特許第6242131号(P6242131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242131アクチュエータおよびアクチュエータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242131
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】アクチュエータおよびアクチュエータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   H02K33/16 A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-194948(P2013-194948)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61461(P2015-61461A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】武田 正
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−044680(JP,A)
【文献】 実開昭60−135074(JP,U)
【文献】 特開2013−044924(JP,A)
【文献】 特開平07−158690(JP,A)
【文献】 特開昭63−176680(JP,A)
【文献】 特開2007−281192(JP,A)
【文献】 特開昭58−182170(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0073381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/00−33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状に巻回される駆動用コイルと、前記駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石部と、前記駆動用コイルを保持するコイル保持体と、前記駆動用磁石部を保持する磁石保持体と、前記コイル保持体と前記磁石保持体とを繋ぐ板バネとを備え、
前記コイル保持体は、前記磁石保持体に対して直線的に相対移動可能となっており、
前記磁石保持体に対する前記コイル保持体の相対移動方向を第1方向とすると、
前記コイル保持体は、その内周側が前記第1方向に貫通する略筒状の筒部を備え、
前記駆動用磁石部は、前記第1方向で重なるように配置され前記第1方向におけるその対向面が同じ磁極に着磁される2個の駆動用磁石片を備えるとともに、前記筒部の内周側に配置され、
前記駆動用コイルは、前記駆動用磁石部の外周側の全周を囲むように前記筒部の外周側に巻回され、
前記磁石保持体は、前記第1方向において前記駆動用コイルおよび前記駆動用磁石部よりも外側に配置され前記第1方向における前記磁石保持体の両端面を構成する第1端面部および第2端面部と、前記駆動用コイルの外周側を囲むように配置され前記第1方向に直交する前記筒部の径方向における前記磁石保持体の外周面を構成する側面部とを有するケース体を備え、
前記第1端面部には、前記第1方向に貫通する開口部が形成され、
前記コイル保持体は、さらに、その一部が前記開口部に配置されるとともに前記第1端面部から前記第1方向の外側へ突出する突出部と、前記突出部に固定され前記ケース体の外部に配置されるとともに前記第1方向において隙間を介して前記第1端面部に対向配置される外部配置部とを備え、
前記第1端面部と前記外部配置部との隙間には、粘弾性を有し前記第1端面部および前記外部配置部に付着する緩衝材が配置され
前記磁石保持体に対する前記コイル保持体の前記第1方向の相対移動範囲は、前記第1端面部および前記第2端面部によって規制され、
前記第1端面部および前記第2端面部によって規制される前記磁石保持体に対する前記コイル保持体の前記第1方向の相対移動可能量は、前記緩衝材の伸縮可能量よりも小さくなっていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1端面部および前記第2端面部によって規制される前記磁石保持体に対する前記コイル保持体の前記第1方向の相対移動範囲内では、前記第1端面部と前記外部配置部との間に、常に隙間が形成されていることを特徴とする請求項記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記板バネのバネ定数は、前記緩衝材のバネ定数よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1または2記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1端面部と前記外部配置部との隙間は、前記ケース体の周方向の全域に亘って形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載のアクチュエータの製造方法であって、
