(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補償部は、前記ROIの算出に成功したときの前記超音波画像データから生成された前記成功超音波画像で、前記失敗超音波画像を補うことを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
前記補償部は、前記ROIの算出に成功したときの前記ROIの境界に基づいて超音波画像データからリアルタイムに生成された前記成功超音波画像で、前記失敗超音波画像を補うことを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
前記判定部は、前記輝度差の箇所の数が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所の数の割合が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所の数の統計値が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所に基づいて算出された前記ROIの座標の変化が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所に基づいて算出された前記ROIの大きさの変化が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所に基づいて算出された前記ROIの境界の変化が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所に基づいて算出された前記ROIの境界の所定の法線の数が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所に基づいて算出された前記ROIの境界の所定の法線の角度が所定の閾値を超えるか否か、前記輝度差の箇所に基づいて算出された前記ROIの境界の所定の法線の統計値が所定の閾値を超えるか否か、及び前記成功超音波画像の前記ROIとの相関値が所定の閾値を超えるか否かのうち少なくとも1つに基づいて、前記ROIの算出の成否を判定することを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
前記補償部は、前記失敗超音波画像の取得時刻と前記成功超音波画像の取得時刻との差が所定の時間以内であるか否か及び診断カルテのIDが一致しているか否かのうち少なくとも1つに基づいて、前記失敗超音波画像を前記成功超音波画像で補えるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
前記ROI算出部は、前記超音波画像データを複数のブロックに分割し、ブロックごとの輝度に基づいて、前記複数のブロックを分類し、前記分類されたブロックの境界を3次元ROIとして算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
前記判定部は、超音波画像データを複数のブロックに分割し、所定の輝度差を有する前記ブロックの箇所及び前記輝度差を有する前記ブロックの数のうち少なくとも1つに基づいて、前記ROIの算出の成否を判定することを特徴とする請求項1に記載の超音波撮像装置。
前記マーク生成部は、前記失敗超音波画像を補う前記成功超音波画像に、その他の前記成功超音波画像と異なるマークを表示させることを特徴とする請求項11に記載の超音波撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態の超音波撮像装置について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の超音波撮像装置の一例を示したブロック図である。超音波撮像装置1は超音波診断装置として用いられてもよい。
【0010】
超音波撮像装置1は、被検体2内に超音波を送受信し得られた反射エコー信号を用いて診断部位について2次元超音波画像又は3次元超音波画像を形成して表示する。超音波撮像装置1は、被検体2に超音波を照射し受信する振動子素子を備えた超音波探触子3と、超音波信号を送受信する超音波送受信部4と、受信信号に基づいて2次元超音波画像(Bモード画像)又は3次元超音波画像を構成する超音波画像構成部5と、超音波画像構成部5において構成された超音波画像を表示する表示部6と、各要素を制御する制御部7と、制御部7に指示を与えるコントロールパネル8と、警告などの音声を発生する音声発生部9とを備える。
【0011】
