(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0019】
(実施形態)
図1(A)は、本発明の実施形態の計量器の一例を示す外観図であり、
図1(B)は、
図1(A)の計量器の構成を示すブロック図である。
【0020】
この計量器は、デジタル上皿自動秤であり、定貫作業に使用され、例えば、被計量物の定量詰め(例えば、じゃがいも等のパック詰め)の商品を生産するために用いられる。この計量器は、計量部11と、本体15と、制御器20とを備えている。
【0021】
計量部11は、被計量物が載せられる計量皿(載置部)12と、計量皿12を支持して、計量皿12上の被計量物の重量を計量できるロードセル等の重量センサ13等からなる。なお、重量センサ13は、図示しない公知の信号処理回路(例えば、増幅器やA/D変換器等)を介して制御器20に接続されている。これにより、計量皿12に載っている被計量物の重量は、重量センサ13によって逐次、計量されて、制御器20に入力される。重量センサ13及び制御器20は、本体15の筐体内に格納されている。
【0022】
本体15には、その前面に、操作部16と、表示部17と、判定ランプ18とが備えられている。操作部16は、計量器の動作開始および動作停止等の操作並びに計量器の動作条件(パラメータ)の値等を、制御器20に入力するための手段として機能する。つまり、操作部16を用いることで、操作部16の操作による様々な入力信号が制御器20に入力され、制御器20の記憶部に記憶される。
【0023】
表示部17は、例えば小型の液晶ディスプレイを用いて構成され、制御器20によって算出される計量皿12上の被計量物の重量等を表示する他、第1〜第3の報知手段として機能する。
【0024】
判定ランプ18は、例えば多色LEDを用いて構成され、点灯色を変更できる。
【0025】
制御器20は、例えばマイクロコントローラ等によって構成され、マイクロコントローラのCPU等からなる演算部と、マイクロコントローラのRAM及びROM等からなる記憶部とを有している。制御器20は、重量センサ13及び操作部16からの信号を入力し、表示部17へ表示するデータ等の信号を出力するとともに、判定ランプ18を制御する。
【0026】
この制御器20は、重量センサ13等とともに計量皿12上の被計量物の重量を計量する計量手段として機能するとともに、重量判定手段、取出し重量情報生成手段、追加重量情報生成手段、及び適量可否予測手段等として機能する。なお、制御器20は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0027】
以上のように構成された計量器の動作について説明する。この計量器の動作は制御器20によって制御され、計量器を動作させるために必要な情報はすべて制御器20の記憶部に記憶されている。また、動作中に記憶される情報はすべて制御器20の記憶部に記憶される。なお、この計量器は、例えば、ひょう量が3000g、目量が1g、最小測定量が20gである。
【0028】
例えば管理者は、操作部16を操作して計量器を設定モードと計量モードとに切り替えることができる。まず、例えば管理者は、作業開始前などに、操作部16を操作して設定モードを選択し、設定モードにおいて、計量モードでの動作を行う上で必要な各パラメータの値を設定する。これらの設定は、表示部17に設定するために必要な情報が表示され、それを見ながら操作部16を操作して設定することができるように構成されている。また、作業者等が、計量モードに切り替えると、計量器は、設定されている各パラメータの値に基づいて動作を行う。
【0029】
パラメータとしては、生産する商品1個の適量重量範囲の下限値WD及び上限値WUと、被計量物(例えばじゃがいも)1個の重量分布範囲(以下、「被計量物の単重範囲」という)の下限値Od及び上限値Ouと、取出し指示範囲(取出し重量範囲)の下限値WRd及び上限値WRuと、追加指示範囲(追加重量範囲)の下限値WAd及び上限値WAuと、追加重量算出時のマージン重量Wmと、計量皿12上の被計量物の有無を判定するためのしきい値Wtとを設定する。これらの設定値は、操作部16から入力されて制御器20の記憶部に記憶(設定)される。なお、しきい値Wtには、最小測定量(例えば20g)が自動的に設定されるようにしてもよい。また、上記のパラメータの値は一度設定すれば電源を切っても保持(記憶)されており、変更のない限り、再設定は不要である。
