特許第6242203号(P6242203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6242203シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242203
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/12 20060101AFI20171127BHJP
   F23C 3/00 20060101ALI20171127BHJP
   F23D 14/66 20060101ALI20171127BHJP
   F23L 15/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F23D14/12 A
   F23C3/00 301
   F23D14/66 C
   F23L15/02
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-259215(P2013-259215)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-114092(P2015-114092A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】柴田 侑希
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−145915(JP,A)
【文献】 特開2003−254509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 3/00
F23D 14/12
F23D 14/66
F23L 15/00 − 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が閉塞した外管と、
前記外管内に軸心を沿わせた姿勢で配設され且つ先端が開口した内管と、
前記外管と前記内管との間の外側燃焼空間にガス燃料を供給する外側用燃料供給部と、
前記内管内にガス燃料を供給する内側用燃料供給部と、
内部に外側用蓄熱体を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための外側用給排気口を有して、前記外側燃焼空間の基端側に連通する状態で配設された外側用蓄熱部と、
内部に内側用蓄熱体を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための内側用給排気口を有して、前記内管の基端側に連通する状態で配設された内側用蓄熱部とを備えたシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置であって、
前記内管が、前記外管の基端から当該外管の軸心方向後方側に突出する状態で配設されるように構成され、
前記外側用蓄熱部が、前記内管における前記外管の基端から前記軸心方向後方側に突出した突出部分の外周部に配設され、
前記内側用蓄熱部が、前記内管の基端から前記軸心方向後方側に延びる状態で配設され
前記外側用蓄熱部が、前記内管の外周部における周方向の一部分に、前記外管の管壁よりも径方向内方に入り込む形態で、前記外側用蓄熱部が存在しない外側蓄熱部不存在部を形成する状態で、前記内管の前記突出部分の外周部に配設され、
前記外側用燃料供給部が、前記外側蓄熱部不存在部を介して設けられるシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置。
【請求項2】
前記外側用蓄熱部が、前記外側用蓄熱体を収容する外側用収容室を形成する外側用収容室形成体を備えて構成され、
前記外側用収容室形成体が、前記外側用収容室を前記外管内に連通させた状態で、前記外管の基端に接続するための対外管接続部と、前記外管の基端開口に対向する状態の後壁とを備え、当該後壁に前記内管を挿通するための内管挿通孔が設けられ、
前記内側用蓄熱部が、前記内側用蓄熱体を収容する内側用収容室を形成する内側用収容室形成体を備えて構成され、
前記内側用収容室形成体が、前記内側用収容室を前記内管内に連通させた状態で、前記内管の基端又は前記外側用収容室形成体の前記後壁に接続するための対内管基端側接続部と、前記内管の基端開口に対向する状態の後壁とを備え、
前記内管が、前記外側用収容室形成体の前記内管挿通孔に挿通された状態で配設される請求項1に記載のシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置。
【請求項3】
前記外側用燃料供給部が、複数の燃料噴出孔を周方向に並ぶ状態で有して、前記外管と前記内管との間の環状の前記外側燃焼空間に配設される環状の外側用燃焼ヘッドと、当該外側用燃焼ヘッドにガス燃料を供給する外側用燃料供給管とを備えて構成され、
前記外側用燃料供給管が、前記外側蓄熱部不存在部を介して設けられる請求項1又は2に記載のシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置。
【請求項4】
前記外管の基端開口縁と前記内管の外周面との間の環状の開口部における前記外側蓄熱部不存在部に対応する部分を閉塞する閉塞板に、前記外管の内部を露呈させる検査孔が設けられている請求項1〜3のいずれか1項に記載のシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置。
【請求項5】