前記筒部に巻回された前記駆動用コイルと前記駆動用磁石部とが前記ケース体の内部に配置され、前記コイル保持体と前記磁石保持体とが前記板バネで繋がれるとともに、前記外部配置部が前記突出部に固定された状態で、かつ、前記駆動用コイルに電流が供給されていない状態で、前記第1端面部と前記外部配置部との隙間に前記緩衝材を塗布することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の動作対象物を所定方向へ直線的に移動させるためのアクチュエータに関する。また、本発明は、かかるアクチュエータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気ヘッドを移動させるための磁気ヘッド移動用のアクチュエータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のアクチュエータは、駆動用コイルと、駆動用コイルが巻回される円筒状のコイルボビンと、コイルボビンの内周側に配置される永久磁石およびコアと、永久磁石が固定されるヨークとを備えている。駆動用コイルが巻回されたコイルボビンは、中空状に形成されるヨークの内部に収容されている。コイルボビンとヨークとは、2枚の板バネを介して連結されている。板バネは、コイルボビンに固定されるボビン固定部と、ヨークに固定されるヨーク固定部と、ボビン固定部とヨーク固定部とを繋ぐバネ部とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のアクチュエータでは、2枚の板バネのうちの一方の板バネは、ヨークの内部に配置されている。また、他方の板バネのボビン固定部の一部は、ヨークの外周側に突出し、他方の板バネの、この一部を除いたその他の部分は、ヨークの内部に配置されている。ヨークの外周側に突出する他方の板バネのボビン固定部の一部には、磁気ヘッドが固定されている。
【0004】
また、従来、レンズを保持する移動体と、移動体をレンズの光軸方向へ移動可能に保持する支持体と、支持体に対して移動体を光軸方向へ駆動する駆動機構と、移動体と支持体とを繋ぐ板バネとを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のレンズ駆動装置では、板バネは、支持体に連結される支持体連結部と、移動体に連結される移動体連結部と、支持体連結部と移動体連結部とを繋ぐバネ部とから構成されている。
【0005】
移動体が板バネを介して支持体に保持されているレンズ駆動装置では、移動体を駆動したとき、あるいは、外部から振動が伝わってきたときに、支持体に対して移動体が振動するという問題がある。そこで、特許文献2に記載のレンズ駆動装置では、移動体の振動を減衰させるために、板バネの移動体連結部とアーム部とに跨る箇所に、粘弾性を有する緩衝材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−172012号公報
【特許文献2】特開2011−154121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のアクチュエータにおいて、特許文献2に記載のレンズ駆動装置と同様に、板バネのボビン固定部とバネ部とに跨る箇所に緩衝材を設ければ、ヨークに対してコイルボビンが振動したときに、コイルボビンの振動を減衰させることが可能になる。しかしながら、特許文献1に記載のアクチュエータでは、板バネのボビン固定部およびバネ部が、中空状に形成されるヨークの内部に配置されている。そのため、このアクチュエータでは、ボビン固定部とバネ部とに跨る箇所に緩衝材を塗布する緩衝材の塗布作業は容易ではない。
【0008】
そこで、本発明の課題は、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石部を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐ板バネとを備えるアクチュエータにおいて、コイル保持体または磁石保持体の振動を減衰させる緩衝材を容易に塗布することが可能なアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のアクチュエータは、略筒状に巻回される駆動用コイルと、駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石部と、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用磁石部を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐ板バネとを備え、コイル保持体は、磁石保持体に対して直線的に相対移動可能となっており、磁石保持体に対するコイル保持体の相対移動方向を第1方向とすると、コイル保持体は、その内周側が第1方向に貫通する略筒状の筒部を備え、駆動用磁石部は、第1方向で重なるように配置され第1方向におけるその対向面が同じ磁極に着磁される2個の駆動用磁石片を備えるとともに、筒部の内周側に配置され、駆動用コイルは、駆動用磁石部の外周側の全周を囲むように筒部の外周側に巻回され、磁石保持体は、第1方向において駆動用コイルおよび駆動用磁石部よりも外側に配置され第1方向における磁石保持体の両端面を構成する第1端面部および第2端面部と、駆動用コイルの外周側を囲むように配置され第1方向に直交する筒部の径方向における磁石保持体の外周面を構成する側面部とを有するケース体を備え、第1端面部には、第1方向に貫通する開口部が形成され、コイル保持体は、さらに、その一部が開口部に配置されるとともに第1端面部から第1方向の外側へ突出する突出部と、突出部に固定されケース体の外部に配置されるとともに第1方向において隙間を介して第1端面部に対向配置される外部配置部とを備え、第1端面部と外部配置部との隙間には、粘弾性を有し第1端面部および外部配置部に付着する緩衝材が配置され、磁石保持体に対するコイル保持体の第1方向の相対移動範囲は、第1端面部および第2端面部によって規制され、第1端面部および第2端面部によって規制される磁石保持体に対するコイル保持体の第1方向の相対移動可能量は、緩衝材の伸縮可能量よりも小さくなっていることを特徴とする。
