(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
(全体構成)
図1は、本実施の形態に係わるエンジンの検査の様子を説明するための斜視図である。本実施の形態では、エンジンEは、ジェットエンジンであり、吸気部の後ろ側に設けられたコンプレッサ部内の複数のコンプレッサブレード(以下、単にブレードという)が、ブレード検査システムにより検査される場合について説明する。また、エンジンEには、ターニングツールTが接続され、複数のブレードが固定されたロータR(
図14)を回転軸Ax(
図13)回りに回転させることができるようになっている。
【0014】
なお、ここでは、コンプレッサブレードの例を説明するが、本実施の形態のブレード検査システム1によれば、タービンブレード等の他のブレードの検査も、同様に行うことができる。
【0015】
ブレード検査システム1は、ボアスコープ11と、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)12とを含んで構成され、ボアスコープ11とPC12は、信号ケーブル(以下、ケーブルという)13を介して接続されている。ボアスコープ11は、検査対象であるブレードBを複数有するエンジンEに挿入される挿入部11aと、挿入部11aの基端部に設けられた把持部11bとを有している。
また、ターニングツールTとPC12とは、ケーブル14により接続されており、PC12からの指示に応じて、ロータを回転させるようにターニングツールTは制御される。
【0016】
エンジンEのケーシングCは、所定の位置に複数(ここでは3つ)のアクセスポートAPを有する。ボアスコープ11の挿入部11aは、各アクセスポートAPの孔を介してケーシングC内に挿入され、エンジンEのロータRの回転軸Axの周囲に周期的に配置された複数のブレードBを観察することができるような直径と長さを有している細長い硬性鏡であ る。
【0017】
ボアスコープ11の挿入部11aをケーシングC内に挿入するとき、固定具Fが、挿入部15を挿入するアクセスポートAPに取り付けられる。固定具Fは、ボアスコープ11の挿入部11aを、ケーシングCのアクセスポートAPの位置で支持して固定するための装置である。すなわち、固定具Fは、アクセスポートAPに取り付けることができ、かつ挿入部11aが挿通される挿通孔Faを有して、ボアスコープ11を支持することができるように構成されている。
【0018】
図2は、ボアスコープ11が固定具Fにより固定された状態を説明するための図である。固定具Fは、エンジンEのケーシングCに設けられたアクセスポートAPの開口形状に嵌合する形状を有する部分を有し、アクセスポートAPに対して固定可能な構成を有している。
【0019】
固定具Fには、挿通孔Faが形成されており、挿通孔Faの内周面形状は、円柱形状の挿入部11aの外周面の形状に沿った形状を有する。すなわち、挿通孔Faは、円筒孔である。従って、挿入部11aは、挿通孔Faに挿通された状態で、矢印SAで示す挿入部11aの軸方向に沿って移動可能である。
【0020】
また、挿入部11aは、挿入部11aの軸方向に沿って移動可能であるが、挿入部11aの先端部は、矢印SBで示す、挿入部11aの軸に直交する方向には、動かないように、挿通孔Faの形状は、形成されている。
【0021】
よって、ブレードを検査する検査者であるユーザは、固定具Fの挿通孔Faに挿入部11aを挿通し、ボアスコープ11を手で把持した状態で、挿入部11aをエンジンE内に挿入し、エンジンE内において挿入部11aをその挿入方向に沿って前後に移動させ、ボアスコープ11を挿入部11aの軸回りに自由に回動させることが可能である。
【0022】
以上のように、ブレード検査システム1は、エンジンEのロータRの回転軸Axの周囲に周期的に配置され、その回転軸Ax回りに回転する複数のブレードBを検査するブレード検査装置である。
(ボアスコープの構成)
図3は、ボアスコープ11の構成を説明するための構成図である。
【0023】
挿入部11a内には、被写体からの反射光を撮像素子へ導く光学系が配置されている。挿入部11aには、光学系として、ミラー21、対物光学系22、リレー光学系23が配置されている。ミラー21は、挿入部11aの先端部に配置されており、挿入部11aの先端部の側面に設けられた観察窓15に設けられたガラス板24を介して入射した光を把持部11bの方向へ向ける光学部材である。対物光学系22は、挿入部11aの先端側に配置されており、被写体の実像を形成するための光学部材である。リレー光学系23は、対物光学系22によって形成された像を把持部11bに伝送するための光学部材である。
【0024】
従って、ボアスコープ11は、筒状の挿入部11aの先端部に観察窓15が設けられ、観察窓15には透明なガラス部材24が設けられており、その観察窓15へ入射した光が、ミラー21へ入射するように構成されている側視型の内視鏡である。
なお、ボアスコープ11には、図示しない照明装置が設けられている。その照明装置により観察窓15に対向する位置の被写体が照明される。照明装置は、例えば、把持部11b内に設けられた光源と、挿入部11a内に挿通されたライトガイドとからなり、光源の光を、挿入部11aの先端部から、被写体へ向けて出射するように設けられる。
【0025】
また、挿入部11aの先端部の観察窓15の近傍には、2つの距離センサ31a,31bが観察窓15から所定の距離を置いて配設されている。被写体からの反射光のミラー21への入射方向は、2つの距離センサ31aと31bの中心を結ぶ線に直交する。
さらに、把持部11b内には、撮像光学系25と、撮像素子であるCCD26と、加速度センサ27と、ID記憶部28と、通信制御部29とが設けられている。
【0026】
撮像光学系25は、リレー光学系23から出射された被写体像を、CCD26の撮像面上に結像する光学系である。エリアセンサであるCCD26は、撮像光学系25によって結像された被写体像を光電変換する固体撮像素子である。
【0027】
なお、本実施の形態では、CCD26は、把持部11b内に設けられ、挿入部11a内の光学系を通った光を受光するように配置されているが、CCD26を、挿入部11aの先端部に設けるようにしてもよい。
【0028】
加速度センサ27は、3軸加速度センサであり、後述するように、通信制御部29が、加速度センサ27の出力から、ボアスコープ11の軸回りの回転角γを算出する。
ID記憶部28は、ボアスコープ11の識別情報であるスコープIDを記憶する記憶部である。
【0029】
通信制御部29は、中央処理装置(CPU)と通信インターフェース部とを含む。通信制御部29の構成については、後述する。
距離センサ31a、31bは、対向する位置に存在する物体の表面までの距離を検出するセンサである。距離センサ31a、31bは、例えば、スポット光を照射する光源素子と、受光した光スポットの重心位置を検出するPSD(Position Sensitive Detector)素子と、を有して、三角測量の原理を利用して物体までの距離を検出するPSD距離センサである。
【0030】
本実施の形態では、距離センサ31a、31bは、挿入部11aの表面上の、挿入部11aの軸に対して対称の位置に配置され、かつ挿入部11aの軸に直交する方向において互いに反対方向に存在するそれぞれの物体までの距離を検出する検出部である。
よって、
図2に示すように、挿入部11aが、2つの物体OB1、OB2の間で、2つの距離センサ31a、31bがそれぞれ2つの物体OB1、OB2までの距離d1,d2を検出することができるように位置すると、距離センサ31aは、挿入部11aの表面から、ある第1の物体OB1の表面OS1までの距離d1を検出し、距離センサ31bは、挿入部11aの表面から、別の第2の物体OB2の表面OS2までの距離d2を検出する。距離センサ31a、31bは、例えば、10〜50mm程度の範囲の距離を測定する。すなわち、距離センサ31a、31bは、内視鏡であるボアスコープ11に設けられ、挿入部11aの軸に直交し、互いに逆方向である2つの方向における挿入部11aから2つの物体(ここでは、エンジンEのステータSに設けられたステータベーンSv)までの2つの距離を検出する距離検出部を構成する。
【0031】
後述するように、本実施の形態では、挿入部11aは、ステータSの2つのステータベーンSv間に挿入される(