【0030】
一例として、適量重量範囲は、例えば、下限値WDが300g、上限値WUが320gの300〜320gの範囲に設定される。被計量物の単重範囲は、例えば、下限値Odが70g、上限値が130gの70〜130gの範囲に設定される。また、取出し指示範囲は、被計量物の単重範囲内であって、それより狭い範囲として設定され、例えば、下限値WRdが80g、上限値WRuが110gの80〜110gの範囲に設定される。また、追加指示範囲は、被計量物の単重範囲内であって、それより狭い範囲として設定され、例えば、下限値WAdが80g、上限値WAuが115gの80〜115gの範囲に設定される。また、追加重量算出時のマージン重量Wmは、例えば5gに設定される。しきい値Wtは、例えば20gに設定される。なお、適量重量範囲、被計量物の単重範囲、取出し指示範囲、及び追加指示範囲のそれぞれの範囲における下限値、上限値は、それぞれの範囲における最小重量値、最大重量値のことである。
【0031】
本実施形態では、計量皿12上の被計量物の合計重量が適量でない(適量重量範囲内でない)場合には、例えば、計量皿12上の被計量物を1個取り出して、未計量の被計量物を追加して適量にするようにしている。この際に、計量皿12から取り出す被計量物の重量を作業者に指示する範囲として取出し指示範囲が設定され、追加する未計量の被計量物の重量を作業者に指示する範囲として追加指示範囲が設定されている。これらの取出し指示範囲と追加指示範囲とは同じ範囲にしてもよいが、上記の例では、計量皿12上の被計量物の個数より未計量の被計量物の個数の方が多いと考えられるので、取出し指示範囲よりも追加指示範囲を広くしている。
【0032】
なお、適量重量範囲は、操作部16から目標重量と許容幅とが入力され、その下限値WDが目標重量に、上限値WUが(目標重量+許容幅)に設定されるようにしてもよい。また、取出し指示範囲及び追加指示範囲の下限値及び上限値は、操作部16から被計量物の単重範囲の下限値及び上限値に対する比率(例えば百分率)として入力されるようにしてもよい。
【0033】
計量作業(商品の生産作業)を行う場合には、作業者が、操作部16を操作して計量器を計量モードにする。そして、作業者は、計量皿12に被計量物を載せて、後述のように判定ランプ18が青色に点灯したときに、計量皿12上の被計量物をパックに詰めて1個の商品を生産する。このようにして順次商品を生産する。
【0034】
図2〜
図5は、本実施形態の計量器の動作の一例を示すフローチャートである。また、
図6(A)〜
図6(E)は、本実施形態の計量器による表示の一例を示す図である。なお、
図2〜
図5は、1個の商品を生産する場合のフローチャートであり、
図2〜
図5の処理が繰り返されることにより、複数の商品の生産が連続して行われる。この
図2〜
図5の処理は、制御器20によって実行される。
【0035】
まず、作業者が適量重量範囲内の重量(例えば目標重量)になると予想する複数個の被計量物を計量皿12に載せる。すると、制御器20は、
図2に示すように、逐次取得する重量センサ13の重量信号に基づいて計量皿12上の被計量物の重量Wを算出する(ステップS1)。
【0036】
そして、被計量物の重量Wが、しきい値Wtよりも大きいか否かを判定する(ステップS2)。被計量物の重量Wが、しきい値Wt以下の場合、判定ランプ18を消灯させる(ステップS5)。
【0037】
一方、被計量物の重量Wが、しきい値Wtよりも大きい場合、ステップS3に進み、被計量物の重量Wが、適量重量範囲の下限値WD以上であるか否かを判定する。
【0038】
ここで、被計量物の重量Wが、下限値WD未満の場合、被計量物が軽量であると判定し、判定ランプ18を赤色に点灯させる(ステップS6)。
【0039】
一方、被計量物の重量Wが、下限値WD以上の場合、ステップS4に進み、被計量物の重量Wが、適量重量範囲の上限値WUよりも大きいか否かを判定する。
【0040】
ここで、被計量物の重量Wが、上限値WUよりも大きい場合、被計量物が過量であると判定し、判定ランプ18を黄色に点灯させる(ステップS7)。
