特許第6242251号(P6242251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242251
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20171127BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20171127BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20171127BHJP
   F02D 17/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   F01N3/20 X
   F01N3/24 U
   F01N3/24 N
   F01N3/28 301B
   F02D17/02 P
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-47235(P2014-47235)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-169190(P2015-169190A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望
(74)【代理人】
【識別番号】100098176
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 訓
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【弁理士】
【氏名又は名称】神澤 淳子
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一郎
【審査官】 菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−155015(JP,U)
【文献】 特開2013−204514(JP,A)
【文献】 実開昭61−200409(JP,U)
【文献】 特開2005−325747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00 − 13/20
F02D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
常時稼動気筒から延出する常時稼動側排気管(32d)と休止気筒から延出する休止側排気管(32r)とが、流路断面積が拡大した集合排気管(33)に集合した後に流路断面積を縮小した下流側排気管(34)に至る排気管構造を有し、
前記常時稼動側排気管(32d)から流入する常時稼動側排気ガスと前記休止側排気管(32r)から流入する休止側排気ガスとが前記集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)で合流し、合流した排気ガスが前記集合排気管(33)の下流側に配設された下流側三元触媒(42)を経て前記下流側排気管(34)に流入して排出される一部気筒休止可能な多気筒内燃機関の排気浄化装置において、
前記常時稼動側排気管(32d)における前記集合排気管(33)の前記合流領域(33a)に臨む開口を有する下流端管部(32de)に上流側三元触媒(41)が配設され
前記集合排気管(33)は、前記常時稼動側排気ガスと前記休止側排気ガスとが合流する流路断面積が拡大した合流領域(33a)を上流側に備えるとともに、同合流領域(33a)に、前記常時稼動側排気管(32d)の前記下流端管部(32de)と前記休止側排気管(32r)における前記合流領域(33a)に臨む開口を有する下流端管部(32re)とが、互いに平行に延びて連結され、前記合流領域(33a)の下流側に、前記下流側三元触媒(42)を備え
前記下流側排気管(34)は、前記集合排気管(33)における前記休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)側に偏った部位から延出し、
前記合流領域(33a)における前記上流側三元触媒(41)の下流位置に、前記休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)に向けて斜めに傾斜した整流斜板(45)が設けられたことを特徴とする多気筒内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記上流側三元触媒(41)は、前記下流側三元触媒(42)より触媒容量が小さく、NOx浄化を行う浄化性能を満たす触媒容量とし、
前記下流側三元触媒(42)は、前記上流側三元触媒(41)と合わせて、主にCO浄化とHC浄化を行う浄化性能を満たす触媒容量とすることを特徴とする請求項1記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置
【請求項3】
前記上流側三元触媒(41)は、前記下流側三元触媒(42)より触媒容量が大きいことを特徴とする請求項1記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の特に気筒休止を行う多気筒内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多気筒内燃機関の各気筒から延出する排気ポート側排気管は、集合排気管に集合したのちマフラーに連結している。