超音波探触子3は、振動子素子が超音波探触子3の長軸方向に1〜mチャンネル分配列されるとともに、超音波探触子3の短軸方向にk個に切断されて1〜kチャンネル分配列されている。超音波探触子3は、短軸方向の各振動子素子(1〜kチャンネル)に与える遅延時間を変えることにより、長軸方向だけでなく短軸方向にも送波や受波のフォーカスを行うことができ、2次元超音波画像データだけでなく3次元超音波画像データも取得することができる。超音波探触子3は、短軸方向の各振動子素子に与える超音波送信信号の振幅を変えることにより、送波重み付けを行うことができ、短軸方向の各振動子素子からの超音波受信信号の増幅度又は減衰度を変えることにより、受波重み付けを行うことができる。超音波探触子3は、短軸方向のそれぞれの振動子素子をオン/オフすることにより、口径制御を行うことができる。なお、超音波探触子3の走査方式としては、セクタ走査方式、リニア走査方式、コンベックス走査方式、及びラジアル走査方式などがある。また、超音波探触子3は、被検体2に対して機械的に振動子を短軸方向に往復移動しながら、超音波を走査して超音波画像データを取得してもよい。
【0012】
超音波送受信部4は、超音波探触子3に送信信号を供給するとともに、受信した反射エコー信号を処理する。超音波送受信部4は、超音波探触子3を制御して超音波ビームを送波せる送波回路と、被検体2内から反射した超音波ビームの反射エコー信号を受信して生体情報を収集する受波回路と、これらを制御する制御回路とを備える。
【0013】
超音波画像構成部5は、超音波送受信部4で処理した超音波画像データ(反射エコー信号)を超音波画像(例えば、超音波断層画像など)に変換する。また、超音波画像構成部5は、超音波画像データからROI(関心領域)を算出し、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所及び所定の輝度差の箇所の数のうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定し、失敗と判定されたROIに基づく失敗超音波画像を、成功と判定されたROIに基づく成功超音波画像で補う。
【0014】
図2は、超音波画像構成部5の一例を示したブロック図である。
図2に示すように、超音波画像構成部5は、超音波画像データからROI(関心領域)を算出して、超音波画像及び各種ドプラ画像を画像化する画像生成部542と、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所及び所定の輝度差の箇所の数のうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定する判定部541と、判定部541により失敗と判定されたROIに基づく失敗超音波画像を、判定部541により成功と判定されたROIに基づく成功超音波画像で補う補償部543とを備える。また、超音波画像構成部5は、判定部541により成功と判定されたROIのROI情報(座標など)を記憶し、判定部541により成功と判定されたROIに基づく成功超音波画像を記憶する記憶部(RAM545)を備える。画像生成部542は、超音波画像データからROIを算出するROI算出部544を備える。
【0015】
図3は、画像生成部542(ROI算出部544を含む)の一例を示したブロック図である。
図3に示すように、画像生成部542は、CPU(中央演算処理装置)515と、磁気ディスク装置525及びRAM545を含む記憶部と、高速演算装置546と、通信ポート555とを備える。画像生成部542(ROI算出部544)は、超音波送受信部4で受信した生体情報を信号処理することにより、超音波画像データからROIを算出し、2次元超音波画像、3次元超音波画像、及び各種ドプラ画像を画像化することができる。なお、
図3に示すように、記憶部(磁気ディスク装置525及びRAM545)を、画像生成部542が備えてもよい。
【0016】
表示部6は、表示制御部(図示せず)の制御により、超音波画像構成部5により生成された超音波画像(例えば、超音波断層画像など)、制御部7の制御に必要な制御情報、及びユーザ設定情報などの表示情報を表示する。表示部6は、CRTモニタや液晶モニタなどを含む。なお、表示制御部は、グラフィックプロセッサなどを含む表示制御システムである。
【0017】
音声発生部9は、超音波画像構成部5で生成された超音波画像に基づいて音声を発生する。音声発生部9は、スピーカーなどを含む。
【0018】
制御部7は、各構成要素の動作を制御する。制御部7は、ユーザインターフェース回路とのインターフェースを備える制御用コンピュータシステムを含む。制御部7は、ユーザインターフェース及びユーザインターフェースからの情報などに従って、超音波送受信部4を制御する。また、制御部7は、超音波送受信部4により受信された生体情報を超音波画像構成部5に送信し、超音波画像構成部5で画像化された情報を表示制御部に送信するなどの制御を行う。
【0019】
