特許第6242051号(P6242051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242051通信装置、通信装置の制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242051
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20171127BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20171127BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04N5/232 300
   H04W8/00
   H04W84/12
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-10297(P2013-10297)
(22)【出願日】2013年1月23日
(65)【公開番号】特開2014-143540(P2014-143540A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】森友 和夫
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−328272(JP,A)
【文献】 特開2007−274567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04W 8/00
H04W 84/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
プリント処理を実行するためのユーザ指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により前記ユーザ指示を受け付けた場合に、第1の通信層においてプリント処理が実行可能な他の通信装置を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された前記他の通信装置と無線接続するための接続処理を行う接続手段と、
前記他の通信装置が実行可能な処理の種別を、前記接続処理によって利用可能となる第2の通信層において検出する第2の検出手段と、
前記第2の検出手段による検出結果に基づいて、前記他の通信装置との通信を切断するか、前記他の通信装置との通信を継続するかを制御する制御手段と、
前記制御手段により前記他の通信装置との通信が継続された場合に、前記他の通信装置にプリント処理を実行させるための信号を送信する送信手段と、
を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記接続手段は、前記通信装置と前記他の通信装置との間で基地局になる装置を決定するための処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の検出手段により前記他の通信装置が実行可能な処理の種別として所定の種別が検出された場合、前記他の通信装置との間で前記所定の種別の処理を実行する実行手段とを更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第2の検出手段により前記他の通信装置が実行可能な処理の種別として前記所定の種別が検出された場合、前記他の通信装置との接続状態を表示する第1の表示手段を更に有することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第2の検出手段により前記他の通信装置が実行可能な処理の種別として前記所定の種別が検出されない場合、エラー表示を行う第2の表示手段を有することを特徴とする請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第2の検出手段は、第1の所定の種別が検出されない場合、第2の所定の種別の検出処理を実行することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の検出手段により、プリント処理が実行可能な他の通信装置が検出されなかった場合、エラー表示を行う第3の表示手段を更に有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の検出手段、および、前記第2の検出手段は、無線通信により検出処理を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠して前記他の通信装置と無線通信することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1の通信層は無線層であり、前記第2の通信層はIP層であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
通信装置の制御方法であって、
プリント処理を実行するためのユーザ指示を受け付ける受付工程と、