図13)。よって、第1の物体OB1の表面OS1は、ある1つのステータベーンSv1の表面であり、第2の物体OB2の表面OS2は、第1の物体OB1の隣のステータベーンSv2の表面である。
【0032】
以上のように、2つの距離センサ31a、31bは、挿入部11aの先端部の側面に設けられている。距離センサ31aが検出する物体OB1の方向は、挿入部11aの軸に直交する方向で、かつ距離センサ31bが検出する物体OB2の方向とは反対方向である。距離センサ31aは、表面OS1までの距離d1を検出し、距離センサ31bは、表面OS2までの距離d2を検出する。
2つの距離センサ31a、31bの検出信号、CCD26の画像信号、加速度センサ27の各検出信号、及びID記憶部28のスコープID信号が、通信制御部29に入力される。
【0033】
図4は、ボアスコープ11の回路構成を示すブロック図である。通信制御部29は、制御部41と、PC12との通信を行うためにケーブル13の信号線13aに接続された通信インターフェース部(以下、通信I/Fという)42と、CCD26からの画像信号をPC12へ送信するための信号線13bに接続された画像送信部43とを含む。通信I/F42は、制御部41に接続されると共に、PC12に接続されたケーブル13の信号線13aにも接続されている。
【0034】
制御部41は、中央処理装置(CPU)と、ROM、RAM等を含み、各種センサの出力信号を入力し、所定の演算処理を実行して、所定の情報を、通信I/F42を介してPC12へ出力する。
【0035】
制御部41には、CCD26、加速度センサ27、ID記憶部28、距離センサ31a、31bが接続されている。
制御部41は、ID記憶部28からボアスコープ11のスコープIDを入力すると共に、加速度センサ27、距離センサ31a、31bからの検出信号を入力する。
【0036】
また、制御部41は、CCD26へ駆動信号を供給して、CCD26を駆動する。
なお、以下の説明において、挿入部11aの挿入長Lは、
図3に示すように、固定部Fの挿通孔の中央点Phから観察窓15を介して被写体を撮像するときの撮像光学中心Pcまでの距離である。
【0037】
固定具Fの形状から、固定具Fにおける中央点Ph が予め決まっている。さらに、挿入部11aにおける撮像光学中心Pcの位置関係も予め決まっている。
なお、挿入長Lは、中央点Ph、撮像光学中心Pc以外の点を基準にして決定するようにしてもよい。
また、制御部41は、加速度センサ27の検出信号に基づいて、ボアスコープ11の姿勢情報として、ボアスコープ11の軸回りの回転角γを算出する。
【0038】
加速度センサ27は、重力方向gに対して3つの検出信号を生成するので、出力された3つの検出信号に対して、正規化処理を行い、その正規化処理された3つの検出信号に基づいて、回転角γが算出される。加速度センサ27の3つの検出信号が正規化されて、3つの値Dx,Dy,Dzが得られると、回転角γは、tan
−1(−Dy/Dx)となる。よって、加速度センサ27は、ボアスコープ11に設けられ、挿入部11aの姿勢を検出する姿勢検出部を構成する。その姿勢は、挿入部11aの軸回りの回転角γにより規定される。
【0039】
制御部41は、2つの距離センサ31a、31bのそれぞれの検出信号の値に基づいて、2つの距離情報として、距離d1,d2を算出する。
そして、制御部41は、各センサの検出信号に基づいて算出した挿入長L及び姿勢情報を、通信I/F42を介して、PC12へリアルタイムで出力する。
【0040】
さらに、CCD26から出力される画像信号は、画像送信部43においてデジタル信号に変換されて、ケーブル13の信号線13bから出力される。画像送信部43は、デジタルの画像信号を、LVDS等の差動信号形式で信号線13に出力する。
(PCの構成)
図5は、PC12の構成を示すブロック図である。PC12は、中央処理装置(以下、CPUという)51と、ROM52と、RAM53と、ハードディスク装置(以下、HDDという)54と、液晶表示器(以下、LCDという)55とを含む。CPU51と、ROM52と、RAM53は、互いにバス56により接続されている。HDD54とLCD55は、それぞれインターフェース(以下、I/Fという)57,58を介して、バス56に接続されている。
【0041】
LCD55は、タッチパネル付き表示器であり、CPU51は、LCD55に内視鏡画像、所定のメニュー画面、後述するGUI画面等を表示させることができると共に、タッチパネルの出力信号を受けて、ユーザのコマンド入力を検出することができる。
【0042】
さらに、PC12は、ケーブル13の信号線13a、13bがそれぞれ接続されるI/F59a、59bを有し、I/F59aを介して制御部41と通信し、かつI/F59bを介してボアスコープ11からの画像信号を受信する。ユーザは、ボアスコープ11からの画像信号である検査画像を、LCD55の画面上に表示し、HDD54に記録することができる。
【0043】
検査画像が記録されるとき、記録される検査画像について各センサの検出信号から得られたあるいは算出された所定の情報も併せて、HDD54に記録される。よって、HDD54は、ボアスコープ11により取得された静止画のブレードBを撮像したときにおける、加速度センサ27により検出された挿入部11aの姿勢と、2つの距離センサ31a、31bにより検出された挿入部11aからの2つの距離とを記憶する記憶部を構成する。ここでは、回転角γ等の情報が、検査画像の画像データのEXIF情報として、画像データ中に記録され、その画像データは、HDD54に記憶される。
【0044】
また、ボアスコープ11がPC12にケーブル13を介して接続されると、ボアスコープ11の制御部41は、PC12へID記憶部28に記憶されたスコープIDをCPU51へ送信する。よって、PC12は、ボアスコープ11のスコープIDを取得することができる。
【0045】
そして、PC12は、通信I/F59を介して、ボアスコープ11から、姿勢及び距離の情報をリアルタイムで取得することができる。
(検査の手順)
ブレードの検査を行う検査者であるユーザは、はじめに、視野角の広いボアスコープを用いて、ブレードの全体的な検査を行う。その後に、ユーザは、視野角の狭いボアスコープを用いて、前の検査で発見された欠陥部の画像をモニタに拡大表示して、詳細検査を行う。
【0046】
図6と
図7は、ボアスコープの視野角の差を説明するための図である。
図6は、視野角の比較的広いボアスコープ11Aの視野角を説明するための図である。
図7は、
図6のボアスコープ11Aよりも狭い視野角のボアスコープ11Bの視野角を説明するための図である。
図8は、視野角の異なる2つのボアスコープにより撮像して得られる内視鏡画像の違いを説明するための模式的な説明図である。
【0047】
ボアスコープ11Aと11Bの構成の異同について説明する。ボアスコープ11Aと11Bの外観の形状と寸法は、同じである。そして、
図6及び
図7に示すように、2つの距離センサ31a、31bの2つの中心位置を通る軸A1,A2に沿って、ボアスコープ11Aとボアスコープ11Bを側面から見たとき、それぞれの光学系のミラー21の光軸中心を通る撮像光学中心Pcから、2つの距離センサ31a、31bの2つの中心位置を通る軸A1,A2までの距離d
SAと距離d
SBは等しい。すなわち、ボアスコープ11Aの光学系のミラー21の撮像光学中心Pcから、2つの距離センサ31a、31bの中心位置を通る軸A1までの距離d
SAは、ボアスコープ11Bの撮像光学中心Pcから、距離センサ31a、31bの中心位置を通る軸A2までの距離d
SBと等しい。
【0048】
また、
図6に示すボアスコープ11Aの視野角α
FAは、ボアスコープ11Aの対物光学系22、リレー光学系23及び撮像光学系25により規定される。
図7に示すボアスコープ11Bの視野角α
FBも、同様に、ボアスコープ11Bの対物光学系22、リレー光学系23及び撮像光学系25により規定される。視野角α
FAは、視野角α
FBよりも大きい。
【0049】
さらに、
図6と
図7に示すように、ボアスコープ11Aの挿入部11aの軸方向に対する視野方向角α
DAは、ボアスコープ11Bの挿入部11aの軸方向に対する視野方向角α
DBと等しい。なお、ここでは、視野方向角α
DA、α
DBは、90度である。
【0050】
すなわち、ボアスコープ11Aは、挿入部11aと、ボアスコープ11Bの加速度センサ27と同じ姿勢を検出する加速度センサと、ボアスコープ11Bと同じ2つの距離d1,d2を検出する2つの距離センサ31a、31bを有する。
