(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の衝撃吸収用床材などに示す、表面材と衝撃吸収材とを基本構成とした衝撃吸収用床材を用いた場合、使用環境によっては、衝撃吸収材に湿気が吸収されることがある。吸収された湿気が、衝撃吸収材と表面材との間に保持されると、この湿気により、表面材に変形、変色、または変質など何らかの影響を与えてしまうことが想定される。
【0007】
本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、表面材と衝撃吸収材との間に湿気が保持されることを低減する、衝撃吸収用床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決すべく、本発明に係る衝撃吸収用床材は、表面材と、該表面材の裏面側に積層した衝撃吸収材と、を少なくとも備えた衝撃吸収用床材であって、前記表面材と前記衝撃吸収材との間には、前記衝撃吸収材の表面を覆うように該衝撃吸収材の表面側からの湿気を防湿する第1の防湿層が形成されており、前記衝撃吸収材の裏面には、前記衝撃吸収材の裏面を覆うように、該衝撃吸収材の裏面側からの湿気を防湿する第2の防湿層が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1の防湿層が、衝撃吸収材の表面を覆い、第2の防湿層が、衝撃吸収材の裏面を覆うため、衝撃吸収材の両面を挟み込むように、第1および第2の防湿層が形成されることになる。
【0010】
これにより、表面材側からの湿気を第1の防湿層が防湿し、裏面材側からの湿気を第2の防湿層が防湿するため、衝撃吸収材の両面から湿気の入り込みを抑えることができる。このような結果、衝撃吸収材の吸湿を抑えることができ(防湿され)、表面材と衝撃吸収材との間に湿気が保持され難い。
【0011】
より好ましい第1の態様として、前記第1の防湿層は、前記表面材と前記衝撃吸収材との間に挟み込むように配置された防湿シートからなる層、または前記表面材と前記衝撃吸収材とを貼り合わせる際に前記表面材または前記衝撃吸収材に塗布された接着剤層であり、前記第2の防湿層は、前記衝撃吸収材の裏面に貼り合された防湿シートまたは防湿ボードからなる層である。
【0012】
この態様によれば、第1の防湿層および第2の防湿層を、防湿シートからなる層とすることにより、衝撃吸収材の表面および裏面の全体をより確実に覆うことができる。また、第1の防湿層が接着剤層である場合には、表面材と衝撃吸収材とを貼りあわせる際にいずれか一方の接着面の全面に接着剤を塗布すればよいので、より安価化かつ簡単に第1の防湿層を形成することができる。さらに、第2の防湿層に、防湿シートまたは防湿ボードからなる層とする際には、これらの防湿シートまたは防湿ボードを裏面材として採用することができる。
【0013】
より好ましい第2の態様として、前記衝撃吸収材の裏面には、裏面材がさらに積層されており、前記第1の防湿層は、前記表面材と前記衝撃吸収材との間に挟み込むように配置された防湿シートからなる層、または前記表面材と前記衝撃吸収材とを貼り合わせる際に前記表面材または前記衝撃吸収材に塗布された接着剤層であり、前記第2の防湿層は、前記衝撃吸収材と前記裏面材とを貼り合わせる際に前記衝撃吸収材または前記裏面材に塗布された接着剤層である。
【0014】
この態様によれば、第1の態様と同様に、第1の防湿層を、防湿シートからなる層とすることにより、衝撃吸収材の表面の全体をより確実に覆うことができる。また、第1の防湿層が接着剤層である場合には、表面材と衝撃吸収材とを貼り合わせる際にいずれか一方の接着面の全面に接着剤を塗布すればよいので、より安価化かつ簡単に第1の防湿層を形成することができる。
【0015】
同様に、第2の防湿層が接着剤層である場合には、衝撃吸収材と裏面材とを貼り合わせる際にいずれか一方の接着面の全面に接着剤を塗布すればよいので、この場合も、より安価化かつ簡単に第2の防湿層を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る衝撃吸収用床材によれば、表面材と衝撃吸収材との間に湿気が保持されることを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施の形態に基づき本発明を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の衝撃吸収用床材の模式的分解斜視図であり、
図2は、
図1に示す衝撃吸収用床材の厚さ方向に沿った部分的な断面図である。
【0019】
〔第1実施形態〕
1.衝撃吸収用床材10について
図1に示すように、本実施形態に係る衝撃吸収用床材10は、表面材3と、その裏面側に積層した衝撃吸収材4と、衝撃吸収材4の裏面側に積層された裏面材5と、を少なくとも備えている。
【0020】
表面材3と衝撃吸収材4との間には、衝撃吸収材4の表面41の全体を覆うように衝撃吸収材4の表面側からの湿気を防湿する第1の防湿層(防湿材)21が形成されている。衝撃吸収材4と裏面材5との間には、衝撃吸収材4の裏面42の全体を覆うように、衝撃吸収材4の裏面側からの湿気を防湿する第2の防湿層(防湿材)22が形成されている。
【0021】
