(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取り付け孔4bが筐体2の両側面板2aに設けられており、一方の取り付け孔4bはスリット部4b2が導入部4b1の下方に設けられており、他方の取り付け孔4bはスリット部4b2が導入部4b1の上方に設けられており、前記他方の取り付け孔4bにおいては導入部4b1とスリット部4b2の間には連結具4aがスリット部4b2から導入部4b1に落ちるのを防ぐための狭窄部4b3が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納ケース。
前端連結構造5が側面板2aの前端に設けられたL字状の切れ込み5aと、2枚の板状部材5b1とこれらを繋ぐ棒状部材5b2からなる前止具5bからなることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の収納ケース。
【背景技術】
【0002】
一般に、継続的に事業を行う場合、業務のたびに書類等が蓄積するので、その蓄積する書類等の保管が問題とされることが多い。特に病院などでは、カルテや病理検体など、長期保存の必要がある書類や試料が多いため、保管に必要なスペースは増大する一方である。
このような状況に対応するため、新しい資料を保管するために入手した新しい収納ケースを既設の収納ケースに連結できる収納ケースが市販されている。この収納ケースは前後方向に延びるアリツギ(蟻継)状の溝と凸条が上下左右の四面に設けられ、この溝と凸状に沿って新設の収納ケースを既設の収納ケースのいずれかの面でスライドさせることにより、新設の収納ケースを既設の収納ケースに連結することができる。
【0003】
しかしながら、アリツギ状の溝と凸条を係合させたり、あるいは外したりするのは困難なので、別の方式により連結できる収納ケースも模索されている。
例えば、特許文献1では、開口部及びこれに対向する面に枠体が設けられた収納ボックスを縦方向又は横方向に並べ、隣接する収納ボックスの枠体を跨るように連結具を装着する連結構造が示されている。
また、特許文献2では、矩形ボックスの開口周面に切欠き凹部を設け、その切欠き凹部の底部に孔を二つ穿設して、底部の孔に挿入される脚部を有するブロック体で切欠き凹部を閉塞するように構成された収納ボックスが開示されている。そして、収納ボックスを連結する方法として、切欠き凹部同士が近接するように収納ボックスを配置し、ブロック体を一旦外してから、当該ブロックの脚部を近接する切欠き凹部の孔に跨って挿入する方法が示されている。
さらに、特許文献3では、アリツギ状の溝部が穿設された容器が開示され、この容器を複数隣接させることにより前記凹部を対合させて連結係合部を形成させ、この連結係合部にアリツギ状の凸部を背中合わせに二つ接合した形状の連結部材を挿入することにより、容器を連結する方法が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の連結構造では、縦方向又は横方向のいずれかを連結することは可能であるが、一旦縦方向に連結した収納ボックスの横方向に新たな収納ボックスを連結しようとしても、縦方向に連結するための連結具が邪魔になるので、横方向に連結するための連結具を装着することができない。
【0006】
特許文献2に記載の収納ボックスを用いれば、縦横の両方向に連結するための連結具が互いに干渉することがないが、特許文献2における収納ボックスの後端を固定するには、連結具を後方から挿入する必要がある。空箱を連結する場合にはそれも可能であるが、例えば中に大量の書類が入っている既設の収納ボックスが壁際に設置されているような場合は、壁が邪魔になり、後方から連結具を挿入することができないので、新設の収納ボックスと十分な強度で連結することができない。
【0007】
