(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明における配管システム並びに接合器材と回転弁の実施形態並びに作用を図面に基づいて詳細に説明する。
図1においては、本発明の配管システムを利用した管路の一例を示し、
図2においては、配管システムを利用した管路の他例を示している。
【0035】
図1、
図2に示すように、本発明の配管システムは、パイプ20と、このパイプ20接合用の継手本体21とを備えた管路22、23を有し、継手本体21の内部には
図12に示した後述する弁ユニット25が設けられて3方弁が配設された構成になっている。配管システムの管路22、23のパイプ20は金属製からなり、継手本体21に対して螺着等の適宜の手段により接合される。
【0036】
図1に示す配管システムの管路22は、例えば、工場設備の空気圧配管として設けられ、弁ユニット25が設けられた継手本体21は、パイプ20を介して直列に接続されている。継手本体21により、分岐流路24、24が設けられている。
図2の管路23は、一般設備や装置のバイパス配管として用いられ、パイプ20、ユニオン継手26、制御弁27を介して弁ユニット25を有する継手本体21が直列に接続されてメイン流路30が構成され、このメイン流路30にバイパス流路31が設けられている。この場合、管路23を構成する部品としてエルボ管32も用いられ、このエルボ管32を用いてメイン流路30からバイパス流路31が形成される。
【0037】
図2の配管システムの管路は、
図3の回路図によって示される。
図3(a)の回路図において、メイン流路30に、3方弁となる二つの継手本体21、21、制御弁27、この制御弁27の1、2次側にユニオン継手26、26が配置されている。バイパス流路31は、メイン流路30の1次側の継手本体21で分岐され、二つのエルボ管32、32を介してメイン流路30の2次側の継手本体21に合流される。
この構成により、不要なチーズ管やバルブを削減できることで配管の部品点数が少なくなり、バイパス流路31がコンパクトになり、配管部品の材料コストを削減でき、配管重量が軽量化され、しかも弁ユニット25のバルブ操作が簡素化される。更に、継手本体21に図示しないパージ用のバルブを取付けることにより、バイパス流路31を構成するブロックごとにパージでき、管路内の圧力検査、流体のサンプリング、流体パージ、圧力リリーフなどを実施できる。
【0038】
配管システムの管路23において、メイン流路30に流体を流す場合には、1、2次側の継手本体21、21の弁ユニット25を
図3(b)に示したポート位置の状態にし、バイパス流路31方向への流体通過口を封止する。これにより、例えば、通常使用状態において、制御弁27により流量・圧力制御しながら、流体が矢印に示す方向にメイン流路30を流れる。
【0039】
一方、バイパス流路31に流体を流す場合には、
図3(c)に示すように、1次側の継手本体21の弁ユニット25をメイン流路30方向の流体通過口を封止するポート位置にし、2次側の継手本体21の弁ユニット25により上流側のメイン流路30の流体通過口を封止させる。これにより、例えば、メンテナンス時において、流体が矢印に示す方向にバイパス流路31を流れる。
【0040】
図4においては、
図19に示した従来の配管システムにおける管路を比較例として示している。従来の管路10では、
図4(a)に示すように、メイン流路部11にチーズ管である継手部材3、弁1、ユニオン継手部材7、制御バルブ8が設けられ、チーズ管3、弁1、ユニオン継手部材7が制御バルブ8の1、2次側に配置されている。バイパス流路12は、メイン流路部11の1次側のチーズ管3で分岐され、エルボ部材9、弁1、エルボ部材9の順序で構成された後に、メイン配管の2次側のチーズ管3に合流される。
【0041】
管路10における通常使用時では、メイン流路部11に流体を流す場合、
図4(b)に示すように、バイパス流路部12の弁1を閉状態にし、メイン流路部11の二つの弁1、1を開状態にしながら、制御バルブ8で流量・圧力制御を行う。通常、メンテナンスを行うためには定期的に制御バルブ8をメイン流路部11から取り外す必要が生じ、その後に部品交換や洗浄、ゲージ更正などが実施される。このとき、管路10内に流体を流しながら行うようになっているため、バイパス流路部12に流体を流す必要があり、
図4(c)に示すように、メイン流路部11の1、2次側の弁1、1を閉状態にし、パイパス流路部12の弁1を開状態にする。この状態で、ユニオン継手部材7により制御バルブ8を管路10から取り外すことになる。
【0042】
図5においては、本発明の配管システムを、工場設備などに設けられる空気圧配管の管路に適用した例を示しており、
図5(a)は、本発明の配管システムによる空気圧配管を示している。図において、空気圧配管の管路35は、基バルブ36が配設されたメイン流路37に、後述の弁ユニット25が設けられた3方弁機能を有する継手本体21が図示しない操作ハンドルが取付けられた状態で接合される。この継手本体21により分岐流路39、39と、パージ流路40とに分岐される。パージ流路40には、バルブ41を介して圧力計42が接続されている。バルブ41は、圧力計42のメンテナンス・校正時などにおける分解時に、この圧力計42のみを分解するためにメイン流路37を封止するために設けられる。
