特許第6242413号(P6242413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6242413
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】気液分離器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20171127BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20171127BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
   !H01M8/10
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-29221(P2016-29221)
(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公開番号】特開2017-147159(P2017-147159A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2016年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河浦 貴志
(72)【発明者】
【氏名】畠田 朋彦
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 亮一
(72)【発明者】
【氏名】沼田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭博
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−221947(JP,A)
【文献】 特開2005−310615(JP,A)
【文献】 特開2006−322845(JP,A)
【文献】 特開2008−177129(JP,A)
【文献】 特表2012−521333(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/183598(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04−8/0668,8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池から排出されたオフガスに含まれる水を分離する気液分離器であって、
下部に分離された水が貯溜される貯溜部を有する気液分離器本体と、
外部から前記気液分離器本体へのオフガスの導入口と、
前記気液分離器本体から外部への水が分離されたオフガスの導出口と、
を備え、
前記導出口は、前記導入口よりも上方に配置されており、前記導入口から前記貯溜部に延びる導入流路の底壁部は、前記気液分離器本体の側壁面から突出し、
前記底壁部の下面には、前記導入流路と前記貯溜部との間で水が不連続となるように上方に凹む水切り部が形成されていることを特徴とする気液分離器。
【請求項2】
前記導入口と前記導出口との間において、前記導入口からのオフガスが衝突する衝突壁部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の気液分離器。
【請求項3】
前記水切り部と前記貯溜部との間には、前記貯溜部に貯溜された水の跳ね返りを低減する跳ね返り低減板を備える
ことを特徴とする請求項に記載の気液分離器。
【請求項4】
前記跳ね返り低減板に対する前記水切り部の高さは、前記水切り部と前記跳ね返り低減板との間において水が不連続となる高さである
ことを特徴とする請求項に記載の気液分離器。
【請求項5】
前記貯溜部に貯溜する水の水位を検出する電気抵抗式の水位センサを備える
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の気液分離器。
【請求項6】
前記水位センサの棒状の検出部は、鉛直方向に対して斜めである
ことを特徴とする請求項に記載の気液分離器。
【請求項7】
前記水位センサが水を検出している間、開くことで前記貯溜部の水を外部に排出する排水弁を備える
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の気液分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスは、未反応の水素と液体状の水とを含んでいる。そこで、未反応の水素を再びアノードに供給するため、アノードオフガスから液体状の水を分離する気液分離器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−313403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、燃料電池及び気液分離器が燃料電池車(車両)に搭載される場合、燃料電池システムを小型化するため、燃料電池のアノードオフガスの出口と気液分離器におけるアノードオフガスの導入口とが隣接して配置される。