前記ユーザ指示を受け付けた場合に、第1の通信層においてプリント処理が実行可能な他の通信装置を検出する第1の検出工程と、
検出された前記他の通信装置と無線接続するための接続処理を行う接続工程と、
前記他の通信装置が実行可能な処理の種別を、前記接続処理によって利用可能となる第2の通信層において検出する第2の検出工程と、
該検出の結果に基づいて、前記他の通信装置との通信を切断するか、前記他の通信装置との通信を継続するかを制御する制御工程と、
前記制御工程において前記他の通信装置との通信が継続された場合に、前記他の通信装置にプリント処理を実行させるための信号を送信する送信工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ(以下、DSCと記す)やプリンタなどの電子機器に無線LANステーション機能を搭載し、電子機器を通信装置として、無線LANに接続して使用するケースが増えてきている。例えば特許文献1には、DSCに無線LAN機能を搭載し、画像共有を容易にする方法が開示されている。
【0003】
また、Wi−Fi AllianceによりWi−Fi DirectTM(以下、Wi−Fi Directと記す。)規格が制定された。Wi−Fi Directでは、各電子機器同士が無線LANアクセスポイントまたは無線LANステーションのいずれとして動作するかを相互に決定するプロトコルが規定されている。このプロトコルを実行することにより、電子機器のどちらが無線LANアクセスポイントになり、どちらが無線LANステーションになるかを自動的に決定する。これにより無線LANアクセスポイントが予め存在しなくても、電子機器同士が直接無線接続することが可能になる。
【0004】
更には、Bluetooth(R)(登録商標)のインクワイアリ機能等の機能を利用することで、無線接続する前に、周辺に存在する電子機器の機器種別(例えば、カメラ・プリンタ・モバイル機器等)や、機器名称等の属性を調べることも可能である。本機能を組み合わせることで無線接続処理を実行する前に、周辺に存在する接続相手機器の候補の中から接続相手となる電子機器の属性を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−35768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように無線接続に先だって通信相手の属性を識別し、ユーザが使用する電子機器は無線接続を実施したい相手電子機器を検出することが可能となり、また検出した電子機器と直接無線接続することが可能となる。しかし当該手法には以下のような課題がある。
【0007】
Bluetooth(R)のインクワイアリ機能のように、無線接続されていない状態での機器検出機能によって検出される属性情報には無線資源共有の観点から送受信する情報量に制約があり、詳細な情報が含まれないことが多い。例えばユーザが自端末に保有する画像を印刷する場合について説明する。ユーザは機器検出機能を用いて、無線接続前に印刷を実行するための「プリンタ」を検索する。この処理でプリンタが検出されても、この時点ではIPPやPictBridge(カメラ映像機器工業会規格)、DLNA(登録商標)等、種々の印刷サービス種別の中、どの印刷サービス種別を使用するか確認できていない。IPPはInternet Printing Protocolの略である。
【0008】
従ってユーザの使用する端末と検出されたプリンタとの間で搭載する印刷サービスタイプが不整合がある場合、ユーザ端末と検出プリンタを無線接続しても印刷処理ができない、という可能性がありうる。
【0009】
本発明の目的の1つは、装置間の処理の種別の不整合による不都合を減らすことを目的とし、例えば、装置の属性検出と、検出し属性の装置が実行可能な処理の種別を検出し、装置間で接続しても所定の処理ができないような事態の発生を抑制する。また、本発明の他の目的は、以下の説明および図面より明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を鑑み、本発明の通信装置は、プリント処理を実行するためのユーザ指示を受け付ける受付手段と、前記受付手段により前記ユーザ指示を受け付けた場合に、第1の通信層においてプリント処理が実行可能な他の通信装置を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された前記他の通信装置と無線接続するための接続処理を行う接続手段と、前記他の通信装置が実行可能な処理の種別を、前記接続処理によって利用可能となる第2の通信層において検出する第2の検出手段と、前記第2の検出手段による検出結果に基づいて、前記他の通信装置との通信を切断するか、前記他の通信装置との通信を継続するかを制御する制御手段と、前記制御手段により前記他の通信装置との通信が継続された場合に、前記他の通信装置にプリント処理を実行させるための信号を送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置間の処理の種別の不整合による不都合を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例におけるシステム構成図