【0010】
本発明のアクチュエータでは、駆動用コイルおよび駆動用磁石部等が内部に配置されるケース体の外部に外部配置部が配置され、ケース体を構成する第1端面部と外部配置部とが第1方向において隙間を介して対向している。また、本発明では、第1端面部と外部配置部との隙間に粘弾性を有する緩衝材が配置されている。すなわち、本発明では、ケース体の外部に緩衝材が配置されている。そのため、アクチュエータの組立が完了した後であっても、第1端面部と外部配置部との隙間に緩衝材を塗布することが可能になる。したがって、本発明では、コイル保持体または磁石保持体の振動を減衰させる緩衝材を容易に塗布することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、アクチュエータの組立が完了した後に、第1端面部と外部配置部との隙間に緩衝材を塗布することが可能になるため、アクチュエータの組立完了後に、緩衝材の塗布量を調整することが可能になる。すなわち、本発明では、アクチュエータの動作を確認しつつ、緩衝材の塗布量を調整することが可能になる。なお、緩衝材の塗布量を減らすことで、駆動用コイルに供給される電流の値が低くても、磁石保持体に対してコイル保持体を相対移動させることが可能になる。また、緩衝材の塗布量を増やすことで、コイル保持体または磁石保持体の振動を短時間で減衰させることが可能になる。
【0012】
さらに、本発明では、第1方向における第1端面部と外部配置部との隙間に緩衝材が配置されているため、磁石保持体に対してコイル保持体が相対移動したときの緩衝材の伸縮方向が、磁石保持体に対するコイル保持体の相対移動方向である第1方向と一致する。したがって、本発明では、緩衝材の塗布量のばらつきに起因するコイル保持体または磁石保持体の振幅の変動を抑制することが可能になる。また、本発明では、第1方向における第1端面部と外部配置部との隙間に緩衝材が配置されているため、緩衝材の塗布量を増やすことが可能になる。したがって、第1端面部と外部配置部との隙間から緩衝材が脱落するのを防止することが可能になる。
【0013】
また、本発明では、磁石保持体に対するコイル保持体の第1方向の相対移動範囲は、第1端面部および第2端面部によって規制され、第1端面部および第2端面部によって規制される磁石保持体に対するコイル保持体の第1方向の相対移動可能量は、緩衝材の伸縮可能量よりも小さくなっている。そのため、アクチュエータに落下等の衝撃が加わって緩衝材が伸びても、第1端面部および外部配置部からの緩衝材の剥がれや、緩衝材の断裂を防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、第1端面部および第2端面部によって規制される磁石保持体に対するコイル保持体の第1方向の相対移動範囲内では、第1端面部と外部配置部との間に、常に隙間が形成されていることが好ましい。このように構成すると、アクチュエータに落下等の衝撃が加わって緩衝材が縮んでも、第1端面部と外部配置部との間の隙間を利用して、緩衝材の変形した部分を逃がすことが可能になる。
【0015】
本発明において、板バネのバネ定数は、緩衝材のバネ定数よりも大きくなっていることが好ましい。このように構成すると、磁石保持体に対するコイル保持体の相対移動特性に対する緩衝材の影響を低減することが可能になる。したがって、磁石保持体に対してコイル保持体を適切に相対移動させることが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、第1端面部と外部配置部との隙間は、ケース体の周方向の全域に亘って形成されている。この場合には、第1端面部と外部配置部との隙間の、ケース体の周方向における1箇所に塗布される緩衝材の塗布量を変更しなくても、緩衝材の塗布箇所を増やしたり、減らしたりすることで、コイル保持体または磁石保持体の振動の減衰特性を調整することが可能になる。
【0017】
本発明のアクチュエータは、たとえば、以下のように製造される。すなわち、本発明のアクチュエータは、たとえば、筒部に巻回された駆動用コイルと駆動用磁石部とがケース体の内部に配置され、コイル保持体と磁石保持体とが板バネで繋がれるとともに、外部配置部が突出部に固定された状態で、かつ、駆動用コイルに電流が供給されていない状態で、第1端面部と外部配置部との隙間に緩衝材を塗布することで製造される。この場合には、アクチュエータの組立が完了した後に、第1端面部と外部配置部との隙間に緩衝材を塗布しているため、緩衝材の塗布作業が容易になる。また、この場合には、アクチュエータの組立が完了した後に緩衝材を塗布しているため、アクチュエータの組立完了後に、緩衝材の塗布量を調整することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、駆動用コイルを保持するコイル保持体と、駆動用コイルの内周側に配置される駆動用磁石部を保持する磁石保持体と、コイル保持体と磁石保持体とを繋ぐ板バネとを備えるアクチュエータにおいて、コイル保持体または磁石保持体の振動を減衰させる緩衝材を容易に塗布することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかるアクチュエータの斜視図である。
