【実施例】
【0114】
実施例
本発明の化合物および方法は、以下の実施例に関連してより理解されるであろうが、これらは単なる例示として意図され、本発明の範囲を限定しない。開示される態様に対する種々の変更および改変は当業者に明らかであり、限定されることなく、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関するものなどのかかる変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0115】
化合物1およびそのメタンスルホン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびコリン塩の合成を以下のスキームに図示する。
【化4】
【化5】
【0116】
中間体107-1または107-2は、106をR-2-1またはR-2-2のいずれかとそれぞれ反応させることにより調製され得る。R-2-1およびR-2-2の合成のための合成スキームを以下に図示する:
【化6】
【0117】
または、代替的な方法による:
【化7】
【0118】
中間体108-1および108-2は、107-1または107-2を、R-3-1またはR-3-2のいずれかとのカップリング反応により調製され得、R-3-1およびR-3-2は、以下のスキームに従って調製され得る:
【化8】
【0119】
実施例1:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)の調製
工程a:(Z)-エチル-2-(エトキシメチル)-3-メトキシアクリレート(化合物202)
ナトリウム(40.9g、1.78mol)をエタノール(750mL)に部分的に注意深く添加し、溶液を濃縮し、全てのナトリウム金属が消失した後でNaOEt粉末を得た。撹拌しながら、ヘキサン(1.0L)を添加して、混合物を氷水浴で冷却した。201(130g、0.89mol)およびギ酸エチル(131g、1.78mol)の混合物を0〜5℃で滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。氷水浴で冷却しながら硫酸ジメチル(224g、1.78mol)を滴下した。得られた混合物を50℃で2時間加熱した。混合物に塩化トリエチルアンモニウム(122g)および水酸化ナトリウム(20g)を添加した。次いで混合物を室温で4時間撹拌してろ過した。濾液を水で洗浄してNa
2SO
4で乾燥させた。これを濃縮して、無色油状物の表題の化合物を得て(140g、37%)、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0120】
工程b:エチル2-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物203)
エタノール(500mL)中の化合物202(140g、0.745mol)、尿素(40.0g、0.697mol)および濃塩酸(34mL)の混合物を還流で一晩加熱した。反応液の体積の約50%を蒸発させた後、得られた懸濁物を濾過して、少量のエタノールで洗浄し、乾燥させて、白色固体の化合物203を得た(47g、37%)。LCMS: 171 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 1.19 (t, J = 7.2 Hz , 3H), 3.92 (s, 2H), 4.08 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 7.0 (s, 1H), 7.08 (d, J = 6.0 Hz , 1H), 8.83 (d, br, J = 4.8 Hz, 1H).
【0121】
工程c:エチル2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物204)
酢酸(500mL)中の化合物203(47g、280mmol)の溶液に、臭素(49.0g、307mmol)を添加した。混合物を還流で2時間加熱して、室温に冷却し、さらに0〜5℃で冷却して、ろ過し、黄色固体の表題の化合物204を得た(38g、54%)。LCMS: 169 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, D
2O): δ 1.28 (t, J = 7.2 Hz , 3H), 4.32 (q, J = 7.2 Hz , 2H), 9.00 (br, s, 2H).
【0122】
工程d:エチル2-クロロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物R-2-1)
化合物204(38.0g、153mmol)およびホスホリルトリクロライド(300mL)およびN,N-ジメチルアニリン(3mL)の混合物を還流で2時間加熱して、室温に冷却し、濃縮した。残渣を氷水で注意深く急冷し、炭酸ナトリウムでpHを7〜8に調整し、EtOAcで抽出した。合わせた有機物を氷水およびブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、カラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、10%で溶出)で精製し、白色固体の化合物R-2-1を得た(15g、52%)。LCMS: 187 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 1.36 (t, J = 7.5 Hz , 3H), 4.39 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 9.08 (s, 2H).
【0123】
工程e:ナトリウム(Z)-2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロプ-1-エン-1-オレート(化合物206)
無水1,2-ジメトキシエタン(300mL)中のNaH(27g、鉱物油中60%、0.675mol)の混合物を40〜50℃に加熱し、メチル3,3-ジメトキシプロピオネート(205)(100g、0.675mol)を滴下した。得られた混合物を0.5時間撹拌して、無水ギ酸メチル(81g、1.35mol)を40〜50℃で滴下した。得られた混合物を40〜50℃(内部温度)で2時間撹拌し、その後これを0℃に冷却した。反応混合物をゆっくり25℃に温めて、一晩撹拌した。Et
2O(150mL)を添加して、30分間撹拌した。得られた懸濁液を濾過した。固体をEt
2O(100mL)で洗浄し、回収して、乾燥させ、オフホワイト固体の表題の化合物206を得た(82g、61%)。LCMS (m/z): 130.8 [M+1]
+.
1HNMR (400 MHz, CD
3OD): δ 3.36 (s, 6H), 3.60 (s, 3H), 5.34 (s, 1H), 8.92 (s, 1H).
【0124】
工程f:2-アミノ-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(化合物207)
DMF(300mL)中の塩酸グアニジン(42.2g、0.44mol)の混合物に、化合物206(80g、0.40mol)を添加した。得られた混合物を100℃で1時間加熱した。反応混合物をろ過して、その後冷却した。ろ過ケーキを50mLのDMFで洗浄し、合わせた濾液を濃縮すると、残渣が残り、これを冷EtOHに懸濁して、冷EtOH (50mL)で洗浄し、黄色固体の化合物207を得た(38g、61.5%)。LCMS (m/z): 154.2 [M+1]
+, 195.1[M+42]
+.
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 3.88 (s, 3H), 8.77 (s, 2H).
【0125】
工程g:メチル2-クロロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物R-2-2)
化合物207(7g、0.046mol)を、濃塩酸(15.2mL)およびCH
2Cl
2(60mL)の混合物に添加した。冷却後、ZnCl
2(18.6g、0.138mol)を15〜20℃で添加した。混合物を15〜20℃で0.5時間撹拌して、5〜10℃に冷却した。内部温度を5〜10℃に維持しながらNaNO
2(9.5g、0.138mol)を分割して添加した。反応を約2時間続けた。反応混合物を氷水(50mL)に注いだ。有機層を分離して、水層をCH
2Cl
2(30mL*2)で抽出した。合わせた有機抽出物を濃縮して、粗生成物(4.2g)を得た。粗製の化合物をヘキサン(20mL)中に懸濁して、60℃で30分間撹拌し、ろ過した。濾液を濃縮して、オフホワイト固体の表題の化合物R-2-2を得た(3.5g、44.4%)。LCMS (m/z): 214.1[M+42]
+.
1HNMR (400 MHz, CDCl
3): δ 4.00 (s, 3H), 9.15 (s, 2H).
【0126】
工程h:5-ブロモ-2-メトキシピリジン(化合物303)
アセトニトリル(1.0L)中の2-メトキシ-ピリジン(100g、0.92モル)、NBS(180g、1.0モル)の溶液を還流で21時間撹拌した。TLCは、反応が完了したことを示した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。約900mlの溶媒を回収した。得られた懸濁物をろ過して、n-ヘキサン(約400mL)で洗浄した。濾液を再度濃縮して、粗生成物を得た。減圧下(30℃/約0.3mmHg)で粗生成物を蒸留し、透明油状物の表題の化合物を得た(146g、84%)。LCMS (m/z): 190.0 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 3.90 (s, 3H), 6.65 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4Hz, 1H), 8.19 (s, 1H).
【0127】
工程i:6-メトキシピリジン-3-イルホウ素酸(R-3-1):
無水THF(180ml)中の化合物303(20g、0.11モル)の溶液に、n-BuLi(59mL、THF中2M)を-78℃で滴下して、得られた混合物を1時間撹拌した。トリイソプロピルボレート(37mL)を-78℃で添加して、反応混合物を室温に温め、一晩撹拌を続けた。TLC(ヘキサン/酢酸エチル=5:1)は、反応の完了を示した。4N HCl(90ml)で、混合物をpH3〜4に調整した。沈殿物をろ過して回収し、粗製化合物R-3-1を得た(21g、128%)。粗製化合物R-3-1(21g)を水(200ml)に溶解し、濃アンモニア溶液で溶液をpH8〜9に調整し、沈殿物をろ過して回収し、白色固体の純粋な表題の化合物R-3-1を得た(11g、67%)。LCMS (m/z): 154.1 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.86 (s, 3H), 6.76 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.99 (dd, J = 8.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 8.05 (br, 2H), 8.52 (d, J = 2.0 Hz, 1H).
【0128】
工程j:2-メトキシ-5-(4,4,5,5,-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(化合物R-3-2)
無水ジオキサン(500mL)中の化合物303(55g、0.29mol)、4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(90g、0.35mol)、酢酸カリウム(57g、0.58mol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(2.2g、3mmol)の混合物を、N
2雰囲気下、108℃で一晩加熱した。反応混合物を濃縮して、ヘキサン/酢酸エチルで溶出されるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物R-3-2を得た(58g、84%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 1.30 (s, 12H), 3.88 (s, 3H), 6.81 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 8.0 Hz, 2.0Hz, 1H), 8.41 (d, J = 2.0Hz, 1H).
【0129】
工程k:チエノ[3,2-d]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物102)
尿素法:メチル3-アミノチオフェン-2-カルボキシレート(101)(90.0g、573mmol、1.0等量)および尿素(277.6g、4.6mol、8.0当量)の混合物を、190℃で3〜4時間加熱し、室温に冷却した。反応混合物に水性NaOH(10%、800mL)を添加した。常温で1時間撹拌した後、ろ過して固体を除去した。HClを用いて濾液をpH3〜4に酸性化し、沈殿した固体をろ過して回収し、水で洗浄して、真空下で乾燥させ、オフホワイト固体の所望の生成物化合物102を得た(87g、89%)。m.p.:280〜285℃. LCMS (m/z): 169.0 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO- d
6): δ 6.92 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 11.0-11.5 (br, 2H).
【0130】
KOCN法:3-アミノチオフェン-2-カルボキシレート(101)(100.0g、636.9mmol、1.0当量)、酢酸(705mL)および水(600mL)の混合物にシアン酸カリウム(154.8g、1.91mol、3.0等量)の水溶液(326mL)を、1時間かけてゆっくり添加した。得られた混合物を室温で20時間撹拌し、ろ過して水(500mL)ですすいだ。ケーキを適切な大きさの反応器に詰めて、2M水酸化ナトリウム水溶液(1.65L)を添加して、スラリーを2時間撹拌して、LCMSで所望の生成物の形成を確認した。混合物を10℃に冷却し、3Mの塩酸水溶液(1.29L)を、pH=5.0〜6.0まで添加した。スラリーをろ過して、水(700mL)ですすぎ、真空オーブン中、50℃で24時間かけて乾燥させ、オフホワイト固体の化合物102を得た(100g、94%)。LCMS (m/z): 169.1 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 6.92 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 11.14 (s, 1H), 11.51 (s, 1H).
