を形成するために、複数の駆動電圧が液晶レンズユニットL1を中心に対称し、各駆動電圧の電圧値が液晶レンズユニットL1の両端から中心に行くにつれて逓減することが求められる。本実施例において、駆動回路3は、初期電圧を処理して、液晶レンズ1の稼働に必要とする複数の駆動電圧を出力する。駆動回路3による初期電圧の処理方式は、少なくとも切替や調整などの電圧処理方式を含む。実際に、「切替」にしても「調整」にしても、別々の技術者が別々の角度から見た見解に過ぎず、本願では峻別されない。以下の説明は、主に「切替」の処理方式で説明するが、「調整」という電圧処理方式にも適用する又はそれを含み、ここでくどく述べない。
【0032】
本実施形態において、初期電圧は、液晶レンズ1の最大駆動電圧であってもよいし、液晶レンズ1の最大駆動電圧より大きくてもよい。立体表示装置が3D表示用である場合、駆動回路3により初期電圧を処理して、液晶レンズ1の稼働に必要とする駆動電圧を出力する。駆動電圧は、液晶分子13を駆動して段階的な屈折率差を有する液晶レンズユニットL1を形成する。表示パネル2からの光は、液晶レンズ1の分光作用により、画像差を有する左右視差図を形成し、観察者の目に入り、立体画像を形成させる。
【0033】
図4に示すように、立体表示装置が2D表示用である場合、駆動回路3は、各駆動電圧を処理して偏向電圧を出力する。偏向電圧は、液晶分子13の閾値電圧より大きく、且つ初期電圧以下である。偏向電圧により、液晶分子13に偏向させる。偏向後の液晶分子13の表示パネル2からの光に対する屈折率が変化することとなり、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差を小さくし、表示パネル2からの光に対するスペーサー14の影響をなくす。本実施形態において、偏向後の液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が比較的小さいため、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差は、所定範囲内になる。本実施形態における所定範囲は、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が0.1より小さいことを指す。もちろん、この値に限定されず、必要に応じて屈折率の差の値を設定することができる。上記設定により、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させ、表示の明晰度を改善する。本発明は、以下の問題、即ち、図3に示す立体表示装置の場合、観察者が立体表示装置に表示されている2D画面を観察するときに、液晶レンズ1´への電気遮断処理により、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が比較的大きくなり、表示パネル2´からの光はスペーサー14´で屈折現象が起こるという問題を解決することができる。
【0034】
本実施形態において、スペーサー14の位置を表示パネル2におけるブラックマトリクスの位置に対応させる必要がなく、液晶レンズ1の製造の難度が低くなる。しかも、本実施形態による駆動回路3は、構造が簡単であり、立体表示装置の余分なコスト追加がない。
【0035】
図7に示すように、駆動回路3は、信号発生モジュール31と、電圧切替モジュール32とを含む。立体表示装置が2D表示用である場合に、信号発生モジュール31は、制御信号を発生する。電圧切替モジュール32は、制御信号の制御により、各駆動電圧を偏向電圧に切り替える。信号発生モジュール31と電圧切替モジュール32は、電気的に接続されている。電圧切替モジュール32は、駆動電圧を偏向電圧に切り替える。偏向電圧が液晶分子13の閾値電圧より大きく、しかも偏向後の液晶分子13とスペーサー14の間の屈折率の差が比較的小さいため、表示パネル2から出射される光へのスペーサー14の影響を小さくする。液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差を所定範囲内にすることにより、表示パネル2からの光のスペーサー14での屈折による影響を弱める。立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させ、表示の明晰度を改善する。
【0036】
本実施形態において、電圧切替モジュール32は、信号発生モジュール31からの制御信号に基づいて、液晶レンズ1の駆動電圧を偏向電圧に切り替える。液晶レンズ1の応答速度が速く、表示効果が良好であり、且つ構造が簡単であり、余分のデバイスの追加もなく、操作しやすい。
【0037】
上記実施形態の更なる改良として、図5図8に示すように、電圧切替モジュール32は、切替ユニット321を含む。切替ユニット321は、制御信号を受信して各駆動電圧を偏向電圧に切り替える。信号発生モジュール31と切替ユニット321は、電気的に接続されている。切替ユニット321は、二値フリップフロップであってもよい。切替ユニット321は、制御信号が1である場合にオンになるが、制御信号が0である場合にオフになる。具体的に、立体表示装置が3D表示用である場合、制御信号が0となり、切替ユニット321は、オフになる。駆動回路3は、初期電圧を処理して駆動電圧を出力し、駆動電圧により、液晶分子13を駆動して液晶レンズユニットL1を形成する。立体表示装置が2D表示用である場合、制御信号が1となり、切替ユニット321はオンになり、駆動電圧を偏向電圧に切り替える。電圧の切替に信号制御が用いられ、切替ユニット321の信頼性が高まる。