ところが、このように隣接して配置すると、水を介して燃料電池と気液分離器とが電気的に導通してしまう、つまり、液絡する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、液絡を防止しつつ小型の気液分離器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、燃料電池から排出されたオフガスに含まれる水を分離する気液分離器であって、下部に分離された水が貯溜される貯溜部を有する気液分離器本体と、外部から前記気液分離器本体へのオフガスの導入口と、前記気液分離器本体から外部への水が分離されたオフガスの導出口と、を備え、前記導出口は、前記導入口よりも上方に配置されていることを特徴とする気液分離器である。
【0007】
このような構成によれば、導出口は導入口よりも上方に配置されているので、気液分離器本体から外部へのオフガスに水が含まれ難くなり、気液分離器本体の高さ寸法を小さくし、小型化できる。また、水が良好に分離され導出口から導出されるオフガスを燃料電池に再供給することもできる。
【0008】
また、前記導入口と前記導出口との間において、前記導入口からのオフガスが衝突する衝突壁部を備えることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、前記導入口と前記導出口との間において、導入口からのオフガスが衝突壁部に衝突するので、オフガス及び水がそのまま導出口から外部に導出することを防止できる。
【0010】
また、前記導入口から前記貯溜部に延びる導入流路の底壁部は、前記気液分離器本体の側壁面から突出し、前記底壁部の下面には、前記導入流路と前記貯溜部との間で水が不連続となるように上方に凹む水切り部が形成されていることが好ましい。
【0011】
ここで、導入流路と前記貯溜部との間で水が不連続になるとは、導入流路を通流する水と、貯溜部に貯溜する水とが、不連続であり、電気的に導通していないことを意味する。
このような構成によれば、底壁部の下面に形成された上方に凹む水切り部によって、導入流路と貯溜部との間で水が不連続となる。これにより、導入流路と貯溜部との間において電気的に導通し難くなり、液絡し難くなる。
【0012】
また、前記水切り部と前記貯溜部との間には、前記貯溜部に貯溜された水の跳ね返りを低減する跳ね返り低減板を備えることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、水切り部と貯溜部との間に設けられた跳ね返り低減板によって、貯溜部に貯溜された水の跳ね返りを低減できる。
【0014】
また、前記跳ね返り低減板に対する前記水切り部の高さは、前記水切り部と前記跳ね返り低減板との間において水が不連続となる高さであることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、水切り部と跳ね返り低減板との間において水が不連続となるので、水切り部と跳ね返り低減板との間において液絡しない。
【0016】
また、前記貯溜部に貯溜する水の水位を検出する電気抵抗式の水位センサを備えることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、電気抵抗式の水位センサで、貯溜部に貯溜する水の水位を検出できる。
【0018】
また、前記水位センサの棒状の検出部は、鉛直方向に対して斜めであることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、水位センサの棒状の検出部が鉛直方向に対して斜めであるので、検出部が鉛直方向である構成に対して、検出範囲が広くなる。
【0020】
また、前記水位センサが水を検出している間、開くことで前記貯溜部の水を外部に排出する排水弁を備えることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、水位センサが水を検出している間、排水弁が開くことで貯溜部の水を外部に排出できる。そして、貯溜部における水の貯溜量を最小とでき、貯溜部を小型化できる。また、満タン側の水位を検出する水位センサは不要であるので、簡便な構成となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液絡を防止しつつ小型の気液分離器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。
図2】本実施形態に係る気液分離器の斜視図である。
図3】本実施形態に係る気液分離器の正面図(図2のX1矢視図)である。
図4】本実施形態に係る気液分離器の側断面図(図2のX2−X2線断面図)である。
図5】本実施形態に係る気液分離器の横断面図(図2のX3−X3線断面図)である。
図6】本実施形態に係る気液分離器の側面図(図2のX4矢視図)である。
図7】本実施形態に係る気液分離器の平断面図(図2のX5−X5線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態について、図1図7を参照して説明する。