【0131】
工程l:2,4-ジクロロチエノ[3,2-d]ピリミジン(化合物103)
温度を20℃未満に維持しながら、酸塩化リン(152mL、1.67mol、7.0当量)をアセトニトリル(250mL)中の化合物102(40g、238mmol、1.0当量)およびN,N-ジメチルアニリン(22.5mL、179mmol、0.75当量)の冷溶液にゆっくり添加した。混合物を85℃に加熱して、24時間撹拌した。反応混合物を15℃に冷却して、氷冷水の混合物(360mL)にゆっくり注いだ。得られたスラリーをろ過して、冷水(200mL)ですすいだ。ケーキを真空オーブン中、40℃で24時間かけて乾燥させ、オフホワイト固体の化合物103を得た(40.5g、83%)。M.p.:245〜250℃. LCMS (m/z): 205.0 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 7.75 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.71 (d, J = 5.2 Hz, 1H).
【0132】
工程m:2-クロロ-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン(化合物104)
化合物103(34.2g、167mmol、1.0当量)およびメタノール(500mL)の混合物にモルホリン(31.2mL、367mmol、2.2当量)をゆっくり添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。沈殿物をろ過して回収し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、明黄色固体の所望の生成物化合物104を得た(39g、91%)。M.p.: 250〜255℃. LCMS (m/z): 256.0 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.76 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.92 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 7.42 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.32 (d, J = 5.2 Hz, 1H).
【0133】
工程n:2-クロロ-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-カルバルデヒド(化合物105)
THF(無水、320mL)中の化合物104(20g、78.4mmol、1.0当量)の懸濁物に、窒素下、-78℃でn-BuLi(ヘキサン中2.4M、40.8mL、102mmol、1.3当量)をゆっくり添加した。得られたスラリーを-60℃まで温めると、茶色透明溶液になった。反応混合物を再度-78℃に冷却して、DMF(無水、9.1mL、118mmol、1.5当量)をゆっくり添加した。得られた溶液を-78℃で0.5時間撹拌して、1時間かけて0℃まで温め、HCl水溶液(0.25M、660mL)および氷水(320mL)の混合物にゆっくり注いだ。得られたスラリーを0〜10℃で0.5時間撹拌し、ろ過して、冷水で洗浄し、真空下で乾燥させ、黄色固体の化合物105を得た(22g、98%)。M.p.:260〜265℃. LCMS (m/z): 284.0 [M+1]
+ 1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.77 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.96 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 8.30 (s, 1H), 10.21 (s, 1H).
【0134】
工程o:(2-クロロ-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イルメチル)-メチル-アミン(化合物106)
メタノール(125mL)中の化合物105(20.0g、70.4mmol、1.0等量)の溶液に、メチルアミンのメタノール溶液(27%v/v、75mL、563.2mmol)を窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、真空下で溶媒を除去し、粗製の固体生成物を得て、これを窒素下でメタノール(550mL)およびTHF(220mL)に溶解した。臭化水素ナトリウム(8g、211.2mmol)を分割して添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。真空下で反応混合物を蒸発させ、水(300mL)を添加した。メチレンクロライドで水性混合物を抽出し、合わせた抽出物をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。残渣を6M HCl(230mL)に溶解し、30分間撹拌した。水溶液をメチレンクロライドで数時間洗浄し、NaOH(4N)でpH9〜10に調整した。沈殿した固体をろ過して回収し、乾燥させ(60℃、6時間)、明黄色固体を得た(18g、85%)。M.p.: 240〜245℃. LCMS (m/z): 299 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 2.32 (s, 3H), 3.74 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.88 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.96 (s, 2H), 7.24 (s, 1H).
【0135】
工程p(a):2-[(2-クロロ-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イルメチル)-メチル-アミノ]-ピリミジン-5-カルボン酸エチルエステル(化合物107-1)
CH
3CN(400mL)中の106(10g、33.6mmol)およびR-2-1(6.8g、36.4mmol)の混合物に、室温で、ジイソプロピルエチルアミン(220mL、1.26mol)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を蒸発させ、その後メチレンクロライド(300mL)を添加した。有機層を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮すると残渣が残った。残渣に酢酸エチルを添加し、得られた混合物を氷/水浴温度で50分間撹拌した。得られた固体をろ過して回収し、白色固体の表題の生成物107-1を得た(10.6g、70%)。LCMS: 449 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 1.30 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 3.25 (s, 3H), 3.71 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.83 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 4.29 (m, 2H), 5.21 (s, 2H), 7.39 (s, 1H), 8.87 (s, 2H).
【0136】
工程p(b):2-[(2-クロロ-4-モルホリン-4-イル-チエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イルメチル)-メチル-アミノ]-ピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(化合物107-2)
化合物106(25g、84mmol)、CH
3CN(500mL)およびR-2-2(16g、92mmol)の混合物を室温で撹拌した。ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(500mL、2.9mol)を添加した。溶液を一晩撹拌して、蒸発させた。メチレンクロライド(500mL)を添加後、有機層を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣に酢酸エチル(200mL)を添加し、混合物を氷/水浴中で50分間撹拌した。白色固体の表題の生成物を回収した(29.4g、81%)。LCMS (m/z): 435.2 [M+1]
+.
1HNMR (400 MHz, DMSO-d
6): 3.25 (s, 3H), 3.71 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.82-3.84 (m, 7H), 5.21 (s, 2H), 7.39 (s, 1H), 8.87 (s, 2H).
【0137】
工程q(a):エチル-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物108-1)
方法A:トルエン(80ml)、エタノール(50ml)および水(10ml)の混合溶媒中の化合物107-1(12g、26.7mmol)、R-3-1(4.9g、32mmol)、NaHCO
3(6.7g、80.1mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(188mg、0.267mmol)の混合物を、N
2雰囲気下、108℃で4.5時間加熱した。TLCは、反応が完了したことを示した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、水(20ml)を添加した。得られた固体をろ過して回収し、次いでエタノール(100mL)に懸濁した。懸濁物を室温で30分間撹拌してろ過した。回収した固体をエタノールで洗浄し、真空下で乾燥させ、白色固体の表題の化合物108-1を得た(10g、72%)。
【0138】
方法B:トルエン(24ml)、エタノール(15ml)および水(3ml)の混合溶媒中の化合物107-1(1.5g、3.34mmol)、R-3-2(1.6g、6.68mmol)、NaHCO
3(0.84g、10.0mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(118mg、0.167mmol)の混合物を、N
2雰囲気下、108℃で一晩加熱した。反応混合物を、ジクロロメタンと水で分けた。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過して、真空下で蒸発させ、残渣を得、これをヘキサン/酢酸エチルで溶出されるカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体の化合物108-1を得た(1.7g、98%)。
m.p.198〜202℃. LCMS: 522.30 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 1.31 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 3.28 (s, 3H), 3.76 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.93 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.94 (s, 3H), 4.30 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 5.24 (s, 2H), 6.92 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.47 (s, 1H), 8.57 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0Hz, 1H), 8.88 (s, 2H), 9.15 (d, J = 2.0 Hz, 1H).
【0139】
工程q(b):メチル-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキシレート(化合物108-2)
ジオキサン(540mL)中の化合物107-2(20g、46.0mmol)、B-3-1(9.2g、60.2mmol、1.3当量)の混合物に、室温で固体のNaHCO
3(11.6g、138.1mmol、3当量)を添加して、その後水(40mL)を添加した。溶液の表面にN
2を通過させることにより、得られた混合物を脱気した。次いで、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロライド(323mg、0.46mmol、0.01当量)を添加して、得られた混合物を108℃で15時間加熱した。TLCおよびLCMSは、反応の完了を示した。反応混合物がまだ熱い(>90℃)うちに、セライトに通してろ過し、ジオキサン(70mL)で洗浄した。濾液を徐々に室温まで冷却し、冷却期間中に白色微結晶が形成された。懸濁物をろ過して、ジオキサン(80mL)で洗浄し、白色固体の表題の化合物108-2を得た(18g, 78%)。LCMS (m/z): 508.3 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.28 (s, 3H), 3.76 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.82 (s, 3H); 3.92 (m, 4H), 3.93 (s, 3H), 5.20 (s, 2H), 6.91 (d, J = 8.8Hz, 1H), 7.47 (s, 1H), 8.57 (dd, J = 8.8Hz, 2.4Hz, 1H), 8.88 (s, 2H), 9.15 (d, J = 2.0Hz, 1H).
【0140】
工程r:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド(化合物1)
ヒドロキシルアミンメタノール溶液の調製
MeOH(400mL)中のNH
2OH.HCl(80g、1.12mol)の混合物を60〜65℃で1時間加熱すると、透明な溶液が形成された。次いで、これを氷水浴中で冷却した。反応温度を0〜10℃に維持しつつ、冷混合物にMeOH(240mL)中のKOH(96g、1.68mol)の溶液を滴下した。得られた混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、無水Na
2SO
4(700g)を充填した定圧漏斗でろ過した。ろ過物を氷浴下で回収し、その後の使用のために冷蔵庫で保存した。
【0141】
化合物108-1からの化合物1の調製
化合物108-1(10g、19mmol)を、上記の新たに調製したヒドロキシルアミンメタノール溶液(1.79M、350ml)に懸濁した。この混合物にジクロロメタン(100mL)を添加した。反応フラスコを密封して、混合物を室温で5時間撹拌すると、その後、透明な溶液になった。反応をさらに9時間撹拌し、不溶性固体をろ過して除去した。酢酸を添加して、濾液をpH6〜7に調整すると、固体沈殿物が形成された。固体をろ過して回収し、水および最少量のメタノールで洗浄し、真空下、60℃で5時間乾燥させ、白色固体の化合物1を得た(9.2g, 96%)。m.p. 177〜180℃. LCMS: 509.3 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.24 (s, 3H), 3.76 (t, J = 5 Hz, 4H), 3.92 (t, J = 5 Hz, 4H), 3.92 (s, 3H), 5.20 (s, 2H), 6.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 8.57 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4Hz, 1H), 8.75 (s, 2H), 9.01 (s, 1H), 9.14 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 11.08 (s,1H).
【0142】
化合物108-2からの化合物1の調製
ジクロロメタン(310mL)中の化合物108-2(31g、61.1mmol)の懸濁物に、室温で上述の新たに調製したヒドロキシルアミンメタノール溶液(1.79M、744ml)を添加した。反応フラスコを密封して、反応混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物は透明の溶液になった。反応溶液をろ過して、不溶性の固体を除去した。次いで、濾液に水(310mL)を添加したが、添加中に固体は形成されなかった。撹拌しながら酢酸(18.5mL)を添加し、pHを10.20に調整した(pHメーターにより継続してモニタリング)。酢酸の添加中に内部温度の変化はなかった。得られた反応混合物を継続してさらに4時間撹拌した。徐々に白色固体が形成された。懸濁物をろ過して、最少量のメタノール(100mLx3)で洗浄した。回収した白色固体をメタノール(620mL)および水(124mL)に再懸濁して懸濁物を形成した。上記の懸濁物に、さらに酢酸(11g)を添加し、pHを5〜6に調整した。固体形成の変化を観察した。懸濁物をさらに2時間撹拌し続けて、ろ紙でろ過して、最少量のメタノール(100mLx3)で洗浄した。回収した白色固体をオーブン(50℃)中で12時間乾燥させ、白色固体の表題の化合物1を得た(23.6g, 76.0%)。m. p.: 255〜259℃. LCMS (m/z): 509.3 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.24 (s, 3H), 3.76 (t, J = 5.2 Hz, 4H), 3.92 (t, J = 5.2Hz, 4H), 3.92 (s, 3H), 5.20 (s, 2H), 6.91 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.45 (s, 1H), 8.57 (dd, J = 8.4Hz, 2.4Hz, 1H), 8.75 (s, 2H), 9.07 (s, 1H), 9.14 (d, J = 2.4Hz, 1H), 11.14 (s,1H).