図2図1に示すアクチュエータを反対側から示す斜視図である。
図3図1のE−E断面の断面図である。
図4図3に示すコイル保持体が磁石保持体に対して相対移動したときの図1のE−E断面の断面図である。
図5図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
図6図5に示すコイルボビンを反対側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(アクチュエータの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるアクチュエータ1の斜視図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1を反対側から示す斜視図である。図3は、図1のE−E断面の断面図である。図4は、図3に示すコイル保持体4が磁石保持体5に対して相対移動したときの図1のE−E断面の断面図である。図5は、図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。図6は、図5に示すコイルボビン7を反対側から示す斜視図である。
【0022】
本形態のアクチュエータ1は、所定の動作対象物(図示省略)を所定方向へ直線的に移動させるためのものである。また、アクチュエータ1は、所定の上位装置(図示省略)に搭載されて使用される。このアクチュエータ1は、全体として、扁平な略円柱状に形成されている。また、アクチュエータ1は、小型のものであり、たとえば、アクチュエータ1の外径は、10mm〜30mm程度であり、アクチュエータ1の厚さは、5mm〜10mm程度である。
【0023】
アクチュエータ1は、駆動用コイル2と、駆動用磁石部3と、駆動用コイル2を保持するコイル保持体4と、駆動用磁石部3を保持する磁石保持体5と、コイル保持体4と磁石保持体5とを繋ぐ板バネ6とを備えている。コイル保持体4は、磁石保持体5に対して直線的に相対移動可能となっている。すなわち、コイル保持体4と磁石保持体5とは、板バネ6を介して相対移動可能に繋がれている。本形態では、駆動用コイル2および駆動用磁石部3等によって、磁石保持体5に対してコイル保持体4を相対移動させる駆動機構が構成されている。
【0024】
以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を「左右方向」、Y方向を「前後方向」、Z方向を「上下方向」とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態では、コイル保持体4は、磁石保持体5に対して上下方向(Z方向)へ相対移動可能となっている。すなわち、本形態では、上下方向は、磁石保持体5に対するコイル保持体4の相対移動方向である第1方向となっている。また、上下方向に直交する方向は、扁平な略円柱状に形成されるアクチュエータ1の径方向と一致している。
【0025】
コイル保持体4は、駆動用コイル2が巻回されるコイルボビン7と、磁石保持体5の外部に配置される外部配置部としての外部配置部材8とを備えている。コイルボビン7および外部配置部材8は、樹脂材料で形成されている。
【0026】
コイルボビン7は、その内周側が上下方向に貫通する略筒状の筒部7aと、筒部7aの下端面から下方向へ突出する突出部7bとを備えている。本形態の筒部7aは、扁平な略円筒状に形成されている。略円筒状に形成される筒部7aの径方向とアクチュエータ1の径方向(すなわち、上下方向に直交する方向)とは一致している。以下の説明では、この方向を「径方向」とする。
【0027】
筒部7aの上端には、径方向の外側へ広がる鍔部7cが形成され、筒部7aの下端には、径方向の外側へ広がる鍔部7dが形成されている。すなわち、上下方向における駆動用コイル2の両外側には、鍔部7c、7dが形成されている。筒部7aの外周側の、鍔部7cと鍔部7dとの間には、駆動用コイル2が巻回されている。駆動用コイル2は、筒部7aの外周面に沿って巻回されており、略円筒状に巻回されている。
【0028】
鍔部7cは、円環状に形成されている。鍔部7dは、その左端側に切欠き7eを有する略円環状に形成されている。鍔部7cの外径と鍔部7dの外径とは等しくなっている。また、鍔部7c、7dは、駆動用コイル2よりも径方向の外側へ広がるように形成されている。板バネ6を構成する後述のコイル側固定部6aが取り付けられる前の鍔部7dの下面には、コイル側固定部6aを溶着固定するための3個の突起部7fが形成されている(図6参照)。突起部7fは、鍔部7dの下面から下側へ突出するように形成されている。
【0029】
突出部7bは、径方向において、略筒状に形成される筒部7aに架け渡されるように形成されている。具体的には、図6に示すように、略筒状に形成される筒部7aに左右方向で架け渡されるように形成されている。この突出部7bは、鍔部7dの下面から下方向へ突出する4本の柱部7gと、4本の柱部7gの下端が繋がる連結部7hとを備えている。4本の柱部7gのうちの2本の柱部7gは、鍔部7dの右端側に配置されている。この2本の柱部7gは、鍔部7dの周方向において、所定の間隔をあけた状態で配置されている。残りの2本の柱部7gは、鍔部7dの左端側に配置されている。この2本の柱部7gは、鍔部7dの周方向において、所定の間隔をあけた状態で配置されている。鍔部7dの周方向において、この2本の柱部7gの間には、切欠き7eが形成されている。