図2】実施例におけるDSC機能ブロック図
図3】実施例におけるDSC101のフローチャート図
図4】実施例におけるDSC101のシーケンス図
図5】実施例におけるDSC101のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
以下、添付図面に従って本発明に係る各実施例を説明する。以下ではIEEE802.11規格に準拠して無線LANシステムを用いた例について説明するが、通信形態は必ずしもこれに限らない。本実施形態の特徴点並びに目的は、DSCとプリンタが直接無線で接続され、さらにはDSCの画像データおよび、印刷に必要な情報を直接無線でプリンタに送信し、所望の印刷ができることである。
【0014】
図1は本実施形態におけるシステムの構成例である。DSC101、プリンタ102および、ディスプレイ103はIEEE802.11規格に対応したステーション機能を搭載している。またアクセスポイント機能も搭載しており、無線ネットワークを構築する基地局として機能することができる。さらには、DSC101、プリンタ102および、ディスプレイ103はWi−Fi Directにも対応している。そのため、DSC101、プリンタ102および、ディスプレイ103は無線ネットワークに参加すること(ステーション機能)も無線ネットワークを構築すること(基地局機能)もWi−Fi Directのプロトコルを実施して自動的に決定する。そして、決定したいずれかの機能で動作し、無線接続、無線通信する。なお、Wi−Fi Directでは、アクセスポイント(基地局)のことをオーナーともいうが本説明では基地局ということとする。また、Wi−Fi Directでは、ステーションのことをクライアントというが本説明ではステーションということとする。また、Wi−Fi Directを用いて装置間で接続する場合、基地局からステーションに通信パラメータを提供し、該通信パラメータを用いて接続する。通信パラメータは、IEEE802.11規格に準拠して無線通信するための各種無線通信パラメータが含まれる。つまり、通信パラメータは、ネットワーク識別子としてのSSID、暗号方式、暗号鍵、認証方式、認証鍵等の無線LAN通信を行うために必要な無線通信パラメータが含まれる。また、IP層での通信を行うためのIPアドレス等も含む。
【0015】
さらにはDSC101、プリンタ102、ディスプレイ103には無線ネットワークに参加していない状態でも、周辺に存在する無線機器の属性、すなわちDSC、プリンタ、ディスプレイあるといった情報を検出するための、機器検索が可能な機能を搭載している。本実施形態ではDSC101が無線ネットワークに参加していない状態で当該機器検索機能を実施し、無線での印刷可能なプリンタを問い合わせる検索処理を実施する。またプリンタ102は当該機器検索機能により問い合わせを受けたら、無線印刷可能なプリンタである旨を応答する。
【0016】
DSC101における無線端末のブロック図を図2に示す。DSC機能部201は実際にDSCとして撮像処理、撮影画像の補正処理、圧縮処理等の機能を処理するブロックである。当該機能に関する詳細な説明はここでは省略する。電源部202はDSC機能部、無線通信機能部等、DSC101が動作するのに必要な機能に電力を供給する。表示処理部203は、LCD表示、LED表示、音声表示等、無線機能、DSCの各種操作に関してユーザに対する表示内容を制御及び情報として表示部に表示するブロックである。無線機能、DSCの各種操作に関する設定などの操作は表示処理部203、操作部206と連携して行われる。また、タッチパネルに対応する場合は、表示処理部203、操作部206が一体になっていてもよい。表示処理部203は、無線接続している装置との無線接続の接続状態(接続中か、切断したか)等の情報を表示部に表示する処理も行う。
【0017】
無線通信機能部204はIEEE802.11規格に則って無線機能を制御するためのブロックである。またWi−Fi Directの制御も本機能によって制御される。操作部206は後述するプリンタ102との無線印刷を開始するトリガを与える設定ボタンも具備する。撮像処理、無線機能に関するブロックはCPU205によって処理される。CPU205によって制御されるプログラムは、RAM、フラッシュROM、もしくはメモリカードなどによって構成される記憶部208に格納される。またCPU205によって処理されるデータも記憶部208対して書き込み、読み込みが行われる。無線層サービス検出部207は前記した無線ネットワークに参加していない状態でも、周辺に存在する無線機器の属性情報を検出するための機器サービス検索を実行する。無線層サービス検出部207は第1の通信層において他の装置の属性の検出処理、つまり、第1の検出処理を行う。本説明では、無線層サービス検出部207は無線機器の属性情報の検索を行い、プリンタ、ディスプレイ、カメラ、電話等の無線機器を検出する。