この管路では、操作ハンドルの操作により、継手本体21で分岐流路39、39、パージ流路40の個別または全てに流体を供給・停止することができ、バルブ41の開閉により圧力計42に流体を供給できる。
この管路35により、チーズ管、バルブの使用数量を低減でき、配管スペースを小さくできると共に、開閉切替え操作を一つの継手本体21で満足させることが可能になる。
【0043】
図5(b)においては、従来の工場設備配管の管路を
図5(a)との比較例として示している。この管路45では、図に示すように基弁46が設けられたメイン流路部47にチーズ管からなる継手部材48を介してパージ流路部49が設けられ、更に、チーズ配管から必要とする数(図においては2個)の分岐配管用の流路を確保するために、更にメイン流路部47にチーズ管である継手部材48が設けられている。パージ流路部49には弁50を介して圧力計器51が設けられ、チーズ管48により分岐された分岐流路部52には開閉用分岐弁53、53が設けられている。この分岐弁53の操作によって分岐流路部52の開閉が行われ、分岐弁53の2次側に設けられた図示しない制御機器などに流体を供給可能になっている。分岐弁53は、分岐先の制御機器の使用状況、メンテナンス状況に応じて、メイン配管部47から分離・独立して利用するために必要になっている。このように、従来の管路45では継手部材48やバルブの数が増えて管路全体が複雑化すると同時に大型化する。
【0044】
図6においては、本発明の配管システムをスプリンクラー設備に適用した例を示している。消防法の改正(平成21年4月施行)に伴って、火災の初期消火においては水道水の活用が考慮されることになった。その場合、本発明の配管システムを用いることにより、従来のスプリンクラー設備を簡略化でき、家屋などの狭いパイプスペースにも配設することが可能になる。管路60において、この配管システムでは、前述の弁ユニット25を備え3方弁機能を有する二つの継手本体21、21に加えて、弁ユニット21を備え4方弁機能を有する1つの自動弁となる継手本体62と、チャッキバルブ63、水抜きバルブ64、チーズ管65、ユニオン継手66、一次側圧力計67、二次側圧力計68を有している。
【0045】
チャッキバルブ63は、図示しない水道用供給側の2次側に設けられ、このチャッキバルブ63に3方弁機能の継手本体21が接合される。継手本体21の分岐流路24、24には、4方弁機能の継手本体62、チーズ管65がそれぞれ接合される。継手本体62の4つの分岐流路70には、前記の継手本体21の分岐流路24に加えて、水抜きバルブ64を介して水抜き管71、ユニオン継手66を介して継手本体21の分岐流路24、パージ流路72を介して1次側圧力計67が接続される。継手本体62は、モータ73によって弁ユニット61を回転制御可能な自動弁になっている。継手本体62の二次側の継手本体21の分岐流路24には、前記継手本体62の分岐流路70に加えて、テスト排水管69、チーズ管65に接合され、この継手本体21に二次側圧力計68が接続されている。図示しないスプリンクラーヘッド(消火管)は、チーズ管65の二次側に設けられる。
【0046】
このように、スプリンクラー設備の管路60に継手本体21、62を使用することにより、後述の
図9に示した従来の配管構成のスプリンクラーに比較して、バルブ、継手などの配管部品の数量を少なくすることができ、配管材料費の低減と、装置重量の低減、及び装置寸法をコンパクトにできると共に、配管からの外部漏れの信頼性を向上できる。しかも、このようにバルブの数量を低減した場合にも、従来と同様の機能を発揮するため、低減したバルブの数量に相当する装置の操作を省くことが可能になり、装置の取り扱いが容易となるため、緊急性を要求される装置においては、取扱い時間や誤操作の発生を低減することが可能になる。
【0047】
図7(a)に示すスプリンクラー設備の待機時においては、継手本体21の弁ユニット25を継手本体62側のみに連通させるポート位置とし、継手本体62の弁ユニット61のポート位置を、ユニオン継手66側の継手本体21側をシールした状態の閉状態にする。これにより、水道水を供給したときにこの水道水は、継手本体21から継手方向62に流れ、この継手本体62によって流体が停止して、チーズ管65の二次側のスプリンクラーヘッド側に流れることが防がれる。
【0048】
図7(b)に示した消火時・テスト時においては、継手本体21の弁ユニット25のポート位置を維持しながら継手本体62の弁ユニット61を回転させて、ユニオン継手66側の継手本体21に連通させたポート位置にする。このとき、継手本体21内の弁ユニット25を、チーズ管65側に連通した状態のポート位置にすることで、供給された水道水は、継手本体21、継手本体62、継手本体21、チーズ管65を介してスプリンクラーヘッド側に供給される。
【0049】
図8(a)に示した緊急時においては、継手本体21の弁ユニット25からスプリンクラーヘッド側に連通させたポート位置にし、継手本体62の弁ユニット61のポート位置を
図7(a)の閉状態まで回転する。これにより、供給された水道水は、継手本体21からチーズ管65を介して直接スプリンクラーヘッドに流れるようになる。
【0050】