【0030】
連結部7hは、上下方向に直交する平板状に形成されている。連結部7hの前後の両端面は、前後方向に直交している。連結部7hの左右の両端側には、左右方向の内側へ窪む略半円弧状の切欠き7jが形成されている。切欠き7jの前後の両側部分には、柱部7gの下端が繋がっている。また、連結部7hの右端側には、切欠き7jに繋がるように直線状の切欠き7mが形成されている。切欠き7mは、左右方向における連結部7hの略中心まで形成されている。連結部7hの下面(すなわち、突出部7bの下面)は、上下方向に直交する平面状の平面部7kとなっている。
【0031】
突出部7bの左端側には、駆動用コイル2の両端部のそれぞれが巻回される2本の端子ピン7pが形成されている。端子ピン7pは、平面部7kから下側へ突出するように形成されている。また、2本の端子ピン7pは、左側に配置される切欠き7jの前後方向の両側に形成されている。筒部7aに巻回される駆動用コイル2の両端側は、切欠き7eを利用して、端子ピン7pまで引き回されている。端子ピン7pには、フレキシブルプリント基板10が接続されている。
【0032】
外部配置部材8は、略円板状に形成されている。外部配置部材8の上面には、コイルボビン7の切欠き7mに係合する係合部8aが上側に突出するように形成されている。外部配置部材8は、突出部7bに固定されている。具体的には、外部配置部材8は、突出部7bの平面部7kと外部配置部材8の上面とが当接し、かつ、係合部8aが切欠き7mに係合した状態で突出部7bに固定されている。外部配置部材8は、アクチュエータ1の下端面を構成している。外部配置部材8の左端側には、端子ピン7pおよびフレキシブルプリント基板10との干渉を防止するための切欠き8bが形成されている。
【0033】
磁石保持体5は、磁石保持体5の上端面を構成する第2端面部としての端面部5aと、磁石保持体5の下端面を構成する第1端面部としての端面部5bと、径方向における磁石保持体5の外周面を構成する側面部5cとから構成されている。本形態では、端面部5a、5bは略円板状に形成され、側面部5cは略円筒状に形成されており、磁石保持体5は、上端面および下端面を有する略有底円筒状に形成されている。磁石保持体5の外径と外部配置部材8の外径とはほぼ等しくなっている。
【0034】
端面部5aは、アクチュエータ1の上端面を構成し、側面部5cは、径方向におけるアクチュエータ1の外周面を構成している。磁石保持体5は、突出部7bの下端側の一部を除くコイルボビン7の全体と、駆動用コイル2と、駆動用磁石部3とを覆っている。すなわち、端面部5a、5bは、上下方向において駆動用コイル2および駆動用磁石部3よりも外側に配置され、側面部5cは、駆動用コイル2および駆動用磁石部3の外周側を囲むように配置されている。
【0035】
また、磁石保持体5は、端面部5aを構成するとともに側面部5cの一部を構成するケース11と、端面部5bを構成するとともに側面部5cの一部を構成するケース12とによって構成されている。ケース11、12は、軟磁性材料で形成されている。また、ケース11、12は、略有底円筒状に形成されており、ケース11とケース12とが上下方向で組み合わされることで、磁石保持体5が構成されている。本形態では、磁石保持体5自体がケース体となっている。
【0036】
ケース11は、端面部5aを構成する端面部11aと、側面部5cの上端側部分を構成する側面部11bとから構成されている。端面部11aは略円板状に形成され、側面部11bは略円筒状に形成されている。端面部11aには、駆動用磁石部3を構成する後述の軸18の上端側が挿入される軸挿入孔11cが形成されている。軸挿入孔11cは、端面部11aの中心に形成されている。また、軸挿入孔11cは、上下方向で端面部11aを貫通する丸孔状に形成されている。
【0037】
ケース11の内周側には、樹脂材料で形成されるスペーサ13が固定されている。スペーサ13は、略円筒状に形成されている。スペーサ13の外径は、側面部11bの内径と略等しくなっている。スペーサ13の内径は、コイルボビン7の鍔部7c、7dの外径よりも大きくなっている。スペーサ13は、その上端面と端面部11aの下面とが当接した状態でケース11の内周側に配置されている。
【0038】
ケース12は、端面部5bを構成する端面部12aと、側面部5cの下端側部分を構成する側面部12bとから構成されている。端面部12aは略円板状に形成され、側面部12bは略円筒状に形成されている。端面部12aの外径は、端面部11aの外径と等しくなっている。側面部12bの内径および外径のそれぞれは、側面部11bの内径および外径のそれぞれと等しくなっている。端面部12aには、開口部12cが形成されている。
【0039】
開口部12cは、上下方向で端面部12aを貫通するように形成されている。また、開口部12cは、端面部12aの右端側から左端側まで形成されている。開口部12cの前後の縁は、前後方向と直交している。開口部12cの左右の縁は、略円弧状に形成されている。開口部12cには、突出部7bの一部が配置されている。突出部7bは、開口部12cに挿通されており、突出部7bの下端側の一部は、端面部12aよりも下側へ突出している。