【0143】
実施例2:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドメタンスルホン酸塩(化合物2)の調製
方法A:化合物1(300mg、0.59mmol)およびMeOH/Et
2O(3/1、40mL)の混合物に、MeOH(3mL)中のメタンスルホン酸(114mg、1.18mmol)の溶液を0℃で添加した。得られた混合物を0℃で3時間撹拌した。沈殿物をろ過して回収し、Et
2Oで洗浄して、白色固体の化合物2を得た(260mg、73%)。
【0144】
方法B:ジクロロメタン/MeOH(40mL/10mL)中の化合物1(1.5g、2.95mmol)の懸濁物に、2mLのMeOH中のメタンスルホン酸(341mg、3.55mmol)を、室温(15℃)で添加すると、透明の溶液が形成された。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物は依然透明であった。混合物に酢酸エチル(40mL)を添加し、室温で3時間撹拌を継続した。得られた沈殿物をろ過して回収し、白色固体の化合物2を得た(1.45g, 83%)。
m.p.: 179〜185℃. LCMS: 509.3 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 2.35 (s, 3H), 3.26 (s, 3H), 3.78 (t, J = 9.6 Hz, 4H), 3.95 (s, 3H), 4.03 (t, J = 9.2 Hz, 4H), 5.24 (s, 2H), 6.99 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.50 (s, 1H), 8.54 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 8.76 (s, 2H), 9.12 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 11.11 (br, 1H).
【0145】
実施例3:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドナトリウム塩(化合物3)の調製
メタノール(30mL)中の化合物1(300mg、0.59mmol)の懸濁物に、0℃でt-BuONa(85mg、0.88mmol)をゆっくり添加した。得られた混合物を室温に温め、継続して2時間撹拌した。反応を濃縮して、残渣を粉砕し、エタノールで洗浄し、その後ろ過し、白色固体の化合物3を得た(230mg、73%)。m.p.: 178〜183℃. LCMS: 509.3 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.17 (s, 3H), 3.75 (s, 4H), 3.92 (s, 7H), 5.16 (s, 2H), 6.90 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42 (s, 1H), 8.57 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.65 (s, 2H), 9.14 (s, 1H).
【0146】
実施例4:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドカリウム塩(化合物4)の調製
メタノール(50mL)中の化合物1(400mg、0.78mmol)の混合物に、t-BuOK(132mg、1.17mmol)を、0℃、N
2下で添加した。混合物を0℃で1時間撹拌して、室温で1.5時間継続して撹拌した。不溶性の固体をろ過して除去し、濾液を-20℃に冷却した。Et
2O(100mL)を濾液に添加した。得られた混合物を-20℃で1時間撹拌した。ヘキサン(70mL)を添加して、混合物を-20℃で2時間継続して撹拌した。固体をろ過して回収し、真空下で乾燥させ、白色固体の化合物4を得た(150mg、35%)。m.p.: 174〜179℃. LCMS: 509.3[M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.16 (s, 3H), 3.74-3.76 (m, 4H), 3.90-3.93 (m, 7H), 5.15 (s, 2H), 6.90 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.43 (s, 1H), 8.39 (br, 1H), 8.58 (d, J = 8.8Hz, 1H), 8.62 (s, 2H), 9.15 (s, 1H).
【0147】
実施例5:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドコリン塩(化合物5)の調製
DCM/MeOH(60mL/12mL)中の化合物1(200mg、0.39mmol)の溶液に、水酸化コリン(106mg、0.39mmol、MeOH中45%)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、濃縮して約30mLの溶媒を除去した。酢酸エチル(60mL)を添加して、混合物を室温で2時間撹拌した。少量の沈殿が生じた後、混合物を濃縮して約40mLの溶媒を除去し、さらに酢酸エチル(60mL)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、ろ過し、白色固体の化合物5を得た(180mg、76%)。m.p.: 181〜185℃. LCMS: 509.3[M+1]
+.
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 3.11 (s, 9H), 3.17 (s, 3H), 3.40 (t, J = 4.8Hz, 2H), 3.75 (t, J = 4.8Hz, 4H), 3.84 (br, 2H), 3.90-3.93 (m, 7H), 5.15 (s, 2H), 6.89 (d, J = 8.8Hz, 1H), 7.41 (s, 1H), 8.57 (dd, J = 8.8Hz, 2.4Hz, 1H), 8.64 (s, 2H), 9.14 (d, J = 2.0Hz, 1H).
【0148】
実施例6:N-ヒドロキシ-2-(((2-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)(メチル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド硫酸塩(化合物6)の調製
DCM/MeOH(30mL/7.5mL)中の化合物1(200mg、0.39mmol)の懸濁物に、硫酸(1mLのMeOH中77mg、0.79mmol)を添加すると、透明の溶液が形成された。反応混合物を室温で一晩撹拌した。沈殿が生じて、次いでtert-ブチルメチルエーテル(60mL)を添加した。得られた混合物を室温で1時間継続して撹拌した。固体をろ過して回収し、白色固体の化合物6を得た(180mg、76%)。M.p.: 243〜246℃. LCMS: 509.3 [M+1]
+.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 3.26 (s , 3H), 3.78 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.96 (s, 3H), 4.03 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 5.24 (s, 3H), 6.98 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.50 (s , 1H), 8.54 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 8.76 (s, 2H), 9.12 (d, J = 2.0 Hz, 1H) , 11.06 (br, 1H).
【0149】
実施例7:PI3キナーゼ活性アッセイ
以下のアッセイを使用して、化合物1がPI3Kの種々のアイソフォームおよび変異体を阻害する能力を決定した。
【0150】
PI3Kα
PI3Kα活性は、ADP-Glo発光キナーゼアッセイを使用して測定した。PI3Kα(N末端GSTタグ付加組み換え全長ヒトp110αとタグ付加されていない組み換え全長ヒトp85αの複合体)を、バキュロウイルスを感染させたSf9細胞発現系中で共発現させた。(p110αについてのGenBank受託番号U79143;p85αについての受託番号XM_043865)。グルタチオン-アガロースを使用した1工程親和性クロマトグラフィーにより、タンパク質を精製した。競合アッセイを行って、精製された組み換えPI3Kα(p110α/p85α)およびPIP2の存在下で、ATPから生じたADPの量を測定した。反応バッファ(50mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、5mM MgCl2、3uM オルトバナジウム酸Na、1mM DTT、10μM超純粋ATPおよび0.5% DMSO)中、30分間、30℃で、PI3Kαを20μM PIP2基質とインキュベートした。次いで、反応中に生じたADPをADP-Gloアッセイにより測定した。該アッセイは2工程で行った;第1に、等容量のADP-GLO
TM試薬(Promega)を添加して、キナーゼ反応を終結させ、残存ATPを枯渇させた。第2工程で、ADPをATPに同時に変換するキナーゼ検出試薬を添加した。新たに合成されたATPは、共役ルシフェラーゼ/ルシフェリン反応を使用して測定した。このアッセイにおいて化合物1について測定されたIC
50は100nM未満であった。
【0151】
化合物1がPI3Kαの変異体H1047RおよびE545Kを阻害する能力も、上述の一般的な手法を使用して測定した。両方の変異体について測定されたIC
50は100nm未満であった。
【0152】
PI3Kβ
PI3Kβの活性は、ホモジニアス時間分解蛍光(homogenous time-resolved fluorescence)(HTRF)技術を利用した時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR-FRET)アッセイを使用して測定した。P13Kβ(N末端ヒスチジンタグ付加組み換え全長ヒトp110βとタグ付加されていない組み換え全長ヒトp85αの複合体)を、バキュロウイルスを感染させたSf21細胞発現系において共発現させた。(p110βについてのGenBank受託番号NM_006219;p85αについての受託番号XM_043865)。グルタチオン-アガロースを使用した1工程親和性クロマトグラフィーにより、タンパク質を精製した。競合アッセイを行って、精製された組み換えPI3Kβ(p110β/p85α)の存在下でPIP2から生じたPIP3の量を測定した。反応バッファ(20mM HEPES、pH7.5、10mM NaCl、4mM MgCl
2、2mM DTT、10μM ATPおよび1% DMSO)中、30分間、30℃で、PI3Kβを10μM PIP2基質とインキュベートした。次いで、反応生成物をPIP3検出体(detector)タンパク質、ユーロピウム標識抗体、ビオチン標識PIP3プローブおよびアロフィコシアニン標識ストレプトアビジンと混合した。センサー複合体(sensor complex)を形成させて、反応混合物中に安定なTR-FRETシグナルを生成する。このシグナル強度は、PIP3検出体に結合したビオチン標識プローブが酵素活性により生成されたPIP3と置き換えられ、混合物中の未結合ビオチン標識PIP3プローブの量が増加すると、減少する。TR-FRETシグナルは、バックグラウンドを差し引いたマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【0153】
