(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1インナーレバーおよび前記第2インナーレバーは、前記シフトアンドセレクトシャフトの軸方向に離隔して周方向の異なる位相位置に配設されており、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸周りの回動でセレクト方向に動作し、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸方向の移動でシフト方向に動作し、
前記第1群のフォークヘッドのいずれかと、前記第2群のフォークヘッドのいずれかとが、前記セレクト方向において同じ位置に配置されている、請求項1に記載の変速機の操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インナーレバーによるセレクト操作およびシフト操作、ならびにインターロック部材による規制を行うために、通常は3軸以上のフォークシャフトにそれぞれフォークヘッドが設けられる。3個以上のフォークヘッドは、シフト方向への移動可能に互いに接近して配置され、かつ、インナーレバーおよびインターロック部材の一方と排他的に係合する。このため、フォークヘッドの周りは、多数の部材が込み入って配置され、設計上および製造上の大きな制約となっていた。
【0007】
また、インターロック部材は、インナーレバーがセレクト操作するフォークヘッドの位置に対応して揺動するため、狭隘な変速機ケースの内部で揺動範囲を含む大きな設置スペースを必要としていた。特に、インターロック部材は、変速機ケースの軸長方向に配置されるフォークシャフトと交差する方向に揺動するので、変速機ケースの胴周り寸法に制約を及ぼしがちであった。
【0008】
さらに、インナーレバーがフォークヘッドをセレクト操作およびシフト操作する際の斜めシフト性能を向上するために、インナーレバーおよびフォークヘッドを形成する部材の隅部分に面取り加工を施す場合が多い。ここで、面取り加工の形状は、1個のインナーレバーに対して列設された複数のフォークヘッドの全てを考慮する必要があるため、自由度が限られていた。
【0009】
本発明は上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、3軸以上のフォークシャフトのフォークヘッドを分割して配置することでフォークヘッドの周りの部材配置に余裕を持たせて設計上および製造上の制約を軽減するとともに、インターロック部材の揺動範囲を狭めて設置スペースを狭小化でき、さらには、インナーレバーおよびフォークヘッドの面取り加工の形状自由度を拡げて斜めシフト性能を向上できる変速機の操作装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の変速機の操作装置は、軸方向の移動および軸周りの回動が可能なシフトアンドセレクトシャフトと、各軸がフォークヘッドを一体的に有し、いずれか1軸がシフト方向に移動すると複数組の変速歯車組のうちの一組を選択して噛合結合させる3軸以上のフォークシャフトと、前記シフトアンドセレクトシャフトに一体的に配設され、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸方向の移動および前記軸周りの回動の一方でセレクト方向に動作して前記いずれか1軸のフォークシャフトのフォークヘッドをセレクト操作し、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸方向の移動および前記軸周りの回動の他方でシフト方向に動作してセレクト操作したフォークヘッドをシフト操作するインナーレバーと、前記インナーレバーがセレクト操作していないフォークヘッドの前記シフト方向への移動を規制するインターロック部材と、を備える変速機の操作装置であって、前記3軸以上のフォークシャフトのフォークヘッドは、前記シフト方向に相互に離隔して配置された第1群および第2群に分割され、かつ、各群はそれぞれ複数組の変速歯車組を分担しており、前記インナーレバーは、前記第1群のフォークヘッドをセレクト操作およびシフト操作する第1インナーレバーと、前記第2群のフォークヘッドをセレクト操作およびシフト操作する第2インナーレバーとからなり、前記インターロック部材は、前記第1群のなかで前記第1インナーレバーがセレクト操作していないフォークヘッドの前記シフト方向への移動を規制する第1インターロック部と、前記第2群のなかで前記第2インナーレバーがセレクト操作していないフォークヘッドの前記シフト方向への移動を規制する第2インターロック部とからなる。