【0041】
一方、被計量物の重量Wが、上限値WU以下の場合、被計量物が適量であると判定し、判定ランプ18を青色に点灯させる(ステップS8)。作業者は、このときの計量皿12上の被計量物を商品としてパックに詰める。これにより1個の商品が生産される。
【0042】
前述のように、被計量物が軽量であると判定した場合(ステップS6)には、
図3のステップS11へ進む。
【0043】
図3のステップS11〜S17は、計量皿12上の2個以上の被計量物を交換しなければ適量重量範囲にならないと予測される場合には、複数個の交換が必要である旨を表示部17に表示するための処理と、計量皿12から1個の被計量物を取り出して、未計量の1個の被計量物を追加することにより適量重量範囲になると予測される場合には、計量皿12から取り出す被計量物の重量を予測して表示する処理とを含んでいる。さらに、追加する被計量物の重量を予測して表示するための処理は
図4のステップS21〜S25で示される。
【0044】
ステップS11では、計量皿12から最小と予想される重量の被計量物を1個取り出したときの残りの被計量物の予測重量Aを算出する。この予測重量Aは、計量皿12上の被計量物の重量Wから取出し指示範囲の下限値WRdを減算して算出する。
【0045】
次に、ステップS12では、適量重量範囲の下限値WDから予測重量Aを減算した値が、追加指示範囲内か否かを判定する。この判定結果が追加指示範囲内にならない場合には、計量皿12から最小の被計量物を取り出して、未計量の最大の被計量物を追加しても適量重量範囲内の重量にならないものとして、複数個の被計量物の交換が必要である旨の情報(例えば、「複数個の載せ替えが必要」)を表示部17の画面に表示する(ステップS13)。この後、作業者が、計量皿12上の複数個の被計量物を未計量の複数個の被計量物と交換すると、最初のステップS1へ戻る。
【0046】
ステップS12での判定結果が追加指示範囲内になる場合には、ステップS14へ進む。このステップS14では、計量皿12から被計量物を1個取り出した場合の残りの被計量物の予測重量Bを算出する。この予測重量Bは、被計量物の単重範囲の中心値をOcとすれば、B=W−Ocとして算出する。被計量物の単重範囲の中心値Ocは、被計量物の単重範囲の下限値Odと上限値Ouとの平均値、すなわち、(Od+Ou)/2として算出できる。
【0047】
次にステップS15では、残りの被計量物の予測重量Bに基づいて目標重量(適量重量範囲の下限値WD)にするために追加する被計量物の予測重量(WD−B)が、追加指示範囲内であるか否かを判定する。
【0048】
ステップS15の判定が「NO」の場合には、ステップS16で、残りの被計量物の予測重量Bを変更し、ステップS15へ戻る。ステップS16では、具体的には、追加指示範囲の上限値WAuを用いて、B+{(WD−B)−WAu}=WD−WAuの値が、新しい予測重量Bとなるように変更する。ここでは、新しい予測重量Bを、古い予測重量Bに、追加予測値(WD−B)と追加指示可能上限値(WAu)との差を加えた値として算出している。
【0049】
ステップS15の判定が「YES」の場合には、ステップS17で、取出し指示重量をW−Bとして算出し、この取出し指示重量及び取出し指示を表示部17の画面に表示する。この場合の表示画面の一例が
図6(A)に示されている。
図6(A)では、95gの被計量物を取り出す指示が表示されている。作業者は、この指示を見て、95g程度と推測した被計量物を計量皿12から1個取り出す。
【0050】
なお、上記のステップS11,S12は、作業者が計量皿12から単重範囲内の重量(上記例では取出し指示範囲内の最小重量)の被計量物を1個取り出して、単重範囲内の重量(上記例では追加指示範囲内の重量)の未計量の被計量物を計量皿12へ1個追加すると想定した場合に、計量皿12上の被計量物の合計重量が適量重量範囲内の値になるか否かを予測する処理の一例である。また、ステップS14〜S17は、作業者が計量皿12から単重範囲内の重量の被計量物を1個取り出して、単重範囲内の重量(上記例では追加指示範囲内の重量)の未計量の被計量物を計量皿12へ1個追加すると想定した場合に、計量皿12上の被計量物の合計重量が適量重量範囲内の値になるように、作業者に計量皿12から1個取り出させる被計量物の重量を算出する処理の一例である。