超音波撮像装置1は、超音波送受信する矩形又は扇形をなす面と直交する方向に超音波探触子3を電子的又は機械的にスイングすることにより、被検体2の診断部位の超音波画像データ(超音波断層画像データ)を複数取得し、複数の超音波画像データ(超音波断層画像データ)を用いて3次元超音波画像データを生成する。超音波撮像装置1は、ボクセル法又はボリュームレンダリング法などの手法により、3次元超音波画像データから3次元超音波画像を構成し、3次元超音波画像をリアルタイムに表示部6で表示する。
【0020】
次に、超音波撮像装置1の動作について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、超音波画像構成部5がROIを算出して3次元超音波画像をリアルタイムに生成する動作について説明する。
【0021】
図4は、3次元超音波画像データのプリカットを説明する図である。
図4(a)は、ROIを設定するROI設定画面30を示した図である。
図4(a)では、胎盤31を含まず胎児32を含む3次元超音波画像データを得るために、ROI算出部544がROI33を算出して設定した状態が示されている。ROI算出部544は、ROI33の境界の座標を記憶部に記憶し、ROI33の境界をROI設定画面30に描出する。
図4(b)は、3次元超音波画像データ処理を概念的に説明する図である。
図4(b)に示すように、3次元超音波画像データ34は立体的な領域を構成する。ROI算出部544は、ROI33を3次元で構成することにより、3次元ROI37を設定する。3次元ROI37は、3次元超音波画像データ34から切り出される。3次元超音波画像データ34には、胎児に相当する3次元超音波画像データ36と、胎盤に相当する3次元超音波画像データ35が含まれているが、3次元超音波画像データ34から切り出された3次元ROI37には、胎盤に相当する3次元超音波画像データ35は取り除かれ、胎児に相当する3次元超音波画像データ36が抽出される。画像生成部542は、超音波画像データから3次元ROI37を算出し、ボクセル法又はボリュームレンダリング法などの手法により、
図4(c)に示すように、胎盤が取り除かれ、胎児の3次元超音波画像391が含まれる3次元超音波画像39を生成する。画像生成部542は、ROI33の境界の座標を記憶部に記憶し、3次元ROI37の境界を3次元超音波画像に描出してもよい。
【0022】
超音波診断の迅速性を高めるため、超音波撮像装置1は、3次元超音波画像をリアルタイムに表示しながら、被検体2(例えば、胎児)を観察する。しかしながら、超音波探触子3の移動や胎児の体動などにより、ROI算出部544は、3次元ROI37の算出に適した超音波画像データ(3次元超音波画像データ)が得られず、3次元ROI37の算出が失敗する場合もある。ROIの算出に適さない超音波画像データが入力された場合、不適切な範囲のROIが算出され、不適切な3次元超音波画像が突発的に表示されるので、3次元超音波画像がちらついて見映えが悪くなる。また、胎児の手足部分のような複雑な構造や体組織が複雑に入り組んだような構造を撮像する場合、ROIの境界を決定できないため、ROIの範囲が算出されず、全範囲をレンダリングした不適切な3次元超音波画像が突発的に表示されるので、3次元超音波画像がちらついて見映えが悪くなる。
【0023】
図5は、ROI算出の成功/失敗を説明する図である。
図5では、時系列の超音波画像51,52,53において、胎児54(例えば、胎児54の腕)が動いている。超音波画像51,53では、判定部541により成功と判定されたROI51a,53aが取得され、判定部541により成功と判定されたROI51a,53aに基づく3次元超音波画像51b,53bが得られることにより、胎盤に相当する3次元超音波画像データが取り除かれ、胎児に相当する3次元超音波画像データ56が抽出される。一方、超音波画像52では、ROIの算出が失敗して適切なROIが取得されなかった。この場合、胎盤55に相当する3次元超音波画像データ57が含まれ、胎児に相当する3次元超音波画像データ56が抽出されると、胎盤に相当する3次元超音波画像データ57が含まれる3次元超音波画像(失敗超音波画像)52bが突発的に表示される。この結果、リアルタイムで3次元超音波画像51b,52b,53bを時系列に表示する場合、3次元超音波画像がちらついて見映えが悪くなる。
【0024】
本実施の形態の超音波撮像装置1は、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所及び所定の輝度差の箇所の数のうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定し、ROI算出の失敗と判定された超音波画像を、ROI算出の成功と判定された超音波画像で補う。