このアッセイにおいて化合物1について測定されたIC
50は、100〜1000nMであった。
【0154】
PI3Kδ
PI3Kδの活性は、蛍光偏光アッセイを使用して測定した。P13Kδ(N末端ヒスチジンタグ付加組み換え全長ヒトp110δとタグ付加されていない組み換え全長ヒトp85αの複合体)を、バキュロウイルスを感染させたSf9細胞発現系において共発現させた。(p110δについてのGenBank受託番号NM_005026)。グルタチオン-アガロースを使用した1工程親和性クロマトグラフィーにより、タンパク質を精製した。競合アッセイを行って、精製された組み換えPI3Kδ(p110δ/p85α)の存在下でPIP2から生成されたPIP3の量を測定した。反応バッファ(20mM HEPES(pH7.5)、10mM NaCl、4mM MgCl
2、2mM DTT、10μM ATPおよび1% DMSO)中、1時間、30℃で、PI3Kδを10μMのPIP2基質とインキュベートした。次いで、反応生成物を、PIP3検出体タンパク質および蛍光PIP3プローブと混合した。偏光(mP)値は、PIP3検出体に結合した蛍光プローブが、酵素活性により生じたPIP3と置き換えられ、混合物中の結合していない蛍光プローブの量が増加すると、減少する。偏光度(mP)値は、バックグラウンドを差し引いたマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【0155】
このアッセイにおいて化合物1について測定されたIC
50は100nM未満であった。
【0156】
PI3Kγ
PI3Kγの活性は、ホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)技術を利用した時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR-FRET)アッセイを使用して測定した。N末端ヒスチジンタグ付加ヒトP13Kδを、バキュロウイルスを感染させたSf9細胞発現系中で共発現させた。(GenBank受託番号AF327656)。タンパク質は、グルタチオン-アガロースを使用した1工程親和性クロマトグラフィーにより精製される。競合アッセイを行って、精製された組み換えPI3Kγ(p120γ)の存在下でPIP2から生成されたPIP3の量を測定した。反応バッファ(20mM HEPES、pH7.5、10mM NaCl、4mM MgCl
2、2mM DTT、10μM ATPおよび1% DMSO)中、30分間、30℃で、PI3Kγ(2nM)を10μM PIP2基質とインキュベートした。次いで、反応生成物を、PIP3検出体タンパク質、ユーロピウム標識抗体、ビオチン標識PIP3プローブおよびアロフィコシアニン標識ストレプトアビジンと混合した。センサー複合体が形成されると、反応混合物中に安定なTR-FRETシグナルが生じる。このシグナル強度は、PIP3検出体に結合したビオチン標識プローブが、酵素活性により生じたPIP3と置き換えられ、混合物中の結合していないビオチン標識PIP3プローブの量が増加すると、減少する。TR-FRETシグナルは、バックグラウンドを差し引いたマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【0157】
このアッセイにおいて化合物1について測定されたIC
50は、100〜1000nMであった。
【0158】
実施例8:HDAC活性アッセイ
HDAC阻害活性は、Biomol Color de Lys system (AK-500, Biomol, Plymouth Meeting, PA)を使用して評価した。簡潔に、HeLa細胞核抽出物をHDACの供給源として使用した。異なる濃度の試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に逐次希釈して、比色人工基質の存在下でHeLa細胞核抽出物に添加した。最終アッセイ条件は、50mM Tris/Cl、pH8.0、137mM NaCl、2.7mM KClおよび1mM MgCl
2を含んだ。反応は、室温(25℃)で1時間行い、その後終結のために顕色剤を添加した。WALLAC Victor II 1420マイクロプレートリーダー中で、蛍光強度として相対酵素活性を測定した(励起:350〜380nm;発光:440〜460nm)。S字状用量応答曲線がIC
50計算値に適合するGraphPad Prism (v4.0a)を使用してデータを分析した。このアッセイにおいて化合物1について測定されたIC
50は100nM未満であった。
【0159】
HDACアイソタイプに対する化合物1の活性も測定した。HDAC特異性アッセイは、標準的な操作手順に従ってBPS Bioscience (San Diego, CA)で行った。簡潔に、精製したフラッグ-(ヒトHDAC-1)、NCOR2-(ヒトHDAC3)、GST-(ヒトHDAC4、6、7、10および11)またはHis-(ヒトHDAC2、5、8および9)タグ付加酵素を、Sf9昆虫細胞中で発現させ、使用前に精製した。HDAC1、2、3、6、7、8、9および11に使用した基質は、BPS Bioscienceが開発したHDAC Substrate 3であった。他のHDAC酵素についてはHDACクラス2a基質を使用した。HDAC11酵素アッセイ(室温で3時間行った)以外の全ての酵素反応は、37℃で30分間、2重で行った。
【0160】
以下の表は、HDAC1-11のそれぞれについての結果を示し、IC50値は、以下のように示す:I>1000nM;100nM<II<1000nM;10nM<III<100nM;IV<10nM。
【表1】
【0161】
実施例9:細胞増殖アッセイ
ヒト癌細胞株をAmerican Type Culture Collection (Manassas, VA)から購入し、提供者によって提案されるように、96ウェル平底プレートの1ウェルあたり、培養培地と共に5,000〜10,000個で平板培養した。0.5%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS)を補充した培養培地中で72時間、細胞を、種々の濃度の化合物とインキュベートした。Promega CellTiter-Gloキットを使用して、増殖阻害をアデノシン三リン酸(ATP)含有量アッセイにより評価した。Promega CellTiter-Gloキットは、ホタルルシフェラーゼに基づくATPモニタリングシステムである。簡潔に、1ウェルあたり16μlの哺乳動物細胞溶解液および基質溶液を、84μlの培養培地に添加して細胞を溶解し、ATPを安定化した。混合物を振盪して、30分間インキュベートし、その後発光を測定した。S字状用量応答曲線が適合するPRISMソフトウェア(GraphPad Software)を使用してIC
50値を計算した。
【0162】
表1は、化合物1ならびに参照化合物SAHA、GDC-0941およびSAHAとGDC-0941の組み合わせのこれらの細胞系アッセイにおける抗増殖活性を示す。これらのアッセイにおいて、以下の等級を使用した:IC
50についてI>10,000nM、10,000nM≧II≧1000nM、1000nM>III≧100nM、100nM>IV≧10nMおよびV<10nm。
【0163】
【表2-1】
【表2-2】
【0164】
実施例10:化合物1の製剤化
a. 30% Captisol中の化合物1(10mg/mL):
化合物1(10mg)を含むバイアルに30% Captisol(0.937ml)を添加した。混合物を2分間超音波処理した。混合物に水酸化ナトリウム(1N、39.3μl、2当量)を添加して、超音波処理/ボルテックスにかけ、透明な溶液(pH=12)を得た。次いで、該溶液を、塩酸(1N、23.6μl、1.2当量)でpH=10に調整した。
【0165】
b. 30% Captisol中の化合物1(7.5mg/mL):
化合物1(7.5mg)を含むバイアルに30% Captisol(0.941ml)を添加した。混合物を2分間超音波処理した。混合物に水酸化ナトリウム(1N、29.5μl、2当量)を添加して、超音波処理/ボルテックスにかけ、透明な溶液(pH=12)を得た。次いで、該溶液を、塩酸(1N、29.5μl、2当量)でpH=5に調整した。
【0166】
c. C10/PEG1450/PEG400中の化合物1(5mg/mL):
化合物1(5mg)、デカン酸ナトリウム(20mg)、PEG400(40μl)およびPEG1450(40mg)を含むバイアルに、H
2O(0.88ml)およびNaOH(1N、24.6μl、2.5当量)を添加した。混合物を超音波処理してボルテックスにかけ、透明な溶液を得て、これをHCl(1N、7.4μl、0.75当量)でpH=10に調整した。
【0167】
実施例11:腫瘍保有マウスにおける薬物動態学的研究および薬力学的研究
H2122腫瘍保有ヌードマウス
H2122(ヒト非小細胞肺癌細胞株)異種移植片腫瘍を保有するヌードマウスを薬物動態学的研究に使用した。デカン酸ナトリウムおよびPEG400(5mg/ml)と共に化合物1を水中で製剤化し、それぞれの動物に50mg/kgの用量で、胃管栄養法により経口(PO)投与した。化合物投与後の種々の時点で、1時点当たり3匹のマウスをCO
2で安楽死させて血液および腫瘍組織を採取した。血液はヘパリンナトリウムを含むチューブに回収した。遠心分離により血漿を分離した。血漿および組織をその後の分析のために-80℃で保存した。PE Sciex API-3000 LC-MS/MSシステム(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を使用して、血漿および腫瘍組織中の化合物濃度を分析した。
【0168】
この研究の結果を以下の
図1および表2に要約する。
図1は、経口投与後の時間に対する血漿および腫瘍組織中の化合物1の濃度のグラフである。結果は、化合物1は腫瘍組織中に優先的に蓄積することを示す。これは、血漿中よりも腫瘍組織中での化合物1の有意に長い半減期および腫瘍組織の化合物1に対する有意に大きな曝露(AUC)を示す、表3に示す結果に支持される。
【0169】
【表3】
【0170】
Daudi腫瘍保有SCIDマウス
Daudi(非ホジキンリンパ腫細胞株)細胞を雌Scid(重症複合型免疫不全)マウスに移植した。腫瘍の定着後に、動物に、30% Captisol、pH10中に調製した25、50または100mg/kgの化合物1を、それぞれ1.875、3.75または7.5mg/mLの濃度で経口胃管栄養法により投与した。
【0171】
化合物投与後の種々の時点で、1時点当たり3匹のマウスをCO
2で安楽死させて血液および腫瘍組織を採取した。血液は、ヘパリンナトリウムを含むチューブに回収した。遠心分離により血漿を分離した。血漿および組織は、その後の分析のために-80℃で保存した。PE Sciex API-3000 LC-MS/MSシステム(Applied Biosystems, Inc., Foster City, CA)を使用して、血漿中の化合物濃度を分析した。
【0172】
この研究の結果を以下の
図2A、2Bおよび2Cならびに表3に要約する。
図2Aは、経口投与後の時間に対する血漿中の化合物1の濃度のグラフであり、化合物に対する用量依存的曝露を示す。
図2Bは、経口投与後の時間に対する腫瘍組織中の化合物1の濃度のグラフである。結果は、化合物1は用量依存的に腫瘍組織中に優先的に蓄積することを示す。100mg/kg投与後の血漿および腫瘍の濃度を
