(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242112
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ファイル用のボックス
(51)【国際特許分類】
B42F 7/14 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
B42F7/14 B
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-168289(P2013-168289)
(22)【出願日】2013年8月13日
(65)【公開番号】特開2015-36220(P2015-36220A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】507353393
【氏名又は名称】株式会社コクヨMVP
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】川西 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】岸本 康二
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−156060(JP,A)
【文献】
実開平02−027378(JP,U)
【文献】
特開2010−247431(JP,A)
【文献】
米国特許第05505371(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/00−7/14
B42F 17/00−17/34
B65D 5/00−5/76
A47B 63/00
A45C 5/00
A45C 11/00
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及びこの底壁の縁部から立ち上がる立壁を有するとともに前記底壁及び立壁に囲まれた内部において少なくとも上方が開放された収納空間を有するボックス本体と、
前記収納空間を区画する機能を有する複数の仕切本体、これら複数の仕切本体の一端側を接続しながら前記ボックス本体の前記立壁における一の内面に取り付けられる取付板、前記仕切本体の他端側を開放させた状態で他端側から延出し前記一の内面に対向する他の内面に対しそれぞれ独立してスライド可能に取り付けられた複数の開放端を有する可動仕切とを具備することを特徴とするファイル用のボックス。
【請求項2】
前記可動仕切が、前記ボックス本体の下端に接し下方から仕切本体を支持する支持脚を有している請求項1記載のファイル用のボックス。
【請求項3】
前記支持脚が、前記取付板及び前記開放端にそれぞれ設けられている請求項2記載のファイル用のボックス。
【請求項4】
前記立壁が、上端近傍に下方に向けて開口する下向きスリットを有するものであり、前記開放端の上端が前記下向きスリットに差込挟持された状態でスライド可能に支持されている請求項2又は3記載のファイル用のボックス。
【請求項5】
前記立壁が、前記収納空間を外方から視認し得る視認窓を有するとともに前記支持脚が前記視認窓の形状に沿って設けた凹部が設けられたものであり、前記視認窓及び前記凹部が互いに連通し得るようにしている請求項2、3又は4記載のファイル用のボックス。
【請求項6】
前記取付板が、前記一の内面に対しスライド可能に設けられている請求項1、2、3、4又は5記載のファイル用のボックス。
【請求項7】
前記複数の仕切本体が、一端側から他端側へ向かって延出し前記仕切本体自体の剛性を高め得るリブを有している請求項1、2、3、4、5又は6記載のファイル用のボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや学校、家庭等で好適に用いられるファイル用のボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや学校、家庭等において書類等を収納しておくための器具の一つとして、内部に収納空間を有するファイル用のボックスが広く用いられている。このようなファイル用のボックスは、通常「ボックスファイル」や「ファイルボックス」等と称されるものであり、収納空間内に書類等を立てた状態で保存しておくことができ、書類の出し入れが容易であるという特徴を有する。
【0003】
ところで、このようなファイル用のボックスにおいて、書類等の枚数が少ない場合に書類等が収納空間内において自重で湾曲することがあり、この不具合を解消すべく、収納空間を区画する機能を有する仕切を設けることが考えられている。さらに、書類等の枚数の変化により柔軟に対応すべく、収納空間を内部に有するボックス本体と、このボックス本体の収納空間内においてスライド移動可能な可動仕切とを有するファイル用のボックスも考えられている(例えば、特許文献1を参照)。また当該特許文献1に記載のものは、収納物の巾寸法により柔軟に対応すべく、仕切板自体を撓みやすい素材によって構成している。