【0025】
図6は、超音波撮像装置1の動作を説明するフローチャートである。
図6に示すように、ステップS41において、ROI算出部544が超音波画像データからROIを算出する。ROI算出部544は、
図4の3次元超音波画像データ34に設定されるROIを算出する。ROI算出部544は、3次元超音波画像データ34の断面である2次元超音波画像を取得し、エッジ抽出法によって胎盤と羊水の境界をROIの境界とすることができる。
【0026】
ROI算出部544は、エッジ抽出法によって羊水と胎児の境界をROIの境界としてもよい。また、ROI算出部544は、胎盤と羊水の境界と羊水と胎児の境界の中間位置をROIの境界としてもよい。また、ROI算出部544は、超音波画像データ(2次元超音波画像データ)を複数のブロックに分割し、ブロックごとの輝度に基づいて、胎盤を含むブロックと、胎児を含むブロックと、胎盤及び胎児を含むブロックとに複数のブロックを分類し、分類されたブロックのうち何れかのブロックの境界をROI(2次元ROI又は3次元ROI)の境界としてもよい。領域分割を3次元超音波画像データ34に施し、3次元ROIの境界を3次元空間から決定することができる。さらに、ROI算出部544は、2次元超音波画像のROI(2次元ROI)の境界を所定の座標軸に沿って連続的に配置することにより、複数の2次元超音波画像からROIを3次元で構成し、3次元ROI37を設定してもよい。このとき、3次元ROIの境界は、2次元超音波画像の断面と直交する座標軸に沿って、2次元超音波画像のROI(2次元ROI)の境界を連続的に配置することにより、3次元ROI37を設定することができる。
【0027】
ステップC41において、判定部541が、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所及び所定の輝度差の箇所の数のうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定する。本実施の形態では、ROI(関心領域)は、胎盤を取り除き、胎児の3次元超音波画像を生成するために、算出され設定される。
【0028】
図5(b)に示すように、高輝度の胎盤と高輝度の胎児が接近している場合、エッジ抽出法では、胎盤と胎児の境界を表すエッジが抽出されず、ROIの境界を決定できないため、ROI算出が失敗することがある。また、胎児の手足部分のような複雑な構造や体組織が複雑に入り組んだような構造を撮像する場合、エッジ抽出法では、有意なエッジを有する箇所が複数存在し、ROIの境界を決定できないため、ROI算出が失敗することがある。また、超音波画像データを複数のブロックに分割する場合であっても、胎盤と胎児が接近している状況では、胎盤を含むブロックと、胎児を含むブロックと、胎盤及び胎児を含むブロックとに適切に分類することができず、ROIの境界を決定できないため、ROI算出が失敗することがある。
【0029】
判定部541は、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所及び所定の輝度差の箇所の数のうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定する。例えば、ROIの境界のエッジ強度が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。また、複数のフレーム間でROIの大きさ又は位置(座標)を比較し、複数のフレーム間の差が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。また、3次元ROIの境界面が3次元空間で構成されている場合には、3次元ROIの境界面を形成する曲面において、曲面の法線の角度(又は勾配)を算出し、所定の閾値を超える法線の角度(又は勾配)が存在するか否かによって、ROI算出の成否が判断される。
【0030】
判定部541は、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所の数が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所の数の割合が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所の数の統計値が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所に基づいて算出されたROIの座標の変化が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所に基づいて算出されたROIの大きさの変化が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