図2Cで比較すると、腫瘍組織は優先的に化合物1を取り込むことが示される。これは、血漿中よりも腫瘍組織中での化合物1の有意に長い半減期および化合物1に対する腫瘍組織の有意に大きい曝露(AUC)を示す、表3に示される結果により支持される。
【0173】
【表4】
【0174】
薬力学
25mg/Kg、50mg/kgおよび100mg/kgでの化合物1の単一用量での治療後のPD評価のために腫瘍を回収した。製造業者の指示書に従って、Tissuelyser (Qiagen, Valencia, CA)を使用して、腫瘍組織からタンパク質を抽出した。上述のように、WB分析のために30ugのタンパク質を常套的に使用した。細胞溶解物をNuPAGE Novex 4〜12% Bis-Trisゲル(Invitrogen)で分離して、ニトロセルロース膜(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)に転写した。4℃で一晩かけて、ブロットに種々の一次抗体で、プローブした(probed)。それぞれのアッセイについて、GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、1:30,000、Abcam, Cambridge, MA)を内部対照として使用した。次いで膜を、赤外線標識(infrared labeled)二次抗体(1:10000)のIR Dye-800 (Rockland Immunochemicals, Inc. Gilbertsville, PA)複合体またはAlexa 680(Invitrogen)複合体とインキュベートした。膜を、Odyssey Infrared Imaging System (Li-Cor Biotechnology, Lincoln, NE)で画像化した。
【0175】
この研究の結果を、3つの投与群由来の腫瘍組織抽出物のウェスタンブロットを示す
図3に示す。これらの結果は、化合物1は、PI3K-AKT-mTOR経路を阻害し、RAF-MEK-ERK経路を抑制し、RTKタンパク質レベルを下方制御し、腫瘍抑制因子p53およびp21のレベルを上方制御することを示す。
【0176】
実施例12:イヌにおける薬物動態学的研究
デカン酸ナトリウム/PEG400(5mg/ml)と共に水中で5mg/kgでのiv投与およびデカン酸ナトリウム/PEG4000/PEG1450(pH 10)と共に腸溶性カプセル中で5mg/kgでの経口投与を使用して、ビーグル犬における化合物1の薬物動態学的研究も行った。血漿を種々の時点で採取し、化合物1の濃度についてLC-MS/MSにより分析した。該研究の結果を以下の
図4および表4に示す。
図4は、経口投与およびiv投与の両方についての時間に対する血漿濃度のグラフである。経口投与により化合物1の有意な血漿レベルが達成される。
【0177】
【表5】
【0178】
実施例13:ラットにおける薬物動態学的研究
この研究の目的は、化合物1の経口投与後の雄Sprague-Dawleyラットにおける化合物1の血漿薬物動態学を決定することであった。
【0179】
化合物1を水溶液中の30% Captisolに溶解して、経口投与について10mg/mL(pH=10)の公称濃度を得た。得られた黄色透明溶液は、投与のために選ぶまで、室温で保存した。
【0180】
Charles River Laboratoriesの3匹の雄Sprague-Dawleyラットをこの研究に使用した。Research Diets Inc.の高脂肪食(VHFD、D12492i)を、研究の生存部(in-life portion)を通じて自由に摂取できるように与えた。化合物1は、20mg/kgで、単一経口(PO)胃管栄養法投与により投与した。
【0181】
投与の0.25、0.5、1、3、6および24時間後に、尾静脈から血液試料(およその容量150μL)を採取した。血液試料はヘパリンナトリウムを含むチューブに入れ、8000rpmで、4℃、6分間遠心分離して試料から血漿を分離した。遠心分離後、得られた血漿をきれいなチューブに移し、生体分析まで-80℃で凍結保存した。
【0182】
血漿試料中の化合物1およびその一次代謝物の濃度は、PE Sciex API-3000 LC-MS/MSシステム(PE-Sciex., Foster City, CA)を使用して測定した。
【0183】
薬物動態学的パラメータは、試験対象の平均濃度-時間データから決定した。WINNONLIN(登録商標) Professional 5.2.の区画(compartmental)モデリングを使用して、パラメータを計算した。定量の限界(定量の下限=1ng/mL)未満の任意の濃度は、個々の動物のパラメータの計算から省略した。
【0184】
化合物1の経口投与後、化合物1のC
maxおよびT
maxの平均値は、それぞれ39.5μg/Lおよび0.1時間であった。AUC
(0-∞)の平均値は、163.6μg/L*時間であった。半減期(T
1/2)の値は11.7時間であった。
【0185】
実施例14:異種移植片腫瘍モデルにおける化合物1の評価
A. SU-DHL4、H2122、DaudiおよびOPM2の異種移植片腫瘍モデル
SU-DHL4(びまん性大B細胞リンパ腫細胞株)、H2122(ヒトNSCLC細胞株)、Daudi(非ホジキンリンパ腫細胞株)およびOPM2(多発性骨髄腫瘍細胞株)の細胞をヌードマウスまたはScid(重症複合型免疫不全)マウスのいずれかに移植した。腫瘍の定着後、十分な腫瘍サイズを有する動物を、無作為に活性(化合物1)群および対照(ビヒクル)群に割り当てた。経口投与のために実施例7(b)と同様に化合物1を調製し、それぞれの個々の動物の体重に基づいて、経口胃管栄養法により送達した。対照群は、対応する活性群と同じ投与スケジュールを使用してビヒクルで処理した。
【0186】
H2122腫瘍群(ヌードマウス)には、化合物1を75mg/kgの用量で、最初に1日に2回、次いで11日目からは75mg/Kgでの体重減少のために、1週間当たり5日間、50mg/Kgを1日に2回与えた。1回の研究において、Daudi腫瘍群(Scidマウス)には、1週間当たり5日間、25、50または100mg/Kgの用量で化合物1を与えた。別の研究において、Daudi腫瘍群に、1週間当たり5日間、1日に2回50mg/Kgを投与した。別の研究では、Daudi腫瘍モデルにおいて経口投与された化合物1の効力を、経口GDC-0941および経口ボリノスタットの両方と個別に、および組合せと比較した。OPM2腫瘍群には、化合物1を、1週間当たり5日間、1日に2回、50mg/kgの用量で与えた。SU-DHL4腫瘍群には、100mg/Kgで経口投与、または50mg/Kgで静脈内投与した。
【0187】
試験期間中に、電子カリパスを用いて腫瘍を測定し1週間に2回体重を測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を使用して腫瘍体積を計算した。
【0188】
腫瘍体積変化のパーセンテージを使用して、治療期間にわたる化合物の活性を説明した。
【0189】
これらの試験の結果を、それぞれの腫瘍の種類についての活性群および対照群の時間に対する腫瘍サイズを示す
図5A〜5Cおよび9〜12に要約する。
図5A、5B、5Cおよび12は、化合物1はH2122、DaudiおよびOPM2腫瘍モデルにおいて効果的であることを示す。
図9に示すように、化合物1は、用量依存にDaudi腫瘍増殖を阻害した。
図10は、Daudiモデルにおける100mg/Kgでの化合物1の抗腫瘍活性と、GDC-0941もしくはボリノスタット単独または組み合わせのいずれかの抗腫瘍活性を比較する。示される用量は、それぞれの治療の最大許容用量(MTD)であり、治療前腫瘍サイズは157±65mm
3(平均±SE)であった。データは、化合物1が、ボリノスタット、GDC-0941または両方の組み合わせよりも効果的であることを示す。最終的に、化合物1は、50mg/kgでの静脈内(IV)投与または100mg/kgでの経口(PO)投与後に、SU-DHL4びまん性大B細胞リンパ腫異種移植片モデルにおける腫瘍増殖を強く阻害した(
図11)。治療前腫瘍サイズは147±21mm
3であった。
【0190】
MM1S異種移植片モデル
4週齢の雌SCID/ベージュ(Beige)マウスを、換気されたマイクロ隔離(micro-isolator)ケージ(INNOCAGE(登録商標)IVC, Innovive Inc., San Diego, CA)中、調節された環境下で収容し、滅菌高脂肪食(Problab-RMH 2000)を自由に摂取できるように与え、滅菌水を与えた。SCID/ベージュマウスのための全ての収容物および供給物は、使用前にオートクレーブにより滅菌した。訓練を受けた動物施設職員および研究者が、週末/休日を含む毎日、マウスを検査した。全ての動物手順は、生体安全キャビネット(注射用)または薄流フード(動物管理手順および非侵襲性手順用)内の滅菌条件下で行った。
【0191】
MM1SヒトMM細胞(Goldman-Leikin RE, et al., J Lab Clin Invest. 1980;113:335-345)は、最初、多発性骨髄腫患者の末梢血から得られた。凍結保存された細胞を37℃の水浴中で解凍し、組織培養インキュベーター中5% CO
2で、10%ウシ胎仔血清(FBS)を足したRPMI培地中で培養した。(PCRにより)マイコプラズマおよび/または(MAP試験、マウス抗体産生により)ウイルスによる汚染を除外する目的で汚染およびげっ歯類病原菌スクリーニングのために、細胞を外部の業者に送った。培養中の細胞が移植に十分になったところで、細胞を血清非含有ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で洗浄した。最終的に、移植のために細胞をHBSS中に希釈した。90%より高い信頼度の単一細胞懸濁物(トリパンブルー排除による)のみを注射に使用して、最低7日の順化期間後に、動物1匹当たり0.2mlのHBSSに懸濁した20,000,000個の細胞を、26Gの皮下注射用の針を有する1ccのシリンジを使用して、注意して血管を避けながら、マウスの右後部脇腹領域に皮下注射した。成功裡の移植は、皮下の球形の膨らんだ(raised)塊の形成を指標とした。移植されたマウスを、一般的な健康および腫瘍の発達について毎日モニタリングした。
【0192】
腫瘍は、移植後約2週間で検出可能であった。腫瘍サイズは、カリパスを用いて測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を使用して、腫瘍体積を計算した。
【0193】
腫瘍移植の3週間後、腫瘍は平均194.6±37.9mm
3に達した。許容可能な腫瘍サイズおよび形状を有する動物を、分類ソフトウェアを用いて、動物8匹ずつの2つの群(1つはビヒクル対照、1つは処理群)に無作為に割り当てた。
【0194】
化合物1を製剤化して、以下のように投与した:7.5mg/mlを、2モル当量のNaOHおよびHClそれぞれと共に30% Captisolに溶解し、それぞれのマウスの体重に基づいて、1週間に5回、毎日、経口胃管栄養法により投与した。対照群には、同じ投与範例を使用してビヒクル(30% Captisol)を投与した。
【0195】
それぞれの動物研究の間に、腫瘍をカリパスで計測し、上述の式を用いて腫瘍サイズを決定し、腫瘍サイズの変化のパーセンテージを計算した。スケールを用いて、マウスの体重を1週間当たり2回測定した。研究は、a) 研究設計において予定の最終日(end date)が示されるか;またはb) 健康上の問題が生じるかのどちらかが最初に起こるまで継続した。また、以下の腫瘍関連パラメータにより、安楽死の提供を保証した:(1)腫瘍負荷が2500mm