【0038】
図8に示すように、電圧切替モジュール32は、電圧調節ユニット322をさらに含む。電圧調節ユニット322は、電圧モジュール4の出力側に直列接続する。電圧調節ユニット322を調節することにより、各駆動電圧を取得する。電圧調節ユニット322は、抵抗値の大きさが調節可能な抵抗であってもよい。電圧調節ユニット322は、切替ユニット321に並列接続する。切替ユニット321がオンになるとき、電圧調節ユニット322が短絡し、各駆動電圧を偏向電圧に切り替える。切替ユニット321がオフ状態にあるとき、抵抗の抵抗値を設定することにより、対応する駆動電圧を取得する。制御信号により切替ユニット321のオンオフを制御するため、観察者による手動操作を必要とせず、立体表示装置の操作スローを簡単化する。観察者のリクエストに応じて、立体表示装置が3D表示用または2D表示用であるかを自由に切り替え、観察者の観察体験が向上する。
【0039】
図4図8に示すように、電圧切替モジュール32は、偏向電圧の安定化処理を行うための電圧安定化ユニット323をさらに含む。電圧安定化ユニット323は、電圧調節ユニット322に直列接続する。電圧安定化ユニット323は、出力側が各第1電極15、第2電極16に電気的に接続される。初期電圧は、電圧調節ユニット322の調節により駆動電圧を出力し、又は切替ユニット321の処理により偏向電圧を出力する。このとき、駆動電圧又は偏向電圧に比較的大きなバラツキがあり、液晶レンズ1の作動の需要を満たすことができない。電圧安定化ユニット323を用いて駆動電圧又は偏向電圧の安定化処理を行い、処理後の駆動電圧又は偏向電圧により、液晶分子13を駆動して対応的に偏向させ、液晶レンズ1の正常な作動に必要とする駆動電圧又は偏向電圧を確保する。
【0040】
図6に示すように、立体表示装置は、観察者が所定観察範囲内に位置するかを検出するための検出モジュール5をさらに含む。検出モジュール5は、観察者が所定観察範囲内に位置しない場合、検出信号を送信する。駆動回路3は、検出信号を受信し、2D表示をするように立体表示装置を制御する。本実施形態において、所定観察範囲は、立体表示デバイスのデフォルトの(又は初期に設定した)表示ユニット配列周期において、複数の離散した分光ユニット幅により確定された、複数の離散した、観察に適した距離を指す。このような距離を所定観察範囲と言う。この範囲内では、観察者が立体表示装置を観察するとき、観察効果が良い。検出モジュール5は、観察者の目を追跡する人眼追跡ユニットを含んでもよい。人眼追跡ユニットが人眼を追跡できなかった場合、検出モジュール5は、検出信号を送信する。駆動回路3は、検出信号を受信し、2D表示をするように立体表示装置を制御する。又は、検出モジュール5は、画像識別ユニットを含む。画像識別ユニットにより、画像データソースに2D画像が含まれると識別すると、検出モジュール5は、検出信号を送信する。駆動回路3は、検出信号を受信し、2D表示をするように立体表示装置を制御し、2D/3Dの両立が実現される。立体表示装置の観察効果と観察快適さを向上させる。
【0041】
図5図6に示すように、立体表示装置が3D表示用の場合、本実施形態による電圧モジュール4は、駆動回路3を介して各第1電極15に駆動電圧を、各第2電極16に接地電圧を提供する。駆動電圧により、第1基板11と第2基板12との間に電界強度非均一の駆動電界を発生させる。駆動電界により、液晶分子13に電界強度の変化に応じて偏向させ、第1基板11と第2基板12との間の液晶層の屈折率を段階的に分布させ、アレイ配列の液晶レンズユニット(図示せず)を形成することにより、表示パネル2による画像差を有する左視図、右視図を立体表示装置から観察者に見せることを確保し、3D表示効果に影響を及ばない。
【0042】
具体的な操作方法は、以下である。立体表示装置が3D表示用の場合、各第1電極に対称な駆動電圧を、第2電極16に接地電圧を提供することにより、液晶分子13に偏向させ、アレイ配列であり且つ屈折率が漸変する液晶レンズユニットL1を形成する。図5を例として、液晶レンズユニットL1では、各バー型電極に対して、例えばS11、S12、S13、S14、S15、S16に対称な電圧を提供する。具体的に、V(S11)=V(S16)>V(S12)=V(S15)>V(S13)=V(S14)。
ここで、
V(S11)=V(S16)=Vseg0
V(S12)=V(S15)=Vseg1
V(S13)=V(S14)=Vseg2
液晶レンズユニットL1の電圧は、両端から中心に行くにつれて逓減する傾向があり、かつ対称に分布する。このように、各液晶レンズユニットL1では、電界がより平滑に変換する状態を呈する。表示パネル2からの光は、液晶レンズ1の分光作用により、立体画像を形成させる。
【0043】