各排気ポート側排気管の排気ガスが合流する集合排気管の上流側の合流領域は、流路が合流して流路面積が拡大しており、この合流領域の下流に排気ガス浄化用の触媒が介装されている。
【0003】
一部の気筒を休止させる制御を行う気筒数制御形式の多気筒内燃機関において、集合排気管における流路面積が拡大した合流領域の下流側に流路面積を拡大したまま延長した部分に触媒を配設した先行例がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−325747号公報
【0005】
気筒数制御形式の多気筒内燃機関の場合、一部気筒が休止して運転中は、稼動気筒の排気ポート側排気管から集合排気管の合流領域に流入した排気ガスが触媒の一部に局部的に集中して触媒の全体を効率的に利用できないことがあるが、特許文献1は、合流領域に排気ガスの流れを乱す拡散板を複数設けることにより、気筒休止中に集合排気管の合流領域に流入した排気ガスを拡散板により広く拡散して触媒全体に作用するようにして浄化効率の向上を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一部気筒が休止して運転中、一方の常時稼動気筒からは、一酸化炭素CO,炭化水素HC,窒素酸化物NOxが含まれる排気ガスが排出されるが、他方の休止気筒は空転しており、休止気筒からは空気が排出されるとともに、その排出空気には炭化水素HCが含まれている。
【0007】
したがって、集合排気管の合流領域では、休止気筒から排出される空気により酸素過多の状態となるため、合流領域より下流の触媒によるNOx浄化が困難となる。
そこで、十分なNOx浄化を行うためには、触媒の容量を大きくする必要があり、排気浄化装置が大型化する。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、触媒の容量を小さく抑えて排気浄化装置の小型化を図りながら、CO浄化、HC浄化とともにNOx浄化も十分期待できる排気浄化装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
常時稼動気筒から延出する常時稼動側排気管(32d)と休止気筒から延出する休止側排気管(32r)とが、流路断面積が拡大した集合排気管(33)に集合した後に流路断面積を縮小した下流側排気管(34)に至る排気管構造を有し、
前記常時稼動側排気管(32d)から流入する常時稼動側排気ガスと前記休止側排気管(32r)から流入する休止側排気ガスとが前記集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)で合流し、合流した排気ガスが前記集合排気管(33)の下流側に配設された下流側三元触媒(42)を経て前記下流側排気管(34)に流入して排出される一部気筒休止可能な多気筒内燃機関の排気浄化装置において、
前記常時稼動側排気管(32d)における前記集合排気管(33)の前記合流領域(33a)に臨む開口を有する下流端管部(32de)に上流側三元触媒(41)が配設され
前記集合排気管(33)は、前記常時稼動側排気ガスと前記休止側排気ガスとが合流する流路断面積が拡大した合流領域(33a)を上流側に備えるとともに、同合流領域(33a)に、前記常時稼動側排気管(32d)の前記下流端管部(32de)と前記休止側排気管(32r)における前記合流領域(33a)に臨む開口を有する下流端管部(32re)とが、互いに平行に延びて連結され、前記合流領域(33a)の下流側に、前記下流側三元触媒(42)を備え
前記下流側排気管(34)は、前記集合排気管(33)における前記休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)側に偏った部位から延出し、
前記合流領域(33a)における前記上流側三元触媒(41)の下流位置に、前記休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)に向けて斜めに傾斜した整流斜板(45)が設けられたことを特徴とする多気筒内燃機関の排気浄化装置である。
【0010】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置において、
前記上流側三元触媒(41)は、前記下流側三元触媒(42)より触媒容量が小さく、NOx浄化を行う浄化性能を満たす触媒容量とし、
前記下流側三元触媒(42)は、前記上流側三元触媒(41)と合わせて、主にCO浄化とHC浄化を行う浄化性能を満たす触媒容量とすることを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、
請求項1記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置において、