【0011】
さらに、前記第1インナーレバーおよび前記第2インナーレバーは、前記シフトアンドセレクトシャフトの軸方向に離隔して周方向の異なる位相位置に配設されており、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸周りの回動でセレクト方向に動作し、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸方向の移動でシフト方向に動作し、前記第1群のフォークヘッドのいずれかと、前記第2群のフォークヘッドのいずれかとが、前記セレクト方向において同じ位置に配置されていることが好ましい。
【0012】
また、前記第1インターロック部および前記第2インターロック部は、一体品のインターロック部材とされていることが好ましい。
【0013】
さらに、前記一体品のインターロック部材は、板材に加工を施して製造されており、かつ、前記第1インナーレバーが前記シフトアンドセレクトシャフトの軸方向に移動可能に貫通する第1貫通孔、および前記第2インナーレバーが前記軸方向に移動可能に貫通する第2貫通孔を有するとともに、前記シフトアンドセレクトシャフトの前記軸周りの回動により前記第1インナーレバーおよび前記第2インナーレバーの少なくとも一方に駆動されて前記シフトアンドセレクトシャフトの軸周りに揺動する本体部と、前記本体部から立設され、前記シフトアンドセレクトシャフトが係入して支承される軸孔を有する支承部と、前記本体部から延設され、前記第1貫通孔を貫通した前記第1インナーレバーの先端部に前記セレクト方向の両側から接近するように配置される第1インターロック部と、前記本体部から延設され、前記第2貫通孔を貫通した前記第2インナーレバーの先端部に前記セレクト方向の両側から接近するように配置される第2インターロック部と、を含んで形成され、さらに、ケース側に設けられた規制部材によって、前記本体部または前記支承部の前記軸方向への移動が規制されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の変速機の操作装置は、シフトアンドセレクトシャフトと3軸以上のフォークシャフトとインナーレバーとインターロック部材とを備え、3軸以上のフォークシャフトのフォークヘッドは、シフト方向に相互に離隔して配置された第1群および第2群に分割され、かつ、各群はそれぞれ複数組の変速歯車組を分担しており、インナーレバーおよびインターロック部材も機能的に分割されている。これにより、3軸以上のフォークシャフトのフォークヘッドが第1群および第2群に分割されて分散配置されるので、フォークヘッドの周りの部材配置に余裕が生じて設計上および製造上の制約を軽減できる。
【0015】
また、インナーレバーも2個に分割されており、1個のインナーレバーが受け持つフォークヘッドの数量が減少する。したがって、面取り加工の形状自由度が拡がり、斜めシフト性能の向上に適した形状を採用できる。
【0016】
さらに、第1インナーレバーおよび第2インナーレバーがシフトアンドセレクトシャフトの軸方向に離隔して周方向の異なる位相位置に配設され、第1群のフォークヘッドのいずれかと第2群のフォークヘッドのいずれかとがセレクト方向において同じ位置に配置される態様が好ましい。この態様では、第1群および第2群のフォークヘッドがセレクト方向においてオーバーラップするように配置され、第1インターロック部および第2インターロック部もセレクト方向においてオーバーラップして配置される。これにより、インターロック部材はオーバーラップ分に相当するだけ揺動範囲が狭くなるので、設置スペースを狭小化でき、変速機ケースの胴周り寸法への制約も小さい。