【0018】
IP層サービス検出部210は、第2の通信層において他の装置が実行可能な処理の種別の検出処理、つまり、第2の検出処理を行う。本説明ではIP層サービス検出部210は、無線層サービス検出部208によって検出された相手装置が提供するサービス(処理の種別)をTCP/IP通信を使って検出する。無線層サービス検出部208が実施する機器サービス検索は無線層で実施するための規定されたプロトコルにより行う。IP層サービス検出部210が実施する機器サービス検索は無線層サービス検出部208が実施する機器サービス検索よりも上位のレイヤ(本説明ではIP層)で規定されたプロトコルにより行う。IP層サービス検出部210は、プリントサービスの検索を行う場合、後述のようなPictBridgeサービス、ネットワークプリントサービス等のプリントサービス(プリント種別)を検索、検出する。さらに、ネットワークプリントサービスの種別、例えば、IPP(Internet Printing Protocol)を用いるサービス、DLNAが規定するプロトコルを用いるサービスを検索、検出する。DLNAはDigital Living Network Allianceの略である。また、ディスプレイサービスの種別を検索する場合、静止画表示、映像ストリーミング等のサービスの検索、検出を行う。つまり、IP層サービス検出部210は、所定の処理を行う際の処理の種別の検索、検出を行う。または、IP層サービス検出部2310は、所定の処理を行う際に用いるプロトコルの種別の検索、検出を行う。なお、IP層サービス検出部210は一例であり、他のネットワーク層、セッション層、アプリケーション層で規定されるプロトコルによりサービス検索を行い、所定のサービス(処理の種別、プロトコルの種別)を提供する機器を検出してもよい。
【0019】
無線サービス制御部209はIP層サービス検出部210の検出結果に応じて、接続した装置との接続を切断する。また、無線サービス制御部209はIP層サービス検索部210の検索結果に応じて、接続している装置との間で所定の処理(サービス)を実行するための処理を行う。本説明では、無線サービス制御部209は接続している装置との間でプリンタサービス、ディスプレイサービスを実施するための処理を行う。
【0020】
無線サービス制御部209は無線層サービス検出部208によって検出されたプリンタに対して、IP層サービス検出部210で検出した印刷方法に基づき当該DSCが印刷処理を実行するための印刷方法を決定する。詳細は後述する。
【0021】
プリンタ102はDSC101の無線層サービス検出部208、IP層サービス検出部210が実施する機器サービス検索に対応している。よって、プリンタ102は無線ネットワークに参加していない状態でも、周辺に存在する無線機器の属性情報を検出するための、機器検索が可能な機能を搭載している。さらには他端末からの無線接続要求が発生した場合、無線接続要求に対する応答処理を実行できる状態にある。本実施形態では、Wi−Fi Directに基づく無線接続処理が発生した場合、自動的に無線接続処理が実行可能な状態である。
【0022】
図1のシステムにおいて、DSC101はプリンタ102と直接無線通信することで画像データを印刷しようとしている。この工程において、ユーザの利便性を高めた無線印刷方法を実現する。
【0023】
以下に具体的な方法を図3のフローチャート図、図4のシーケンス図を用いて説明する。DSC101ユーザがDSC101内に記憶されている画像データの印刷を試みる。DSC101ユーザは表示処理部203及び操作部206を利用して印刷したい画像を選択し、印刷サービス処理を開始する(S301、S401)。この操作に伴いDSC101の無線層サービス検出部207は、周辺に無線印刷が可能なプリンタが存在しないか機器検出処理を開始するため、「無線機器属性探索要求」の送信を開始する(S302、S402)。ここでは、本無線機器属性探索要求としては、IEEE802.11で規定される探索信号であるProbe Requestとする。本Probe Requestには、例えば、自機器の物理アドレス(以下、MACアドレス)、相手(特定あるいは、不特定を指定できる)のMACアドレス、無線周波数情報、機器種別、検索対象サービス種別、暗号方式等の情報が含まれる。
【0024】
前記「無線機器属性探索要求」を受信したプリンタは自機が無線印刷可能なプリンタであることから、その旨を通知するために「無線機器属性探索応答」を応答する(S403)。
ここでは、本無線機器属性探索応答としては、IEEE802.11で規定される探索信号応答であるProbe Responseとする。本Probe Responseには、例えば、自機器のMACアドレス、探索元相手のMACアドレス、無線周波数情報、機器種別、検索対象サービス種別、暗号方式等の情報が含まれる。
【0025】