【0051】
以上のように、2つのボアスコープ11Aと11Bは、撮像光学系における視野角以外のパラメータは同じである。よって、2つのボアスコープ11Aと11Bは、同じ挿入量Lで同じ視野方向のとき、被写体を撮像する撮像光学中心Pcは、一致する。
【0052】
図8において、検査画像G1は、ボアスコープ11Aにより撮像して得られた画像であり、検査画像G2は、ボアスコープ11Bにより撮像して得られた画像である。ボアスコープ11Bの視野角α
FBは、ボアスコープ11Aの視野角α
FAよりも小さいため、検査画像G2は、検査画像G1の中央部分が拡大された画像である。
図8の内視鏡画像G2では、検査画像G1の白抜きの矢印が拡大されている。
【0053】
ボアスコープ11Aの挿入部11aとボアスコープ11Bの挿入部11aの挿入長が等しく、かつ撮像光学中心Pcから被写体へ向かう方向も一致すれば、
図8に示すように、検査画像G1とG2の中心部画像は、ブレードBの同じ位置を撮像して得られた画像となる。
【0054】
従って、検査者であるユーザが、最初にボアスコープ11Aにより、ブレードBを観察し検査した後、ボアスコープ11Aによる観察で発見した欠陥部を、視野角の狭いボアスコープ11Bを用いて、ブレードBを拡大して観察し検査することができるように、ブレード検査システム1は、ユーザによるボアスコープ11Bの操作補助を行う。
(作用)
次に、ブレード検査システム1の動作について説明する。
【0055】
図9は、ボアスコープ11を挿入して、内視鏡画像を表示し記録する記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
図9の記録処理プログラムは、PC12のROM52に記憶されており、CPU51により読み出されて実行される。
図10は、PC12のLCD55の画面上に表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)の例を示す図である。
【0056】
まず、
図10を用いて、ブレード検査時にPC12のLCD55の画面上に表示されるGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)の構成について説明する。
図10に示すように、PC12のLCD55の画面上に表示されるGUI61は、検査画像を表示する2つの画像表示部62A、62Bと、スコープIDを表示するスコープID表示部63A、63Bと、姿勢情報を表示する2つの姿勢情報表示部65A、65Bと、距離情報を表示する2つの距離情報表示部66A、66Bと、を含むグラフィカル・ユーザ・インターフェースである。
【0057】
さらに、GUI61は、2つの情報の一致を示す一致インジケータ68、69と、画像記録ボタン70と、画像呼び出しボタン71と、戻しボタン72Aと、送りボタン72Bと、キャンセルボタン73とを含む。
【0058】
画像表示部62Aは、ボアスコープ11から受信している現在検査中のライブの検査画像を表示する表示領域である。画像表示部62Bは、記憶部であるHDD59に記録された検査画像の静止画を表示する表示領域である。
【0059】
スコープID表示部63Aと63Bは、それぞれ画像表示部62Aと62Bに表示される検査画像を取得しているあるいは取得したときのボアスコープ11のスコープIDを表示する表示領域である。
【0060】
姿勢情報表示部65Aと65Bは、それぞれ画像表示部62Aと62Bに表示される検査画像を取得したときのボアスコープ11の姿勢情報を表示する表示領域である。姿勢情報は、加速度センサ27の出力から算出して得られた、ボアスコープ11の軸回りの回転角γを含む。姿勢情報表示部65A は、画像表示部62A に表示されている検査画像を取得しているときの、あるいは取得したときの、回転角γ1が表示される表示領域を有する。姿勢情報表示部65B も、画像表示部62B に表示されている検査画像を取得したときの、回転角γ2が表示される表示領域を有する。
【0061】
距離情報表示部66Aと66Bは、それぞれ画像表示部62Aと62Bに表示される検査画像を取得したときのボアスコープ11の2つの距離センサ31a、31bの出力から求められた距離情報を表示する表示領域である。距離情報は、2つの距離センサ31a、31bの出力に基づいて、制御部41が算出して送信した2つの距離d1、d2である。距離情報表示部66Aは、画像表示部62A に表示されている検査画像を取得しているときの、あるいは取得したときの、2つの距離d11、d12が表示される2つの表示領域を有する。距離情報表示部66B も、画像表示部62B に表示されている検査画像を取得したときの、2つの距離d21、d22が表示される2つの表示領域を有する。距離d11とd21は、
図3における距離d1に相当し、距離d12とd22は、
図3における距離d2に相当する。
【0062】
一致インジケータ68は、後述するように、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの姿勢情報と、画像表示部62Aに表示されているライブの検査画像の姿勢情報とが、一致したことを示す表示部である。例えば、一致インジケータ68の輝度あるいは色が変化することによって、2つの姿勢情報が所定の誤差範囲内で一致したことを示す。ここでも、一致インジケータ68は、色が赤であるときは、静止画についての姿勢と、ライブ画像についての姿勢は一致しておらず、色が緑であるときは、静止画についての姿勢と、ライブ画像についての姿勢は一致していることを示す。よって、2つの姿勢情報が一致するとは、2つの姿勢情報が完全に一致する場合だけでなく、所定の誤差範囲内で一致する場合も含む。
【0063】
一致インジケータ69は、後述するように、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの距離情報と、画像表示部62Aに表示されているライブの検査画像の距離情報とが、一致したことを示す表示部である。例えば、一致インジケータ69の輝度あるいは色が変化することによって、2つの距離情報が所定の誤差範囲内で一致したことを示す。よって、2つの距離情報が一致するとは、2つの距離情報が完全に一致する場合だけでなく、所定の誤差範囲内で一致する場合も含む。ここでも、一致インジケータ69は、色が赤であるときは、静止画についての距離情報と、ライブ画像についての距離情報は一致しておらず、色が緑であるときは、静止画についての距離情報と、ライブ画像についての距離情報は一致していることを示す。
【0064】
なお、一致インジケータ68は、ライブの検査画像の姿勢情報と画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの姿勢情報とが一致すると、赤から緑に変化するのではなく、ライブの検査画像の姿勢情報が画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの姿勢情報に対して所定の距離範囲内になると、一致インジケータ68は、所定の色、例えば黄色、に変化し、その後、両者が一致すると緑に変化するようにしてもよい。
【0065】
一致インジケータ69の色の変化も同様であり、ライブの検査画像の距離情報が、静止画の検査画像を取得したときの距離情報に対して所定の値の範囲内になると、一致インジケータ69は、所定の色、例えば黄色、に変化し、その後、両者が一致すると緑に変化するようにしてもよい。
【0066】
画像記録ボタン70は、後述するように、画像表示部62Aに表示されたライブ画像の静止画を記録するときに、ユーザがタッチすることによって操作されるLCD55上に表示されたボタンである。
【0067】
画像呼び出しボタン71は、後述するように、HDD54に記録された静止画を呼び出して画像表示部62Bに表示させるときに、ユーザがタッチすることによって操作されるLCD55上に表示されたボタンである。
【0068】
戻しボタン72Aは、後述するように、呼び出された静止画が複数有る場合に、HDD54に記録された複数の静止画を所定の順番で1つずつ戻して、静止画を画像表示部62Bに表示させるためのLCD55上に表示されたボタンである。
【0069】