【0017】
また、第1インターロック部および第2インターロック部が一体品のインターロック部材とされた態様では、フォークヘッドを2群に分割して配置しても、部材点数の増加が抑制される。したがって、組み付け性やコスト面で有利となる。
【0018】
さらに、一体品のインターロック部材は、板材に加工を施して製造され、かつ、本体部と支承部と第1インターロック部と第2インターロック部とを含んで形成され、さらに、ケース側に設けられた規制部材によって軸方向への移動が規制されるように構成できる。この態様では、板材に切削加工や曲げ加工などを施してインターロック部材を製造できるので、鋳造加工などによる製造方法と比較してコスト面で大いに有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1実施形態の変速機の操作装置について、
図1〜
図5を参考にして説明する。まず、車両などに用いられる変速機の全体構成の概要について説明する。図面は省略するが、変速機ケースの内部に、入力軸および出力軸が配置されて回転自在に軸承されている。入力軸および出力軸に、複数組の変速歯車組が噛合結合可能に配設されている。本第1実施形態では、前進1速〜6速および後進を選択的に成立させる1速〜6速歯車組および後進歯車組が配設されている構成を例にする。1速歯車組および2速歯車組を選択的に噛合結合させるために、1−2速用同期装置が設けられている。同様に、3−4速用同期装置、5−6速用同期装置、および後進用同期装置が設けられている。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態の変速機の操作装置1を説明する解体斜視図である。第1実施形態の変速機の操作装置1は、手動操作方式および自動操作方式のどちらであってもよい。操作装置1は、シフトアンドセレクトシャフト2、4軸のフォークシャフト、第1インナーレバー4、第2インナーレバー5、およびインターロック部材6などで構成されている。なお、
図1で、4軸のフォークシャフトは省略されている。
【0022】
シフトアンドセレクトシャフト2は、図略の変速機ケースの内部に支承されており、軸方向の移動および軸周りの回動が可能となっている。手動操作方式の構成において、シフトアンドセレクトシャフト2は、運転者のシフトレバーの操作により駆動される。自動操作方式の構成において、シフトアンドセレクトシャフト2は、モータなどのアクチュエータにより駆動される。
【0023】
シフトアンドセレクトシャフト2の軸周りに、筒状のレバー形成座21が固設されている。レバー形成座21の周りに第1インナーレバー4および第2インナーレバー5が一体的に形成されている。詳細には、第1インナーレバー4および第2インナーレバー5は、シフトアンドセレクトシャフト2の軸方向に離隔して周方向の異なる位相位置に、半径方向外向きに立設されている。以降では、「シフトアンドセレクトシャフト2の軸方向」を単に「軸方向」と略記し、「シフトアンドセレクトシャフト2の軸周り、周方向」を単に「軸周り、周方向」と略記する。第1インナーレバー4および第2インナーレバー5は、軸周りの回動でセレクト方向に動作し、軸方向の移動でシフト方向に動作する。
【0024】
インターロック部材6は、本体部61、第1支承部62、第2支承部63、第1インターロック部64、および第2インターロック部65からなる一体品の部材である。インターロック部材6は、金属製の板材に切削加工や曲げ加工などが施されて製造される。ただし、インターロック部材6の材質および製造方法は、上述に限定されない。
【0025】
本体部61は、概ね矩形板状の部位であり、シフトアンドセレクトシャフト2の軸方向に長く、周方向に短く配置される。本体部61には、第1貫通孔611および第2貫通孔612が穿設されている。第1貫通孔611と第2貫通孔612との位置関係は、第1インナーレバー4と第2インナーレバー5との位置関係に対応している。第1貫通孔611の孔形状は、軸方向の孔長が第1インナーレバー4の軸方向の長さLよりもかなり大きく、周方向の孔幅が第1インナーレバー4の厚みTよりもわずかに大きい。第1貫通孔611には、第1インナーレバー4が軸方向に移動可能に貫通する。第1インナーレバー4が軸周りに回動すると、本体部61を周方向に駆動する。