第1の防湿層21は、表面材3と衝撃吸収材4との間に挟み込むように配置された防湿シート21Aからなる層である。第2の防湿層22は、衝撃吸収材4と裏面材5との間に挟み込むように配置された防湿シート22Aからなる層である。表面材3と衝撃吸収材4とは防湿シート21Aを介して接着剤で接着されており、衝撃吸収材4と裏面材5とは防湿シート22Aを介して接着剤で接着されている。本実施形態では、接着剤の塗布領域および塗布量は、後述する第2実施形態に係る衝撃吸収用床材に用いる接着とは異なり、これらが積層一体化される程度であればよい。
【0022】
このように、第1の防湿層21が、衝撃吸収材4の表面41を覆い、第2の防湿層22が、衝撃吸収材4の裏面42を覆うため、衝撃吸収材4の両面を挟み込むように、第1および第2の防湿層21,22が形成されることになる。
【0023】
これにより、表面材側からの湿気を第1の防湿層21が防湿し、裏面材側からの湿気を第2の防湿層22が防湿するため、衝撃吸収材4の両面から湿気の入り込みを抑えることができる。このような結果、衝撃吸収材4の吸湿を抑えることができるため、表面材3と衝撃吸収材4との間に湿気が保持され難い。
【0024】
ここで、上述した衝撃吸収用床材10を構成する表面材3、衝撃吸収材4、裏面材5、および、第1および第2の防湿層21,22(防湿シート21A,22A)の構造および材質について以下に詳述する。
【0025】
2.表面材3について
表面材3は、衝撃吸収用床材10の表面側の強度、意匠性を高めるための部材(層)であり、表面材3は、後述する衝撃吸収材4よりも剛性が高い部材(層)である。
【0026】
表面材3の表面側には必要に応じて印刷がされていてもよく、例えば、本実施形態の如く化粧材31をさらに貼り付けてもよい。化粧材31は、表面が化粧用に印刷する場合や、化粧単板、化粧シート、突板のような表面化粧材などを挙げることができる。化粧シートとして、防滑、抗菌、消臭、防火、防汚、抗ウィルスなどの表面加工したシート、ポリエチレン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂からなる発泡シートなどであってもよい。
【0027】
表面材3として、木質板、樹脂板、繊維板、または複合板などを挙げることができる。さらに、表面材3がハニカム構造体からなってもよく、幅方向に沿って複数の空洞が形成された中空構造体や、複数の空洞がその内部に形成された中空構造体などであってもよい。さらにこれらを2種以上積層接着させたものであってもよい。たとえば、表面材3が木質板、繊維板である場合には、表面材と衝撃吸収材との間の湿気の保持を抑えることにより、表面材3の反り、捩じれなどの変形を抑えることができる。たとえば、表面材3の裏面に樹脂または金属を含む場合には、表面材3の素材の変色、変質等を抑えることができる。
【0028】
2−1.木質板
表面材3に木質板を採用した場合には、木質板は、合板、パーティクルボード(PB)、木質繊維板(MDF・インシュレーションボード・ハードボードなど)、配向性ストランドボード、OSB、LVL、集成材、無垢材などを挙げることができ、これらを熱処理・薬剤処理などをしたものであってもよく、これらを2種類以上積層したものであってもよい。
【0029】
2−2.樹脂板
表面材3に樹脂板を採用した場合には、樹脂板の原料または主原料に、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AXS樹脂、EVA樹脂、EVOH樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、繊維素プラスチック、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2‐ポリブタジエン系、エチレン‐酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、天然ゴム系、フッ素ゴム系、トランス‐ポリイソプレン系、塩素化ポリエチレン系、アイオノマーなど)、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂(例えば、PMMAなど)、ゴムを混合したポリエチレン樹脂などを挙げることができ、これらの樹脂にモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマー、およびこれらの樹脂の原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマーやこれらを2種以上混合したものや積層させたものであってもよく、無発泡、発泡のどちらでもあってもよい。
【0030】
2−3.繊維板
表面材3に繊維板を採用した場合には、上述した2−2で示した1種または複数種の樹脂からなる繊維を集積して成形した樹脂繊維板、ロックウールボード、グラスファイバーなどの無機繊維板、炭素繊維からなる炭素繊維板などを挙げることができる。また、樹脂繊維、無機繊維を混合した繊維板でもよい。
【0031】
2−4.複合板