前記外側蓄熱部不存在部が、前記内管の周方向に間隔を開けた2箇所に設けられ、
前記外側用燃料供給管が、一方の前記外側蓄熱部不存在部を介して設けられ、
前記検査孔が、他方の前記外側蓄熱部不存在部に対応する前記閉塞板に設けられている請求項4に記載のシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端が閉塞した外管と、前記外管内に軸心を沿わせた姿勢で配設され且つ先端が開口した内管と、前記外管と前記内管との間の外側燃焼空間にガス燃料を供給する外側用燃料供給部と、前記内管内にガス燃料を供給する内側用燃料供給部と、内部に外側用蓄熱体を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための外側用給排気口を有して、前記外側燃焼空間の基端側に連通する状態で配設された外側用蓄熱部と、内部に内側用蓄熱体を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための内側用給排気口を有して、前記内管の基端側に連通する状態で配設された内側用蓄熱部とを備えたシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置(以下、燃焼装置と略記する場合がある)は、例えば、金属溶解用、熱処理用等の工業炉の熱源として用いられるものである。即ち、外側用燃料供給部と内側用燃料供給部とに交互にガス燃料が供給されるようにガス燃料供給を切り換えると共に、そのガス燃料供給の切り換えに合わせて、外側用燃料供給部にガス燃料が供給される状態では、外側用給排気口に燃焼用酸素含有ガスを給気させ且つ内側用給排気口からは燃焼ガスを排気させるように、内側用燃料供給部にガス燃料が供給される状態では、内側用給排気口に燃焼用酸素含有ガスを給気させ且つ外側用給排気口からは燃焼ガスを排気させるように給排気状態を切り換える。このようにガス燃料供給の切り換えに合わせて、給排気状態を切り換えることにより、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体に燃焼ガスを通過させて外側用蓄熱体や内側用蓄熱体に蓄熱すると共に、そのように蓄熱した外側用蓄熱体や内側用蓄熱体に燃焼用酸素含有ガスを通過させて燃焼用酸素含有ガスを予熱しながら、外側用燃料供給部と内側用燃料供給部とで交互にガス燃料を燃焼させるようになっている。
【0003】
このような燃焼装置において、従来は、内管が、外管の基端から当該外管の軸心方向後方側に突出する状態で配設され、外管の基端開口が外側用給排気口とされると共に、外管内の基端側の部分に外側用蓄熱体が収容され、又、内管の基端開口が内側用給排気口とされると共に、内管内において、外管内の外側用蓄熱体に覆われた部分に、内側用蓄熱体が収容されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−83414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃焼装置の排熱損失を低減すべく、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体によって燃焼ガスから回収する熱量を増大させるには、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体の体積を増大させることになる。
一方、外管や内管の径、外管や内管における炉内に位置させる部分の長さは、燃焼装置に要求される最大燃焼量等により決まる。
従って、従来の燃焼装置では、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体の体積を増大させるには、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体における外管の軸心方向に沿う方向での長さを長くせざるを得ない。そのためには、外管における外側用蓄熱体を収容する部分や内管における内側用蓄熱体を収容する部分の長さを長くする必要があるので、燃焼装置において外側用蓄熱体と内側用蓄熱体とを収容する部分(以下、蓄熱体収容部分と記載する場合がある)における外管の軸心方向に沿う方向での長さ(以下、奥行きと記載する場合がある)が長くなるという問題があった。
【0006】
尚、燃焼装置を炉に設置するに当たっては、燃焼装置において外側用蓄熱体や内側用蓄熱体が存在している部分を炉壁外に位置させる状態で設置することになる。
そして、燃焼装置を炉に設置した状態では、燃焼装置において炉壁外に突出する部分が、炉の周辺に燃焼装置以外の装置を設置したり、炉の周辺で作業する際の障害となるので、燃焼装置を炉に設置するに当たって炉の周辺で確保すべきスペースの広さは、炉壁に対して手前方向での長さが支配的となる。
従って、蓄熱体収容部分の奥行きが長くなると、炉に設置した状態では、燃焼装置において炉壁外に突出する部分の長さが長くなるので、燃焼装置を炉に設置するために炉の周辺で確保すべきスペースが広くなり、改善が望まれていた。
【0007】
更に、従来の燃焼装置では、外管の内部に外側用蓄熱体を収容し、内管の内部に内側用蓄熱体を収容する構成であることから、外管の内部及び内管の内部に、蓄熱体を収容するための仕切りを設けて蓄熱体を収容する必要がある等、各部材の組み立て構成が複雑化するという問題もあった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄熱体収容部分の長尺化の回避及び組み立て構成の簡略化を図りながら、排熱損失を低減し得るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置は、先端が閉塞した外管と、