【0026】
第2貫通孔612は、第1貫通孔611から軸方向に離隔して周方向の異なる位相位置に配置されている。第2貫通孔612は、第1貫通孔611と類似の孔形状を有している。第2貫通孔612には、第2インナーレバー5が軸方向に移動可能に貫通する。第2インナーレバー5が軸周りに回動すると、本体部61を周方向に駆動する。実際には、一体的に同時に回動する第1インナーレバー4および第2インナーレバー5の一方が、本体部61に当接して周方向に駆動する。これにより、本体部61は、シフトアンドセレクトシャフト2の軸周りに揺動する。
【0027】
第1支承部62は、本体部61の軸方向の前縁からシフトアンドセレクトシャフト2に交差するように立設されている。第2支承部63は、本体部61の軸方向の後縁からシフトアンドセレクトシャフト2に交差するように、第1支承部62に平行して立設されている。第1支承部62および第2支承部63は、シフトアンドセレクトシャフト2が係入する軸孔621、631を有している。
【0028】
第1インターロック部64は、本体部61の両側の側縁の前寄りからそれぞれ延設された2つの曲げ板部641、645からなる。2つの曲げ板部641、645は、始めは本体部61から互いに遠ざかり、次に下方に屈曲し、最後には互いに接近するように、断面U字状に屈曲して形成されている。2つの曲げ板部641、645の各先端部642、646は、第1貫通孔611を貫通した第1インナーレバー4の先端部にセレクト方向の両側から接近するように配置される。
【0029】
第2インターロック部65は、本体部61の両側の側縁の後寄りからそれぞれ延設された2つの曲げ板部651、655からなる。2つの曲げ板部651、655は、始めは本体部61から互いに遠ざかり、次に下方に屈曲し、最後には互いに接近するように、断面U字状に屈曲して形成されている。2つの曲げ板部651、655の各先端部は、第2貫通孔612を貫通した第2インナーレバー5の先端部にセレクト方向の両側から接近するように配置される。
【0030】
さらに、変速機ケースに設けられた図略の規制部材によって、本体部61または第1支承部62または第2支承部63の軸方向への移動が規制される。これにより、インターロック部材6は、第1インナーレバー4および第2インナーレバー5とともに軸周りのセレクト方向に揺動し、軸方向すなわちシフト方向の移動が規制される。
【0031】
操作装置1の組み立てに際して、まず、インターロック部材6とレバー形成座21とを組み合せる。これにより、レバー形成座21の第1インナーレバー4が第1貫通孔611を貫通し、第2インナーレバー5が第2貫通孔612を貫通する。次に、
図1の矢印Z1−Z2に示されるように、シフトアンドセレクトシャフト2をインターロック部材6の一方の軸孔621、レバー形成座21、インターロック部材6の他方の軸孔631の順番に通して組み合わせる。最後に、シフトアンドセレクトシャフト2とレバー形成座21とを固定する。
【0032】
次に、
図2は、1−2速用フォークシャフト31を模式的に説明する図である。1−2速用フォークシャフト31は、1−2速用同期装置を操作するための部材である。1−2速用フォークシャフト31は、第1インナーレバー4によって操作されるフォークヘッド32を一体的に有している。
図2に示されるように、フォークヘッド32は二股に分岐しており、分岐間隙32Mに第1インナーレバー4または第1インターロック部64が排他的に係入する。
図2において、上下方向がシフト方向に相当する。1−2速用フォークシャフト31は、上方に移動すると1−2速用同期装置を操作して1速歯車組を噛合結合させる。また、1−2速用フォークシャフト31は、下方に移動すると1−2速用同期装置を操作して2速歯車組を噛合結合させる。
【0033】
3−4速用フォークシャフト、5−6速用フォークシャフト、および後進用フォークシャフトは、寸法諸元は異なるが1−2速用フォークシャフト31に類似した構造であり、それぞれフォークヘッド34、36、38を有する。3−4速用フォークシャフトは3−4速用同期装置を操作し、5−6速用フォークシャフトは5−6速用同期装置を操作し、後進速用フォークシャフトは後進用同期装置を操作する。後進用フォークシャフトおよび後進用同期装置は、シフト方向の片方向のみの動作となる。便宜的に、