【0051】
次に、
図4に示すように、制御器20は、重量センサ13の重量信号に基づいて、作業者が計量皿12から1個の被計量物を取り出したときの計量皿12上の残りの被計量物の重量Wxを算出する(ステップS21)。
【0052】
次に、ステップS22では、適量重量範囲の下限値WDから被計量物の重量Wxを減算した値が、追加指示範囲内か否かを判定する。この判定結果が追加指示範囲内にならない場合には、取り出す被計量物を交換する指示(例えば、「大きいものまたは小さいものと交換して取り出す」)を表示部17の画面に表示する(ステップS23)。
【0053】
このステップS23において、WD−Wxの値と追加指示範囲の上限値及び下限値とを比較し、WD−Wxの値が追加指示範囲の上限値より大きい場合には、取り出す被計量物を先程取り出した被計量物より小さい被計量物と交換する指示を表示部17の画面に表示し、WD−Wxの値が追加指示範囲の下限値より小さい場合には、取り出す被計量物を先程取り出した被計量物より大きい被計量物と交換する指示を表示部17の画面に表示するようにしてもよい。
【0054】
そして、作業者は、表示部17の指示を見て、取り出す被計量物を交換する(入れ替える)。制御器20は、ステップS24で、重量センサ13の重量信号に基づいて、交換後の計量皿12上の被計量物の重量を算出し、この重量をWxとしてステップS22へ戻る。
【0055】
ステップS22において、(WD−Wx)の値が、追加指示範囲内になる場合には、ステップS25へ進む。このステップS25では、(WD−Wx)の値にマージン重量Wmを加算して追加指示重量を算出し、この追加指示重量及び追加指示を表示部17の画面に表示する。この場合の表示画面の一例が
図6(B)に示されている。
図6(B)では、115gの被計量物を追加する指示が表示されている。作業者は、この指示を見て、115g程度と推測した被計量物を計量皿12へ追加する(載せる)。
【0056】
なお、(WD−Wx)の値にマージン重量Wmを加算して追加指示重量とするのは、実際に追加される被計量物の重量が(WD−Wx)より小さい場合には、追加後の重量(Wy)が適量重量範囲の下限値(目標重量)WDより小さくなるので、これを回避するためである。
【0057】
次に、制御器20は、重量センサ13の重量信号に基づいて、作業者によって1個の被計量物が追加された後の計量皿12上の被計量物の重量Wyを算出する(ステップS26)。
【0058】
次に、ステップS27では、被計量物の重量Wyが、適量重量範囲の下限値WD以上であるか否かを判定する。ここで、被計量物の重量Wyが、下限値WD未満の場合、先程追加した被計量物をそれより大きい被計量物と交換する指示(例えば、「少し大きいものと替える」)を表示部17の画面に表示する(ステップS28)。
【0059】
そして、作業者は、表示部17の指示を見て、追加する被計量物を交換する(入れ替える)。制御器20は、ステップS29で、重量センサ13の重量信号に基づいて、交換後の計量皿12上の被計量物の重量を算出し、この重量をWyとしてステップS27へ戻る。
【0060】
ステップS27において、被計量物の重量Wyが、適量重量範囲の下限値WD以上になる場合には、ステップS30へ進む。
【0061】
次に、ステップS30では、被計量物の重量Wyが、適量重量範囲の上限値WUより大きいか否かを判定する。ここで、被計量物の重量Wyが、上限値WUより大きい場合、先程追加した被計量物をそれより小さい被計量物と交換する指示(例えば、「少し小さいものと替える」)を表示部17の画面に表示する(ステップS31)。
【0062】
そして、作業者は、表示部17の指示を見て、追加する被計量物を交換する(入れ替える)。制御器20は、ステップS32で、重量センサ13の重量信号に基づいて、交換後の計量皿12上の被計量物の重量を算出し、この重量をWyとしてステップS27へ戻る。
【0063】
ステップS30で、被計量物の重量Wyが、適量重量範囲の上限値WU未満である場合には、被計量物が適量であると判定し、判定ランプ18を青色に点灯させるとともに、表示部17の画面で適量である旨を表示する(ステップS33)。この場合の表示画面の一例が