DSC101はプリンタ102から無線機器属性検索応答を受信しない、あるいは応答の中に無線出力プリンタが検出できない場合は表示処理部203は表示部にプリンタの利用が不可であることを表示する(S315)。このエラー表示は第1の表示の一例である。なお、プリンタを検出できなかったことを表示してもよい。一方、無線サービス検出部207は「無線機器属性探索応答」を受信すると、プリンタ102が無線印刷可能なプリンタであることを認識する(S303)。さらにDSC101の無線通信機能部204はプリンタ102と無線接続処理を開始する(S304、S404)。ここでの無線接続処理にはWi−Fi Directで規定されるプロトコルに基づいて処理を実行し、いずれかの機器が基地局となり、他方がステーションとなり無線接続する。
【0026】
なお、無線接続処理にWi−Fi Directを用いずに、DSC101、プリンタ102のいずれかの機器がアクセスポイント(基地局)として起動し、アクセスポイント、ステーションの関係で無線接続処理実行しても良い。また、IEEE802.11で規定されるアドホックモードで無線接続処理を実施してもよい。なおWi−Fi Direct仕様に基づく接続処理の詳細な説明は割愛する。
【0027】
無線接続処理を完了すると、DSC101のIP層サービス検出部210はIP層の通信を介してプリンタ102が利用可能な印刷サービスを検索する処理を開始する(S305)。ここではDSC101は「PictBridge」という印刷規格に則った印刷サービスに基づいて、印刷処理を実行する。この時、DSC101は印刷サービスの検索方法としてUPnP(Universal Plug and Play)で規定されるIP層での検索通信プロトコルSSDPを一例としてあげる。プリンタ102が「PictBridge」サービスを提供しているかどうかを確認するため、DSC101はSSDPのM−Searchと呼ばれるメッセージを送付する(S305、S405)。SSDPは、Simple Service Discovery Protocolの略である。つぎに、DSC101のIP層サービス検出部210は相手プリンタがIP層でのプリントサービス利用可否を判定する(S306)。ここで行われる判定は、応答の有無および、応答があった場合に利用可能なサービス種別が含まれているかどうかが調査される(S306)。
【0028】
ここでプリンタ102が「PictBridge」サービスを提供していなかったとする。この場合プリンタ102は前記M−Searchに対して何も応答をしない、あるいは、応答の中に「PictBridge」サービスを提供していることを示す情報を含めていない状態の応答(Response)を送信する(S406)。なお、「PictBridge」を提供していないことを示す情報を含む応答(Response)を送信してもよい。DSC101はM−Searchに対する応答がないあるいは、応答の中に「PictBridge」サービス提供の情報が含まれていないことから、プリンタ102が「PictBridge」サービスを提供していないと判断する。IP層サービス検出部210が、プリンタ102は「PictBridge」サービスを提供していないと判断すると、DSC10の無線サービス制御部209は、プリンタ102との無線接続処理を解除し、プリンタ102との無線接続を切断する(S308)。表示処理部203は表示部に無線印刷可能なプリンタが検出されたが利用できないプリンタである旨を表示する(S309)。このエラー表示は、第3の表示の一例である。ここでは、一例として、利用できないプリンタである旨を表示したが、エラー通知、エラーコード、LEDによるエラー通知、音によるエラー通知を行っても効果は同じである。また、上記表示に加え、再探索を実施するか否かをユーザに選択させる表示を行ってもよい。 また、DSC101が「PictBridge」サービス以外に、例えばネットワーク上のプリンタを共有しながら印刷を実現する他のサービス(以後、ネットワークプリント)を具備している応答を受信したとする。この場合は、表示処理部203は表示部に他の「ネットワークプリント」サービスを利用できる旨を表示してもよい(S309)。その場合はステップS308に記載されている無線切断を実施せずに、他のサービス実行処理を継続してもよいことをここに明記する。これにより、再度ステップS301の処理開始に戻る必要がなく、接続処理時間の短縮を実現する効果がある。
【0029】