図8(b)に示した水抜き時においては、継手本体21の弁ユニット25を、水道水供給側をシールした状態のポート位置とし、継手本体62、継手本体21の弁ユニット61、25のポート位置を、それぞれ水抜き管71、テスト排水管69に連通させる。この場合、スプリンクラーヘッドまでの間に蓄積している水道水を、水抜き管71及びテスト排水管69より外部に排出できる。
【0051】
図9には、従来のスプリンクラー設備の管路を比較例として示している。このスプリンクラー設備の管路80では、
図6のスプリンクラー設備における管路と同様の流路の切り替えを行うために、手動三方ボール弁81、電動三方弁81´、止水栓82、チャッキ弁83、緊急手動開放弁84、水抜き弁85、放水弁86に加えて、4つのチーズ部材87、エルボ部材88、ユニオン継手部材89、水抜き管部材90、テスト排水管部材91、一次側圧力計器92、二次側圧力計器93が必要になっている。このように、従来のスプリンクラー設備の管路80では、配管部品の数量が増加して流路が複雑化するため、家屋などの狭いパイプスペースへの設置も困難になる。
【0052】
以上のことから、本発明の配管システムは、配管部品の数量を少なくして管路を単純化できる。これによって、(1)配管スペースを小さくできる、(2)システム全体を小型化できる、(3)総重量を軽くできる、(4)配管設備、配管装置の構成部品を少なくできる、(5)配管工事の工数を減らし、工事期間の短縮、工事費用の削減を図れる、(6)メンテナンス時の材料コスト、工数、工事期間が抑えられる、(7)配管部品の数量が少ないため、設備や装置の操作が簡単になる、などの有用性がある。
【0053】
続いて、上述した配管システムに使用される継手本体、弁ユニットを説明する。継手本体、弁ユニットを利用することで、配管システムに接合可能な接合器材、回転弁を設けることが可能になっている。前述したように、継手本体には、三方弁機能を有する継手本体21、四方弁機能を有する継手本体62、さらに二方弁や、四方弁よりも多方弁を構成可能な継手本体とすることも可能である。
図10、
図11に示すように、ボデーとなる継手本体21は、例えば、青銅や黄銅、ステンレスなどを材料としてワンピース構造に形成され、パイプ接合用の少なくとも二つの流出入口110を有し、本実施形態では3つの流出入口110が設けられている。継手本体21には、少なくとも流路と直交する一つの開口部111が設けられ、この開口部111よりトップエントリ構造により弁ユニット25を組付けることで、流出入口110が開閉可能に設けられる。
【0054】
継手本体21の底部112の近傍には、上記流出入口110の周囲が半球面状に形成されて内周半球面113が形成され、この内周半球面113を有する弁体収納部115が設けられている。この弁体収納部115に続けて、円筒状の開口部111が開口するように形成されている。内周半球面113は、略半球形状の座ぐり加工により略半球凹状に形成され、この内周半球面113の底部112に弁体116が装着可能になっている。弁体収納部115の底部112には、挿着穴部117が形成されている。流出入口110は、弁体収納部115に連通して形成され、この流出入口110の内周側には雌ねじ118が形成され、この雌ねじ118にパイプ20を接続可能になっている。本実施形態では継手本体21をネジ接合により外部の配管と接合しているが、図示しないフランジ接合やそれ以外の接合手段により外部配管と接続可能に設けてもよい。
【0055】
図12に示した弁ユニット25は、弁体116、シール部材120、回転操作部(ステム)121を有し、これらが組付けられて構成されている。組付けられた弁ユニット25は、開口部111より弁体収納部115に組付け可能になっており、この弁ユニット25の回転動作により流出入口110が開閉可能に設けられており、弁体116による閉止時にシール部材120で流出入口110を密封シール可能になっている。
【0056】
図12〜
図16において、弁体116は、半球内周面113と相似形の半球面状に形成された半球面状部122を一部に有し、この半球面状部122の上方には略筒状の円形外周部123を有している。本実施形態では、弁体116の外周面を半球面状部122とし、この半球面状部122の上部に円形外周部123が形成されている。円形外周部123は、継手本体21の開口部111の内方に形成された円筒部124に対向して装着される。
半球面状部122の外周面には、流出入口110と対応して連通可能な交差する貫通孔127と、この貫通孔127との他方の交差方向に流出入口110と対向するシール部材装着溝128とが形成されている。
【0057】
貫通孔127は、流出入口110の流路径と略同一に形成されている。このように貫通孔127をフルボアタイプとしたときには、圧力損失を抑えることができる。また、貫通孔127は、フルボアタイプである以外にも、フルボアタイプよりも流路径を一段落とした(縮径した)スタンダードボアタイプ、或は、二段落としたレデュースボアタイプと呼ばれる口径を絞った態様に設けることも可能である。このうち、特に、フルボアタイプは、他のタイプに比較して圧力損失を抑えて流量特性を向上できるため、前述した配管システムに最も適している。
【0058】
一方、装着溝128には、流出入口110を閉止可能な弾性を有する前記シール部材120が着脱可能に装着されている。本実施形態では装着溝128は円形凹溝として設けられ、シール部材120は、この円形凹溝128に嵌合可能な円板状に形成される。
【0059】