しかして、前記特許文献1記載のファイル用のボックスの構成では、例えば書類に限らず小物類や生活用品等を収納しようとすると、かえって仕切板自体が収納物に干渉すると使用者に感じさせることがある。
【0004】
また、可動仕切が対をなす仕切板の両端を接続した状態でボックス本体に接続し、この仕切板をボックス本体に対して動作可能に構成したり、仕切本体自体を撓み変形可能に構成したりすることにより、種々の平面視寸法を有する収納物に適用しようとしたファイル用のボックスも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、複数の仕切板の両端が連続している、所謂平面視ロの字形の構成を採用している以上、仕切板を種々の態様に変形或いは動作可能に構成しても、収納物の平面視寸法に常に安定して適用するには自ずと限界があると考えられる。また当該特許文献2に記載のものも上記特許文献1記載のもの同様、仕切板を撓みやすく構成してしまうと、収納物の重量により仕切板が不要に撓んでしまい、本来の仕切りとしての機能が発揮できない場合もあると考えられる。
【0006】
そこで、収納物の寸法、仕様に拘わらず、可動仕切をボックス本体により安定して保持させる構成を有するファイル用のボックスが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−301160号公報
【特許文献2】特許第5185848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上に述べた点のうち、収納空間内に収納した収納物が有する種々の平面視寸法に対応可能とする点に着目することで、仕切りとしての機能が有効に発揮される構成を有するファイル用のボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち本発明に係るファイル用のボックスは、底壁及びこの底壁の縁部から立ち上がる立壁を有するとともに前記底壁及び立壁に囲まれた内部において少なくとも上方が開放された収納空間を有するボックス本体と、前記収納空間を区画する機能を有する
複数の仕切本体、
これら複数の仕切本体の一端側を接続しながら前記ボックス本体の前記立壁における一の内面に取り付けられる取付板、前記仕切本体の他端側を開放させた状態で他端側から延出し前記一の内面に対向する他の内面に対しそれぞれ独立してスライド可能に取り付けられた複数の開放端を有する可動仕切とを具備することを特徴とする。
【0011】
このようなものであれば、複数の開放端が互いに独立して複数の仕切本体の他端側とともにスライドさせることができるので、複数の仕切本体の他端側間の距離を変更することができる。これにより、収納物の平面視寸法により柔軟に適用することができる。その結果、収納空間内に収納した収納物が有する種々の平面視寸法に対応可能となり、仕切りとしての機能が有効に発揮される構成を有するファイル用のボックスの提供に資する。
【0012】
前記可動仕切のボックス本体に対する過度の係り合いを抑制することで可動仕切りの取り付け箇所に負担が集中したり、可動仕切りが不要に動作してしまったりすることを回避しつつ収納物を安定して支持し得るようにするためには、可動仕切に、前記ボックス本体の下端に接し下方から仕切本体を支持する支持脚を支持脚を設けておくことが望ましい。
【0013】
支持脚自体が収容物に干渉してしまう事を有効に回避するためには、支持脚を、前記取付板及び前記開放端にそれぞれ設けておくことが望ましい。
【0014】
また、前記可動仕切のボックス本体に対する過度の係り合いを抑制するための他の構成として、前記立壁に上端近傍に下方に向けて開口する下向きスリットを設け、前記開放端の上端が前記下向きスリットに差込挟持された状態でスライド可能に支持するようにすることが望ましい。
【0015】
また、収納空間への外方からの視認性を有効に担保するためには、前記立壁に、前記収納空間を外方から視認し得る視認窓を設けるとともに前記支持脚に前記視認窓の形状に沿って設けた凹部を設け、前記視認窓及び前記凹部が互いに連通し得るようにしておくことが望ましい。
【0016】
可動仕切の可動性を向上させることで種々の平面視寸法を有する収納物への適用性をより向上させるためには、前記取付板を、前記一の内面に対しスライド可能に設けることが好ましい。
【0017】
所望の位置に位置付けた可動仕切りが収納物を確実に支持し得るようにするためには、前記複数の仕切本体に、一端側から他端側へ向かって延出し前記仕切本体自体の剛性を高め得るリブを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、収納空間内に収納した収納物が有する種々の平面視寸法に対応可能とする点に着目することで、仕切りとしての機能が有効に発揮される構成を有するファイル用のボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る使用状態を示す斜視図。