表面材3に複合板(木質材料(木粉を含む)と樹脂とを複合させた板材)を採用した場合には、樹脂の原料または主原料に、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AXS樹脂、メタクリル樹脂、EVA樹脂、EVOH樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、繊維素プラスチック、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2‐ポリブタジエン系、エチレン‐酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、天然ゴム系、フッ素ゴム系、トランス‐ポリイソプレン系、塩素化ポリエチレン系、アイオノマーなど)、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂(例えば、PMMAなど)、ゴムを混合したポリエチレン樹脂などを挙げることができ、これらの樹脂にモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマー、およびこれらの樹脂の原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマーやこれらを2種以上混合したものや2種以上積層したものであってもよく、さらに、無発泡あるいは発泡のどちらであってもよい。
【0032】
2−5.ハニカム構造体または中空構造体
表面材3にハニカム構造体または中空構造体を採用した場合には、上述した2−2で示した1種または複数種の樹脂からなってもよく、さらに、ステンレス、アルミニウムなどの金属、紙などであってもよい。
【0033】
2−6.その他
表面材3の厚さは、0.4〜18mmの範囲であることが好ましく、表面材3の裏面32に、複数の溝が形成されていてもよい。溝のピッチは、3〜1000mm、溝幅は、0.3〜10mm、深さ1〜17mmの範囲であることが好ましい。溝の方向は、表面材が矩形状である場合には、長手方向に沿って、または長手方向と交差する方向に沿って形成されていてもよく、短手方向に沿って、または短手方向と交差する方向に沿って形成されていてもよく、これらの双方の溝が交差するように形成されていてもよく、各溝の幅、深さ等が異なっていてもよい。
【0034】
特に、このような溝を設けた場合には、この溝の部分が空隙となり、この空隙に湿気が入り込んで溜り易い。したがって、このような構造を採用した場合には、本実施形態では、第1の防湿層21で衝撃吸収材4の表面41を覆うことにより、このような吸湿を防止することができる。
【0035】
3.衝撃吸収材4について
衝撃吸収材4は、表面材3の裏面側に配置され、衝撃吸収用床材10の表面材3の表面に作用した衝撃を吸収するための部材(層)であり、本実施形態では、第1の防湿層21に貼り合される。
【0036】
衝撃吸収材4として、発泡材、不織布、ゴム、またはゲルなどを挙げることができる。さらに、衝撃吸収材4がハニカム構造体からなってもよく、幅方向に沿って複数の空洞が形成された中空構造体や、複数の空洞がその内部に形成された中空構造体などであってもよい。さらにこれらを2種以上積層接着させたものであってもよいし、硬度が異なる衝撃吸収材を2層以上積層接着させたものであってもよい。さらに、衝撃吸収材4の表面および裏面の少なくとも一方に複数の溝を形成したり、複数の凹部を設けてもよい。また、厚さは、2〜15mmの範囲が好ましい。
【0037】
3−1.発泡材
衝撃吸収材4に発泡材を採用した場合には、発泡材の原料または主原料に、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AXS樹脂、EVA樹脂、EVOH樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、繊維素プラスチック、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2‐ポリブタジエン系、エチレン‐酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、天然ゴム系、フッ素ゴム系、トランス‐ポリイソプレン系、塩素化ポリエチレン系、アイオノマーなど)、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂(例えば、PMMAなど)、ゴムを混合したポリエチレン樹脂、ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、ノルボルネンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フォスファゼンゴム、イソブチレンイソプレンゴムなど)、ゲル(後述3−4に示すもの)などを挙げることができ、これらの樹脂、ゴム、ゲルなどにモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマーおよび、これらの樹脂、ゴム、ゲルなどの原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマーやこれらを2種類以上混合してもよい。なお、発泡材の硬さは、アスカーC硬度10〜70度の範囲が好ましく、また、JIS K6767に準拠する圧縮応力―50%ひずみ0.01〜0.5Mpaの範囲が好ましい。
【0038】
3−2.不織布