弁体116の上面側には、この弁体116を開閉操作して流体制御する回転操作部121が一体に形成され、この回転操作部121の外周に弁体シール部材であるシール材125が装着される。回転操作部121を弁体116と別体に設け、この回転操作部121を弁体116に組付けるようにしてもよい。弁体116の下部には、挿着穴部117に挿着可能な支持ステム129が一体に形成されている。弁ユニット25を弁体収納部115に挿入する際には、この支持ステム129を挿着穴部117に挿着する。
【0060】
弁体116は、内周半球面113に挿入可能な形状であって、貫通孔127とシール部材120とが流出入口110に対応して装着可能であれば、半球面状部122に相当する部位がこの半球面状部以外の形状であってもよい。
【0061】
弁体に装着されるシール部材120は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの高分子材料により形成される。このシール部材120は、弁体116を回転したときにこの弁体116と一体に回動して流入口110をシール可能に設けられており、一方、流出入口110からずれたときにこれらが開放される。
【0062】
上述したように、継手本体21の開口部111より弁ユニット25を弁体収納部115に組付け可能に設けていることで、配管システムにねじ接合による接合器材を取付けることができる。この接合器材により、継手本体21に弁ユニット25を組付けないことで継手機能を発揮でき、一方、弁ユニット25を組付けた場合には回転弁機能を発揮させながら接合機能を発揮できる。
【0063】
図10において、継手本体の雌ネジ111aには、雄ねじ130を介してブッシュ131が螺着可能に設けられている。ブッシュ131の上面側には閉塞された被蓋部132が形成され、ブッシュ131を開口部111に装着したときには接合器材を継手として使用可能になる。この場合、流出入口110の数を増減することで、ソケット管、エルボ管、チーズ管、クロス管、或はそれ以上に分岐した継手として設けることも可能である。また、通常時に接合器材を回転弁として使用し、必要に応じてブッシュ131を取付けるようにすれば、管路のフラッシングや減菌時に継手として使用できる。
【0064】
図11に示すように、ブッシュ131には、弁体収納部115と継手本体21の外部とを連通可能な連通孔135を設けてもよい。この連通孔135には、圧力計、温度計などの計器136を接続可能になっており、計器136を接続した場合、継手本体21の内部状況を、この計器を介して確認できる。更に、
図11(a)に示した1つの連通孔135を設ける以外にも、
図11(b)に示すように二つの連通孔135、135、或はそれ以上の数の連通孔を設けて複数の計器136を接続してもよい。更に、連通孔135を各種検査用の検査孔として用いたり、エア抜き用のパージ孔として用いることもできる。ブッシュ131を、連通孔135を介して継手の接合部位として使用してもよい。
【0065】
配管システムに接合器材を設けた場合には、この接合器材により、流路の方向変換、流路の分岐又は集合、パイプの接続、異なる管径の部材の接続、パイプの末端の閉鎖、計器・バルブなどの取付け、膨張・収縮などの吸収、パイプの回転又は屈曲などの機能を発揮可能になる。
【0066】
図12に示すように、配管システムに回転弁を設ける場合には、この回転弁を構成するために、継手本体21に弁ユニット25、スペーサ140、ブッシュ部材141が組み付けられる。スペーサ140は開口部111に嵌合可能な外径に形成され、中央にステム121を挿入可能な連通部142が設けられている。スペーサ140の外周には外周溝143が形成され、この外周溝143にシール材125が装着される。ブッシュ部材141の外周側には雌ネジ111aに螺合可能な雄螺子部144が設けられ、スペーサ140と同様に中央にステム12挿入用の連通部145が設けられている。
【0067】
開口部111から継手本体21内の弁体収納部内115に弁体116(弁ユニット25)を挿入し、この弁体116の上から開口部111にシール材125を介してスペーサ140を装着し、このスペーサ140の上から開口部111にブッシュ部材141を螺着により装着することで、弁体116をブッシュ部材141により上下方向に位置決めしながら、シール材125を介して回転操作部121で回転可能に設けた構成になっている。このため、弁体116に高い圧力が加わったり内部圧力が上昇した場合にも、
図12において弁体116が上昇する力を回転操作部121の断面部のみで発生させて、最小限度に抑えることができ、高精度の弁体回転動作を維持して高いシール性を発揮している。
このように、
図14に示した3方口のチーズに相当する継手本体21に、3方用の弁ユニット25と、スペーサ140、ブッシュ部材141が
図12、
図13に示すように組み込まれて回転弁が設けられる。回転操作部121にはハンドル146が取付けられ、このハンドル146により弁ユニット25が回転可能に設けられる。
【0068】