所に基づいて算出されたROIの境界の変化が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所に基づいて算出されたROIの境界の所定の法線の数が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所に基づいて算出されたROIの境界の所定の法線の角度が所定の閾値を超えるか否か、超音波画像データにおける所定の輝度差の箇所に基づいて算出されたROIの境界の所定の法線の統計値が所定の閾値を超えるか否か、及び成功超音波画像のROIとの相関値が所定の閾値を超えるか否かのうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定する。
【0031】
例えば、超音波画像の所定の座標軸に沿って、所定の輝度差の箇所(例えば、エッジ抽出法により抽出された有意なエッジ)の数が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。また、超音波画像の所定の座標軸に沿って、所定の輝度差の箇所(例えば、閾値を超える輝度差を有する箇所と閾値以下の輝度差を有する箇所)の数をカウントし、閾値を超える輝度差を有する箇所の数の割合が所定の値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。また、超音波画像の所定の座標軸に沿って、所定の輝度差の箇所の数の統計値(例えば、閾値を超える輝度差を有する箇所の数の平均値、中央値、偏差、分散、及び成功超音波画像の所定の輝度差の箇所の数との相関値など)が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。
【0032】
ROIの座標(境界や重心の座標など)の変化(時間変化又は空間変化)が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。例えば、ROIの重心が閾値を超えて移動(時間変化)したときは、ROI算出の失敗が判断される。また、ROIの境界線の空間微分値が閾値を超えたときは、ROI算出の失敗が判断される。
【0033】
ROIの大きさ(長さや面積や体積など)の変化(時間変化又は空間変化)が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。例えば、所定の時間におけるROIの面積が閾値を超えて大きくなったときは(時間変化)、ROI算出の失敗が判断される。また、所定の座標軸に沿ったROIの境界線の長さの空間微分値が閾値を超えたときは、ROI算出の失敗が判断される。
【0034】
ROIの境界(境界線や境界面など)の変化(時間変化又は空間変化)が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。例えば、所定の時間における3次元ROIの境界面が閾値を超えて移動(時間変化)したときは、ROI算出の失敗が判断される。また、3次元ROIの境界面の空間微分値が閾値を超えたときは、ROI算出の失敗が判断される。
【0035】
ROIの境界の所定の法線(例えば、所定の角度を有する法線)の数(割合を含む)が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。また、ROIの境界の所定の法線の角度が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。例えば、3次元ROIの境界面の法線の角度(法線の角度は境界面の勾配に関連する)が閾値を超えたときは、ROI算出の失敗が判断される。また、ROIの境界の所定の法線の統計値が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。例えば、3次元ROIの境界面の法線の角度の平均値、中央値、偏差、及び分散のうち少なくとも1つが閾値を超えたときは、ROI算出の失敗が判断される。
【0036】
成功超音波画像のROIとの相関値が所定の閾値を超えるか否かによって、ROI算出の成否が判断される。例えば、記憶部(磁気ディスク装置525又はRAM545)から過去に取得された成功超音波画像のROI情報が読み出され、ROI情報に基づく成功超音波画像のROIとの相関値が所定の閾値を超えたときは、ROI算出の成功が判断される。
【0037】
超音波画像データを複数のブロックに分割する場合は、判定部541は、超音波画像データにおける所定の輝度差を有するブロック及び所定の輝度差を有するブロックの数のうち少なくとも1つに基づいて、ROI算出の成否を判定してもよい。例えば、所定の輝度差を有するブロックの数の平均値、中央値、偏差、分散、及び割合のうち少なくとも1つが閾値を超えたときは、ROI算出の失敗が判断される。