衝撃吸収材4に不織布を採用した場合には、不織布の原料または主原料に、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AXS樹脂、EVA樹脂、EVOH樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、繊維素プラスチック、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2‐ポリブタジエン系、エチレン‐酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、天然ゴム系、フッ素ゴム系、トランス‐ポリイソプレン系、塩素化ポリエチレン系、アイオノマーなど)、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂(例えば、PMMAなど)、ゴムを混合したポリエチレン樹脂、などを挙げることができ、これらの樹脂にモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマー、およびこれらの樹脂の原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマーやこれらを2種類以上混合してもよい。さらに炭素繊維などの無機繊維や羊毛、綿等の天然繊維であってもよい。さらに上述した樹脂を使用した繊維を、2種類以上混合してもよい。例えば、これらの樹脂を原料または主原料とした、特開2007−130059号公報に示すような三次元網目状構造体であってもよい。
【0039】
3−3.ゴム・エラストマー
衝撃吸収材4にゴム・エラストマーを採用した場合には、ゴム・エラストマーの原料または主原料に、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化ニトリルゴム、カルボキシ化ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン―酢酸ビニルゴム、アクリルゴム、エチレン―アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、多硫化ゴム、ノルボルネンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フォスファゼンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2‐ポリブタジエン系、エチレン‐酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、天然ゴム系、フッ素ゴム系、トランス‐ポリイソプレン系、塩素化ポリエチレン系、アイオノマーなど)などを挙げることができ、これらゴム、エラストマーにモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマー、およびこれらのゴム、エラストマーの原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合したものや、これらを2種類以上混合したものであってもよい。なお、ゴム、エラストマーの硬度は、ショアA硬度5〜70度の範囲であることが好ましい。
【0040】
3−4.ゲル
衝撃吸収材4にゲルを採用した場合には、ゲルの原料または主原料に、シリコーン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーやt−ブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン酸基含有ポリマー、ポリビニルピロドン、熱可塑性エラストマー(ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2‐ポリブタジエン系、エチレン‐酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、天然ゴム系、フッ素ゴム系、トランス‐ポリイソプレン系、塩素化ポリエチレン系、アイオノマーなど)、ポリエチレンビニルアルコール、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ポリイミド、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AXS樹脂、EVA樹脂、EVOH樹脂、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、飽和ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレートなど)、繊維素プラスチック、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル系樹脂、(メタ)アクリル樹脂(例えば、PMMAなど)、ゴムを混合したポリエチレン樹脂、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、絹フィブロイン、酢酸セルロース、ジビニルベンゼン、セルロース、ナイロン、プルラン、ポリオルガノシロキサン、オルガノポリシロキサン、ポリスチレン‐ブタジエンブロック共重合体、ポリスチロール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピリジン、ポリプロピレンオキシド、ポリメタクリル酸−ポリエチレングリコール共重合体など、さらには、3−3で示した原料または主原料からなるゲル状のゴムなどを挙げることができ、これらの樹脂、ゴムなどにモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマー、およびこれらの樹脂、ゴムなどの原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマーやこれらを2種以上混合したゲル状の樹脂などを挙げることができる。