【0040】
上述のように、ケース11とケース12とが上下方向で組み合わされることで、磁石保持体5が構成されている。すなわち、ケース11の側面部11bの下端側と、ケース12の側面部12bの上端側とが互いに固定されることで、磁石保持体5が構成されている。本形態では、板バネ6を構成する後述の磁石側固定部6bを側面部11bの下端と側面部12bの上端との間に挟んだ状態で、側面部11bの下端側と側面部12bの上端側とが溶接されて固定されることで、磁石保持体5が構成されている。
【0041】
駆動用磁石部3は、扁平な円柱状に形成されており、コイルボビン7の筒部7aの内周側に配置されている。すなわち、駆動用磁石部3は、駆動用コイル2の内周側に配置されており、駆動用コイル2は、駆動用磁石部3の外周側の全周を囲むように配置されている。この駆動用磁石部3は、上下方向で重なるように配置される2個の駆動用磁石片16と、軟磁性材料で形成される磁性片17と、駆動用磁石部3の中心部分を構成する軸18とを備えている。
【0042】
駆動用磁石片16および磁性片17は、平板状に形成されている。また、駆動用磁石片16および磁性片17は、円環状に形成されている。すなわち、駆動用磁石片16および磁性片17の中心には、上下方向に貫通する貫通孔16a、17aが形成されている。貫通孔16aの内径と貫通孔17aの内径とは等しくなっている。また、駆動用磁石片16の外径と磁性片17の外径とは等しくなっている。
【0043】
磁性片17は、上下方向において、2個の駆動用磁石片16の間に配置されている。また、上側に配置される駆動用磁石片16の下面と磁性片17の上面とが接触した状態で、上側に配置される駆動用磁石片16と磁性片17とが固定され、下側に配置される駆動用磁石片16の上面と磁性片17の下面とが接触した状態で、下側に配置される駆動用磁石片16と磁性片17とが固定されている。すなわち、磁性片17は、2個の駆動用磁石片16と接触した状態で2個の駆動用磁石片16に固定されている。
【0044】
駆動用磁石片16は、その上面の磁極とその下面の磁極とが異なる磁極となるように着磁されている。また、2個の駆動用磁石片16は、その対向面が同じ磁極となるように配置されている。すなわち、駆動用磁石片16同士の対向面は、同じ磁極に着磁されている。たとえば、上側に配置される駆動用磁石片16の下面および下側に配置される駆動用磁石片16の上面は、N極に着磁されている。そのため、上下方向における駆動用磁石部3の中心部分から、磁力線の向きが放射状に広がる磁界が発生している。
【0045】
軸18は、駆動用磁石片16および磁性片17の貫通孔16a、17aに挿入されて固定されている。軸18の上端側は、上側に配置される駆動用磁石片16の上端面よりも上側に突出している。この軸18の上端側は、ケース11の端面部11aに形成される軸挿入孔11cに挿入されて固定されている。
【0046】
駆動用磁石部3は、上下方向において、端面部5aと端面部5bとの間に配置されている。駆動用磁石部3の上端面は、端面部5aの下面(すなわち、ケース11の端面部11aの下面)と接触しており、端面部5aの下面に固定されている。一方、駆動用磁石部3の下端面と、端面部5bの下面(すなわち、ケース12の端面部12aの上面)との間には、わずかな隙間が形成されている。
【0047】
本形態では、駆動用コイル2の下端が、下側に配置される駆動用磁石片16の上端よりも上側へ移動することがなく、かつ、駆動用コイル2の上端が、上側に配置される駆動用磁石片16の下端よりも下側へ移動することがないように、駆動用磁石部3および駆動用コイル2が形成され、配置されている。上述のように、駆動用磁石片16同士の対向面が同じ磁極に着磁されているため、駆動用磁石部3から駆動用コイル2を通過する磁界が発生している。
【0048】
板バネ6は、コイル保持体4に固定されるコイル側固定部6aと、磁石保持体5に固定される磁石側固定部6bと、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとを繋ぐ複数の腕部6cとを備えている。本形態の板バネ6は、3本の腕部6cを備えている。コイル側固定部6aおよび磁石側固定部6bは、略円環状に形成されている。コイル側固定部6aは、磁石側固定部6bよりも径方向の内側に配置されている。腕部6cは、略円弧状に形成されており、径方向において、コイル側固定部6aと磁石側固定部6bとの間に配置されている。
【0049】
コイル側固定部6aは、鍔部7dの下面に固定されている。本形態では、3個の突起部7fを利用した溶着によって、コイル側固定部6aが鍔部7dの下面に固定されている。磁石側固定部6bは、ケース11の側面部11bの下端とケース12の側面部12bの上端との間に挟まれた状態で、側面部11bの下端と側面部12bの上端との間に固定されている。
【0050】
上述のように、外部配置部材8は、突出部7bの平面部7kと外部配置部材8の上面とが当接するように突出部7bに固定されている。また、上述のように、突出部7bの下端側の一部は、端面部12aよりも下側へ突出している。すなわち、外部配置部材8は、端面部12a(端面部5b)よりも下側に配置されており、外部配置部材8は、磁石保持体5の外部に配置されている。また、外部配置部材8は、上下方向において所定の隙間を介して端面部5bと対向している。外部配置部材8と端面部5bとの隙間は、磁石保持体5の周方向の全域に亘って形成されている。具体的には、外部配置部材8および端面部5bの外周側において、外部配置部材8と端面部5bとの隙間は、磁石保持体5の周方向の全域に亘って形成されている。