【
図14】同実施形態に係るE−E、H−H部におけるC−C拡大端面図。
【
図15】同実施形態に係るE−E、H−H部におけるD−D拡大端面図。
【
図16】同実施形態に係るG−G、I−I部におけるF−F拡大端面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ以下に示す。
【0021】
本実施形態に係るファイル用のボックスは、
図1〜
図16に示すように、底壁15及びこの底壁15の縁部から立ち上がる立壁10を有するとともに、前記底壁15及び立壁10に囲まれた内部において少なくとも上方が開放された収納空間Sを有するボックス本体1と、可動仕切2とを有している。可動仕切2は、前記収納空間Sを区画する機能を有する仕切本体21、この仕切本体21の一端側を接続しながら前記ボックス本体1の前記立壁10における一の内面121に取り付けられる取付板22、前記仕切本体21の他端側を開放させた状態で前記一の内面121に対向する他の内面111に対しそれぞれ独立してスライド可能に取り付けられた複数の開放端23を有するものである。
【0022】
以下、本実施形態に係るファイル用のボックスの構成について説明する。
【0023】
前記ボックス本体1は、全体が
図10に示すような1枚のシート状をなすプラスチック製の素材により形成されており、前端面を構成する立壁10を構成する前壁11と、この前壁11に対向し後端面を構成する立壁10を構成する後壁12と、これら前壁11及び後壁12の側端縁同士を接続する立壁10を構成する一側壁13及び他側壁14と、これら前壁11、後壁12及び両側壁13、14の底面側を閉塞する底壁15とを備えている。また、このボックス本体11は、前記立壁10及び底壁15により区画される収納空間Sを内部に有する。なお本実施形態では図示の便宜上、一側壁13から見た
図3を正面図と設定している。
【0024】
前壁11は、収納空間Sに臨み可動仕切2を支持している他の内面111と、外方から収納空間Sを視認可能にすべく切り欠いて形成した視認窓112と、上端部を内方に折り返した中間部分で樹脂素材を溶着した折り返し部113と、この折り返し部113の下側すなわち折り返し先端側に下方に面するように形成されたスリットである下向きスリット114と、底面側へ折り返して底壁15を支持する前底板115と、この前底板115から切り起こして形成され他側壁側と係り合う前側爪116とを有している。また、前壁11の前方には、透明な樹脂により形成され前壁11との間でこのボックス本体1に収納した書類の内容等が記載された
図1に示すラベルL等の紙葉類を収納するための空間を形成するポケット部材Pが設けられている。
【0025】
後壁12は、収納空間Sに臨んで可動仕切2を支持している一の内面121と、他の側壁に対して溶着接合されるために前方へ延出して形成された接合しろ122と、上端部を内方に折り返した中間部分で樹脂素材を溶着した折り返し部123と、この折り返し部123の下側すなわち折り返し先端側に下方に面するように形成されたスリットである下向きスリット124と、底面側へ折り返して底壁15を支持する後底板125と、この後底板125から切り起こして形成され底壁15側と係り合う後側爪126とを有している。
【0026】
一側壁13は、後端縁が前記後壁12に、前端縁が前壁11に、下端縁が底壁15にそれぞれ一体的に連続している。一側壁13は、その前後端から下方に傾斜させることにより形成された傾斜縁131と、この傾斜縁131間に介在し平坦に形成された平坦縁132と、この平坦縁132から樹脂素材を内方に折り重ね溶着させて形成することで一側壁の撓み剛性を向上させた折り返し部133とを有する。すなわち本実施形態では、この一側壁13の高さ寸法は、前部及び後部においては中央に向かうにつれ漸次小さくなり、中央においては一定である。
【0027】
他側壁14は、後端縁が接合しろ122により接合されるとともに前端縁が前記前壁11に、後端縁が前記後壁12にそれぞれ高さ寸法を等しくして連続しており、前後方向中央部において使用者の四指を挿入し得る程度の大きさに形成された開口である把手穴141と、この把手穴141の上端において折り線を介して延出することで使用者の掌や四指が樹脂素材の端面に当接することを回避するために形成した指掛片142と、上端部を内方に折り返すことにより形成され内方に重なり合う折り返し部143と、下縁に形成した折り線に沿ってスリット状に開口することで底壁15と係り合う係合穴144と、この係合穴144及び折り線から平面側に折り返すことで底壁15を支持する側底板145と、この側底板145から切り起こして形成され前記前側爪116を係り合う前爪穴146とを有する。
【0028】