前記外管内に軸心を沿わせた姿勢で配設され且つ先端が開口した内管と、
前記外管と前記内管との間の外側燃焼空間にガス燃料を供給する外側用燃料供給部と、
前記内管内にガス燃料を供給する内側用燃料供給部と、
内部に外側用蓄熱体を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための外側用給排気口を有して、前記外側燃焼空間の基端側に連通する状態で配設された外側用蓄熱部と、
内部に内側用蓄熱体を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための内側用給排気口を有して、前記内管の基端側に連通する状態で配設された内側用蓄熱部とを備えたものであって、
第1特徴構成は、前記内管が、前記外管の基端から当該外管の軸心方向後方側に突出する状態で配設されるように構成され、
前記外側用蓄熱部が、前記内管における前記外管の基端から前記軸心方向後方側に突出した突出部分の外周部に配設され、
前記内側用蓄熱部が、前記内管の基端から前記軸心方向後方側に延びる状態で配設され
前記外側用蓄熱部が、前記内管の外周部における周方向の一部分に、前記外管の管壁よりも径方向内方に入り込む形態で、前記外側用蓄熱部が存在しない外側蓄熱部不存在部を形成する状態で、前記内管の前記突出部分の外周部に配設され、
前記外側用燃料供給部が、前記外側蓄熱部不存在部を介して設けられている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、排熱損失を低減すべく、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体の体積を増大させるには、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体における外管の径方向に沿う方向での長さを長くすれば良く、軸心方向に沿う方向での長さを長くする必要がないので、蓄熱体収容部分の奥行きが長くなるのを回避することができる。
ちなみに、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体における外管の径方向に沿う方向での長さを長くしても、燃焼装置を炉に設置した状態では、燃焼装置において炉壁外に突出する部分が太くなるだけであり、長くなることはないので、燃焼装置を炉に設置するために炉の周辺で確保すべきスペースが広くなるのを回避することができる。
更に、外側用蓄熱体や内側用蓄熱体は、外管及び内管の外部に配設する構成であるので、各部材を組み立てる構成を簡略化することができる。
従って、蓄熱体収容部分の長尺化の回避及び組み立て構成の簡略化を図りながら、排熱損失を低減し得るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置を提供することができる。
また、外側用蓄熱部が、内管における外管の基端からの突出部分の外周部に配設されるにしても、内管の外周部における周方向の一部分に、外側蓄熱部不存在部が形成され、その外側蓄熱部不存在部を介して、外側用燃料供給部が設けられるので、外側用燃料供給部を設けるための構成を簡略化することができる。
ちなみに、外側用蓄熱部を、外側蓄熱部不存在部を形成しない状態で、内管の突出部分の外周部にその全周にわたって配設するように構成すると、外側用燃料供給部は、例えば、外側用蓄熱部を貫通させて設ける必要がある等、外側用燃料供給部を設けるための構成が複雑化する。
従って、外側用燃料供給部の設置構成の簡略化による製造コストの低減により、シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の更なる低廉化を図ることができる。
【0011】
第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記外側用蓄熱部が、前記外側用蓄熱体を収容する外側用収容室を形成する外側用収容室形成体を備えて構成され、
前記外側用収容室形成体が、前記外側用収容室を前記外管内に連通させた状態で、前記外管の基端に接続するための対外管接続部と、前記外管の基端開口に対向する状態の後壁とを備え、当該後壁に前記内管を挿通するための内管挿通孔が設けられ、
前記内側用蓄熱部が、前記内側用蓄熱体を収容する内側用収容室を形成する内側用収容室形成体を備えて構成され、
前記内側用収容室形成体が、前記内側用収容室を前記内管内に連通させた状態で、前記内管の基端又は前記外側用収容室形成体の前記後壁に接続するための対内管基端側接続部と、前記内管の基端開口に対向する状態の後壁とを備え、
前記内管が、前記外側用収容室形成体の前記内管挿通孔に挿通された状態で配設される点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、外側用収容室形成体を、その対外管接続部により外管の基端に接続し、次に、内管を、外側用収容室形成体の後壁の内管挿通孔に挿通した状態で配設し、次に、内側用収容室形成体を、その対内管基端側接続部により、内管の基端又は外側用収容室形成体の後壁に接続するという簡略な手順で、外管、外側用収容室形成体、内管及び内側用収容室形成体の各部材を組み付けることにより、燃焼装置を組み立てることができる。
そして、このような手順で各部材を組み付けることにより、外側用蓄熱部が、内管における外管の基端からの突出部分の外周部に配設され、内側用蓄熱部が、内管の基端から軸心方向後方側に延びる状態で配設されることになる。