送りボタン72Bは、後述するように、呼び出された静止画が複数有る場合に、HDD54に記録された複数の静止画を所定の順番で1つずつ進めて、静止画を画像表示部62Bに表示させるためのLCD55上に表示されたボタンである。
キャンセルボタン73は、検査者であるユーザが、一旦選択したコマンドをキャンセルする場合に用いるボタンである。
【0070】
図10に示すGUI61がPC12のLCD55に表示され、ユーザは、ブレードBの検査を行う。
図9に示すように、CPU51は、ボアスコープ11から受信した画像信号に基づき、動画の内視鏡画像であるライブの検査画像(以下、ライブ画像という)を、LCD55に表示する(S1)。ライブ画像は、GUI61の画像表示部62Aに表示される。このとき、CPU51は、ボアスコープ11の制御部41からスコープIDも受信しているので、スコープID表示部63Aに、スコープIDを表示する。
【0071】
そして、CPU51は、リアルタイムで受信している、姿勢情報及び位置情報を、それぞれ姿勢情報表示部65A及び距離情報表示部66Aに表示する(S2)。
CPU51は、画像記録ボタン70が選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S3)、画像記録ボタン70が選択されていなければ(S3:NO)、処理は、S1に戻る。
【0072】
画像記録ボタン70が選択されると(S3:YES)、CPU51は、受信しているライブ画像から静止画を生成して、画像表示部62Aに静止画を表示する(S4)。
そして、CPU51は、画像表示部62Aに表示した静止画を取得したときの、姿勢情報及び位置情報を、それぞれ姿勢情報表示部65A及び距離情報表示部66Aに表示する(S5)。
【0073】
CPU51は、画像記録ボタン70が再度、選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S6)、画像記録ボタン70が選択されていなければ(S6:NO)、キャンセルボタン73が選択されたか否かを判定する(S7)。キャンセルボタン73が選択されたときは(S7:YES)、処理は、S1に戻る。キャンセルボタン73が選択されないときは、処理は、何もしない。
【0074】
画像記録ボタン70が選択されると(S6:YES)、画像表示部62Aに表示した静止画と、スコープIDと、その静止画についての姿勢情報及び位置情報とを、記憶装置であるHDD54に記録する(S8)。ここでは、スコープID、姿勢情報及び位置情報は、画像データのEXIF情報として画像データに含まれて、HDD54に記録される。
【0075】
そして、CPU51は、記録した静止画を画像表示部62Bに表示し(S9)、画像表示部62Bに表示した静止画を取得したときの、スコープID、姿勢情報及び位置情報を、それぞれスコープID表示部63B、姿勢情報表示部65B及び距離情報表示部66Bに表示する(S10)。
【0076】
以上のようにして、ユーザは、エンジンE内のブレードBの検査画像である静止画を記録することができる。
図9の処理が繰り返されることによって、ユーザは、複数枚の検査画像をHDD54に記憶することができる。
【0077】
例えば、視野角が比較的広いボアスコープ11Aを用いて
図9に示す処理を行って、ブレードBの大体の検査を行い、キズの部位が写った静止画が最初に記録される。そして、検査者は、そのキズの部位を拡大して観察あるいは記録するために、ボアスコープ11AをアクセスポートAPから引き抜き、ボアスコープ11Aよりも視野角の狭いボアスコープ11BをアクセスポートAPから挿入する。
【0078】
図11と
図12は、視野角の狭いボアスコープ11を挿入して、記録済みの検査画像を参照しながら、検査画像を表示し記録する記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
図11と
図12に示す記録処理プログラムは、ROM52に記憶されており、PC12のCPU51により読み出されて実行される。
【0079】
検査者によりGUI61の画像呼び出しボタン71が選択すなわちタッチされると、
図11と
図12に示す処理が実行される。
まず、CPU51は、画像呼び出し処理を実行する(S21)。最初は、HDD54に記録されている複数の検査画像の内、最初の、例えば時系列的に最も過去の検査画像が、画像表示部62Bに表示される。ユーザは、送りボタン72Bと戻しボタン72Aを利用して、HDD54に記録された複数の検査画像の中から、所望の検査画像を選択して、画像表示部62Bに表示させることができる。
【0080】
ユーザにより選択された検査画像が画像表示部62Bに表示されると、その検査画像についての、スコープID、姿勢情報及び位置情報は、それぞれスコープID表示部63B、姿勢情報表示部65B及び距離情報表示部66Bに表示される。
従って、ユーザは、記録された検査画像と、その検査画像についてのスコープID、姿勢情報及び位置情報を、GUI61に表示させることができる。
【0081】
ユーザは、ボアスコープ11BをエンジンE内に挿入するが、CPU51は、ボアスコープ11Bから受信したスコープIDをスコープID表示部63Aに表示し、ライブ画像を画像表示部62Aに表示し、かつそのライブ画像についての姿勢情報及び位置情報を、それぞれ姿勢情報表示部65A及び距離情報表示部66Aにリアルタイムで表示する(S22)。ボアスコープ11Bが動かされると、画像表示部62Aに表示されるライブ画像だけでなく、姿勢情報表示部65A及び距離情報表示部66Aの表示内容もリアルタイムで変化する。
【0082】
まず、ユーザは、ボアスコープ11Bの挿入部11aの先端部をゆっくりと回転軸Axに向かって押し込むように移動させ、所定の位置でボアスコープ11Bを保持する。ユーザは、ボアスコープ11Bを保持した状態で、ボアスコープ11Bの姿勢、すなわち軸回りの回転角γ、を変化させる。ユーザは、一致インジケータ68が赤色から緑色に変化するか否かをみながら、ボアスコープ11Bの姿勢を変化させ、一致インジケータ68が赤色から緑色に変化したときに、姿勢変化動作を止める。
【0083】
そのため、CPU51は、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの姿勢と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの姿勢が一致するか否かを判定する(S23)。姿勢が一致するとは、回転角が一致することをいう。
【0084】
そして、両者が一致しなければ(S23:NO)、処理はS22へ戻る。このS23の処理が、ボアスコープ11Bの加速度センサ27が検出した姿勢(ここでは、回転角γ1)と、HDD54に記憶された画像表示部62Bに表示される検査画像についての姿勢(ここでは、回転角γ2)とを比較する姿勢比較部を構成する。すなわち、ボアスコープ11Aの姿勢を検出したときの、ボアスコープ11Aの挿入部11aの挿入軸と、ボアスコープ11Bの挿入部11aの挿入軸が一致する状態で、2つの姿勢が比較される。
【0085】
なお、S23において、2つの姿勢が一致するか否かは、画像表示部62Bに表示された検査画像について加速度センサ27の出力から算出された回転角γ2に対する所定の許容範囲内に、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの加速度センサ27の出力から算出された回転角γ1が入れば、両者は一致すると判定される。例えば、ボアスコープ11Bの回転角γ1が、ボアスコープ11Aについての(γ2−Δk2)から(γ2+Δk2)の範囲内にあれば、両者の姿勢は一致していると判定される。
【0086】
両者が一致すると(S23:YES)、CPU51は、一致インジケータ68を所定の色、ここでは緑色、で表示する(S24)。一致インジケータ68が緑色なので、ユーザは、画像表示部62Bに表示された検査画像を取得したときの姿勢と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの姿勢が一致している。
【0087】
よって、S24の処理が、S23の比較結果に基づいて、ボアスコープ11Bの加速度センサ27が検出した姿勢(ここでは、回転角γ1)と、HDD54に記憶された画像表示部62Bに表示される検査画像についての姿勢(ここでは、回転角γ2)とが一致したことを示す一致情報を出力する一致出力部を構成する。S24の処理が、所定の一致情報を出力することにより、表示装置であるLCD55に表示された所定のマークである一致インジケータ68の表示状態(ここでは色)を変更する。