【0025】
≪燃料電池システムの構成≫
燃料電池システム100は、燃料電池車(図示しない)に搭載されており、走行用の電動モータへの電力を生成するものである。燃料電池システム100は、燃料電池スタック110と、エゼクタ121と、気液分離器1と、ECU150と、を備えている。燃料電池スタック110、エゼクタ121及び気液分離器1は、ボンネット下の限られた空間に配置されているので、小型化が要求されている。
【0026】
<燃料電池スタック>
燃料電池スタック110は、複数の固体高分子型の単セル111が積層されることで構成されたスタックであり、その外形は直方体である。単セル111は、MEA(Membrane Electrode Assembly:膜電極接合体)と、アノードセパレータ及びカソードセパレータと、を備えている。
【0027】
アノードセパレータには、各MEAのアノードに対して水素を給排するための孔や溝が形成されている。この貫通孔及び溝は、アノード流路112(燃料ガス流路)として機能している。
【0028】
カソードセパレータには、各MEAのカソードに対して酸素を含む空気を給排するための貫通孔や溝が形成されている。この貫通孔及び溝は、カソード流路113(酸化剤ガス流路)として機能している。
【0029】
そして、燃料電池スタック110が発電すると、カソードで生成した水(水蒸気)の一部は、電解質膜を透過し、アノードに移動する。よって、カソード流路113から排出されるカソードオフガス、アノード流路112から排出されるアノードオフガスは、多湿となり、カソードオフガス及びアノードオフガスには、液体状の水が含まれる。
【0030】
なお、アノード流路112には、水素タンク(図示しない)からの水素が、配管121a、エゼクタ121、配管121bを通って供給されるようになっている。アノード流路112からのアノードオフガスは、気液分離器1で水が分離された後、配管121cを通って、エゼクタ121に供給されるようになっている。
【0031】
また、カソード流路113には、外気を圧縮して吐出するコンプレッサ(図示しない)からの空気が、配管131aを通って供給されるようになっている。カソード流路113からのカソードオフガスは、配管131bを通って、車外に排出されるようになっている。
【0032】
<ECU>
ECU150は、燃料電池システム100を電子制御する制御装置であり、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などを含んで構成されている。そして、ECU150は、その内部に記憶されたプログラムに従って、各種処理を実行し、各種機器を制御するようになっている。
【0033】
≪気液分離器の構成≫
気液分離器1について、図2図7を参照して説明する。なお、図2図7は、燃料電池車が平地を走行している場合における気液分離器1の姿勢を記載している。
【0034】
気液分離器1は、アノードオフガスから液体状の水を分離する装置である。気液分離器1は、燃料電池スタック110の左側面に密着するように配置されており(図1図2参照)、アノード流路112の出口112bと気液分離器本体10の後記する導入口31とは直接に接続されている。つまり、出口112bと導入口31との間に、ホース等の配管は存在しない。
【0035】
気液分離器1は、気液分離器本体10と、跳ね返り低減板40と、水位センサ50と、排水弁60と、を備えている。
【0036】
<気液分離器本体>
気液分離器本体10は、内部が中空部である概ね箱状(殻状)の容器である。気液分離器本体10は、下方が開口した半殻状の上ハーフ10Aと、上方が開口した半殻状の下ハーフ10Bとを備え、上ハーフ10Aと下ハーフ10Bとが組み合わせられることで構成されている(図4参照)。上ハーフ10Aと下ハーフ10Bは、絶縁材料、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS、Polyphenylenesulfide)に、ガラス繊維を混入したもので形成されている。
【0037】
気液分離器本体10は、概ね、前側の前壁部11と、後側の後壁部12と、左側の左壁部13と、右側(燃料電池スタック110側)の右壁部14と、上側の天壁部15と、下側の底壁部16と、を備えている。そして、気液分離器本体10の概ね下部1/3は貯溜部21を構成しており、気液分離器本体10の概ね上部2/3はガス通流部22を構成している。
【0038】
<貯溜部>
貯溜部21は、アノードオフガスから分離された水を一時的に貯溜する部分であり、概ね、前壁部11、後壁部12、左壁部13及び右壁部14のそれぞれ下部と、底壁部16とで構成されている。貯溜部21は、気液分離器本体10を高さ方向において小型化するため全体として浅底であるが、貯溜部21の底を構成する底壁部16は前側に向かうにつれて下方に傾斜している(図4参照)。つまり、貯溜部21は、前側に向かうにつれて深くなっている。貯溜部21の容量(満タン時の水位L1)は、アノード流路112(燃料電池スタック110)から一度に排出される最大量の水を貯溜可能な大きさに設定されている。
【0039】
<ガス通流部>