または、プリンタ102からネットワークプリントを具備している応答を受信した場合は、IP層サービス検出部210はS306でプリンタが印刷に対応していると判断してもよい。この場合、表示処理部203は表示部に他の「ネットワークプリント」サービスを利用できる旨を表示する。 一方、プリンタ102が「PictBridge」サービスを提供している場合は、プリンタ102はその旨をSSDPのResponseと呼ばれるメッセージを応答することで、DSC101に通知する(S306、S406)。プリンタ102より該Responseを受信したDSC101のIP層サービス検出部210は印刷処理が実行可能と判断する。そして、表示処理部203は表示部にプリンタ102と無線接続している状態であること及びプリンタ名としてプリンタ102の機器名を表示する(S310、S407)。この表示は、接続状態を表示する第2の表示の一例である。ユーザは表示された情報から印刷先のプリンタを確認し、印刷処理を開始することが可能となる(S311−S314、S408)。従って、ユーザが印刷開始を指示すると(S311)、無線サービス制御部209はプリンタ102に印刷対象の画像を送信し、プリンタ102に印刷を実行させる(S312)。印刷が完了すると(S313)、表示処理部203は表示部に印刷処理の完了を表示する(S314、S409)。
【0030】
なお上記説明ではSSDPのM−Searchで「PictBridge」、「ネットワークプリント」のようにサービスを特定して検索をかけたが、検索方法を「ssdp:all」とすることで全サービスを一度に検索する方法も有効である。この場合DSC101にて検出したサービスを選択し、所望の印刷サービスを選択する方法が適用される。
【0031】
以上に説明した方法で、DSC101は印刷画像を選択及び印刷処理を開始すると、無線印刷可能なプリンタを検出し、さらには印刷サービスの整合性も確認されるので所望の画像データの印刷処理が可能となる。また仮に無線印刷可能プリンタであっても、印刷サービスの整合性がない場合は、印刷できない旨をユーザに通知可能なのでユーザの利便性が向上する。
【0032】
(実施例2)
上記発明を実施するための形態では、出力方法として、印刷に特定した場合あるいは、動画転送サービスの方式について述べた。本実施例では、相手が、静止画表示機能を有する機器、かつ/あるいは、静止画だけでなく映像ストリーム(動画像)表示可能な機器である場合、つまり、メディアフォーマットが異なる場合のサービス適用を述べる。サービスとしては静止画表示サービスと映像ストリーム表示サービスとする。なお、静止画の表示は、装置が実行可能な処理の種別の第1の所定の種別の例であり、映像ストリーム(動画像)の表示は、第2の所定の種別の例である。
【0033】
システム構成例としては、図1と同様であり、プリンタ102がディスプレイ103に置き換わったものと等価である。また、DSCのブロック図は図2と同様で、無線層サービス検出部208でディスプレイを検出し、IP層サービス検出部210では、利用可能なディスプレイ機器の表示サービスを検出するものとする。さらには、DSC101の無線機器属性探索要求に対する無線機器属性探索応答についても、プリンタ102で説明した内容と同様であるためここでは割愛する。本実施例のDSC101は、ユーザにより印刷処理が選択された場合は、実施例1の処理を行うものとする。
【0034】
本実施の形態を図5のフローチャートに従い説明する。
【0035】
ユーザがDSC101内に記憶されている静止画像データまたは映像ストリームの表示を試みる。ユーザは表示処理部203及び操作部206を利用して表示したい静止画像または動画像を選択し、表示サービス処理を開始する(S501)。この操作に伴いDSC101の無線層サービス検出部207は、周辺に無線表示が可能なディスプレイが存在しないか機器検出処理を開始するため、「無線機器属性探索要求」の送信を開始する(S502)。ここでは、本無線機器属性探索要求としては、IEEE802.11で規定される探索信号であるProbe Requestとする。本Probe Requestには、例えば、自機器の物理アドレス(以下、MACアドレス)、相手(特定あるいは、不特定を指定できる)のMACアドレス、無線周波数情報、機器種別、検索対象サービス種別、暗号方式等の情報が含まれる。
【0036】
前記「無線機器属性探索要求」を受信したディスプレイは自機が無線表示可能なディスプレイであることから、その旨を通知するために「無線機器属性探索応答」を応答する。ここでは、本無線機器属性探索応答としては、IEEE802.11で規定される探索信号応答であるProbe Responseとする。本Probe Responseには、例えば、自機器のMACアドレス、探索元相手のMACアドレス、無線周波数情報、機器種別、検索対象サービス種別、暗号方式等の情報が含まれる。
【0037】
DSC101はディスプレイ103から無線機器属性検索応答を受信しない、あるいは応答の中に無線出力機器が検出できない場合は表示処理部203は表示部に出力機器(ディスプレイ)が未検出であることを表示する(S513)。一方、無線サービス検出部207は「無線機器属性探索応答」を受信すると、ディスプレイ103が無線出力可能なディスプレイであることを認識する(S503)。さらにDSC1011の無線通信機能部204はディスプレイ103と無線接続処理を開始する(S504)。無線接続処理にWi−Fi Directを用い、DSC101、ディスプレイ103のいずれかの機器が基地局となり、他方がステーションとなり無線接続する。なお、無線接続処理にWi−Fi Directを用いずに、DSC101、プリンタ102のいずれかの機器がアクセスポイント(基地局)として起動し、アクセスポイント、ステーションの関係で無線接続処理実行しても良い。また、IEEE802.11で規定されるアドホックモードで無線接続処理を実施してもよい。