【0051】
端面部5bと外部配置部材8との隙間には、粘弾性を有する緩衝材21が配置されている。緩衝材21は、たとえば、シリコーン系の粘弾性組成物によって形成されており、コイル保持体4または磁石保持体5の振動を減衰させる機能を果たしている。緩衝材21の上面は、端面部5bの下面に付着し、緩衝材21の下面は、外部配置部材8の上面に付着している。
【0052】
緩衝材21は、外部配置部材8および端面部5bの外周側において、端面部5bと外部配置部材8との隙間に配置されている。本形態では、磁石保持体5の周方向において所定の間隔をあけた状態で、複数の緩衝材21が端面部5bと外部配置部材8との隙間に配置されている。たとえば、軸18の軸中心に対して120°ピッチで、3個の緩衝材21が端面部5bと外部配置部材8との隙間に配置されている。また、粘弾性を有する緩衝材21のバネ定数は、板バネ6のバネ定数よりも小さくなっている。
【0053】
本形態では、駆動用コイル2に電流が供給されていない状態では、図3に示すように、コイルボビン7の鍔部7cの上面と端面部5aの下面との間に隙間が形成され、板バネ6のコイル側固定部6aの下面と端面部5bの上面との間にも隙間が形成されている。この状態で、所定方向へ流れる電流が駆動用コイル2に供給されると、図4に示すように、コイル保持体4が磁石保持体5に対して上方向へ相対移動し、逆方向へ流れる電流が駆動用コイル2に供給されると、コイル保持体4が磁石保持体5に対して下方向へ相対移動する。
【0054】
磁石保持体5に対するコイル保持体4の上下方向の相対移動範囲は、端面部5a、5bによって規制されている。具体的には、コイルボビン7の鍔部7cと端面部5aとによって、磁石保持体5に対するコイル保持体4の上方向の相対移動範囲が規制され、コイル側固定部6aと端面部5bとによって、磁石保持体5に対するコイル保持体4の下方向の相対移動範囲が規制されている。
【0055】
本形態では、端面部5a、5bによって規制される磁石保持体5に対するコイル保持体4の上下方向の相対移動可能量は、緩衝材21の伸縮可能量よりも小さくなっている。また、本形態では、図3に示すように、駆動用コイル2に電流が供給されていないときの、鍔部7cの上面と端面部5aの下面との上下方向の距離L1およびコイル側固定部6aの下面と端面部5bの上面との上下方向の距離L2よりも、端面部5bの下面と外部配置部材8の上面との上下方向の距離L3の方が大きくなっている。そのため、磁石保持体5に対するコイル保持体4の上下方向の相対移動範囲内において、端面部5bと外部配置部材8との間には、常に隙間が形成されている。
【0056】
アクチュエータ1では、たとえば、コイル保持体4に動作対象物が取り付けられ、磁石保持体5が上位装置に取り付けられる。この場合には、突出部7bの平面部7kに動作対象物が取り付けられる。あるいは、コイル保持体4が上位装置に取り付けられ、磁石保持体5に動作対象物が取り付けられる。この場合には、平面部7kが上位装置に取り付けられる。
【0057】
アクチュエータ1の製造時には、まず、駆動用磁石部3およびスペーサ13がケース11に固定され、駆動用コイル2が巻回されるとともに板バネ6のコイル側固定部6aが固定されたコイルボビン7が駆動用磁石部3の外周側に配置される。その後、ケース11の側面部11bの下端とケース12の側面部12bの上端との間に板バネ6の磁石側固定部6bを挟んだ状態で、ケース11とケース12とを固定する。その後、コイルボビン7の突出部7bに外部配置部材8を固定する。その後、駆動用コイル2に電流が供給されていない状態で、端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21を塗布して配置する。
【0058】
すなわち、アクチュエータ1の製造時には、駆動用コイル2と駆動用磁石部3とが磁石保持体5の内部に配置され、コイルボビン7と磁石保持体5とが板バネ6で繋がれるとともに、外部配置部材8が突出部7bに固定された状態で、かつ、駆動用コイル2に電流が供給されていない状態で、端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21を塗布する。
【0059】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、磁石保持体5の下端面を構成する端面部5bと、磁石保持体5の外部に配置される外部配置部材8との隙間に緩衝材21が配置されている。そのため、本形態では、駆動用コイル2と駆動用磁石部3とが磁石保持体5の内部に配置され、コイルボビン7と磁石保持体5とが板バネ6で繋がれるとともに、外部配置部材8が突出部7bに固定された状態でも、端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21を塗布することができる。すなわち、アクチュエータ1の組立が完了した後であっても、端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21を塗布することができる。したがって、本形態では、緩衝材21を容易に塗布することが可能になる。
【0060】