【0041】
3−5.ハニカム構造体または中空構造体
衝撃吸収材4にハニカム構造体または中空構造体を採用した場合には、上述した2−2で示した1種または複数種の樹脂からなってもよく、さらに、ステンレス、アルミニウムなどの金属、紙などであってもよい。この場合には、表面材3で剛性を持たせ、衝撃吸収材4で衝撃吸収できるような素材の選択がされる。
【0042】
3−6.その他
特に、衝撃吸収材4に連続気泡型の発泡材および不織布を採用した場合には、衝撃吸収材4の表面側および裏面側からの湿気が吸湿され保持され易いところ、本実施形態では、第1の防湿層21で衝撃吸収材4の表面41を覆い、第2の防湿層22で衝撃吸収材4の裏面42を覆うことにより、このような吸湿を防止することができる。
【0043】
4.裏面材5について
裏面材5は、衝撃吸収材4の裏面側に配置され、本実施形態では、防湿シート22Aに貼り合される。なお、衝撃吸収材4の裏面に防湿シート22Aが貼り合されていれば、裏面材5は、衝撃吸収用床材10の構成要素でなくてもよく、この場合は防湿シート22Aが裏面材の機能を担う。
【0044】
裏面材5は、0.4〜10mm程度の厚さが好ましく、裏面材5としては、木質板、樹脂板(発泡したものを含む)、ゴム板、繊維板、または複合板などを挙げることができる。さらに、裏面材5がハニカム構造体からなってもよく、幅方向に沿って複数の空洞が形成された中空構造体や、複数の空洞がその内部に形成された中空構造体などであってもよい。
【0045】
裏面材5が、衝撃吸収材4に対して衝撃吸収材4の裏面側からの湿気を防湿することができるのであれば、裏面材5を防湿ボードとし、第2の防湿層22を防湿ボードからなる層とし、防湿シート22Aを省略してもよい。
【0046】
本実施形態では、裏面材5の大きさを衝撃吸収材4と同じ大きさとしたが、衝撃吸収材4からはみ出すような大きさであってもよく、衝撃吸収材4からはみ出すように衝撃吸収材4に対してその位置をずらしてもよい。この場合には、はみ出した部分を施工時の釘打ち箇所として利用することもできる。
【0047】
5.防湿シート21A,22Aについて
防湿シート21A,22Aは、衝撃吸収材4の表面および裏面に向かう湿気を防湿するシートであり、例えば、熱可塑性樹脂からなる防湿シート、この熱可塑性樹脂シートに和紙等の紙類で挟み込んだ3層構造のシート、アルミニウム箔などの金属シートなどを挙げることができる。防湿シート21A,22Aの厚さは、20〜500μm程度であることが好ましい。この範囲であれば、強度を確保するとともに、衝撃吸収材4の表面および裏面に倣うように衝撃吸収材4に貼り合わせることができる。
【0048】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態の衝撃吸収用床材の模式的分解斜視図であり、(a)は、上側から見た模式的分解斜視図、(b)は、下側から見た模式的分解斜視図である。
図4は、
図3に示す衝撃吸収用床材の厚さ方向に沿った部分的な断面図である。
【0049】
本実施形態が、第1実施形態と相違する点は、第1の防湿層21、第2の防湿層22であり、その他の構成は同じであるので、図面に同じ符番を付して、その詳細な説明を省略する。ただし、第1実施形態では、裏面材を省略することも可能であったが、本実施形態では、裏面材を省略しない。
【0050】
図3(a),(b)、および
図4に示すように、衝撃吸収用床材10Aは、第1の防湿層21が表面材3と衝撃吸収材4とを貼り合わせる際に表面材3または衝撃吸収材4に塗布された接着剤層21Bである。また、第2の防湿層22は、衝撃吸収材4と裏面材5とを貼り合わせる際に衝撃吸収材4または裏面材5に塗布された接着剤層22Bである。
【0051】
これらの接着剤層21Bを形成すべく、表面材3と衝撃吸収材4とを貼り合わせる際には、(1)接着剤層21Bが衝撃吸収材4の表面を覆うこと、(2)表面材3と衝撃吸収材4が接着されること、(3)接着剤層21B自体が衝撃吸収材の表面側からの湿気を防湿する材質、この機能を発現するための層厚を有することの条件を満たすことができるのであれば、特に貼り合わせ方法は限定されるものではない。
【0052】
また、接着剤層21Bの場合と同様に、これらの接着剤層22Bを形成すべく、衝撃吸収材4と裏面材5を貼り合わせる際には、(A)接着剤層22Bが衝撃吸収材4の裏面を覆うこと、(B)衝撃吸収材4と裏面材5が接着されること、(C)接着剤層22B自体が衝撃吸収材の表面側からの湿気を防湿する材質であり、この機能を発現するための層厚を有することの条件を満たすことができるのであれば、特に貼り合わせ方法は限定されるものではない。
【0053】
例えば、(1)の条件を満たすのであれば、表面材3の裏面に溝が形成されている場合には、溝も含む裏面全体に接着剤を塗布するか、衝撃吸収材4の表面全体に接着層を塗布すればよい。
【0054】
また、(1)の条件、(A)の条件を満たすのであれば、表面材3または裏面材5が木質板である場合には、その裏面32または表面51の全体に接着剤を塗布して、接着剤を木質板の表面に含浸させてもよい。さらに、接着される何れか一方の面が平面である場合には、平面である面に接着剤を塗布すれば、衝撃吸収材4の表面または裏面を簡単に接着剤層で被覆することができる。
【0055】