3を超える、および/または(2)開始体重の≧20%が減少する。腫瘍サイズ変化の決定に加えて、異種移植片腫瘍の評価のために国立癌研究所(NCI)により開発された標準測定基準である腫瘍重量変化比(T/C値)を作成するために最後の腫瘍測定値を使用し、以下の式:% T/C=100xΔT/ΔC(ΔT>0の場合)を使用してT/C値を計算した。しかしながら、腫瘍退縮が起こった場合は、以下の式:% T/T
0=100xΔT/T0(ΔT<0の場合)を使用した。
【0196】
処置期間は15日であった。研究の最終日に腫瘍サイズおよび体重を再度測定した。
【0197】
図13に示すように、化合物1単一薬剤で、MM1S皮下腫瘍モデルにおける腫瘍の増殖が阻害された。14日目に基づいてT/C値を計算すると、27.37%である(p<0.0001、ANOVA)。化合物1単一薬剤処置群について、体重の減少または他の副作用は観察されなかった。
【0198】
MM1R異種移植片モデル
4週齢の雌SCID/ベージュマウスを、換気されたマイクロ隔離ケージ(INNOCAGE(登録商標)IVC, Innovive Inc., San Diego, CA)中、調節された環境下で収容し、滅菌高脂肪食(Problab-RMH 2000)を自由に摂取できるように与え、滅菌水を与えた。SCID/ベージュマウスのための全ての収容物および供給物は、使用前にオートクレーブにより滅菌した。訓練を受けた動物施設職員および研究者が、週末/休日を含む毎日、マウスを検査した。全ての動物手順は、生体安全キャビネット(注射用)または薄流フード(動物管理手順および非侵襲性手順用)内の滅菌条件下で行った。
【0199】
MM1RヒトMM細胞は、最初、多発性骨髄腫患者の末梢血から得られた(Goldman-Leikin RE, et al., J Lab Clin Invest. 1980;113:335-345)。凍結保存された細胞を37℃の水浴中で解凍し、組織培養インキュベーター中5% CO
2で、10%ウシ胎仔血清(FBS)を足したRPMI培地中で培養した。(PCRにより)マイコプラズマおよび/または(MAP試験、マウス抗体産生により)ウイルスによる汚染を除外する目的で汚染およびげっ歯類病原菌スクリーニングのために、細胞を外部の業者に送った。培養中の細胞が移植に十分になったところで、細胞を血清非含有ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で洗浄した。最終的に、移植のために細胞をHBSS中に希釈した。90%より高い信頼度の単一細胞懸濁物(トリパンブルー排除による)のみを注射に使用して、最低7日の順化期間後に、動物1匹当たり0.1mlのHBSSに懸濁した15,000,000個の細胞を、26Gの皮下注射用の針を有する1ccのシリンジを使用して、注意して血管を避けながら、マウスの右後部脇腹領域に皮下注射した。成功裡の移植は、皮下の球形の膨らんだ塊の形成を指標とした。移植されたマウスを、一般的な健康および腫瘍の発達について毎日モニタリングした。
【0200】
腫瘍は、移植後約2週間で検出可能であった。腫瘍サイズは、カリパスを用いて測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を使用して、腫瘍体積を計算した。
【0201】
腫瘍移植の3週間後、腫瘍は平均131.7±28.7mm
3に達した。許容可能な腫瘍サイズおよび形状を有する動物を、分類ソフトウェアを用いて、動物8匹ずつの2つの群(1つはビヒクル対照、1つは処理群)に無作為に割り当てた。
【0202】
化合物1を製剤化して、以下のように投与した:7.5mg/mlを、2モル当量のNaOHおよびHClそれぞれと共に30% Captisolに溶解し、それぞれのマウスの体重に基づいて、1週間に5回、毎日、経口胃管栄養法により投与した。対照群には、同じ投与範例を使用してビヒクル(30% Captisol)を投与した。
【0203】
それぞれの動物研究の間に、腫瘍をカリパスで計測し、上述の式を用いて腫瘍サイズを測定し、腫瘍サイズの変化のパーセンテージを計算した。体重計を用いて、マウスの体重を1週間当たり2回測定した。研究は、a) 研究設計において予定の最終日が示されるか;またはb) 健康上の問題が生じるかのどちらかが最初に起こるまで継続した。また、以下の腫瘍関連パラメータにより、安楽死の提供を保証した:(1)腫瘍負荷が2500mm
3を超える、および/または(2)開始体重の≧20%が減少する。腫瘍サイズ変化の決定に加えて、異種移植片腫瘍の評価のために国立癌研究所(NCI)により開発された標準測定基準である腫瘍重量変化比(T/C値)を作成するために最後の腫瘍測定値を使用した。以下の式:% T/C=100xΔT/ΔC(ΔT>0の場合)を使用してT/C値を計算した。しかしながら、腫瘍退縮が起こった場合には、以下の式:% T/T
0=100xΔT/T0(ΔT<0の場合)を使用した。
【0204】
処置期間は18日であった。研究の最終日に、腫瘍サイズおよび体重を再度測定した。
【0205】
図14に示すように、化合物1単一薬剤により、MM1R皮下腫瘍モデルにおける腫瘍増殖が阻害された。17日目に基づいてT/C値を計算すると21.15%である(p<0.0001、ANOVA)。化合物1単一薬剤処置群について、体重減少または他の副作用は観察されなかった。
【0206】
実施例15:循環リンパ球に対する化合物1の効果
CD1野生型マウスにおいて、循環TおよびBリンパ球に対する化合物1の効果を調べる試験を行った。5匹のマウスを、実施例8(b)のように調製された化合物1(5mg/mL)を用いて、5日間連続で、100mg/kgで経口的に処理した。別の5匹のマウスはビヒクルで処置した。種々の時点(投与前、投与中および投与後など)で、下顎静脈から血液を採取した。TおよびB細胞定量化のためにフローサイトメーターを用いて血液を分析した。
【0207】
リンパ系器官(脾臓およびリンパ節)におけるTおよびBリンパ球レベルに対する化合物1の効果も評価した。マウスを100mg/kgの化合物1で5日間連続して経口的に処置した。動物を屠殺して、リンパ系器官を回収した。細胞を物理的に組織から引き離し、フローサイトメーターで分析した。抗CD3抗体および抗CD19抗体を使用して、TおよびB細胞をそれぞれ染色した。
【0208】
これらの研究の結果を、時間経過における血液リンパ球レベルを示すグラフである
図6に示す。化合物1は、対照と比較して、TおよびBリンパ球の両方の血液レベルにおいて、有意な可逆的な減少を示す。脾臓およびリンパ節におけるリンパ球レベルにおいて同様の効果が見られる。これらの器官の両方は、対照と比較して、化合物1の投与後に、TおよびBリンパ球の両方の有意な減少を示す。
【0209】
実施例16:骨髄中の造血細胞に対する化合物1の効果
実施例12において屠殺したマウスから骨髄も取り出した。該マウスの長骨から骨髄成分を回収し、フローサイトメーターを用いて分析した。前駆リンパ球および成熟リンパ球についての種々のマーカーを使用した。結果は、化合物1による処理は、対照と比較して、末梢のTおよびBリンパ球数の減少をもたらしながら骨髄リンパ球前駆細胞の代償的な増加を誘導したことを示した。
【0210】
実施例17:Mini-サルモネラ/哺乳動物-ミクロソーム復帰突然変異アッセイ
この研究は、2系統のネズミチフス菌(TA98およびTA100)のゲノム中のヒスチジン座で、哺乳動物ミクロソーム酵素(S9-mix)の存在下または非存在下のいずれかで、化合物1が復帰突然変異を誘導する能力を評価するために行った。
【0211】
突然変異誘発アッセイに使用した試験株は、ネズミチフス菌試験株TA98(フレームシフト復帰突然変異を検出するため)およびTA100(点復帰突然変異を検出するため)であった。ビヒクル(DMSO、20μl/ウェル)と一緒にS9混合物の存在下および非存在下の両方、ならびに陽性対照において、6ウェルプレートを用いて、アッセイを2重に行った。それぞれの化合物について、1000〜62.5μg/ウェル(標準エームズアッセイにおける5000〜312.5μg/プレートと同等)の範囲の2X連続希釈で5種類の濃度を試験した。37℃で48〜72時間のインキュベーション後、プレートを、化合物の不溶性および細胞毒性について観察し、スキャンして復帰突然変異体のコロニーを計測した。毎日の平均対照値に対して復帰突然変異体コロニーの2倍の再現可能な増加(ビヒクル対照の>2x)を、それぞれの株についての遺伝子突然変異の陽性応答とみなす。
【0212】
化合物1をジメチルスルホキシド(DMSO)(これも陰性(ビヒクル)対照とした)に溶解した。2-ニトロフルオレンおよびアジ化ナトリウムは、TA98およびTA100のそれぞれについて、S9の非存在下で陽性対照とした。2-アミノアントラセンは、TA98およびTA100についてS9の存在下で陽性対照とした。
【0213】
結果
化合物1は、50mg/mlの濃度でDMSOに溶解した場合に栗色の溶液を形成し、これを最も濃いストック溶液とした。試験品(test article)は、3.125mg/mlまでの全ての2X連続希釈において、明るい栗色から無色の溶液のままであった。試験品とソフト寒天を250μg/ウェル以上の濃度で一緒に混合した場合、試験品の沈殿が観察された。48〜72時間のインキュベーション後、試験品の沈殿は、S9混合物の非存在下のみでTA98およびTA100を用いて、250μg/ウェルで、解剖用顕微鏡下にわずかに見られ、試験品沈殿およびバックグラウンド菌叢の少量の減少は、S9混合物の存在下および非存在でTA98およびTA100を用いて500および1000μg/ウェルで、わずか〜中程度で見られた。株TA98およびTA100を用いてS9混合物の存在下および非存在下で試験した場合、平均対照と比較して、復帰突然変異体コロニーの平均数の有意な増加の証拠はなかった(表5)。
【0214】
現在の試験の結果から、試験品を1000μg/ウェル(標準エームズアッセイにおける5000μg/ウェルと同等)の最大濃度まで試験した場合、ミクロソーム酵素の存在下および非存在下で化合物1は株TA98およびTA100との陽性の突然変異誘発性の応答を誘導しないことが示された。
【0215】
【表6-1】
【表6-2】
【0216】
実施例18:腫瘍細胞株における薬物動態学的研究
腫瘍細胞株H460(Kras、PI3K)、BT474(HER2、PI3K)、A375(B-Raf)およびH1975(EGFR、PI3K)を培養して、DMSO単独(ビヒクル対照)または0.1μmol/Lの化合物1または参照化合物で16時間処置した。SDSおよび2-メルカプトエタノールの存在下で細胞抽出物を調製し、ポリアクリルアミドゲルで分離した。タンパク質をニトロセルロースフィルターに転写して、示される一次抗体を含むブロッキング溶液(Li-Cor Bioscience)を用いて、標準的な手法を用いてブロッティングを行った。p-EGFR、EGFR、p-HER2、HER2、p-HER3、HER3、p-MET、MET、p-bRaf、p-cRaf、pMEK、MEK、p-ERK、ERKおよびチューブリンに対する一次抗体は、Cell Signaling Technologyから購入した。IRdye 680、800CWと共役した二次抗体を使用して、Li-Cor Odyssey Imagerを用いてシグナルを検出した。
【0217】
該細胞は、図の説明文に示されるように処理して4%(w/v)パラホルムアルデヒド中で固定した、単層培養中で増殖した細胞に対して免疫細胞学を行った。1xPBSで洗浄後、示される一次抗体およびIRDye 680または800CWと共役した二次抗体を含むLi-Corブロッキング溶液中で免疫染色を行った。細胞内ウェスタン(in-cell-western)について、検出および結果の定量化のためにLi-Cor Odyssey infrared imagerを使用した。
【0218】