ガス通流部22は、アノードオフガスの通流する部分であり、概ね、前壁部11、後壁部12、左壁部13及び右壁部14のそれぞれ上部と、天壁部15とで構成されている。
【0040】
<導入口>
右壁部14の後上寄りに導入口31が形成されている。導入口31は、燃料電池スタック110(外部)から気液分離器本体10へのアノードオフガスの入口である。これにより、アノードオフガスは、導入口31を通って、概ね左向きに通流し(図5、矢印A1参照)、左壁部13に衝突した後、前向きに通流するようになっている(図4、矢印A2参照)。
【0041】
<衝突壁部>
側面視において、導入口31のやや前側で、導入口31と後記する導出口33との間において、左右方向に延びる板状の衝突壁部32が形成されている(図4参照)。高さ方向において、衝突壁部32の下端は、導入口31の下端と略同一高さである。これにより、前方に向かうアノードオフガスは衝突壁部32に衝突し、流速が低下しつつ、これに含まれる水が下向きに落下し(図4、矢印A3参照)、アノードオフガスから水が良好に分離されるようになっている。
【0042】
<導出口>
水が分離した後のアノードオフガスは、ガス通流部22を概ね前向きに通流して(図4、矢印A4参照)、前壁部11に衝突した後、概ね上向きに通流して(図4、矢印A5参照)、導出口33を通って配管121c(外部)に排出されるようになっている(図4、矢印A6参照)。導出口33は、気液分離器本体10から外部への水が分離されたアノードオフガスの出口であり、前壁部11の上寄りに形成されている。
【0043】
<導入口と導出口との高さ関係>
導出口33は、導入口31よりも上方に配置されている。すなわち、導出口33の中心は、導入口31の中心よりも、高さΔH1にて高く配置されている(図4参照)。これにより、気液分離器本体10の高さ寸法を小さくしつつ、気液分離器本体10においてアノードオフガスから水が良好に分離されるようになっている。また、水を含むアノードオフガスがそのまま導出口33から外部に導出し難くなっている。なお、本実施形態では、導入口31は、導出口33よりも大きい構成である。
【0044】
<水切り溝>
導入口31から貯溜部21に向かって左右方向に延びる導入流路34の底壁部35(図5参照)は、右壁部14の内壁面14a(側壁面)から左方に突出すると共に、底壁部35は貯溜部21の天壁部を部分的に構成している。すなわち、底壁部35の下面35aは貯溜部21の天壁面でもある。そして、下面35aには、上方に凹むと共に前後方向に延びる溝状の水切り溝36(水切り部)が形成されている。つまり、平面視において、水切り溝36の延びる前後方向と、導入流路34の延びる左右方向とは、直交している。
【0045】
これにより、図5に示すように、アノードオフガスに含まれる水501が、導入流路34から下面35aに回り込んだとしても、水501は上方に凹む水切り溝36を横切ることはできず、水滴502となって滴下する。すなわち、導入流路34と貯溜部21との間において水膜は不連続となる。したがって、導入流路34と貯溜部21との間において水膜を介して電気的に導通せず、液絡し難くなる。
【0046】
ここで、導入流路34と貯溜部21とが水膜を介して電気的に導通すると、燃料電池スタック110と貯溜部21とが電気的に導通し、さらに、燃料電池スタック110と車体(ボディ)とが電気的に導通してしまう虞がある。貯溜部21の下流側は、排水ポート37、配管60a、排水弁60、配管60b等を介して、車体と電気的に接続している可能性があるからである。
【0047】
<跳ね返り低減板>
跳ね返り低減板40は、薄板状の部材であって、貯溜部21とガス通流部22とに配置され、これらを不完全に仕切り、ガス通流部22から貯溜部21に水が落下した場合において、貯溜部21の水の跳ね返りを低減する仕切り板(セパレータ)である(図3図4図5参照)。跳ね返り低減板40は底壁部16から上方に突出するボス部16aに固定されている。跳ね返り低減板40の外周縁と、気液分離器本体10との間には、水の通過可能な隙間が形成されている。
【0048】
跳ね返り低減板40には、導入口31側である後側の複数の第1貫通孔41と、導出口33側である前側の複数の第2貫通孔42とが形成されている(図6参照)。第1貫通孔41は第2貫通孔42よりも大きい。これにより、例えば、導入流路34から大量の水が流れ込んでも、水が大きい第1貫通孔41を通って貯溜部21に良好に流入するようになっている。また、貯溜部21の水は、小さい第2貫通孔42を通り抜け難く、導出口33に向かうアノードオフガスに混入し難くなっている。
【0049】
<水切り溝と跳ね返り低減板との距離>
跳ね返り低減板40に対する水切り溝36の高さΔH2は、水切り溝36と跳ね返り低減板40との間において水が不連続となる高さに設定されている(図5参照)。つまり、水切り溝36と跳ね返り低減板40との間において、連続した水層は形成されず、不連続な水滴となる高さに設定されている。これにより、水切り溝36と跳ね返り低減板40との間において、液絡しないようになっている。
【0050】
<水位センサ>