図6(C)に示されている。作業者は、このときの計量皿12上の被計量物を商品としてパックに詰める。これにより1個の商品が生産される。
【0064】
以上の軽量判定時の処理(ステップS11〜S17、S21〜S33)について、具体例を説明する。なお、先に例示したように、適量重量範囲が300〜320g、被計量物の単重範囲が70〜130g(この中心値Ocは100g)、取出し指示範囲が80〜110g、追加指示範囲が80〜115g、追加重量算出時のマージン重量が5gとする。
【0065】
例えば、はじめの被計量物の重量Wが280gで軽量判定がなされた場合、ステップS11で算出される予測重量Aは、W−WRd=280−80=200(g)となる。
【0066】
次に、ステップS12での(WD−A)=300−200=100(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内であるので、ステップS14へ進む。
【0067】
ステップS14で算出される予測重量Bは(W−Oc)=(280−100)=180(g)となる。
【0068】
次に、ステップS15での(WD−B)=300−180=120(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内ではないので、ステップS16へ進む。
【0069】
ステップS16では、WD−WAu=300−115=185(g)を算出し、これを新たな予測重量Bとする。
【0070】
次のステップS15での(WD−B)=300−185=115(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内となるので、ステップS17へ進む。
【0071】
ステップS17では、W−B=280−185=95(g)を算出し、この重量(95g)の被計量物を取り出す指示を表示する(
図6(A))。
【0072】
そして、作業者が例えば90gの被計量物を取り出したとすれば、ステップS21で取得される重量Wxは、280−90=190(g)となる。
【0073】
次のステップS22での(WD−Wx)=300−190=110(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内となるので、ステップS25へ進む。
【0074】
ステップS25では、110gにマージン重量5gを加算した値(115g)を算出し、この重量(115g)の被計量物を追加する指示を表示する(
図6(B))。
【0075】
この115gの被計量物の追加指示を見て、作業者が、110〜130gの被計量物を追加できれば、合計重量Wyが適量重量範囲(300〜320g)内となって適量と判定されることになるので、ステップS28,S29,S31,S32の処理が行われることは少ないと考えられる。
【0076】
次に、
図2のステップS7で、被計量物が過量であると判定された場合について説明する。この場合、ステップS7のあと、
図5のステップS41へ進む。
【0077】
図5のステップS41〜S47は、計量皿12上の2個以上の被計量物を交換しなければ適量重量範囲にならないと予測される場合には、複数個の交換が必要である旨を表示部17に表示するための処理と、計量皿12から1個の被計量物を取り出して、未計量の1個の被計量物を追加することにより適量重量範囲になると予測される場合には、計量皿12から取り出す被計量物の重量を予測して表示する処理とを含んでいる。さらに、追加する被計量物の重量を予測して表示するための処理は、前述のステップS6の軽量であると判定された場合と同様、
図4のステップS21〜S25で示される。
【0078】
ステップS41では、計量皿12から最大と予想される重量の被計量物を1個取り出したときの残りの被計量物の予測重量Cを算出する。この予測重量Cは、計量皿12上の被計量物の重量Wから取出し指示範囲の上限値WRuを減算して算出する。
【0079】