また、(2)および(3)の条件、(B)および(C)を満たす場合には、その接着剤として、ホルムアルデヒド系接着剤(尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂など)、シアノアクリレート系接着剤、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、SB系接着剤、SBR系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリイソシアネート系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤(天然ゴム系、クロロプレン系、スチレン―ブタジエンゴム系、ブチルゴム系、ニトリルゴム系、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン―プロピレンゴムなど)、天然物系接着剤、ホットメルト接着剤(EVA系、オレフィン系、ゴム系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系など)、エマルション系接着剤(酢酸ビニル系、EVA系、アクリル系など)、ラテックス系接着剤(NR、SB、SBR、NBR、CR、BR、MBR、IIR、IR、ポリウレタンラテックス、チオコールラテックス、アクリルゴムラテックスなど)、粘着剤、変性ポリビニルアルコール系接着剤などが好ましく、あるいはこれら樹脂にモノマー、オリゴマーを共重合したコポリマー、およびこれらの樹脂の原料または主原料となるモノマー、オリゴマーを共重合させたもの、または、これらの2種以上の接着剤を混合させたものでもよい。また、接着剤によっては、イソシアネート類(MDI、HDIなど)、アミン類(トリエチルテトラミンなど)、チオール類などの架橋剤を入れたものでもよい。硬化時の接着剤層21Bの厚さが1.31×10
−2mm〜2.29×10
−1mmの範囲にあることが好ましい。このような厚さの範囲とすることにより、接着剤層21Bに防湿特性を持たせることができる。
【0056】
本実施形態によれば、表面材3と衝撃吸収材4とを貼り合わせる際にいずれか一方または双方の接着面の全面に接着剤を塗布すればよいので、より安価化かつ簡単に第1の防湿層21を形成することができる。同様に、衝撃吸収材4と裏面材5とを貼り合わせる際にいずれか一方または双方の接着面の全面に接着剤を塗布すればよいので、この場合も、より安価化かつ簡単に第2の防湿層22を形成することができる。
【0057】
6.製造方法および施工方法
第1または第2実施形態に示す衝撃吸収用床材の施工方法を
図5に示す。第1または第2の実施形態に係る衝撃吸収用床材10(10A)を製造する際に、
図2または
図4に示す積層構造を満たすのであれば、その製造方法は特に限定されるものではない。
【0058】
例えば、第1実施形態に係る衝撃吸収用床材10を製造する際には、表面材3、防湿シート21A、および衝撃吸収材4を順に積層し、この積層体に防湿シート22Aおよび裏面材5をさらに積層させてもよく、裏面材5、防湿シート22A、および衝撃吸収材4を順に積層し、これに防湿シート21Aおよび表面材3をさらに積層させてもよい。また、これらを同時に積層してもよい。このようにして得られた衝撃吸収用床材10を、
図5(a)に示すように、床下地面に敷き詰めて木質フロア1が構築される。
【0059】
また、
図5(b)に示すように、床下地面に対して、裏面材5、第2の防湿層22(防湿シートからなる層)、衝撃吸収材4、第1の防湿層21(防湿シートからなる層)の順に貼り合わせて、その後、表面材3をこの上に敷設して、衝撃吸収用床材10を製造してもよい。この場合には、衝撃吸収用床材10の製造時に、木質フロア1が構築されることになる。
【0060】
一方、第2実施形態に係る衝撃吸収用床材10Aを製造する際には、表面材3と衝撃吸収材4の何れか一方または双方の対向する面に接着剤を塗布してこれらを貼り合わせ、さらに、この貼り合わせた積層体と裏面材5との何れか一方または双方の面に接着剤を塗布してこれらを貼り合わせてもよい。
【0061】
また、裏面材5と衝撃吸収材4の何れか一方または双方の対向する面に接着剤を塗布してこれらを貼り合わせ、さらに、この貼り合わせた積層体と表面材3との何れか一方または双方の面に接着剤を塗布してこれらを貼り合わせてもよい。また、これらを同時に積層してもよい。このようにして得られた衝撃吸収用床材10Aを、
図5(a)に示すように、床下地面に敷き詰めて木質フロア1が構築される。
【0062】
また、
図5(b)に示すように、床下地面に対して、裏面材5、第2の防湿層22(接着層)、衝撃吸収材4の順に貼り合わせて、この上に表面材3を敷設する際に、第1の防湿層21が衝撃吸収材4を被覆するように、接着剤を塗布し、表面材3をこの上に敷設して、衝撃吸収用床材10Aを製造してもよい。この場合には、衝撃吸収用床材10Aの製造時に、木質フロア1が構築されることになる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【0064】
第1実施形態では、防湿層を形成する際に防湿シートを用い、第2実施形態では、防湿層を形成する際に接着剤を用いたが、これらの双方を用いてもよく、第1実施形態の第1および第2の防湿層のいずれか一方の防湿層を形成する際に、第2実施形態に示すような接着剤を用いてもよい。