【0038】
無線接続処理を完了すると、DSC101のIP層サービス検出部210はIP層の通信を介してディスプレイ103が利用可能な出力サービスを検索する処理を開始する(S505)。ここではDSC101は静止画出力処理を実行する。この時、DSC101は静止画出力サービスの検索方法としてUPnP(Universal Plug and Play)で規定されるIP層での検索通信プロトコルSSDPを一例としてあげる。ディスプレイ103が静止画出力サービスを提供しているかどうかを確認するため、DSC101はSSDPのM−Searchと呼ばれるメッセージを送付する(S505)。つぎに、DSC101のIP層サービス検出部210は相手ディスプレイがIP層での静止画出力サービス利用可否を判定する。ここで行われる判定は、応答の有無および、応答があった場合に利用可能なサービス種別が含まれているかどうかが調査される(S506)。
【0039】
ここでディスプレイ103が静止画出力サービスを提供していなかったとする。この場合ディスプレイ103は前記M−Searchに対して何も応答をしないあるいは、応答の中に静止画出力サービスを提供していることを示す情報が含まれていない応答(Response)を送信する。なお、「PictBridge」を提供していないことを示す情報を含む応答(Response)を送信してもよい。
【0040】
DSC101のIP層サービス検出部210はM−Searchに対する応答がないあるいは、応答の中にサービスを提供することを示す情報が含まれていないことから、ディスプレイ103が静止画出力サービスを提供していないと判断する。そして、DSC101の表示処理部203は表示部にエラー表示を行う(S508)。次に出力画像再選択の有無を調べる(S512)。出力画像の再選択がない場合には、検出出力機器との無線を切断する(S514)。ステップS512では、出力画像再選択を行うが、DSC101は静止画だけでなく映像ストリームも扱うことができる。そのため、相手ディスプレイ103が静止画未対応あるいは、現在静止画表示サービスが利用できないとしても、映像ストリームに対応できることがある。このような場合、DSC101では、静止画の出力は相手機器に対して適用できないため、静止画像選択できないよう表示処理部203や操作部206で選択処理の制限をかけてもよい。
【0041】
つぎに、DSC101のIP層サービス検出部210は、再び映像ストリームの出力サービスを利用するためにIP層でのサービス検出処理を実行する(S505)。また、ディスプレイ103が静止画出力サービスを提供していない場合、DSC101は映像ストリームも扱うことができるため、IP層サービス検出部210は自動的に映像ストリームサービスの検出処理を行ってもよい。DSC101の無線サービス制御部209は、ディスプレイ103から映像ストリーム出力サービスを利用できる応答を受信した場合には(ステップS506のYes)、映像出力処理(映像データ送信)を実行し(S509)、出力送信完了を待つ(S510)。完了した場合には、表示処理部203は表示部に出力処理完了表示を行う(S511)。 また、ディスプレイ103が静止画出力サービスを提供している場合、ディスプレイ103が静止画出力サービスが可能であることを示す情報を含む応答を返信する。DSC101の無線サービス制御部209は、該応答からディスプレイ103が静止画出力サービスが可能であると判定すると、静止画の表示を行うために表示対象の画像をディスプレイ103に送信する、表示出力処理を実行する(S509)。表示出力処理が終了すると(S510)、表示処理部203は表示部に表示出力の完了を表示する。
【0042】
以上のように、静止画のみならず、映像も含めて取り扱うメディアフォーマットによって画像出力サービスを切り替えることが可能になる。また、あるメディアフォーマットに対応していない場合もユーザインタフェースで選択の制限をかけることができ、ユーザが容易に出力可否を判断できるため、操作性の向上に寄与する効果がある。(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアを、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がソフトウェアを読み出して実行する処理である。ソフトウェアは、コンピュータプログラムの一例である。
【符号の説明】
【0043】
201 DSC機能部
202 電源部
203 表示処理部
204 無線通信機能部
205 CPU
206 操作部
207 無線層サービス検出部
208 記憶部
209 無線サービス制御部
210 IP層サービス検出部
図1
図2
図3
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図5