次に、ステップS42では、適量重量範囲の上限値WUから予測重量Cを減算した値が、追加指示範囲内か否かを判定する。この判定結果が追加指示範囲内にならない場合には、計量皿12から最大の被計量物を取り出して、未計量の最小の被計量物を追加しても適量重量範囲内の重量にならないものとして、複数個の被計量物の交換が必要である旨の情報(例えば、「複数個の載せ替えが必要」)を表示部17の画面に表示する(ステップS43)。この後、作業者が、計量皿12上の複数個の被計量物を未計量の複数個の被計量物と交換すると、最初のステップS1へ戻る。
【0080】
ステップS42での判定結果が追加指示範囲内になる場合には、ステップS44へ進む。このステップS44では、計量皿12から被計量物を1個取り出した場合の残りの被計量物の予測重量Dを算出する。この予測重量Dは、被計量物の単重範囲の中心値をOcとすれば、D=W−Ocとして算出する。
【0081】
次にステップS45では、残りの被計量物の予測重量Dに基づいて目標重量(適量重量範囲の下限値WD)にするために追加する被計量物の予測重量(WD−D)が、追加指示範囲内であるか否かを判定する。
【0082】
ステップS45の判定が「NO」の場合には、ステップS46で、残りの被計量物の予測重量Dを変更し、ステップS45へ戻る。ステップS46では、具体的には、追加指示範囲の下限値WAdを用いて、D+{(WD−D)−WAd}=WD−WAdの値が、新しい予測重量Dとなるように変更する。ここでは、新しい予測重量Dを、古い予測重量Dに、追加予測値(WD−D)と追加指示可能下限値(WAd)との差を加えた値として算出している。
【0083】
ステップS45の判定が「YES」の場合には、ステップS47で、取出し指示重量をW−Dとして算出し、この取出し指示重量及び取出し指示を表示部17の画面に表示する。
【0084】
上記のステップS41,S42は、作業者が計量皿12から単重範囲内の重量(上記例では取出し指示範囲内の最大重量)の被計量物を1個取り出して、単重範囲内の重量(上記例では追加指示範囲内の重量)の未計量の被計量物を計量皿12へ1個追加すると想定した場合に、計量皿12上の被計量物の合計重量が適量重量範囲内の値になるか否かを予測する処理の一例である。また、ステップS44〜S47は、作業者が計量皿12から単重範囲内の重量の被計量物を1個取り出して、単重範囲内の重量(上記例では追加指示範囲内の重量)の未計量の被計量物を計量皿12へ1個追加すると想定した場合に、計量皿12上の被計量物の合計重量が適量重量範囲内の値になるように、作業者に計量皿12から1個取り出させる被計量物の重量を算出する処理の一例である。
【0085】
ステップS47のあとは、前述の軽量判定時の場合と同様、
図4に示すステップS21へ進み、制御器20は、重量センサ13の重量信号に基づいて、作業者が計量皿12から1個の被計量物を取り出したときの計量皿12上の残りの被計量物の重量Wxを算出する。このあとも、続いてステップS22〜ステップS33の処理を行い、作業者が適量と判定されたときの計量皿12上の被計量物を商品としてパックに詰めることにより1個の商品が生産される。
【0086】
以上の過量判定時の処理(ステップS41〜S47、S21〜S33)について、具体例を説明する。ここでも、先に例示したように、適量重量範囲が300〜320g、被計量物の単重範囲が70〜130g(この中心値Ocは100g)、取出し指示範囲が80〜110g、追加指示範囲が80〜115g、追加重量算出時のマージン重量が5gとする。
【0087】
例えば、はじめの被計量物の重量Wが330gで過量判定がなされた場合、ステップS41で算出される予測重量Cは、W−WRu=330−110=220(g)となる。
【0088】
次に、ステップS42での(WU−C)=320−220=100(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内であるので、ステップS44へ進む。
【0089】
ステップS44で算出される予測重量Dは(W−Oc)=(330−100)=230(g)となる。
【0090】
次に、ステップS45での(WD−D)=300−230=70(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内ではないので、ステップS46へ進む。
【0091】