特許文献3に記載の容器システムの場合、十分な連結強度を得るためには、連結部材をアリツギ状の溝部を容器の前後方向の略全域に設けるとともに、この溝部と同じ長さの連結部材が必要になる。小さな容器の場合はこのような連結構造でも問題はないが、書類入れ等の比較的大きな容器の場合は連結部材も大きなものが必要となるので、この連結部材の管理保管が容易ではない。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑み、上記従来技術の問題点を解消し、新たに増設する収納ケースと既設の収納ケースを当該収納ケースの前後から容易に連結することができる収納ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、前方から収納物を取り出すように構成された直方体型の筐体2を有する収納ケース1であって、筐体2の側面板2aの前端及び後端には隣接する別の筐体2と連結するための前端連結構造5及び後端連結構造4が設けられ、後端連結構造4は、連結具4aと、この連結具4aを筐体2の側面板2aの後端部分に取り付けるための取り付け孔4bと、前記取り付け孔4bに取り付けられて筐体2の側面板2aから外側に突出した連結具4aと係合する係合凹部4cからなり、連結具4aは互いに平行な2枚の端板部4a1とこれらの端板部4a1の間に介在する中央部4a2からなる断面コ字状の部材であり、取り付け孔4bは、連結具4aの端板部4a1の一方を側面板2aより内側に導入するための導入部4b1と、前記導入部4b1と連続して設けられ連結具4aの中央部4a2を支持するためのスリット部4b2からなり、係合凹部4cは取り付け孔4bが設けられた側面板2aと対向する側面板2aにおける、前記スリット部4b2の位置に相当する位置に設けられる収納ケースを内容とする。
【0010】
本発明の別の特徴は、スリット部4b2の近傍には、連結具4aの端板部4a1の位置を規制する位置決め突起4dが設けられている上記の収納ケースを内容とする。
【0011】
本発明の更に別の特徴は、取り付け孔4bが筐体2の両側面板2aに設けられており、一方の取り付け孔4bはスリット部4b2が導入部4b1の下方に設けられており、他方の取り付け孔4bはスリット部4b2が導入部4b1の上方に設けられており、前記他方の取り付け孔4bにおいては導入部4b1とスリット部4b2の間には連結具4aがスリット部4b2から導入部4b1に落ちるのを防ぐための狭窄部4b3が設けられている上記の収納ケースを内容とする。
【0012】
本発明の更に別の特徴は、前端連結構造5が側面板2aの前端に設けられたL字状の切れ込み5aと、2枚の板状部材5b1とこれらを繋ぐ棒状部材5b2からなる前止具5bからなる上記の収納ケースを内容とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による収納ケースは、連結具と、取り付け孔と、係合凹部からなる後端連結構造を備え、取り付け孔に取り付けられた連結具に、隣接する収納ケースの係合凹部を係合させることにより収納ケースの後端側を連結するように構成されているため、耐震性に優れている。また、収納ケースの後端側から連結具を挿入する必要がなく、従って、壁際に設置された既設の収納ケースに新設の収納ケースを接続する場合でも、壁が邪魔にならず、容易に接続できる。
【0014】
また、取り付け孔のスリット部の近傍に位置決め突起を設けることにより、取り付け孔に取り付けた連結具が筐体の内側に潜り込むのを防ぐことができ、これにより、後端側の連結を好適に行うことができる。
【0015】
取り付け孔を筐体の両側面板に設けることにより、既設の収納ケースの左右いずれにも新設の収納ケースを連結することができる。
この場合、一方の取り付け部ではスリット部を導入部の下側に設け、他方の取り付け部ではスリット部を導入部の上側に設ければ、新設の収納ケースを右側に連結するための後端連結構造と、左側に連結するための後端連結構造が干渉しないため、新設の収納ケースを左右両方に好適に連結することができる。
スリット部を導入部の上側に設ける際、スリット部と導入部の間に狭窄部を設ければ、取り付け孔に取り付けた連結具が導入部にずり落ちることがなく、スリット部に留まるので、後端側の連結を好適に行うことができる。
【0016】