スペーサ140は、継手本体21の当該位置に螺合により設けられた図示しないロックネジで、回転・圧力による抜けを防止するブローアウトプルーフ構造になっている。このため、加圧状態でブッシュ部材141を緩めた場合でも、弁ユニット25が圧力で外部に飛び出すことが防がれて安全性が保たれている。さらに、ロックネジを設けていることで、スペーサ140をブッシュ部材141の回転により上下方向に調整した状態で位置決めすることも可能である。これにより、継手本体21への弁体116の上下位置を調整して、継手本体21や弁体116の寸法誤差を吸収しつつ、弁体収納部115の所定位置に弁体116を正確に装着できる。また、シール部材120が摩耗した場合においても、ブッシュ部材141を回転してスペーサ140、弁体116の位置を調節して、流体をシールする位置までボデーの弁体収納部115に押し付け、シール面圧を確保することができる。
【0069】
更に、
図12に示すように、スペーサ140の弁体116側の底面部147にはボールプランジャ150が設けられ、このボールプランジャ150が対応する弁体116のスペーサ140と対向する上面側には、ボールプランジャ係止用の係止部151が、
図15(b)に示すように90°間隔で形成されている。ハンドル146により弁体116を回転させた時には、90°ごとにボールプランジャ150が係止部151に係止することで、弁体116を90°毎に回転操作可能になっている。この場合、弁体116は、360°エンドレス回転できるようになっている。弁体116の回転時には、内部の流体圧力が二つのシール材125、125でシールされていることで回転操作部121のみに印加され、操作トルクが低く抑えられる。
【0070】
図16においては、
図15(a)の状態からハンドル146の回転により弁ユニット25を回転させた状態を示している。
図15(a)には、弁ユニット25により流路が連通した状態を示しており、このときには、ボールプランジャ150が係止部151に嵌り込んだ状態となる。このようにして、弁ユニット25を回動して貫通孔127が流出入口110に連通したときに、弁体116を係止部151の所定位置で停止させ、この状態を保持できる。しかも、その際にクリック感が得られることで、弁体116の回転状態を確認できる。弁ユニット25にシール部材120が装着されていることで、このシール部材120により所定の流出入口110を塞いで流体を閉止させるまで操作したことを確認できる。
図16においては、ボールプランジャ150が係止部151から外れた状態を示している。この場合、クリック感が得られないため、弁体116が中間開度であることを確認できる。
【0071】
この回転弁では、
図14に示した継手本体21に対して
図15(b)の弁ユニット25を回転動作させることで、弁体116の貫通孔127及びシール部材120と、流出入口110との位置関係により、4つのパターンを90°ずつインデックス動作により切り替えできる。すなわち、
図14における流出入口110をそれぞれ流出入口110a、流出入口110b、流出入口110cとした場合、これらの流出入口110a、110b、110cを全て連通させた状態、流出入口110bと流出入口110cとを連通して流出入口110aを閉止した状態、流出入口110aと流出入口110cとを連通して流出入口110bを閉止した状態、流出入口110aと流出入口110bとを連通して流出入口110cを閉止した状態の4つの状態に切り替えできる。
【0072】
ここで、一般的なボールバルブでは、流出入口側にそれぞれシールリングが配置され、このシールリングに対して封止に必要な接触面圧が加わる位置にボール弁体が配置され、このボール弁体を回動操作して流体を閉止する構造になっている。このようなボールバルブでは、各流出入口を確実に閉止するために、シールリングを流出入口よりも外周縁側に拡径した状態でボール弁体球面とシールリングとが接触する位置に配置する。このため、ボール弁体とシールリングとが流体の流れ方向に対して干渉させる必要がある。
【0073】
さらに、2つ以上の流出入口を閉止するためにシールリングやこのシールリングを固定するための固定部材がそれぞれ必要になる。そのため、流出入口の増加に伴ってバルブ全体の複雑化、大型化、重量の増加につながることに加え、各部品の高い寸法精度も要求されることになる。
【0074】
しかも、ボール弁体とシールリングとは前記したように干渉する位置に配置されているため、ボール弁体によるシールリングの変形、破損を防ぐためにバルブ内部の構造が複雑になる。例えば、ワンピース構造のフローティングバルブにおいては、ボデーと別体のインサートを設け、このインサートをボデーの配管接続部からねじ込んでシールリングとボール弁体とを流路方向に沿って伴締めする構造になる。2〜4ピース構造のフローティングバルブにおいては、ボデーと別体のキャップを設け、このキャップをボデーの流路方向からねじ込んで、シールリングと球体とを流路方向に沿って伴締めする構造になる。トラニオンバルブにおいては、ボデーの配管接続部から各シールリングを流路方向に沿ってボール球面に接触するように締め付ける構造になる。
【0075】
これらの場合、流出入口の増加により組立工数も増加し、摩耗や消耗等によりシールリングや消耗部品等を交換する場合には、配管からバルブ全体を取外し、このバルブを分解して部品交換等を実施する必要が生じるなどの手間もかかる。
シールリングの装着時には、このシールリングの初期封止性能・ボール球面との摺動性能が、ボールとシールリングとの固定位置により大きく影響されるため、シールリングを所定位置に位置決めするためにボデー等に対して高い加工精度が要求される。
【0076】