ステップS46では、WD−WAd=300−80=220(g)を算出し、これを新たな予測重量Dとする。
【0092】
次のステップS45での(WD−D)=300−220=80(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内となるので、ステップS47へ進む。
【0093】
ステップS47では、W−D=330−220=110(g)を算出し、この重量(110g)の被計量物を取り出す指示を表示する。
【0094】
そして、作業者が例えば120gの被計量物を取り出したとすれば、ステップS21で取得される重量Wxは、330−120=210(g)となる。
【0095】
次のステップS22での(WD−Wx)=300−210=90(g)となり、これは追加指示範囲(80〜115g)内となるので、ステップS25へ進む。
【0096】
ステップS25では、90gにマージン重量5gを加算した値(95g)を算出し、この重量(95g)の被計量物を追加する指示を表示する。
【0097】
この95gの被計量物の追加指示を見て、作業者が、90〜110gの被計量物を追加できれば、合計重量Wyが適量重量範囲(300〜320g)内となって適量と判定されることになるので、ステップS28,S29,S31,S32の処理が行われることは少ないと考えられる。
【0098】
なお、上記では、軽量判定時及び過量判定時において、取り出す被計量物を重量で表示する(ステップS17、S47)ようにしたが、被計量物の単重範囲(Od〜Ou)を複数の範囲に分割し、どの範囲に属する被計量物を取り出すかを表示するようにしてもよい。例えば、被計量物の単重範囲が70〜130gの場合に、90g未満の被計量物をSサイズ、90g以上で110g以下の被計量物をMサイズ、100gを超える被計量物をLサイズとし、どのサイズの被計量物を取り出すかを表示するようにしてもよい。この場合の表示画面の一例が
図6(D)に示されている。
図6(D)では、Mサイズの被計量物を取り出す指示(取出し指示は矢印で示されている)が表示されている。
【0099】
同様に、軽量判定時及び過量判定時において、追加する被計量物を重量で表示する(ステップS25)ようにしたが、被計量物の単重範囲(Od〜Ou)を複数の範囲に分割し、どの範囲に属する被計量物を追加するかを表示するようにしてもよい。例えば、前述同様、重量に応じてSサイズ、Mサイズ及びLサイズの範囲を決めておき、どのサイズの被計量物を追加するかを表示するようにしてもよい。この場合の表示画面の一例が
図6(E)に示されている。
図6(E)では、Lサイズの被計量物を追加する指示(追加指示は矢印で示されている)が表示されている。
【0100】
本実施形態では、計量皿12上の被計量物の重量Wの軽量判定時及び過量判定時において、1個の被計量物の交換によって適量とするために、1個取り出す被計量物の重量情報(重量または上記サイズ)を報知し(ステップS17,S47)、取出し後に、追加する被計量物の重量情報(重量または上記サイズ)を報知する(ステップS25)ようにしている。すなわち、作業者は、取り出す被計量物の重量の目安及び追加する被計量物の重量の目安がわかるため、試行錯誤に陥ることなく被計量物の交換を行って、適量となる被計量物の集合からなる商品を生産することができ、作業スピードの向上が図れ、それにより生産性の向上も図ることができる。また、計量器以外の設備(例えば特許文献1の場合の表示ユニット等)は不要である。
【0101】
また、1個の被計量物の交換によって適量になるか否かを予測し、適量にならないと予測される場合には、複数個の被計量物の交換が必要である旨の情報を作業者に報知する(ステップS13,S43)ことにより、1個の被計量物のみを未計量の被計量物と交換するというような無駄な入替え作業をしなくて済み、作業スピードの向上及び生産性向上をより図ることができる。
【0102】