具体的に、図4図7に示すように、立体表示装置が2D表示用の場合、切替ユニット321は、Vseg1、Vseg2、…を全て偏向電圧Uに切り替える。偏向電圧Uにより、第1基板11と第2基板12との間に偏向電界を発生させる。偏向電界により、液晶層内の全ての液晶分子13を駆動して偏向させ、かつ偏向後の液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が所定範囲内にある。所定範囲は、スペーサー14と液晶分子13との間の屈折率の差が0.1より小さい範囲を指す。これにより、従来技術の以下の問題、即ち、図3のように、観察者が2D表示を観察するときに、液晶レンズ1´の電気遮断処理を行うことにより、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が比較的大きくなり、表示パネル2´からの光がスペーサー14´で屈折し、観察者が立体表示装置を観察するときに光点現象がスペーサー14´に存在することを解決する。これにより、従来技術に比較し、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させ、しかも光漏れ現象がないことが分かる。
【0044】
図4に示すように、上記実施形態の更なる改良として、本実施形態による立体表示装置の2D表示時に、偏向電圧により、第1基板11と第2基板12との間に電界強度同一の均一電界(図示せず)を発生させる。均一電界により、液晶分子13の偏向角が同一であり、且つ偏向後の液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が所定範囲内にあり、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が0.1より小さいという所定範囲の条件を満たす。従って、表示パネル2からの光は、液晶分子13とスペーサー14を透過するとき、光の屈折が起こらない。このように、従来の立体表示装置の以下の問題、即ち、2D表示時に、図3のように、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が比較的大きいため、光がスペーサー14´を透過するときに屈折し、立体表示装置を目視するときに光点がスペーサー14´に存在することを解決する。本発明の実施形態による電圧切替モジュール32は、液晶レンズ1の駆動電圧を偏向電圧に切り替え、偏向電圧により、第1基板11と第2基板12との間に偏向電界を発生させ、偏向電界により、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が所定範囲内にあり、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差を小さくする。表示パネル2からの光がスペーサー14で屈折するという現象をなくし、しかも立体表示装置の表示効果に影響を与えず、光漏れ現象が生じない。
【0045】
本実施形態において、所定範囲は、スペーサー14と液晶分子13との間の屈折率の差が0.1より小さい範囲を指す。偏向電界により液晶分子13を駆動して偏向させ、表示パネル2からの光に対する液晶分子13の屈折率を変更させ、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差を小さくする。これにより、従来技術による立体表示装置の以下の問題、即ち、2D表示時に、図3のように、液晶レンズ1´に対して電気遮断処理を行うため、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が比較的大きくなり、さらに表示パネル2´からの光がスペーサー14´で屈折し、光点やカラーポイント現象がスペーサー14´に現れ、立体表示装置の観察効果に影響を与えることを解決する。
【0046】
具体的に、図4図6に示すように、立体表示装置が2D表示の際に、電圧モジュール4は、駆動回路3を介して複数の第1電極15に同一又は近い第1電圧を、第1電圧との差が偏向電圧である第2電圧を第2電極16に提供し、偏向電圧により、電界強度同一の偏向電界を発生させる。偏向電界により、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差が所定範囲内にあり、液晶分子13とスペーサー14との間の屈折率の差を小さくし、スペーサー14における光点現象をなくし、しかも立体表示装置の表示効果に影響を与えず、光漏れ現象が生じない。
【0047】
図4に示すように、第1電圧は、初期電圧と同一の大きさであり、第2電圧は、接地電圧であることが好ましい。このように形成した偏向電圧は、液晶層内の全ての液晶分子13に同一度合いで偏向させ、立体表示装置の2D表示時の正常表示を確保する。
【0048】
本実施液体において、第1電極15、第2電極16は、バー型電極であることが好ましい。もちろん、本技術方案を実現可能なほかの形状の電極でも、本出願書類の保護範囲内にある。
【0049】
[実施形態2]