前端連結構造を、L字状の切れ込みと、2枚の板状部材とこれらを繋ぐ棒状部材からなる前止具から形成すれば、連結しやすく、不意に外れにくく、筐体内に引き出しを設ける場合でも前止具が引き出しを引き出す邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明による既設の収納ケースの横に新設の収納ケースを連結する態様を示す概略説明図、及びその要部拡大図である。
【
図2】
図2は
図1の収納ケースの左側面図、及びその要部拡大図である。
【
図3】
図3は
図1の収納ケースの右側面図、及びその要部拡大図である。
【
図4】
図4(a)は
図2のA−A断面図であり、(b)は
図2の収納ケースを縦に連結した状態を示す概略断面説明図である。
【
図6】
図6は取り付け孔に連結具を取り付ける方法を示す説明図である。
【
図7】
図7は本発明における後端連結構造の例を示す概略図である。
【
図8】
図8は本発明の収納ケースの別例を示す概略斜視図である。
【
図9】
図9(a)は
図8の収納ケースの左側面図であり、(b)は右側面図である。
【
図11】
図11は、収納ケースの両側に後端連結構造を設ける場合の別例を示す要部拡大図である。
【
図12】
図12は、収納ケースの両側に後端連結構造を設ける場合の、更なる別例を示す要部拡大図である。
【
図13】
図13(a)は本発明で用いる前止具の一例を示す斜視図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその正面図である。
【
図14】
図14は
図13の前止具で左右に隣接する収納ケースの前端を連結する方法を示す説明図である。
【
図15】
図15(a)は本発明で用いる前止具の別例を示す斜視図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその正面図である。
【
図16】
図16は
図15に示したような前止具を用いて、上下及び左右に隣接する収納ケースの前端を連結する方法の一例を示す説明図である。
【
図17】
図17は
図15に示したような前止具を用いて、上下及び左右に隣接する収納ケースの前端を連結する方法の別例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の収納ケース1は、前方から収納物を取り出すように構成された直方体型の筐体2を有し、
図1〜
図4に示す如く、筐体2の上端と下端の少なくともいずれか一方に縦方向に配置された別の筐体2と連結するための縦方向連結構造3が設けられ、筐体2の側面板2aの前端及び後端には隣接する別の筐体2と連結するための前端連結構造5及び後端連結構造4が設けられ、後端連結構造4は、連結具4aと、この連結具4aを筐体2の側面板2aの後端部分に取り付けるための取り付け孔4bと、前記取り付け孔4bに取り付けられて筐体2の側面板2aから外側に突出した連結具4aと係合する係合凹部4cからなり、
図5〜
図7に示す如く、連結具4aは互いに平行な2枚の端板部4a1とこれらの端板部4a1の間に介在する中央部4a2からなる断面コ字状の部材であり、取り付け孔4bは、連結具4aの端板部4a1の一方を側面板より内側に導入するための導入部4b1と、前記導入部4b1と連続して設けられ連結具4aの中央部4a2を支持するためのスリット部4b2からなり、係合凹部4cは取り付け孔4bが設けられた側面板と対向する側面板における、前記スリット部4b2の位置に相当する位置に設けられることを特徴とする。
【0019】
本発明の収納ケース1は、前方から収納物を取り出すように構成された直方体型の筐体2を有する収納ケースに関するものである。一般的には筐体2の内部に引き出し体6を配置し、この引き出し体6を筐体2の前方から引き出せるように構成されているものが使用されており、本発明もこのような一般的な例に基づいて説明されているが、収納物を取り出すための構造については、筐体の前方から収納物を出し入れできるように構成されていれば、その他は特に限定されない。
【0020】
本発明は、通常の場合、
図1に示すように、複数の筐体2を縦方向及び横方向の2方向に連結可能であるように構成される。縦方向に連結する手段については、筐体2の上端と下端の少なくともいずれか一方に縦方向に配置された別の筐体2と連結するための縦方向連結構造3を有するのが好ましいが、多段の引き出しとして構成されてもよい。