【0088】
次に、ユーザは、ボアスコープ11Bの姿勢を変化させないようにボアスコープ11Bを保持した状態で、ボアスコープ11Bの挿入部11aの先端部をゆっくりと回転軸Axに向かって押し込むように移動させる。そして、ユーザは、一致インジケータ69が赤色から緑色に変化するか否かをみながら、ボアスコープ11Bを押し込みながら、挿入部11aの先端部の位置を変更させ、一致インジケータ69が赤色から緑色に変化したときに、挿入動作を止める。
【0089】
そのため、CPU51は、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの2つの距離d1,d2と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの2つの距離d1,d2が一致するか否かを判定する(S25)。
【0090】
両者が一致すると(S25:YES)、画像表示部62Bに表示された検査画像を取得したときのボアスコープ11Aの挿入部11aの撮像光学中心Pcの位置と、現在のライブの検査画像を取得しているときのボアスコープ11Bの撮像光学中心Pcの位置とが一致している。
【0091】
このS25の処理が、ボアスコープ11Bの2つの距離センサ31a、31bが検出した2つの距離d1,d2と、HDD54に記憶された画像表示部62Bに表示される検査画像についての2つの距離d1,d2とを比較する距離比較部を構成する。
【0092】
ここで、挿入部11aの先端部の位置について説明する。
図13から
図16は、挿入部11aの先端部の位置を説明するための図である。
図13は、挿入部11aがエンジンEのケーシングC内に挿入された状態を説明するための、ステータSの部分斜視図である。
図14は、挿入部11aがエンジンEのケーシングC内に挿入された状態を説明するための、ロータの回転軸Axに直交する方向からステータベーンSvを見たときの挿入部11aの状態を説明するための図である。
図15は、挿入部11aの先端部の撮像光学中心の位置を説明するための模式的な説明図である。
【0093】
図13及び
図14に示すように、ケーシングCに設けられたアクセスポートAPに固定具Fが取り付けられ、挿入部11aは、固定具Fの挿通孔に挿通される。挿入部11aは、ステータS内部の外シュラウドSOに設けられた孔Hを通り、内シュラウドSIに向かって挿入される。
【0094】
ステータSには、円筒状の外シュラウドSO及び内シュラウドSIの周方向に沿って、外シュラウドSOと内シュラウドSIの間に複数のステータベーンSvが設けられており、孔Hを通った挿入部11aは、2枚のステータベーンSv1とSv2の間に、挿入される。
【0095】
図11に戻り、S25において、CPU51は、2つの距離センサ31aと31bにより検出された2つの距離値d11,d12が、距離情報表示部66Bに表示された2つの距離値d21,d22と一致するか否かの判定をリアルタイムで実行する。すなわち、CPU51は、S24の後、2つの距離が一致するか否かを判定する(S25)。
【0096】
なお、S25において、2つの距離が一致するか否かは、画像表示部62Bに表示された検査画像についての距離d21,d22のそれぞれに対する所定の許容範囲内に、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの2つの距離センサ31aと31bにより検出された2つの距離値d11,d12が入れば、両者は一致すると判定される。例えば、2つの距離値d11,d12が、それぞれ(d21−Δk1)から(d21+Δk1)の範囲と(d22−Δk1)から(d22+Δk1)の範囲内にあれば、両者は一致していると判定される。
【0097】
両者が一致しなければ(S25:NO)、処理はS22へ戻り、両者が一致すると(S25:YES)、CPU51は、一致インジケータ69を所定の色、ここでは緑色、で表示する(S26)。
【0098】
図16は、回転軸Axの方向から見たときの挿入部11aの撮像光学中心Pcの位置と、2つの距離値d11,d12との関係を説明するための図である。
図16に示すように、撮像光学中心Pcの位置が、回転軸Axに近い場合と、回転軸Axから遠い場合では、2枚のステータベーンSv1とSv2間の距離は、異なる。
【0099】
例えば、撮像光学中心Pcが回転軸Axから距離raにある撮像光学中心Pcaに位置するときと、撮像光学中心Pcが回転軸Axから撮像光学中心Pcaよりも遠い距離rbにある撮像光学中心Pcbに位置するときとを比べると、撮像光学中心Pcaのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離daは、撮像光学中心Pcbのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離dbよりも短い。これは、ステータベーンSv1,Sv2が、それぞれ回転軸Axの中心から回転軸Axの径方向に伸びているためである。
【0100】
同様に、回転軸Axから距離rbにある撮像光学中心Pcbに位置するときと、撮像光学中心Pcが回転軸Axから撮像光学中心Pcbよりもさらに遠い距離rcにある撮像光学中心Pccに位置するときとを比べると、撮像光学中心Pcbのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離dbは、撮像光学中心Pccのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離dcよりも短い。
【0101】
逆に言えば、挿入長Lが長くなると、2枚のステータベーンSv1とSv2間の距離は短くなる。
図16に示すように、挿入長Lsbのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離dbは、挿入長Lが挿入長Lsbよりも長い挿入長Lsaのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離daよりも、長い。同様に、挿入長Lscのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離dcは、挿入長Lが挿入長Lscよりも長い挿入長Lsbのときの2枚のステータベーンSv1とSv2の中央部間の距離dbよりも、長い。
【0102】
2つのステータベーンSv間に位置する挿入部11aの2つの距離センサ31a、31bにより検出される2つのステータベーンSvまでの距離によって、挿入長Lが一意に決まる。よって、前回の検査時の2つの距離センサ31aと31bにより検出された2つの距離値d21,d22と、ボアスコープ11Bの2つの距離センサ31aと31bにより検出された距離値d12,d12とが一致したとき、挿入長Lは、前回の検査時の挿入長Lと同じである。
【0103】
すなわち、ボアスコープ11Bに設けられ、挿入部11aの軸に直交し、互いに逆方向である2つの方向における挿入部11aから2つの物体までの2つの距離d1,d2を検出する距離センサ31a、31bが検出した2つの距離d1,d2に基づいて、挿入長Lが検出される。つまり距離センサ31a、31bは、挿入長検出部を構成する。
【0104】
よって、両者が一致すると(S25:YES)、CPU51は、一致インジケータ69を所定の色、ここでは緑色、で表示する(S26)。一致インジケータ69が緑色なので、ユーザは、画像表示部62Bに表示された検査画像を取得したときの2つの距離値d21、d22と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの距離値d11、d21が一致していると、認識することができる。
【0105】
よって、S26の処理が、S25の比較結果に基づいて、ボアスコープ11Bの2つの距離センサ31a、31bが検出した2つの距離d1,d2と、HDD54に記憶された画像表示部62Bに表示される検査画像についての2つの距離d1,d2とが一致したことを示す一致情報を出力する一致出力部を構成する。S26の処理が、所定の一致情報を出力することにより、表示装置であるLCD55に表示された所定のマークである一致インジケータ69の表示状態(ここでは色)を変更する。