従って、各部材の組み立て構成の更なる簡略化による製造コストの低減により、シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の低廉化を図ることができる。
【0015】
特徴構成は、上記第1又第2特徴構成に加えて、
前記外側用燃料供給部が、複数の燃料噴出孔を周方向に並ぶ状態で有して、前記外管と前記内管との間の環状の前記外側燃焼空間に配設される環状の外側用燃焼ヘッドと、当該外側用燃焼ヘッドにガス燃料を供給する外側用燃料供給管とを備えて構成され、
前記外側用燃料供給管が、前記外側蓄熱部不存在部を介して設けられる点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、外側用燃料供給部を環状の外側用燃焼ヘッドと外側用燃料供給管とを備えて構成して、外側用燃焼ヘッドを環状の外側燃焼空間に配設し、外側用燃料供給管を外側蓄熱部不存在部を介して設けることにより、外側用燃料供給部を簡単に設けることができる。
そして、環状の外側燃焼空間に対して、環状の外側用燃焼ヘッドの周方向に並ぶ複数の燃料噴出孔からガス燃料を噴出することにより、環状の外側燃焼空間に対して、その周方向に均等化してガス燃料を噴出することができるので、環状の外側燃焼空間において、外側用燃料供給部によってガス燃料を均等に燃焼させることができる。
従って、環状の燃焼空間での燃焼を均等化しながら、シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の更なる低廉化を図ることができる。
【0017】
特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかに加えて、
前記外管の基端開口縁と前記内管の外周面との間の環状の開口部における前記外側蓄熱
部不存在部に対応する部分を閉塞する閉塞板に、前記外管の内部を露呈させる検査孔が設
けられている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、検査孔を通して外管の内部が露呈されるので、その検査孔を介して、外管内や内管内の火炎の検知等、燃焼装置の燃焼状態の検査を行うことができる。
そして、その燃焼状態の検査は、外管の基端開口縁と内管の外周面との間の環状の開口部における外側蓄熱部不存在部に対応する部分を閉塞する閉塞板に、外管の内部を露呈させるように検査孔を形成する簡単な構成により可能となるので、製造コストの低減化を図ることができる。
ちなみに、外側用蓄熱部を、外側蓄熱部不存在部を形成しない状態で、内管の突出部分の外周部にその全周にわたって配設するように構成すると、燃焼状態を検査するための構成として、例えば、外側用蓄熱部を通して外管の内部を露呈させるように構成する必要がある等、燃焼状態を検査するための構成が複雑化する。
従って、燃焼状態の検査機能を備えながらも、シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の更なる低廉化を図ることができる。
【0019】
特徴構成は、上記第特徴構成に加えて、
前記外側蓄熱部不存在部が、前記内管の周方向に間隔を開けた2箇所に設けられ、
前記外側用燃料供給管が、一方の前記外側蓄熱部不存在部を介して設けられ、
前記検査孔が、他方の前記外側蓄熱部不存在部に対応する前記閉塞板に設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、内管の周方向に間隔を開けた2箇所の外側蓄熱部不存在部のうちの一方に外側用燃料供給管を設け、他方に検査孔を設ける構成であることから、外側用燃料供給部及び燃焼状態を検査するための手段を設ける際には、それらが互いに干渉し合うことがないようにすることができるので、それらの設置作業を簡略化して、製造コストの低減化を図ることができる。
従って、燃焼状態の検査機能を備えながらも、シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の更なる低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の断面図
図2】実施形態に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の断面図
図3】実施形態に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の主要部の縦断面図
図4図3のIV−IV矢視図
図5図3のV−V矢視図
図6】実施形態に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の主要部の分解縦断面図
図7】実施形態に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の分解斜視図
図8】別実施形態に係るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置の縦断面図