また、本形態では、アクチュエータ1の組立が完了した後に、端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21を塗布することが可能になるため、アクチュエータ1の組立完了後に、緩衝材21の塗布量を調整することが可能になる。すなわち、本形態では、アクチュエータ1の動作を確認しつつ、緩衝材21の塗布量を調整することが可能になる。なお、緩衝材21の塗布量を減らせば、駆動用コイル2に供給される電流の値が低くても、磁石保持体5に対してコイル保持体4を相対移動させることが可能になる。また、緩衝材21の塗布量を増やせば、コイル保持体4または磁石保持体5の振動を短時間で減衰させることが可能になる。
【0061】
本形態では、上下方向における端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21が配置されており、磁石保持体5に対するコイル保持体4の相対移動方向と、磁石保持体5に対してコイル保持体4が相対移動したときの緩衝材21の伸縮方向とが一致している。そのため、本形態では、緩衝材21の塗布量のばらつきに起因するコイル保持体4または磁石保持体5の振幅の変動を抑制することが可能になる。また、本形態では、上下方向における端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21が配置されているため、緩衝材21の塗布量を増やすことが可能になる。したがって、本形態では、端面部5bと外部配置部材8との隙間から緩衝材21が脱落するのを防止することが可能になる。
【0062】
本形態では、端面部5a、5bによって規制される磁石保持体5に対するコイル保持体4の上下方向の相対移動可能量は、緩衝材21の伸縮可能量よりも小さくなっている。そのため、本形態では、アクチュエータ1に落下等の衝撃が加わって緩衝材21が伸びても、端面部5bおよび外部配置部材8からの緩衝材21の剥がれや、緩衝材21の断裂を防止することが可能になる。また、本形態では、磁石保持体5に対するコイル保持体4の上下方向の相対移動範囲内において、端面部5bと外部配置部材8との間に、常に隙間が形成されているため、アクチュエータ1に落下等の衝撃が加わって緩衝材21が縮んでも、端面部5bと外部配置部材8との間の隙間を利用して、緩衝材21の変形した部分を逃がすことが可能になる。
【0063】
本形態では、板バネ6のバネ定数は、緩衝材21のバネ定数よりも大きくなっている。そのため、本形態では、磁石保持体5に対するコイル保持体4の相対移動特性に対する緩衝材21の影響を低減することが可能になる。したがって、本形態では、磁石保持体5に対してコイル保持体4を適切に相対移動させることが可能になる。また、本形態では、外部配置部材8と端面部5bとの隙間が磁石保持体5の周方向の全域に亘って形成されているため、1箇所に塗布される緩衝材21の塗布量を変更しなくても、緩衝材21の塗布箇所を増やしたり、減らしたりすることで、コイル保持体4または磁石保持体5の振動の減衰特性を調整することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0065】
上述した形態では、磁石保持体5自体が、ケース11とケース12とから構成されるケース体となっているが、磁石保持体5は、ケース11とケース12とから構成されるケース体以外の構成を備えていても良い。また、上述した形態では、駆動用磁石片16および磁性片17は、円環状に形成されており、その中心に形成される貫通孔16a、17aに軸18が挿入されて固定されているが、駆動用磁石片16および磁性片17は、円板状に形成されても良い。この場合には、駆動用磁石部3は、軸18を備えていなくても良い。
【0066】
上述した形態では、アクチュエータ1は、略円柱状に形成されている。この他にもたとえば、アクチュエータ1は、四角柱状等の多角柱状に形成されても良い。この場合には、たとえば、コイルボビン7の筒部7aは、アクチュエータ1の形状に応じた略多角筒状に形成され、駆動用磁石部3は、アクチュエータ1の形状に応じた多角板状に形成される。また、上述した形態では、2個の駆動用磁石片16の間に磁性片17が配置されているが、2個の駆動用磁石片16の間に磁性片17が配置されずに、2個の駆動用磁石片16の間に隙間が形成されても良いし、2個の駆動用磁石片16の対向面が当接していても良い。
【0067】
なお、上述した形態では、端面部5bと外部配置部材8との隙間に緩衝材21が配置されているが、緩衝材21に代えて、図3の二点鎖線で示すように、板バネ6のコイル側固定部6aと駆動用磁石部3の外周面とに付着するように緩衝材25を配置することも可能である。また、緩衝材21に代えて、径方向におけるコイルボビン7の筒部7aと駆動用磁石部3との間に緩衝材を配置することも可能であるし、径方向におけるコイルボビン7の鍔部7cまたは駆動用コイル2とスペーサ13との間に緩衝材を配置することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 アクチュエータ
2 駆動用コイル
3 駆動用磁石部
4 コイル保持体
5 磁石保持体(ケース体)
5a 端面部(第2端面部)
5b 端面部(第1端面部)
5c 側面部
6 板バネ
7a 筒部
7b 突出部
8 外部配置部材(外部配置部)
12c 開口部
16 駆動用磁石片
21緩衝材
Z 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6