【0038】
図6のステップC41において、判定部541がROI算出の成功を判定した場合は、ステップS42に進み、ROI算出部544が、判定部541によりROI算出の成功が判定されたときのROI情報(ROIの位置や境界の座標など)や超音波画像データを記憶部に記憶する。この場合、ROI算出部544は、ROI算出の成功が判定されたときのROI情報(ROIの取得時刻又は記録時刻など)を、超音波画像データに関連付けて記憶部(RAM545)に記憶する。ROI情報は、ROI算出の成功を示す情報、ROIを形成する座標群の一部又は全部(3次元空間上において3次元ROIの境界面を形成する座標群の一部又は全部を含む)及びROIを形成する図形の幾何学的数式(3次元ROIの境界面を形成する幾何学的数式を含む)などを含む。また、ROI情報は、ROIが算出された時刻(ROIの取得時刻)及びROIの記録時刻を含む。さらに、ROI情報は、ROI算出に用いられた3次元超音波画像データのID、診断カルテのID、診断カルテに含まれる情報の一部又は全部を含んでもよい。また、ROI算出部544は、ROI算出の成功が判定された複数のROIのROI情報を記憶部(RAM545)に記憶してもよい。
【0039】
そして、ステップS44において、画像生成部542が、ROI中の超音波画像を生成する。例えば、
図4(c)に示すように、画像生成部542は、ボクセル法又はボリュームレンダリング法などの手法により、胎盤が取り除かれ、胎児の3次元超音波画像391が含まれる3次元超音波画像39を生成する。画像生成部542は、判定部541により成功と判定されたROIに基づく成功超音波画像や超音波画像の取得時刻(又は記録時刻)を、ROI情報に関連付けて記憶部(RAM545)に記憶する。また、画像生成部542は、判定部541により成功と判定された複数のROIに対応する複数の超音波画像を記憶部(RAM545)に記憶してもよい。このように、記憶部(RAM545)は、ROIの算出に成功したときの超音波画像データから生成された成功超音波画像を記憶する。
【0040】
一方、
図6のステップC41において、判定部541がROI算出の失敗を判定した場合は、ステップS43に進み、補償部543が、判定部541により成功と判定されたROIに基づく成功超音波画像を探索する。補償部543は、判定部541により失敗と判定されたROIに基づく超音波画像(失敗超音波画像)を判定部541により成功と判定されたROIに基づく超音波画像(成功超音波画像)で補うために、ROI情報(取得時刻など)によって、記憶部(RAM545)から超音波画像を探索する。例えば、補償部543が探索を行う場合、ステップC43において、失敗超音波画像の取得時刻と成功超音波画像の取得時刻との差が所定の時間以内であるか否かにより、補償部543が失敗超音波画像を成功超音波画像で補えるか否かを判定する。なぜなら、失敗超音波画像の取得時刻と成功超音波画像の取得時刻との差が所定の時間を超えると、失敗超音波画像を成功超音波画像で補った場合に、3次元超音波画像のちらつきは防止できるが、違和感がある3次元超音波画像が表示される可能性があるからである。つまり、失敗超音波画像の取得時刻と成功超音波画像の取得時刻との差が所定の時間以内である場合に、補償部543が失敗超音波画像を成功超音波画像で補えると判定する。また、補償部543は、診断カルテのIDが一致しているか否かを照合することにより、失敗超音波画像を成功超音波画像で補えるか否かを判定する。つまり、診断カルテのIDが一致している場合に、補償部543が失敗超音波画像を成功超音波画像で補えると判定する。
【0041】
ステップC43において、補償部543による探索が成功した場合は、ステップS45に進み、補償部543が、判定部541により失敗と判定されたROIに基づく超音波画像(失敗超音波画像)を、判定部541により成功と判定されたROIに基づく超音波画像(成功超音波画像)で補う。具体的には、補償部543が補償命令を出力し、補償命令に従って、画像生成部542が、失敗超音波画像の位置及び取得時刻などに基づいて、成功超音波画像(直前のフレームで得られた成功超音波画像も含む)を記憶部(RAM545)から読み出して、失敗超音波画像を成功超音波画像で置換する。このように、補償部543は、ROIの算出に成功したときの超音波画像データから生成された成功超音波画像で、判定部541により失敗と判定されたROIに基づく失敗超音波画像を補う。
【0042】