図4(a)に示した例では、筐体2の上端に爪部3aが設けられるとともに、筐体2の下端には開口3bが穿設され、
図4(b)に示すように爪部3aと開口3bを係合させることにより縦方向に連結され、最上段の筐体2には天板7が被着される縦方向連結構造3が例示されているが、これに限定されず、例えば特許文献1、2に示されるような連結構造であってもよい。
【0021】
本発明は、後端連結構造4が、
図5〜
図7に示されるように、連結具4aと、取り付け孔4bと、係合凹部4cからなることを特徴とする。
本発明における連結具4aは、
図6に示されるように、互いに平行な2枚の端板部4a1と、これらの端板部4a1の間に介在する中央部4a2からなる、断面コ字状の部材である。
取り付け孔4bは、
図6(更に詳しくは
図2の要部拡大図)に示されるように、導入部4b1とスリット部4b2からなり、筐体2の側面板に穿設された孔である。
係合凹部4cは、
図7(更に詳しくは
図3の要部拡大図)に示されるように、筐体2の側面板の後端に切設された凹部であり、前記取り付け孔4bのスリット部4b2の位置に相当する位置に設けられている。
【0022】
取り付け孔4bは、連結具4aを筐体2の側面後端部に取り付けるための孔である。連結具4aを取り付け孔4bに取り付けるには、まず、
図6に実線矢印で示されるように、連結具4aの端板部4a1の一方だけを導入部4b1から筐体2の内部まで導入し、次いで、
図6に破線矢印で示されるように、連結具4aの中央部4a2をスリット部4b2内に導入するように連結具4aをスライドさせる。
【0023】
取り付け孔4bの導入部4b1の形状、及び、連結具4aの端板部4a1の形状は、端板部4a1を導入部4b1に挿通可能にする必要があるが、他は特に限定されない。
図1〜
図7に示した例では、導入部4b1の形状と端板部4a1の形状は、双方とも矩形であり、ほぼ同じ大きさとされているが、本発明においてこれらの形状は他の形状でもよいし、導入部4b1の形状と端板部4a1の形状及び大きさが同じである必要もない。
【0024】
取り付け孔4bのスリット部4b2の形状、及び、連結具4aの中央部4a2の形状は、導入部4b1内に配置されている連結具4aの中央部4a2をスリット部4b2内にスライドできる様にされており、且つ、スリット部4b2内に配置された連結具4aの中央部4a2が前後方向に大きく傾動しない限り、特に限定されない。このようなスリット部4b2及び連結具4aの中央部4a2は、連結具4aの中央部4a2を厚さが一様な板状とし、スリット部4b2の幅を前記中央部4a2の厚さとほぼ同じにすることにより、容易に作成することができる。
なお、連結具4aの中央部4a2が少々傾動したとしても、後述する係合凹部4cと係合させる際に適正な位置に戻すことができる程度であれば、許容される。
【0025】
本発明における連結具4aは前後方向だけでなく左右方向にも傾動しないことが好ましいが、左右方向の傾動は、スリット部4b2の近傍に、
図7に示すような位置決め突起4dを設けることにより、好適に防止することができる。
位置決め突起4dの位置及び形状は、筐体2の側面板2aより内側に導入された連結具4aの端板部4a1を、当該位置決め突起4dと筐体の側面板2aの間に遊嵌又は嵌着できる形状である他は特に限定されない。
図7に示した例では、筐体2の後面板2bをスリット部4b2よりも前側に設け、この後面板2bから後ろ向きに舌片を突出させて位置決め突起4dとしているが、これに限定されず、例えば後面板2bをスリット部4b2よりも後側に設け、この後面板2bから前向きに位置決め突起4dを突出させてもよいし、側面板2aの内側にカギ状の突起を設け、これを位置決め突起4dとしてもよい。
この位置決め突起4dにより、連結具4aの一方の端板部4a1の位置が定められ、スリット部4b2により連結具4aの中央部4a2の位置が定められているので、筐体2の側面板2aから突出する他方の端板部4a1の位置も安定し、これにより後述の係合凹部4cと係合しやすくなる。
【0026】
本発明における係合凹部4cは、前述のように、また
図2、
図3の要部拡大図や