前記上流側三元触媒(41)は、前記下流側三元触媒(42)より触媒容量が大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置によれば、常時稼動側排気管(32d)から流入する常時稼動側排気ガスと休止側排気管(32r)から流入する休止側排気ガスとが集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)で合流し、合流した排気ガスが集合排気管(33)の下流側に配設された下流側三元触媒(42)を経て下流側排気管(34)に流入して排出される一部気筒休止可能な多気筒内燃機関の排気浄化装置において、常時稼動側排気管(32d)における前記集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)に臨む開口を有する下流端管部(32de)に上流側三元触媒(41)が配設されるので、一部気筒が休止して運転中、一方の常時稼動気筒(C1,C4)から排出される一酸化炭素CO,炭化水素HC,窒素酸化物NOxが含まれる排気ガスは、上流側三元触媒(41)により浄化され、その際にNOxが浄化できる程度の小容量の上流側三元触媒(41)で、CO,HCとともに、特にNOxを浄化した排気ガスを集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)に流入することができ、他方の休止気筒(C2,C3)から排出されるHCを含む空気と合流した排気ガスは、下流側三元触媒(42)でNOx浄化の負担が小さくてすみ、さらにCOとHCの浄化も上流側三元触媒と分担して行うことができるため、下流側三元触媒(42)も小容量ですみ、上流側三元触媒(41)と下流側三元触媒(42)の全体の触媒容量を減らすことができ排気浄化装置(40)を小型化しながら、COとHCの浄化とNOxの浄化の双方の浄化能力を高く維持することができる。
また、常時稼動側排気管(32d)の下流端管部(32de)と休止側排気管(32r)における前記集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)に臨む開口を有する下流端管部(32de)とが、互いに平行に延びて集合排気管(33)に連結され、集合排気管(33)における休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)側に偏った部位から下流側排気管(34)が延出するので、休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)から集合排気管(33)を経て下流側排気管(34)に流れる仮想休止側排気流路(Rr)が直線的であるのに対して、常時稼動側排気管(32d)の下流端管部(32de)から集合排気管(33)を経て下流側排気管(34)に流れる仮想常時稼動側排気流路(Rd)が、集合排気管(33)内で仮想休止側排気流路(Rr)に近づくように曲がって長くなり、排気の進行方向に対する通気抵抗が増すことになり、実際は上流側三元触媒(41)を出た常時稼動側排気ガスは、集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)で拡散しやすくなり、下流側三元触媒(42)に全体的に均等に作用して、効率良く排気ガス浄化を行うことができる。
そして、集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)における上流側三元触媒(41)の下流位置に、休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)に向けて斜めに傾斜した整流斜板(45)が設けられるので、常時稼動側排気管(32d)の下流端管部(32de)から上流側三元触媒(41)を通って集合排気管(33)の上流側の合流領域(33a)に流入する高温の常時稼動側排気ガスは、一部が整流斜板(45)により休止側排気管(32r)の下流端管部(32re)の延長領域(33b)に向けて流れて下流側三元触媒(42)に至るため、下流側三元触媒(42)を全体的に加熱して活性化し、下流側三元触媒(42)を全体的に均等に使用し、休止気筒(C2,C3)が休止から稼動に切り替わった直後の増加するCOとHCの浄化も可能で、効率良く排気ガス浄化を行うことができる。
【0015】
請求項2記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置によれば、上流側三元触媒(41)は、下流側三元触媒(42)より触媒容量が小さく、NOx浄化を行う浄化性能を満たす触媒容量とし、下流側三元触媒(42)は、上流側三元触媒(41)と合わせて、主にCO浄化とHC浄化を行う浄化性能を満たす触媒容量とするので、上流側三元触媒(41)と下流側三元触媒(42)の全体の触媒容量を減らし、排気浄化装置(40)を小型化し、かつ排気浄化能力を高く維持することができる。
【0018】
請求項記載の多気筒内燃機関の排気浄化装置によれば、上流側三元触媒(91)は、下流側三元触媒(92)より触媒容量が大きいので、内燃機関の全気筒が稼動する機会が少ない設定、すなわち休止気筒を休止して常時稼動気筒のみを稼働する頻度が多い設定の場合に、下流側三元触媒(92)は浄化に大きな負担を要求されず上流側三元触媒(91)より小容量ですみ、全体の触媒容量を減らすことが可能で排気浄化装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態に係る自動二輪車の全体側面図である。
図2】排気経路の概略図である。
図3】集合排気管およびその周辺の水平面で切断した概略断面図である。
図4】別の実施の形態の集合排気管およびその周辺の水平面で切断した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係る自動二輪車1の側面図である。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲において、前後左右の向きは、本実施の形態に係る自動二輪車1の直進方向を前方とする通常の基準に従うものとする。