図2以降の図中のフォークヘッド32、34、36、38の分岐部分に、噛合結合させる変速歯車組を小さな「1」〜「6」、「R」の符号で表示している。
【0034】
ここで、4軸のフォークシャフトのフォークヘッド32、34、36、38は、
図3に示されるように第1群G1および第2群G2に分割され、シフト方向に相互に離隔して分散配置される。
図3は、第1実施形態の変速機の操作装置1におけるフォークヘッド32、34、36、38の分割配置、ならびに変速操作を説明する平面断面図である。
図3には、3−4速用のフォークヘッド34がセレクト操作され、かつシフト操作されていないニュートラル状態が例示されている。また、
図4は
図3のA−A矢視断面を示した図であり、
図5は
図3のB−B矢視断面を示した図である。
【0035】
図3および
図4に示されるように、第1群G1では、1−2速用フォークシャフトのフォークヘッド32が図中の左側に配置され、3−4速用フォークシャフトのフォークヘッド34が図中の右側に配置されている。したがって、第1群G1は、1速歯車組から4速歯車組までを分担する。第1インナーレバー4は、第1群のフォークヘッド32、34をセレクト操作およびシフト操作する。第1インターロック部64は、第1群G1のなかで第1インナーレバー4がセレクト操作していないフォークヘッドのシフト方向への移動を規制する。
【0036】
また、
図3および
図5に示されるように、第2群G2では、5−6速用フォークシャフトのフォークヘッド36が図中の左側に配置され、後進用フォークシャフトのフォークヘッド38が図中の右側に配置されている。したがって、第2群G2は、5速歯車組、6速歯車組、および後進歯車組を分担する。第2インナーレバー5は、第2群のフォークヘッド36、38をセレクト操作およびシフト操作する。第2インターロック部65は、第2群G1のなかで第2インナーレバー5がセレクト操作していないフォークヘッドのシフト方向への移動を規制する。
【0037】
さらに、
図3に示されたオフセット寸法Dから分かるように、第1インナーレバー4および第2インナーレバー5の先端部は、フォークヘッドの厚みTに相当するだけ周方向に相互にオフセットして配設されている。また、第1群G1中のフォークヘッド34と、第2群G2中のフォークヘッド36とがセレクト方向において同じ位置に配置されている。第1インナーレバー4、第2インナーレバー5、およびインターロック部材6の4個の曲げ板部641、645、651、655は、セレクト方向(
図3の左右方向)に一緒に揺動する。また、第1インナーレバー4および第2インナーレバー5は、シフト方向(
図3の上下方向)に一緒に移動し、インターロック部材6の4個の曲げ板部641、645、651、655は、シフト方向に移動しない。
【0038】
さらに、各フォークヘッド32、34、36、38、第1インナーレバー4、第2インナーレバー5、およびインターロック部材6の4個の曲げ板部641、645、651、655を形成する部材の隅部分に面取り加工が施されている。面取り加工により、第1インナーレバー4が2個のフォークヘッド32、34をセレクト操作およびシフト操作する際の斜めシフト性能が向上する。さらに、面取り加工により、第2インナーレバーが2個のフォークヘッド36、38をセレクト操作およびシフト操作する際の斜めシフト性能が向上する。
図3に示された面取り加工の形状は一例であって、図示された形状に限定されるものではない。
【0039】
次に、上述のように構成された第1実施形態の変速機の操作装置1の動作について、
図3〜
図5を再度参照しながら説明する。
図3〜
図5に示されるニュートラル状態で、第1インナーレバー4は、3−4速用のフォークヘッド34の分岐間隙に係入してセレクト操作している。このとき、インターロック部材6の第1インターロック部64の一方の曲げ板部641は、1−2速用のフォークヘッド32の分岐間隙32Mに係入する。これにより、1−2速用フォークシャフト31の軸方向への移動が規制される。