薬物動態学的マーカーの組織学的検査のために、腫瘍異種移植片を回収してパラフィンに包埋し、次いで4〜5mmの切片を作製した。切片をスライドガラス上に乗せ、一次抗体、次いでセイヨウワサビペルオキシダーゼ共役二次抗体(Envision polymer-HRP, Dako, Glostrup, Denmark)と反応させた。次いで、業者が勧めるように、ジアミノベンジジン(DAB)を使用して発色反応を行った。ヘマトキシリンを用いて切片の交差染色を行った。
【0219】
この試験の結果を
図7A〜7gおよび8A〜8Cに要約する。化合物1は、KRAS-およびPI3KCA-変異体H460非小細胞肺癌(NSCLC)細胞中のHDAC活性およびPI3K経路シグナル伝達を阻害する。細胞を、DMSO単独(ビヒクル対照)または試験化合物を含有するDMSOで1時間処理し、その後ウェスタンブロットまたは細胞内ウェスタンを行った。
図7Aは、1μmol/Lの化合物1が、アセチル化されたヒストン3(Ac-H3)、チューブリン(Ac-Tub)およびp53(Ac-p53)のレベルを増加することを示す。該化合物はまた、p53およびp21の総含有量を上方制御する。
図7B〜7Eに示すデータは、化合物1が、用量依存的にアセチル化チューブリン(
図7B)、アセチル化ヒストン3(
図7C)、アセチル化p53(
図7D)およびアセチル化p21(
図7E)のレベルを増加することを示す。得られたIC
50値は、試験した癌細胞において、化合物1が、LBH 589と同等のHDAC阻害効力を有することを示唆する。1μmol/Lで、化合物1は、AKTならびに下流シグナル伝達タンパク質4EBP-1およびp70S6の活性化を阻害する(
図7F)。化合物1はまた、用量依存的に、Aktのリン酸化を持続的かつ有効に阻害する(
図7G)。
【0220】
癌の治療におけるPI3Kインヒビターの1つの大きな制限は、RAF-MEK-ERK経路の活性化である。HDACインヒビターはまた、エピジェネティックな修飾により、癌細胞においてこのシグナル伝達経路のキナーゼレベルを阻害し得る。H460細胞におけるKRASおよびPI3K変異、A375細胞におけるB-Raf変異、BT-474細胞におけるHER2およびPI3K変異、ならびにH1975細胞におけるEGFR変異などの種々の変異を有する腫瘍細胞において、100nMの化合物1は、Raf、MEKおよびERKの活性化を抑制した。有力なHDACインヒビターLBH 589は、これらのウェスタンブロットアッセイのいくつかにおいて、同様の活性を示した(
図8A)。
【0221】
PI3KおよびMEK経路の阻害に加えて、1μMの化合物1でのRPMI-8226骨髄腫細胞の16時間の処理は、p-STAT3(Y-705)およびp-Srcを阻害した(
図8B)。
【0222】
EGFR-L858R-T790M二重変異体H1975 NSCLC細胞およびHER2過剰発現BT-474乳癌細胞において、化合物1は、16時間のインキュベーション後、リン酸化された全ての受容体チロシンキナーゼEGFR、HER2、HER3およびMETのレベルを低減することが示された。これらの細胞をLBH 589で処理した後、同じキナーゼの同様の下方制御が観察された(
図8C)。
【0223】
実施例19. 造血異種移植片腫瘍モデルにおけるPI3K110α、β、γおよびδの発現
6〜8週齢の雌免疫不全マウス(ベージュ/SCID)を、換気したマイクロ隔離ケージ中、調節した環境で収容し、滅菌した高脂肪食(Problab-RMH 2000)を自由に摂取できるように与え、滅菌水を与えた。SCIDベージュマウスのための全ての収容物および供給物は使い捨てであり、使用前に放射線照射したものをInnoviveから購入した。訓練を受けた動物施設職員および研究者が、週末/休日を含む毎日、マウスを検査した。全ての動物手順は、生体安全キャビネット(注射用)または薄流フード(動物管理手順および非侵襲性手順用)内で、滅菌条件下で行った。
【0224】
ヒト造血癌細胞株は最初、ヒト癌患者から得られた。凍結保存された細胞を37℃の水浴で解凍し、組織培養インキュベーター中5% CO
2で、10〜15%ウシ胎仔血清(FBS)を足したRPMI培地中で培養した。(PCRにより)マイコプラズマおよび/または(MAP試験、マウス抗体産生により)ウイルスによる汚染を除外することを目的とした汚染およびげっ歯類病原菌スクリーニングのために、細胞を外部の業者に送った。
【0225】
培養中の細胞が所望の数に達した際に、該細胞を回収し、血清非含有Dulbecco’sリン酸緩衝食塩水(DPBS)で洗浄した。最終的に、移植のために細胞をDPBSに希釈した。90%より高い生存率の単一細胞懸濁物(トリパンブルー排除による)のみを注射に使用した。7日間の順化期間後、動物1匹あたり0.1ml DPBSに懸濁した10,000,000〜20,000,000個の細胞を、26Gの皮下注射用の針を有する0.5ccシリンジを使用して、注意して血管を避けながら、動物の右後部脇腹領域に皮下(SC)注射した。成功裡の移植は、皮下の球形の膨らんだ塊の形成を指標とした。一般的な健康および腫瘍の発達について、移植されたマウスを毎日モニタリングした。
【0226】
腫瘍は、移植後約2.5週間で検出可能であった。腫瘍サイズはカリパスを用いて測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を用いて、腫瘍体積を計算した。
【0227】
腫瘍サイズが約150〜300mm
3に達したところで、マウスを、3種類の処置群(25mg/kg、50mg/kgおよび100mg/kg)および1種類の対照群を含む4種類の群に分けた。化合物1の投与後、腫瘍を15分、1、3、6、24時間で回収した(各時点について3匹のマウス)。マウスをCO
2で安楽死させた後、上述の時点に従って腫瘍を回収した。ウェスタンブロット分析のために、-80℃の冷凍庫に移すまで、試料をドライアイス中に置いた。
【0228】
製造業者の指示書に従いホモジナイザー(Tissuelyser, Qiagen, Valencia, CA)を使用して、腫瘍組織からタンパク質を抽出した。使用前に、組織チューブを保持するためのアダプターを-20℃で凍結し、溶解バッファおよびビーズを4℃で冷蔵した。
【0229】
100〜200μgの組織を、ホスファターゼインヒビター(1:100v/v、Tyr & Ser/Thrホスファターゼインヒビターカクテル、Upstate)を添加した300μlのT-PER哺乳動物組織タンパク質抽出試薬(Pierce, Rockford, IL)中で均質化した。それぞれのサイクル(時間:0.15分;周波数:30Hz)後、組織が完全に均質化されるまで、標本を視覚的に検査した。ほとんどの場合においておよそ4サイクルが必要であった。組織溶解物を、14,000rpm、4℃で10分間遠心分離した。200μlの上清を回収して、-80℃で維持した。製造業者の指示書に従いBCA Protein Assayキット(Pierce, Rockford, IL)を使用して、タンパク質濃度を測定した。
【0230】
30μgの総タンパク質抽出物をNuPAGE Novex 4〜12% Bis-Trisゲル(Invitrogen)で分離して、Bio-Rad Semi-Dry Transfer Machineを使用してニトロセルロース膜(Bio-Rad)に転写した。ブロットを10mlのブロッキングバッファ(Odyssey Infrared Imaging System)と1時間インキュベートして、次いで振盪器上、4℃で一晩かけて、一次抗体でプローブした。4℃で一晩かけてブロットに一次抗体でプローブした。一次抗体としては、PI3キナーゼp110α(#4249、1:1000、Cell Signaling)、PI3キナーゼp110β(#3011、1:1000、Cell Signaling)、PI3キナーゼp110γ(#5405、1:1000、Cell Signaling)、PI3キナーゼp110δ(SC-7176 (1:1000、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)が挙げられた。それぞれのアッセイについての内部対照として、GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、1/30,000、Abcam, Cambridge, MA)を使用した。
【0231】
Tris緩衝化食塩水Tween-20(TBST;DAKO)で膜を4回リンスし、赤外線共役二次抗体(1:10000):抗ウサギ共役IR Dye 800(Rockland)または抗マウス共役Alexa 680(Molecular Probes)と共に、室温で1時間インキュベートした。膜をTBSTで洗浄し、次いで、画像化および分析のためにOdyssey Infrared Imaging Systemに置いた。
【0232】
結果を、いくつかの非ホジキンリンパ腫および多発性骨髄腫異種移植片由来のPI3K p110アイソフォーム、AKTおよびpAKTのウェスタンブロットを示す
図15に示す。結果は、多数のPI3K P110アイソフォームによりAKTの活性化が誘導されることを示す。
【0233】
実施例20:Daudi異種移植片腫瘍モデルにおける化合物1とCAL-101の比較
6〜8週齢の雌SCIDベージュマウス(CD-1ベージュSCID)を、換気したマイクロ隔離ケージ中、調節された環境で収容、滅菌高脂肪食(Problab-RMH 2000)を自由に摂取できるように与え、滅菌水を与えた。SCIDベージュマウスについて全ての収容物および供給物は、使い捨てであり、使用前に放射線照射したものをInnoviveから購入した。訓練を受けた動物施設職員および研究者が、週末/休日を含む毎日、マウスを検査した。全ての動物手順は、生体安全キャビネット(注射用)または薄流フード(動物管理手順および非侵襲性手順用)中、滅菌条件下で行った。
【0234】
Daudiヒトバーキットリンパ腫細胞は最初、ヒトバーキットリンパ腫患者から得られた。凍結保存された細胞を37℃の水浴で解凍し、組織培養インキュベーター中、5% CO
2で、15%ウシ胎仔血清(FBS)、1% Penstrepおよび1% Glutamaxを足したRPMI-1640培地中で培養した。(PCRにより)マイコプラズマおよび/または(MAP試験、マウス抗体産生により)ウイルスによる汚染を除外することを目的とした病原菌スクリーニングのために、細胞を外部の業者に送った。培養中の細胞が所望の数に達した際に、該細胞を遠心分離して回収した。回収後、細胞を血清非含有Dulbecco’sリン酸緩衝食塩水(DPBS)で洗浄した。最終的に、移植のために細胞をDPBSに希釈した。90%より高い生存率の単一細胞懸濁物(トリパンブルー排除による)のみを注射に使用して、最低7日間の順化期間後、動物1匹あたり0.1mlのDPBSに懸濁した20,000,000個の細胞を、26Gの皮下注射用の針を有する0.5ccシリンジを使用して、注意して血管を避けながら、マウスの右後部脇腹領域に皮下注射した。成功裡の移植は、皮下の球形の膨らんだ塊の形成を指標とした。一般的な健康および腫瘍の発達について、移植されたマウスを毎日モニタリングした。
【0235】
腫瘍は、移植後約2週間で検出可能であった。腫瘍サイズはカリパスを用いて測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を用いて、腫瘍体積を計算した。
【0236】
腫瘍移植の4週間後、腫瘍は、300±126mm
3の平均サイズに達した。許容可能な腫瘍サイズおよび形状を有する動物を、分類ソフトウェアを使用して、動物7匹ずつの3つの群(1つはビヒクル対照で2つは処理群)に無作為に割り当てた。
【0237】
【表7】
【0238】