図9に示すように、本実施形態による立体表示装置は、実施形態1による立体表示装置と構造が基本的に同一であり、液晶レンズ1aには、各第1電極15aと第1基板11aの間に設置される第3電極18aをさらに含み、第3電極18aと第1電極15aとの間に絶縁層(図示せず)が設けられ、各第1電極15aが絶縁層に設けられるという点で異なる。立体表示装置が2D表示用である場合、図6に示すように、電圧モジュール4は、駆動回路3を介して各第1電極15aに第3電圧を、各第2電極16aに第4電圧を、第4電圧との差が偏向電圧である第5電圧を第3電極18aに提供する。偏向電圧により、第1基板11aと第2基板12aとの間に電界強度同一の均一電界(図示せず)を発生させ、均一電界により、液晶分子13aを駆動してに同一度合いで偏向させる。即ち液晶分子13aの偏向角が同一であり、表示パネル2aからの光に対する液晶分子13aの屈折率が同一であり、偏向後の液晶分子13aとスペーサー14aとの間の屈折率の差が所定範囲内にあり、スペーサー14aと液晶分子液晶分子13aとの間の屈折率の差が0.1より小さいという所定範囲の条件を満たす。
【0050】
図9に示すように、表示パネル2aからの光が液晶分子液晶分子13aとスペーサー14aを透過するときに、スペーサー14aで光の屈折が起こらない。従来の立体表示装置の以下の問題、即ち、2D表示時に、図3のように、液晶レンズ1´に対する電気遮断処理により、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が比較的大きくなり、表示パネル2´からの光がスペーサー14´を透過するときに屈折し、立体表示装置を目視するときに光点がスペーサー14´に現れることを解決する。本実施形態において、立体表示装置が2D表示用である場合、比較的小さくてもよい第3電圧を第1電極15aに提供する必要があり、第3電圧、第4電圧及び第5電圧の相互作用で立体表示装置の正常表示を実現させる。
【0051】
図9に示すように、第4電圧が接地電圧であり、第5電圧の大きさが初期電圧と同一であり、形成した偏向電圧により、液晶層内の全ての液晶分子13aを駆動して同一度合いで偏向させ、立体表示装置の2D表示時の正常表示を確保する。
【0052】
本実施形態において、第3電極18aは、面電極であるか、密に配列するバー型電極である。
【0053】
[実施形態3]
図10図12に示すように、本実施形態による立体表示装置は、実施形態1による立体表示装置と構造が大体同一であり、液晶層10bの配向方向が水平方向であり、ここで言う水平方向は、地球の重力方向に直交するベクトル方向である。相違点は、各第2電極16bは、離間して設置し、第2電極16bの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角が鋭角であることにある。
【0054】
図10図11に示すように、立体表示装置が2D表示用である場合、偏向電圧により、第1基板11bと第2基板12bとの間に横電界を発生させ、横電界により、異なる度合いで偏向するように液晶層10b内の液晶分子13bを駆動する。具体的に、第1基板11bには複数の第1電極15bが設けられ、第2基板12bには複数の第2電極16bが設けられ、隣接する2つの第2電極16bに対して逆極性で同一大きさの交流電圧を同一時刻で付加し、各第1電極15bに共通電圧を付加し、隣接する2つの第2電極16bの間に横電界を発生させる。第1基板11b、第2基板12b近くに位置する液晶分子13bに加わる横電界の電界強度が比較的弱く、しかもここの液晶分子13bには液晶レンズ1bの配向層(図示せず)による配向力が加わるため、ここの液晶分子13bの偏向角は比較的小さいが、横電界の電界強度が比較的強い位置に位置する液晶分子13bの偏向角は比較的大きい。これにより分かることとして、横電界により、液晶分子13bに異なる度合いで偏向させる。表示パネル2bからの光は液晶レンズ1bを透過し、偏向角が異なる液晶分子13bから影響を受け、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、即ち、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差が所定範囲内になる。本実施形態による所定範囲は、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差が0.1より小さいことを指す。表示パネル2bからの光のスペーサー14bでの屈折による影響を弱める。立体表示装置の2D表示状態での観察効果と観察快適さを向上させ、表示の明晰度を改善する。本発明は、図3に示す立体表示装置の以下の問題、即ち、観察者が立体表示装置に表示されている2D画面を観察するときに、液晶レンズ1´への電気遮断処理により、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が大きくなり、表示パネル2´からの光はスペーサー14´で屈折現象が起こることを解決することができる。
【0055】
図10に示すように、立体表示装置の2D表示時の結像効果を保証するために、第1電極15bの延伸方向と第2電極16bの延伸方向とは、角度を成す。偏向電圧により、第1基板11bと第2基板12bとの間に横電界を発生させる。このような駆動方式により、第1電極15bと第2電極16bの交差位置において、比較的強い横電界を発生させる。交差位置近くの液晶分子13bは、電界の作用力により、横電界の電界線方向に沿って分布する。本実施形態において、電界線方向は、第2電極16bの延伸方向に直交する。一方、交差位置から離れた横電界の電界強度が比較的弱く、ここの液晶分子13bには比較的弱い電界の作用力が加わるため、偏向角が比較的小さい。従って、表示パネル2bからの光は、液晶レンズ1bを透過するとき、偏向度合いが異なる液晶分子13bから影響を受ける。よって、表示パネル2bからの光のスペーサー14bでの屈折による表示への影響を軽減し、立体表示装置の表示品質を向上させる。