水位センサ50は、貯溜部21に貯溜されている水の水位を検出する電気抵抗式のセンサである(図3図4図6参照)。水位センサ50は、下ハーフ10Bに固定されており、その棒状の検出部51の軸線O51は、貯溜部21内において、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、棒状の検出部51の先端は左後ろを向いており、検出部51の前側から後側に向かうにつれて、左側かつ上側に傾くように傾斜している。
【0051】
ここで、電気抵抗式の検出部51には、軸方向において、第1プラス極52a、マイナス極53a、第2プラス極52bのように、その検知部が区分けされおり、第1プラス極52aとマイナス極53a、又は、マイナス極53aと第2プラス極52bを跨ぐように水が接触すると、第1プラス極52aとマイナス極53aとの間、マイナス極53aと第2プラス極52bとの間における電気抵抗値が変化し、水の有無を検出するセンサである。
【0052】
そして、このように電気抵抗式の検出部51が鉛直方向に対して斜めであることにより、水の有無の検出範囲が広くなっている。つまり、検出部51が水平方向である場合、第1プラス極52aとマイナス極53aとの間の抵抗値と、マイナス極53aと第2プラス極52bとの間の抵抗値とが同時に変化することになるが、このように斜めである場合、変化するタイミングがずれるので、水の有無の検出範囲が広くなる。
【0053】
具体的には、上り坂、下り坂等を燃料電池車が走行し、気液分離器1及び水位センサ50の姿勢が所定角度(例えば20°)にて傾斜しても、検出部51が水の有無を検出可能に構成されている。なお、気液分離器1及び水位センサ50は、前後方向において傾く場合のみでなく、平面視において全方向(360°)に傾いても検出可能に構成されている。
【0054】
また、電気抵抗式の検出部51の取り付け向きが自由であるため、水位センサ50の取り付け位置についての制約は受け難くなり、水位センサ50の取り付け位置を自由にレイアウトできる。これに対して、例えば、フロート式の水位センサは、フロートが鉛直方向に移動可能なように取り付ける必要ある。
【0055】
検出部51は、後記する連通孔38よりも上方に配置されている。すなわち、検出部51は、連通孔38よりも、高さΔH3にて高く配置されている(図3参照)。高さΔH3は、燃料電池車が、上り坂、下り坂等を走行し、気液分離器1の姿勢が変化しても、検出部51が連通孔38よりも上方に配置される高さに設定されている。
【0056】
これにより、検出部51が水を検出している間、連通孔38及び排水ポート37に水が存在することになる。したがって、検出部51が水を検出している間、排水弁60が開弁する構成としても、連通孔38等に水が存在するので、アノードオフガスが排水弁60を通って排出されることはない。
【0057】
<排水弁>
排水弁60は、開くことで貯溜部21の水を外部に排出する常閉型の電磁弁ある(図1図3参照)。排水弁60は、配管60aを介して、気液分離器本体10の排水ポート37に接続されている。排水ポート37は、底壁部16が下方に隆起することで形成されたポートであり、連通孔38を介して貯溜部21に連通している。
【0058】
排水弁60は、ECU150によって開閉制御される構成である。具体的には、ECU150は、水位センサ50を介して水があることを検出している間、排水弁60を開く構成となっている。言い換えると、ECU150は、水位センサ50を介して水があることを検出しない場合、排水弁60を閉じる構成となっている。
【0059】
これにより、貯溜部21における水の貯溜量を最小とでき、貯溜部21を小型化できる。また、満タン側の水位を検出しない構成であるので、満タン側の水位センサは不要となり、システム構成は簡易となる。さらに、排水弁60を介して水素が車外に排出されず、燃料電池車の燃費が向上する。
【0060】
≪変形例≫
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更してもよい。
【0061】
前記した実施形態では、気液分離器本体10が、上ハーフ10Aと下ハーフ10Bとの2部品が組み合わされてなる構成を例示したが、その他に例えば、一体成型品である構成でもよいし、3部品構成等でもよい。
【0062】
前記した実施形態では、気液分離器1かアノード流路112の下流に配置され、アノードオフガスから水を分離する構成を例示したが、その他に例えば、気液分離器1がカソード流路113の下流に配置され、カソードオフガスから水を分離する構成でもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 気液分離器
10 気液分離器本体
14a 内壁面(側壁面)
21 貯溜部
22 ガス通流部
31 導入口
32 衝突壁部
33 導出口
34 導入流路
35 底壁部
35a 下面
36 水切り溝(水切り部)
40 跳ね返り低減板
50 水位センサ
51 検出部
60 排水弁
110 燃料電池スタック
112 アノード流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7