また、ステップS43,C43において、補償部543が、判定部541により成功と判定されたROI情報(成功ROI情報)を探索してもよい。この場合、ステップS45では、補償部543は、判定部541により失敗と判定されたROI(失敗ROI)に基づく超音波画像(失敗超音波画像)を判定部541により成功と判定されたROI(成功ROI)に基づく超音波画像(成功超音波画像)で補うために、ボクセル法又はボリュームレンダリング法(例えば、レイキャスティング法)などの手法により、探索された成功ROIの境界に基づいて、成功ROI中の超音波画像を生成する補償命令を画像生成部542に出力してもよい。このように、成功と判定されたROI情報に基づいて、成功ROIで囲まれた3次元超音波データを描画対象として、3次元超音波画像(例えば、胎児の超音波画像)がリアルタイムに生成され、成功超音波画像として失敗超音波画像の補償に用いられてもよい。つまり、補償部543は、ROIの算出に成功したときのROIの境界に基づいて超音波画像データからリアルタイムに生成された成功超音波画像で、判定部541により失敗と判定されたROIに基づく失敗超音波画像を補ってもよい。
【0043】
ステップC43において、補償部543による探索が失敗した場合は、ステップS46に進み、補償部543がエラー信号を送信して、エラー処理を行う。エラー処理では、失敗超音波画像をそのまま表示させてもよいし、時間軸上で直近の成功超音波画像で失敗超音波画像を強制的に補ってもよいし、エラー画像(例えば、黒い画像)を表示させてもよい。
【0044】
このように、判定部541によりROI算出に成功したと判定された場合には、成功したROI情報によって超音波画像が作成される。一方、判定部541によりROI算出に失敗したと判定された場合には、置換できる成功超音波画像(又は成功ROI)があるか否かを判定した上で(ステップC43)、失敗超音波画像を成功超音波画像で置換する(補う)。
【0045】
補償に用いられる成功超音波画像は、1つの成功超音波画像であってもよいし、複数の成功超音波画像を加算平均又は加重平均した成功超音波画像であってもよい。なお、補償部543は、複数の成功超音波画像の一部又は全部がステップC43の判定条件を満たすか否かを判定し、複数の成功超音波画像の一部又は全部がステップC43の判定条件を満たす場合に、複数の成功超音波画像を加算平均又は加重平均した成功超音波画像を失敗超音波画像の補償に用いてもよい。また、成功ROIの境界に基づいて超音波画像がリアルタイムに生成される場合は、ステップC43の判定条件を満たす複数の成功ROI情報(境界の座標など)を加算平均又は加重平均した成功ROIの境界に基づくリアルタイムの超音波画像を、成功超音波画像として失敗超音波画像の補償に用いてもよい。
【0046】
また、補償部543は、時間軸上で直近の成功超音波画像(又は成功ROI)を失敗超音波画像の補償に用いてもよい。また、判定部541は、超音波画像データ(2次元超音波画像データ)を複数のブロックに分割して、ブロックごとにROI算出の成否を判定し、補償部543は、判定部541によりROI算出の失敗が判定されたブロックを、判定部541によりROI算出の成功が判定されたブロックで補ってもよい。
【0047】
図7は、ROI算出が失敗した場合に失敗超音波画像を成功超音波画像で補うことを説明する図である。
図7では、時系列の超音波画像51,52,53において、胎児54(例えば、胎児54の腕)が動いている。
図5と同様、超音波画像51,53では、ROI算出が成功してROI51a,53aが取得される(ステップS41,C41)。ROI51a,53aのROI情報(ROIの位置や境界の座標など)や超音波画像データが記憶部に記憶される(ステップS42)。3次元超音波画像51b,53bが得られることにより、胎盤に相当する3次元超音波画像データが取り除かれ、胎児に相当する3次元超音波画像データ56が抽出される(ステップS44)。
【0048】
一方、超音波画像52では、ROI算出が失敗してROIが取得されなかった(ステップS41,C41)。この場合、補償部543が、記憶部(RAM545)から成功超音波画像を探索する。
図7では、時間軸上で直近の成功超音波画像が探索される。したがって、補償部543がROI51aの3次元超音波画像51bを成功超音波画像として探索する。補償部543による探索が成功した場合は(ステップC43)、補償部543が、失敗超音波画像(
図5の52b)を成功超音波画像62bで補う(ステップS45)。または、判定部541により成功と判定されたROI51aに対応する成功ROI62aの境界に基づいて成功超音波画像62bがリアルタイムに生成され、補償部543が、失敗超音波画像(
図5の52b)を成功超音波画像62bで補う(ステップS45)。
【0049】
以上、本発明にかかる実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において変更・変形することが可能である。
【0050】