【0056】
本実施形態において、スペーサー14bの位置を表示パネル2bにおけるブラックマトリクスの位置に対応させる必要がなく、液晶レンズ1bの製造の難度が低くなる。
【0057】
図11図12に示すように、偏向電圧により、第1電極15bと第2電極16bとの交差位置に強電界領域を形成し、強電界領域内に位置する液晶分子13bの偏向角は、nであり、強電界領域から離れた液晶分子13bの偏向角は、nであり、且つn>nが成り立つ。立体表示装置の3D表示時の液晶レンズ1bの分光作用を保証するために、第1電極15bの延伸方向と第2電極16bの延伸方向とは交差して交差領域を形成する。従って、偏向電圧により、比較的大きい電界強度の強電界領域を交差位置に形成する。強電界領域近くの液晶分子13bは、電界の作用力により電界線の方向に分布し、即ち液晶分子13bの偏向度合いが比較的大きい。一方、強電界領域から離れた液晶分子13bは、比較的弱い電界の作用力が加わるため、偏向角が比較的小さい。第1基板11b、第2基板12b両方の配向層近くの液晶分子13bは、配向力の作用により、さらに液晶分子13bの偏向角を制限する。従って、横電界の作用力により、液晶層10b内の液晶分子13bに異なる度合いで偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bの屈折率の差を小さくする。表示パネル2bからの光は、液晶レンズ1bに入り、偏向角が異なる液晶分子13bから影響を受ける。よって、表示パネル2bからの光に対するスペーサー14bの影響を弱め、立体表示装置の2D表示時の表示効果を向上させる。
【0058】
図11に示すように、強電界領域内に位置する液晶分子13bは、第2電極16bの延伸方向に直交する第1方向に沿って偏向する。横電界により、液晶層10b内の液晶分子13bに異なる度合いで偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を所定範囲内にする。表示パネル2bからの光は液晶レンズ1bに入り、表示パネル2bからの光のスペーサー14bでの屈折による影響を弱め、しかも異なる偏向度合いの液晶分子13bにより、屈折光をさらに拡散させ、さらにスペーサー14bによる表示効果への影響を弱める。立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させ、表示の明晰度を改善する。図3に示すように、従来技術による立体表示装置は、2D表示時に、通常液晶レンズ1´に対して電気遮断処理を行うが、このとき液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率が比較的大きくなり、表示パネル2´からの光がスペーサー14´で屈折し、立体表示装置を目視する際に光点現象がスペーサー14´に現れる。本実施形態による立体表示装置は、従来技術に比較し、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させる。
【0059】
図12図13に示すように、第1電極15bの延伸方向と第2電極16bの延伸方向の成す角は、αであり、本実施形態ではαが鋭角である。第2電極16bの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角は、βであり、かつ45°≦β<90°が成り立つ。β=45°の場合、即ち、第2電極16bの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角は、45°である。横電界により、液晶層10b内の液晶分子13bに異なる度合いで偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、表示パネル2bからの光のスペーサー14bによる屈折を弱め、スペーサー14bによる表示効果への影響を改善し、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させる。または、β=60°の場合、即ち、第2電極16bの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角は、60°である。横電界により、液晶層10b内の液晶分子13bに異なる度合いで偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、表示パネル2bからの光のスペーサー14bによる屈折を弱め、スペーサー14bによる表示効果への影響を改善し、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させる。第1電極15bの延伸方向と第2電極16bの延伸方向の成す角は、αであり、重なり合うときに生じるモアレ縞効果の影響をなくすことを考慮するべきであり、表示効果を向上させる。
【0060】