前記のような一般的なボールバルブに比較して、上記実施形態の回転弁は、弁体116側にシール部材120を配設しているため、一般的なボールバルブのように複数のシールリングをボデー内の流出入口にそれぞれ装着することなく、1つの弁体116にシール部材120を装着できる。このため、部品点数を少なくしつつ内部を簡略化して小型化・軽量化でき、継手本体21、弁ユニット25の半球面状部122、シール部材120に高い加工精度を必要とすることがない。弁体収納部115の内周半球面113、具体的には、流出入口110の開口部位(ボデーの弁座面)の加工精度を確保すれば、継手本体21に弁ユニット25を挿入した状態で、スペーサ140、ブッシュ部材141を取付けるだけでシール性を確保しつつ所定の状態に組込んで、安定した操作性とシール性とを確保できる。
【0077】
弁体116の組込み時には、予めシール部材120を装着した弁ユニット25を開口部から挿入でき、継手本体21をワンピース構造に設けているために流体を確実に封止して外部への漏れを防止できる。しかも、弁ユニット25をスペーサ140、ブッシュ部材141を介して組み込んでいるため、このスペーサ140及びブッシュ部材141により緩みの発生を防いで弁ユニット25を繰り返し回転しても高いシール性を保持する。更に、配管後の状態でブッシュ部材141の締付けによって弁ユニット25を増し締めできるため、仮にシール部材120にて漏れが発生した場合にもこの増し締めによって迅速に漏れを止めることができる。弁ユニット25の増し締めにより、シール部材120の摩耗によるシール性能の低下を補うこともできる。内封部が少ないため、異常昇圧の回避もできる。この組込み構造により、シールリングやインサート、キャップ等を外部からボデーに組み込む必要もないために、消耗部品等の交換時に全体を配管から外す必要がなく、組付け作業や消耗部品等の交換時の工数を最小限に抑えている。
【0078】
後述するように、継手本体21により回転弁を設けた場合、挿着穴部117を介してボールバルブ等の別のバルブ機構を取付けてもよい。これにより、継手本体と弁ユニットとを組み合わせて、例えば、2〜5方弁に設けた回転弁に対して、挿着穴部側に更に別のバルブを組み合わせて流路を開閉することもできる。また、
図12において、接合器材の場合と同様に、圧力計、温度計などの計器136を接続して継手本体21の内部状況を確認したり、継手本体内部101の流体サンプリングや、配管内部の圧力をパージしたり、気密検査用の空気圧を配管内部に供給して配管気密検査を実施することも可能である。
【0079】
図17においては、回転弁の第2実施形態を示している。なお、この実施形態以降において、前述した実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
この回転弁においては、継手本体160に弁体161が挿着され、この弁体161の回転操作部162との対向側に、この回転操作部162と同一軸径の支持ステム163が設けられている。支持ステム163は、継手本体160の開口部111の対向位置に形成した挿入口164に軸着される。継手本体160の挿入口164側には取付座165が設けられ、この取付座165にアクチュエータ166が搭載されている。支持ステム163は、アクチュエータ166の出力軸168と接続されており、アクチュエータ166により弁ユニット167を回転操作可能になっている。このように、回転弁に操作用のアクチュエータ166を搭載してもよい。
【0080】
この回転弁では、上記のように回転操作部162と支持ステム163の軸径を同一寸法に設けていることで、流体圧力によって継手本体160内に発生する受圧推力を同一の軸径で相殺し、弁ユニット167を操作するときに必要となる操作トルクを、シール部材120が弁体収納部115を摺動するときの摩擦トルクに抑えることが可能になる。そのため、操作トルクを低く抑えて、出力トルクの低い小型のアクチュエータ166を使用することができるようになる。
【0081】
これを具体的に説明すると、この回転弁において、流体の流れ方向は、継手本体160に形成された流出入口170から流出入口171、又は流出入口171から流出入口170のバイフローになる。流体の流れが流出入口170から流出入口171である場合、シール部材120による閉止時には、流体圧力はシール部材120の印加部120a側に印加され、弁体161、及び継手本体160内に流体圧力が印加されることはない。閉止トルクは、シート受圧面積に加わる流体圧力を閉止するための継手本体160への圧縮力のみが作用するため、操作トルクは、シール部材120と弁体収納部115における接触面との摺動摩擦力だけとなる。中間開度においても、回転操作部162と支持ステム163との断面積が同一であるため、弁体161に作用する流体圧による回転操作部162側のシール材125の装着部分と支持ステム163のシール材125の装着部分とにかかる推力が互いに相殺され、流体圧力の影響を受けることなくシール部材120と弁体収納部115の接触面との摺動摩擦力のみが作用する。このため、低トルクでの操作が可能になる。
【0082】