底壁15は、前記一側壁の下端から一体的に延出するものであり、後壁12に係り合いながら前底板115、側底板145に支持されることにより、ボックス本体1の所謂底抜けを防止すべく設けられている。この底壁15は、他側壁の係合穴144に係合する係合突起151と、延出前後端において部分円形状に突出させて形成することで前壁11、後壁12及び他側壁に圧着する圧着突起152と、巾方向の所定位置において前後方向等間隔に樹脂素材を半円状に切り起こすことによって形成され収納空間S内部に収納された書類等の向きを案内する案内片153と、前記後側爪126に係合する後爪穴156とを有している。
【0029】
なお当該ボックス本体1を組み立てる手順としては、
図10に示す状態から接合しろ122により平面視環状に形成されたボックス本体1の立壁10が平面視概略矩形状となるように折り、しかる後に前底板115及び側底板145を前側爪116、前爪穴146により係り合わせ、底壁15を上方からこれら前底板115及び側底板145に重ねつつ後ろ側爪と後爪穴156を係り併せることにより組み立てる。斯かる組み立て方法の詳細な説明は従来知られているこの種のファイル用ボックスの底壁15を形成する方法と同様であるので省略する。そしてボックス本体1を組上げた状態では、後壁12の一の内面121と底壁15との間には後端溝m2が、前壁11の他の内面111と底壁15との間には前端溝m1がそれぞれ形成される。
【0030】
可動仕切22は、全体が
図11に示すような1枚のシート状素材をコの字状に折りたたむ事により
図9に示すように形成されており、幅方向に離間して対をなす前記仕切本体21と、これら対をなす前記仕切本体21の後端部をそれぞれ接続する1対の前記取付板22と、仕切本体21の前端部においてそれぞれ延出する開放端23とを備えている。なお、斯かる可動仕切22を構成するシート状素材の厚み寸法を、前記ボックス本体1を構成する樹脂素材の厚み寸法よりも大きく設定することで、可動仕切22自体の剛性を担保している。
【0031】
仕切本体21は、前記収納空間Sの奥行き寸法全域にわたって延び、およそ収納空間Sの上半分の空間を仕切り得るよう構成されている。この仕切本体21の上縁は前記一側壁13の上縁すなわち傾斜縁131、平坦縁132の形状に沿うように凹み部211を設けている。また仕切本体21は、奥行き寸法全域、すなわち一端側から他端側へ向かって延出し前記仕切本体21自体の剛性を高め得るリブ212を形成している。すなわち本実施形態では、上記の如くシート状素材の厚みを大きくすることとリブ212の形成とが相まって、仕切本体21の剛性は有効に高められている。そしてこの対をなす仕切本体21間には
図1に示すように、定型の種々の紙葉類の他
図1に示す収容物Bのみならず、種々のものを収納可能である。
【0032】
取付板22は、後壁12の一の内面121に添接しており、上端において後壁12の下向きスリット124に差込挟持された上挿入片221と、ボックス本体1の下端まで延出し下方から仕切本体21を支持する支持脚たる後脚222と、下端近傍において巾方向に凹ませて設けた後凹部223と、下端においてボックス本体1下端に形成された後端溝m2に挿入される下挿入片224とを有している。すなわち本実施形態では、取付板22の上端において上挿入片221が下向きスリット124に挟持されつつ下挿入片224が後端溝m2に嵌る事で、後壁12との係り合いが強くなくとも仕切本体21を安定して支持している。また上挿入片221は下向きスリット124に挟持された状態でスライド動作可能に構成されている。そして下挿入片224は後端溝m2内をスライド動作可能に構成されている。これにより取付板22は、立壁10の一の内面121に対してスライド可能に構成されている。
【0033】
しかして本実施形態では上述した通り、複数つまり対をなす開放端23が、前壁11の他の内面111に対して、それぞれ独立してスライド可能に取り付けられたものとなっている。
【0034】
開放端23は、前壁11の他の内面111にそれぞれ添接しており、上端において前壁11の下向きスリット114に差込挟持された上挿入片231と、ボックス本体1の下端まで延出し下方から仕切本体21を支持する支持脚たる前脚232と、下端近傍において巾方向に外方から凹ませて設けた凹部たる前凹部233と、下端においてボックス本体1下端に形成された前端溝m1に挿入される下挿入片234とを有している。すなわち本実施形態では、開放端23の上端において上挿入片231が下向きスリット114に挟持されつつ下挿入片234が前端溝m1に嵌る事で、前壁11との係り合いが強くなくとも仕切本体21を安定して支持している。また上挿入片231は下向きスリット114に挟持された状態でスライド動作可能に構成されている。そして下挿入片234は前端溝m1内をスライド動作可能に構成されている。これにより取付板22は、立壁10の一の内面121に対してスライド可能に構成されている。また前凹部233の一及び形状は前壁11に設けた視認窓112の形状に沿うように形成されているため、