【0040】
一方、ニュートラル状態で、第2インナーレバー5はセレクト操作を行っていない。そして、インターロック部材6の第2インターロック部65の他方の曲げ板部655は、5−6速用のフォークヘッド36の分岐間隙および後進用のフォークヘッド38の分岐間隙に係入する。これにより、5−6速用フォークシャフトおよび後進用フォークシャフトの軸方向への移動が規制される。
【0041】
したがって、シフトアンドセレクトシャフト2がニュートラル状態から軸方向に移動すると、第1インナーレバー4はシフト操作を行う。すなわち、第1インナーレバー4は、
図3の矢印S1に示されるように図中の上方向に移動して3−4速用のフォークヘッド34をシフト操作し、3速歯車組を噛合結合させる。また、第1インナーレバー4は、矢印S2に示されるように図中の下方向に移動して、4速歯車組を噛合結合させる。このとき、第2インナーレバー5は、第1インナーレバー4と一緒に上方向または下方向に移動するが、シフト操作は行わない。また、他のフォークヘッド32、36、38は、インターロック部材6により軸方向への移動が規制されており、すなわちインターロックされている。
【0042】
さらに、シフトアンドセレクトシャフト2が軸周りに回動すると、第1インナーレバー4および第2インナーレバー5はセレクト操作を行う。例えば、シフトアンドセレクトシャフト2がニュートラル状態から
図1の時計回りにフォークヘッド1個分だけ回動する場合を考える。この場合、
図3の矢印C1に示されるように、第1インナーレバー4は、フォークヘッド1個分だけ
図3の左方に揺動し、1−2速用のフォークヘッド32の分岐間隙32Mに係入してセレクト操作する。このとき、第1インターロック部64は、
図4に破線で示される位置64Sまで揺動する。そして、他方の曲げ板部645は、3−4速用のフォークヘッド34の分岐間隙に係入して軸方向への移動を規制する。これにより、第1インナーレバー4は、1−2速用フォークシャフト31のフォークヘッド32をシフト操作できるようになる。なおこのとき、第2インナーレバー5は、第1インナーレバー4と一緒に左方に揺動するが、セレクト操作は行わない。
【0043】
また例えば、シフトアンドセレクトシャフト2がニュートラル状態から
図1の反時計回りにフォークヘッド2個分だけ回動する場合を考える。この場合、
図3の矢印C2に示されるように、第2インナーレバー5は、フォークヘッド2個分だけ
図3の右方に揺動し、後進用のフォークヘッド38の分岐間隙に係入してセレクト操作する。このとき、第2インターロック部65は、
図5に破線で示される位置65Sまで揺動する。そして、一方の曲げ板部651は、5−6速用のフォークヘッド36の分岐間隙に係入して軸方向への移動を規制する。これにより、第2インナーレバー4は、後進用のフォークヘッド38をシフト操作できるようになる。なおこのとき、第1インナーレバー4は、第2インナーレバー5と一緒に右方に揺動するが、セレクト操作は行わない。
【0044】
次に、第1実施形態の変速機の操作装置1の効果について、従来技術と比較しながら説明する。
図6は、従来技術の変速機の操作装置1Xにおけるフォークヘッド32X、34X、36X、38Xの配置を説明する平面断面図である。
図6には、3−4速用フォークシャフトのフォークヘッド34Xがセレクト操作され、かつシフト操作されていないニュートラル状態が例示されている。
図6に示されるように、従来技術では、4軸のフォークシャフトのフォークヘッド32X、34X、36X、38Xが一列に配置される。また、インナーレバー4Xは1個とされている。インターロック部材6Xは、第1実施形態の第1インターロック部64に類似した構成であるが、曲げ板部641X、645Xがセレクト方向に長くなっている。
【0045】
図3に示された第1実施形態で、4軸のフォークシャフトのフォークヘッド32、34、36、38は、シフト方向に相互に離隔して配置された第1群G1および第2群G2に分割されて分散配置され、インナーレバー4、5、およびインターロック部材6も機能的に分割されている。これにより、