図9図8のIX−IX矢視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2に示すように、シングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置(以下、単に燃焼装置と略記する場合がある)は、先端が閉塞した円筒状の外管1(所謂、ラジアントチューブ)と、外管1内にそれと同軸心状(即ち、軸心Pを沿わせた姿勢の一例)で配設され且つ先端が開口した円筒状の内管2と、外管1と内管2との間の外側燃焼空間3にガス燃料Gを噴出供給する外側用燃料供給部4と、内管2内の内側燃焼空間5にガス燃料Gを噴出供給する内側用燃料供給部6と、内部に外側用蓄熱体7を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための外側用給排気口8を有して、外側燃焼空間3における基端側に連通する状態で配設された外側用蓄熱部Seと、内部に内側用蓄熱体11を収容し且つ内部に給気させる又は内部から排気させるための内側用給排気口12を有して、内管2の基端側に連通する状態で配設された内側用蓄熱部Siを備えて構成されている。
【0023】
又、この燃焼装置には、当該燃焼装置に燃焼用空気Aを供給する給気ファン21、当該燃焼装置から燃焼ガスEを排出する排気ファン22、及び、給気ファン21により外側用給排気路23を介して外側用給排気口8に燃焼用空気Aを給気させ、且つ、排気ファン22により内側給排気口12から内側用給排気路24を介して燃焼ガスEを排気させる外側給気状態(図1参照)と、給気ファン21により内側用給排気路24を介して内側用給排気口12に燃焼用空気Aを給気させ、且つ、排気ファン22により外側用給排気口8から外側用給排気路23を介して燃焼ガスEを排気させる内側給気状態(図2参照)とに切り換える切換弁25が設けられている。尚、図1及び図2において、燃焼用空気Aの流れを実線の矢印にて示し、燃焼ガスEの流れを破線の矢印にて示す。
更に、外側用燃料供給部4に向けてガス燃料Gを送出する外側用燃料路26、その外側用燃料路26を開閉する外側用燃料弁27、内側用燃料供給部6にガス燃料Gを供給する内側用燃料路28、及び、その内側用燃料路28を開閉する内側用燃料弁29が設けられている。
【0024】
このような燃焼装置は、例えば、外管1をその軸心Pが水平方向に沿う姿勢で炉内に位置させた状態で、炉壁Wに支持されて設けられる。
そして、燃焼装置の運転を制御する制御部(図示省略)により、切換弁25を外側給気状態とし且つ外側用燃料弁27を開弁すると共に内側用燃料弁29を閉弁して、外側用燃料供給部4によりガス燃料Gを燃焼させる外側燃焼状態(図1参照)と、切換弁25を内側給気状態とし且つ外側用燃料弁27を閉弁すると共に内側用燃料弁29を開弁して、内側用燃料供給部6によりガス燃料Gを燃焼させる内側燃焼状態(図2参照)とに交互に切り換えられる。
これによって、外管1から放射される輻射熱により、間接的に炉内が加熱される。
【0025】
図1に示すように、外側燃焼状態では、外側用燃料供給部4からガス燃料Gが外側燃焼空間3に噴出供給されると共に、直前の内側燃焼状態において外側用蓄熱体7が蓄熱状態となっている外側用蓄熱部Seを通過して予熱された燃焼用空気Aが外側燃焼空間3に供給されて、ガス燃料Gが外側燃焼空間3で燃焼し、その燃焼ガスEが外管1の先端で反転して、内管2の先端から内側燃焼空間5に流入してその内側燃焼空間5を基端側に流動し、更に、内側用蓄熱部Siを通過して排気される。そして、燃焼ガスEが内側用蓄熱部Siを通過する際に、その燃焼ガスEの保有熱が内側蓄熱体11に吸熱されて、内側蓄熱体11が蓄熱状態となる。
【0026】
図2に示すように、内側燃焼状態では、内側用燃料供給部6からガス燃料Gが内側燃焼空間5に噴出供給されると共に、直前の外側燃焼状態において内側用蓄熱体11が蓄熱状態となっている内側用蓄熱部Siを通過して予熱された燃焼用空気Aが内側燃焼空間5に供給されて、ガス燃料Gが内側燃焼空間5で燃焼し、その燃焼ガスEが内管2の先端から流出して外管1の先端で反転して、外側燃焼空間3を基端側に流動し、更に、外側用蓄熱部Seを通過して排気される。そして、燃焼ガスEが外側用蓄熱部Seを通過する際に、その燃焼ガスEの保有熱が外側蓄熱体7に吸熱されて、外側蓄熱体7が蓄熱状態となる。
【0027】
図1図3に示すように、本発明では、内管2が、外管1の基端から当該外管1の軸心Pの方向(以下、軸心方向と記載する場合がある)の後方側に突出する状態で配設されるように構成され、外側用蓄熱部Seが、内管2における外管1の基端から軸心方向後方側に突出した突出部分2bの外周部に配設され、内側用蓄熱部Siが、内管2の基端から軸心方向後方側に延びる状態で配設されている。
【0028】
以下、図3図7に基づいて、燃焼装置の各部について、説明を加える。
円筒状の外管1は、基端に、軸心方向に直交する径方向(以下、単に径方向と略記する場合がある)外方に鍔状に突出するフランジ部1aを有する。その外管1のフランジ部1aの軸心方向視での形状は、正方形状である(図7参照)。
内管2は、外管1との間に環状の外側燃焼空間3を形成すべく、外径が外管1の内径よりも小径の円筒状に構成され、その内管2も、基端に、径方向外方に鍔状に突出するフランジ部2aを有する。但し、その内管2のフランジ部2aの軸心方向視での形状は、円形状である(図7参照)。
【0029】
外側用蓄熱部Seは、外側用蓄熱体7を収容する外側用収容室9を形成する外側用収容室形成体10を備えて構成されている。
その外側用収容室形成体10は、筒軸心方向視で、直径方向の両側に筒軸心側に凹む凹み部10bを有する概略鼓形となる筒状に構成され、筒軸心が外管1の軸心Pと同軸心状となる姿勢で配設される。