以上のS24とS26により、回転角γが一致し、かつ2つの距離d1,d2したことが2つの一致インジケータ68,69により示されるので、ユーザは、静止画を取得したときと同じ位置と視野方向で、ブレードBの拡大画像を観察することができる。
【0106】
そして、S26の処理の後、CPU51は、画像記録ボタン70が選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S27)、画像記録ボタン70が選択されていなければ(S27:NO)、処理は、S22に戻る。
【0107】
画像記録ボタン70が選択されると(S27:YES)、
図12に示すように受信しているライブ画像から静止画を生成して、画像表示部62Aに静止画を表示する(S28)。
そして、CPU51は、画像表示部62Aに表示した静止画を取得したときの、姿勢情報及び位置情報を、それぞれ姿勢情報表示部65A及び距離情報表示部66Aに表示する(S29)。
【0108】
CPU51は、画像記録ボタン70が再度、選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S30)、画像記録ボタン70が選択されていなければ(S30:NO)、キャンセルボタン73が選択されたか否かを判定する(S31)。キャンセルボタン73が選択されたときは(S31:YES)、処理は、S22に戻る。キャンセルボタン73が選択されないときは、処理は、何もしない。
【0109】
画像記録ボタン70が選択されると(S30:YES)、画像表示部62Aに表示した静止画と、その静止画についてのスコープID、姿勢情報及び位置情報とを、記憶装置であるHDD54に記録する(S32)
以上のようにして、検査者は、記録された検査画像を撮像したときの撮像光学中心Pc の位置と方向と同じ位置と方向から撮像した静止画(拡大されている静止画)をLCD55に表示させ、HDD54に記憶することができる。
【0110】
なお、ここでは、静止画についての、スコープID、姿勢情報及び位置情報は、静止画の画像データ中のEXIF情報として、HDD54に記録されるが、
図17に示すような、静止画のファイルとは別のファイルに、スコープID、姿勢情報及び位置情報を記録するようにしてもよい。
【0111】
図17は、撮影情報記録ファイルのデータ構造を示す図である。
図17に示すように、撮影情報記録ファイル81は、記録項目として、画像ID、スコープID、回転角度、第1の距離、及び第2の距離を有する。画像IDは、静止画の画像データの画像IDであり、静止画の画像データと紐付けるための情報である。
【0112】
スコープID、回転角、第1の距離、及び第2の距離は、上述したスコープID、回転角γ、距離d21、及び距離d22に対応し、上述したS8、S22、S32において、これらのスコープID等の情報が、撮影情報記録ファイル81に記録され、あるいは撮影情報記録ファイル81から読み出される。
【0113】
以上のように、本実施の形態によれば、ブレード検査において、既に取得されている検査画像のブレードを撮像したときと同じ位置及び同じ視野方向でブレードを観察可能なブレード検査装置及びブレード検査方法を実現することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態のブレード検査装置は、2つの距離d1,d2と回転角γに基づいて、記録された静止画を取得したときと同じ位置及び同じ視野方向から、ブレードを観察できるように構成されているが、第2の実施の形態のブレード検査装置は、挿入長Lと回転角γに基づいて、記録された静止画を取得したときと同じ位置及び同じ視野方向から、ブレードを観察できるように構成されている。
【0114】
第1の実施の形態では、2つのステータベーンSv間に位置する挿入部11aの2つの距離センサ31a、31bにより検出される2つのステータベーンSvまでの距離によって、挿入長Lが一意に決まることを利用して、2つの距離d1,d2と回転角γに基づいて、2回目のボアスコープの挿入時に挿入補助を行っている。よって、第1の実施の形態では、2つの距離d1,d2と回転角γの一致が判定されている。
【0115】
これに対して、第2の実施の形態では、挿入部11aの挿入長Lと回転角γに基づいて、2回目のボアスコープの挿入時に挿入補助を行っている。よって、第2の実施の形態では、挿入長Lと回転角γの一致が判定されている。
【0116】
以下、本実施の形態のブレード検査システムについて説明するが、本実施の形態のブレード検査システムは、第1の実施の形態で説明したブレード検査システムと略同様の構成であり、同じ構成要素については、同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成について主として説明する。
(ボアスコープの構成)
図18は、ボアスコープ11xの構成を説明するための構成図である。
【0117】
ボアスコープ11xの把持部11bには、距離センサ32が配設されている。
加速度センサ27は、3軸加速度センサであり、通信制御部29が、加速度センサ27の出力から、ボアスコープ11の軸回りの回転角γを算出する。 距離センサ32は、対向する位置に存在する物体の表面までの距離を検出するセンサである。距離センサ32は、第1の実施の形態の距離センサ31a、31bと同様の構成であり、例えば、スポット光を照射する光源素子と、受光した光スポットの重心位置を検出するPSD(Position Sensitive Detector)素子と、を有して、三角測量の原理を利用して物体までの距離を検出するPSD距離センサである。
【0118】
距離センサ32は、把持部11bの挿入部11a側(すなわち先端側)の面11b1に設けられている。
図18に示すように、距離センサ32は、挿入部11a側の先端側の面11b1から、固定具Fの表面OS3までの距離d3を検出する。すなわち、挿入部11aがエンジンE内に挿入されたとき、距離センサ32は、固定具Fの表面OS3までの距離に応じた検出信号を出力する。距離センサ32は、例えば、最大300mm程度の範囲の距離を測定する。そして、後述するように、通信制御部29が、距離センサ32の検出出力に基づいて、挿入部11aの挿入長Lを算出する。
【0119】
距離センサ32と通信制御部29は、挿入部11aを有する内視鏡であるボアスコープ11xに設けられ、ロータRを収納するケーシングCに設けられた孔であるアクセスポートAPから挿入部11aが挿入されたときの挿入部11aの挿入長Lを検出する挿入長検出部を構成する。すなわち、距離センサ32は、ボアスコープ11Bの把持部11bと、ボアスコープ11Bを支持し固定する固定具Fとの間の距離d3を検出し、その検出された距離d3に基づいて、ボアスコープ11Bの挿入長Lが検出される。
【0120】
なお、ここでは、距離センサ32として、PSD距離センサが用いられているが、例えば、
図18において点線で示すように、固定具Fにローラエンコーダ等のエンコーダREを設け、ローラエンコーダREからの出力を、ローラエンコーダREから延出した信号線を介して、PC12へ供給し、PC12において、ローラエンコーダREの出力から、挿入部11aの挿入長Lを算出して求めるようにしてもよい。
【0121】
距離センサ32の検出信号、CCD26の画像信号、加速度センサ27の各検出信号、及びID記憶部28のスコープID信号が、通信制御部29に入力される。
図19は、ボアスコープ11xの回路構成を示すブロック図である。
【0122】
制御部41には、距離センサ32が接続されている。
よって、制御部41は、ID記憶部28からボアスコープ11のスコープIDを入力すると共に、加速度センサ27、距離センサ32からの検出信号を入力する。
【0123】
制御部41は、距離センサ32の検出信号に対応する距離d3に基づいて、挿入長Lを算出する。
固定具Fの形状から、固定具Fにおける中央点Ph が予め決まっている。さらに、距離センサ32と撮像光学中心Pcの位置関係も予め決まっている。よって、挿入部11aが軸方向に沿って移動しても、制御部41は、距離センサ32の検出信号に対応する距離d3から、挿入量Lを算出することができる。
【0124】
なお、挿入長Lは、中央点Ph、撮像光学中心Pc以外の点を基準にして決定するようにしてもよい。
また、制御部41は、加速度センサ27の検出信号に基づいて、ボアスコープ11の姿勢情報として、ボアスコープ11の軸回りの回転角γを算出する。
【0125】