流体の流れが流出入口171から流出入口170である場合には、閉止時に流体圧力はシート部材120の印加部120bに印加され、弁体161及び継手本体160内に流体圧力が印加されてはいるが、回転操作部162と支持ステム163との断面積が同一であるため、弁体161に作用する流体圧による回転操作部162側のシール材125の装着部分と支持ステム163のシール材125の装着部分とにかかる推力が互いに相殺される。このため、閉止トルクとしてシール部材120の継手本体160への流体圧力を閉止するための圧縮力のみが作用するため、操作トルクはシール部材120と弁体収納部115の接触面との摺動摩擦力のみとなる。中間開度においても、回転操作部162と支持ステム163との断面積が同一であるため、弁体161に作用する流体圧による回転操作部162側のシール材125の装着部分と支持ステム163のシール材125の装着部分とにかかる推力が互いに相殺され、流体圧力の影響を受けることなくシール部材120と弁体収納部115の接触面との摺動摩擦力のみが作用する。このため、低トルクでの操作が可能になる。
【0083】
手動操作時には、ブッシュ部材141より外部に露出した状態の回転操作部162を、ハンドル146を介して回転操作できるため、構造の簡素化や操作性の向上が図られる。バルブの開度は、この手動操作兼用のハンドル146の向きにより容易に確認できる。
弁ユニット167を継手本体160から分解したり、シール部材120やシール材125などの消耗部品を交換する場合には、ブッシュ部材141を緩め、スペーサ140を継手本体160に固定しているロックネジ172を緩めてスペーサ140の固定を解除した上で、図において下方側に弁ユニット167を継手本体160から引き抜くことで簡単にこの弁ユニット167を取り外しできる。
【0084】
図18(a)、
図18(b)においては、回転弁の第3実施形態を示している。
図18(b)に示すように、この実施形態では、二つの流出入口を有する二方弁機能を有する継手本体200が用いられる。継手本体200には2つの流出入口201、201及び開口部202が設けられ、これら流出入口201および201側、開口部202の上端側に接続部205が設けられ、この接続部205はそれぞれクランプ式フェルール継手により設けられる。
【0085】
フェルール継手205は、流出入口201側、開口部側にそれぞれ設けられたフェルール部207、207を
図19に示したクランプバンドでパイプ230、蓋部材211に設けられたフェルール部207、207に接合して構成され、このフェルール継手205により継手本体200が
図20の管路206の一部として設けられる。このとき、接合されるフェルール部207同士の間には、シール部材208が挟着される。なお、
図20では、継手本体200が3方弁構造となっているが、この分岐した流出入口を省略して2方弁として設けることができる。このように、継手本体200を介して、
図18の回転弁、或は図示しない接合器材を配管システムの管路206として接合することが可能となる。この実施形態では、継手部材200で回転弁を構成する場合を説明する。
【0086】
図19に示したクランプバンド210は、バンド部212、212、リンク213、締付け用ボルト214、ハンドル215を有している。バンド部212はピン216により一端側がリンク213に回転自在に取付けられ、バンド部213の他端側には、締付け用ボルト214、この締付け用ボルト214が嵌り込む凹状部217がそれぞれ形成されている。締付け用ボルト214は、バンド部212、212を閉じた状態で凹状部217に遊嵌可能に設けられ、この締付け用ボルト214のおねじ214aにはハンドル215のめねじ215aが螺着されている。
【0087】
図18において、継手本体200内には、二方弁体である弁ユニット220、スペーサ221、ブッシュ部材222が組み付けられる。スペーサ221は、継手本体開口部202を被蓋する蓋部材からなり、開口部202内周に嵌合可能な外径に形成されている。この蓋部材211の外周には継手本体開口部202のフェルール部207と対をなす鍔部223が設けられ、これらの鍔部223とフェルール部207との対向側には有底穴部224、224がそれぞれ形成されている。蓋部材211の中央には雌螺子部225が形成され、この雌螺子部225にはブッシュ部材222の外周に形成された雄螺子226が螺合可能になっている。ブッシュ部材222は、これらの螺合により蓋部材211に取付けられ、上端側に形成された拡径状の把持部227の回転により蓋部材211に対して上下に移動する。尚、図中、回転角度位置決め用のボールプランジャーを省略している。
【0088】
弁ユニット220は、開口部202から弁体収納部115に装入され、この弁ユニット220の上からブッシュ部材222が螺着された蓋部材211が弁体収納部115に嵌入される。このとき、蓋部材211とブッシュ部材222との有底穴部224、224にガイドピン228が挿入され、このガイドピン228により蓋部材211とブッシュ部材222とが回転方向に位置決めされる。
この状態で、蓋部材211の鍔部223と開口部202のフェルール部207とがクランプバンド210で着脱可能に接合されることでフェルール継手205が設けられる。この場合、鍔部223とフェルール部207とにクランプバンド210のバンド部212を装着した状態で、凹状部217に締付け用ボルト214を嵌め込んでハンドル215を締付けることで、蓋部材211と継手本体200とが一体化される。
【0089】
回転弁の一体化後には、ブッシュ部材222を回転して上下移動させることで、弁体116を上下方向に移動して調節可能になっている。回転操作部121の上端側にはハンドル215が取付けられ、このハンドル215により弁ユニット220を回転操作可能となる。