図5に示されているように、取り付け孔4bが設けられた側面板とは反対側の側面板であって、この取り付け孔4bのスリット部4b2の位置に相当する位置に切設されている。従って、取り付け孔4bのスリット部4b2に、側面板から突出して取り付けられた連結具4aと好適に係合し、これにより、
図1に示されるように、左右に連接された収納ケース1の後端を好適に連結することができる。
【0027】
本発明における係合凹部4cの形状は、前述の、側面板から突出して取り付けられた連結具4aと係合できるかぎり特に限定されない。
図3の要部拡大図に示した例では、最も単純な例として、筐体2の側面板2aの後端を矩形状に切り欠いた凹部が係合凹部4cとされているが、例えば、係合した連結具4aが不意に外れないようにするため、あるいはその他の目的で、様々な形状とすることができる。
【0028】
上記説明した、
図1〜
図7に記載した収納ケース1においては、筐体2の一方の側面(左側面)に取り付け孔4bを設け、他方の側面(右側面)に係合凹部4cが設けられているので、
図1に示すように、既設の収納ケース1の一方側(左側)には、新設の収納ケース1を好適に連結することができる。しかしながら、既設の収納ケース1の他方側(右側)に新設の収納ケース1を連結するのが困難である。
既設の収納ケース1の両側に新設の収納ケース1を連結できるようにするには、
図8〜
図10に示すように、筐体2の両側面に取り付け孔4b及び係合凹部4cを設ければよい。
【0029】
但し、同じ形状の取り付け孔4bを筐体2の両側面の同じ高さに設けようとすれば、スリット部4b2の位置と係合凹部4cの位置が干渉する(詳しくは、一方側(例えば左側)に新設の収納ケース1を連結するための取り付け孔4bのスリット部4b2を設ける位置と、他方側(例えば右側)に新設の収納ケース1を連結するための係合凹部4cを設ける位置が同じになるが、同じ位置にスリット部4b2と係合凹部4cを両方とも作成するのは不可能である)ので、結局、他方側(例えば右側)に連結するための後端連結構造4は、一方側(例えば左側)に連結するための後端連結構造4とは、形状か位置の少なくともいずれか一方を、互いに干渉しないように変更する必要がある。
図9に示した例では、取り付け孔4bの導入部4b1の高さは左右で同じであるが、左側に新設の収納ケースを連結するための取り付け孔4bでは、
図9(a)に示すように、スリット部4b2が下向きに延設されるとともに、これに対応する係合凹部4cは、
図9(b)に示すように下方に切設されている。同様に、右側に新設の収納ケースを連結するための取り付け孔4bでは、
図9(b)に示すように、スリット部4b2が上向きに延設されるとともに、これに対応する係合凹部4cは、
図9(a)に示すように上方に切設されている。
【0030】
但し、スリット部4b2を導入部4b1の上側に設けた場合には、スリット部4b2にスライドさせた連結具4aが導入部側に落ちることがあるため、このずり落ちを防ぐための構造を設けるほうが好ましい。そのための構造は特に限定されないが、例えば
図10に示すように、導入部4b1とスリット部4b2の間に、狭窄部4b3を設ける構造を示すことができる。この場合、狭窄部4b3は、連結具4aの中央部4a2の厚みよりも若干狭くして、力を入れてスライドさせれば連結具4aはこの狭窄部4b3を通過できるが、連結具4aの自重では狭窄部4b3を通過できないようにするのが好ましい。
【0031】
収納ケース1の両側に後端連結構造4を設ける場合の別例としては、
図11に示すように、二組の取り付け孔4b及び係合凹部4cを、高さを変えて設ける方法が例示できる。このようにすれば、右側用と左側用で、取り付け孔4bの形状を変える必要がなくなる。
【0032】
本発明では、収納ケース1の両側に後端連結構造4を設ける場合において、
図12に示すように、取り付け孔4bの導入部4b1が係合凹部4cを兼ねる様に構成することも可能である。このようにすれば、後端連結構造4の形状がシンプルで製造しやすくなる。また、専用の係合凹部4cを設けない分だけ、導入部4b1及びスリット部4b2を大きくすることができ、従って、より大きな連結具4aを使用できるようになるので、連結具4aを大きくした分だけ連結強度を強くすることができる。