図6に示された従来技術と比較して、フォークヘッドの周りの部材配置に余裕が生じるので、設計上および製造上の制約を軽減できる。
【0046】
また、第1実施形態では、2個のインナーレバー4、5に分割されているので、1個のインナーレバーが受け持つフォークヘッドの数量が従来技術の4個から2個に減少する。したがって、面取り加工の形状自由度が拡がり、斜めシフト性能の向上に適した形状を採用できる。
【0047】
さらに、第1実施形態では、第1インナーレバー4および第2インナーレバー5がシフトアンドセレクトシャフト2の軸方向に離隔して周方向の異なる位相位置に配設され、第1群G1中のフォークヘッド34と第2群中のフォークヘッド36とがセレクト方向において同じ位置に配置されている。したがって、第1インターロック部64および第2インターロック部65も、セレクト方向においてオーバーラップして配置される。これにより、インターロック部材6は、オーバーラップ分に相当するオフセット寸法Dだけ、従来技術のインターロック部材6Xと比較して揺動範囲が狭くなる。したがって、第1実施形態では、従来技術と比較して設置スペースを狭小化でき、変速機ケースの胴周り寸法への制約も小さい。
【0048】
また、第1実施形態では、第1インターロック部64および第2インターロック部65が一体品のインターロック部材6とされている。このため、4個のフォークヘッド32、34、36、38を2群G1、G2に分割して配置しても、部材点数の増加が抑制される。したがって、組み付け性やコスト面で有利となる。
【0049】
さらに、一体品のインターロック部材6は、板材に加工を施して製造され、かつ、本体部61と第1および第2支承部62、63と第1インターロック部64と第2インターロック部65とを含んで形成され、さらに、ケース側に設けられた規制部材によって軸方向への移動が規制されるように構成できる。この態様では、板材に切削加工や曲げ加工などを施してインターロック部材6を製造できるので、鋳造加工などによる製造方法と比較してコスト面で大いに有利となる。
【0050】
次に、第2実施形態の変速機の操作装置について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
図7は、第2実施形態の変速機の操作装置1Aにおけるフォークヘッド32A、34A、36A、38Aの分割配置を説明する平面断面図である。
図7には、3−4速用フォークシャフトのフォークヘッド34Aがセレクト操作され、かつシフト操作されていないニュートラル状態が例示されている。第2実施形態の変速機の操作装置1Aは、第1実施形態と同様に、シフトアンドセレクトシャフト2、4軸のフォークシャフト、第1インナーレバー4A、第2インナーレバー5A、およびインターロック部材6Aなどで構成されている。ただし、第2実施形態では、第1インナーレバー4A、第2インナーレバー5A、および4軸のフォークヘッド32A、34A、36A、38Aの位置関係が第1実施形態と異なる。
【0051】
すなわち、
図7に示されたオフセット寸法DAから分かるように、第1インナーレバー4Aおよび第2インナーレバー5Aは、フォークヘッドの厚みTの2倍に相当するだけ周方向に相互にオフセットして配設されている。また、第1群G1A中の2個のフォークヘッド32A、34Aと、第2群G2A中の2個のフォークヘッド36A、38Aとがセレクト方向において同じ位置に配置されている。また、インターロック部材6Aの形状は、第1実施形態に類似しているが、第1貫通孔611と第2貫通孔612との位置関係が第1インナーレバー4Aと第2インナーレバー5Aとの位置関係に対応するように変更されている。
【0052】
第2実施形態の変速機の操作装置1Aは、第1実施形態と同様に動作し、第1実施形態と同様の効果が発生する。特に、オフセット寸法DAが大きい分だけインターロック部材6Aの揺動範囲が狭くなるので、設置スペースを狭小化できる効果が顕著になる。
【0053】
なお、本発明は、シフトアンドセレクトシャフトの軸方向の移動でセレクト操作し、軸周りの回動でシフト操作する構造の操作装置にも応用できる。その他にも、本発明は様々な応用や変形が可能である。