なお、本実施形態では、作業者に報知する情報を表示部17に表示するようにしたが、スピーカ等を備え、スピーカからの音声等で報知するようにしてもよい。すなわち、ステップS13,S43の複数個の被計量物の交換が必要である旨の情報、ステップS17,S47の被計量物を取り出す指示の情報、ステップS25の被計量物を追加する指示の情報、ステップS23,S28,S31で指示する情報等は、スピーカからの音声等で報知するようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、取出し指示範囲及び追加指示範囲を、被計量物の単重範囲内であって、それより狭い範囲として設定することにより、実際に取り出される被計量物の重量及び実際に追加される被計量物の重量がそれぞれの範囲内にあることが多く、妥当な取出し指示重量及び妥当な追加指示重量を算出することができて好ましいが、取出し指示範囲及び追加指示範囲を、被計量物の単重範囲(Od〜Ou)と同じ範囲としてもよい。言い換えれば、取出し指示範囲及び追加指示範囲の代わりに、被計量物の単重範囲(Od〜Ou)を用いることも可能である。この場合、
図3、
図4、
図5で示す処理の説明において、取出し指示範囲及び追加指示範囲の文言を被計量物の単重範囲に置き換えればよい。
【0104】
また、本実施形態では、はじめに作業者が適量重量範囲内となる重量になると予想する複数個の被計量物を計量皿12に載せるようにしたが、被計量物を1個ずつ計量皿12に載せるようにし、その際に、制御器20が、1個ずつ載せられる各被計量物の重量を算出して記憶するようにし、被計量物1個の重量が、設定された単重範囲(Od〜Ou)の範囲外となる場合には、その旨を警告する(例えば、その旨を表示部17に表示する)ようにしてもよい。また、制御器20が、単重範囲(Od〜Ou)の範囲外となった被計量物の重量を含むように単重範囲(Od〜Ou)を変更し、この変更に応じて、取出し指示範囲(WRd〜WRu)及び追加指示範囲(WAd〜WAu)を変更するようにしてもよい。例えば、取出し指示範囲の下限値WRd及び追加指示範囲の下限値WAdを、単重範囲の変更後の下限値Odに所定値を加算した重量に変更し、取出し指示範囲の上限値WRu及び追加指示範囲の上限値WAuを、単重範囲の変更後の上限値Ouから所定値を減算した重量に変更するようにしてもよい。
【0105】
また、上述のように、被計量物を1個ずつ計量皿12に載せるようにした場合に、制御器20が、1個ずつ載せられる各被計量物の重量を算出するとともに、各被計量物の重量と、各被計量物の載せられた順番とを対応付けて記憶するようにし、軽量判定時には、ステップS17(
図3)において、重量が(W−B)に最も近い被計量物を取り出すように、何番目に載せた被計量物を取り出すかの指示を表示するようにしてもよい。同様に、過量判定時には、ステップS47(
図5)において、重量が(W−D)に最も近い被計量物を取り出すように、何番目に載せた被計量物を取り出すかの指示を表示するようにしてもよい。この場合、例えば、順番に載せる被計量物の位置を計量皿12に番号等で示しておけば、作業者はどの被計量物を取り出したらよいかがすぐにわかる。
【0106】
図7(A)は、本発明の実施形態の計量器の他の例を示す外観図であり、
図7(B)は、
図7(A)の計量器の構成を示すブロック図である。
【0107】
この計量器は、デジタル台秤であり、定貫作業に使用され、例えば、被計量物の定量詰め(例えば、パック詰め)の商品を生産するために用いられる。この計量器は、計量部31と、操作表示部35と、制御器40とを備えている。
【0108】
計量部31は、被計量物が載せられる計量台(載置部)32と、計量台32を支持して、計量台32上の被計量物の重量を計量できるロードセル等の重量センサ33等からなる。なお、重量センサ33は、複数(例えば4個)のロードセル等から構成されていてもよく、図示しない公知の信号処理回路(例えば、増幅器やA/D変換器等)を介して制御器40に接続されている。これにより、計量台32に載っている被計量物の重量は、重量センサ33によって逐次、計量されて、制御器40に入力される。制御器40は、操作表示部35の筐体内に格納されている。
【0109】
操作表示部35には、その前面に、操作部36と、表示部37と、判定ランプ38とが備えられている。これら操作部36、表示部37、判定ランプ38及び制御器40の機能は、
図1(A)、(B)に示す操作部16、表示部17、判定ランプ18及び制御器20の機能と同様であり、詳細な説明を省略するが、
図1に示す計量器と同様の効果が得られる。