【0033】
本発明においては、前端連結構造5を設けることにより、収納ケース1の後側だけでなく、前側でも連結できるので、新設の収納ケース1をさらに強固に既設の収納ケース1に連結することができる。
本発明において前端連結構造5の具体的な構成は特に限定されず、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているようなものでも用いることができるが、切れ込み5a及び前止具5bからなる前端連結構造5であれば、連結強度が強く、コンパクトで、筐体2内に引き出し体6を配置する場合でも前止具5bが引き出し体6を引き出す邪魔にならない。
なお、本発明における切れ込み5aは、例えば
図2、
図4、
図16、
図17に示すように、側面板の前端にL字状に切設された部分である。また、本発明において前止具5bとは、例えば
図13(a)〜(c)に示すように、2枚の板状部材5b1とこれらを繋ぐ棒状部材5b2からなる部材である。
【0034】
切れ込み5a及び前止具5bからなる前端連結構造5により、横方向に並べられた収納ケース1の前端を連結する方法は、まず、既設の収納ケース1と同じ高さに前端をそろえた状態で新設の収納ケース1を配置することにより、隣接する収納ケース1の切れ込み5aを重ね合わせ、次に、
図14に実線矢印で示すように、切れ込み5aの開口部5a1から前止具5bの棒状部材5b2を挿入し、次に、
図14に破線矢印で示すように、折れ部5a2から最深部5a3に棒状部材5b2を移動させて、前止具5bの位置を安定させる。このようにすれば、隣接する収納ケース1の前端が前止具5bの2枚の板状部材5b1に挟着され、好適に連結される。また、板状部材5b1は薄いので、筐体2内に引き出し体6を配置する場合でも、板状部材5b1が筐体2と引き出し体6の間に介在できるようにすることが可能であり、この場合には、板状部材5b1は引き出し体6を引き出す際の邪魔にならない。
【0035】
本発明の前止具は、
図15に示すように、細長い板状部材5b1を2本以上の棒状部材5b2で繋いだものでもよい。2本以上の棒状部材5b2を用いることにより、左右の収納ケース1を連結するだけでなく、
図16及び
図17に示すように、上下の収納ケース1も連結することができる。
【0036】
なお、
図16は2本の棒状部材5b2の間隔が、積み重ねられた収納ケース1における切れ込み5aの設置周期L1と同じ(通常の場合、積み重ねられた収納ケースひとつ当たりの高さとも同じ)である前止具5bを用いて、収納ケース1の前端を接続する方法を示す説明図である。このような前止具5bを用いる場合、
図16に実線矢印で示すように、2本の棒状部材5b2を、上下の切れ込み5aの開口部5a1に同時に挿入し、そのまま棒状部材5b2を最深部5a3に落とせばよい。
【0037】
図17は2本の棒状部材の間隔が、積み重ねられた上側の収納ケース1における最深部5a3から下側の収納ケースの開口部5a1までの長さL2と同じである前止具5bを用いて、収納ケース1の前端を接続する方法を示す説明図である。このような前止具5bを用いる場合、
図17に実線矢印で示すように、まず、一方の棒状部材5b2を、上側の切れ込み5aに挿入して最深部5a3まで導入し、次に、前止具5bから手を離せば、
図17に破線矢印で示すように、前止具5bは上側の棒状部材を中心に回動し、下側の棒状部材5b2は自動的に下側の切れ込み5aの開口部5a1に挿入され、これにより左右と同時に上下の収納ケースが接続される。
【0038】
本発明において、収納ケース1の材質は、収納した書類等を保護するのに十分な強度及び剛性を備えている限り特に限定されず、例えば木材、金属、樹脂等を用いることができるが、軽量で加工性がよく、十分な強度を備えている点で、樹脂が好ましい。樹脂としては特に限定されないが、具体的には、ABS樹脂、AES樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリアミド11、ポリヒドロキシ酪酸等の生分解性プラスチックやバイオマスプラスチック等も使用可能である。