本実施形態において、液晶層10bの配向方向が水平方向であり、電圧モジュールは、各第1電極15bに第1電圧を、第1電圧との差が偏向電圧である第2電圧を第2電極16bに提供するように制御する。偏向電圧により、第1基板11bと第2基板12bとの間に横電界を発生させる。第2電極16bの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角がβであるため、横電界により、液晶層10b内の液晶分子13bに異なる度合いで偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、表示パネル2bからの光のスペーサー14bによる屈折を弱め、スペーサー14bによる表示効果への影響を改善し、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させる。
【0061】
図12に示すように、隣接する2つの第2電極16の間の距離は、第2電極16bの幅より大きく、横電界を形成しやすく、液晶分子13bは、横電界により、偏向角の差がより顕著的となる。従って、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、表示パネル2bからの光のスペーサー14bによる影響を改善し、表示効果を向上させることに一層寄与する。
【0062】
図12に示すように、隣接する2つの第2電極16の間の距離がLであり、第2電極16bの幅がBであり、且つL≦10Bが成り立つことが好ましい。充分な横電界の電界強度を維持するために、隣接する2つの第2電極16bの間の距離は、第2電極16bの幅の10倍を超えてはならない。横電界により、強電界領域に位置する液晶分子13bが大角度で偏向することを保証し、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、立体表示装置の2D表示時の表示効果を改善することに有利である。
【0063】
図11に示すように、立体表示装置が2D表示の場合、第1電圧は、共通電圧であり、第2電圧は、交流電圧であり、且つ、隣接する2つの第2電極16bに対応する2つの第2電圧は、同一時刻で同一の大きさであり、極性が逆である。即ち、電圧制御モジュールは、第1電極15bに共通電圧を付加し、第1電圧との差が偏向電圧である交流電圧を第2電極16bに付加する。偏向電圧により、第1電極15bと第2電極16bの交差位置に強電界領域を発生させる。強電界領域内の液晶分子13bは、偏向角が比較的大きいが、強電界領域から離れた液晶分子13b、例えば第1基板11b、第2基板12bの近くに位置する液晶分子13bは、偏向角が比較的小さい。従って、液晶層10bは、異なる屈折率を有し、スペーサー14bの屈折光を攪乱し、スペーサー14bに光点現象が現れることをなくし、立体表示装置の2D表示時の表示効果を向上させる。
【0064】
図10図11に示すように、本発明の実施例による立体表示装置は、偏向電圧が液晶分子13bの閾値電圧Vthより大きい。偏向電圧により横電界を発生させ、液晶分子13bを横電界により偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくする。従って、表示パネル2bからの光は、スペーサー14bを透過するときに屈折し、液晶分子13bにより屈折光をさらに拡散させる。よって、従来技術による立体表示装置の以下の問題、即ち、2D表示状態において、図3のように、液晶レンズ1´に対して電気遮断処理を行うことにより、液晶分子13´とスペーサー14´との間の屈折率の差が比較的大きくなり、表示パネル2´からの光がスペーサー14´に屈折し、立体表示装置を目視するときに光点がスペーサー14´に現れることをなくす。
【0065】
[実施形態4]
図10図14に示すように、本実施形態による立体表示装置は、実施形態1による立体表示装置と構造が大体同一であり、相違点として、第1電極15cの延伸方向と第2電極16cの延伸方向の成す角は、本実施形態では鈍角αであり、第2電極16cの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角は、βであり、且つ0°<β<45°が成り立つことにある。
【0066】
図10図12図14に示すように、液晶層10bの配向方向は、水平方向であり、電圧切替モジュール32は、各駆動電圧を偏向電圧に切り替える。偏向電圧により、第1基板11bと第2基板12bとの間に横電界を発生させる。第2電極16cの延伸方向と液晶層10bの配向方向の成す角がβであるため、横電界により、液晶層10b内の液晶分子13bに異なる度合いで偏向させ、液晶分子13bとスペーサー14bとの間の屈折率の差を小さくし、表示パネル2bからの光に対するスペーサー14bの屈折を弱め、スペーサー14bによる表示効果への影響を改善し、立体表示装置の2D表示状態における観察効果と観察快適さを向上させる。
【0067】
以上に記載したのは、単に本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。本発明の精神と原則内に為したあらゆる修正、同等の差し替え、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14