【0090】
継手本体200から弁ユニット220、蓋部材211、ブッシュ部材222を取り外す場合には、
図21(a)に示すように取付けとは逆の手順でクランプバンド210をフェルール部207と鍔部223とから取り外し、
図21(b)に示すようにハンドル215を継手本体200に対して引き上げることで弁ユニット220とともに蓋部材211、ブッシュ部材222を外すことが可能となる。
【0091】
一方、
図20に示すように回転弁の流出入口201にフェルール継手205によりパイプ230を接合する場合、流出入口201とパイプ230のフェルール部207同士を突き合わせた状態で、クランプバンド210で蓋部材211の場合と同様にクランプ接合する。このように、クランプバンド210を用いることでパイプ230が接合方向に締付けられ、継手本体200と強固に接合して緩んだり脱落したりすることが防止される。この実施形態では継手本体200にパイプ230を接合する例を説明したが、別の継手本体200やその他の配管器材を継手本体200に接合することもできる。
【0092】
ところで、一般的なトップエントリ型のボールバルブの場合、ボデーに設けたシール部材(ボールシート)を弁体である球面状ボールに設けた円形流路開口部の外周球表面に接触させてシールする必要がある。この場合、バルブを分解して清掃する際には、ボデーから弁体を抜くときに、先ずボール弁体球形部からボールシートを離間させる必要があり、ボールシートを離間させない場合にはボデーからボールを引き上げることができない構造になっている。
【0093】
そして、この種のボールバルブをサニタリー用とする場合、サニタリープロセスにおいて液だまりを避けるためにフルボアの流過面積とする必要がある。このとき、1ピース構造のボデーではフルボア構造を確保することが難しくなり、通常、2、3ピース構造のボデーとする必要がある。このように通常のボールバルブは複数ピース構造であることと、ボールシートとボールとが干渉する内部構造になっていることから、ボールシートをボールから離間させるための距離が余分に必要になり、配管状態では内部部品を分解することが困難になる。この理由から、このボールバルブは、トップエントリ構造でありながら内部部品を分解・組立するために配管から外す必要が生じている。さらに、ボデー本体にフェルール継手を設ける場合には、このボデー本体とフェルール継手形状に設けたシートとを保持する接続リテーナが別体として必要になるため、部品点数が多くなるとともにシールする部分が増加して外部漏れのリスクも増大し、洗浄コストの増大と製品コストの上昇を招くことにもつながる。これらによって、このボールバルブは、定期的に清掃やメンテナンスを実施する必要があるサニタリープロセス用途に適しているとはいえない。
【0094】
このような一般的な構造のボールバルブに比較して、
図18における回転弁は、前述したように継手本体200をパイプ230から取り外すことなく、配管システムへの配管状態を維持しながらクランプバンド210を取り外し、バルブ内部の部品をユニット単位で分解・組立可能となる。その際、トップエントリ構造であることから余計な部品を取り外すことなく、弁ユニット220、蓋部材211、ブッシュ部材222を図示しない汎用工具により
図21に示すように継手本体200に対して垂直方向に引き上げて簡単に分解できるため、着脱の際に余分な作業スペースを必要とすることがない。このため、分解した各部品の洗浄、配管内のフラッシング、蒸気で滅菌するなどの清掃・メンテナンスが容易になり、回転弁の内部に加えて、パイプ内部の接液部の汚れも落とすことで清浄に保つことが可能になる。
【0095】
さらに、回転弁がワンピース構造であることで全体をコンパクト化し、面間・高さ寸法を縮小し、部品点数も少なく抑えられる。しかも、外部漏れのリスクも低減され、洗浄コストや製品コストも抑えられる。
【0096】
フェルール継手205を介して継手本体200をパイプ230等に接合できるため、ねじ接合のようなねじ締め込み用のスペースや、一般的なフランジ接合のようにボルト・ナットの締め込み用のスペースを流路方向に必要とすることがない。すなわち、継手本体200を接合するための必要最小限の面間寸法があれば、この面間寸法に継手本体200を収めてパイプ230の外周側からクランプバンド210を取付けることで省スペース化を図れる。
【0097】
図22(a)、
図22(b)においては、回転弁の第4実施形態を示しており、3方向に流出入口201を有する継手本体240を用いて回転弁を横3方弁構造に設けたものである。一方、
図23(a)、
図23(b)においては、回転弁の第5実施形態を示しており、4方向の流出入口201を有する継手本体241を用いて回転弁を縦3方構造に設けたものである。これらのように、回転弁を二方弁以外の多方弁構造としたときに、何れの場合にも前記と同様に1ピース構造のボデーとすることで洗浄時等の分解・組立が容易となり、流体のサンプリング機能も付加可能になる。これらの横3方弁及び縦3方弁以外に、更に多方の回転弁構造とした場合にも、
図18の二方弁の場合と同様にクランプ式フェルール継手205を介して管路に接合できることで清掃やメンテナンスが容易になり、簡略化した流路とすることで省スペース化が可能となる。