【0021】
自動二輪車1の車体フレームFは、ヘッドパイプ2と、該ヘッドパイプ2から後方に延びるとともに燃料タンク13を支持する左右一対のメインフレーム3と、メインフレーム3の後部に接続されて後方に延びるとともにシート14を支持する左右一対のシートレール4と、メインフレーム3の後部とシートレール4の後部とを連結する左右一対のリヤフレーム5とを備える。
【0022】
ヘッドパイプ2には、下端部に前輪11が軸支されるとともに上端部にハンドル7が取り付けられたフロントフォーク6が操向可能に支持される。
各メインフレーム3の後部から下方に延びる左右一対のピボットプレート8に設けられたピボット軸9には、後端部に後輪12が軸支される左右一対のスイングアーム10の前端部が揺動可能に支持される。
【0023】
この車体フレームFのメインフレーム3とピボットプレート8に支持されて内燃機関20が搭載されている。
本内燃機関20は、直列4気筒の水冷式4ストローク内燃機関であり、クランク軸を左右水平方向に指向させて所謂横置き配置で車体フレームFに搭載されている。
したがって、4つの気筒C1,C2,C3,C4は、左右方向に直列に配置されている。
【0024】
内燃機関20の若干前傾して起立した気筒のシリンダヘッド21の後部からは吸気管22が上方に延出し、スロットルボディ23を経てエアクリーナ24に至る吸気系が構成されている。
なお、エアクリーナ24は、燃料タンク13の底壁の上方に凹出した凹部に配置されている。
【0025】
内燃機関20の左右配列される気筒C1,C2,C3,C4のうち外側2気筒C1,C4が常時稼動気筒であり、内側2気筒C2,C3が休止気筒である。
【0026】
図1とともに排気経路の概略図である図2を参照して、内燃機関20のシリンダヘッド21の前部からは各気筒C1,C2,C3,C4毎に排気管31,31,31,31が下方に延出し、外側2本の排気管31と排気管31が合流して常時稼動側排気管32dとなって後方に延びて内燃機関20のクランクケース下面に沿って配置された集合排気管33に連結し、内側2本の排気管31と排気管31が合流して休止側排気管32rとなって後方に延びて前記集合排気管33に連結している。
集合排気管33からは下流側排気管34が後方に延出して後輪12に沿って配置されたマフラー35に至っている。
【0027】
集合排気管33は、左右幅が広く上下幅が狭い扁平な内空間を有した扁平な拡張管であり、常時稼動側排気管32dと休止側排気管32rが左右に並んで集合排気管33の前端に連結され、集合排気管33の後端から下流側排気管34が延出している。
このような上下幅が狭い扁平な集合排気管33が内燃機関20のクランクケース下面に沿って配置されるので、内燃機関20を低い位置として低重心化が図れる。
【0028】
図3は、集合排気管33およびその周辺の水平面で切断した概略断面図である。
図3を参照して、常時稼動側排気管32dにおける集合排気管33の上流側の合流領域33aに臨む開口を有する下流端管部32deと休止側排気管32rにおける集合排気管33の上流側の合流領域33aに臨む開口を有する下流端管部32reとが、互いに平行に延びて集合排気管33に連結している。
下流側排気管34は、集合排気管33における休止側排気管32rの下流端管部32reの延長領域33b側に偏った部位から延出している。
【0029】
すなわち、常時稼動気筒C1,C4から延出し合流した常時稼動側排気管32dと休止気筒C2,C3から延出し合流した休止側排気管32rとが、流路断面積が拡大した集合排気管33に集合した後に流路断面積を縮小した下流側排気管34に至る排気管構造が構成されている。
【0030】
このような集合排気管33の下流側に下流側三元触媒42が流路全体に亘って配設されており、集合排気管33における下流側三元触媒42の上流側が合流領域33aである。
常時稼動側排気管32dにおける集合排気管33の上流側の合流領域33aに臨む開口を有する下流端管部32deに上流側三元触媒41が流路全体に亘って配設されている。
【0031】
集合排気管33において下流側三元触媒42と上流側三元触媒41が上記のように所要位置に配設されて排気浄化装置40が構成されている。
集合排気管33の上流側の合流領域33aにおける上流側三元触媒41の下流位置に、休止側排気管32rの下流端管部32reの延長領域33bに向けて斜めに傾斜した整流斜板45が複数設けられている。
【0032】
内燃機関20が休止気筒C2,C3が休止して運転中、一方の常時稼動気筒C1,C4から排出される排気ガスには、一酸化炭素CO,炭化水素HC,窒素酸化物NOxが含まれ、他方の休止気筒C2,C3は空転して空気が排出されるが、その排出空気には炭化水素HCが含まれている。
【0033】
内燃機関20が一部気筒C2,C3を休止して運転中、一方の常時稼動気筒C1,C4から排出されるCO,HC,NOxが含まれる排気ガスは、常時稼動側排気管32dを流れて上流側三元触媒41を経て、上流側三元触媒41によりCO,HC,NOxは浄化される。
この上流側三元触媒41は、NOxが浄化できる程度の小容量の三元触媒とし、CO,HCとともに、特にNOxを浄化し、浄化した排気ガスを、図3に実線矢印で示すように、集合排気管33の上流側の合流領域33aに流入する。
【0034】