そして、制御部41は、各センサの検出信号に基づいて算出した挿入長L及び姿勢情報を、通信I/F42を介して、PC12へリアルタイムで出力する。
ボアスコープ11xのその他の構成と動作は、第1の実施の形態で説明した構成と動作と同じである。
【0126】
さらに、PC12の構成も、第1の実施の形態で説明した構成と同じである。
(検査の手順)
本実施の形態においても、ブレードの検査を行う検査者であるユーザは、はじめに、視野角の広いボアスコープ11xAを用いて、ブレードの全体的な検査を行う。その後に、ユーザは、視野角の狭いボアスコープ11xBを用いて、前の検査で発見された欠陥部の画像をモニタに拡大表示して、詳細検査を行う。
【0127】
本実施の形態のボアスコープ11xAと11xBの構成も、外観の形状と寸法は、同じである。
また、ボアスコープ11xAの視野角α
FAは、ボアスコープ11xBの視野角α
FBよりも大きい。
【0128】
さらに、ボアスコープ11xAの挿入部11aの軸方向に対する視野方向角α
DAは、ボアスコープ11xBの挿入部11aの軸方向に対する視野方向角α
DBと等しい。なお、ここでは、視野方向角α
DA、α
DBは、90度である。
【0129】
すなわち、ボアスコープ11Aは、挿入部11aと、ボアスコープ11Bの加速度センサ27と同じ姿勢を検出する加速度センサと、ボアスコープ11Bと同じ距離d3を検出する距離センサ32を有する。
【0130】
以上のように、2つのボアスコープ11Aと11Bは、撮像光学系における視野角以外のパラメータは同じである。よって、2つのボアスコープ11Aと11Bは、同じ挿入量Lで同じ視野方向のとき、被写体を撮像する撮像光学中心Pcは、一致する。
(作用)
次に、ブレード検査システム1の動作について説明する。
【0131】
図20は、ボアスコープ11xを挿入して、内視鏡画像を表示し記録する記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
図20の記録処理プログラムは、PC12のROM52に記憶されており、CPU51により読み出されて実行される。
図21は、PC12のLCD55の画面上に表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)の例を示す図である。
【0132】
まず、
図21を用いて、ブレード検査時にPC12のLCD55の画面上に表示されるGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)の構成について説明する。
図21において、
図10と同じ構成については、同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成について説明する。
【0133】
図21に示すように、PC12のLCD55の画面上に表示されるGUI61Aは、挿入長を表示する2つの挿入長情報表示部64A、64Bと、情報の一致を示す一致インジケータ67を含む。
【0134】
挿入長情報表示部64Aと64Bは、それぞれ画像表示部62Aと62Bに表示された検査画像を取得しているあるいは取得したときのボアスコープ11xの挿入長Lを表示する表示領域である。挿入長Lは、距離センサ32の出力に基づいて、ボアスコープ11xの制御部41が算出して送信した値である。挿入長情報表示部64A には、画像表示部62A に表示されている検査画像を取得しているときの、あるいは取得したときの、挿入長L1が表示される。挿入長情報表示部64B には、画像表示部62B に表示されている検査画像を取得したときの、挿入長L2が表示される。
【0135】
一致インジケータ67は、後述するように、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの挿入長と、画像表示部62Aに表示されているライブの検査画像の挿入長とが、一致したことを示す表示部である。例えば、一致インジケータ67の輝度あるいは色が変化することによって、2つの挿入長が所定の誤差範囲内で一致したことを示す。よって、2つの挿入長が一致するとは、2つの挿入長が完全に一致する場合だけでなく、所定の誤差範囲内で一致する場合も含む。ここでは、一致インジケータ67は、色が赤であるときは、静止画についての挿入長と、ライブ画像についての挿入長は一致しておらず、色が緑であるときは、静止画についての挿入長と、ライブ画像についての挿入長は一致していることを示す。
【0136】
なお、一致インジケータ67は、ライブの検査画像の挿入長と画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの挿入長とが一致すると、赤から緑に変化するのではなく、ライブの検査画像の挿入長挿入長が画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの挿入長に対して所定の距離範囲内になると、一致インジケータ67は、所定の色、例えば黄色、に変化し、その後、両者が一致すると緑に変化するようにしてもよい。
【0137】
一致インジケータ68の色の変化も同様であり、ライブの検査画像の姿勢情報が、静止画の検査画像を取得したときの姿勢情報に対して所定の値の範囲内になると、一致インジケータ68は、所定の色、例えば黄色、に変化し、その後、両者が一致すると緑に変化するようにしてもよい。
また、ここでも、2つの姿勢情報が一致するとは、2つの姿勢情報が完全に一致する場合だけでなく、所定の誤差範囲内で一致する場合も含む。
【0138】
図21に示すGUI61AがPC12のLCD55に表示され、ユーザは、ブレードBの検査を行う。
図20において、
図9と同じステップについては、同じステップ番号を付して、簡略に説明する。まず、
図20に示すように、CPU51は、ボアスコープ11から受信した画像信号に基づき、動画の内視鏡画像であるライブ画像を、LCD55に表示する(S1)。ライブ画像は、GUI61Aの画像表示部62Aに表示される。このとき、CPU51は、ボアスコープ11xの制御部41からスコープIDも受信しているので、スコープID表示部63Aに、スコープIDを表示する。
【0139】
そして、CPU51は、リアルタイムで受信している、挿入長及び姿勢情報を、それぞれ挿入長情報表示部64A及び姿勢情報表示部65Aに表示する(S41)。
CPU51は、画像記録ボタン70が選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S3)、画像記録ボタン70が選択されると(S3:YES)、CPU51は、受信しているライブ画像から静止画を生成して、画像表示部62Aに静止画を表示する(S4)。
【0140】
そして、CPU51は、画像表示部62Aに表示した静止画を取得したときの、挿入長及び姿勢情報を、それぞれ挿入長情報表示部64A及び姿勢情報表示部65Aに表示する(S42)。
【0141】
CPU51は、画像記録ボタン70が再度、選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S6)、画像記録ボタン70が選択されると(S6:YES)、画像表示部62Aに表示した静止画と、スコープIDと、その静止画についての挿入長及び姿勢情報を、記憶装置であるHDD54に記録する(S43)。ここでは、スコープID、挿入長及び姿勢情報は、画像データのEXIF情報として画像データに含まれて、HDD54に記録される。
【0142】
そして、CPU51は、記録した静止画を画像表示部62Bに表示し(S9)、画像表示部62Bに表示した静止画を取得したときの、スコープID、挿入長及び姿勢情報を、それぞれスコープID表示部63B、挿入長情報表示部64B及び姿勢情報表示部65Bに表示する(S44)。
【0143】
以上のようにして、ユーザは、エンジンE内のブレードBの検査画像である静止画を記録することができる。
図20の処理が繰り返されることによって、ユーザは、複数枚の検査画像をHDD54に記憶することができる。
【0144】
例えば、視野角が比較的広いボアスコープ11xAを用いて
図20に示す処理を行って、ブレードBの大体の検査を行い、キズの部位が写った静止画が最初に記録される。そして、検査者は、そのキズの部位を拡大して観察あるいは記録するために、ボアスコープ11xAをアクセスポートAPから引き抜き、ボアスコープ11xAよりも視野角の狭いボアスコープ11xBをアクセスポートAPから挿入する。