概略鼓形筒状の外側用収容室形成体10の筒壁において、一対の凹み部10b夫々は、軸心方向に細長い平板状の一対の下がり部分10cと、軸心方向視で円弧状となる曲面状で、一対の下がり部分の下端に跨る底部分10dとから構成され、一対の凹み部10b以外の主要部分は、軸心方向視で円弧状となる曲面状の一対の外郭部分10eにて構成される。例えば、円弧状の底部分10dの中心角は30°程度であり、円弧状の外郭部分10eの中心角は150°程度である。
軸心方向視で円弧状の外郭部分10eの内周面の半径は、外管1の外周面の半径よりもやや大きく設定され(図3参照)、軸心方向視で円弧状の底部分10dの内周面の半径は、外管1の内周面の半径よりも十分に小さく且つ内管2の外周面の半径よりもやや大きく設定される(図4及び図5参照)。
【0030】
つまり、外側用収容室形成体10の筒壁には、軸心方向の全長にわたって延びる溝状の一対の凹み部10bが直径方向の両側に振り分けた状態で設けられる。そして、この外側用収容室形成体10の溝状の一対の凹み部10bの夫々は、外管1の管壁よりも径方向内方に入り込む形態となる。
【0031】
外側用収容室形成体10の先端は全体にわたって開口されると共に、その先端には、開口縁から径方向外方に鍔状に突出するフランジ部10aが設けられている。この外側用収容室形成体10の先端のフランジ部10aの軸心方向視での形状は、外管1の基端のフランジ部1aと略同形の正方形状である(図5及び図7参照)。
そして、外側用収容室形成体10の先端のフランジ部10aを外管1の基端のフランジ部1aに当接した状態で、両フランジ部10a,1aをボルトとナット(図示省略)で接続することにより、外側用収容室9を外管1内に連通された状態で、外側用収容室形成体10が外管1の基端に接続される。
つまり、この外側用収容室形成体10の先端のフランジ部10aにより、外側用収容室9を外管1内に連通させた状態で、外側用収容室形成体10を外管1の基端に接続するための対外管接続部が構成される。
【0032】
又、外側用収容室形成体10の基端は、軸心方向に直交する状態(外管1の基端開口に対向する状態の一例)の後壁10fにて閉塞され、この後壁10fには、内管2を挿通するための内管挿通孔10gが、内管2の外径と略同径で、軸心Pと同心になる状態で設けられている。この外側用収容室形成体10の後壁10fは、開口縁から径方向外方に鍔状に突出する状態に構成され、その後壁10fの軸心方向視での形状は、外管1の基端のフランジ部1aよりも多少小さい正方形状である(図7参照)。
そして、内管2が、外側用収容室形成体10の後壁10fの内管挿通孔10gに挿通して、その基端のフランジ部2aを外側用収容室形成体10の後壁10fに当接した状態で、外管1及び外側収容室形成体10内に同軸心状に配設される。尚、図示を省略するが、内管2のフランジ部2aを外側用収容室形成体10の後壁10fに当接した状態で、両者をボルトとナット(図示省略)で接続することにより、内管2を外側用収容室形成体10に対して固定する。
【0033】
このように内管2が外管1及び外側収容室形成体10内に配設された状態で、概略鼓形筒状の外側用収容室形成体10の内周面と円筒状の内管2の外周面との間に、軸心方向視で概略鼓形の外側用収容室9が形成される。
図4及び図5において具体的に示されるように、内管2の外周面と外側用収容室形成体10の一対の底部分10d夫々の内周面との間には、空隙が形成され、この空隙により、概略鼓形の外側用収容室9の両側の主要部分同士が連通している。
そして、この概略鼓形の外側用収容室9内に、多孔状に構成されて通気自在な外側用蓄熱体7が充填される。
【0034】
管状の外側用給排気口8が、外側用収容室形成体10の筒壁における概略鼓形の外側用収容室9の一方の主要部分に対応する部分に設けられている。
上述のように、概略鼓形の外側用収容室9の両側の主要部分は、内管2の外周面と外側用収容室形成体10の一対の底部分10d夫々の内周面との間の空隙により連通しているので、外側用給排気口8から供給される燃焼用空気Aを、概略鼓形の外側用収容室9の略全域にわたって通流させて、外側燃焼空間3に流入させることができ、又、外側燃焼空間3から流出する燃焼ガスEを、概略鼓形の外側用収容室9の略全域にわたって通流させて外側用給排気口8から排出させることができる。
【0035】
図4及び図5において具体的に示されるように、外側用収容室形成体10のフランジ部10aにおいて、外側用収容室形成体10の一方の凹み部10bに対応する部分には、後述する外側燃料供給部4を構成する外側用燃料供給管4bを挿通するための燃料供給管挿通孔10hが形成され、他方の凹み部10bに対応する部分には、後述する紫外線光電管31を挿通するための光電管挿通孔10iが形成されている。
【0036】
上述したように、外側用収容室形成体10の一対の凹み部10bの夫々は、外管1の管壁よりも径方向内方に入り込む形態となっているので、これら一対の凹み部に10bより、外管1の管壁よりも径方向内方に入り込む形態で、外側用蓄熱部Seが存在しない外側蓄熱部不存在部15が形成されることになる。
つまり、外側用蓄熱部Seが、内管2の外周部における周方向の一部分に、外管1の管壁よりも径方向内方に入り込む形態で、外側用蓄熱部Seが存在しない外側蓄熱部不存在部15を形成する状態で、内管2の突出部分2bの外周部に配設されることになる。
又、外側蓄熱部不存在部15が、内管2の周方向に間隔を開けた2箇所に設けられることになる。ちなみに、この実施形態では、外側蓄熱部不存在部15の設置範囲は、2箇所合わせて、中心角で60°程度の範囲である。
【0037】
外側用燃料供給部4が、複数の燃料噴出孔4cを周方向に並ぶ状態で有して、外管1と内管2との間の環状の外側燃焼空間3に配設される環状の外側用燃焼ヘッド4aと、当該外側用燃焼ヘッド4aにガス燃料を供給する外側用燃料供給管4bとを備えて構成されている。