他方の休止気筒C2,C3から排出されるHCを含む空気も、図3に破線矢印で示すように、集合排気管33の上流側の合流領域33aに流入するので、合流領域33aでCO,HCとともに特にNOxを浄化した排気ガスとHCを含む空気が合流し、下流側三元触媒42に作用する。
【0035】
集合排気管33の上流側の合流領域33aで酸素過多となってもNOxは上流側三元触媒41により浄化されているので、下流側三元触媒42ではNOx浄化の負担が小さくてすみ、さらに、COとHCの浄化は、上流側三元触媒41と分担して行うことができるので、下流側三元触媒42の負担は一層軽減され、触媒の容量は小さくてすむ。
【0036】
上流側三元触媒41は、下流側三元触媒42より触媒容量が小さく、NOx浄化を行う浄化性能を満たす小さい触媒容量に設定し、下流側三元触媒42は、上流側三元触媒41と合わせて、主にCO浄化とHC浄化を行う浄化性能を満たす程度の小さい触媒容量に設定することができ、上流側三元触媒41と下流側三元触媒42の全体の触媒容量を減らし、排気浄化装置40を小型化しながら、COとHCの浄化とNOxの浄化の双方の浄化能力を高く維持することができる。
【0037】
常時稼動側排気管32dの下流端管部32deと休止側排気管32rの下流端管部32reとが、互いに平行に延びて集合排気管33に連結され、集合排気管33における休止側排気管32rの下流端管部32reの延長領域33b側に偏った部位から下流側排気管34が延出しているので、休止側排気管32rの下流端管部32reから集合排気管33を経て下流側排気管34に流れる仮想休止側排気流路Rr(図3に1点鎖線で示す)が、集合排気管33内で直線的であるのに対して、常時稼動側排気管32dの下流端管部32deから集合排気管33を経て下流側排気管34に流れる仮想常時稼動側排気流路Rd(図3に2点鎖線で示す)が、集合排気管33内で仮想休止側排気流路Rrに近づくように曲がって長くなり、排気の進行方向に対する通気抵抗が増すことになり、実際は上流側三元触媒41を出た排気ガスは、集合排気管33の上流側の合流領域33aで拡散しやすくなり、下流側三元触媒42に全体的に均等に作用して、効率良く排気ガス浄化を行うことができる。
【0038】
集合排気管33の上流側の合流領域33aにおける上流側三元触媒41の下流位置に、休止側排気管32rの下流端管部32reの延長領域33bに向けて斜めに傾斜した整流斜板45が設けられるので、常時稼動側排気管32dの下流端管部32deから上流側三元触媒41を通って集合排気管33の上流側の合流領域33aに流入する高温の排気ガスは、一部が整流斜板45により休止側排気管32rの下流端管部32reの延長領域33bに向けて流れて下流側三元触媒42に至るので、下流側三元触媒42を全体的に加熱して活性化し、下流側三元触媒42を全体的に均等に使用し、休止気筒C2,C3が休止から稼動に切り替わった直後の増加するCOとHCの浄化も可能で、効率良く排気ガス浄化を行うことができる。
【0039】
なお、内燃機関20が全気筒C1,C2,C3,C4を稼動して運転しているときは、休止気筒C2,C3も稼動することから休止気筒C2,C3から排出される排気ガスにもCO,HC,NOxが含まれ、そのまま集合排気管33の上流側の合流領域33aに入るが、常時稼動気筒C1,C4から排出される排気ガスのCO,HC,NOxは、上流側三元触媒41により浄化されて集合排気管33の上流側の合流領域33aに入るので、下流側三元触媒42の浄化の負担は軽減されていて、下流側三元触媒42が小容量であっても休止気筒C2,C3から排出される排気ガス中のCO,HC,NOxを十分浄化することができる。
【0040】
次に、内燃機関の全気筒が稼動する機会が少ない設定、すなわち休止気筒を休止して常時稼動気筒のみを稼働する頻度が多い設定の場合における別の実施の形態について、図4に示し説明する。
【0041】
休止側排気管82rと常時稼動側排気管82dが集合する集合排気管83の下流側排気管84側に下流側三元触媒92が流路全体に亘って配設されており、集合排気管83における下流側三元触媒92の上流側が合流領域83aである。
常時稼動側排気管82dにおける集合排気管83の上流側の合流領域83aに臨む開口を有する下流端管部82deに上流側三元触媒91が流路全体に亘って配設されている。
【0042】
集合排気管83は、下流側の流路断面積が小さくなっており、その小さくなった流路に小容量の下流側三元触媒92が介装されている。
下流端管部82deに介装される上流側三元触媒91は、下流側三元触媒92より触媒容量が大きい。
【0043】
内燃機関の全気筒が稼動する機会が少ない設定、すなわち休止気筒を休止して常時稼動気筒のみを稼働する頻度が多い設定の場合に、下流側三元触媒92は浄化に大きな負担を要求されず上流側三元触媒91より小容量ですみ、全体の触媒容量を減らすことが可能で排気浄化装置を小型化できる。
【符号の説明】
【0044】
1…自動二輪車、
20…内燃機関、C1,C4…常時稼動気筒、C2,C3…休止気筒、21…シリンダヘッド、22…吸気管、
31,31,31,31…排気管、32d…常時稼動側排気管、32de…下流端管部、32r…休止側排気管、32re…下流端管部、33…集合排気管、33a…合流領域、33b…延長領域、34…下流側排気管、35…マフラー、
40…排気浄化装置、41…上流側三元触媒、42…下流側三元触媒、45…整流斜板、
91…上流側三元触媒、92…下流側三元触媒。
図1
図2
図3
図4