【0145】
図22と
図23は、視野角の狭いボアスコープ11を挿入して、記録済みの検査画像を参照しながら、検査画像を表示し記録する記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
図22と
図23に示す記録処理プログラムは、ROM52に記憶されており、PC12のCPU51により読み出されて実行される。
【0146】
検査者によりGUI61の画像呼び出しボタン71が選択すなわちタッチされると、
図22と
図23に示す処理が実行される。
図22と
図23において、
図11と
図12と同じステップについては、同じステップ番号を付して、簡略に説明する。
【0147】
まず、CPU51は、画像呼び出し処理を実行する(S21)。
ユーザにより選択された検査画像が画像表示部62Bに表示されると、その検査画像についての、スコープID、挿入長及び姿勢情報位置情報は、それぞれスコープID表示部63B、挿入長情報表示部64B及び姿勢情報表示部65Bに表示される。
【0148】
ユーザは、ボアスコープ11xBをエンジンE内に挿入するが、CPU51は、ボアスコープ11xBから受信したスコープIDをスコープID表示部63Aに表示し、ライブ画像を画像表示部62Aに表示し、かつそのライブ画像についての挿入長及び姿勢情報を、それぞれ挿入長情報表示部64A及び姿勢情報表示部65Aにリアルタイムで表示する(S51)。ボアスコープ11xBが動かされると、画像表示部62Aに表示されるライブ画像だけでなく、挿入長情報表示部64A及び姿勢情報表示部65Aの表示内容もリアルタイムで変化する。
【0149】
まず、ユーザは、ボアスコープ11xBの挿入部11aの先端部をゆっくりと回転軸Axに向かって押し込むように移動させ、所定の位置でボアスコープ11Bを保持する。ユーザは、ボアスコープ11Bを保持した状態で、ボアスコープ11Bの姿勢、すなわち軸回りの回転角、を変化させる。ユーザは、一致インジケータ68が赤色から緑色に変化するか否かをみながら、ボアスコープ11xBの姿勢を変化させ、一致インジケータ68が赤色から緑色に変化したときに、姿勢変化動作を止める。
【0150】
そのため、CPU51は、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの姿勢と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの姿勢が一致するか否かを判定する(S23)。
【0151】
両者が一致すると(S23:YES)、CPU51は、一致インジケータ68を所定の色、ここでは緑色、で表示する(S24)。一致インジケータ68が緑色なので、ユーザは、画像表示部62Bに表示された検査画像を取得したときの姿勢と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11Bの姿勢が一致している。
【0152】
次に、ユーザは、ボアスコープ11xBの姿勢を変化させないようにボアスコープ11Bを保持した状態で、ボアスコープ11xBの挿入部11aの先端部をゆっくりと回転軸Axに向かって押し込むように移動させる。このとき、CPU51は、画像表示部62Bに表示された静止画の検査画像を取得したときの挿入長L2と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11xBの挿入長L1が一致するか否かを判定する(S52)。そして、両者が一致しなければ(S52:NO)、処理はS51へ戻る。このS52の処理が、ボアスコープ11xBの距離センサ32が検出した挿入長L1と、HDD54に記憶された画像表示部62Bに表示される検査画像についての挿入長L2とを比較する挿入長比較部を構成する。
【0153】
すなわち、ユーザは、ボアスコープ11xBをエンジンEの奥に進めるように挿入するが、このとき、一致インジケータ67が赤色から緑色に変化するか否かをみながら、ボアスコープ11xBをエンジンE内に挿入していき、一致インジケータ67が赤色から緑色に変化したときに、挿入動作を止める。
【0154】
なお、S52において、2つの挿入長が一致するか否かは、挿入長L2に対する所定の許容範囲内に、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11xBの挿入長L1が入れば、両者は一致すると判定される。例えば、挿入長L1が(L2−Δk3)から(L2+Δk3)の範囲内にあれば、両者は一致していると判定される。
【0155】
両者が一致すると(S52:YES)、CPU51は、一致インジケータ67を所定の色、ここでは緑色、で表示する(S53)。一致インジケータ67が緑色になると、ユーザは、画像表示部62Bに表示された検査画像を取得したときの挿入長L2と、現在のライブ画像を取得しているときのボアスコープ11xBの挿入長L1が一致していることを認識することができる。よって、S53の処理が、S52の比較結果に基づいて、ボアスコープ11xBの距離センサ32が検出した挿入長L1とHDD54に記憶された画像表示部62Bに表示される検査画像についての挿入長L2とが一致したことを示す一致情報を出力する一致出力部を構成する。そして、S53の処理が、所定の一致情報を出力することにより、表示装置であるLCD55に表示された所定のマークである一致インジケータ67の表示状態(ここでは色)を変更する。
【0156】
以上のS24とS53により、挿入長Lが一致し、かつ回転角γが一致したことが2つの一致インジケータ67,68により示されるので、ユーザは、静止画を取得したときと同じ位置と視野方向で、ブレードBの拡大画像を観察することができる。
【0157】
そして、S53の処理の後、CPU51は、画像記録ボタン70が選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S27)、画像記録ボタン70が選択されると(S27:YES)、受信しているライブ画像から静止画を生成して、画像表示部62Aに静止画を表示する(S28)。
【0158】
そして、CPU51は、画像表示部62Aに表示した静止画を取得したときの、挿入長及び姿勢情報を、それぞれ挿入長情報表示部64A及び姿勢情報表示部65Aに表示する(S54)。
【0159】
CPU51は、画像記録ボタン70が再度、選択すなわちタッチされたか否かを判定し(S30)、画像記録ボタン70が選択されると(S30:YES)、画像表示部62Aに表示した静止画と、その静止画についてのスコープID、挿入長及び姿勢情報とを、記憶装置であるHDD54に記録する(S55)
以上のようにして、検査者は、記録された検査画像を撮像したときの撮像光学中心Pc の位置と方向と同じ位置と方向から撮像した静止画(拡大されている静止画)をLCD55に表示させ、HDD54に記憶することができる。
【0160】
なお、ここでは、静止画についての、スコープID、挿入長及び姿勢情報は、静止画の画像データ中のEXIF情報として、HDD54に記録されるが、
図24に示すような、静止画のファイルとは別のファイルに、スコープID、挿入長及び姿勢情報を記録するようにしてもよい。
【0161】
図24は、撮影情報記録ファイルのデータ構造を示す図である。
図24に示すように、撮影情報記録ファイル81Aは、記録項目として、画像ID、スコープID、挿入長、及び回転角を有する。
【0162】
スコープID、挿入長、及び回転角は、上述したスコープID、挿入長L、及び回転角γに対応し、上述したS43、S51、S55において、これらのスコープID等の情報が、撮影情報記録ファイル81Aに記録され、あるいは撮影情報記録ファイル81Aから読み出される。
【0163】
以上のように、本実施の形態によれば、ブレード検査において、既に取得されている検査画像のブレードを撮像したときと同じ位置及び同じ視野方向でブレードを観察可能なブレード検査装置及びブレード検査方法を実現することができる。
【0164】
以上のように、上述した2つの実施の形態によれば、ブレード検査において、既に取得されている検査画像のブレードを撮像したときと同じ位置及び同じ視野方向でブレードを観察可能なブレード検査装置及びブレード検査方法を実現することができる。
【0165】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。