環状の外側用燃焼ヘッド4aの外径は外管1の内径よりも小径で、内径は内管2の外径よりも大径で、内部が空洞に構成されている。
外側用燃料供給管4bは、その軸心が環状の外側用燃焼ヘッド4aの軸心と略平行になる状態で、外側用燃焼ヘッド4aに連通接続されている。
図示を省略するが、複数の燃料噴出孔4cは、環状の外側用燃焼ヘッド4aの前面部に、外側用燃料供給管4bの接続箇所から遠ざかる位置のものほど大径となる状態で、周方向に並設されている。
これにより、複数の燃料噴出孔4cにより、ガス燃料Gが環状の外側用燃焼ヘッド4aの周方向の全周にわたって略均等に噴出されるように構成されている。
【0038】
そして、外側用燃料供給部4が、環状の外側用燃焼ヘッド4aが環状の外側燃焼空間3に同軸心状に配設され、且つ、外側用燃料供給管4bが外側用収容室形成体10のフランジ部10aの燃料供給管挿通孔10hに挿通された状態で設けられる。
又、外側用収容室形成体10のフランジ部10aの光電管挿通孔10iには、火炎検知用の紫外線光電管31が外側燃焼空間3内に臨ませた状態で設けられる。
このように外側用燃料供給部4が配設された状態では、外側用燃焼ヘッド4aの外周と外管1の内周面との間、及び、外側用燃焼ヘッド4aの内周と内管2の外周面との間に間隙が形成されるので、燃焼用空気Aや燃焼ガスEが環状の外側燃焼空間3を軸心方向に外側用燃焼ヘッド4aを通過して通流可能となる。
【0039】
つまり、外側用燃料供給部4が、外側蓄熱部不存在部15を介して設けられることになる。
具体的には、外側用燃料供給部4の外側用燃料供給管4bが、外側蓄熱部不存在部15を介して設けられることになる。
【0040】
又、外側用収容室形成体10のフランジ部10aが、外管1の基端開口縁と内管2の外周面との間の環状の開口部における外側蓄熱部不存在部15に対応する部分を閉塞する閉塞板に相当し、光電管挿通孔10iが、外管1の内部を露呈させる状態で閉塞板としてのフランジ部10aに設けられた検査孔に相当する。
【0041】
内側用蓄熱部Siは、内側用蓄熱体11を収容する内側用収容室13を形成する内側用収容室形成体14を備えて構成されている。
この内側用収容室形成体14は、円筒状に構成され、筒軸芯が外管1の軸心Pと同軸心状となる姿勢で配設される。
内管2の基端の円形のフランジ部2aの外径は、概略鼓形筒状の外側用収容室形成体10の外郭部分10eの直径よりもやや小さく、円筒状の内側用収容室形成体14の内径は、内管2の基端のフランジ部2aの外径よりもやや大きい(図4参照)。
【0042】
内側用収容室形成体14の先端は全体にわたって開口されると共に、その先端には、開口縁から径方向外方に鍔状に突出するフランジ部14aが設けられている。この内側用収容室形成体14の先端のフランジ部14aの軸心方向視での形状は、外側用収容室形成体10の後壁10fと略同形の正方形状である(図7参照)。
又、内側用収容室形成体14の基端は、軸心方向に直交する状態(内管2の基端開口に対向する状態の一例)の後壁14bにて閉塞され、この後壁14bには、後述する内側用燃料供給部6を構成する内側用燃料供給管6bを挿通するための燃料供給管挿通孔14cが、内側用燃料供給管6bの外径と略同径で、軸心Pと同心になる状態で設けられている。
又、管状の内側用給排気口12が、内側用収容室13に連通する状態で、内側用収容室形成体14に設けられている。
【0043】
そして、内側用収容室形成体14の先端開口部に内管2の基端のフランジ部2aを内装して、内側用収容室形成体14の先端のフランジ部14aを外側用収容室形成体10の後壁10fに当接した状態で、内側用収容室形成体14のフランジ部14aと外側用収容室形成体10の後壁10fとをボルトとナット(図示省略)で接続することにより、内側用収容室13が内管2内に連通された状態で、内側用収容室形成体14が外側用収容室形成体10の後壁10fに接続される。
つまり、この内側用収容室形成体14の先端のフランジ部14aにより、内側用収容室13を内管2内に連通させた状態で、内側用収容室形成体14を外側用収容室形成体10の後壁10fに接続するための対内管基端側接続部が構成される。
【0044】
内側用燃料供給部6は、前面に複数の燃料噴出孔6cを備えた円盤形箱状の内側用燃焼ヘッド6aと、この内側用燃焼ヘッド6aにガス燃料Gを供給する内側用燃料供給管6bとを備えて構成されている。
内側用燃焼ヘッド6aの外径は、内管2の内径よりも小径であり、この内側用燃焼ヘッド6aに、内側燃料供給管6bが、軸心が内側用燃焼ヘッド6aと同軸心になる状態で連通接続されている。
【0045】
そして、内側用燃料供給部6が、内側用燃焼ヘッド6aが、内管2内に配設され、且つ、内側燃料供給管6bが内側用収容室形成体14の後壁14bの燃料供給管挿通孔14cに挿通された状態で設けられる。又、内側用収容室形成体14内に形成される内側用収容室13内に、多孔状に構成されて通気自在な内側用蓄熱体11が充填される。
このように内側用燃料供給部6が配設された状態では、内側用燃焼ヘッド6aの外周と内管2の内周面との間に間隙が形成されるので、燃焼用空気Aや燃焼ガスEが内側燃焼空間5を軸心方向に内側用燃焼ヘッド6aを通過して通流可能となる。
【0046】
次に、図6及び図7に基づいて、燃焼装置の組み立て方法について説明する。
先ず、外側用燃料供給部4を、その外側用燃焼ヘッド4aを外管1内に位置させ、且つ、その外側用燃料供給管4bの基端部を外管1の基端から突出させた状態で、外管1内に配置する。