例えば、ROI算出部544が、2次元超音波画像の2次元ROIの境界を所定の座標軸に沿って連続的に配置することにより3次元ROIを設定する場合、判定部541は、2次元ROIの算出の成否を判定し、補償部543は、2次元ROIの算出に成功したときの超音波画像データから生成された成功超音波画像で、失敗超音波画像を補ってもよい。また、ROI算出部544が、2次元超音波画像の2次元ROIの境界を所定の座標軸に沿って連続的に配置することにより3次元ROIを設定する場合、判定部541は、2次元ROIの算出の成否を判定し、補償部543は、2次元ROIの算出に成功したときの2次元ROIの境界に基づいて超音波画像データからリアルタイムに生成された成功超音波画像(2次元成功超音波画像)で、失敗超音波画像(2次元失敗超音波画像)を補ってもよい。このように、3次元ROIが設定されたときは、補償部543が、3次元ROIを構成する(3次元ROIの断面である)2次元ROIごとに、2次元成功超音波画像で2次元失敗超音波画像を補ってもよい。
【0051】
また、ROI算出部544は、超音波画像データから3次元ROIを算出し、判定部541は、3次元ROIの算出の成否を判定し、補償部543は、3次元ROIに基づく3次元の失敗超音波画像(3次元失敗超音波画像)を、3次元ROIに基づく3次元の成功超音波画像(3次元成功超音波画像)で補ってもよい。このように、3次元ROIが設定されたときは、補償部543が、3次元ROIごとに、3次元成功超音波画像で3次元失敗超音波画像を補ってもよい。
【0052】
また、
図8に示すように、本実施の形態の超音波撮像装置1は、ROIの算出の成否を示すマークを成功超音波画像に表示させるマーク生成部547を備えてもよい。
【0053】
図9は、ROI算出が成功/失敗したときのマークを説明する図である。表示画像71,73の超音波画像71a,73aでは、判定部541により成功と判定されたROI71c,73cが取得され、判定部541により成功と判定されたROI71c,73cに基づく3次元超音波画像71b,73bが得られ、マーク生成部547はROIの算出の成功を示す成功マーク74を次のフレームに切り替わるまで表示部6に表示させる。一方、表示画像72の超音波画像72aでは、ROIの算出が失敗して適切なROIが取得されず、不適切なROIに基づく3次元超音波画像72bが得られ、マーク生成部547はROIの算出の失敗を示す失敗マーク75を次のフレームに切り替わるまで表示部6に表示させる。または、
図6のステップS46において、補償部543がエラー処理を行う場合、マーク生成部547は失敗超音波画像又はエラー画像に失敗マーク75を表示させる。
【0054】
本実施の形態では、
図10に示すように、ROI算出が失敗した場合に補償部543が失敗超音波画像を成功超音波画像で補うので、表示画像72の超音波画像72aでは、補償部543が、失敗超音波画像(
図9の72b)を成功超音波画像74b(例えば、直前のフレームで得られた成功超音波画像71b)で補う。または、判定部541により成功と判定されたROI71cに対応する成功ROIの境界に基づいて成功超音波画像74bがリアルタイムに生成され、補償部543が、失敗超音波画像(
図9の72b)を成功超音波画像74bで補う。この場合、マーク生成部547は、ROIの算出の成功を示す成功マーク74を成功超音波画像に表示させる。
【0055】
また、マーク生成部547は、失敗超音波画像を補う成功超音波画像に、その他の成功超音波画像と異なるマークを表示させてもよい。例えば、
図11(a)に示すような補償マーク91を、失敗超音波画像を補う成功超音波画像(
図10の表示画像72)に表示させ、
図11(b)に示すような成功マーク74を、通常の成功超音波画像(
図10の表示画像71,73)に表示させる。
【0056】
また、表示部6は、ROIの算出の成否を成功超音波画像に表示してもよい。例えば、表示部6は、ROIを表示し、ROIの色、ROIの境界線(実線や点線など)、ROIの境界線の太さ、及びマークのうち少なくとも1つを変化させることにより、ROIの算出の成否を成功超音波画像に表示してもよい。また、音声発生部9は、ROIの算出の成否を示す音声(例えば、警告音)を発生してもよい。このように、画像(マークなど)、文字列、音声、振動、及びROIを変化させることにより、ROIの算出の成否が示される。
【0057】
また、本実施の形態の超音波撮像装置1は、産科における胎児の超音波画像について失敗超音波画像を成功超音波画像で補うが、胎児以外にも、肝臓、肝細胞、肝血管、胆嚢、胆管、脾臓、膵臓、腎臓、副腎、子宮、卵巣、前立腺、胃、腸、虫垂、心臓、動脈・静脈を含む血管、甲状腺、副甲状腺、頸動脈、頸静脈、乳腺、リンパ節、消化器、子宮、卵巣、尿管、膀胱、細胞組織、及び筋肉組織の超音波画像について失敗超音波画像を成功超音波画像で補ってもよい。