図13に示すように前凹部233と視認窓112が連通し、外方からの視認窓112から収納空間Sへの視認が妨げられることはない。なお本実施形態では前凹部233と視認窓112とを連通させるべく対をなす開放端23を拡げるように配置しているが勿論、対をなす開放端23同士を近接する、すなわち内向きに配置してもよい。このようにすれば、仕切本体21を前壁11の両側縁近傍にまで配置することができ、仕切本体21間の距離の、より広範囲な位置調整に資する。
【0035】
そして本実施形態に係るファイル用のボックスは
図1及び
図5に示すように、後壁12側において取付板22が自由にスライド動作させ得るのみならず、前壁11側において仕切本体21間の距離を自由に調整することで、
図1の収容物Bのみならず、種々の巾寸法を有するものを収容しても倒伏させることなく可動仕切2が支持し、仕切りとして機能を有効に担保し得ている。
【0036】
以上のように構成することで本実施形態に係るファイル用のボックスは、複数の開放端23が互いに独立して複数の仕切本体21の他端側とともにスライドさせることができるので、複数の仕切本体21の他端側たる前壁11側の距離を変更し得る。これにより、収納物の平面視寸法により柔軟に適用することができる。その結果、収納空間S内に収納した収納物が有する種々の平面視寸法に対応可能となり、仕切りとしての機能が有効に発揮される構成を有するファイル用のボックスの提供を実現している。
【0037】
前記可動仕切2のボックス本体1に対する過度の係り合いを抑制することで可動仕切2の取り付け箇所に負担が集中したり、可動仕切2が不要に動作してしまったりすることを回避しつつ収納物を安定して支持し得るようにするために本実施形態では、可動仕切2に、前記ボックス本体1の前記底壁15に接する支持脚たる前脚232及び後脚222を設けている。
【0038】
また本実施形態では支持脚自体が収容物に干渉してしまう事を有効に回避するために、支持脚として、前記取付板22及び前記開放端23にそれぞれ前脚232、後脚222を設けている。そして本実施形態では対をなす前脚232と単一の後脚222による3点で仕切本体21を下方から支持しているので、上端における立壁10との係り合いが緩やかであっても安定して仕切本体21が下方に脱落することを回避している。
【0039】
また、前記可動仕切2のボックス本体1に対する過度の係り合いを抑制するための構成として、前壁11の上端近傍に下方に向けて開口する下向きスリット114を設け、前記開放端23の上端の上挿入片231が前記下向きスリット114に差込挟持された状態でスライド可能にし、簡便なスライド操作を担保している。
【0040】
また、収納空間Sへの外方からの視認性を有効に担保するために本実施形態では、前記立壁10に、前記収納空間Sを外方から視認し得る視認窓112を設けるとともに前記支持脚に前記視認窓112の形状に沿って設けた前凹部233を設け、前記視認窓112及び前凹部233が互いに連通し得るようにしている。
【0041】
可動仕切2の可動性を向上させることで種々の平面視寸法を有する収納物への適用性をより向上させるために本実施形態では、前記取付板22を、前記一の内面121に対しスライド可能に設けるようにしている。
【0042】
特に本実施形態では、所望の位置に位置付けた可動仕切2が収納物を確実に支持し得るようにするために、前記複数の仕切本体21に、一端側から他端側へ向かって延出し前記仕切本体21自体の剛性を高め得るリブ212を設けている。そして本実施形態では、上記の如くシート状素材の厚みを大きくすることとリブ212の形成とが相まって、仕切本体21の剛性は有効に高められ、収容物Bが仕切本体21に凭れ掛かっても撓んでしまうことが有効に回避され、収容物Bのより確実な支持を実現している。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態では可動仕切を一体に成形した態様を開示したが、勿論、上記リブを別体に構成することでさらに強度を向上させるようにしてもよい。またボックス本体や仕切本体の具体的な形状や素材といった詳細な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0045】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明はオフィスや学校、家庭等で好適に用いられるファイル用のボックスとして利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…ボックス本体
10…立壁
111…他の内面
112…視認窓
114、124…下向きスリット
121…一の内面
15…底壁
2…可動仕切
21…仕切本体
212…リブ
22…取付板
23…開放端
222…支持脚(後脚)
232…支持脚(前脚)
233…凹部(前凹部)
S…収納空間