次に、内部に外側用蓄熱体7(図6及び図7では図示省略)を収容した外側用収容室形成体10を、そのフランジ部10aの燃料供給管挿通孔10hに外側用燃料供給管4bを挿通させて、そのフランジ部10aを外管1のフランジ部1aに当接させた状態で配置して、それらフランジ部10a,1aをボルトとナットで締め付けることにより、外側用収容室形成体10を外管1の基端に接続する。
【0047】
次に、内管2を外側用収容室形成体10の後壁10fの内管挿通孔10gに挿通して、そのフランジ部2aを外側用収容室形成体10の後壁10fに当接させた状態で配置し、両者をボルトとナットで締め付けることにより、内管2を外側用収容室形成体10に対して固定する。
次に、内側用収容室形成体14の内部に内側用蓄熱体11(図6及び図7では図示省略)を収容すると共に、内側用燃料供給部6を、その内側用燃料供給管6bを内側用収容室形成体14の燃料供給管挿通孔14cに挿通した状態で、内側用収容室形成体14に支持する。
そして、内側用燃焼ヘッド6aを内管2の基端開口から挿通して内管2内の所定の箇所に位置させると共に、内管2のフランジ部2aを内側用収容室形成体14の先端開口部に内装して、内側用収容室形成体14のフランジ部14aを外側用収容室形成体10の後壁10fに当接した状態で、内側用収容室形成体14を配置して、内側用収容室形成体14のフランジ部14aと外側用収容室形成体10の後壁10fとをボルトとナットで締め付けることにより、内側用収容室形成体14を外側用収容室形成体10の後壁10fに接続する。
【0048】
次に、紫外線光電管31を、外側燃焼空間3に臨ませた状態で、外側用収容室形成体10のフランジ部10aの光電管挿通孔10iに設ける。
【0049】
上述のようにして、燃焼装置を構成する各部材を組み付けることにより、外側用蓄熱部Seが、内管2における外管1の基端から突出部分2bの外周部に配設され、内側用蓄熱部Siが、内管2の基端から軸心方向後方側に延びる状態で配設されることになる。
又、内側用蓄熱部Siが、内管2の外周部における周方向の一部分に、外管1の管壁よりも径方向内方に入り込む形態で、外側用蓄熱部Seが存在しない外側蓄熱部不存在部15を形成する状態で、内管2の突出部分の2bの外周部に配設されることになる。
又、外側用燃料供給部4が、外側蓄熱部不存在部15を介して設けられることになる。
【0050】
このような外側用蓄熱部Se及び内側用蓄熱部Siの配設構成とすることにより、排熱損失を低減すべく、外側用蓄熱体7や内側用蓄熱体11の体積を増大させるには、外側用蓄熱体7や内側用蓄熱体11における外管1の径方向に沿う方向での長さを長くすれば良く、軸心方向に沿う方向での長さを長くする必要がないので、燃焼装置における蓄熱体収容部分の奥行きが長くなるのを回避することができる。
【0051】
又、内部に外側用蓄熱体7を収容した外側用収容室形成体10を、そのフランジ部10aにより外管1の基端に接続し、次に、内管2を、外側用収容室形成体10の後壁10fの内管挿通孔10gに挿通した状態で外管1内に配設し、次に、内部に内側用蓄熱体11を収容した内側用収容室形成体14を、そのフランジ部14aにより外側用収容室形成体10の基端に接続するという簡略な手順で、燃焼装置を組み立てることができる。
【0052】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 図8及び図9に示すように、外側用収容室形成体10のフランジ部10aにおいて凹み部10bに対応する部分に、上記の実施形態における光電管挿通孔10iに代えて、フレームロッド挿通孔10jを形成して、火炎検知用のフレームロッド32を、このフレームロッド挿通孔10jに挿通した状態で設けても良い。
このフレームロッド挿通孔10jも、外管1の内部を露呈させる状態で閉塞板としてのフランジ部10aに設けられた検査孔に相当する。
【0053】
(ロ) 上記の実施形態では、外側蓄熱部不存在部15を、内管2の周方向に間隔を開けた2箇所に設けたが、1箇所に設けても良いし、3箇所以上に設けても良い。
【0055】
) 内側用収容室形成体14の先端のフランジ部14aの接続対象として、上記の実施形態では、外側用収容室形成体10の後壁10fとしたが、内管2の基端のフランジ部2aとしても良い。この場合、内側用収容室形成体14の先端のフランジ部14aにより構成される対内管基端側接続部は、内管2の基端に接続するためのものとして設けられることになる。
【0056】
以上説明したように、蓄熱体収容部分の長尺化の回避及び組み立て構成の簡略化を図りながら、排熱損失を低減し得るシングルエンド型ラジアントチューブ燃焼装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 外管
2 内管
2b 突出部分
3 外側燃焼空間
4 外側用燃料供給部
4a 外側用燃焼ヘッド
4b 外側用燃料供給管
4c 燃料噴出孔
6 内側用燃料供給部
7 外側用蓄熱体
8 外側用給排気口
9 外側用収容室
10 外側用収容室形成体
10a フランジ部(対外管接続部、閉塞板)
10f 後壁
10g 内管挿通孔
10i 光電管挿通孔(検査孔)
10j フレームロッド挿通孔(検査孔)
11 内側用蓄熱体
12 内側用給排気口
13 内側用収容室
14 内側用収容室形成体
14a フランジ部(対内管基端側接続部)
14b 後壁
15 外側蓄熱部不存在部
G ガス燃料
P 軸心
Se 外側用蓄熱部
Si 内側用蓄熱部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9