化合物1を調製して、以下のように投与した:化合物1(7.5mg/ml)を、2モル当量のNaOHと共に30% Captisolに溶解し、2モル当量のHClでバランスを取り、月曜日から金曜日まで毎日、経口胃管栄養法により投与した。対照群には、100mg/kg容積(6.67ul/g)と同じ投与範例を使用して、ビヒクル(30% Captisol)を投与した。
【0239】
それぞれの動物試験の間、カリパスを用いて腫瘍を測定し、上述の式を使用して腫瘍サイズを測定し、腫瘍サイズ変化のパーセンテージを計算した。1週間当たり2回、体重計を用いてマウスの体重を測定した。試験は、a) 試験設計において予定の最終日が示されるか;またはb) 健康上の問題が生じるかのどちらかが最初に起こるまで継続した。また、以下の腫瘍関連パラメータにより、安楽死の提供を保証した:腫瘍負荷が2500mm
3を超える、および/または開始体重の≧20%が減少する。腫瘍サイズ変化の決定に加えて、異種移植片腫瘍の評価のために国立癌研究所(NCI)により開発された標準測定基準である腫瘍重量変化比(T/C値)を作成するために最後の腫瘍測定値を使用した。以下の式:% T/C=100xΔT/ΔC(ΔT>0の場合)を使用してT/C値を計算した。しかしながら、腫瘍退縮が起こった場合は、以下の式:% T/T
0=100xΔT/T0(ΔT<0の場合)を使用した。
【0240】
ビヒクルおよびCAL-101群についての処置期間は15日であり、腫瘍サイズが体重の10%を超えたためにより早い終結が必要となって、化合物1群については18日であった。研究の最終日に、腫瘍サイズおよび体重を再度測定した。
【0241】
試験の結果を、活性群および対照群についての処置時間に応じた腫瘍増殖を示す、
図16に示す。化合物1群は、CAL-101および対照群と比較して、腫瘍増殖の有意な減少を示した。
【0242】
実施例21. Daudi異種移植片腫瘍モデルにおける化合物1およびシクロホスファミドの組み合わせ
6〜8週齢の雌SCIDベージュマウス(CD-1ベージュSCID)を、換気したマイクロ隔離ケージ中、調節された環境で収容し、滅菌高脂肪食(Problab-RMH 2000)を自由に摂取できるように与え、滅菌水を与えた。SCIDベージュマウスについての全ての収容物および供給物は、使い捨てであり、使用前に放射線照射したものをInnoviveから購入した。訓練を受けた動物施設職員および研究者が、週末/休日を含む毎日、マウスを検査した。全ての動物手順は、生体安全キャビネット(注射用)または薄流フード(動物管理手順および非侵襲性手順用)中、滅菌条件下で行った。
【0243】
Daudiヒトバーキットリンパ腫細胞は最初、ヒトバーキットリンパ腫患者から得られた。凍結保存された細胞を37℃の水浴で解凍し、組織培養インキュベーター中、5% CO
2で、15%ウシ胎仔血清(FBS)、1% Penstrepおよび1% Glutamaxを足したRPMI-1640培地中で培養した。(PCRにより)マイコプラズマおよび/または(MAP試験、マウス抗体産生により)ウイルスによる汚染を除外することを目的とした病原菌スクリーニングのために、細胞を外部の業者に送った。培養中の細胞が所望の数に達した際に、該細胞を遠心分離して回収した。回収後、細胞を血清非含有Dulbecco’sリン酸緩衝食塩水(DPBS)で洗浄した。最終的に、移植のために細胞をDPBSに希釈した。90%より高い生存率の単一細胞懸濁物(トリパンブルー排除による)のみを注射に使用して、最低7日間の順化期間後、動物1匹あたり0.1mlのDPBSに懸濁した20,000,000個の細胞を、26Gの皮下注射用の針を有する0.5ccシリンジを使用して、注意して血管を避けながら、マウスの右後部脇腹領域に皮下注射した。成功裡の移植は、皮下の球形の膨らんだ塊の形成を指標とした。一般的な健康および腫瘍の発達について、移植されたマウスを毎日モニタリングした。
【0244】
腫瘍は、移植後約2週間で検出可能であった。腫瘍サイズはカリパスを用いて測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を用いて、腫瘍体積を計算した。
【0245】
腫瘍移植の4週間後、腫瘍は、189±47mm
3の平均サイズに達した。許容可能な腫瘍サイズおよび形状を有する動物を、分類ソフトウェアを使用して、動物8匹ずつの4つの群(1つはビヒクル対照、3つは処理群)に無作為に割り当てた。
【0246】
【表8】
【0247】
化合物1を調製して、以下のように投与した:化合物1(7.5mg/ml)を、2モル当量のNaOHと共に30% Captisolに溶解し、2モル当量のHClでバランスを取り、月曜日から金曜日まで毎日、75mg/kgで経口胃管栄養法により投与した。シクロホスファミド(「CTX」)を、5mg/mlで0.9% NSに溶解し、0日目に50mg/kgで動物にiv(尾静脈注射)投与した。組み合わせ群には、同じ投与スケジュールを使用して、化合物1とCTXの両方を投与した。対照群には、組み合わせと同じ範例を使用して、ビヒクル(30% Captisol)および0.9% NSを投与した。
【0248】
それぞれの動物試験の間、カリパスを用いて腫瘍を測定し、上述の式を使用して腫瘍サイズを測定し、腫瘍サイズ変化のパーセンテージを計算した。1週間当たり2回、体重計を用いてマウスの体重を測定した。試験は、a) 試験設計において予定の最終日が示されるか;またはb) 健康上の問題が生じるかのどちらかが最初に起こるまで継続した。また、以下の腫瘍関連パラメータにより、安楽死の提供を保証した:腫瘍負荷が2500mm
3を超える、および/または開始体重の≧20%が減少する。腫瘍サイズ変化の決定に加えて、異種移植片腫瘍の評価のために国立癌研究所(NCI)により開発された標準測定基準である腫瘍重量変化比(T/C値)を作成するために最後の腫瘍測定値を使用した。以下の式:% T/C=100xΔT/ΔC(ΔT>0の場合)を使用してT/C値を計算した。しかしながら、腫瘍退縮が起こった場合は、以下の式:% T/T
0=100xΔT/T0(ΔT<0の場合)を使用した。
【0249】
処置期間は2週間であった。試験の最終日に腫瘍サイズおよび体重を再度測定した。
【0250】
この試験の結果を、対照群および処置群についての処理時間に応じた腫瘍増殖を示す、
図17に示す。単一薬剤として、化合物1とシクロホスファミドは、このモデルにおいて同様の活性を生じた(ave)。化合物1とシクロホスファミドの組み合わせは、どちらかの薬剤単独よりも実質的に高い効力を示した。
【0251】
実施例22. MM1S異種移植片モデルにおけるレナリドマイドと組み合わせた化合物1
4週齢の雌SCID/ベージュマウスを、換気したマイクロ隔離ケージ(INNOCAGE(登録商標)IVC, Innovive Inc., San Diego, CA)中、調節された環境で収容し、滅菌高脂肪食(Problab-RMH 2000)を自由に摂取できるように与え、滅菌水を与えた。SCID/ベージュマウスについての全ての収容物および供給物は、使用前にオートクレーブにより滅菌した。訓練を受けた動物施設職員および研究者が、週末/休日を含む毎日、マウスを検査した。全ての動物手順は、生体安全キャビネット(注射用)または薄流フード(動物管理手順および非侵襲性手順用)中、滅菌条件下で行った。
【0252】
凍結保存されたMM1SヒトMM細胞を37℃の水浴で解凍し、組織培養インキュベーター中、5% CO
2で、10%ウシ胎仔血清(FBS)を足したRPMI培地中で培養した。(PCRにより)マイコプラズマおよび/または(MAP試験、マウス抗体産生により)ウイルスによる汚染を除外することを目的とした汚染およびげっ歯類病原菌スクリーニングのために、細胞を外部の業者に送った。培養中の細胞が移植に十分になった際に、細胞を血清非含有ハンクス平衡塩溶液(HBSS)で洗浄した。最終的に、移植のために細胞をHBSSに希釈した。90%より高い生存率の単一細胞懸濁物(トリパンブルー排除による)のみを注射に使用して、最低7日間の順化期間後、動物1匹あたり0.2mlのHBSSに懸濁した20,000,000個の細胞を、26Gの皮下注射用の針を有する1ccシリンジを使用して、注意して血管を避けながら、マウスの右後部脇腹領域に皮下注射した。成功裡の移植は、皮下の球形の膨らんだ塊の形成を指標とした。一般的な健康および腫瘍の発達について、移植されたマウスを毎日モニタリングした。
【0253】
腫瘍は、移植後約2週間で検出可能であった。腫瘍サイズはカリパスを用いて測定した。以下の式:
腫瘍体積=(長さX幅
2)/2
を用いて、腫瘍体積を計算した。
【0254】
腫瘍移植の3週間後、腫瘍は192±32mm
3の平均サイズに達した。許容可能な腫瘍サイズおよび形状を有する動物を、分類ソフトウェアを使用して、動物7匹ずつの6つの群(1つはビヒクル対照、6つは処置群)に無作為に割り当てた。
【0255】
【表9】
【0256】
化合物1を製剤化して、以下のように投与した:化合物1(7.5mg/ml)を、2モル当量のNaOHと共に30% Captisolに溶解し、2モル当量のHClでバランスを取り、月曜日から金曜日まで毎日、75mg/kgで経口胃管栄養法により投与した。レナリドマイド(Selleck, 2.5mg/ml)を、MCT(0.5% メチルセルロースおよび0.2% Tween80)中に製剤化して、12.5mg/kgまたは25mg/kgで投与した。2つの組合せ群には、75mg/kgの化合物1および1回用量レベルのレナリドマイド(12.5または25mg/kgのいずれか)を投与した。対照群には、組み合わせについてのものと同じ模範を使用して、ビヒクル(30% Captisol)およびMCTを投与した。
【0257】
それぞれの動物試験の間、カリパスを用いて腫瘍を測定し、上述の式を使用して腫瘍サイズを測定し、腫瘍サイズ変化のパーセンテージを計算した。1週間当たり2回、体重計を用いてマウスの体重を測定した。試験は、a) 研究設計において予定の最終日が示されるか;またはb) 健康上の問題が生じるかのどちらかが最初に起こるまで継続した。また、以下の腫瘍関連パラメータにより、安楽死の提供を保証した:(1)腫瘍負荷が2500mm
3を超える、および/または(2)開始体重の≧20%が減少する。腫瘍サイズ変化の決定に加えて、異種移植片腫瘍の評価のために国立癌研究所(NCI)により開発された標準測定基準である腫瘍重量変化比(T/C値)を作成するために最後の腫瘍測定値を使用した。以下の式:% T/C=100xΔT/ΔC(ΔT>0の場合)を使用してT/C値を計算した。しかしながら、腫瘍退縮が起こった場合は、以下の式:% T/T
0=100xΔT/T0(ΔT<0の場合)を使用した。
【0258】
処置期間は17日であった。研究の最終日に、腫瘍サイズおよび体重を再度測定した。
【0259】
この研究の結果を、処置時間に応じた腫瘍増殖を示す、
図18に示す。該結果は、75mg/Kg POの化合物1は、単一薬剤として、12.5または25mg/Kg POのいずれのレナリドマイドよりも効果的であることを示す。該結果はまた、化合物1とレナリドマイドの組み合わせは、どちらかの化合物単独よりも有意に効果的であることを示す。
【0260】
本明細書に言及される特許および科学文献は当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許および公開または未公開米国特許出願は、参照によって援用される。本明細書に引用される全ての公開外国特許および特許出願は、参照によって本明細書に援用される。本明細書に引用される全ての他の公開文献、文書、論文および科学文献は、参照によって本明細書に援用される。
【0261】
本発明は、その好ましい態様に関して具体的に示され、記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、本発明中に形態および詳細における種々の変更がなされ得ることを当業者は理解しよう。